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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A24D
管理番号 1329829
審判番号 不服2015-22893  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-28 
確定日 2017-06-28 
事件の表示 特願2013-547864号「喫煙品」拒絶査定不服審判事件〔平成24年7月12日国際公開、WO2012/093166、平成26年1月23日国内公表、特表2014-501532号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概略
本願は、2012年1月6日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理:2011年1月7日、英国、同年8月24日、英国)を国際出願日とする出願であって、本願に関する手続の経緯は、概ね以下のとおりである。
平成25年 7月22日 国際出願翻訳文提出書及び条約34条補正翻
訳文提出書
平成26年 4月30日 拒絶理由通知書
平成26年 8月 4日 意見書
平成26年12月26日 拒絶理由通知書
平成27年 2月23日 意見書
平成27年 8月26日 拒絶査定
平成27年12月28日 拒絶査定不服審判請求書
平成28年 2月12日 手続補正書(方式)
平成28年10月 3日 拒絶理由通知書
平成28年12月28日 意見書及び手続補正書

第2 本願発明について
本願の請求項1?12に係る発明は、平成28年12月28日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定されるとおりのものであるが、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
喫煙材ロッドと、
この喫煙材に巻かれた再生タバコ材を含む通気度が17から38CUの間にある内方ラッパーと、
喫煙材および内方ラッパーの周囲に巻かれた通気度が25から100CUの間にある外方ラッパーとを含む低延焼性喫煙品。」

第3 拒絶理由の概要
当審において、平成28年10月3日に通知した拒絶理由(理由2)の概要は、本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
(引用例)
引用例1 国際公開第02/054891号
引用例2 特表2008-507975号公報
引用例3 特表2007-527223号公報
引用例4 特開平4-228059号公報
引用例5 特表2008-500827号公報

第4 引用例に記載された事項
1 引用例1
(1) 引用例1には、以下の事項が記載されている。
・「本発明は、着火されたシガレットが喫煙者の不注意等により火災を起こしにくいように、その燃焼部から周囲に延焼しにくい低延焼性のシガレットに関する。」(1頁4?6行)
・「また、時間当たりの副流煙量を減少させることを目的としてシガレットの燃焼速度を低下させると、自己消火しやすいシガレットが提供できることも従来からよく知られている。かかるシガレットとして、填料の配合量の少ない巻紙を内側巻紙とし、通常の巻紙を外側巻紙としてこれらにより刻みタバコを巻装したシガレットが提案されている・・・。
・・・また燃焼速度を下げて自己消火性(低延焼性)を図るという方法は、巻紙の通気度を低下させることにより達成しようとしていたため、巻紙からのベンチレーション効果が低下し、そのため喫味変化をもたらし、通常の喫煙者にとっては違和感を感じてしまうという問題がある。また巻紙の通気度低下によるベンチレーション低下の影響を防ぐためシガレットにフィルターを装着して、フィルターチップペーパーに開孔することによりベンチレーションを補う方法も知られているが、フィルターチップペーパーの開孔は製造コストがかかってしまう。」(1頁19行?2頁13行)
・「本発明のシガレットは、柱状タバコ充填材を2つの巻紙(内側巻紙および外側巻紙)により巻装したタバコ部を有する。すなわち、本発明のシガレットにおいて、タバコ充填材は、それぞれ特定の熱伝導度を有する内側巻紙と外側巻紙からなる巻装材により巻装されている。」(3頁25行?4頁4行)
・「本発明に用いる内側巻紙は高い熱伝導度が高い(0.5W・K^(-1)・m^(-1)以上)により特徴付けられている。具体的には、内側巻紙は、亜麻パルプや木材パルプ等のパルプから構成されるベースとなる巻紙に填料・・・を添加しないか極微量・・・添加するだけで構成されるものである。・・・本発明において、内側巻紙は、通常、0.6W・K^(-1)・m^(-1)までの熱伝導度を有し得る。内側巻紙は、0.52?0.56W・K^(-1)・m^(-1)の範囲内の熱伝導度を有することが好ましい。・・・本発明において、内側巻紙の通気度には、格別の制限はないが、外巻紙との組合せによっては通気度が高いことが望ましい。内側巻紙の通気度は、5?30コレスタ単位であることが好ましく、10?30コレスタ単位であることがより好ましい。内側巻紙の通気度が高いと、巻紙からシガレット内に導入される空気の量がより増加し、主流煙がより希釈され、一酸化炭素の量がそれだけ減少する。また、内側巻紙の通気度が高いと、巻紙からシガレット内に導入される空気の量が増加するので、チップペーパーに穿設されるベンチレーション孔の数を減少させることができる。」(4頁8行?5頁4行)
・「外側巻紙は、その熱伝導度が0.5W・K^(-1)・m^(-1)未満である。外側巻紙は、亜麻パルプや木材パルプ等のパルプをべ一スとするものであり、・・・燃焼調節剤を1%?5重量%含有することが好ましい。本発明において、外側巻紙は、通常、0.25W・K^(-1)・m^(-1)以上の熱伝導度を有し得る。本外側巻紙は、0.29?0.45W・K^(-1)・m^(-1)の範囲内の熱伝導度を有することが好ましく、0.29?0.35W・K^(-1)・m^(-1)の範囲内の熱伝導度を有することがより好ましい。一般的に、外側巻紙の・・・通気度は10コレスタ単位から100コレスタ単位程度であることが好ましい。」(5頁5?16行)
・「また、内側巻紙の通気度を格別に制限する必要がない点も本発明の特徴といえる。つまり、内側巻紙と外側巻紙との総通気度の減少を、内巻紙通気度を5コレスタから30コレスタ程度・・・まで上げることにより、従来の二重巻紙シガレットにおける巻紙からのベンチレーション作用が低いという問題を解決することができる。」(6頁1?7行)
・「本発明によれば、軸方向における燃焼速度が同じである低延焼性のシガレットが提供される。本発明のシガレットは、軸方向における燃焼速度が同じであるので、喫煙中の喫味変化は生じない。」(9頁下から4?1行)
・「1.柱状のタバコ充填材と、該柱状タバコ充填材の外周を巻装する内側巻紙と、前記内側巻紙の外周を巻装する外側巻紙から構成されるタバコ部を有し、前記内側巻紙の熱伝導度が0.5W・K^(-1)・m^(-1)以上であり、前記外側巻紙の熱伝導度が0.5W・K^(-1)・m^(-1)未満である低延焼性シガレット。
・・・
5.内側巻紙が、5?30コレスタ単位の通気度を有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシガレット。」(10頁2?15行)

(2) 引用例1の上記記載からすると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
(引用発明)
「柱状のタバコ充填材と、
該柱状のタバコ充填材の外周を巻装する10?30コレスタ単位の通気度を有する内側巻紙と、
前記内側巻紙の外周を巻装する10?100コレスタ単位の通気度を有する外側巻紙から構成されるタバコ部を有し、
前記内側巻紙の熱伝導度が0.5W・K^(-1)・m^(-1)以上であり、前記外側巻紙の熱伝導度が0.5W・K^(-1)・m^(-1)未満である低延焼性シガレット。」

2 引用例2
引用例2には、以下の事項が記載されている。
・「【0001】
本発明は、再生タバコシートの製造方法に関し、具体的には再生タバコシート内のゲルマトリックスに含まれた香味化合物を含む再生タバコシートの製造方法に関し、より具体的にはアルギナート系化合物を含む再生タバコシートの製造方法に関する。」
・「【0003】
現在、燃えたタバコが可燃性または引火性の物と接触することに起因する火災がかなりの数に登っていることから、喫煙品の着火性を減少させることに多くの関心が寄せられている。従って、低着火性の喫煙品を供するために業界ではかなりの努力がなされてきている。その多くは、喫煙品のラッパーを変性することによって行われている。特に喫煙品用のラッパーにコーティングを施したり、添加剤を加えたりしてラッパーの透気度を減少させたり、化学的特性を変えたりしている。」
・「【0012】
燃焼速度が変性された紙巻きタバコを図1に示し、これは以下、部分二重ラップ紙巻きタバコ10として説明される場合がある。図から判るように、この本発明の二重ラップ紙巻きタバコ10は、露出端部からフィルター15に延びた標準的なタバコカラム13を含む。タバコカラム13を包んでいるのは、シガレットペーパー12からなる外方ラッパーである。シガレットペーパー12の内面には別個の部分的にカラムを囲む内方ラッパー層またはストリップ14aおよび14bが配されている。この別個の部分的に囲む内方ラッパー層14aおよび14bは、紙巻きタバコ10の燃焼特性を変えることによってタバコカラム13の燃焼速度変性材として作用する。・・・
【0013】
また図1から明らかなように、変性された燃焼速度特性を有する本発明の部分二重ラップ紙巻きタバコ10は、第1および第2の部分的に囲む内方ラッパーストリップ14aおよび14bを有する外方シガレットペーパーラッパー12を含む。外方シガレットペーパー12は、典型的には15乃至80CORESTA単位の透気度を示す通常の透気度の紙であってもよい。・・・」
・「【0017】
またここに示す燃焼速度変性された紙巻きタバコを供するために多くの異なる構造を利用してもよい。単独の内方ラッパー層または複数の内方ラッパー層を所望の特性および燃焼速度に応じて供してもよい。従って上述したように、望ましい種々の線燃焼速度を供するために低透気度内方ラッパー領域および高透気度外方ラッパー領域を組み合わせて利用してもよい。従って、6.0mm/分の典型的な線燃焼速度を他の要素の中で外方ラッパーと部分的に囲む内方ラッパーストリップの透気度の組み合わせによって所望の燃焼速度に減少させてもよく、必要であれば4mm/分未満に容易に減少させることが可能である。これは、低透気度の単独の内方ラッパーストリップの処方例または内方ラッパーストリップを種々の構造の材料、例えば再生タバコ、低透気度紙、ポリマー系材料、その他の紙または材料に代えることも含む。内方ラッパーストリップは、アルギナート(例えばアルギン酸ナトリウム)、グアール、キサンタン、アカシア、ペクチン、その他のガム、変性セルロース化合物または親水コロイド系化合物などのバインダーがコートされ、これらは燃焼変性剤または抑制剤として機能し、タバコカラムに沿って少なくとも1つの低拡散領域を形成する。これらのバインダーは、内方ラッパーストリップとして使用される再生タバコシートの透気度を減少させ、外方ラッパー透気度、タバコ充填密度、内方ラッパーストリップ燃焼特性、内方ラッパー透気度およびその他の要素全体の組み合わせによって紙巻きタバコが所望の燃焼速度を供するように適当な特性を供する。」
・「【0020】
図6に本発明の燃焼速度が変性された紙巻きタバコの別の態様を示す。図から判るように高拡散領域21と低拡散領域22は、外方ラッパー12の内部でタバコカラム13の一部を囲む部分二重内方ラッパー18によって形成されている。図6に示すようにこの二重内方ラッパー18は、タバコカラム13の周囲のほぼ半分に亘って延びている。しかしながら、好適な線燃焼速度を達成するために多くの異なる構造を利用することが可能である。またこの二重内方ラッパー18は、7CORESTA単位未満の低透気度を有する標準的なシガレットペーパーまたは燃焼速度変性剤がコートされたシガレットペーパーで構成してもよく、あるいは通常5未満、好ましくは3未満の低CORESTA単位値を有する、添加剤が加えられたまたは加えられていない再生タバコシートなどで構成してもよい。」

3 引用例3
引用例3には、以下の事項が記載されている。
・「【請求項49】
喫煙可能な充填物のカラムを含み、喫煙可能な充填物がタバコを含む第1構成要素、
喫煙可能な充填物のカラムを取り巻く包装材を含む第2構成要素、
選択された位置において包装材内に含まれる低透過性区域
を含み、低透過性区域は、燃えさしが燃焼してより低い透過性の区域中に進行する際に、喫煙物のくすぶる燃えさしに対する酸素を減少させることによって、着火傾向を減少させるのに十分なBMI範囲を包装材内に作り出し、包装材は、より低い透過性の区域内に約8cm^(-1)未満のBMIを有し、喫煙物は、喫煙物当たり約15mg未満の一酸化炭素送達量を有し、かつ約1.0未満の一酸化炭素対タール比を有することを特徴とする喫煙物。
・・・
【請求項57】
第1構成要素、第2構成要素または両方の構成要素内に含まれる一酸化炭素低減剤をさらに含み、一酸化炭素低減剤が、VIII族酸化物、VIII族炭酸塩またはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項49に記載の喫煙物。
【請求項58】
一酸化炭素低減剤は、包装材内にのみ含有され、一酸化炭素低減剤は、包装材中に約0.3重量%から約40重量%までの量で存在することを特徴とする請求項57に記載の喫煙物。
・・・
【請求項60】
包装材は、外側層および内側層を含み、一酸化炭素低減剤は、内側層内に含有されることを特徴とする請求項58に記載の喫煙物。
【請求項61】
内側層は、再生タバコを含むことを特徴とする請求項60に記載の喫煙物。」
・「【0048】
図3を参照して、本発明に従って作られる喫煙物110の別の実施形態を概略的に示す。喫煙物110は、喫煙可能な充填物のカラム112、包装材114およびフィルター116を含む。この実施形態においては、包装材114は、外側包装材118および内側包装材120を含む。・・・
・・・
【0050】
二重包装喫煙物は、当該技術分野において知られており、例えば、特許文献1に開示されている(参照により本明細書に組み込まれる、特許文献1参照)。例えば、1つの用途においては、内側包装材120は、一酸化炭素低減剤の担体として作用する高透過性紙ウェブであってもよい。内側包装材120は、例えば、少なくとも500コレスタ単位、例えば、少なくとも1000コレスタ単位の空気透過性を有してもよい。例えば、内側包装材120は、約1500コレスタ単位超の、または実に約3000コレスタ単位超の透過性を有してもよい。内側包装材の透過性を増加させるために、内側包装材は穿孔されていてもよい。」
・「【0052】
図4を参照して、喫煙物210の別の実施形態を概略的に示す。喫煙物210は、喫煙可能な充填物のカラム212、包装材214およびフィルター216を含む。しかしながら、この実施形態においては、喫煙物210は、さらに、喫煙可能な充填物212を取り巻く内側包装材230を含み、内側包装材230は、例えば、再生タバコのウェブで作られる。本発明によれば、一酸化炭素低減剤を、再生タバコのウェブに添加してもよい。図3の実施形態と同様に、一酸化炭素低減剤を再生タバコのウェブに添加することによって、外側包装材214における変色を防いでもよい。」

第5 対比及び判断
1 対比
(1) 本願発明と引用発明とを、その有する機能に照らして対比すると、引用発明の「柱状のタバコ充填材」は本願発明の「喫煙材ロッド」に相当し、以下同様に、「内側巻紙」は「内方ラッパー」に、「外側巻紙」は「外方ラッパー」に、「低延焼性シガレット」は「低延焼性喫煙品」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明の「内側巻紙」は「10?30コレスタ単位の通気度を有する」とともに、引用発明の「外側巻紙」は「10?100コレスタ単位の通気度を有する」から、引用発明の「内側巻紙」及び「外側巻紙」の通気度は、本願発明の「内方ラッパー」及び「外方ラッパー」の通気度と重複する範囲がある。

(2) そうすると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。
(一致点)
「喫煙材ロッドと、
この喫煙材に巻かれた通気度が17から30CUの間にある内方ラッパーと、
喫煙材および内方ラッパーの周囲に巻かれた通気度が25から100CUの間にある外方ラッパーとを含む低延焼性喫煙品。」
(相違点1)
本願発明は、「通気度が17から38CUの間にある内方ラッパー」と、「通気度が25から100CUの間にある外方ラッパー」とを含むのに対し、引用発明は、「10?30コレスタ単位の通気度を有する内側巻紙」と、「10?100コレスタ単位の通気度を有する外側巻紙」とを含み、本願発明の通気度と重複しない部分がある点
(相違点2)
本願発明の「内方ラッパー」は「再生タバコ材を含む」のに対し、引用発明の「内側巻紙」には、そのような特定がない点。

2 判断
(1) まず、前記相違点1について検討する。
ア 引用例1には、二重巻紙シガレットには総通気度の減少によるベンチレーション作用の低下の課題があり、内側巻紙の通気度をより高くすることにより、この課題を解決し、喫味変化も生じることなく、主流煙の希釈による一酸化炭素量の減少や、チップペーパーに穿設するベンチレーション孔の数の減少といった効果が期待できる旨記載されている(前記第4・1)。
このように、引用例1には総通気度を増加させることの示唆が認められるところ、「内側巻紙の通気度は、5?30コレスタ単位であることが好ましく、10?30コレスタ単位であることがより好ましい。」旨記載されていることからしても(4頁21?23行)、内側巻紙の通気度の下限を調整し、17コレスタ単位以上とすることに格別の困難性はない。
そして、内側巻紙の通気度の調整に合わせて、外側巻紙の通気度を25コレスタ単位以上とすることも、所望の総通気度に応じて、当業者が適宜になし得ることである。
よって、引用発明において、前記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できる事項である。

(2) 次に、前記相違点2について検討する。
ア 引用例2には、低延焼性に着目した喫煙品において、内方ラッパーとして再生タバコシートを利用する点が記載されている(前記第4・2)。
また、引用例3には、同様に内方ラッパーとして再生タバコウェブを利用する点が記載されている(前記第4・3)。なお、引用例3には、低延焼性に着目した喫煙物においても内層側に再生タバコを含ませることの示唆がある(【請求項49】?【請求項61】)。
そして、再生タバコ材自体、喫煙品の素材として広く知られ、周知の技術であるところ(引用例4(特に、【0009】、【0032】、【0034】、【0035】、【0083】参照。)、引用例5(特に、【0021】参照。)、特開平6-7142号公報(特に、【0022】、【0037】?【0042】参照。)、特表2001-509016号公報(特に、【特許請求の範囲】、11頁11?13行参照。)、引用発明において、内側巻紙として適宜の素材のものを利用できることは技術的に明らかである。
そうすると、引用発明において、再生タバコ材を含む内側巻紙を利用し、前記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できる事項である。
イ(ア) この点に関し、請求人は、
a 引用例2は、「通気度が17から30CUの間にある」再生タバコシートからなる内方ラッパーを開示しておらず、本願請求項1で規定している値よりかなり低い8CORESTA単位未満の通気度の内方ラッパーを開示し、標準的なシガレットペーパーの代わりに再生タバコシートを選択する場合、低CORESTA単位の通気度のものを使用すべきであると教示するから(【0020】)、引用例2によって、当業者は17から38CORESTA単位の範囲の通気度を選択しようとはしない、
b 引用例3は一酸化炭素送達量が低減された喫煙品に関するものであり、低延焼性紙巻きタバコに関するものではないから、当業者は引用例3を参照することはない、引用例3は、本願請求項1で規定した「内方ラッパーが17から38CUの間にある通気度を有する」及び「通気度が25から100CUの間にある外方ラッパー」という特徴は開示しておらず、むしろ、その記載からすると(【0050】)、引用例3には当業者が本願補正請求項1の範囲内に入る喫煙品に到達するような動機付けとなる記載はない、
などと主張している(平成28年12月28日付け意見書2?3頁)。
(イ) 引用例2には、「通常5未満、好ましくは3未満の低CORESTA単位値を有する、添加剤が加えられたまたは加えられていない再生タバコシートなどで構成してもよい。」(【0020】)旨記載されている。
しかしながら、再生タバコは内方ラッパーの材料の一例であり、バインダーのコートにより再生タバコシートの透気度を減少させているものであるから(【0017】)、再生タバコシート自体が5未満といった低いコレスタ単位の通気度のものに限定されるものではないことは、当業者であれば十分に理解できる。
また、引用例3には、既に述べたとおり、低延焼性に着目した喫煙物においても内層側に再生タバコを含ませることの示唆があるから、引用発明において内側巻紙の素材を選択するに当たり、十分に参考になる。
引用例3には、図3に係る実施形態に関し、「内側包装材120は、一酸化炭素低減剤の担体として作用する高透過性紙ウェブであってもよい。内側包装材120は、例えば、少なくとも500コレスタ単位、例えば、少なくとも1000コレスタ単位の空気透過性を有してもよい。例えば、内側包装材120は、約1500コレスタ単位超の、または実に約3000コレスタ単位超の透過性を有してもよい。」(【0050】)旨記載されているが、「内側包装材230」に「再生タバコのウェブ」を使用する図4に係る実施形態において当該「再生タバコのウェブ」が具体的にそのような高い空気透過性を有することが明記されているわけでなない。
たとえ、当該「再生タバコのウェブ」が同様に高い空気透過性を有するとしても、「内側包装材の透過性を増加させるために、内側包装材は穿孔されていてもよい。」(【0050】)のであるように、透過性は穿孔の程度により調整できるものであるから、再生タバコのウェブ自体が500以上といった高いコレスタ単位の通気度のものに限定されるものではないことも、当業者であれば十分に理解できるものである。
以上のとおりであるから、引用例2、3に記載された事項に基いて、引用発明において、当該通気度の再生タバコ材を含む内側巻紙を利用することの動機付けが十分に認められる。

(3) 本願発明が奏する効果についてみても、当業者が予測できる範囲内のものであって格別ではない。

(4) 以上を総合すると、本願発明は、引用発明、引用例2、3に記載された事項及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2、3に記載された事項及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
そして、本願発明(請求項1に係る発明)が特許を受けることができない以上、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-01-26 
結審通知日 2017-01-31 
審決日 2017-02-13 
出願番号 特願2013-547864(P2013-547864)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A24D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉山 豊博  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 窪田 治彦
大山 広人
発明の名称 喫煙品  
代理人 森田 順之  
代理人 轟木 哲  

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