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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04Q
管理番号 1329811
審判番号 不服2015-3202  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-19 
確定日 2017-06-28 
事件の表示 特願2012-538163「フラクショナル個別物理チャネルのタイムスロットフォーマット確定方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月12日国際公開,WO2011/054157,平成25年 3月21日国内公表,特表2013-510521〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は,2009年11月9日を国際出願日とする出願であって,平成26年10月16日付けで拒絶査定がされ,これに対し,平成27年2月19日に拒絶査定不服審判が請求され,その後,当審において平成28年5月20日付けで拒絶理由が通知され,同年8月23日付けで意見書が提出され,同年10月12日付けで拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)が通知され,平成29年1月16日付けで手続補正がされたものである。

その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成29年1月16日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「基地局が,無線ネットワークコントローラ(RNC:Radio Network Controller)によりシグナルを介して送信された共通拡張個別チャネル(E-DCH:Enhanced Dedicated Channel)の構成情報を受信し,
前記共通E-DCHの構成情報には,フラクショナル個別物理チャネル(F-DPCH:Fractional Dedicated Physical Control Channel)のタイムスロットフォーマットの構成情報が含まれ,又は,前記共通E-DCHの構成情報には,F-DPCHのタイムスロットフォーマットの構成情報が含まれず,
前記基地局が,セルフォワードアクセスチャネル(CELL_FACH:CELL Forward Access Channel)状態又はアイドル(Idle)モードにあるユーザ装置(UE:User Equipment)が,E-DCHを使用していることを検出する場合,
前記基地局が,F-DPCHの0番目のタイムスロットフォーマットを,F-DPCHを介して情報を送信するためのフォーマットとして使用する
フラクショナル個別物理チャネルのタイムスロットフォーマット確定方法。」


2 引用発明等
当審拒絶理由に引用された ETSI TS125 433 V8.6.0(2009-10)(3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;UTRAN Iub interface Node B Application Part (NBAP) signalling([当審仮訳]:第3世代パートナーシッププロジェクト;技術仕様グループ無線アクセスネットワーク;UTRAN Iubインタフェース ノードBアプリケーション部分(NBAP)シグナリング),2009年10月,(以下,「引用例」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。([当審注]:なお,ETSIの「ETSI TS125 433 V8.6.0(2009-10)」が3GPPの「3GPP TS25 433 V8.6.0(2009-10)」と同内容であることは技術常識である。)

(1)「8.2.18 Physical Shared Channel Reconfiguration
8.2.18.1 General
This procedure is used to assign HS-DSCH related resources to the Node B.
(中略)
This procedure is also used to assign E-DCH related resources to the Node B.

8.2.18.2 Successful Operation


The procedure is initiated with a PHYSICAL SHARED CHANNEL RECONFIGURATION REQUEST message sent from the CRNC to the Node B using the Node B Control Port.
Upon reception, the Node B shall activate the new configuration at the head boundary of the SFN according to the parameters given in the message.
If the PHYSICAL SHARED CHANNEL RECONFIGURATION REQUEST message includes an SFN IE, the Node B shall activate the new configuration at the head boundary of that specified SFN. If no SFN IE is included Node B shall activate the new configuration immediately.
(中略)
[FDD - Common E-DCH Operation]:
[FDD - If the PHYSICAL SHARED CHANNEL RECONFIGURATION REQUEST message includes the Common E-DCH System Information IE, then the Node B shall:
(中略)
-If the Common E-DCH F-DPCH Information IE is included, then the Node B shall apply the parameters to the common E-DCH in new configuration.」(103,112,113ページ)
([当審仮訳]:
8.2.18 物理共有チャネル再構成
8.2.18.1 一般
この手続は,ノードBにHS-DSCH関連のリソースを割り当てるのに使用される。
(中略)
この手続は,ノードBにE-DCH関連のリソースを割り当てるのにも使用される。

8.2.18.2 成功した操作
(図26は省略。)
この手続は,ノードB制御ポートを使用してCRNCからノードBに送られた物理共有チャネル再構成要求メッセージにより開始される。
受信すると,ノードBは,メッセージで与えられたパラメータに従ってSFN([当審注]:「SFN」は,「システムフレーム番号」。)の頭の境界において新たな構成を活性化する。
物理共有チャネル再構成要求メッセージがSFN IDを含んでいると,ノードBはその特定されたSFNの頭の境界において新たな構成を活性化する。SFN IDが含まれていないと,ノードBは直ちに新たな構成を活性化する。
(中略)
[FDD- 共通E-DCH操作]
[FDD- 物理共有チャネル再構成要求メッセージが共通E-DCHシステム情報IE([当審注]:「IE」は,「情報エレメント」。)を含んでいると,ノードBは:
(中略)
- 共通E-DCH F-DPCH情報IEが含まれていると,ノードBは新たな構成においてE-DCHにそのパラメータを適用する。)

(2)「9.2.2.93 F-DPCH Slot Format
The F-DPCH Slot Format IE defines the F-DPCH slot format for the TPC bits, as defined in [7].


(中略)
9.2.2.103 Common E-DCH System Information
The Common E-DCH System Information IE provides information for E-DCH configured for UE in Cell_FACH and Idle state.」(573,575ページ)
([当審仮訳]:
9.2.2.93 F-DPCHスロットフォーマット
F-DPCHスロットフォーマットIEは,[7]([当審注]:巻頭の参考文献一覧によれば,「[7]」は「3GPP TS25.211」を意味する。)で定義されたように,TPCビットのためのF-DPCHスロットフォーマットを定義する。
(表は省略。)
(中略)
9.2.2.103 共通E-DCHシステム情報
共通E-DCHシステム情報IEは,CELL_FACH状態及びアイドルモードのUEのために構成されたE-DCH用の情報を提供する。)

上記(1)の記載及び図面並びに当業者の技術常識を考慮すると,ノードBは,IubインタフェースによりCRNCから送信された,共通E-DCHシステム情報IEを含む物理共有チャネル再構成要求メッセージを受信すると,当該メッセージで与えられたパラメータに従って物理共有チャネルを新たに構成するところ,「共通E-DCH F-DPCH情報IEが含まれていると,」との条件の記載から明らかなように,物理共有チャネル再構成要求メッセージには,共通E-DCHシステム情報IEとして共通E-DCH F-DPCH情報IEが含まれている場合と,そうでない場合とがあることが見てとれる。
そして,上記(2)の記載及び図面並びに当業者の技術常識を考慮すると,共通E-DCHシステム情報IEは,CELL_FACH状態及びアイドルモードのUEのために構成されたE-DCH用の情報を提供するものであり,F-DPCHに関する情報であるF-DPCHスロットフォーマットIEは,3GPP TS25.211で定義されたTPCビットのためのF-DPCHスロットフォーマット(0?9)のいずれであるかを示すものであることが見てとれる。

したがって,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「ノードBが,CRNCにより送信された共通E-DCHシステム情報IEを含むメッセージを受信し,
前記メッセージには,共通E-DCHシステム情報IEとしてF-DPCHのタイムスロットフォーマットを示すF-DPCH情報IEが含まれ,又は,前記メッセージには,共通E-DCHシステム情報IEとしてF-DPCHのタイムスロットフォーマットを示すF-DPCH情報IEが含まれず,
ノードBは,メッセージで与えられたパラメータに従って物理共有チャネルを新たに構成する,方法。」


同じく当審拒絶理由に引用された 3GPP TS25.211 V7.8.0(2009-09)(3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;Physical channels and mapping of transport channels onto physical channels (FDD)([当審仮訳]:第3世代パートナーシッププロジェクト;技術仕様グループ無線アクセスネットワーク;物理チャネル及び物理チャネルへのトランスポートチャネルのマッピング(FDD)),2009年9月(以下,「周知例1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(3)「5.2 Uplink physical channels
5.2.1 Dedicated uplink physical channels
There are five types of uplink dedicated physical channels, the uplink Dedicated Physical Data Channel (uplink DPDCH), the uplink Dedicated Physical Control Channel (uplink DPCCH), the uplink E-DCH Dedicated Physical Data Channel (uplink E-DPDCH), the uplink E-DCH Dedicated Physical Control Channel (uplink E-DPCCH) and the uplink Dedicated Control Channel associated with HS-DSCH transmission (uplink HS-DPCCH).
(中略)
5.2.1.3 E-DPCCH and E-DPDCH
The E-DPDCH is used to carry the E-DCH transport channel. There may be zero, one, or several E-DPDCH on each radio link.
The E-DPCCH is a physical channel used to transmit control information associated with the E-DCH. There is at most one E-DPCCH on each radio link.
(中略)
5.3.2.6 Fractional Dedicated Physical Channel (F-DPCH)
The F-DPCH carries control information generated at layer 1 (TPC commands). It is a special case of downlink DPCCH.
Figure 12B shows the frame structure of the F-DPCH. Each frame of length 10ms is split into 15 slots, each of length Tslot = 2560 chips, corresponding to one power-control period.


The exact number of bits of the OFF periods and of the F-DPCH fields (NTPC) is described in table 16C. Each slot format corresponds to a different set of OFF periods within the F-DPCH slot.


In compressed frames, F-DPCH is not transmitted in downlink transmission gaps given by transmission gap pattern sequences signalled by higher layers.
The relationship between the TPC symbol and the transmitter power control command is according to table 13.」(13,28?29ページ)
([当審仮訳]:
5.2 アップリンク物理チャネル
5.2.1 個別アップリンク物理チャネル
5つのタイプのアップリンク個別物理チャネルがあり,アップリンク個別物理データチャネル(アップリンクDPDCH),アップリンク個別物理制御チャネル(アップリンクDPCCH),アップリンクE-DCH個別物理データチャネル(アップリンクE-DPDCH),アップリンクE-DCH個別物理制御チャネル(アップリンクE-DPCCH)及びHS-DSCH送信に係るアップリンク個別制御チャネル(アップリンクHS-DPCCH)である。
(中略)
5.2.1.3 E-DPCCH及びE-DPDCH
E-DPDCHは,E-DCHトランスポートチャネルを搬送するのに使用される。各無線リンクには,0,1つ又はいくつかのE-DPDCHがある。
E-DPCCHは,E-DCHに係る制御情報を送信するのに使用される物理チャネルである。各無線リンクにはせいぜい1つのE-DPCCHがある。
(中略)
5.3.2.6 フラクショナル個別物理チャネル(F-DPCH)
F-DPCHは,レイヤ1で生成された制御情報(TPCコマンド)を搬送する。それはダウンリンクDPCCHの特別なケースである。
図12Bは,F-DPCHのフレーム構造を示す。長さ10msの各フレームは,各々1電力制御期間に相当する長さT_(Slot)=2560チップの15個のスロットに分割される。
(図12Bは省略。)
オフ期間及びF-DPCHフィールド(NTPC)の正確なビット数は表16Cに記述される。各スロットフォーマットは,F-DPCHスロット内の異なるオフ期間のセットに対応する。
(表16Cは省略。)
圧縮されたフレームにおいては,F-DPCHは,高位レイヤによりシグナリングされた送信ギャップパターンシーケンスにより与えられるダウンリンク送信ギャップでは送信されない。
TPCシンボルと送信機電力制御コマンドとの間の関係は,表13に従う。)


同じく当審拒絶理由に引用された InterDigital,Clarification of F-DPCH slot format for E-DCH in CELL_FACH([当審仮訳]:CELL_FACHにおけるE-DCHのためのF-DPCHスロットフォーマットの明瞭化),3GPP TSG-RAN WG2 Meeting#65 R2-091402,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg2_rl2/TSGR2_65/Docs/R2-091402zip,2009年2月3日(以下,「周知例2」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(4)「CHANGE REQUEST
25.331 CRxxxx rev Current version:8.5.0
(中略)
Reason for change:The F-DPCH slot format to use for E-DCH in CELL_FACH state and Idle mode is unspecified.
Summary of change:It is specified that F-DPCH slot format 0 (corresponding to the Release 6 slot format) should be used.
(中略)
8.5.45 Enhanced Uplink in CELL_FACH state and Idle mode (FDD only)
For this version of the specification, when a UE selects a cell, the uplink frequency to be used for the PRACH preamble (physical signal) and DPCCH/E-DPCCH/E-DPDCH transmission shall have a default duplex frequency spacing offset from the downlink frequency that the cell was selected on. The default duplex frequency separation to be used by the UE is specified in [21] for each frequency band.
(中略)
If variable READY_FOR_COMMON_EDCH is set to TRUE, then after selection of a common E-DCH resource configuration, the RRC in the UE shall configure MAC and the physical layer for E-DCH and HSDPA transmission, and the UE shall:
(中略)
1> configure F-DPCH in accordance with the F-DPCH slot format #0 [26]; 」(1,2葉)
([当審仮訳]:
変更要求
25.311 CRxxxx rev 現在のバージョン8.5.0
(中略)
変更の理由:CELL_FACH状態及びアイドルモードにおけるE-DCHのために使用されるF-DPCHスロットフォーマットは特定されていない。
変更の要約:F-DPCHスロットフォーマット0(リリース6のスロットフォーマットに相当する)が特定される。
(中略)
8.5.45 CELL_FACH状態及びアイドルモードにおける拡張アップリンク(FDDのみ)
このバージョンの仕様では,UEがセルを選択するとき,PRACHプリアンブル(物理信号)及びDPCCH/E-DPCCH/E-DPDCH送信のために使用されるアップリンク周波数は,セルが選択したダウンリンク周波数からのデフォルトの複信周波数間隔オフセットを有するべきである。
(中略)
変数READY_FOR_COMMON_EDCHがTRUEに設定されると,共通E-DCHリソース構成が選択された後,UEのRRCは,E-DCH及びHSDPA送信のためのMAC層及び物理層を構成し,UEは,:
(中略)
1> F-DPCHスロットフォーマット#0[26]に従ってF-DPCHを構成する。([当審注]:本提案は3GPP TS25.331についての変更の提案であるところ,3GPP TS25.331の巻頭の参考文献一覧によれば,「[26]」は「3GPP TS25.211」を意味する。))


同じく当審拒絶理由に引用された Nokia Corporation, Nokia Siemens Networks,Clarification to the use of "F-DPCH slot format "IE([当審仮訳]:「F-DPCHスロットフォーマット」IEの使用の明瞭化),3GPP TSG-RAN WG2 Meeting#63bis R2-086883,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg2_rl2/TSGR2_64/Docs/R2-086883zip,2008年11月16日(以下,「周知例3」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(5)「CHANGE REQUEST
25.331 CR 3478 rev Current version:8.4.0
(中略)
Reason for change:The current specification is ambiguous as to which slot format should be applied for F-DPCH after a reconfiguration, when the IE is not present. The convention in the specification is that UE should continue with the previously configured value if the IE is not present, however in order that the behaviour of a UE supporting enhanced F-DPCH is consistent for initial setup and reconfiguration it should be clarified that “not present” always means to apply the rel-6 F-DPCH slot format ( slot format # 0 ) the same as a UE not supporting enhanced F-DPCH would need to do.
Summary of change::UE behaviour is clarified in order that when the IE is not present, UE applies slot format #0 ( same slot format which would be applied by a UE not supporting enhanced F-DPCH )
(中略)
10.3.6.23ob Downlink F-DPCH info for each RL
NOTE:For FDD only.

(中略)

」(1,2葉)
([当審仮訳]:
変更要求
25.311 CR3478 rev 現在のバージョン8.4.0
(中略)
変更の理由:現在の仕様では,IE(情報エレメント)が存在しない場合,再構成後のF-DPCHにどのスロットフォーマットを適用すべきかが曖昧であった。仕様における慣例では,IEが存在しない場合はUEは以前に構成した値を継続すべきであるが,拡張F-DPCHをサポートするUEの挙動が初期設定及び再構成で一貫しているためには,拡張F-DPCHをサポートしないUEがそうする必要があるのと同様に,「存在しない」は常にRel-6のF-DPCHスロットフォーマット(スロットフォーマット#0)が適用されることを意味することが明確化されるべきである。
変更の要約:IEが存在しない場合にUEがスロットフォーマット#0(拡張F-DPCHをサポートしていないUEにより適用されるスロットフォーマットと同じ)を適用するとのUEの動作が明確にされた。
(中略)
10.3.6.23ob 各RL(無線リンク)のためのダウンリンクF-DPCH情報
注:FDDのみ
(表は省略。) )


同じく当審拒絶理由に引用された 3GPP TS25.331 V8.6.0(2009-03)([当審注]:当審拒絶理由では「(2008-12)」とされていたが,「2009年3月」と記載しているように,これは「(2009-03)」の誤記である。)(3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;Radio Resource Control (RRC);Protocol Specification([当審仮訳]:第3世代パートナーシッププロジェクト;技術仕様グループ無線アクセスネットワーク;無線リソース制御(RRC)プロトコル仕様),2009年3月(以下,「周知例4」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(6)「3 Definitions and abbreviations
3.1 Definitions
(中略)
Common E-DCH resource: In FDD, common E-DCH resources are under direct control of the Node B and are shared by UEs in CELL_FACH state and IDLE mode.
(中略)
8.5.45 Enhanced Uplink in CELL_FACH state and Idle mode (FDD only)
For this version of the specification, when a UE selects a cell, the uplink frequency to be used for the PRACH preamble (physical signal) and DPCCH/E-DPCCH/E-DPDCH transmission shall have a default duplex frequency spacing offset from the downlink frequency that the cell was selected on. The default duplex frequency separation to be used by the UE is specified in [21] for each frequency band.
(中略)
If variable READY_FOR_COMMON_EDCH is set to TRUE, then after selection of a common E-DCH resource configuration, the RRC in the UE shall configure MAC and the physical layer for E-DCH and HSDPA transmission, and the UE shall:
(中略)
1> configure F-DPCH in accordance with the F-DPCH slot format #0 [26];
(中略)
10.3.6.23ob Downlink F-DPCH info for each RL
NOTE:For FDD only.

(中略)

」(39,340?341,752?753ページ)
([当審仮訳]:
3 定義及び略語
3.1 定義
(中略)
共通E-DCHリソース:FDDでは,共通E-DCHリソースはノードBの制御下にあり,CELL_FACH状態及びアイドルモードのUEにより共有される。
(中略)
8.5.45 CELL_FACH状態及びアイドルモードにおける拡張アップリンク(FDDのみ)
このバージョンの仕様では,UEがセルを選択するとき,PRACHプリアンブル(物理信号)及びDPCCH/E-DPCCH/E-DPDH送信のために使用されるアップリンク周波数は,セルが選択したダウンリンク周波数からのデフォルトの複信周波数間隔オフセットを有するべきである。
(中略)
変数READY_FOR_COMMON_EDCHがTRUEに設定されると,共通E-DCHリソース構成が選択された後,UEのRRCは,E-DCH及びHSDPA送信のためのMAC層及び物理層を構成し,UEは,:
(中略)
1> F-DPCHスロットフォーマット#0[26]に従ってF-DPCHを構成する。;([当審注]:巻頭の参考文献一覧によれば,「[26]」は「3GPP TS25.211」を意味する。)
(中略)
10.3.6.23ob 各RL(無線リンク)のためのダウンリンクF-DPCH情報
注:FDDのみ
(表は省略。) )

技術仕様に記載された技術事項は当業者に周知であるところ,周知例1は3GPPの技術仕様であり,上記(3)の「5.2」?「5.2.1.3」の記載によれば,「アップリンクトランスポートチャネルとしてE-DCHを使用すること。」は,周知の技術事項(以下,「周知技術1」という。)である。
また,上記(3)の「5.3.2.6」,(4),(6)の「8.5.45」の記載によれば,「F-DPCHスロットフォーマットには3GPP TS25.211にて標準化されているF-DPCHスロットフォーマット#0?#9が存在するところ,2009年2月に,UEはCELL_FACH状態及びアイドルモードではF-DPCHスロットフォーマット#0に従ってF-DPCHを構成するようにすることが提案され,技術仕様(3GPP TS25.331)にて標準化された。」(以下,「周知事項2」という。)ことが見てとれる。
また,上記(5),(6)の「10.3.6.23ob」の記載によれば,「F-DPCH情報の情報エレメントが存在しない場合は,UEはスロットフォーマット#0を適用することが提案され,技術仕様(3GPP TS25.331)にて標準化された。」(以下,「周知事項3」という。)ことが見てとれる。
また,技術仕様に記載された技術事項は当業者に周知であるところ,周知例4は3GPPの技術仕様であり,上記(6)の「3.1」の記載によれば,「FDDでは,共通E-DCHリソースはノードBの制御下にあり,CELL_FACH状態及びアイドルモードのUEにより共有される。」ことは周知の技術事項(以下,「周知事項4」という。)である。


本願の国際出願日前に公開された国際公開第2009/058764号(以下,「周知例5」という。)には,以下の事項が記載されている。

(7)「[0006] Figure 1 shows radio resource control (RRC) service states of a 3GPP WTRU with an enhanced uplink (UL). The WTRU may operate in several states depending on the user activity. The following states have been defined: IDLE, cell dedicated channel (CELL_DCH), cell forward access channel (CELL-FACH), universal mobile telecommunications system (UMTS) terrestrial radio access network (UTRAN) registration area paging channel (URA_PCH), and cell paging channel (CELL_PCH). RRC state transitions are controlled by the network using radio network controller (RNC) parameters, in general the WTRU does not decide to perform state changes by itself.」(1ページ)
([当審仮訳]:
[0006] 図1は,拡張アップリンク(UL)を有する3GPP WTRUの無線リソース制御(RRC)サービス状態を示す。WTRUは,ユーザ活動に応じて,いくつかの状態で動作することができる。以下の状態,すなわちアイドル,セル専用チャネル(CELL_DCH),セル転送アクセスチャネル(CELL_FACH),UMTS(universal mobile telecommunications system)地上波無線アクセスネットワーク(UTRAN)登録エリアページングチャネル(URA_PCH),およびセルページングチャネル(CELL_PCH)が規定されている。RRC状態遷移は,無線ネットワークコントローラ(RNC)パラメータを使用してネットワークによって制御されており,WTRUは,それ自体によって状態変更を実施しようとすることはない。)


本願の国際出願日前に公開された国際公開第2009/088868号(以下,「周知例6」という。)には,以下の事項が記載されている。

(8)「[0005] Figure 1 shows radio resource control (RRC) service states 100 of a Third Generation Partnership Project (3GPP) wireless transmit/receive unit (WTRU) with an enhanced uplink (UL) in a Universal Mobile Telecommunications System (UMTS). The WTRU may operate in several states depending on user activity. The following states have been defined for UMTS Terrestrial Radio Access (UTRA) radio resource control (RRC) connected mode: IDLE 110, CELL_DCH 120, CELL_FACH 130, URA_PCH 140, and CELL_PCH 150. Other states that the WTRU may transition to include a general packet radio service (GPRS) packet transfer mode 160, or a global system for mobile communications (GSM) connected mode 170. RRC state transitions are controlled by the network using radio network controller (RNC) parameters. In general the WTRU does not decide to perform state transitions by itself.
[0006] Based on WTRU mobility and activity while in UTRA RRC connected mode (i.e., in the CELL_DCH, CELL_FACH, URA_PCH or CELL_PCH state), the UMTS Terrestrial Radio Access Network (UTRAN) may direct the WTRU to transition between the states CELL_PCH, URA_PCH, CELL_FACH, and CELL_DCH.」(1ページ)
([当審仮訳]:
[0005] 図1に,UMTS(Universal mobile Telecommunications System)内のエンハンスト・アップリンク(UL:enhanced uplink)と共に3GPP(Third Generation Partnership Project)WTRU(wireless transmit/receive unit)のRRC(radio resource control)サービス状態100を示す。WTRUは,ユーザアクティビティに応じて複数の状態で動作することができる。次の状態が,UTRA(UMTS Terrestrial Radio Access) RRC(radio resource control)接続モードについて定義されている:IDLE 110,CELL_DCH 120,CELL_FACH 130,URA_PCH 140およびCELL_PCH 150。WTRUが遷移できる他の状態は,GPRS(general packet radio service)パケット転送モード160またはGSM(global system for mobile communications)接続モード170を含む。RRC状態遷移は,RNC(radio network controller)パラメータを使用して,ネットワークによって制御される。一般に,WTRUは,単独で状態遷移を実行することを判断しない。
[0006] UTRA RRC接続モード(すなわち,CELL_DCH状態,CELL_FACH状態,URA_PCH状態,またはCELL_PCH状態)にある間のWTRUモビリティおよびアクティビティに基づいて,UTRAN(UMTS Terrestrial Radio Access Network)は,WTRUに,CELL_PCH状態,URA_PCH状態,CELL_FACH状態,およびCELL_DCH状態の間で遷移するように指示することができる。)


本願の国際出願日前に公開された国際公開第2009/062303号(以下,「周知例7」という。)には,以下の事項が記載されている。

(9)「[0035] From CELL-FACH state 124, if data inactivity is detected for predetermined time in some networks, the UTRAN can move the RRC state from CELL-FACH state 124 to a paging channel (PCH) state This can be either the CELL-PCH state 126 or URA-PCH state 128. 」(10ページ)
([当審仮訳]:
[0035] CELL_FACH状態124から,データ非活動がいくつかのネットワーク内で所定の時間にわたって検出された場合,UTRANは,RRC状態をCELL_FACH状態124からページングチャネル(PCH)状態にすることができる。これは,CELL_PCH状態126からURA_PCH状態128のいずれか一方となり得る。)

上記(7)?(9)の記載からも明らかなように,「ネットワークは,UEのアクティビティを検出して,当該アクティビティに基づいて,UTRA RRC接続モード(CELL_DCH状態,CELL_FACH状態,URA_PCH状態,またはCELL_PCH状態)の状態遷移をUEに指示する。」ことは,技術常識ともいえる周知事項である(以下,「周知事項5」という。)。


3 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると,
本願発明の「基地局」,「無線ネットワークコントローラ(RNC:Radio Network Controller)」,「フラクショナル個別物理チャネル(F-DPCH:Fractional Dedicated Physical Control Channel)のタイムスロットフォーマットの構成情報」と,引用発明の「ノードB」,「CRNC」,「F-DPCHのタイムスロットフォーマットを示すF-DPCH情報IE」とは,表現が異なるだけであって,差異は無い。
また,引用発明の「F-DPCHのタイムスロットフォーマットを示すF-DPCH情報IE」は「共通E-DCHシステム情報IE」に含まれるから,引用発明の「前記メッセージには,共通E-DCHシステム情報IEとしてF-DPCHのタイムスロットフォーマットを示すF-DPCH情報IEが含まれ,又は,前記メッセージには,共通E-DCHシステム情報IEとしてF-DPCHのタイムスロットフォーマットを示すF-DPCH情報IEが含まれず」は,明らかに本願発明の「前記共通E-DCHの構成情報には,フラクショナル個別物理チャネル(F-DPCH:Fractional Dedicated Physical Control Channel)のタイムスロットフォーマットの構成情報が含まれ,又は,前記共通E-DCHの構成情報には,F-DPCHのタイムスロットフォーマットの構成情報が含まれず」に相当する。
また,引用発明の「共通E-DCHシステム情報IE」の送信を,CRNCにより「シグナルを介して送信された」と称することは任意である。
更に,本願発明と引用発明とは,下記の相違点は別として,「前記基地局が,F-DPCHの所定番目のタイムスロットフォーマットを,F-DPCHを介して情報を送信するためのフォーマットとして使用する」点で共通している。

したがって,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,相違している。
(一致点)
「基地局が,無線ネットワークコントローラ(RNC:Radio Network Controller)によりシグナルを介して送信された共通拡張個別チャネル(E-DCH:Enhanced Dedicated Channel)の構成情報を受信し,
前記共通E-DCHの構成情報には,フラクショナル個別物理チャネル(F-DPCH:Fractional Dedicated Physical Control Channel)のタイムスロットフォーマットの構成情報が含まれ,又は,前記共通E-DCHの構成情報には,F-DPCHのタイムスロットフォーマットの構成情報が含まれず,
前記基地局が,F-DPCHの所定番目のタイムスロットフォーマットを,F-DPCHを介して情報を送信するためのフォーマットとして使用する
フラクショナル個別物理チャネルのタイムスロットフォーマット確定方法。」

(相違点)
一致点の「前記基地局が,F-DPCHの所定番目のタイムスロットフォーマットを,F-DPCHを介して情報を送信するためのフォーマットとして使用する」に関し,本願発明は「前記基地局が,セルフォワードアクセスチャネル(CELL_FACH:CELL Forward Access Channel)状態又はアイドル(Idle)モードにあるユーザ装置(UE:User Equipment)が,E-DCHを使用していることを検出する場合,前記基地局が,F-DPCHの0番目のタイムスロットフォーマットを,F-DPCHを介して情報を送信するためのフォーマットとして使用する」のに対し,引用発明は当該構成を有していない点。

上記相違点について検討する。
周知技術2のとおり,「F-DPCHスロットフォーマットには3GPP TS25.211にて標準化されているF-DPCHスロットフォーマット#0?#9が存在するところ,2009年2月に,UEはCELL_FACH状態及びアイドルモードではF-DPCHスロットフォーマット#0に従ってF-DPCHを構成するようにすることが提案され,技術仕様(3GPP TS25.331)にて標準化された。」ことは,周知の技術事項である。
ここで,CRNCとノードBとの間のインタフェースはIubインタフェースであり,ノードBとUEとの間のインタフェースはUuインタフェースであるところ,これらのインタフェースがそれぞれの間における送受信を適切に行うように設計されるのは当然のことであり,また,周知技術4のとおり,「FDDでは,共通E-DCHリソースはノードBの制御下にあり,CELL_FACH状態及びアイドルモードのUEにより共有される。」ことが周知の技術事項であることに鑑みれば,上記「UEはCELL_FACH状態及びアイドルモードではF-DPCHスロットフォーマット#0に従ってF-DPCHを構成するようにする」との事項には,基地局もUuインタフェース(ノードB-UE間の通信)においてCELL_FACH状態及びアイドルモードのUEにはF-DPCHスロットフォーマット#0に従ってF-DPCHを構成することが暗黙的に示唆されていると解するのが自然である。
そして,周知技術1のとおり,「アップリンクトランスポートチャネルとしてE-DCHを使用すること。」は周知の技術事項であるところ,周知技術5のとおり,「ネットワークは,UEのアクティビティを検出して,当該アクティビティに基づいて,UTRA RRC接続モード(CELL_DCH状態,CELL_FACH状態,URA_PCH状態,またはCELL_PCH状態)の状態遷移をUEに指示する。」ことが技術常識であるから,基地局(ノードB)を含むネットワークが,UEのアクティビティである「E-DCHを使用していること」を検出してUEがどの状態にあるか把握することは普通に行われていることである。
してみると,引用発明において,ノードBが,「CELL_FACH状態又はアイドルモードにあるユーザ装置が,E-DCHを使用していることを検出する場合」,ノードBが,Uuインターフェース(ノードB-UE間の通信)において,当該CELL_FACH状態又はアイドルモードにあるユーザ装置に対して,「F-DPCHの0番目のタイムスロットフォーマットを,F-DPCHを介して情報を送信するためのフォーマットとして使用する」ことは,当業者が容易になし得ることである。

なお,引用例の記載(上記2(2)参照。)によれば,CELL_FACH状態及びアイドルモードのUEのために構成されたE-DCH用の情報を提供する共通E-DCHシステム情報IE中のF-DPCHスロットフォーマットIEはF-DPCHスロットフォーマット(0?9)のいずれかが示されることが見てとれるが,引用例はUuインターフェースではなくIubインタフェースに関するものであり,また,レガシー装置も存在することは容易に予測されるところ,周知事項3のとおり,「F-DPCH情報の情報エレメントが存在しない場合は,UEはスロットフォーマット#0を適用することが提案され,技術仕様(3GPP TS25.331)にて標準化された。」ことが周知の技術事項であることにも鑑みれば,引用例の当該記載は,ノードBがCELL_FACH状態及びアイドルモードのUEに対してUuインターフェース(ノードB-UE間の通信)においてF-DPCHスロットフォーマット#0を使用することをなんら阻害するものではない。


4 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-01-30 
結審通知日 2017-01-31 
審決日 2017-02-14 
出願番号 特願2012-538163(P2012-538163)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野元 久道  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 菅原 道晴
山中 実
発明の名称 フラクショナル個別物理チャネルのタイムスロットフォーマット確定方法及び装置  
代理人 吉田 望  
代理人 金山 慎太郎  
代理人 金子 彩子  
代理人 大森 純一  
代理人 折居 章  
代理人 中村 哲平  

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