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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C08G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C08G
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C08G
管理番号 1329807
審判番号 不服2015-1868  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-01-30 
確定日 2017-06-28 
事件の表示 特願2012-520919「電子素子のための材料」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 1月27日国際公開、WO2011/009522、平成24年12月27日国内公表、特表2012-533661〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、国際出願日である平成22年6月24日(パリ条約による優先権主張 2009年7月22日 ドイツ連邦共和国(DE))にされたとみなされる特許出願であって、平成25年11月25日付けで拒絶理由が通知され、平成26年2月28日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月22日付けで拒絶査定がされたところ、これに対して、平成27年1月30日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年3月24日付けで前置報告がなされ、同年6月10日に上申書が提出され、平成28年9月1日付けで当審において拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月5日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 当審拒絶理由

当審拒絶理由は、要するに、本願の請求項1?5に係る発明は、特許法第36条第6項第1号(サポート要件)に規定する要件を満足していない、本願の請求項1?5に係る発明は、本願の出願日前に頒布された刊行物である下記刊行物に記載された発明(以下「引用発明」という。)であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、及び、本願の請求項1?5に係る発明は、引用発明及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

・ 刊行物 : 国際公開第2009/053088号

第3 特許を受けようとする発明(特許請求の範囲の記載)について

特許を受けようとする発明は、平成28年12月5日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるとおりのものであって、そのうち、請求項1の記載は次のとおりである。

「(i)30?60モル%の一以上の式(I)の構造要素、
【化1】

(式中:
Mは、出現毎に、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フルオレン、ベンゾフルオレン、ジベンゾフルオレン、シス-あるいはトランス-インデノフルオレン、ベンゾインデノフルオレン、ジベンズインデノフルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ベンゾフェナントレンもしくはジヒドロフェナントレン誘導体であって、随意に、一以上の置換基R^(1)により置換されてよく、ここで、以下に定義される置換基R_(F)およびR^(1)は、出現毎に、同一であるか異なってよく、ただし、
添え字aおよびbには以下が適用される:
10,000≧a≧1
10≧b≧1および
破線は、隣接する構造単位への結合を表し、ここで、加えて、示される二個以上の結合が生じてもよく、本発明による化合物は、随意に、部分的にフッ素化された基R_(F)により置換されないさらなる同一であるか異なる構造要素Mを有し、ただし、本発明による化合物中の構造単位Mの合計は、2?10,000であり、さらに、
R_(F)は、1?12個のC原子を有する部分的にフッ素化された飽和、直鎖、分岐もしくは環状アルキル基であって、1以上の隣接のCH_(2)基は、随意に、O、S、NR^(2)、C=O、COOもしくはCONR^(2)で置き代えられてよく、および
R^(1)は、出現毎に、同一であるか異なり、H、F、1?20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であって、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよく、ここで、さらに、1以上の隣接あるいは非隣接のCH_(2)基は、O、S、Se、Te、Si(R^(2))_(2)、Ge(R^(2))_(2)、BR^(2)、NR^(2)、PR^(2)、CO、C=S、C=Se、C=NR^(2)、PO(R^(2))、PS(R^(2))、R^(2)C=CR^(2)、C≡C、SO、SO_(2)、COO、O(CO)OもしくはCONR^(2)で置き代えられてよく、ただし、一つの基Mもしくは二以上の異なる隣接あるいは非隣接の基Mに結合する二個以上の基R^(1)は、脂肪族、不飽和もしくは芳香族環構造を形成することができ、
R^(2)は、出現毎に、同一であるか異なり、H、Fまたは1?20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であって、一以上のH原子はFで置き代えられてよい。)
(ii)0.5?50モル%のポリマーの正孔注入および/または正孔輸送特性に作用する群1の単位、および/またはポリマーの電子注入および/または電子輸送特性に作用する群2の単位、並びに
(iii)典型的には骨組として使用される単位を含むポリマーであって、
(iv)正孔注入および/または正孔輸送特性に作用する単位は、トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリール-パラ-フェニレンジアミン、トリアリールホスフィン、フェノチアジン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、チアントレン、ジベンゾ-パラ-ジオキシン、フェノキサチン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロールおよびフラン誘導体から選ばれ、
(v)電子注入および/または電子輸送特性に作用する単位は、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、アントラセン、ベンズアントラセン、ピレン、ペリレン、ベンズイミダゾール、トリアジン、ケトン、ホスフインオキシドおよびフェナジン誘導体のみならずトリアリールボランから選ばれ、
(vi)ポリマー骨組として典型的に使用される単位は、4,5-ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10-テトラヒドロピレン誘導体、フルオレン誘導体、9,9’-スピロビフルオレン誘導体、フェナントレン誘導体、9,10-ジヒドロフェナントレン誘導体、5,7-ジヒドロジベンゾオキセピン誘導体、シス-およびトランス-インデノフルオレン誘導体から選ばれる、ポリマー。」(以下、請求項1の記載に係る発明を「本願発明」という。)

第4 本願が拒絶されるべき理由

1 特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項(進歩性新規性)について

(1) 刊行物及び刊行物に記載の事項
上記刊行物には、次の記載がある。ただし、ドイツ語表記の


」は、「a」と、


」は、「o」と、


」は、「u」と


」は、「ss」と表記している。
なお、引用箇所の日本語訳は、刊行物の日本国内移行出願の公開公報である特表2011-501369号公報による。

ア 「1. Optoelektronische Vorrichtung umfassend auf einem Substrat eine erste Schicht und eine zweite Schicht, dadurch gekennzeichnet, dass die erste Schicht ein Elektrodenmaterial mit fluorhaltigen Gruppen und die zweite Schicht ein Polymer mit fluorhaltigen Gruppen umfasst, wobei zwischen einem Teil der fluorhaltigen Gruppen der ersten Schicht und der zweiten Schicht eine adhasive Fluor-Fluor- Wechselwirkung besteht.」(第43頁4?10行)

(【請求項1】
基板上に第1層と第2層とを具備する光電子デバイスであって、前記第1層は、フッ素含有基を含む電極材料を含み、前記第2層は、フッ素含有基を含む高分子を含み、前記第1層と前記第2層のフッ素含有基のいくらかの間には、接着性のフッ素-フッ素相互作用が存在することを特徴とする光電子デバイス。)(本国内移行出願の公開公報における特許請求の範囲の請求項1、以下同じ)

イ 「Die Aufgabe der vorliegenden Erfindung bestand somit in der Bereitstellung einer optoelektronischen Vorrichtung, die mehrere spezialisierte funktionale Schichten umfasst, die aus Losung oder Dispersion abgeschieden werden konnen, jeweils gut aufeinander haften, d.h. einen guten Kontakt gewahrleisten, und sich durch einen nachfolgenden Coatingschritt auch nicht wieder ablosen lassen.」(第5頁1?6行)

(「本発明の目的は、溶液または分散により積層することができ、それぞれの場合において互いに良好に接着し、すなわち良好な接触が保証され、その後のコーティング工程により再び溶解し得ない、複数の固有の機能層を含む光電子デバイスを提供することにある。」)(段落【0013】)

ウ 「”Ein Teil" der fluorhaltigen Gruppen bedeutet dabei, dass etwa 10 bis 100 %, bevorzugt 50 bis 100 % und besonders bevorzugt 90 bis 100 % der fluorhaltigen Gruppen in Wechselwirkung treten. Dabei kann beispielsweise der Abstand der Fluoratome, um miteinander in Wechselwirkung zu treten, in etwa dem Van-der-Waals Radius entsprechen. Zumindest ist der Abstand der Fluoratome zueinander so, dass eine attraktive F-F-Wechselwirkung eintritt, vergleichbar mit der Wechselwirkung bei Wasserstoffbruckenbindungen. In Bezug auf die Wechselwirkung der Schichten untereinander sollte die Zahl der Fluorgruppen der aus Losung abgeschiedenen Schicht moglichst gut zum Fluorierungsgrad der bereits vorhandenen Oberflache passen. Der Teil der wechselwirkenden Gruppen sollte dabei moglichst hoch sein, dass jede Fluor-tragende Gruppe der im 2. Schritt abgeschiedenen Schicht ein Pendant auf der zuvor abgeschiedenen (bzw. Plasma-modifizierten) Schicht findet. Bevorzugt umfasst ein Polymer in einer erfindungsgemssen Schicht 0,5 bis 100 %, besonders bevorzugt 1 bis 50 % und insbesondere 1 bis 25 % fluorhaltige Gruppen, bezogen auf die Wiederholungseinheiten des Polymers. Hier bedeuten 100 %, dass jede Wiederholungseinheit des Polymers fluorhaltige Gruppen aufweist.
Im Sinne der vorliegenden Erfindung besitzen die fluorhaltigen Gruppen R_(f) bevorzugt die allgemeine Formel C_( x)H_(y)F_( 2), wobei x > 0, y > 0 und z > 1 sind und keine, eine oder mehrere CH_(2)-Gruppen, die auch benachbart sein konnen, durch O, S, Se, Te, Si(R^(1))_( 2),Ge(R^(1))_( 2),NR^(1), PR^(1 ),CO,P(R^(1))O ersetzt sein konnen, wobei R^(1) bei jedem Auftreten gleich oder verschieden eine geradkettige, verzweigte oder cyclische Alkyh Alkenyl-, Alkinyl-, Aryl-, Arylalkyl-, Arylalkenyl-, Arylalkinyl-, Heteroaryl- oder Heteroalkylgruppe ist, wobei auch ein oder mehrere nicht benachbarte C-Atome der nicht aromatischen Anteile durch O,S,CO,COO oder OCO ersetzt sein konnen, mit der Massgabe, dass zwei Reste R^(1 ) auch miteinander Ringsysteme bilden konnen. Bevorzugte Gruppen umfassen beispielsweise F, CF_(3) ,C_(2)F_(5),CF_(3)(CH_(2))_(a)S,CF_(3)CF_(2)S oder (CF_(3)-(CH_( 2))_(a))_(2)N, wobei a bevorzugt eine ganze Zahl von 0 bis 5 darstellt.
Uberraschenderweise konnte gefunden werden, dass nach dem Aufbringen eines fluorierten Polymers oder eines Polymers mit fluorierten oder perfluorierten Seitengruppen aus Losung auf fluorierte oder fluorhaltige Oberflachen nach dem Entfernen des Losungsmittels sich das Polymer nicht mehr losen, abwaschen oder wegschwemmen lasst und auch nicht quillt. Die Schicht konnte also ohne Anwendung von hohen Temperaturen und ohne Anwendung energiereicher Strahlung fixiert werden. Somit kann problemlos eine weitere Schicht aus Losung aufgebracht werden, ohne die Struktur der vorhergehenden Schicht zu schadigen. Uberraschenderweise wurde zudem gefunden, dass sich der gleiche Effekt bei der Aufbringung mehrerer fluorierter Polymere (oder fluorierter Oligomere oder fluorierter kleiner Molekule) einstellt. Die Fluor- Fluor-Wechselwirkung der Schichten untereinander verursacht eine starke Adhasion, was fur einen besonders guten Kontakt zwischen den Schichten sorgt und somit mehrschichtige Vorrichtungen moglich macht, wie sie von den "small molecule OLEDs" bekannt sind.
・・・
Bevorzugte Polymere bzw. fluorhaltige Polymere (oder Polymere mit 5 fluorierten oder perfluorierten Seitengruppen) im Sinne dieser Erfindung sind konjugierte Polymere oder teilkonjugierte Polymere, die in der Hauptkette sp^( 2) -hybridisierte Kohlenstoffatome enthalten, die auch durch entsprechende Heteroatome ersetzt sein konnen. Des Weiteren wird im Sinne dieser Erfindung ebenfalls als konjugiert bezeichnet, wenn sich in Q der Hauptkette beispielsweise Arylamineinheiten und/oder bestimmte Heterocyclen (d. h. Konjugation uber N-, O- oder S-Atome) und/oder metallorganische Komplexe (d. h. Konjugation uber das Metallatom) befinden. Typische Vertreter konjugierter Polymere, wie sie beispielsweise in PLEDs oder allgemein in O-SCs verwendet werden konnen, sind PoIy- 5 para-phenylenvinylene (PPV), Polyfluorene, Polyspirobifluorene, Polyphenanthrene, Polydihydrophenanthrene, Polyindenofluorene, Systeme, die im weitesten Sinne auf Poly-p-phenylenen (PPP) basieren, und Derivate dieser Strukturen, insbesondere solche Derivate, die fluorhaltige Gruppen aufweise」(第9頁24行?第11頁2行、第19頁24行?第20頁3行)

(フッ素含有基の「いくらか」とは、相互作用を受けるフッ素含有基の約10?100%、好ましくは50?100%、特に好ましくは90?100%を意味する。互いに相互作用を受けるために、フッ素原子の感覚は、例えば、ほぼファンデルワールス半径に対応すべきである。フッ素原子の相互の感覚は、少なくとも吸引性のF-F相互作用が生じる程度であり、水素結合の場合における相互作用に匹敵する。層の相互作用に関して、溶液により積層される層のフッ素基の数は、可能な限り既に存在する表面のフッ化の程度と一致するべきである。相互作用基の割合は、ここでは、第2のステップにおいて積層される層の各フッ素含有基が、直前に積層された(またはプラズマ修飾された)層にペンダントが見られるほど十分に高いべきである。本発明による層における高分子は、高分子の繰り返し単位に基づいて、好ましくは0.5?100%、特に好ましくは1?50%、特に1?25%のフッ素含有基を含んでなる。ここで、100%とは、高分子の全ての繰り返し単位がフッ素含有基を含むことを意味する。
本発明の目的のために、フッ素含有基Rfは、好ましくは一般式C_(X)H_(Y)F_(Z)を有し、x≧0、y≧0およびz≧1であり、隣接してもよい0または1以上のCH_(2)基は、O、S、Se、Te、Si(R^(1))_(2)、Ge(R^(1))_(2)、NR^(1)、PR^(1)、CO、P(R^(1))Oで置換されてよく、式中のR^(1)は、各々の存在について、同じまたは異なってよく、直鎖状、分枝状もしくは環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールもしくはヘテロアルキル基であり、さらに、1以上の非芳香族部分の隣接しないC原子は、O、S、CO、COOまたはOCOで置換されてよく、ただし、2つの基R^(1)が互いに環系を形成してもよい。好ましい基には、例えば、F、CF_(3)、C_(2)F_(5)、CF_(3)(CH_(2))_(a)S、CF_(3)CF_(2)Sおよび(CF_(3)-(CH_(2))_(a))_(2)Nが含まれ、式中のaは、好ましくは0?5の整数を意味する。
驚くべきことに、フッ化された高分子またはフッ化もしくは過フッ化された側鎖を含有する高分子を、フッ化された基板またはフッ素を含有する基板に溶液から塗布した後は、前記高分子はもはや溶解せず、洗い落とされずまたは洗い流されず、溶媒の除去後にも膨潤しない。それ故、高温を使用することなく、且つ高エネルギーの放射線を使用することなく、層を固定することが可能になる。それ故、直前の層の構造にダメージを与えるという問題を生じることなく、さらなる層を溶液により塗布することが可能になる。驚くべきことに、さらに、複数のフッ化された高分子(またはフッ化されたオリゴマーもしくはフッ化された小分子)の塗布においても同様の効果が生じることが見出された。層同士のフッ素-フッ素相互作用は強い接着を引き起こし、特に層同士の良好な接触を保証し、「小分子OLED」として既知であるような多層デバイスを可能にする。
・・・
本発明の目的のために好ましい高分子またはフッ素含有高分子(またはフッ化もしくは過フッ化された側鎖を含む高分子)は、主鎖にsp^(2)混成した炭素原子を含む共役高分子または部分的な共役高分子であり、これは対応するヘテロ原子で置換されてもよい。さらに、共役という用語は、同様に本発明の目的のために使用され、例えば、アリールアミン単位および/またはある一定のヘテロ環(すなわち、N、OまたはS原子を介した共役)および/または有機金属錯体(すなわち、金属原子を介した共役)が主鎖にある場合である。例えばPLEDまたはO-SCにおいて使用され得る共役高分子の典型的な例は、ポリ-パラ-フェニレンビニレン(PPV)、ポリフルオレン、ポリスピロビフルオレン、ポリフェナントレン、ポリジヒドロフェナントレン、ポリインデノフルオレン、最も広い意味のポリ-p-フェニレン(PPP)に基づく系、およびこれらの構造の誘導体、特にフッ素含有基を含む誘導体である。)(段落【0037】?【0039】、【0065】)

エ 「Besonders bevorzugt sind erfindungsgemass solche Polymere, die weitere Strukturelemente enthalten und somit als Copolymere zu bezeichnen sind. Hier sei vor allem auch auf die relativ umfangreichen Auflistungen von moglichen Strukturelementen in der WO 02/077060, der WO 2005/014689 und die in diesen Schriften aufgefuhrten Zitate verwiesen. Diese weiteren Struktureinheiten konnen beispielsweise aus den im Folgenden beschriebenen Klassen stammen:
Gruppe 1: Struktureinheiten, welche das Polymer-Grundgerust darstellen.
Gruppe 2: Struktureinheiten, welche die Lochinjektions- und/oder -transporteigenschaften der Polymere erhohen.
Gruppe 3: Struktureinheiten, welche die Elektroneninjektions- und/oder -transporteigenschaften der Polymere erhohen.
Gruppe 4: Struktureinheiten, die Kombinationen von Einzeleinheiten der Gruppe 2 und Gruppe 3 aufweisen.
Gruppe 5: Struktureinheiten, welche die Morphologie und/oder die
Emissionsfarbe der resultierenden Polymere beeinflussen.
Gruppe 6: Struktureinheiten, welche die Emissionscharakteristik insoweit verandern, dass Elektrophosphoreszenz statt Elektrofluoreszenz erhalten werden kann.
Gruppe 7: Struktureinheiten, welche den Ubergang vom Singulett- zum Triplettzustand verbessern. Geeignete und bevorzugte Einheiten fur die oben genannten Gruppen werden im Folgenden beschrieben, wobei diese bevorzugt die erfindungsgemss definierten fluorhaltigen Gruppen aufweisen.
Gruppe 1 - Struktureinheiten, welche das Polymer-Grundgerust darstellen:
Bevorzugte Einheiten der Gruppe 1 sind insbesondere solche, die aromatische oder carbocyclische Strukturen mit 6 bis 40 C-Atomen beinhalten. Geeignete und bevorzugte Einheiten sind unter anderem Fluoren-Derivate, wie z.B. in der EP 0842208, der WO 99/54385, der WO 00/22027, der WO 00/22026 und der WO 00/46321 offenbart, Indenofluorene, ferner Spirobifluoren-Derivate, wie z.B. in der EP 0707020, der EP 0894107 und der WO 03/020790 offenbart, Phenanthren-Derivate oder Dihydrophenanthren-Derivate, wie z.B. in der WO 2005/014689 offenbart. Es ist auch moglich, eine Kombination von zwei oder mehr dieser Monomer-Einheiten zu verwenden, wie z.B. in der WO 02/077060 beschrieben. Bevorzugte Einheiten fur das Polymergrundgerust sind neben den Einheiten der Formel (1) insbesondere Spirobifluoren-, Indenofluoren-, Phenanthren- und Dihydrophenanthren-Derivate.」(第20頁5行?第21頁20行)

(本発明によると、特に好ましいのはさらなる構造要素を含み、共重合体と呼ばれるべき高分子である。特に、参照すべきものは、WO02/077060、WO2005/014689およびこれらの明細書中の引用された参照文献における考えられる構造要素の相対的に広範なリストである。これらのさらなる構造単位は、例えば以下に述べる分類から生じ得る:
グループ1:高分子主鎖を表す構造単位
グループ2:高分子の正孔注入および/または輸送特性を増強する構造単位
グループ3:高分子の電子注入および/または輸送特性を増強する構造単位
グループ4:グループ2およびグループ3からの個々の単位の組み合わせを有する構造単位
グループ5:得られる高分子の形態および/または発光色に影響を及ぼす構造単位
グループ6:エレクトロフルオレセンスの代わりにエレクトロフォスフォレセンスが得られる程度に発光特性を修飾する構造単位
グループ7:一重項状態から三重項状態への遷移を改善する構造単位。
上述したグループについて適切且つ好ましい単位を以下に示すが、これらは、本発明により定義されるフッ素含有基を含むことが好ましい。
グループ1-高分子主鎖を表す構造単位:
グループ1における好ましい単位は、特に、6?40C原子を有する芳香族または炭素環構造を含むものである。適切且つ好ましい単位は、特に、例えばEP0842208、WO99/54385、WO00/22027、WO00/22026およびWO00/46321に開示されているようなフルオレン誘導体、インデノフルオレン、さらに、例えばEP0707020、EP0894107およびWO03/020790に開示されているようなスピロビフルオレン誘導体、例えばWO2005/014689に開示されているようなフェナントレン誘導体またはジヒドロフェナントレン誘導体である。例えばWO02/077060に記載されているように、これらのモノマー単位の2以上の組み合わせも使用することができる。式(1)の単位のほかに、高分子主鎖についての好ましい単位は、特に、スピロビフルオレン、インデノフルオレン、フェナントレンおよびジヒドロフェナントレン誘導体である。)(段落【0066】?【0068】)

オ 「Gruppe 2 - Struktureinheiten, welche die Lochinjektions- und/oder -transporteigenschaften der Polymere erhohen:
Dies sind im Allgemeinen aromatische Amine oder elektronenreiche Heterocyclen, wie z.B. substituierte oder unsubstituierte Triarylamine, Benzidine, Tetraarylen-para-phenylendiamine, Phenothiazine, Phenoxazine, Dihydrophenazine, Thianthrene, Dibenzo-p-dioxine,
Phenoxathiine, Carbazole, Azulene, Thiophene, Pyrrole, Furane und weitere O, S oder N-haltige Heterocyclen mit hoch liegendem HOMO (HOMO = hochst liegendes besetztes Molekulorbital). Es kommen hier aber auch Triarylphosphine in Frage, wie z.B. in der WO 2005/017065 A1 beschrieben.」(第23頁9行?20行)

(グループ2-高分子の正孔注入および/または輸送特性を増強する構造単位:
これらは、一般的に、芳香族アミンまたは電子に富んだヘテロ環、例えば、置換または非置換のトリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリーレン-パラ-フェニレンジアミン、フェノチアジン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、チアントレン、ジベンゾ-p-ジオキシン、フェノキサチイン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロール、フランおよびさらにO-、S-またはN-を含む高いHOMOを有するヘテロ環である(HOMO=最高被占軌道)。しかしながら、例えばWO2005/017065 A1に記載されているトリアリールフォスフィンも、ここでは適している。」(段落【0072】)

カ 「Gruppe 3 - Struktureinheiten, welche die Elektroneninjektions- und/oder -transporteigenschaften der Polymere erhohen:
Dies sind im Allgemeinen elektronenarme Aromaten oder Heterocyclen, wie z.B. substituierte oder unsubstituierte Pyridine, Pyrimidine, Pyridazine, Pyrazine, Pyrene, Perylene, Anthracene, Benzanthracene, Oxadiazole, Chinoline, Chinoxaline, Phenazine, Benzimidazole, Ketone, Phosphin- oxide, Sulfoxide oder Triazine, aber auch Verbindungen wie Triarylborane und weitere O, S oder N-haltige Heterocyclen mit niedrig liegendem LUMO (LUMO = niedrigstes unbesetztes Molekulorbital), sowie Benzophenone und deren Derivate, wie z.B. in der WO 05/040302 offenbart.」(第25頁24行?34行)

(グループ3-高分子の電子注入および/または輸送特性を増強する構造単位:
これらは、一般的に、電子欠乏性の芳香環または芳香族複素環、例えば、置換または非置換のピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピレン、ペリレン、アントラセン、ベンズアントラセン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、フェナジン、ベンズイミダゾール、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシドまたはトリアジンだけでなく、トリアリールボランおよび低いLUMO(LUMO=最低空軌道)を有するさらにO-、S-またはN-を含有する複素環、ならびに例えばWO05/040302に開示されているようなベンゾフェノンおよびその誘導体のような化合物である。)(段落【0075】)

キ 「Gruppe 5 - Struktureinheiten, welche die Morphologie und/oder die Emissionsfarbe der resultierenden Polymere beeinflussen:
Dies sind neben den oben genannten Einheiten solche, die mindestens noch eine weitere aromatische oder eine andere konjugierte Struktur aufweisen, welche nicht unter die o. g. Gruppen fallt, d.h. die die Ladungstragermobilitat nur wenig beeinflusst, die keine metallorganischen Komplexe sind oder die keinen Einfluss auf den Singulett-Triplett- Ubergang haben. Derartige Strukturelemente konnen die Morphologie, aber auch die Emissionsfarbe der resultierenden Polymere beeinflussen. Je nach Einheit konnen sie daher auch als Emitter eingesetzt werden. Bevorzugt sind dabei substituierte oder unsubstituierte aromatische Strukturen mit 6 bis 40 C-Atomen oder auch Tolan-, Stilben- oder Bisstyrylarylenderivate, die jeweils mit einem oder mehreren Resten R 11 substituiert sein konnen. Besonders bevorzugt ist dabei der Einbau von 1 ,4-Phenylen-, 1 ,4-Naphthylen-, 1 ,4- oder 9,10-Anthrylen-, 1 ,6-, 2,7- oder 4,9-Pyrenylen-, 3,9- oder 3,10- Perylenylen-, 4,4'-Biphenylylen-, 4,4"-Terphenylylen-, 4,4'-Bi-1 ,1 l -naphthylylen-, 4,4'-Tolanylen-, 4,4'- Stilbenylen- oder 4,4"-Bisstyrylarylenderivaten.」(第28行32行?第29頁14行)

(グループ5-得られる高分子の形態および/または発光色に影響を及ぼす構造単位:
上述した単位の他に、上述したグループの中には該当しない少なくとも1のさらなる芳香族または他の共役構造を有するものがあり、すなわち、電荷-キャリア移動度にわずかな影響しか及ぼさず、有機金属錯体ではなく、または、一重項-三重項遷移における影響を有さないものである。このタイプの構造要素は、形態だけでなく、得られる高分子の発光色にも影響を及ぼし得る。それ故、単位に依存して、それらは発光体として使用することもできる。ここで好ましいのは、6?40C原子を有する置換もしくは非置換の芳香族構造またはトラン、スチルベンもしくはビス-スチリルアリーレン誘導体であり、これらのそれぞれは、1以上の基R11で置換されてよい。ここで特に好ましいのは、1,4-フェニレン、1,4-ナフチレン、1,4-または9,10-アントリレン、1,6-、2,7-または4,9-ピレニレン、3,9-または3,10-ペリレニレン、4,4’-ビフェニリレン、4,4”-テルフェニリレン、4,4’-ビ-1,1’-ナフチリレン、4,4’-トラニレン、4,4’-スチルベニレンまたは4,4”-ビススチリルアリーレン誘導体を組み込むことである。)(段落【0081】)

ク 「Ebenfalls bevorzugt ist es, wenn die Polymere Einheiten enthalten, die den Ladungstransport oder die Ladungsinjektion verbessern, also Einheiten aus Gruppe 2 und/oder 3; besonders bevorzugt ist ein Anteil von 1 bis 30 mol% dieser Einheiten; ganz besonders bevorzugt ist ein Anteil von 2 bis 10 mol% dieser Einheiten.
Besonders bevorzugt ist es weiterhin, wenn die Polymere Einheiten aus
Gruppe 1 , Einheiten aus Gruppe 2 und/oder 3 und Einheiten aus Gruppe 5 enthalten.
Die Polymere weisen vorzugsweise 10 bis 10000, besonders bevorzugt 20 bis 5000 und insbesondere 50 bis 2000 Wiederholungseinheiten auf. Davon zu unterscheiden sind die erfindungsgemassen fluorierten Oligomere, welche 3 bis 9 Wiederholungseinheiten aufweisen. Ansonsten konnen auch die Oligomere alle oben definierten Wiederholungseinheiten, auch die Emitter, besitzen.」(第33頁9行?24行)

(同様に、前記高分子は、電荷輸送または電荷注入を改善する単位、すなわちグループ2および/または3からの単位を含むことが好ましく;これらの単位が1?30mol%の割合であることが特に好ましく;これらの単位が2?10mol%の割合であることがまさに特に好ましい。
さらに、前記高分子は、グループ1からの単位、グループ2および/または3からの単位、ならびにグループ5からの単位を含むことが特に好ましい。
前記高分子は、繰り返し単位を好ましくは10?10,000、特に好ましくは20?5000、特に50?2000含む。これらと、3?9の繰り返し単位を含む本発明によるフッ化オリゴマーとの区別がなされるべきである。他に、前記オリゴマーは、発光体を含む上記で定義した全ての繰り返し単位を含んでもよい。)(段落【0090】?【0092】)

(2) 引用発明
上記(1)の摘記から、刊行物には、光電子デバイスの第2層を構成する「フッ素含有基を含む高分子」の具体的な組成として、「本発明の目的のために好ましい高分子またはフッ素含有高分子(またはフッ化もしくは過フッ化された側鎖を含む高分子)は、主鎖にsp^(2)混成した炭素原子を含む共役高分子または部分的な共役高分子であり、・・・例えばPLEDまたはO-SCにおいて使用され得る共役高分子の典型的な例は、ポリ-パラ-フェニレンビニレン(PPV)、ポリフルオレン、ポリスピロビフルオレン、ポリフェナントレン、ポリジヒドロフェナントレン、ポリインデノフルオレン、最も広い意味のポリ-p-フェニレン(PPP)に基づく系、およびこれらの構造の誘導体、特にフッ素含有基を含む誘導体である。」(上記摘示(1)ウ)の記載があり、具体的に利用される層の用途によって、上記摘示(1)エのグループの構成単位を含む共重合体と呼ばれるべき高分子が利用されることが示されていて、好ましい組み合わせとして、「電荷輸送または電荷注入を改善する単位、すなわちグループ2および/または3からの単位を含むことが好ましく;これらの単位が1?30mol%の割合であることが特に好ましく・・・さらに、前記高分子は、グループ1からの単位、グループ2および/または3からの単位、ならびにグループ5からの単位を含むことが特に好ましい。」(上記摘示(1)キ)とあるから、刊行物には、上記摘示(1)ウのフッ素含有基の単位、グループ1からの単位、グループ2および/または3からの単位、グループ5からの単位を含む高分子として、

「ポリ-パラ-フェニレンビニレン(PPV)、ポリフルオレン、ポリスピロビフルオレン、ポリフェナントレン、ポリジヒドロフェナントレン、ポリインデノフルオレンから選択される高分子主鎖にフッ素含有基である下記Rf基を含む構造単位に、下記グループ1からの単位、下記グループ2および/または3からの単位、下記グループ5からの単位を含み、高分子の繰り返し単位の1?50%がフッ素含有基を含んでいる、ポリマー。
フッ素含有基Rfは、一般式C_(X)H_(Y)F_(Z)を有し、x≧0、y≧0およびz≧1であり、隣接してもよい0または1以上のCH_(2)基は、O、S、Se、Te、Si(R^(1))_(2)、Ge(R^(1))_(2)、NR^(1)、PR^(1)、CO、P(R^(1))Oで置換されてよく、式中のR^(1)は、各々の存在について、同じまたは異なってよく、直鎖状、分枝状もしくは環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールもしくはヘテロアルキル基であり、さらに、1以上の非芳香族部分の隣接しないC原子は、O、S、CO、COOまたはOCOで置換されてよく、ただし、2つの基R^(1)が互いに環系を形成してもよく、好ましい基には、例えば、F、CF_(3)、C_(2)F_(5)、CF_(3)(CH_(2))_(a)S、CF_(3)CF_(2)Sおよび(CF_(3)-(CH_(2))_(a))_(2)Nが含まれ、aは、0?5の整数を意味し、
グループ1の高分子主鎖を表す構造単位として、フルオレン誘導体、インデノフルオレン、スピロビフルオレン誘導体、フェナントレン誘導体またはジヒドロフェナントレン誘導体、スピロビフルオレン、インデノフルオレン、フェナントレンおよびジヒドロフェナントレン誘導体であり、
グループ2の高分子の正孔注入および/または輸送特性を増強する構造単位として、トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリーレン-パラ-フェニレンジアミン、フェノチアジン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、チアントレン、ジベンゾ-p-ジオキシン、フェノキサチイン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロール、フランおよびさらにO-、S-またはN-を含む高いHOMOを有するヘテロ環である(HOMO=最高被占軌道)、トリアリールフォスフィンであり、
グループ3の高分子の電子注入および/または輸送特性を増強する構造単位として、置換または非置換のピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピレン、ペリレン、アントラセン、ベンズアントラセン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、フェナジン、ベンズイミダゾール、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシドまたはトリアジンだけでなく、トリアリールボランおよび低いLUMO(LUMO=最低空軌道)を有するさらにO-、S-またはN-を含有する複素環、ベンゾフェノンおよびその誘導体のような化合物であり、
グループ5の得られる高分子の形態および/または発光色に影響を及ぼす構造単位である、6?40C原子を有する置換もしくは非置換の芳香族構造またはトラン、スチルベンもしくはビス-スチリルアリーレン誘導体、1,4-フェニレン、1,4-ナフチレン、1,4-または9,10-アントリレン、1,6-、2,7-または4,9-ピレニレン、3,9-または3,10-ペリレニレン、4,4’-ビフェニリレン、4,4”-テルフェニリレン、4,4’-ビ-1,1’-ナフチリレン、4,4’-トラニレン、4,4’-スチルベニレンまたは4,4”-ビススチリルアリーレン誘導体である。」の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。

(3) 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明のRf基の「ポリフルオレン、ポリスピロビフルオレン、ポリフェナントレン、ポリジヒドロフェナントレン、ポリインデノフルオレンから選択される高分子主鎖」は、本願発明の式(I)のMとして「フルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン誘導体、シス-あるいはトランス-インデノフェナントレン」との記載があるから、本願発明の式(I)の構成要素における「・・・[M]・・・」に相当する。
引用発明のフッ素含有基Rfの「好ましい基」として例示されている「CF_(3)(CH_(2))_(a)Sおよび(CF_(3)-(CH_(2))_(a))_(2)N、aは、0?5の整数を意味し」は、本願発明の「R_(F)は、1?12個のC原子を有する部分的にフッ素化された飽和、直鎖、分岐もしくは環状アルキル基であって、1以上の隣接のCH_(2)基は、随意に、O、S、NR^(2)、C=O、COOもしくはCONR^(2)で置き代えられてよく」に相当する。
そうすると、引用発明のポリマーの繰り返し単位「ポリフルオレン、ポリスピロビフルオレン、ポリフェナントレン、ポリジヒドロフェナントレン、ポリインデノフルオレンから選択される高分子主鎖にフッ素含有基であるRf基を含む構造単位」は、本願発明の「式(I)の構造要素【化1】(式(自体)省略)」に相当する。
引用発明の「グループ1からの単位」として例示されている「フルオレン誘導体、スピロビフルオレン誘導体、フェナントレン誘導体またはジヒドロフェナントレン誘導体、スピロビフルオレン、フェナントレンおよびジヒドロフェナントレン誘導体」は、本願発明のポリマー骨格として典型的に使用される単位であるから、本願発明の限りで「(iii)典型的には骨格として使用される単位」に相当する。
引用発明の「グループ2からの単位」として例示されている「トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリーレン-パラ-フェニレンジアミン、フェノチアジン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、チアントレン、ジベンゾ-p-ジオキシン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロール、フラン」は、本願発明の正孔注入および/または正孔輸送特性に作用する単位として使用されるものであるから、本願発明の限りで「(iv)正孔注入および/または正孔輸送特性に作用する群1の単位」に相当する。
引用発明の「グループ3からの単位」として例示される「置換または非置換のピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピレン、ペリレン、アントラセン、ベンズアントラセン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、フェナジン、ベンズイミダゾール、ケトン、ホスフィンオキシド、トリアジン、トリアリールボラン」は、本願発明の電子注入および/または電子輸送特性に作用する単位として使用されるものであるから、本願発明の限りで「(v)電子注入および/または電子輸送特性に作用する群2の単位」に相当する。
以上のことから、両者は、

「一以上の式(I)の構造要素を含み、
【化1】(式(自体)省略)
(式中:
Mは、出現毎に、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フルオレン、ベンゾフルオレン、ジベンゾフルオレン、シス-あるいはトランス-インデノフルオレン、ベンゾインデノフルオレン、ジベンズインデノフルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ベンゾフェナントレンもしくはジヒドロフェナントレン誘導体であって、随意に、一以上の置換基R^(1)により置換されてよく、ここで、以下に定義される置換基R_(F)およびR^(1)は、出現毎に、同一であるか異なってよく、
破線は、隣接する構造単位への結合を表し、ここで、加えて、示される二個以上の結合が生じてもよく、本発明による化合物は、随意に、部分的にフッ素化された基R_(F)により置換されないさらなる同一であるか異なる構造要素Mを有し、
R_(F)は、1?12個のC原子を有する部分的にフッ素化された飽和、直鎖、分岐もしくは環状アルキル基であって、1以上の隣接のCH_(2)基は、随意に、O、S、NR^(2)、C=O、COOもしくはCONR^(2)で置き代えられてよく、および
R^(1)は、出現毎に、同一であるか異なり、H、F、1?20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であって、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよく、ここで、さらに、1以上の隣接あるいは非隣接のCH_(2)基は、O、S、Se、Te、Si(R^(2))_(2)、Ge(R^(2))_(2)、BR^(2)、NR^(2)、PR^(2)、CO、C=S、C=Se、C=NR^(2)、PO(R^(2))、PS(R^(2))、R^(2)C=CR^(2)、C≡C、SO、SO_(2)、COO、O(CO)OもしくはCONR^(2)で置き代えられてよく、ただし、一つの基Mもしくは二以上の異なる隣接あるいは非隣接の基Mに結合する二個以上の基R^(1)は、脂肪族、不飽和もしくは芳香族環構造を形成することができ、
R^(2)は、出現毎に、同一であるか異なり、H、Fまたは1?20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であって、一以上のH原子はFで置き代えられてよい。)
(ii)ポリマーの正孔注入および/または正孔輸送特性に作用する群1の単位、および/またはポリマーの電子注入および/または電子輸送特性に作用する群2の単位、並びに
(iii)典型的には骨組として使用される単位を含むポリマーであって、
(iv)正孔注入および/または正孔輸送特性に作用する単位は、トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリール-パラ-フェニレンジアミン、トリアリールホスフィン、フェノチアジン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、チアントレン、ジベンゾ-パラ-ジオキシン、フェノキサチン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロールおよびフラン誘導体から選ばれ、
(v)電子注入および/または電子輸送特性に作用する単位は、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、アントラセン、ベンズアントラセン、ピレン、ペリレン、ベンズイミダゾール、トリアジン、ケトン、ホスフインオキシドおよびフェナジン誘導体のみならずトリアリールボランから選ばれ、
(vi)ポリマー骨組として典型的に使用される単位は、4,5-ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10-テトラヒドロピレン誘導体、フルオレン誘導体、9,9’-スピロビフルオレン誘導体、フェナントレン誘導体、9,10-ジヒドロフェナントレン誘導体、5,7-ジヒドロジベンゾオキセピン誘導体、シス-およびトランス-インデノフルオレン誘導体から選ばれる、ポリマー。」の点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
本願発明の式(I)の構成単位の繰り返し数及び分岐鎖数について「ただし、本発明による化合物中の構造単位Mの合計は、2?10,000であり、さらに、添え字aおよびbには以下が適用される:
10,000≧a≧1
10≧b≧1」と特定するのに対して、引用発明においては、この点を特定しない点。

<相違点2>
式(I)の構成単位のポリマー中のモル数に関し、本願発明は「30?60モル%」と特定するのに対して、引用発明は、ポリマー中のフッ素含有基を含んでいる構成要素のモル%が1?50モル%であるとする点。

<相違点3>
ポリマーの正孔注入および/または正孔輸送特性に作用する群1の単位、および/またはポリマーの電子注入および/または電子輸送特性に作用する群2の単位の配合量に関し、本願発明においては「0.5?50モル%」と特定するのに対し、引用発明は、この点を特定しない点。

(4) 相違点についての判断
相違点1について
引用発明においてフッ素含有基の「好ましい基」として「(CF_(3)-(CH_(2))_(a))_(2)Nが含まれ、aは、0?5の整数を意味する」が例示されていること、及び、刊行物において引用発明の高分子の繰り返し単位に関して「前記高分子は、繰り返し単位を好ましくは10?10,000、特に好ましくは20?5000、特に50?2000含む。」(上記(1)ク)との記載からみて、引用発明も、本願発明と重複する構成単位の繰り返し数及び分岐鎖数のものを含むと解されるので、相違点1は実質上の相違点ではない。仮に、相違点であったとしても、具体的に利用する有機ELの求める性能等に応じて、その数値範囲を適宜調整することは当業者にとって想到容易である。

相違点2について
引用発明のコポリマーの構成要素において、フッ素含有基Rf基を含む構成単位以外には、フッ素含有基を含む構成単位は存在しないので、引用発明における「フッ素含有基Rf基を含む構成単位」のモル%は1?50モル%である。そうすると、引用発明の本願発明の式(I)に対応する構想単位のモル数の上限は50モル%となるから、本願発明の範囲と一部重複一致しているといえる。
そうでないとしても、具体的に利用する有機ELの求める性能等に応じて、その数値範囲を適宜調整することは当業者にとって想到容易である。

相違点3について
刊行物には「前記高分子は、電荷輸送または電荷注入を改善する単位、すなわちグループ2および/または3からの単位を含むことが好ましく;これらの単位が1?30mol%の割合であることが特に好ましく」(上記摘示(1)ク)との記載があり、当該記載における「グループ2」、「グループ3」は、それぞれ、本願発明の「群1の単位」、「群2の単位」に相当するから、引用発明の配合量は、本願発明の範囲と重複一致し、相違点3は実質上の相違点ではない。仮に、相違点であったとしても、具体的に利用する有機ELの求める性能等に応じて、その数値範囲を適宜調整することは当業者にとって想到容易である。

その効果について、本願明細書の発明の詳細な説明及び図面の記載を検討しても、本願明細書において具体的に実施しているP1?P6のポリマーの奏する効果が、本願発明の奏する特有の効果とはいえないから、引用発明との相違点の奏する効果が格別のものということはできない。

(5) 審判請求人の主張の検討

審判請求人は、平成28年12月5日提出の意見書において、「引用文献8には、フッ素原子や過フッ素化ラジカル(-C_(8)F_(17)基)を含むポリマーだけが記載されており、引用文献8には、(i)30?60モル%の一以上の式(I)の構造要素、(ii)0.5?50モル%のポリマーの正孔注入および/または正孔輸送特性に作用する群1の単位、および/またはポリマーの電子注入および/または電子輸送特性に作用する群2の単位、並びに(iii)典型的には骨組として使用される単位を含むポリマーは、記載されておりませんし、それを示唆する記載もありません。そして、本願発明1は、改善された電子注入を可能とし、および/または多層構造の適用を単純化する改変された溶解特性を有するという引用文献8からは予期し得ない上記効果を奏するものであります。したがって、本願発明1は、引用文献8に記載された発明ではありませんし、引用文献8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではありません。」と主張をする。

以下、上記主張について検討する。
引用発明として認定できる事項は、必ずしも実施例に記載されているものに限定されないところ(要すれば、平成26年(行ケ)第10027号判決を参照のこと)、上記刊行物(審判請求人のいう引用文献8)の上記(1)の記載に基づき、上記(2)のとおりの発明を認定できるといえるから、上記主張は失当である。
また、効果についての主張については、下記2での検討のとおり、本願発明はサポート要件を満足していないことから、当該主張も失当である。

(6) 小括

よって、本願発明は、上記刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。仮に、そうでないとしても、引用発明及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

2 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について

本願発明は「ポリマー」に係るものであって、「有機電子素子での使用のための新規な材料に関する需要、特に、以下の観点での素子の改善に関する需要が引き続き存在する:
1.低いLUMO(最低空分子軌道)を有する化合物が、より容易な電子注入とそれゆえの駆動電圧の減少のために必要とされる。駆動電圧の減少は、パワー効率の改善を生じ、特に、携帯用途において主として重要である。
2.溶解性と湿潤特性に関する改善された示差能力が、多層構造を達成するために必要とされる。
3.目的は、有機エレクトロルミネッセンス素子、特に、青色発光系の場合と高品質の用途に関して、寿命と効率をさらに増加することであった。」(段落【0004】?【0006】)との事項を、その発明の課題とし、当該課題を解決するために、上記第3に記載のとおりの事項をその発明を特定するために必要な事項(以下、「発明特定事項」という。)として備えるものである。

そこで、本願明細書の発明の詳細な説明(以下、単に「発明の詳細な説明」という。)が、上記の本願発明の課題が本願発明の発明特定事項によって解決できると認識できる程度に記載されているかについて検討する。

発明の詳細な説明において、「式(I)の部分的にフッ素化された置換基RFを有する一以上の構造要素を含む化合物は、電子素子での、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子での機能性材料として首尾よく使用できることが今回見出された。本願に記載されるとおり、部分的にフッ素化された側鎖の導入は、好ましくは、化合物のLUMO軌道の低下、それゆえの電子注入障壁性の低下を容易にし、電子素子の駆動電圧の低下を引き起こす。」(段落【0008】?【0009】)との記載はあるが、コポリマーについての上記課題に関するこれ以上の記載はない。また、(コ)ポリマーとして、本願発明の30?60モル%の式(1)の構成要素以外に配合される構成要素として、段落【0038】?【0058】において群1から群8のものがそれぞれの働きと具体例を併せて記載されているが、それぞれの構成要素が、上記課題の解決にどのように関係するかについての記載も一切存在しない。
そして、発明の詳細な説明において、本願発明の(コ)ポリマーとして実際に合成されているのは、例1?6のポリマーP1?P6のみ(当該P1?P6は、1?12個のC原子を有する部分的にフッ素化された飽和、直鎖、分岐もしくは環状アルキル基であって、基-OCF_(3)、-SCF_(3)、-N(CF_(3))_(2)および末端脂肪族トリフルオロメチルから選ばれる構造要素を含むフッ素含有基を含み、フルオレン骨格のもののみである)であり、当該P1?P6については、実際の有機電気素子に利用した時の最大効率、色座標、U@100cd/m^(2)、U@1000cd/m^(2)の測定結果が段落【0013】の表1に示されているにとどまる。
本願出願時の当業者において、有機EL素子に利用されるコポリマーを構成する各構成単位の骨格の構造により、コポリマーの機能が大きく変化するものであって、特に有機EL素子の効率や耐久性については、具体的な構成要素毎でどのように変化するかは容易に予測できるとはいえない。
そして、本願発明の発明特定事項を満足するコポリマーにおいては、構成単位の骨格や、配合量等によりコポリマーの性質が大きく変化するものと考えるのが合理的であるから、本願発明で特定されるコポリマーの全てについて、実施例と同様な効果を奏すると解することは相当でない。
また、本願出願時に、本願発明の発明特定事項を満足するコポリマーが、上記課題が解決できるとの、技術常識が存したものとも認められない。
したがって、本願発明の発明特定事項を満足するポリマーが、発明の詳細な説明の記載に基づき、当業者が本願出願時の技術常識に照らし本願発明の上記課題を解決できると認識できる範囲のものであるということはできない。

よって、この出願は、サポート要件を充足していないというべきである。

第5 むすび

以上のとおり、請求項1についての当審拒絶理由は妥当なものである。そして、平成26年9月25日付け意見書及び手続補正書の内容を検討しても、これを覆すに足りる根拠が見いだせないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-01-30 
結審通知日 2017-01-31 
審決日 2017-02-13 
出願番号 特願2012-520919(P2012-520919)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (C08G)
P 1 8・ 121- WZ (C08G)
P 1 8・ 113- WZ (C08G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井津 健太郎  
特許庁審判長 小柳 健悟
特許庁審判官 橋本 栄和
大島 祥吾
発明の名称 電子素子のための材料  
代理人 砂川 克  
代理人 峰 隆司  
代理人 堀内 美保子  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 野河 信久  
代理人 岡田 貴志  
代理人 佐藤 立志  
代理人 河野 直樹  
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