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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1329844
審判番号 不服2016-12205  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-10 
確定日 2017-06-29 
事件の表示 特願2014-166177「ぱちんこ遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月31日出願公開、特開2016- 41178〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年8月18日に特許出願されたものであって、平成27年9月30日付けで手続補正書が提出され、平成28年1月12日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対し同年3月17日付けで手続補正書が提出されたが同年5月10日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年5月17日)、これに対して、同年8月10日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載の補正であり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、補正前(平成28年3月17日付け手続補正)の、
「 【請求項1】
遊技球が入球可能な始動口と、
閉状態と開状態とを採り得る第一可変入賞口と、
閉状態と開状態とを採り得る第二可変入賞口と、
第二可変入賞口に入球した遊技球が入球し得る特定領域と、
識別情報を表示可能な識別情報表示部と
を備え、
始動口への入球に基づき、乱数を取得する乱数取得手段と、
乱数取得手段により取得された乱数に基づき、当否判定を実行する当否判定手段と、
当否判定手段による当否判定の結果に基づき、識別情報の停止識別情報を決定する識別情報表示内容決定手段と、
識別情報表示内容決定手段による決定に基づき、識別情報表示部にて識別情報を変動表示した後、識別情報の停止識別情報を停止表示するよう制御する識別情報表示制御手段と、
当否判定手段による当否判定の結果が当選であって識別情報表示部に停止表示された識別情報の停止識別情報が特定停止識別情報であった場合、第一可変入賞口又は第二可変入賞口を遊技者にとって有利な状態とし得る特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
前記当否判定の結果が所定確率で当選となる低確率抽選状態と、前記当否判定の結果が当該所定確率よりも高確率で当選となる高確率抽選状態とを有し、特別遊技の実行終了後において高確率抽選状態とするよう制御し得る抽選状態制御手段と、
通常遊技状態と通常遊技状態よりも始動口へ入球容易となる特定遊技状態とを有し、特別遊技の実行終了後において特定遊技状態とするよう制御し得る遊技状態移行制御手段と、
識別情報の変動表示時間を決定する際に参照されるテーブルとして第一変動パターンテーブルと、第一変動パターンテーブルとは識別情報の変動表示時間の選択傾向が異なる第二変動パターンテーブルとを少なくとも有し、特別遊技の実行終了後において、第一変動パターンテーブルを参照する第一変動期間状態と第二変動パターンテーブルを参照する第二変動期間状態とのいずれかとするよう制御し得る変動期間状態制御手段と
を備え、
第一可変入賞口への一の入球に基づき付与される賞球数と第二可変入賞口への一の入球に基づき付与される賞球数とが異なるよう構成されており、
特別遊技を実行する際には、第一可変入賞口を開放対象とする第一単位遊技と第二可変入賞口を開放対象とする第二単位遊技とのいずれかを実行可能であり、第一単位遊技の実行中における第一可変入賞口の最長開放時間よりも、第二単位遊技の実行中における第二可変入賞口の最長開放時間の方が短くなるよう構成されており、
特定停止識別情報の種類に応じて特別遊技の実行内容が異なり得る一方で、特別遊技の実行内容が互いに同一となる複数種類の特定停止識別情報を有しており、
前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時における特定領域への入球有無に拘わらず、当該特別遊技の実行終了後においては特定遊技状態となることが確定的となる一方で、
前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時における特定領域への入球有無に応じて、当該特別遊技の実行終了後において高確率抽選状態となるか否かが決定されるよう構成されており、
前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時において特定領域への入球があったときには、当該特別遊技の実行終了後において第一変動期間状態とする一方、
前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時において特定領域への入球がなかったときには、当該特別遊技の実行終了後において第二変動期間状態とするよう構成されている
ことを特徴とするぱちんこ遊技機。」
から、
補正後(本件補正である平成28年8月10日付け手続補正)の
「 【請求項1】
A 遊技球が入球可能な始動口と、
B 閉状態と開状態とを採り得る第一可変入賞口と、
C 閉状態と開状態とを採り得る第二可変入賞口と、
D 第二可変入賞口に入球した遊技球が入球し得る特定領域と、
E 識別情報を表示可能な識別情報表示部と
を備え、
F 始動口への入球に基づき、乱数を取得する乱数取得手段と、
G 乱数取得手段により取得された乱数に基づき、当否判定を実行する当否判定手段と、
H 当否判定手段による当否判定の結果に基づき、識別情報の停止識別情報を決定する識別情報表示内容決定手段と、
I 識別情報表示内容決定手段による決定に基づき、識別情報表示部にて識別情報を変動表示した後、識別情報の停止識別情報を停止表示するよう制御する識別情報表示制御手段と、
J 当否判定手段による当否判定の結果が当選であって識別情報表示部に停止表示された識別情報の停止識別情報が特定停止識別情報であった場合、第一可変入賞口又は第二可変入賞口を遊技者にとって有利な状態とし得る特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
K 前記当否判定の結果が所定確率で当選となる低確率抽選状態と、前記当否判定の結果が当該所定確率よりも高確率で当選となる高確率抽選状態とを有し、特別遊技の実行終了後において高確率抽選状態とするよう制御し得る抽選状態制御手段と、
L 通常遊技状態と通常遊技状態よりも始動口へ入球容易となる特定遊技状態とを有し、特別遊技の実行終了後において特定遊技状態とするよう制御し得る遊技状態移行制御手段と、
M 識別情報の変動表示時間を決定する際に参照されるテーブルとして第一変動パターンテーブルと、第一変動パターンテーブルとは識別情報の変動表示時間の選択傾向が異なる第二変動パターンテーブルとを少なくとも有し、特別遊技の実行終了後において、第一変動パターンテーブルを参照する第一変動期間状態と第二変動パターンテーブルを参照する第二変動期間状態とのいずれかとするよう制御し得る変動期間状態制御手段と
を備え、
N 第一可変入賞口への一の入球に基づき付与される賞球数と第二可変入賞口への一の入球に基づき付与される賞球数とが異なるよう構成されており、
O 特別遊技を実行する際には、第一可変入賞口を開放対象とする第一単位遊技と第二可変入賞口を開放対象とする第二単位遊技とのいずれかを実行可能であり、第一単位遊技の実行中における第一可変入賞口の最長開放時間よりも、第二単位遊技の実行中における第二可変入賞口の最長開放時間の方が短くなるよう構成されており、
P 特定停止識別情報の種類に応じて特別遊技の実行内容が異なり得る一方で、特別遊技の実行内容が互いに同一となる複数種類の特定停止識別情報を有しており、
Q1 前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時における特定領域への入球有無に拘わらず、当該特別遊技の実行終了後においては特定遊技状態となることが確定的となる一方で、
Q2 前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時における特定領域への入球有無に応じて、当該特別遊技の実行終了後において高確率抽選状態となるか否かが決定されるよう構成されており、
R1 前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時において特定領域への入球があったときには、当該特別遊技の実行終了後において第一変動期間状態とする一方、
R2 前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時において特定領域への入球がなかったときには、当該特別遊技の実行終了後において第二変動期間状態とするよう構成されており、
S 特別遊技の実行終了後において特定遊技状態となる場合、識別情報の変動表示開始から停止表示までを一単位とし、
T 識別情報の変動表示時間を決定する際に参照されるテーブルとして第一変動パターンテーブルとも第二変動パターンテーブルとも識別情報の変動表示時間の選択傾向が異なる第三変動パターンテーブルを更に有し、
U 特別遊技の実行時において特定領域への入球があった場合には、当該特別遊技の実行終了後から起算して前記一単位が所定回数行われた後は、第三変動パターンテーブルを参照する第三変動期間状態とするよう構成されている
V ことを特徴とするぱちんこ遊技機。」
に補正された(下線部は補正箇所を示す。A?Vは本願補正発明を分説するために当審で付した。)。

2 補正の適否について
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ぱちんこ遊技機」に関して、「おり、特別遊技の実行終了後において特定遊技状態となる場合、識別情報の変動表示開始から停止表示までを一単位とし、識別情報の変動表示時間を決定する際に参照されるテーブルとして第一変動パターンテーブルとも第二変動パターンテーブルとも識別情報の変動表示時間の選択傾向が異なる第三変動パターンテーブルを更に有し、特別遊技の実行時において特定領域への入球があった場合には、当該特別遊技の実行終了後から起算して前記一単位が所定回数行われた後は、第三変動パターンテーブルを参照する第三変動期間状態とするよう構成されている」と限定するものであって、かつ、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、本願補正発明という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項で準用する特許法第126第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)刊行物1に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である、特開2013-146358号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。
(1-ア)「【請求項1】
遊技球が入球可能な始動口と、
遊技球が入球不能な閉鎖状態と遊技球が入球可能な開放状態とに変化可能な第1の大入賞口と、
遊技球が入球不能な閉鎖状態と遊技球が入球可能な開放状態とに変化可能であって、内部に特定領域が設けられる第2の大入賞口と、
前記始動口に遊技球が入球すると、図柄表示装置にて図柄を変動表示させ、該変動表示する図柄を当り図柄または外れ図柄で停止表示させる図柄表示制御手段と、
前記図柄が前記当り図柄で停止表示すると、前記第1の大入賞口又は前記第2の大入賞口を開放状態とする当り遊技を実行する当り遊技実行手段と、
前記当り遊技実行手段が実行する前記当り遊技として、前記第1の大入賞口を開放する第1の開放パターン、及び、前記第2の大入賞口を開放する第2の開放パターンの実行比率が異なる複数の当り遊技から、何れかの当り遊技を選択する開放パターン選択手段と、
前記当り遊技中に遊技球が前記特定領域を通過したか否かを判定する通過判定手段と、
前記通過判定手段によって前記特定領域を通過したと判定された場合に、前記図柄が前記当り図柄で停止表示される確率が通常状態よりも高い高確率状態を発生させる高確率状態発生手段と、
前記第1の大入賞口又は前記第2の大入賞口に遊技球が入球した場合に賞球を排出する賞球排出手段と、を備え、
前記第1の開放パターンが実行される場合には、前記第2の開放パターンが実行される場合よりも多くの賞球を獲得可能とされ、
前記第2の開放パターンが実行される場合には、前記第2の大入賞口に入球した遊技球が前記特定領域を通過するか否かの抽選が実行されることを特徴とする遊技機。」

(1-イ)「【0007】
このような構成によれば、当りになれば、内部に特定領域を有していないものの獲得賞球数の多い第1の大入賞口が開放されるパターン(第1の開放パターン)と、獲得賞球数は第1の大入賞口が開放するパターンよりも少ないものの、内部に特定領域を有しており、特別遊技終了後に高確率状態に移行する可能性を有する第2の大入賞口が開放されるパターン(第2の開放パターン)とを組合せてなる当り遊技が実行されるものであり、当り遊技の種類によって、第1又は第2の開放パターンの占める比率が異なるので、遊技者は、当り遊技において、何れの開放パターンが実行されるかに一喜一憂することとなり、遊技の興趣を高めることができる。」

(1-ウ)「【0023】
以下、発明を実施するための最良の形態を示す実施例について図面に基づいて説明する。以下に示す各実施例では、各請求項に係る発明を、「セブン機」と称する遊技機(パチンコ機)1に適用した各具体例について説明する。
先ず、この遊技機1の全体構造について、図1、図2を参照して説明する。この遊技機1は、図1および図2に示すように、外枠2と、この外枠2に装着された遊技機本体Hと、を備えている。また、外枠2は、パチンコホールの島設備に設けられた設置部位に固定されると共に遊技機本体Hを支持するためのものである。この外枠2は、略矩形状の枠状体によって構成される外枠本体21と、外枠本体21の前面下部を覆う前板部22とを備えている。」

(1-エ)「【0034】
第1始動入賞装置17Aは、ステージ部21dの排出路の直下に位置する部位に配設され、上方に遊技球を受入可能な受入口(第1始動口)を有するポケット形状を備えている。第1始動口は、受入口の大きさが変化せず遊技球の入球可能性が一定とされる固定式の始動口として構成されており、遊技球の入球が常時可能となっている。第1始動口は、排出通路の出口部21vの直下に位置するため、排出通路を通過した遊技球は、この第1始動口を通じて、第1始動入賞装置17Aに入球する確率が高くされている。」

(1-オ)「【0039】
右大入賞装置35は、図5に示すように、遊技球が受け入れ可能に開口される右大入賞口35aと、右大入賞口35aを開放・閉鎖するための開閉板35bと、この開閉板35bを駆動するための右大入賞口ソレノイド35cと、右大入賞口35aへの遊技球の入球を検出するための右大入賞口検出スイッチ35sと、を備える。また、開閉板35bは、その下端部が、「ベース基板30Bにおける右大入賞口35aの下端側を構成する部位」に軸支されることで、前方に傾動可能に構成されている。また、開閉板35bは正面形状が略矩形とされるとともに、略リブ状の落下防止壁36、38を左右両端から後方に突出させている。これらの落下防止壁36、38は、開閉板35bが前傾姿勢となったときに、開閉板35bの後面部上に到達した遊技球が、この後面部の左右に落下することを防止する機能を有する。なお、右大入賞口検出スイッチ35sは「フォトセンサ」で構成され、遊技球の通過を検出すると、後述する主制御部200Aに検出信号を送信する。
【0040】
開閉板35bが起立姿勢(閉鎖姿勢)となると、この開閉板35bが右大入賞口35aを閉鎖するため、右大入賞装置35への遊技球の入球が不可能となる。一方、図5に示すように、開閉板35bが、その下端部を支点に前方に傾動して前傾姿勢(開放姿勢)となると、右大入賞口35aが開放されると共に、開閉板35bの後面部(背面部)が、右大入賞口35a方向に下り傾斜となる誘導面を構成する。つまり、開閉板35bの後面部(背面部)が、「遊技領域11を流下して右大入賞装置35の周囲へ到達した遊技球」を右大入賞口35aに誘導する誘導面を構成する。なお、右大入賞装置35には、右大入賞口ソレノイド35cが配設されており、開閉板35bが起立姿勢(閉鎖状態)にあるときに、右大入賞口ソレノイド35cを駆動(通電)すると、開閉板35bの姿勢が前傾姿勢(開放状態)に変更される。そして、右大入賞口ソレノイド35cの駆動を停止(通電を停止)すると、起立姿勢(閉鎖状態)に戻される。
尚、右大入賞口35aが、本発明の「第1の大入賞口」に相当する。
【0041】
次に、中大入賞装置31について説明する。中大入賞装置31は、図5?図8に示すように、遊技球が受け入れ可能に開口される中大入賞口31aと、中大入賞口31aを開放・閉鎖するための開閉板31bと、この開閉板31bを駆動するための中大入賞口ソレノイド31cと、中大入賞口31aに入球した遊技球が通過可能な特定領域300と、遊技球が特定領域300を通過したこと検出する特定領域検出スイッチ300sと、中大入賞口31aに入球した遊技球が通過可能な非特定領域301と、遊技球が非特定領域301を通過したこと検出する非特定領域検出スイッチ301sと、中大入賞口31aに入球した遊技球を特定領域300と非特定領域301のいずれかに振り分ける振分部400と、振分部400を駆動させるための振分ソレノイド401(振分駆動部)と、を備える。また、開閉板31bは、その下端部が「ベース基板30Bにおける中大入賞口31aの下端側を構成する部位」に軸支されることで、前方に傾動可能に構成されている。また、開閉板31bは、正面形状が略矩形とされるとともに、右大入賞装置35と同様にリブ状の落下防止壁(図示を省略)を左右両端から後方に突出させている。なお、各種の検出スイッチ(特定領域検出スイッチ300s、非特定領域検出スイッチ301s)は、各々「フォトセンサ」で構成され、遊技球の通過を検出すると、後述する主制御部200Aに検出信号を送信する。
【0042】
開閉板31bが起立姿勢となると、この開閉板31bが中大入賞口31aを閉鎖するため、中大入賞装置31への遊技球の入球が不可能となり、開閉板31bが、その下端部を支点に前方に傾動して前傾姿勢となると、中大入賞口31aが開放される。また、開閉板31bの後面部(背面部)が「遊技領域11を流下し、中大入賞装置31の周囲へ到達した遊技球」を中大入賞口31aに誘導する誘導面を構成する。なお、中大入賞装置31には、中大入賞口ソレノイド31cが配設されており、開閉板31bが起立姿勢(閉鎖状態)にあるときに、中大入賞口ソレノイド31cを駆動(通電)すると、開閉板31bの姿勢が前傾姿勢(開放状態)に変更される。そして、中大入賞口ソレノイド31cの駆動を停止(通電を停止)すると、起立姿勢(閉鎖状態)に戻される。
尚、中大入賞口31aが、本発明の「第2の大入賞口」に、特定領域300が本発明の「特定領域」に、振分部400(400a、400b、400c)が本発明の「入球阻止部材」に相当する。」

(1-カ)「【0052】
なお、本実施例では、一対の翼片部(可動部材)の開放頻度を向上させる開放時間延長機能が設けられ、開放時間延長機能の作動時は、開放時間延長機能の非作動時(通常時)に比べ、普通図柄表示部56で当り普通図柄が停止表示される確率が高く(確率変動機能)、当り普通図柄が停止表示されたときに一対の翼片部が開放状態となる開放時間が長時間に設定されている。また、本実施例では、開放時間延長機能の作動時は、普通図柄が変動表示する時間(普図変動時間)が通常時に比べ短く設定されている(変動時間短縮機能)。これにより、本実施例では、開放時間延長機能の作動時は、開放時間延長機能、確率変動機能及び変動時間短縮機能の各作用が相俟って、第2始動口が開放状態となる割合が高くなり、遊技球が入球する可能性が通常時に比べて向上するものとなっている。」

(1-キ)「【0075】
次に、特別図柄と大当り遊技の関係について説明する。前述したように、本実施例では、第1特別図柄および第2特別図柄の2つの特別図柄が設けられており、それに伴い、第1特別図柄を表示する第1特別図柄表示部62A(3個のLED62a?62c)と、第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示部62B(3個のLED62d?62f)とが設けられている。第1特別図柄表示部62Aでは、第1始動口に遊技球が入球することにより第1特別図柄が変動表示を開始し、所定時間経過後に第1特別図柄が当り特別図柄(LED62a?62cのいずれかが点灯)あるいは外れ特別図柄(LED62a?62cの全てが点灯)で停止表示される。同様に、第2特別図柄表示部62Bでは、第2始動口に遊技球が入球することにより第2特別図柄が変動表示を開始し、所定時間経過後に第2特別図柄が当り特別図柄(LED62d?62fのいずれかが点灯)あるいは外れ特別図柄(LED62d?62fの全てが点灯)で停止表示される。そして、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示が停止して当り特別図柄が停止表示されると、右大入賞装置35または中大入賞装置31が開放状態となる大当り遊技を実行する。大当り遊技が実行されると、右大入賞装置35または中大入賞装置31が開放状態になって遊技球が入球可能となり、該入球に応じた賞球が払い出されるため、開放する大入賞装置により異なるものの、大当り遊技中は、通常遊技中よりも多くの賞球獲得が見込める期間となっている。本実施例では、右大入賞装置35への1個の入球に対し10個の賞球が払い出され、中大入賞装置31への1個の入球に対し2個の賞球が払い出される設定とされている。すなわち、中大入賞装置31が開放状態となる場合より、右大入賞装置35が開放状態となる場合の方が、多くの賞球を獲得可能とされている。従って、賞球を多く獲得するという側面においては、右大入賞装置35が中大入賞装置31よりも有利な大入賞装置とされている。なお、本実施例では、複数の当り特別図柄が設定されており、停止表示された当り特別図柄の種類に応じて、その後に実行される大当り遊技(当り遊技)の実行態様が異なるように制御される。」

(1-ク)「【0077】
第1当否判定用乱数と第2当否判定用乱数は、第1特別図柄当否判定または第2特別図柄当否判定に用いられる。第1当否判定用乱数と第2当否判定用乱数には、予め当り値(例えば「1」)が設定されており、取得した当否判定用乱数(第1当否判定用乱数または第2当否判定用乱数)が当り値と一致する場合に当りと判定される。第1特別図柄当否判定は、第1特別図柄が変動表示を開始する際に行われ、第2特別図柄当否判定は、第2特別図柄が変動表示を開始する際に行われる。
【0078】
第1当否判定用乱数が当り値と一致する場合には、第1特別図柄表示部62Aで停止表示する第1特別図柄の当り特別図柄を複数種類の当り特別図柄のいずれかに決定する「第1当り図柄決定処理」が行われる。第1当り図柄決定処理では、取得した第1当り図柄決定用乱数(1?100の乱数値)に対応付けられる一の当り特別図柄が決定される。なお、第1当否判定用乱数が当り値と一致しない場合には、外れと判定され、第1特別図柄表示部62Aで停止表示される第1特別図柄として、予め定められた一の外れ特別図柄に決定される。
【0079】
同様に、第2当否判定用乱数が当り値と一致する場合には、第2特別図柄表示部62Bで停止表示する第2特別図柄の当り特別図柄を複数種類の当り特別図柄のいずれかに決定する「第2当り図柄決定処理」が行われる。第2当り図柄決定処理では、第1当り図柄決定処理と同様に、取得した第2当り図柄決定用乱数(1?100の乱数値)に対応付けられる一の当り特別図柄が決定される。なお、第2当否判定用乱数が当り値と一致しない場合には、外れと判定され、第2特別図柄表示部62Bで停止表示される第2特別図柄として、予め定められた一の外れ特別図柄に決定される。」
【0080】
次に、図14、図15を用いて、本実施例で実行される各種の大当り遊技と当り特別図柄の対応関係を説明する。図14は、第1当り図柄決定処理(第1特別図柄の当り特別図柄を決定する処理)で用いられる第1当り図柄決定用テーブルを概念的に記したものである。図14には、第1当り図柄決定用乱数(1?100の乱数値)に対応付けられる「当り特別図柄A」、「当り特別図柄B」、「当り特別図柄C」、「当り特別図柄D」、「当り特別図柄E」、「当り特別図柄F」、「当り特別図柄G」が記載され、各当り特別図柄の停止表示態様(「停止図柄態様」ともいう)と、各当り特別図柄の停止表示を契機に実行される大当り遊技の実行態様と、各大当り遊技後の遊技進行態様との対応関係が記されている。
【0081】
第1当り図柄決定用乱数が「1?29」のいずれかに一致する場合は、第1当り図柄決定処理にて「当り特別図柄Aの停止表示(LED62aのみが点灯する停止表示態様)」が決定される。当り特別図柄Aの停止表示を契機に実行される大当り遊技には、「15ラウンド大当り遊技A(以下、ラウンドを「R」と記載する)」が対応付けられている。この「15R大当り遊技A」は、右大入賞装置35の開放動作が、所定のインターバル(例えば、1秒の閉鎖)を挟みつつ14回(14ラウンド分)繰り返された後、通常よりも長いインターバル(例えば、4秒の閉鎖)を経て、中大入賞装置31の開放動作が、1回(1ラウンド分)行われるタイプの大当り遊技である。そして、各ラウンドで右大入賞装置35または中大入賞装置31が開放状態となる開放限度時間は各々「25秒」に設定されている。また、開放限度時間とは別に、各ラウンドには「入球限度数(本実施例では10個)」が規定されており、開放限度時間に達する前に入球限度数の遊技球入球が検出された場合には、右大入賞装置35または中大入賞装置31は閉鎖状態となり、1回のラウンドが終了する。なお、本実施例では、中大入賞装置31または右大入賞装置35が25秒の開放動作を行う場合には、遊技球発射を継続していれば入球限度数(10個)の遊技球入球が容易となるように遊技盤面上の釘配置等がなされている。
【0082】
また、15R大当り遊技Aの終了後は、前述した開放時間延長機能が作動する。開放時間延長機能の作動期間は、15R大当り遊技Aの実行中に確率変動機能の作動条件が成立するか否かによって、「100回(第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示回数)」または「10000回(第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示回数)」が設定される。」
【0083】
ここで、本実施例における確率変動機能の作動条件について説明する。先ず、本実施例の「確率変動機能」は、特別図柄当否判定(第1特別図柄当否判定、第2特別図柄当否判定)にて当否判定用乱数(第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数)が当り値と一致する確率を10倍に向上させる機能である。具体的には、当否判定用乱数(第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数)に対する当り値が設定された当否判定テーブルとして、所定の当り値(本実施例では「1」)が設定された低確率判定テーブルと、低確率判定テーブルの10倍の個数の当り値(本実施例では「1」?「10」)が設定されている高確率判定テーブルとが設けられ、確率変動機能が作動していない「低確率状態」では、低確率判定テーブルを用いて特別図柄当否判定(第1特別図柄当否判定、第2特別図柄当否判定)が行われる。一方、確率変動機能が作動している「高確率状態」では、高確率判定テーブルを用いて特別図柄当否判定(第1特別図柄当否判定、第2特別図柄当否判定)が行われることで、低確率状態よりも当りと判定される可能性が高くなる。このため、高確率状態では、低確率状態よりも大当り遊技の実行可能性が高まることとなる。
【0084】
そして、本実施例では、大当り遊技実行中に遊技球が特定領域300を通過することで(特定領域検出スイッチ300sに検出されることで)、大当り遊技終了後に確率変動機能が作動開始するように設定されている。つまり、本実施例では、内部に特定領域300を有する中大入賞装置31内に入球した遊技球のうち、少なくとも1個の遊技球が特定領域300を通過することで、確率変動機能の作動条件が成立することとされている。また、中大入賞装置31内に入球した遊技球の全てが特定領域300を通過しなかった場合(特定領域300を通過した遊技球が0個の場合)には、確率変動機能の作動条件が成立しない。なお、本実施例では、遊技球を特定領域300に誘導する経路と、遊技球を非特定領域301に誘導する経路とを切り換える振分ソレノイド401の駆動(通電と通電停止)を、当該遊技機1の電源投入時から常時一定のタイミング(2秒毎)で交互に行っている。このため、中大入賞装置31が閉鎖状態或いは開放状態とされている間にも、遊技球を特定領域300に誘導する経路と、遊技球を非特定領域301に誘導する経路とが2秒毎に切り替わり、中大入賞口31aの開放タイミングおよび中大入賞口31aへの入球タイミングによって、確率変動機能が作動する場合と確率変動機能が作動しない場合とが生ずることとなる。
・・・
【0086】
図14に戻って、15R大当り遊技Aが実行される場合には、最終ラウンド(15R目)にて中大入賞装置31が開放状態となるため、確率変動機能が作動するか否かが15R目に決定されることとなる。15R大当り遊技Aでは、15R目に中大入賞装置31が25秒間に亘り開放状態となるため、中大入賞口31aへの入球限度数の遊技球の入球が容易であり、入球限度数の遊技球入球に伴い、遊技球が特定領域300を通過する確率は比較的高くなるように構成されている。そして、15R大当り遊技Aの実行中に遊技球が特定領域300を通過した場合は、15R大当り遊技Aの終了後に確率変動機能の作動とともに、開放時間延長機能(10000回)が作動することとなる。また、15R大当り遊技Aの実行中に遊技球が特定領域300を通過しなかった場合は、15R大当り遊技Aの終了後に確率変動機能は作動せず、低確率状態にて開放時間延長機能(100回)が作動することとなる。
なお、前述したとおり、右大入賞装置35への入球による賞球数(1個の入球に対して10球)は、中大入賞装置31への入球による賞球数よりも多く設定されている(1個の入球に対して2球)。一方、中大入賞装置31に入球した場合には、当該入球した遊技球によって特定領域300を通過するかどうかの振分抽選が実行される。従って、中大入賞装置31が開放する場合には、獲得できる賞球数は少ないものの、大当り遊技終了後に、確率変動機能が作動する可能性がある。右大入賞装置35には、特定領域が設けられていないため、入球としても、確率変動機能が作動することはない。従って、15R大当り遊技Aは、遊技球を可能な限り(14ラウンド分)多く獲得できるとともに、確率変動機能の作動の可能性(15ラウンド目)も有する当りとなっている。
・・・
【0089】
また、第1当り図柄決定用乱数が「50?59」のいずれかに一致する場合は、第1当り図柄決定処理にて「当り特別図柄Cの停止表示(LED62a、62b、62cの全てが点灯する停止表示態様)」が決定される。当り特別図柄Cの停止表示を契機に実行される大当り遊技には、「10大当り遊技A」が対応付けられている。この「10R大当り遊技A」は、右大入賞装置35の開放動作が、1秒のインターバルを挟みつつ9回(9ラウンド)繰り返されるタイプの大当り遊技であり、1?9R目に右大入賞装置35が開放状態となる開放限度時間は「25秒」に設定されている。しかしながら、10R目に中大入賞装置31が開放状態となる開放限度時間は「5秒」に設定されている。このため、10R大当り遊技Aでは、10R目において、中大入賞口31aに入球限度数(10個)の遊技球が入球することは困難となり、特定領域300を遊技球が通過する可能性が低くなる。このため、中大入賞装置31の開放ラウンドは、15R大当り遊技Aと同じ1ラウンドであるが、10R大当り遊技Aは、15R大当り遊技Aに比べて、大当り遊技終了後に確率変動機能が作動する可能性が低い大当り遊技であるといえる。
【0090】
また、10R大当り遊技Aの実行中(10Rの実行中)に遊技球が特定領域300を通過(振分抽選に当選)した場合は、10R大当り遊技Aの終了後に確率変動機能と開放時間延長機能が作動することとなる。また、10R大当り遊技Aの実行中(10Rの実行中)に遊技球が特定領域300を通過しなかった場合は、10R大当り遊技Aの終了後に確率変動機能は作動せず、低確率状態にて開放時間延長機能(30回)が作動することとなる。
このように、10R大当り遊技Aでは、右大入賞装置35の開放回数(10ラウンド)が、15R大当り遊技Aよりも少なく設定され、中大入賞装置31の開放回数(1ラウンド)は、15R大当り遊技Aと同じであるが、開放時間が短く設定されている。従って、10R大当り遊技Aは、「確率変動機能の作動条件が成立する可能性(特定領域300を遊技球が通過する可能性)」および「確率変動機能の作動条件が成立しなかった場合の開放時間延長機能の作動期間」のいずれも15R大当り遊技Aに比べて不利に設定されており、10R大当り遊技Aは、15R大当り遊技Aに比べて不利な大当り遊技であるといえる。」

(1-ケ)「【0096】
第2当り図柄決定用乱数が「0?29」のいずれかに一致する場合は、第2当り図柄決定処理にて「当り特別図柄Hの停止表示(LED62dのみが点灯する停止表示態様)」が決定される。当り特別図柄Hの停止表示を契機に実行される大当り遊技には、前述の「15R大当り遊技A」が対応付けられている。15R大当り遊技Aの実行態様の詳細および15R大当り遊技Aの終了後の遊技進行態様は、前述した第1当り図柄決定用テーブルでの説明と同じであるため説明を省略する。」

(1-コ)「【0110】
次に、本実施例の遊技機1の作動をフローチャートに基づいて説明する。図16は、主制御部200の制御下で行われるメインジョブの一例である。図16に示すメインジョブは、主制御基板200に実装されたCPU201が、図示しないROM(CPU201の内蔵ROMまたは主制御基板200に実装されるROM)に格納されたプログラムに従って実行するもので、電源投入処理(S100)の後、遊技開始処理(S200)、普通図柄遊技処理(S300)、普通電動役物遊技処理(S400)、特別図柄遊技処理(S500)、大当り遊技処理(S600)の各処理が、タイマリセットされる毎に繰り返し実行される。電源断発生処理(S50)は、停電等によって電源断が発生した場合に、使用レジスタやスタックポインタの保存、払出モータの停止等が行われ、システムリセットが発生した場合に電源投入処理(S100)に移るようになっている。」

(1-サ)「【0115】
次に、特別図柄遊技処理(S500)を図17?図19のフローチャートに基づいて説明する。まず、図17に示すように始動口入賞処理を行う(S501)。ここで、始動口入賞処理(S501)について図19のフローチャートに基づいて説明する。
【0116】
まず、第1始動口への遊技球入球が検出されたか否かを判定し(S501a)、第1始動口28への遊技球入球が検出されていないと判定された場合には(S501a:NO)。S501dの処理に移行する。一方、第1始動口への遊技球入球が検出されたと判定された場合には(S501a:YES)、第1特別図柄に係る保留数が4未満であるか否かを判定する(S501b)。この結果、第1特別図柄に係る保留数が4未満でない(4以上である)と判定された場合には(S501b:NO)、S501dの処理に移行し、第1特別図柄保留数が4未満であると判定された場合には(S501b:YES)、第1特別図柄に関連する各種乱数(第1当否判定用乱数、第1当り図柄決定用乱数)を取得してRAMの所定領域に記憶する(S501c)。これにより、第1特別図柄に係る保留数が1増加する。
【0117】
次に、第2始動口への遊技球入球が検出されたか否かを判定し(S501d)、第2始動口への遊技球入球が検出されていないと判定された場合には(S501d:NO)。始動口入賞処理を終了する。一方、第2始動口への遊技球入球が検出されたたと判定された場合には(S501d:YES)、第2特別図柄に係る保留数が4未満であるか否かを判定する(S501e)。この結果、第2特別図柄に係る保留数が4未満でない(4以上である)と判定された場合には(S501e:NO)、始動口入賞処理を終了し、第2特別図柄に係る保留数が4未満であると判定された場合には(S501e:YES)、第2特別図柄に関連する各種乱数(第2当否判定用乱数、第2当り図柄決定用乱数)を取得して記憶する(S501f)。これにより、第2特別図柄に係る保留数が1増加する。」

(1-シ)「【0122】
ここで、第1特別図柄変動表示処理(S508)と第2特別図柄変動表示処理(S509)を図20のフローチャートに基づいて説明する。第1特別図柄変動表示処理と第2特別図柄変動表示処理は、「第1特別図柄」と「第2特別図柄」の部分が異なっている以外は同一内容の処理であり、図20における「特別図柄」が、第1特別図柄変動表示処理では「第1特別図柄」となり、第2特別図柄変動表示処理では「第2特別図柄」となる。ここでは、第1特別図柄変動表示処理(S508)について説明し、第2特別図柄変動表示処理(S509)の説明を省略する。
【0123】
まず、主制御部200のRAMの所定領域(第1保留記憶領域)に記憶されている第1当否判定用乱数を読み出し(S508a)、第1特別図柄当否判定を行う(S508b)。第1特別図柄当否判定では、当り値が設定された当否判定テーブルに第1当否判定用乱数を照合して、「当り(当り値と第1当否判定用乱数が一致)」と「外れ(当り値と第1当否判定用乱数が不一致)」のいずれかを判定する。本実施例では、当否判定テーブルとして、所定の当り値が設定された低確率判定テーブルと、低確率判定テーブルの10倍の個数の当り値が設定されている高確率判定テーブルとが設けられ、確率変動機能が作動していない状態(低確率状態)では、低確率判定テーブルを用いて第1特別図柄当否判定を行い、確率変動機能が作動している状態(高確率状態)では、高確率判定テーブルを用いて第1特別図柄当否判定を行う。
【0124】
次に、開放時間延長機能の作動中か否かを判定する(S508c)。この結果、開放時間延長機能の作動中であると判定された場合には(S508c:YES)、開放時間延長機能作動時の第1特別図柄の変動パターン設定処理を行う(S508d)。開放時間延長機能作動時の第1特別図柄の変動パターン設定処理では、第1特別図柄の変動表示時間として開放時間延長機能非作動時よりも短い変動表示時間(例えば2秒)が規定される「短変動パターン」が設定される。一方、開放時間延長機能の作動中でないと判定された場合には(S508c:YES)、開放時間延長機能非作動時の第1特別図柄の変動パターン設定処理を行う(S508e)。開放時間延長機能非作動時の第1特別図柄の変動パターン設定処理では、第1特別図柄の変動表示時間として開放時間延長機能作動時よりも長い変動表示時間(例えば10秒)が規定される「通常変動パターン」が設定される。」

(1-ス)「【0126】
次に、特別図柄の停止図柄を決定する(S508i)。第1特別図柄が当り特別図柄で停止する場合(第1特別図柄当否判定の結果が当りの場合)は、第1当り図柄決定用テーブルと、S508fで読み出した第1当り図柄決定用乱数とを用いて、前述した第1当り図柄決定処理を行って第1特別図柄の当り特別図柄を決定する。また、第1特別図柄が外れ特別図柄で停止する場合(第1特別図柄当否判定の結果が外れの場合)は、S508fで読み出した第1当り図柄決定用乱数を用いることなく、一の外れ特別図柄(第1特別図柄表示部62AにおけるLED62a?62cの全消灯)を決定する。なお、第2特別図柄が当り特別図柄で停止する場合(第2特別図柄当否判定の結果が当りの場合)は、第1特別図柄のときと同様に、第2当り図柄決定用テーブルと、S509fで読み出した第2当り図柄決定用乱数とを用いて、前述した第2当り図柄決定処理を行って第2特別図柄の当り特別図柄を決定する。
【0127】
次に、S508d、S508eで設定された特別図柄の変動パターンおよびS508gで決定された特別図柄の停止図柄に従って、第1特別図柄表示部61で第1特別図柄の変動表示を開始し(S508h)、これに付随して、図柄変動開始時コマンドとしての第1特別図柄の変動パターン指定コマンドと停止情報指定コマンドをサブ制御部220Aに送信する(S508i)。変動パターン指定コマンドは、S508d、S508eで設定された第1特別図柄の変動パターンを指定するコマンドであり、第1特別図柄情報指定コマンドは、第1特別図柄の停止図柄を指定するコマンドである。この変動パターン指定コマンドと停止情報指定コマンドをサブ制御部220Aに送信すると、これらコマンド(図柄変動開始時コマンド)を受信したサブ制御部220Aおよび演出表示制御部280の制御下で図柄変動演出(演出図柄の変動表示)が開始される。そして、第1特別図柄保留数を1減算する(S508j)。以上までが、第1特別図柄の変動表示を開始する際の処理である。
【0128】
次に、図20に戻り、上記S503で特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)が変動中であると判定された場合には(S503:YES)、変動中の特別図柄の変動表示時間が経過しているか否かを判定する(S510)。この結果、特別図柄の変動表示時間が経過していないと判定された場合には(S510:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、特別図柄の変動表示時間が経過していると判定された場合には(S510:YES)、特別図柄の変動表示を停止し(S511)、特別図柄の変動表示が停止したことを示す図柄停止コマンドをサブ制御部220Aに送信し(S512)、特別図柄の停止表示時間を設定する(S513)。
【0129】
次に、特別図柄の停止表示時間が経過したか否かを判定する(S514)。この結果、特別図柄の停止表示時間が経過していないと判定された場合には(S514:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、特別図柄の停止表示時間が経過していると判定された場合には(S514:YES)、特別図柄の停止図柄が当り特別図柄であるか否かを判定する(図6(b)のS515)。この結果、特別図柄の停止図柄が当り特別図柄であると判定された場合には(S515:YES)、大当り終了時参照バッファに今回の当り特別図柄に対応する大当り遊技の種類(15R大当り遊技A、15R大当り遊技B、10R大当り遊技A、10R大当り遊技B、5R大当り遊技A、2R大当り遊技A、2R大当り遊技B)と現在の遊技状態を示すフラグ(確変フラグ、変動短縮フラグ、開放延長フラグ)の状態をセットする(S516)。
【0130】
次に、大当り遊技が実行中であるか否かを示す「大当り遊技フラグ」をONにセットし(S518)、大当り遊技の実行パターンをセットする(S519)。大当り遊技の実行パターンとしては、今回の当り特別図柄に対応する大当り遊技の種類(15R大当り遊技A、15R大当り遊技B、10R大当り遊技A、10R大当り遊技B、5R大当り遊技A、2R大当り遊技A、2R大当り遊技B)に基づく実行態様がセットされ、大当り遊技のラウンド数(15R、10R、5R又は2R)、各ラウンドの開放限度時間、各ラウンド間のインターバル時間等がセットされる。これにより、今回の当り特別図柄に対応する大当り遊技が実行可能となる。
・・・
【0133】
次に、上記S515の判定処理で、停止表示された特別図柄の停止図柄が当り特別図柄でない(換言すると、外れ特別図柄である)と判定された場合には(S515:NO)、開放延長フラグがONであるか否かを判定する(S525)。この結果、開放延長フラグがONでないと判定された場合は(S525:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、開放延長フラグがONであると判定された場合は(S525:YES)、開放延長回数カウンタを1減算し(S526)、開放延長回数カウンタがゼロになったか否かを判定する(S528)。
・・・
【0135】
次に、大当り遊技処理(S600)について図21のフローチャートに基づいて説明する。大当り遊技処理(S600)では、S519で設定された大当り遊技の実行パターンに従って右大入賞口35aと中大入賞口31aの開閉動作が制御される。まず、大当り遊技中であるか否か(大当り遊技フラグがONであるか否か)を判定する(S601)。この結果、大当り遊技中でない(大当り遊技フラグがOFFである)と判定された場合には(S601:NO)、大当り遊技処理を終了し、大当り遊技中である(大当り遊技フラグがONである)と判定された場合には(S601:YES)、右大入賞口35aまたは中大入賞口31aが開放中であるか否かを判定する(S602)。この結果、右大入賞口35aまたは中大入賞口31aが開放中でないと判定された場合には(S602:NO)、右大入賞口35aまたは中大入賞口31aの開放タイミングであるか否かを判定し(S609)、開放タイミングである場合には(S609:YES)、右大入賞口35aまたは中大入賞口31aを開放し(S610)、開放タイミングでない場合には(S609:NO)、一旦大当り遊技処理を終了する。なお、本実施例における開始タイミングは、1回のラウンドの開始タイミングと一致しており、「大当り遊技が開始されるとき」と「前回のラウンド終了後に計時されるインターバル時間が規定時間に達したとき」とが開放タイミングに設定されており、これら開放タイミングのいずれかに従って右大入賞口35aまたは中大入賞口31aが開放状態とされる。」

(1-セ)「【0139】
次に、大当り遊技終了時処理(S700)について図22のフローチャートに基づいて説明する。まず、特定領域通過フラグがONであるか否かを判定する(S701)。特定領域通過フラグがONである場合には(S701:YES)、確変フラグをONにセットする(S702)。これにより、大当り遊技終了後に確率変動機能が作動開始する。また、確率変動機能の作動期間として「10000回」の特別図柄の変動表示をセットする(S702)。これにより、大当り遊技終了後に行われる特別図柄当否判定(第1特別図柄当否判定、第2特別図柄当否判定)が10000回に達するまで(実質的には次回当り判定されるまで)、確率変動機能を作動継続させることができる。そして、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをONにセットし(S705、S706)、開放延長回数カウンタに変動時間短縮機能および開放時間延長機能の作動期間を定めるための値(10000回)をセットする(S707)。これにより、大当り遊技終了後に変動時間短縮機能と開放時間延長機能が作動開始する。なお、本実施例では、特定領域通過フラグがONにセットされている場合には、開放延長回数カウンタに「10000」がセットされる。これにより、大当り遊技終了後に行われる特別図柄当否判定(第1特別図柄当否判定、第2特別図柄当否判定)が10000回に達するまで(実質的には次回当り判定されるまで)、変動時間短縮機能と開放時間延長機能を作動継続させることができ、確率変動機能と変動時間短縮機能と開放時間延長機能とを同時期に作動開始し、同時期に作動終了させることができる。」

(1-ソ)「【0143】
また、本実施例では、各大当り遊技中に遊技球が特定領域300を通過せずに終了した場合であっても、各大当り遊技の終了後に予め対応付けられた期間に亘り、開放時間延長機能が作動する。具体的には、大当り遊技毎に設定される「遊技球が特定領域300を通過する可能性」が高くになるにつれて、開放時間延長機能の作動期間が長くなるように設定されている。このように、大当り遊技中に遊技球が特定領域300を通過しなかった場合であっても、その後に「第2特別図柄で当り特別図柄が停止表示され得る機会」を適宜発生させることで、遊技球が特定領域300を通過しなかったことによる興趣低下を軽減できる。また、遊技球が特定領域300を通過せずに終了した大当り遊技後に開放時間延長機能が作動することで、確率変動機能の作動開始或いは作動復帰に対する遊技者の期待感を高め、大当り遊技終了後の遊技者の興趣を従来に比して向上させることができる。さらに、大当り遊技終了後の開放時間延長機能の作動バリエーションを多彩にすることで、大当り遊技終了後における期待感に高低を生じさせることでき、当該遊技機を一層面白みのあるものにすることができる。」

(1-タ)「【0146】
また、上述した実施例では、遊技球を特定領域300に誘導する経路と、遊技球を非特定領域301に誘導する経路とを切り換える振分ソレノイド401の制御(通電と通電停止)を、当該遊技機1の電源投入時から常時一定のタイミング(2秒毎)で交互に行うこととしていた。しかしながら、振分ソレノイド401の駆動制御はこれに限定されず、中大入賞装置31が開放状態とされている間だけ、振分ソレノイド401を通電させる(中大入賞装置31が閉鎖状態とされている間には振分ソレノイド401を常時通電停止させる)ようにしてもよい。」

上記記載事項(1-ア)?(1-タ)により、以下の事項が導かれる。

(1-チ)段落【0110】には「図16に示すメインジョブは、主制御基板200に実装されたCPU201が、図示しないROM(CPU201の内蔵ROMまたは主制御基板200に実装されるROM)に格納されたプログラムに従って実行するもので、電源投入処理(S100)の後、遊技開始処理(S200)、普通図柄遊技処理(S300)、普通電動役物遊技処理(S400)、特別図柄遊技処理(S500)、大当り遊技処理(S600)の各処理が、タイマリセットされる毎に繰り返し実行される。」と記載され、段落【0115】には、「特別図柄遊技処理(S500)を図17?図19のフローチャートに基づいて説明する。」と記載されているから、図17?図19に記載の各ステップは、CPU201が実行するものであるといえる。また、図17には「特別図柄遊技処理」について図示され、図19には、「始動口入賞処理」について図示されている。
そして、図20には、図17に記載の「S508」の「第1特別図柄変動関連処理」及び「S509」の「第2特別図柄変動関連処理」に対応した「S508、S509」の「特別図柄変動関連処理」が記載されているから、図20に記載の各処理は、図17に記載の各処理と同様、CPU201が実行するものであるといえる。また、図21には図16の大当り遊技処理(S600)に対応した「S600」の「大当り遊技処理」が記載されているから、図21に記載の各処理はCPU201が実行するものであり、図22には「S700」の「大当り遊技終了後処理」と記載され、これは、図21に記載の「S700」の「大当り終了時処理」対応するから、図22に記載の各処理は、図21に記載の各処理と同様にCPU201が実行するものであるといえる。
したがって、上記段落【0110】、【0115】の記載事項により、特別図柄遊技処理(図17?19)、始動口入賞処理(図19)、特別図柄変動関連処理(図20)、大当り遊技処理(図21)及び大当り終了時処理(図22)は、CPU201が実行するものであるといえる。

(1-ツ)段落【0041】には「中大入賞口31aに入球した遊技球が通過可能な特定領域300」と記載され、段落【0146】には、「また、上述した実施例では、遊技球を特定領域300に誘導する経路と、遊技球を非特定領域301に誘導する経路とを切り換える振分ソレノイド401の制御(通電と通電停止)を、当該遊技機1の電源投入時から常時一定のタイミング(2秒毎)で交互に行うこととしていた。しかしながら、振分ソレノイド401の駆動制御はこれに限定されず、中大入賞装置31が開放状態とされている間だけ、振分ソレノイド401を通電させる(中大入賞装置31が閉鎖状態とされている間には振分ソレノイド401を常時通電停止させる)ようにしてもよい。」と記載されている。よって、上記段落【0041】、【0146】の記載事項により、中大入賞装置31が開放状態とされている間だけ振分ソレノイド401が通電されて、中大入賞装置31に入球した遊技球が特定領域300に誘導される経路とされ、遊技球が特定領域300を通過可能なこと、すなわち、中大入賞装置31が開放状態とされて中大入賞口31aに入球した遊技球は、常時特定領域300に誘導されて特定領域300を通過可能なことには明らかである。
したがって、上記段落【0041】、【0146】の記載により、刊行物1には、中大入賞口31aに入球した遊技球が常時通過可能な特定領域300について記載されているといえる。

(1-テ)段落【0116】には、「第1始動口への遊技球入球が検出されたと判定された場合には(S501a:YES)、・・・第1特別図柄に関連する各種乱数(第1当否判定用乱数、第1当り図柄決定用乱数)を取得してRAMの所定領域に記憶する(S501c)。」と記載され、段落【0117】には「第2始動口への遊技球入球が検出されたたと判定された場合には(S501d:YES)、・・・第2特別図柄に関連する各種乱数(第2当否判定用乱数、第2当り図柄決定用乱数)を取得して記憶する(S501f)。」と記載されている。
また、始動口入賞処理を示した図19には、「S501c」の「第1特別図柄用乱数を取得」するステップ、及び「S501f」の「第1特別図柄用乱数を取得」するステップが図示されているから、(1-チ)の認定事項により、「第1特別図柄用乱数を取得」する処理及び「第1特別図柄用乱数を取得」する処理は、CPU201が実行する処理であるといえる。
したがって、上記段落【0116】、【0117】の記載事項、図19の図示内容及び上記認定事項(1-チ)の認定事項により、刊行物1には、CPU201が第1始動口への遊技球入球が検出されたと判定された場合に第1当否判定用乱数を取得し、第2始動口への遊技球入球が検出されたと判定された場合に第2当否判定用乱数を取得することが記載されているといえる。

(1-ト)段落【0123】には、「第1特別図柄当否判定を行う(S508b)」と記載され、図20には「S508b、509b」の「特別当否判定」のステップについて記載されている。そして、段落【0122】には、「第1特別図柄変動表示処理(S508)と第2特別図柄変動表示処理(S509)を図20のフローチャートに基づいて説明する。第1特別図柄変動表示処理と第2特別図柄変動表示処理は、「第1特別図柄」と「第2特別図柄」の部分が異なっている以外は同一内容の処理であり、図20における「特別図柄」が、第1特別図柄変動表示処理では「第1特別図柄」となり、第2特別図柄変動表示処理では「第2特別図柄」となる。」と記載されている。
したがって、図20の図示内容及び段落【0122】?【0123】の記載事項により、上記段落【0123】に記載の「第1特別図柄当否判定を行う(S508b)」ステップは、上記段落【0122】に記載の第2特別図柄変動表示処理(S509)にも適用され、第2特別図柄当否判定も行われることは明らかである。
また、上記認定事項(1-チ)により、「S508b、509b」の「特別当否判定」は、特別図柄変動関連処理を示した図20に記載されているからCPU201が実行する処理であるといえる。
よって、上記認定事項(1-チ)、段落【0122】?【0123】の記載事項及び図20の図示内容により、刊行物1には、CPU201が、第1特別図柄当否判定及び第2特別図柄判定を行うことが記載されているといえる。
そして、段落【0077】には、「第1当否判定用乱数と第2当否判定用乱数は、第1特別図柄当否判定または第2特別図柄当否判定に用いられる。」と記載されている。
したがって、上記段落【0077】、【0122】?【0123】の記載事項、図20の図示内容及び上記認定事項(1-チ)により、刊行物1においてCPU201が、第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数を用いて、それぞれ、第1特別図柄当否判定、第2特別図柄当否判定を実行することは明らかである。

(1-ナ)段落【0126】には、「特別図柄の停止図柄を決定する(S508i)。第1特別図柄が当り特別図柄で停止する場合(第1特別図柄当否判定の結果が当りの場合)は、第1当り図柄決定用テーブルと、S508fで読み出した第1当り図柄決定用乱数とを用いて、前述した第1当り図柄決定処理を行って第1特別図柄の当り特別図柄を決定する。また、第1特別図柄が外れ特別図柄で停止する場合(第1特別図柄当否判定の結果が外れの場合)は、S508fで読み出した第1当り図柄決定用乱数を用いることなく、一の外れ特別図柄(第1特別図柄表示部62AにおけるLED62a?62cの全消灯)を決定する。なお、第2特別図柄が当り特別図柄で停止する場合(第2特別図柄当否判定の結果が当りの場合)は、第1特別図柄のときと同様に、第2当り図柄決定用テーブルと、S509fで読み出した第2当り図柄決定用乱数とを用いて、前述した第2当り図柄決定処理を行って第2特別図柄の当り特別図柄を決定する。」と記載され、段落【0079】には「第2当否判定用乱数が当り値と一致しない場合には、外れと判定され、第2特別図柄表示部62Bで停止表示される第2特別図柄として、予め定められた一の外れ特別図柄に決定される。」と記載されている。
そして、図20には、「停止図柄を決定」するステップが図示されており、認定事項(1-チ)により、図20に図示された「停止図柄を決定」する特別図柄変動関連処理は、CPU201により行われるといえる。
したがって、上記認定事項(1-チ)、上記段落【0079】、【0126】の記載事項及び図20の図示内容により、刊行物1には、CPU201が、第1特別図柄当否判定の結果が当りの場合に停止図柄として第1特別図柄の当り特別図柄を決定し、第1特別図柄当否判定の結果が外れの場合に停止図柄として外れ特別図柄を決定し、第2特別図柄当否判定の結果が当りの場合に停止図柄として第2特別図柄の当り特別図柄を決定し、第2特別図柄当否判定の結果が外れの場合に停止図柄として外れ特別図柄を決定することが記載されているといえる。

(1-ニ)【請求項1】には、「図柄表示装置にて図柄を変動表示させ、該変動表示する図柄を当り図柄または外れ図柄で停止表示させる図柄表示制御手段」と記載され、段落【0122】には、「第1特別図柄変動表示処理(S508)と第2特別図柄変動表示処理(S509)」と記載され、段落【0127】には、「次に、S508d、S508eで設定された特別図柄の変動パターンおよびS508gで決定された特別図柄の停止図柄に従って、第1特別図柄表示部61で第1特別図柄の変動表示を開始し(S508h)」と記載され、段落【0128】には、「次に、図20に戻り、上記S503で特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)が変動中であると判定された場合には(S503:YES)、変動中の特別図柄の変動表示時間が経過しているか否かを判定する(S510)。この結果、特別図柄の変動表示時間が経過していないと判定された場合には(S510:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、特別図柄の変動表示時間が経過していると判定された場合には(S510:YES)、特別図柄の変動表示を停止し(S511)、特別図柄の変動表示が停止したことを示す図柄停止コマンドをサブ制御部220Aに送信し(S512)、特別図柄の停止表示時間を設定する(S513)。」と記載され、段落【0133】には「停止表示された特別図柄の停止図柄」と記載されている。
また、特別図柄変動関連処理を示した図20には「S508h、509h」の「特別図柄変動表示開始」の処理が図示され、特別図柄遊技処理を示した図17には、「S510」の「特別図柄停止処理」が図示されており、上記認定事項(1-チ)により、図20に示された「特別図柄変動表示開始」の処理、及び図17に示された「特別図柄停止処理」の処理は、CPU201により実行されるといえる。
したがって、上記【請求項1】、【0122】、【0127】?【0128】の記載事項及び図17、20の図示内容及び上記認定事項(1-チ)の認定事項より、刊行物1には、CPU201は、決定された特別図柄の停止図柄に従って、図柄表示装置で第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示を開始し、特別図柄の変動表示時間が経過すると、特別図柄の変動表示を停止し、停止図柄を停止表示させることが記載されているといえる。

(1-ヌ)【請求項1】には「前記図柄が前記当り図柄で停止表示すると、前記第1の大入賞口又は前記第2の大入賞口を開放状態とする当り遊技を実行する当り遊技実行手段」と記載され、段落【0129】には「特別図柄の停止図柄が当り特別図柄であると判定された場合には(S515:YES)、大当り終了時参照バッファに今回の当り特別図柄に対応する大当り遊技の種類(15R大当り遊技A、15R大当り遊技B、10R大当り遊技A、10R大当り遊技B、5R大当り遊技A、2R大当り遊技A、2R大当り遊技B)と現在の遊技状態を示すフラグ(確変フラグ、変動短縮フラグ、開放延長フラグ)の状態をセットする(S516)。」と記載され、段落【0126】には、「特別図柄の停止図柄を決定する(S508i)。第1特別図柄が当り特別図柄で停止する場合(第1特別図柄当否判定の結果が当りの場合)は、第1当り図柄決定用テーブルと、S508fで読み出した第1当り図柄決定用乱数とを用いて、前述した第1当り図柄決定処理を行って第1特別図柄の当り特別図柄を決定する。・・・第2特別図柄が当り特別図柄で停止する場合(第2特別図柄当否判定の結果が当りの場合)は、・・・第2特別図柄の当り特別図柄を決定する。」と記載され、段落【0130】には、「次に、大当り遊技が実行中であるか否かを示す「大当り遊技フラグ」をONにセットし(S518)、大当り遊技の実行パターンをセットする(S519)。」と記載され、段落【0135】には、「大当り遊技処理(S600)について図21のフローチャートに基づいて説明する。大当り遊技処理(S600)では、S519で設定された大当り遊技の実行パターンに従って右大入賞口35aと中大入賞口31aの開閉動作が制御される。・・・大当り遊技中である(大当り遊技フラグがONである)と判定された場合には(S601:YES)、右大入賞口35aまたは中大入賞口31aが開放中であるか否かを判定する(S602)。この結果、右大入賞口35aまたは中大入賞口31aが開放中でないと判定された場合には(S602:NO)、右大入賞口35aまたは中大入賞口31aの開放タイミングであるか否かを判定し(S609)、開放タイミングである場合には(S609:YES)、右大入賞口35aまたは中大入賞口31aを開放し(S610)」と記載されている。
したがって、上記【請求項1】、段落【0126】、【0129】?【0130】、【0135】の記載事項により、「第1特別図柄当否判定又は第1特別図柄当否判定の結果が当りであり、特別図柄の停止図柄が当り特別図柄であると判定された場合には(S515:YES)、「大当り遊技が実行中であるか否かを示す「大当り遊技フラグ」をONにセットし(S518)、大当り遊技フラグがONであると判定された場合には、右大入賞口35aまたは中大入賞口31aを開放する(S610)大当り遊技処理(S600)が行われる、すなわち、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の結果が当りであり、特別図柄の停止図柄が当り特別図柄であると判定された場合には、右大入賞口35aまたは中大入賞口31aを開放する大当り遊技処理が行われることは明らかである。
そして、特別図柄遊技処理を示す図18には、「S515」の「当り特別図柄」か否かの分岐処理と、「S518」の「大当りフラグON」の処理が図示され、大当り遊技処理を示す図21には、「S600」の「大当り遊技処理」及び「S610」の「大入賞開放」の処理が図示されている。上記認定事項(1-チ)により、図18に記載の当り特別図柄か判断する処理及び図21に記載の大入賞開放を行う大当り遊技処理は、CPU201により実行されるといえる。
よって、上記【請求項1】、段落【0126】、【0129】?【0130】、【0135】の記載事項、図18、21の図示内容、及び上記認定事項(1-チ)の認定事項により、CPU201は、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の結果が当りであり、特別図柄の停止図柄が当り特別図柄であると判定された場合には、右大入賞口35aまたは中大入賞口31aを開放状態とする大当り遊技処理を行うことは明らかである。

(1-ネ)段落【0083】には「「確率変動機能」は、特別図柄当否判定(第1特別図柄当否判定、第2特別図柄当否判定)にて当否判定用乱数(第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数)が当り値と一致する確率を10倍に向上させる機能である。・・・確率変動機能が作動していない「低確率状態」では、低確率判定テーブルを用いて特別図柄当否判定(第1特別図柄当否判定、第2特別図柄当否判定)が行われる。一方、確率変動機能が作動している「高確率状態」では、高確率判定テーブルを用いて特別図柄当否判定(第1特別図柄当否判定、第2特別図柄当否判定)が行われることで、低確率状態よりも当りと判定される可能性が高くなる。このため、高確率状態では、低確率状態よりも大当り遊技の実行可能性が高まることとなる。」と記載され、段落【0139】には、「・・・確変フラグをONにセットする(S702)。これにより、大当り遊技終了後に確率変動機能が作動開始する。」と記載され、図22には「S702」の「確変フラグ→ON」の処理について図示されている。
そして、上記認定事項(1-チ)により、図22に示された「S702」の「確変フラグ→ON」の処理、すなわち確変フラグをONにセットする処理は、CPU201により実行されるといえ、上記段落【0139】の記載事項により、確変フラグをONにセットすることにより大当り遊技終了後に確率変動機能が作動開始するから、CPU201は、大当り遊技終了後に確率変動機能を作動開始可能とするといえる。
したがって、上記段落【0083】、【0139】の記載内容及び図22の図示内容及び上記認定事項(1-チ)より、刊行物1には、当否判定用乱数(第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数)が当り値と一致する確率が低確率である「低確率状態」と、当否判定用乱数(第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数)が当り値と一致する確率が向上した「高確率状態」とを有し、CPU201は、大当り遊技終了後に「高確率状態」にさせる確率変動機能を作動開始可能とすることが記載されているといえる。

(1-ノ)段落【0052】には、「なお、本実施例では、一対の翼片部(可動部材)の開放頻度を向上させる開放時間延長機能が設けられ、開放時間延長機能の作動時は、開放時間延長機能の非作動時(通常時)に比べ、普通図柄表示部56で当り普通図柄が停止表示される確率が高く(確率変動機能)、当り普通図柄が停止表示されたときに一対の翼片部が開放状態となる開放時間が長時間に設定されている。また、本実施例では、開放時間延長機能の作動時は、普通図柄が変動表示する時間(普図変動時間)が通常時に比べ短く設定されている(変動時間短縮機能)。これにより、本実施例では、開放時間延長機能の作動時は、開放時間延長機能、確率変動機能及び変動時間短縮機能の各作用が相俟って、第2始動口が開放状態となる割合が高くなり、遊技球が入球する可能性が通常時に比べて向上するものとなっている。」と記載され、段落【0139】には「変動短縮フラグおよび開放延長フラグをONにセットし(S705、S706)、開放延長回数カウンタに変動時間短縮機能および開放時間延長機能の作動期間を定めるための値(10000回)をセットする(S707)。これにより、大当り遊技終了後に変動時間短縮機能と開放時間延長機能が作動開始する。」と記載され、大当り遊技終了時処理を示す図22には、「S705」の「変動短縮フラグ→ON」及び「S706」の「開放延長フラグ→ON」の処理について図示されている。
そして、上記認定事項(1-チ)により、図22に図示された「変動短縮フラグ→ON」及び「開放延長フラグ→ON」の各処理、すなわち変動短縮フラグと開放延長フラグをONする処理は、CPU201により実行されるといえ、上記段落【0139】の記載事項により、CPU201は、大当り遊技終了後に変動時間短縮機能と開放時間延長機能を作動開始するといえる。
したがって、上記【0052】、【0139】の記載事項、上記認定事項(1-チ)及び図22の図示内容から、刊行物1には、開放時間延長機能の非作動時(通常時)と、第2始動口に遊技球が入球する可能性が通常時に比べて向上する開放時間延長機能の作動時とがあり、CPU201は、大当り遊技終了後に開放時間延長機能を作動開始させることが記載されていることは明らかである。

(1-ハ)段落【0124】には、「開放時間延長機能作動時の第1特別図柄の変動パターン設定処理を行う(S508d)。開放時間延長機能作動時の第1特別図柄の変動パターン設定処理では、第1特別図柄の変動表示時間として開放時間延長機能非作動時よりも短い変動表示時間(例えば2秒)が規定される「短変動パターン」が設定される。」と記載されているから、上記段落【0124】には、第1特別図柄の変動表示時間が規定される変動パターンを設定する第1特別図柄の変動パターン設定処理(S508d)について記載されているといえる。そして、特別図柄変動関連処理を示す図20には、ステップ「S508d」の「特別図柄変動パターン設定処理」が図示され、段落【0122】には、「第1特別図柄変動表示処理(S508)と第2特別図柄変動表示処理(S509)を図20のフローチャートに基づいて説明する。第1特別図柄変動表示処理と第2特別図柄変動表示処理は、「第1特別図柄」と「第2特別図柄」の部分が異なっている以外は同一内容の処理であり、図20における「特別図柄」が、第1特別図柄変動表示処理では「第1特別図柄」となり、第2特別図柄変動表示処理では「第2特別図柄」となる。」と記載されている。
よって、図20の図示内容及び上記段落【0122】、【0124】の記載事項により、上記段落【0124】に記載の変動表示時間が規定される変動パターンを設定する第1特別図柄の変動パターン設定処理(S508d)は、上記段落【0122】の第2特別図柄変動表示処理(S509)にも適用され、第2特別図柄の変動表示時間が規定される変動パターンを設定する第2特別図柄の変動パターン設定処理も行われることは明らかである。
また、上記認定事項(1-チ)により、図20に図示されたステップ「S508d」の「特別図柄変動パターン設定処理」はCPU201が実行する処理であるといえる。
したがって、上記段落【0122】、【0124】の記載事項、上記認定事項(1-チ)及び図20の図示内容により、刊行物1には、CPU201は、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示時間が規定される変動パターンを設定する変動パターン設定処理を実施することが記載されているといえる。

(1-ヒ)段落【0007】には、「当りになれば、内部に特定領域を有していないものの獲得賞球数の多い第1の大入賞口が開放されるパターン(第1の開放パターン)と、獲得賞球数は第1の大入賞口が開放するパターンよりも少ないものの、内部に特定領域を有しており、特別遊技終了後に高確率状態に移行する可能性を有する第2の大入賞口が開放されるパターン(第2の開放パターン)とを組合せてなる当り遊技が実行されるもの」と記載され、段落【0040】には、「右大入賞口35aが、本発明の「第1の大入賞口」に相当する。」と記載され、段落【0042】には「中大入賞口31aが、本発明の「第2の大入賞口」に、・・・相当する。」と記載されている。
したがって、上記【0007】、【0040】、【0042】の記載事項により、刊行物1において、当り遊技では、右大入賞口35aが開放されるパターン(第1の開放パターン)と、中大入賞口31aが開放されるパターン(第2の開放パターン)とを組合わせた遊技が実行されることは明らかである。

(1-フ)段落【0075】には、「停止表示された当り特別図柄の種類に応じて、その後に実行される大当り遊技(当り遊技)の実行態様が異なる」と記載され、段落【0081】には、「当り特別図柄Aの停止表示を契機に実行される大当り遊技には、「15ラウンド大当り遊技A(以下、ラウンドを「R」と記載する)」が対応付けられている。この「15R大当り遊技A」は、右大入賞装置35の開放動作が、所定のインターバル(例えば、1秒の閉鎖)を挟みつつ14回(14ラウンド分)繰り返された後、通常よりも長いインターバル(例えば、4秒の閉鎖)を経て、中大入賞装置31の開放動作が、1回(1ラウンド分)行われるタイプの大当り遊技である。」と記載され、段落【0096】には、「当り特別図柄Hの停止表示を契機に実行される大当り遊技には、前述の「15R大当り遊技A」が対応付けられている。」と記載されている。
したがって、刊行物1には、上記段落【0075】、【0081】、【0096】の記載事項により、「停止表示された当り特別図柄の種類に応じて、大当り遊技(当り遊技)の実行態様が異なるが、当り特別図柄A又は当り特別図柄Hの停止表示を契機に実行される大当り遊技には、右大入賞装置35の開放動作が、所定のインターバル(例えば、1秒の閉鎖)を挟みつつ14回(14ラウンド分)繰り返された後、通常よりも長いインターバル(例えば、4秒の閉鎖)を経て、中大入賞装置31の開放動作が、1回(1ラウンド分)行われるタイプの15R大当り遊技Aが対応付けられていることが記載されているといえる。

(1-へ)段落【0081】には、「当り特別図柄Aの停止表示を契機に実行される大当り遊技には、「15ラウンド大当り遊技A(以下、ラウンドを「R」と記載する)」が対応付けられている。」と記載され、段落【0086】には、「15R大当り遊技Aの実行中に遊技球が特定領域300を通過した場合は、15R大当り遊技Aの終了後に確率変動機能の作動とともに、開放時間延長機能(10000回)が作動することとなる。また、15R大当り遊技Aの実行中に遊技球が特定領域300を通過しなかった場合は、15R大当り遊技Aの終了後に確率変動機能は作動せず、低確率状態にて開放時間延長機能(100回)が作動することとなる。」と記載され、段落【0096】には、「当り特別図柄Hの停止表示を契機に実行される大当り遊技には、前述の「15R大当り遊技A」が対応付けられている。」と記載され、段落【0143】には「大当り遊技中に遊技球が特定領域300を通過せずに終了した場合であっても、各大当り遊技の終了後に予め対応付けられた期間に亘り、開放時間延長機能が作動する。」と記載されている。
したがって、上記段落【0081】、【0086】、【0096】、【0143】の記載事項により、刊行物1には、
当り特別図柄A又は当り特別図柄Hの停止表示を契機に実行される15R大当り遊技Aの実行中に、遊技球が特定領域300を通過した場合は15R大当り遊技Aの終了後に開放時間延長機能が作動し、遊技球が特定領域300を通過しなかった場合であっても15R大当り遊技Aの終了後に開放時間延長機能が作動し、
当り特別図柄A又は当り特別図柄Hの停止表示を契機に実行される15R大当り遊技Aの実行中に、遊技球が特定領域300を通過した場合は15R大当り遊技Aの終了後に確率変動機能が作動し、遊技球が特定領域300を通過しなかった場合は、15R大当り遊技Aの終了後に確率変動機能が作動しないことについて記載されているといえる。

(1-ホ)段落【0082】には「15R大当り遊技Aの終了後は、前述した開放時間延長機能が作動する。開放時間延長機能の作動期間は、15R大当り遊技Aの実行中に確率変動機能の作動条件が成立するか否かによって、「100回(第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示回数)」または「10000回(第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示回数)」が設定される。」と記載される。そして、上記認定事項(1-ニ)によれば、CPU201は、決定された特別図柄の停止図柄に従って、図柄表示装置で第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示を開始し、特別図柄の変動表示時間が経過すると、特別図柄の変動表示を停止し、停止図柄を停止表示させる。
したがって、上記段落【0082】及び上記認定事項(1-ニ)により、刊行物1には、15R大当り遊技Aの終了後に、開放時間延長機能の作動期間となり、特別図柄の変動表示開始から停止表示までを1回とする変動表示がなされることが記載されているといえる。

上記(1-ア)?(1-タ)の記載事項及び(1-チ)?(1-ホ)の認定事項により、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「刊行物1発明」という。)。

「a 遊技球が入球可能な始動口(第1始動口及び第2始動口)と、(【請求項1】、段落【0034】、【0052】)
b 閉鎖状態と開放状態とに変化可能な右大入賞口35aと(【請求項1】、段落【0040】)、
c 閉鎖状態と開放状態とに変化可能な中大入賞口31aと(【請求項1】、【0042】)、
d 中大入賞口31aに入球した遊技球が通過可能な特定領域300と、(上記認定事項(1-ツ))
e 図柄表示制御手段により図柄を変動表示させ、該変動表示する図柄を当り図柄または外れ図柄で停止表示させる図柄表示装置と
を備え(【請求項1】)、
f CPU201を備え、CPU201は、第1始動口への遊技球入球が検出されたと判定された場合に第1当否判定用乱数を取得し、第2始動口への遊技球入球が検出されたと判定された場合に第2当否判定用乱数を取得し(上記認定事項(1-テ))、
g CPU201は、第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数を用いて、それぞれ、第1特別図柄当否判定、第2特別図柄当否判定を実行し(上記認定事項(1-ト))、
h CPU201は、第1特別図柄当否判定の結果が当りの場合に停止図柄として第1特別図柄の当り特別図柄を決定し、第1特別図柄当否判定の結果が外れの場合に停止図柄として外れ特別図柄を決定し、第2特別図柄当否判定の結果が当りの場合に停止図柄として第2特別図柄の当り特別図柄を決定し、第1特別図柄当否判定の結果が外れの場合に停止図柄として外れ特別図柄を決定し(上記認定事項(1-ナ))、
i CPU201は、決定された特別図柄の停止図柄に従って、図柄表示装置で第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示を開始し、特別図柄の変動表示時間が経過すると、特別図柄の変動表示を停止し、停止図柄を停止表示させ(上記認定事項(1-ニ))、
j CPU201は、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の結果が当りであり、特別図柄の停止図柄が当り特別図柄であると判定された場合には、右大入賞口35aまたは中大入賞口31aを開放状態とする大当り遊技処理を行い(上記認定事項(1-ヌ))、
k 当否判定用乱数(第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数)が当り値と一致する確率が低確率である「低確率状態」と、当否判定用乱数(第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数)が当り値と一致する確率が向上した「高確率状態」とを有し、CPU201は、大当り遊技終了後に「高確率状態」にさせる確率変動機能を作動開始可能とし(上記認定事項(1-ネ))、
l 開放時間延長機能の非作動時(通常時)と、第2始動口に遊技球が入球する可能性が通常時に比べて向上する開放時間延長機能の作動時とがあり、CPU201は、大当り遊技終了後に開放時間延長機能を作動開始させ(上記認定事項(1-ノ))、
m CPU201は、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示時間が規定される変動パターンを設定する変動パターン設定処理を実施し(上記認定事項(1-ハ))、
n 右大入賞口35aへの1個の入球に対し10個の賞球が払い出され、中大入賞口31aへの1個の入球に対し2個の賞球が払い出される設定とされ(段落【0039】、【0041】、【0075】)、
o 当り遊技では、右大入賞口35aが開放されるパターン(第1の開放パターン)と、中大入賞口31aが開放されるパターン(第2の開放パターン)とを組合わせた遊技が実行され(上記認定事項(1-ヒ))、
p 停止表示された当り特別図柄の種類に応じて、大当り遊技(当り遊技)の実行態様が異なるが、当り特別図柄A又は当り特別図柄Hの停止表示を契機に実行される大当り遊技には、右大入賞装置35の開放動作が、所定のインターバル(例えば、1秒の閉鎖)を挟みつつ14回(14ラウンド分)繰り返された後、通常よりも長いインターバル(例えば、4秒の閉鎖)を経て、中大入賞装置31の開放動作が、1回(1ラウンド分)行われるタイプの15R大当り遊技Aが対応付けられており(上記認定事項(1-フ))、
q1 当り特別図柄A又は当り特別図柄Hの停止表示を契機に実行される15R大当り遊技Aの実行中に、遊技球が特定領域300を通過した場合は15R大当り遊技Aの終了後に開放時間延長機能が作動し、遊技球が特定領域300を通過しなかった場合であっても15R大当り遊技Aの終了後に開放時間延長機能が作動し(上記認定事項(1-ヘ))、
q2 当り特別図柄A又は当り特別図柄Hの停止表示を契機に実行される15R大当り遊技Aの実行中に、遊技球が特定領域300を通過した場合は15R大当り遊技Aの終了後に確率変動機能が作動し、遊技球が特定領域300をしなかった場合は、15R大当り遊技Aの終了後に確率変動機能が作動しなせず(上記認定事項(1-ヘ))、
s 15R大当り遊技Aの終了後に、開放時間延長機能の作動期間となり、特別図柄の変動表示開始から停止表示までを1回とする変動表示がなされる(上記認定事項(1-ホ))、
v パチンコ機(段落【0023】)。」

(2)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する。なお、刊行物1発明の構成a?q2に対応した見出し(a)?(q2)、(s)を付した。

(a)刊行物1発明の「始動口(第1始動口及び第2始動口)」は、本願補正発明の「始動口」に相当するから、刊行物1発明の「遊技球が入球可能な始動口(第1始動口及び第2始動口)」は、本願補正発明の「遊技球が入球可能な始動口」に相当する。

(b)刊行物1発明の「閉鎖状態」、「開放状態」は、それぞれ、本願補正発明の「閉鎖状態」、「開放状態」に相当するから、刊行物1発明の「閉鎖状態と開放状態とに変化可能な右大入賞口35a」は、本願補正発明の「閉状態と開状態とを採り得る第一可変入賞口」に相当する。

(c)刊行物1発明の「閉鎖状態と開放状態とに変化可能な中大入賞口31a」は、本願補正発明の「閉状態と開状態とを採り得る第二可変入賞口」に相当する。

(d)刊行物1発明の「中大入賞口31a」は、本願補正発明の「第二可変入賞口」に相当するから、刊行物1発明の「中大入賞口31aに入球した遊技球が通過可能な特定領域300」は本願補正発明の「第二可変入賞口に入球した遊技球が入球し得る特定領域」に相当する。

(e)刊行物1発明の「図柄」は、本願補正発明の「識別情報」に相当し、刊行物1発明における「変動表示する」ことは、「表示可能な」ことを意味することは明らかである。
したがって、刊行物1発明の「図柄表示制御手段により図柄を変動表示させ、該変動表示する図柄を当り図柄または外れ図柄で停止表示させる図柄表示装置」は、図柄表示装置により図柄を変動表示可能とするものであるから、本願補正発明の「識別情報を表示可能な識別情報表示部」に相当する。

(f)刊行物1発明の「第1始動口への遊技球入球が検出されたと判定された場合」及び「第2始動口への遊技球入球が検出されたと判定された場合」は、本願補正発明の「始動口への入球」をすることに相当し、刊行物1発明の「第1当否判定用乱数」及び「第2当否判定用乱数」は、本願補正発明の「乱数」に相当する。したがって、刊行物1発明の「第1始動口への遊技球入球が検出されたと判定された場合に第1当否判定用乱数を取得し、第2始動口への遊技球入球が検出されたと判定された場合に第2当否判定用乱数を取得する、CPU201」は、本願補正発明の「始動口への入球に基づき、乱数を取得する乱数取得手段」としての機能を有する。

(g)上記(f)で検討したように、「CPU201」は、本願補正発明の「乱数取得手段」の機能を有するから、刊行物1発明の「第1当否判定用乱数」及び「第2当否判定用乱数」は、本願補正発明の「乱数取得手段により取得された乱数」に相当する。また、刊行物1発明の「第1特別図柄当否判定」及び「第2特別図柄当否判定」は、本願補正発明の「当否判定」に相当する。
そして、刊行物1発明の「第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数を用いて、それぞれ、第1特別図柄当否判定、第2特別図柄当否判定を実行」することは、本願補正発明の「乱数取得手段により取得された乱数に基づき、当否判定を実行する」ことに相当する。
したがって、刊行物1発明の「第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数を用いて、それぞれ、第1特別図柄当否判定、第2特別図柄当否判定を実行」する「CPU201」は、本願補正発明の「乱数取得手段により取得された乱数に基づき、当否判定を実行する当否判定手段」としての機能を有する。

(h)刊行物1発明の「停止図柄」は、本願補正発明の「識別情報の停止識別情報」に相当する。
そして、刊行物1発明における「第1特別図柄当否判定の結果が当りの場合に停止図柄として第1特別図柄の当り特別図柄を決定し、第1特別図柄当否判定の結果が外れの場合に停止図柄として外れ特別図柄を決定し、第2特別図柄当否判定の結果が当りの場合に停止図柄として第2特別図柄の当り特別図柄を決定し、第1特別図柄当否判定の結果が外れの場合に停止図柄として外れ特別図柄を決定」するCPU201が、「第1特別図柄当否判定」及び「第2特別図柄当否判定」の結果に基づいて「停止図柄」を決定することは明らかである。
したがって、刊行物1発明の構成hの「CPU201」は、本願補正発明の「当否判定手段による当否判定の結果に基づき、識別情報の停止識別情報を決定する識別情報表示内容決定手段」としての機能を有する。

(i)刊行物1発明の「第1特別図柄」及び「第2特別図柄」は本願補正発明の「識別情報」に相当する。
そして、本願補正発明の「識別情報表示内容決定手段」とは、本願補正発明の構成Hにより「識別情報の停止識別情報を決定する識別情報表示内容決定手段」であるから、本願補正発明の「識別情報表示内容決定手段による決定に基づ」く制御は、「識別情報表示内容決定手段」により決定された「識別情報の停止識別情報」に基づく制御を含んでいる。また、上記(h)で検討したように、刊行物1発明の「停止図柄」は、本願補正発明の「識別情報の停止識別情報」に相当する。そうすると、刊行物1発明の「決定された特別図柄の停止図柄に従」うことは、本願補正発明の「識別情報表示内容決定手段による決定に基づ」くことに相当する。
したがって、刊行物1発明の構成iの「CPU201」は、本願補正発明の構成Iの「識別情報表示制御手段」としての機能を有する。

(j)刊行物1発明の「第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の結果が当りであ」ることは、本願補正発明の「当否判定手段による当否判定の結果が当選」であることに相当する。
また、刊行物1発明の「停止図柄」、「当り特別図柄」は、それぞれ、本願補正発明の「識別情報の停止識別情報」、「特定停止識別情報」に相当し、刊行物1発明の構成eにより、図柄は図柄表示装置で停止表示される。
したがって、刊行物1発明の「特別図柄の停止図柄が当り特別図柄であると判定された場合」は、本願補正発明の「識別情報表示部に停止表示された識別情報の停止識別情報が特定停止識別情報であった場合」に相当する。
そして、上記(b)及び(c)で検討したように、刊行物1発明の「右大入賞口35a」、「中大入賞口31a」は、それぞれ、本願補正発明の「第一可変入賞口」、「第二可変入賞口」に相当する。
よって、刊行物1発明の構成jの「CPU201」は、本願補正発明の構成Jの「特別遊技制御手段」としての機能を有する。

(k)刊行物1発明の「当否判定用乱数(第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数)が当り値と一致する」ことは、本願補正発明の「前記当否判定の結果が」「当選となる」ことに相当し、刊行物1発明の「低確率」は、本願補正発明の「所定確率」に相当する。よって、刊行物1発明の「当否判定用乱数(第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数)が当り値と一致する確率が低確率である「低確率状態」は、本願補正発明の「前記当否判定の結果が所定確率で当選となる低確率抽選状態」に相当する。
また、刊行物1発明の「当否判定用乱数(第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数)が当り値と一致する確率が向上した」ことは、本願補正発明の「当該所定確率よりも高確率で当選となる」ことを意味するから、刊行物1発明の「当否判定用乱数(第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数)が当り値と一致する確率が向上した「高確率状態」」は、本願補正発明の「前記当否判定の結果が当該所定確率よりも高確率で当選となる高確率抽選状態」に相当する。
そして、刊行物1発明の「大当り遊技終了後に「高確率状態」にさせる確率変動機能を作動開始可能と」する「CPU201」は、本願補正発明の「特別遊技の実行終了後において高確率抽選状態とするよう制御し得る抽選状態制御手段」としての機能を有する。
したがって、刊行物1発明の「当否判定用乱数(第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数)が当り値と一致する確率が低確率である「低確率状態」と、当否判定用乱数(第1当否判定用乱数、第2当否判定用乱数)が当り値と一致する確率が向上した「高確率状態」とを有し」、「大当り遊技終了後に「高確率状態」にさせる確率変動機能を作動開始可能と」する「CPU201」は、本願補正発明の「前記当否判定の結果が所定確率で当選となる低確率抽選状態と、前記当否判定の結果が当該所定確率よりも高確率で当選となる高確率抽選状態とを有し、特別遊技の実行終了後において高確率抽選状態とするよう制御し得る抽選状態制御手段」としての機能を有する。

(l)刊行物1発明の「開放時間延長機能の非作動時(通常時)」及び「第2始動口に遊技球が入球する可能性が通常時に比べて向上する開放時間延長機能の作動時」は、それぞれ、本願補正発明の「通常遊技状態」及び「通常遊技状態よりも始動口へ入球容易となる特定遊技状態」に相当する。そして、刊行物1発明の「開放時間延長機能を作動開始させ」ることは、「開放時間延長機能の作動時」にすることを意味するから、本願補正発明の「特別遊技の実行終了後において特定遊技状態とするよう制御」することに相当する。
したがって、刊行物1発明の「開放時間延長機能の非作動時(通常時)と、第2始動口に遊技球が入球する可能性が通常時に比べて向上する開放時間延長機能の作動時とがあ」ることは、本願発明の「通常遊技状態と通常遊技状態よりも始動口へ入球容易となる特定遊技状態とを有」することに相当し、また、刊行物1発明の「大当り遊技終了後に開放時間延長機能を作動開始させ」る「CPU201」は、本願補正発明の「特別遊技の実行終了後において特定遊技状態とするよう制御し得る遊技状態移行制御手段」としての機能を有する。

(m)刊行物1発明の「第1特別図柄または第2特別図柄」、「変動表示時間」は、それぞれ、本願補正発明の「識別情報」、「変動表示時間」に相当する。そして、刊行物1発明の「変動表示時間が規定される変動パターンを設定する」ことは、本願発明の「変動表示時間を決定する」ことを意味する。
したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、「識別情報の変動表示時間を決定する」点で共通している。

(n)刊行物1発明の「10個の賞球」、「2個の賞球」は、それぞれ、本願補正発明の「第一可変入賞口への一の入球に基づき付与される賞球数」、「第二可変入賞口への一の入球に基づき付与される賞球数」に相当する。
したがって、刊行物1発明の「右大入賞口35aへの1個の入球に対し10個の賞球が払い出され、中大入賞口31aへの1個の入球に対し2個の賞球が払い出される設定とされ」ることは、本願補正発明の「第一可変入賞口への一の入球に基づき付与される賞球数と第二可変入賞口への一の入球に基づき付与される賞球数とが異なるよう構成され」ることに相当する。

(o)刊行物1発明の「当り遊技」、「右大入賞口35aが開放されるパターン(第1の開放パターン)」及び「中大入賞口31aが開放されるパターン(第2の開放パターン)」は、それぞれ、本願補正発明の「特別遊技」、「第一単位遊技」及び「第二単位遊技」に相当する。
したがって、刊行物1発明の「右大入賞口35aが開放されるパターン(第1の開放パターン)と、中大入賞口31aが開放されるパターン(第2の開放パターン)とを組合わせた遊技が実行され」ることは、本願補正発明の「特別遊技を実行する際には、第一可変入賞口を開放対象とする第一単位遊技と第二可変入賞口を開放対象とする第二単位遊技とのいずれかを実行可能であ」ることに相当する。
よって、刊行物1発明の「当り遊技では、右大入賞口35aが開放されるパターン(第1の開放パターン)と、中大入賞口31aが開放されるパターン(第2の開放パターン)とを組合わせた遊技が実行され」ることは、本願補正発明の「特別遊技を実行する際には、第一可変入賞口を開放対象とする第一単位遊技と第二可変入賞口を開放対象とする第二単位遊技とのいずれかを実行可能であり、第一単位遊技の実行中における第一可変入賞口の最長開放時間よりも、第二単位遊技の実行中における第二可変入賞口の最長開放時間の方が短くなるよう構成されて」いることと、本願補正発明の「特別遊技を実行する際には、第一可変入賞口を開放対象とする第一単位遊技と第二可変入賞口を開放対象とする第二単位遊技とのいずれかを実行可能」である点で共通する。

(p)刊行物1発明の「停止表示された当り特別図柄の種類」、「大当り遊技(当り遊技)の実行態様」は、それぞれ、本願補正発明の「特定停止識別情報の種類」、「特別遊技の実行内容」に相当する。よって、刊行物1発明の「停止表示された当り特別図柄の種類に応じて、大当り遊技(当り遊技)の実行態様が異なる」ことは、本願補正発明の「特定停止識別情報の種類に応じて特別遊技の実行内容が異なり得る」ことに相当する。
そして、刊行物1発明の「当り特別図柄A又は当り特別図柄Hの停止表示を契機に実行される大当り遊技には、右大入賞装置35の開放動作が、所定のインターバル(例えば、1秒の閉鎖)を挟みつつ14回(14ラウンド分)繰り返された後、通常よりも長いインターバル(例えば、4秒の閉鎖)を経て、中大入賞装置31の開放動作が、1回(1ラウンド分)行われるタイプの15R大当り遊技Aが対応付けられて」いることは、「当り特別図柄A」と「当り特別図柄H」とで、「所定のインターバル(例えば、1秒の閉鎖)を挟みつつ14回(14ラウンド分)繰り返された後、通常よりも長いインターバル(例えば、4秒の閉鎖)を経て、中大入賞装置31の開放動作が、1回(1ラウンド分)行われるタイプの15R大当り遊技A」という同じ実行内容の「大当り遊技」が行われることを意味するから、刊行物1発明の「当り特別図柄A」及び「当り特別図柄H」は、本願補正発明の「特別遊技の実行内容が互いに同一となる複数種類の特定停止識別情報」に相当する。
したがって、刊行物1発明の構成pは、本願補正発明の構成Pに相当する。

(q1,q2)刊行物1発明の「当り特別図柄A又は当り特別図柄Hの停止表示」がされることは、本願補正発明の「前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示」されることに相当する。
また、刊行物1発明の「15R大当り遊技Aの実行中」は本願補正発明の「特別遊技の実行中」に相当し、刊行物1発明の「遊技球が特定領域300を通過」することは、本願補正発明の「特定領域への入球」に相当する。
そして、刊行物1発明において「当り特別図柄A又は当り特別図柄Hの停止表示を契機に実行される15R大当り遊技Aの実行中に、遊技球が特定領域300を通過した場合は15R大当り遊技Aの終了後に開放時間延長機能が作動し、遊技球が特定領域300を通過しなかった場合であっても15R大当り遊技Aの終了後に開放時間延長機能が作動」することは、15R大当り遊技Aの実行中に遊技球が特定領域300を通過したか否かに拘わらず、15R大当り遊技Aの終了後に開放時間延長機能が作動することを意味している。
さらに、刊行物1発明において「当り特別図柄A又は当り特別図柄Hの停止表示を契機に実行される15R大当り遊技Aの実行中に、遊技球が特定領域300を通過した場合は15R大当り遊技Aの終了後に確率変動機能が作動し、遊技球が特定領域300を通過しなかった場合は、15R大当り遊技Aの終了後に確率変動機能が作動」しないことは、15R大当り遊技Aの実行中に遊技球が特定領域300を通過したか否かに応じて、15R大当り遊技Aの終了後に確率変動機能が作動するか否かが決定されることを意味している。
したがって、刊行物1発明の構成q1、q2は、本願補正発明のQ1、Q2に相当する。

(s)刊行物1発明の「15R大当り遊技Aの終了後」及び「特別図柄」は、それぞれ、本願補正発明の「特別遊技の実行終了後」及び「識別情報」に相当し、刊行物1発明の「開放時間延長機能の作動期間とな」ることは、本願補正発明の「特定遊技状態となる」ことに相当する。そして、刊行物1発明の「1回」は、本願補正発明の「一単位」に相当する。
したがって、刊行物1発明の「15R大当り遊技Aの終了後に、開放時間延長機能の作動期間となり、特別図柄の変動表示開始から停止表示までを1回とする変動表示がなされる」ことにおいて、「15R大当り遊技Aの終了後に、開放時間延長機能の作動期間となり、特別図柄の変動表示開始から停止表示までを1回とする」ことは、本願補正発明の「特別遊技の実行終了後において特定遊技状態となる場合、識別情報の変動表示開始から停止表示までを一単位」とすることに相当する。

以上のことから、本願補正発明と、刊行物1発明とは、

「A 遊技球が入球可能な始動口と、
B 閉状態と開状態とを採り得る第一可変入賞口と、
C 閉状態と開状態とを採り得る第二可変入賞口と、
D 第二可変入賞口に入球した遊技球が入球し得る特定領域と、
E 識別情報を表示可能な識別情報表示部と
を備え、
F 始動口への入球に基づき、乱数を取得する乱数取得手段と、
G 乱数取得手段により取得された乱数に基づき、当否判定を実行する当否判定手段と、
H 当否判定手段による当否判定の結果に基づき、識別情報の停止識別情報を決定する識別情報表示内容決定手段と、
I 識別情報表示内容決定手段による決定に基づき、識別情報表示部にて識別情報を変動表示した後、識別情報の停止識別情報を停止表示するよう制御する識別情報表示制御手段と、
J 当否判定手段による当否判定の結果が当選であって識別情報表示部に停止表示された識別情報の停止識別情報が特定停止識別情報であった場合、第一可変入賞口又は第二可変入賞口を遊技者にとって有利な状態とし得る特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
K 前記当否判定の結果が所定確率で当選となる低確率抽選状態と、前記当否判定の結果が当該所定確率よりも高確率で当選となる高確率抽選状態とを有し、特別遊技の実行終了後において高確率抽選状態とするよう制御し得る抽選状態制御手段と、
L 通常遊技状態と通常遊技状態よりも始動口へ入球容易となる特定遊技状態とを有し、特別遊技の実行終了後において特定遊技状態とするよう制御し得る遊技状態移行制御手段と、を備え、
M’ 識別情報の変動表示時間を決定し、
N 第一可変入賞口への一の入球に基づき付与される賞球数と第二可変入賞口への一の入球に基づき付与される賞球数とが異なるよう構成されており、
O’ 特別遊技を実行する際には、第一可変入賞口を開放対象とする第一単位遊技と第二可変入賞口を開放対象とする第二単位遊技とのいずれかを実行可能であり、
P 特定停止識別情報の種類に応じて特別遊技の実行内容が異なり得る一方で、特別遊技の実行内容が互いに同一となる複数種類の特定停止識別情報を有しており、
Q1 前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時における特定領域への入球有無に拘わらず、当該特別遊技の実行終了後においては特定遊技状態となることが確定的となる一方で、
Q2 前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時における特定領域への入球有無に応じて、当該特別遊技の実行終了後において高確率抽選状態となるか否かが決定されるよう構成されており、
S 特別遊技の実行終了後において特定遊技状態となる場合、識別情報の変動表示開始から停止表示までを一単位とする、
V ぱちんこ遊技機。」

という点で一致し、構成M、O、R1、R2、T、Uに関し、以下の点で相違する。

[相違点1](構成O)
特別遊技の際に実行可能である、第一可変入賞口を開放対象とする第一単位遊技、第二可変入賞口を開放対象とする第二単位遊技に関して、本願補正発明は、「第一単位遊技の実行中における第一可変入賞口の最長開放時間よりも、第二単位遊技の実行中における第二可変入賞口の最長開放時間の方が短くなるよう構成」されているのに対して、刊行物1発明は、そのような構成を有していない点。

[相違点2](構成M、R1、R2、T、U)
特別遊技の実行時における特定領域への入球有無に拘わらず、当該特別遊技の実行終了後においては特定遊技状態となることが確定的となる一方で、特別遊技の実行時における特定領域への入球有無に応じて、当該特別遊技の実行終了後において高確率抽選状態となるか否かが決定されるよう構成されているぱちんこ遊技機(構成Q1、Q2)において、
本願補正発明は、「識別情報の変動表示時間を決定する際に参照されるテーブルとして、第一変動パターンテーブルと、第一変動パターンテーブルとは識別情報の変動表示時間の選択傾向が異なる第二変動パターンテーブルとを少なくとも有し、特別遊技の実行終了後において、第一変動パターンテーブルを参照する第一変動期間状態と第二変動パターンテーブルを参照する第二変動期間状態とのいずれかとするよう制御し得る変動期間状態制御手段とを備え」(構成M)、「複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時において特定領域への入球があったときには、当該特別遊技の実行終了後において第一変動期間状態とする一方、複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時において特定領域への入球がなかったときには、当該特別遊技の実行終了後において第二変動期間状態とするよう構成されて」おり(構成R1、R2)、「識別情報の変動表示時間を決定する際に参照されるテーブルとして第一変動パターンテーブルとも第二変動パターンテーブルとも識別情報の変動表示時間の選択傾向が異なる第三変動パターンテーブルを更に有し、特別遊技の実行時において特定領域への入球があった場合には、当該特別遊技の実行終了後から起算して一単位が所定回数行われた後は、第三変動パターンテーブルを参照する第三変動期間状態とするよう構成されている」されている(構成T、U)のに対して、刊行物1発明はそのような構成を有していない点。

(3)当審の判断

(ア)相違点1について
上記相違点1について検討する。
刊行物1発明は、特別遊技の際に、第一可変入賞口(右大入賞口35a)を開放対象とする第一単位遊技、第二可変入賞口(中大入賞口31a)を開放対象とする第二単位遊技とのいずれかを実行可能である。
そして、刊行物1の【0089】、【0090】、【図14】には、「10R大当り遊技A」が、10R目に(入球した遊技球が特定領域300を通過可能な)中大入賞装置を5秒開放状態とし、1?9R目に右大入賞装置を25秒開放状態とする遊技であることが記載されている(以下「刊行物1に記載された技術事項」という。)。
また、所定の開放時間の間に大入賞口に設けられた特定領域を遊技球が通過すると確変状態となるパチンコ機において、特定領域を有する大入賞口の方が、特定領域を有しない大入賞口よりも、特別遊技における1ラウンド中の開放時間が短くなるように構成することは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2014-108289号公報の段落【0096】、【0116】?【0124】には、特定領域を有する第2入賞口の開放時間が15秒であり、特定領域を有しない第1大入賞口の開放時間が30秒であることが記載され、特開2014-50721号公報の段落【0019】?【0021】、【0026】、【0080】に記載の、特定領域を有するVアタッカー17における最大開放時間が13秒であって、特定領域を有しない通常アタッカー16の最大開放時間が20秒であることが記載されている。以下「周知の技術事項1」という。)。

そして、一般的に、特定領域を遊技球が通過する割合は、特定領域への遊技球の通過確率、大入賞口の開放時間といった要素により定まるものであって、これらの値は、遊技機の遊技性等を考慮して適宜決定し得るものでもある。

したがって、刊行物1発明における第一可変入賞口(右大入賞口35a)が開放されるパターンと、第二可変入賞口(中大入賞口31a)が開放されるパターンとを組合わせて実行される特別遊技に、刊行物1に記載された技術事項、あるいは、上記周知の技術事項1を適用して、第二可変入賞口(中大入賞口31a)の開放時間を第一可変入賞口(右大入賞口35a)の開放時間よりも短くし、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たものである。

(イ)相違点2について
上記相違点2について検討する。
パチンコ機の技術分野において、特別遊技の実行終了後に識別情報の変動表示時間を決定するに際し、時短付きの非確変状態となる場合と時短付きの確変状態となる場合とで、識別情報の変動表示時間又はその選択率が異なるテーブルを参照し、さらに、時短付きの確変状態となる場合、識別情報の変動回数が特別遊技終了してから所定回数となる前後で識別情報の変動表示時間又はその選択率が異なるテーブルを参照することは、
例えば、特開2014-100362号公報の段落【0060】、【0148】?【0153】、【0203】、【図12】、及び、【図13】には、変短回数33回付きの「第6状態(低確変短状態)」になった場合に参照される演出パターン群(第2)と、変短回数200回付きの「第5状態(高確変短状態)」になった場合に参照される演出パターン群(第6、第7)との変動時間の期待値(平均変動時間)を異ならせると共に、さらに、「第5状態(高確変短状態)」になった場合において、変短回数が100回となる前後で、参照される演出パターン群を第6の演出パターン群から、変動時間の期待値(平均変動時間)の異なる第7の演出パターン群に変更することが記載され、
特開2012-125647号公報には、第1実施例(【0069】、【0080】、【0086】、【0091】、【0092】、【図12】)として、時短回数が2000回の確変・時短状態である天国モードで参照されるテーブルAと、時短回数が20回の非確変・時短状態であるチャンスゲームDで参照されるテーブルBとで、変動時間の振り分け率を異ならせることが記載され、さらに、第1実施例の変形例である第5実施例(【0110】?【0112】、【図29】)には、上記天国モードで参照されるテーブルAについて、時短回数が16回となる前後で変動時間の振り分け率を異ならせることが記載されているように、本願出願前に周知の技術事項である(以下「周知の技術事項2」という。)。上記周知の技術事項2のテーブルにおいて、識別情報の変動表示時間又はその選択率が異なることは、言い替えれば、「変動表示時間の選択傾向が異なる」ことである。

そして、刊行物1発明においては、特定領域へ入球があったことにより特別遊技の実行終了後に確変かつ時短(開放時間延長機能の作動時の特別図柄の変動時間短縮については段落【0124】を参照されたい。)状態となり、特定領域へ入球がなかったことにより特別遊技の実行終了後に非確変かつ時短状態となるから、刊行物1発明と上記周知技術事項2とは、共に、特別遊技の実行終了後の遊技状態を時短付き確変状態、あるいは、時短付き非確変状態に制御可能な技術に関するものである。
また、特別遊技の実行終了後の遊技状態をどのような変動パターンテーブルを参照する遊技状態とするのかは、遊技者の興趣向上等を考慮して、当業者が適宜決定し得るものであり、変動パターンテーブルに応じて、第一変動期間状態、第二変動期間状態、第三変動期間状態とすることも当業者が適宜決定し得るものである。

以上を踏まえると、刊行物1発明における特別遊技の実行時における特定領域への入球の有無に応じて決定される、特別遊技の実行終了後の遊技状態(時短付き確変状態、時短付き非確変状態)に上記周知の技術事項2を適用して、時短付き非確変状態のときと、時短付き確変状態のときとで、識別情報の変動表示時間の選択傾向の異なるテーブルを参照し、さらに、時短付き確変状態のときに、識別情報の変動回数が特別遊技の実行が終了してから所定回数となる前後で、識別情報の変動表示時間の選択傾向の異なるテーブルを参照し、参照した全てのテーブルを異ならせることにより、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

なお、請求人は、平成28年8月10日付け審判請求書において本願補正発明と刊行物1発明との相違点2に関して、

「本願発明では、<相違点2>となる構成を採用することで、本願当初明細書等における段落0218にも記載されているように、『遊技状態が確率変動遊技状態且つ時間短縮遊技状態である場合には次回特別遊技当選まで当該遊技状態が継続することが確定しているため、所定の期間(本例では、特別遊技終了時から35回目の変動終了時まで)大当りに当選しなかった場合に、参照するテーブルを限定頻度テーブルA1から限定頻度テーブルA2に切り替えることで変動時間が相対的に短時間になり、大当りに当選するまでの時間が短縮され、遊技者の倦怠感を軽減できる』ものとなっている。
以上のように、本願発明では、『「特定領域」への入球有無に応じて、大当り遊技の実行後における遊技状態を選択できるという遊技性』を創出するに際し、<相違点1>となる構成を採用し、「第二可変入賞口に入球した遊技球が入球し得る特定領域」に対して「第二可変入賞口を開放対象とする第二単位遊技の実行中」に遊技球を入球させない選択をした遊技者にとって、延々と第二単位遊技の実行終了を待たされてしまうという事態を回避しつつ、<相違点2>となる構成を採用することで、「第二可変入賞口に入球した遊技球が入球し得る特定領域」に対して「第二可変入賞口を開放対象とする第二単位遊技の実行中」に遊技球を入球させる選択をして遊技を進めた場合、「特別遊技」が相対的に短期間で終了しつつも当該「特別遊技」の終了後において「高確率抽選状態」となって「特定遊技状態」となった以降にて次回の大当りを得るまでに相対的に長期間を要する事態に陥ったとしても、大当りに当選するまでの時間が短縮され、遊技者の倦怠感を軽減できるものとなっているので、『「特定領域」への入球有無に応じて、大当り遊技の実行後における遊技状態を選択できるという遊技性』を好適に実現できる(いずれか一方の遊技性が著しく有利になってしまう事態を回避するための調整手段を具備する)こととなるのである。
(4-3)引用文献発明に基づく想到困難性
・・・
しかしながら、主引用発明である引用文献1発明は、『「特定領域」への入球有無に応じて、大当り遊技の実行後における遊技状態を選択できるという遊技性』を創出することについては何ら言及されていないので、「第二可変入賞口に入球した遊技球が入球し得る特定領域」に対して「第二可変入賞口を開放対象とする第二単位遊技の実行中」に遊技球を入球させる選択をして遊技を進めた場合、「特別遊技」が相対的に短期間で終了しつつも当該「特別遊技」の終了後において「高確率抽選状態」となって「特定遊技状態」となった以降にて次回の大当りを得るまでに相対的に長期間を要する事態に陥ることを想定できていない。」

と主張する。

そこで、請求人のこの主張について検討する。

上記第2の3(3)(ア)において示した周知の技術事項1は、請求人の主張する「「第二可変入賞口に入球した遊技球が入球し得る特定領域」に対して「第二可変入賞口を開放対象とする第二単位遊技の実行中」に遊技球を入球させる選択をして遊技を進めた場合、「特別遊技」が相対的に短期間で終了する」効果と同様の効果を奏するものである(例えば上記周知の技術事項1の例として示した刊行物1の段落【0089】?【0089】、図14においては、10R大当り遊技において特定領域300を有する中大入賞装置31の開放時間が5秒で、右大入賞装置35における25秒に対して短く、中大入賞装置31の開放するラウンドが相対的に短時間で終了することが示唆されている。)。
次に、請求人の主張する「「第二可変入賞口に入球した遊技球が入球し得る特定領域」に対して「第二可変入賞口を開放対象とする第二単位遊技の実行中」に遊技球を入球させる選択をして遊技を進めた場合、「特別遊技」が相対的に短期間で終了しつつも当該「特別遊技」の終了後において「高確率抽選状態」となって「特定遊技状態」となった以降にて次回の大当りを得るまでに相対的に長期間を要する事態に陥ったとしても、大当りに当選するまでの時間が短縮され、遊技者の倦怠感を軽減できる」効果について検討する。刊行物1発明は特定領域300(第二可変入賞口に入球した遊技球が入球し得る特定領域)に対して中入賞口31aが開放されるパターン(第二可変入賞口を開放対象とする第二特定遊技の実行中)に遊技球を入球させる選択をして遊技を進めることのできるものであり、一方、上記周知の技術事項2は、特別遊技終了後の変動時間を変化させ得るものである。そして、刊行物1発明に上記周知の技術事項2を適用するに際して特別遊技終了後の変動表示時間を短くした場合に大当りに当選するまでの時間が短縮されることは自明である。したがって、請求人の主張する効果は、刊行物1発明及び上記周知の技術事項2の各々の効果からみて、当業者が予測し得る程度のものに過ぎない。
したがって、本願補正発明の効果は、刊行物1発明及び上記第2の3の3(3)の(ア)及び(イ)で示したパチンコ機における上記周知の技術事項1、2の奏する効果の総和を超えるものでなく、当業者が予測し得る程度のものでしかない。
よって、出願人のこの主張は採用できない。

(4)小括
したがって、本件補正発明は、刊行物1発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
以上のとおり、本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第52条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明
本件補正(平成28年8月10日付け手続補正)は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年3月17日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
遊技球が入球可能な始動口と、
閉状態と開状態とを採り得る第一可変入賞口と、
閉状態と開状態とを採り得る第二可変入賞口と、
第二可変入賞口に入球した遊技球が入球し得る特定領域と、
識別情報を表示可能な識別情報表示部と
を備え、
始動口への入球に基づき、乱数を取得する乱数取得手段と、
乱数取得手段により取得された乱数に基づき、当否判定を実行する当否判定手段と、
当否判定手段による当否判定の結果に基づき、識別情報の停止識別情報を決定する識別情報表示内容決定手段と、
識別情報表示内容決定手段による決定に基づき、識別情報表示部にて識別情報を変動表示した後、識別情報の停止識別情報を停止表示するよう制御する識別情報表示制御手段と、
当否判定手段による当否判定の結果が当選であって識別情報表示部に停止表示された識別情報の停止識別情報が特定停止識別情報であった場合、第一可変入賞口又は第二可変入賞口を遊技者にとって有利な状態とし得る特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
前記当否判定の結果が所定確率で当選となる低確率抽選状態と、前記当否判定の結果が当該所定確率よりも高確率で当選となる高確率抽選状態とを有し、特別遊技の実行終了後において高確率抽選状態とするよう制御し得る抽選状態制御手段と、
通常遊技状態と通常遊技状態よりも始動口へ入球容易となる特定遊技状態とを有し、特別遊技の実行終了後において特定遊技状態とするよう制御し得る遊技状態移行制御手段と、
識別情報の変動表示時間を決定する際に参照されるテーブルとして第一変動パターンテーブルと、第一変動パターンテーブルとは識別情報の変動表示時間の選択傾向が異なる第二変動パターンテーブルとを少なくとも有し、特別遊技の実行終了後において、第一変動パターンテーブルを参照する第一変動期間状態と第二変動パターンテーブルを参照する第二変動期間状態とのいずれかとするよう制御し得る変動期間状態制御手段と
を備え、
第一可変入賞口への一の入球に基づき付与される賞球数と第二可変入賞口への一の入球に基づき付与される賞球数とが異なるよう構成されており、
特別遊技を実行する際には、第一可変入賞口を開放対象とする第一単位遊技と第二可変入賞口を開放対象とする第二単位遊技とのいずれかを実行可能であり、第一単位遊技の実行中における第一可変入賞口の最長開放時間よりも、第二単位遊技の実行中における第二可変入賞口の最長開放時間の方が短くなるよう構成されており、
特定停止識別情報の種類に応じて特別遊技の実行内容が異なり得る一方で、特別遊技の実行内容が互いに同一となる複数種類の特定停止識別情報を有しており、
前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時における特定領域への入球有無に拘わらず、当該特別遊技の実行終了後においては特定遊技状態となることが確定的となる一方で、
前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時における特定領域への入球有無に応じて、当該特別遊技の実行終了後において高確率抽選状態となるか否かが決定されるよう構成されており、
前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時において特定領域への入球があったときには、当該特別遊技の実行終了後において第一変動期間状態とする一方、
前記複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時において特定領域への入球がなかったときには、当該特別遊技の実行終了後において第二変動期間状態とするよう構成されている
ことを特徴とするぱちんこ遊技機。」

2 刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1及びその記載事項並びに刊行物1発明は上記第2の3(1)に記載したとおりである。
そして、原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願日前に頒布された刊行物2である特開2013-240508号公報には、図面とともに次の事項が記載されている。

(2-ア)「【請求項1】
遊技を統括制御する主制御手段と、
始動口への遊技球の入球に起因して特別図柄を変動表示した後で大当り図柄を確定表示することにより大当り遊技状態とするか否かの特図当否判定を実行する特図当否判定手段と、
前記大当り遊技状態となったとき遊技球が入球不能な閉鎖状態から入球可能な開放状態に変化すると共に前記開放状態において遊技球が通過可能となる特定領域を具備してなる大入賞口と、
作動口への入球に起因して当たり遊技状態とするか否かの普図当否判定を実行する普図当否判定手段と、
前記当たり遊技状態となったとき遊技球が入球不能な普電閉鎖状態から入球可能な普電開放状態に変化する普通電動役物と、
前記特図当否判定を低確率で実行する低確率状態と、該低確率状態よりも高い高確率で実行する高確率状態と、
前記普電開放状態において普通電動役物への遊技球の入球が通常時よりも容易となる時短状態と、
を備えた弾球遊技機であって、
前記大当り図柄は、少なくとも第1大当り図柄と第2大当り図柄を備え、
前記第1大当り図柄が選択されたとき、大当り遊技状態の終了後の遊技状態として前記時短状態且つ前記高確率状態と前記時短状態且つ前記低確率状態とを選択する遊技状態事前選択手段と、
前記第1大当り図柄が選択された後の大当り遊技状態中に前記特定領域への遊技球の通過の有無を判定する特定領域通過判定手段と、
該特定領域通過判定手段の判定結果に基づいて、前記遊技状態事前選択手段で選択した前記遊技状態の内から、通過が有った場合は前記時短状態且つ前記高確率状態を選択して制御し、通過が無かった場合は前記時短状態且つ前記低確率状態を選択して制御する第1状態制御手段と、
前記第2大当り図柄が選択されたとき、大当り遊技状態の終了後に前記時短状態且つ前記低確率状態に制御する第2状態制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする弾球遊技機。」

(2-イ)「【0003】
また、多くのパチンコ機には、大当り遊技終了後に遊技者に有利な遊技状態を付与する機能を備えたものがある。この遊技者に有利な遊技状態とは、例えば、通常遊技状態に比べ大当りが生起する確率がアップする確率変動状態(確変状態、確変遊技状態、或いは高確率状態とも呼称する)、始動口となる可変入賞装置(普通電動役物)の作動時間及び作動回数が増加することによって始動口への入球率が通常遊技状態に比べアップする開放延長状態(時短状態或いは時短遊技状態とも呼称する)、及び確変状態と開放延長状態を組合せた遊技状態が主流となっている。また、一般的に確変状態が発生すると、これに付随して時短状態が発生するように構成されている。」

(2-ウ)「【0017】
図1は、本実施例におけるパチンコ機の遊技盤8の正面図である。なお、このパチンコ機の全体的な構成は公知技術に沿っているので図示及び説明は省略する。遊技盤8には公知のガイドレール25a、25bによって囲まれた略円形の遊技領域26が設けられ、図示しない多数の遊技釘が植設されている。遊技領域26の略中央には、窓部28aを有する液晶枠飾り28が設けられており、演出図柄表示装置54b(図2参照)のLCD画面が遊技者から視認可能に構成され、図示しない公知のワープ入口、ワープ通路、ステージ等も設けられている。」

(2-エ)「【0021】
第1始動口31の右上方には、第2大入賞口70(本発明の特定領域を備えた大入賞口に該当)と第2大入賞口70に入球した遊技球を振分ける振り分け装置とが設けられ、該振り分け装置内には特定領域72(本発明の特定領域に該当)と該特定領域72への遊技球の入球が可能な位置と不可能な位置に変位するシャッター部材71が配置されている。本実施例のシャッター部材71は、第2大入賞口70の扉部材が駆動して遊技球の入球が可能な状態になると特定領域72への遊技球の入球が可能な位置に変位し、特定領域72に遊技球が入球(特定領域スイッチ72aが遊技球を検出)すると、特定領域72への遊技球入球が不可能な位置に戻る。従って、第2大入賞口70の扉部材が駆動しない大当り遊技時及び通常時は、シャッター部材71は特定領域72に遊技球が入球不可能な位置で停止している。」

(2-オ)「【0056】
S130では、時短フラグが0か否か判定する(S130)。否定判定なら(S130:no)、時短状態中の処理に進む。本実施例では、後述する複数種類の時短状態(時短フラグ=1、2)を備えるものであって、各々で選択する変動パターンテーブルが異なるように構成されている。但し、当該構成を除けば基本的にこの処理は公知の処理と何ら変わりないため、具体的な図示は割愛する。」

(2-カ)「【0070】
モードバッファと各種フラグ及び各種カウンタとの関係について説明する。
モードバッファが「0」の場合、大当り遊技終了時に、確変フラグを「0」、時短フラグを「1」、時短カウンタを「100」に設定する。
モードバッファが「1」の場合、大当り遊技終了時に特定領域72への通過が確認出来れば、確変フラグを「1」、時短フラグを「1」、確変カウンタ及び時短カウンタを「10000」に設定する。
モードバッファが「1」の場合、大当り遊技終了時に特定領域72への通過が確認出来なければ、確変フラグを「0」、時短フラグを「2」、時短カウンタを「100」に設定する。
なお、確変フラグは、主制御装置50にて記憶される値であり、確変フラグの値が「0」のときは、大当り確率が通常状態中(通常確率)であることを、確変フラグの値が「1」のときは、確変状態(高確率状態)であることを主制御装置50が判断するための値である。」

(2-キ)
「【0092】
S560が否定判定、即ち特定領域入球フラグが0ならば(S560:no)、大当り遊技終了後の遊技状態を「通常確率非常時短100回」とするために、確変フラグに0を設定し(S585)、確変カウンタに0を設定し(S590)、時短フラグに2を設定し(S595)、時短カウンタに100を設定する(S597)。」

(2-ク)
【請求項1】には「前記大当り遊技状態となったとき遊技球が入球不能な閉鎖状態から入球可能な開放状態に変化すると共に前記開放状態において遊技球が通過可能となる特定領域を具備してなる大入賞口・・・を備えた弾球遊技機」と記載され、段落【0017】には、「本実施例におけるパチンコ機の遊技盤8の正面図である。」と記載されている。よって、【請求項1】の記載事項により、開放状態の大入賞口に遊技球が入球可能であり、遊技球が特定領域を通過可能なことが明らかである。
したがって、【請求項1】の記載事項により、刊行物2には、遊技球が入球可能な開放状態に変化する大入賞口と、大入賞口に入球した遊技球が通過可能な特定領域とを備えるパチンコ機について記載されているといえる。

(2-ケ)【請求項1】には、「大当り遊技状態とするか否かの特図当否判定・・・前記特図当否判定を低確率で実行する低確率状態と、該低確率状態よりも高い高確率で実行する高確率状態と、前記普電開放状態において普通電動役物への遊技球の入球が通常時よりも容易となる時短状態と、を備えた弾球遊技機・・・大当り遊技状態の終了後の遊技状態として前記時短状態且つ前記高確率状態と前記時短状態且つ前記低確率状態とを選択する遊技状態事前選択手段と、・・・第1大当り図柄が選択された後の大当り遊技状態中に前記特定領域への遊技球の通過の有無を判定する特定領域通過判定手段と、該特定領域通過判定手段の判定結果に基づいて、・・・通過が有った場合は前記時短状態且つ前記高確率状態を選択して制御し、通過が無かった場合は前記時短状態且つ前記低確率状態を選択して制御する第1状態制御手段と、・・・備えたことを特徴とする弾球遊技機。」と記載され、段落【0003】には、「通常遊技状態に比べ大当りが生起する確率がアップする確率変動状態(確変状態、確変遊技状態、或いは高確率状態とも呼称する)・・・始動口への入球率が通常遊技状態に比べアップする開放延長状態(時短状態或いは時短遊技状態とも呼称する)」と記載され、段落【0017】には、「本実施例におけるパチンコ機の遊技盤8の正面図である。」と記載されている。
したがって、【請求項1】、上記段落【0003】、【0017】の記載事項により、刊行物1には、大当り遊技状態とするか否かの特図当否判定を、大当りが生起する確率を低確率として実行する低確率状態と、大当りが生起する確率を高確率として実行する高確率状態とを有し、大当り遊技状態の終了後の遊技状態として前記高確率状態を選択可能な第1状態制御手段を有し、
通常遊技状態と、始動口への入球率が当該通常遊技状態に比べアップする時短状態を有し、前記第前記1状態制御手段は、大当り遊技状態の終了後の遊技状態として前記時短状態を選択して制御可能であり、
前記1状態制御手段は、第1大当り図柄が選択された後の大当り遊技状態中に前記特定領域への遊技球の通過が有った場合は前記時短状態且つ前記高確率状態を選択して制御し、通過が無かった場合は前記時短状態且つ前記低確率状態を選択して制御する、パチンコ機について記載されているといえる。

(2-コ)【請求項1】には「遊技球が通過可能となる特定領域・・・第1大当り図柄が選択された後の大当り遊技状態中に前記特定領域への遊技球の通過の有無を判定」と記載され、段落【0022】には、「特定領域72(本発明の特定領域に該当)」と記載され、段落【0056】には「複数種類の時短状態(時短フラグ=1、2)を備えるものであって、各々で選択する変動パターンテーブルが異なるように構成されている。」と記載され、段落【0070】には、「特定領域72への通過が確認出来れば、確変フラグを「1」、時短フラグを「1」・・・に設定する。
・・・特定領域72への通過が確認出来なければ、確変フラグを「0」、時短フラグを「2」、・・・に設定する。
・・・確変フラグの値が「0」のときは、大当り確率が通常状態中(通常確率)であることを、確変フラグの値が「1」のときは、確変状態(高確率状態)であること」と記載されている。
上記段落【0022】、【0056】、【0070】、【0092】の記載事項により、刊行物2には、第1大当り図柄が選択された後の大当り遊技状態中に遊技球の特定領域への通過が確認出来れば設定される時短フラグ「1」の高確率状態の時短状態と、遊技球の特定領域への通過が確認出来なければ設定される時短フラグ「2」の通常確率の時短状態100回を備え、時短フラグ「1」の高確率状態の時短状態と、時短フラグ「2」の通常確率の時短状態とで、それぞれ選択する変動パターンテーブルが異なるように構成されたことについて記載されているといえる。

上記(2-ア)?(2-キ)の記載事項、及び(2-ク)?(2-コ)の認定事項を総合すると、刊行物2には、次の事項(以下、「刊行物2発明」という。)が記載されていると認められる。
「遊技球が入球可能な開放状態に変化する大入賞口と(上記認定事項(2-ク))、
大入賞口に入球した遊技球が通過可能な特定領域とを有し(上記認定事項(2-キ))、
大当り遊技状態とするか否かの特図当否判定を、大当りが生起する確率を低確率として実行する低確率状態と、大当りが生起する確率を高確率として実行する高確率状態とを有し、大当り遊技状態の終了後の遊技状態として前記高確率状態を選択可能な第1状態制御手段と、を有し(上記認定事項(2-コ))、
通常遊技状態と、始動口への入球率が当該通常遊技状態に比べアップする時短状態を有し、前記第前記1状態制御手段は、大当り遊技状態の終了後の遊技状態として前記時短状態を選択して制御可能であり(上記認定事項(2-ケ))、
前記1状態制御手段は、第1大当り図柄が選択された後の大当り遊技状態中に前記特定領域への遊技球の通過が有った場合は前記時短状態且つ前記高確率状態を選択して制御し、通過が無かった場合は前記時短状態且つ前記低確率状態を選択して制御し(上記認定事項(2-ケ))、
第1大当り図柄が選択された後の大当り遊技状態中に遊技球の特定領域への通過が確認出来れば設定される時短フラグ「1」の高確率状態の時短状態と、遊技球の特定領域への通過が確認出来なければ設定される時短フラグ「2」の通常確率の時短状態を備え、時短フラグ「1」の高確率状態の時短状態と、時短フラグ「2」の通常確率の時短状態100回とで、それぞれ選択する変動パターンテーブルが異なるように構成された(上記認定事項(2-コ))、
パチンコ機。」

3 対比・判断
本願発明は、上記第2で検討した本願補正発明から「特別遊技の実行終了後において特定遊技状態となる場合」について「おり、特別遊技の実行終了後において特定遊技状態となる場合、識別情報の変動表示開始から停止表示までを一単位とし、識別情報の変動表示時間を決定する際に参照されるテーブルとして第一変動パターンテーブルとも第二変動パターンテーブルとも識別情報の変動表示時間の選択傾向が異なる第三変動パターンテーブルを更に有し、特別遊技の実行時において特定領域への入球があった場合には、当該特別遊技の実行終了後から起算して前記一単位が所定回数行われた後は、第三変動パターンテーブルを参照する第三変動期間状態とするよう構成されている」と限定を付加した部分を省いたものである。
そうすると、本願発明と刊行物1発明とは、前記第2 3(2)に示した点で一致し、前記第2 3(2)に示した相違点1及び次の相違点2’で相違する。

[相違点2’](構成M、R1、R2)
特別遊技の実行時における特定領域への入球有無に拘わらず、当該特別遊技の実行終了後においては特定遊技状態となることが確定的となる一方で、特別遊技の実行時における特定領域への入球有無に応じて、当該特別遊技の実行終了後において高確率抽選状態となるか否かが決定されるよう構成されているぱちんこ遊技機(構成Q1、Q2)において、
本願発明は、「識別情報の変動表示時間を決定する際に参照されるテーブルとして、第一変動パターンテーブルと、第一変動パターンテーブルとは識別情報の変動表示時間の選択傾向が異なる第二変動パターンテーブルとを少なくとも有し、特別遊技の実行終了後において、第一変動パターンテーブルを参照する第一変動期間状態と第二変動パターンテーブルを参照する第二変動期間状態とのいずれかとするよう制御し得る変動期間状態制御手段とを備え」(構成M)、「複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時において特定領域への入球があったときには、当該特別遊技の実行終了後において第一変動期間状態とする一方、複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時において特定領域への入球がなかったときには、当該特別遊技の実行終了後において第二変動期間状態とするよう構成されて」いる(構成R1、R2)のに対して、刊行物1発明はそのような構成を有していない点。

そして、上記相違点1については、前記第2 3(3)(ア)において検討したとおり当業者が容易になし得たものである。

そこで、上記相違点2’について検討する。
刊行物1発明においては、特定領域へ入球があったことにより特別遊技の実行終了後に確変かつ時短(開放時間延長機能の作動時の特別図柄の変動時間短縮については段落【0124】を参照されたい。)状態となり、特定領域へ入球がなかったことにより特別遊技の実行終了後に非確変かつ時短状態となるものである。
一方、刊行物2発明は「大入賞口に入球した遊技球が通過可能な特定領域とを有し」「第1状態制御手段は、第1大当り図柄が選択された後の大当り遊技状態中に前記特定領域への遊技球の通過が有った場合は前記時短状態且つ前記高確率状態を選択して制御し、通過が無かった場合は前記時短状態且つ前記低確率状態を選択して制御」する構成を有するから、大当り遊技状態中に特定領域への遊技球の通過が有ったかどうかにかかわらず、時短状態に制御される一方、当該特定領域への遊技球の通過の有無に応じて高確率状態とされるか否かが決定されるものである。
そうすると、刊行物1発明と刊行物2発明とは、共に、大当り遊技中において大入賞口の特定領域への入球の有無に応じて、大当り遊技終了後の遊技状態が、時短且つ高確率状態となるか、時短且つ低確率状態となるかが決定されるパチンコ機に関するものである。

ここで、一般に、「変動パターンテーブル」は、識別情報の変動表示時間とその選択率が設定されているものであるから識別情報の変動表示時間の選択傾向を規定するテーブルであるといえる。
そうすると、刊行物2発明の「時短フラグ「1」の高確率状態の時短状態と、時短フラグ「2」の通常確率の時短状態とで、それぞれ選択する変動パターンテーブルが異なる」構成は、本願発明の「特別遊技の実行時において特定領域への入球があったときには、当該特別遊技の実行終了後において」「第一変動パターンテーブルを参照する」「第一変動期間状態とする一方、複数種類の特定停止識別情報の内のいずれかが停止表示された場合、特別遊技の実行時において特定領域への入球がなかったときには、当該特別遊技の実行終了後において」「第一変動パターンテーブルとは識別情報の変動表示時間の選択傾向が異なる第二変動パターンテーブル」「を参照する」「第二変動期間状態とする」構成を意味する。

したがって、刊行物1発明における第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示を行う際の制御に刊行物2発明を適用して、大当り遊技の実行時において特定領域への入球があるか否かに応じて、当該大当り遊技の実行終了後に、時短付き高確率状態と所定回数の時短付きの低確率状態との何れかに制御され、時短付き高確率状態と所定回数の時短付きの低確率状態との何れに制御されるかに応じて異なる変動パターンテーブルを参照し、上記相違点2’に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

よって、本願発明は、刊行物1発明、刊行物2発明、及び、上記周知の技術事項1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本願は、拒絶されるべきものである。
 
審理終結日 2017-04-27 
結審通知日 2017-05-02 
審決日 2017-05-16 
出願番号 特願2014-166177(P2014-166177)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高藤 華代  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 長崎 洋一
金田 理香
発明の名称 ぱちんこ遊技機  
代理人 伊藤 温  

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