ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F21S 審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 F21S 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F21S |
---|---|
管理番号 | 1329910 |
審判番号 | 不服2016-8390 |
総通号数 | 212 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-08-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-06-07 |
確定日 | 2017-07-21 |
事件の表示 | 特願2011-259617号「照明装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月10日出願公開、特開2013-114875号、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年11月28日の出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。 平成27年 6月18日付け 拒絶理由通知 9月10日 意見書、手続補正書の提出 平成28年 2月 9日付け 拒絶査定 6月 7日 審判請求書及び手続補正書の提出 平成29年 2月 8日付け 拒絶理由通知 4月19日 意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1?5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明5」という。)は、平成29年4月19日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願発明1は以下のとおりである。 「【請求項1】 導光板と、前記導光板の側面に設けられたLED光源部と、前記LED光源部を収容すべく構成された筐体とを備えた照明装置であって、 前記導光板から出射される光線の通過位置に光触媒が配設され、前記LED光源部が、前記光触媒を励起し得る波長の光線を照射すべく構成されており、 前記LED光源部が、白色系LEDと、紫外線を含む光線を照射する青色系LEDとを用いて構成されており、 前記導光板から光線が出射される出射面側に拡散シートが設けられ、前記拡散シートに前記光触媒が担持されており、 前記導光板における前記出射面と対向する、前記導光板の底面側に第一反射シートが設けられており、 前記筐体は、断面コ字形状に形成され、前記筐体の内壁には、第二反射シートが設けられており、 前記筐体の形状に沿って断面コ字形状に設けられた前記第二反射シートの一方の内面側に前記拡散シートが重なるように前記導光板が配設されており、 前記筐体の形状に沿って断面コ字形状に設けられた前記第二反射シートの他方の内面側に前記第一反射シートが重なるように前記導光板が配設されている ことを特徴とする照明装置。」 なお、本願発明2?5の概要は以下のとおりである。 ・本願発明2?4は、本願発明1の「前記LED光源部が、白色系LEDと、紫外線を含む光線を照射する青色系LEDとを用いて構成されており」との事項に限定を付加し、独立形式で記載したものである。 ・本願発明5は、本願発明1?4のいずれか1項を引用し限定を付加したものである。 第3 引用文献 1.引用文献1に記載の事項及び引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-273309号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【請求項1】 ピーク波長350?390nmの波長を発するLED(1)と可視光を発するLED(2)及び/又は白色光を発するLED(3)とからなることを特徴とするLED光源。 ・・・ 【請求項3】 光源からの光により発光する面発光体の少なくとも1つ以上の側端部に請求項1又は2に記載のLED光源が配設されたことを特徴とする表示体。 【請求項4】 前記面発光体が、第1の光散乱剤を含む皮膜層、及び第2の光散乱剤を含む基材層とを有し、前記基材層の厚さに対する前記皮膜層の厚さの比が1/300?1/7であり、前記基材層の光散乱剤濃度に対する前記皮膜層の光散乱剤濃度の比が100/1?2000/1である請求項3に記載の表示体。 ・・・ 【請求項8】 前記面発光体の表面の少なくとも一方の主面に光触媒(A)及びバインダー成分(B)を含む光触媒組成物(C)からなる光触媒層が被覆されている請求項4?7のいずれかに記載の表示体。」 イ 「【0001】 本発明は、長期間にわたり光触媒活性及び/または高度に親水性である光触媒表層部を有し、光源からの光により発光する発光体を備えた表示体、及び該表示体に用いられるLED光源に関する。」 ウ 「【0031】 本発明に用いられる上記LED光源(1)としては、後述する光触媒層の構成成分である光触媒(A)のバンドギャップエネルギーより高いエネルギーの光(励起光)を発するものであれば良い。具体的には、日亜化学工業株式会社製NSHU550A、NSHU590A、NSHU550B、NSHU590B、NCCU001、NCCU033等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。」 エ 「【0197】 (4)視認性-1 面発光体の光触媒層で被覆されていない側(裏面)に1cm角の黒色格子模様(線幅1mm)を印刷し、光源を点灯し、格子の見え具合を4段階評価した。・・・」 オ 「【0230】 [実施例1?5、比較例1?4] 参考例1?9で成形した面発光体の裏面に視認性-1評価用印刷を施した後、参考例13で調整した光触媒組成物(C-1)を表面上に膜厚が約3μmとなるようにスプレー塗布した後、室温で2日間乾燥し、続いて50℃にて3日間加熱することにより平滑な光触媒含有皮膜を有する面発光体(D-1?9)を得た。 【0231】 該面発光体を暗室内に設置された図2に示す表示体に組み込んだ。図2は当該表示体の断面模式図であり、図中、1は面発光体、3はLED光源、4はランプハウス、5は光触媒層、6は印刷層で1cm角の格子である。LED光源のLED(1)として日亜化学工業株式会社製NSHU590B(ピーク波長365nm)、LED(3)として日亜化学工業株式会社製NSPW500BS(白色)を交互に配設して使用した。」 カ 【図2】から、ランプハウス4は断面コ字形状であると看取しうる。 上記ア?カの事項及び【図2】の記載からみて、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 〔引用発明〕 「面発光体1の少なくとも1つ以上の側端部に設けられたLED光源3と、LED光源3を収容するランプハウス4とを備えた表示体であって、 面発光体1の表面の一方の主面に光触媒層5が被覆され、他方の主面に格子模様の印刷層6が印刷され、 LED光源3が、白色光を発するLED(3)と、光触媒層を励起し得るピーク波長365nmの光を発するLED(1)とを用いて構成されており、 ランプハウス4は断面コ字形状である、表示体。」 2.引用文献2に記載の事項 原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-108769号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 キ 「【請求項1】 一面が開口した下フレームと、前記開口側に配置される面状の拡散部材と、前記拡散部材の背後に配置される光源と、前記下フレームの開口側に配置される上フレームと、を備え、 前記下フレーム及び拡散部材により形成され前記光源が配置される内部空間と、外部とが通気可能に構成されており、 かつ、前記内部空間に面した部分の最表面が、光触媒面に形成されていることを特徴とする直下型バックライト。」 ク 「【0014】 以下、本発明の好ましい実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る直下型バックライトの構造の概略を示す断面図である。本形態に係る直下型バックライトは、例えば液晶表示装置の背面側に配置されるバックライトとして用いられ、一面が開口した下フレーム11と、前記開口を塞ぐように配置される面状の拡散部材としての拡散板12と、前記拡散板12の背後(直下)に配置される光源13と、拡散板12の上に複数の光学シート15a、15b、15c(これらをまとめて「光学シート15」という)を介して配置される上フレーム14とを備えて構成されている。そして、下フレーム11と拡散板12とにより内部空間Sが形成され、また上下フレーム11,14により直下型バックライトの筺体が構成されている。」 ケ 「【0021】 また、下フレーム11の内壁面側及び拡散板12の裏面側(内部空間Sに面した部分)には、光触媒活性化合物を含む透明な光触媒層21が形成されている。詳細には、図2を参照して、下フレーム11の内壁面側には、拡散反射層16上に、粘着剤層25、透明基材24、保護層23、光触媒性化合物からなる光触媒活性化合物層22がこの順で形成されて、光触媒層21が形成されている。これにより、下フレーム11の内壁面側の最表面は、光触媒活性化合物が露出した光触媒面21aに形成されている。一方、図3を参照して、拡散板12の裏面側には、同様に、粘着剤層25、透明基材24、保護層22、光触媒活性化合物からなる光触媒性化合物層21がこの順で形成されて、光触媒層21が形成されている。これにより、拡散板12の裏面側の最表面は、光触媒活性化合物が露出した光触媒面21aに形成されている。」 コ 「【0025】 なお、上記光触媒層21は、光触媒フィルムを用いて形成する方法以外にも、光触媒活性化合物を含有する顔料などを用いて直接形成する方法であってもよい。また、本発明は、層状に形成する場合に限らず、反射シート16や拡散板12に光触媒活性化合物を練り込んで下フレーム11の内壁面側及び拡散板12の裏面側(内部空間Sに面した部分)を光触媒面21aにするようにしてもよい。但し、光触媒活性化合物の露出量が少ないとダストの酸化分解を充分に行うことができないおそれがあるので、一面全てが、光触媒活性化合物が露出した光触媒面21aに形成されているのが好ましい。」 3.引用文献3に記載の事項 原査定時に周知の事項を示す文献として提示された特開2005-135860号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 サ 「【0012】 (第1の実施の形態) 以下に、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図4を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態であるLEDバックライト装置の断面図である。 【0013】 本発明のLEDバックライト装置は、導光板1、光学シート2、筐体3、拡散シート4、基板5、発光ダイオード6で構成されている。 【0014】 導光板1は、アクリルなどの透明な材料からなり、出光面1a、反射面1b、およびこれらを接続する端面を有する形状である。 【0015】 出光面1aは、主として導光板1に入射した光を出光する面であり、出射光がバックライトの光として利用される。 【0016】 反射面1bは、主として導光板1内で入射光を全反射させるための面である。 【0017】 端面は、出光面1aと反射面1bを相互に接続する面であり、入光面1cとその他の反 射面(図示していない)を含んでいる。入光面1cは、主として発光ダイオード6からの出射光が入射する面である。その他の反射面は、主として入光面1cから入射した光を全反射する面である。」 シ 「【0024】 導光板1の入光面1cに光を導く筐体3は、耐熱性に優れ、軽量で、丈夫な金属や樹脂から成り、底板3aと側壁3bからなる。 【0025】 底板3aは、基板5や発光ダイオード6を配設するための部材であり、導光板1の入光面1cとほぼ平行に配置される。 【0026】 側壁3bは、発光ダイオード6から出射した光を導光板1の入光面1cに導くための導光空間3cを形成する壁である。この側壁3bは、基板5に配置される全ての発光ダイオード6を囲むように底板3aの縁端より延出し、導光板1の入光面1cの端部まで伸びることで発光ダイオード6からの出射光を外に漏らさず、導光板1の入光面1cに入射させている。 【0027】 この筐体3の少なくとも側壁3bの内壁には、銀、アルミなどの金属をメッキ蒸着して鏡面反射性を有する鏡面反射層3dを形成している。これにより、筐体3の内壁が高い反射性を有するために、発光ダイオード6からの出射光が内壁で反射することによる損失を抑えることができる。ここで、鏡面反射層3dは、鏡面反射シートを配設することなどによっても形成することができる。さらに、筐体3の内壁に鏡面反射層3dを形成した上に拡散シート4が配設される。」 4.引用文献4に記載の事項 原査定時に周知の事項を示す文献として提示された特開2006-310221号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ス 「【0030】 以下に、図1、図2、および図3を参照して、本発明の実施の形態に係るエッジ入力型バックライトについて説明する。なお、図1はエッジ入力型バックライトにおける光源部の構成を示し、図2は光源部と導光部と結合部材である金属P板の構成を示し、図3は光源部を結合部材である樹脂フレームに取り付ける様子を示す。 【0031】 図1(a)に、本実施の形態にかかるエッジ入力型バックライトに用いられる光源部を導光板側から見た上面図を表し、図1(b)に図1(a)におけるIB-IB断面を示す。図1(a)に示すように、複数のLEDチップ421が細長い矩形状のアレイモジュール基板422上に配列され、接続され、透明な封止樹脂部423で封止されて、LEDアレイモジュール420が形成される。 【0032】 図1(b)に示すように、金属P板430は、金属板金433の上に絶縁層432が形成され、絶縁層432の上に配線プリント層431が形成されて構成されている。なお、金属P板430は、図1(b)に示すように、4辺形の断面形成するように立体的に折り曲げられ成形されている。具体的には、金属P板430pは、互いに対応する側壁Ws1およびWs2、当該側壁Ws1およびWs2を接続する低壁Wsb、側壁Ws2から離反する方向に延在する支持壁Wsを有している。 【0033】 複数個のLEDアレイモジュール420が、ほぼ直線状になるように金属P板430の低壁Wsb上に配列される。鏡面反射シート451および461はLEDアレイモジュール420の側面に対向するように金属P板430に貼り付けられる。」 第4 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 後者の「面発光体1」は、その機能からみて、前者の「導光板」に相当する。 後者の「面発光体1の少なくとも1つ以上の側端部に設けられたLED光源3」は、前者の「導光板の側面に設けられたLED光源部」に相当する。 後者の「LED光源3を収容するランプハウス4」は、前者の「LED光源部を収容すべく構成された筐体」に相当する。 後者の「表示体」は、照明装置を内包するものであるので、前者の「照明装置」に相当する。 後者の「面発光体1の表面の一方の主面に光触媒層5が被覆され」ることは、面発光体1の表面は光出射面であるので、前者の「導光板から出射される光線の通過位置に光触媒が配設され」ることに相当する。 後者の「白色光を発するLED(3)」は、前者の「白色系LED」に相当し、後者の「光触媒層を励起し得るピーク波長365nmの光を発するLED(1)」は、前者の「紫外線を含む光線を照射する青色系LED」に相当する。 後者の「LED光源3が、白色光を発するLED(3)と、光触媒層を励起し得るピーク波長365nmの光を発するLED(1)とを用いて構成され」ることは、前者の「LED光源部が、白色系LEDと、紫外線を含む光線を照射する青色系LEDとを用いて構成され」ることに相当するとともに、「LED光源部が、光触媒を励起し得る波長の光線を照射すべく構成され」ることに相当する。 後者の「ランプハウス4は断面コ字形状である」は、前者の「筐体は、断面コ字形状に形成され」ることに相当する。 そうすると、本願発明1と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。 〔一致点〕 「導光板と、前記導光板の側面に設けられたLED光源部と、前記LED光源部を収容すべく構成された筐体とを備えた照明装置であって、 前記導光板から出射される光線の通過位置に光触媒が配設され、前記LED光源部が、前記光触媒を励起し得る波長の光線を照射すべく構成されており、 前記LED光源部が、白色系LEDと、紫外線を含む光線を照射する青色系LEDとを用いて構成されており、 前記筐体は、断面コ字形状に形成された、照明装置。」 〔相違点1〕 本願発明1は「導光板から光線が出射される出射面側に拡散シートが設けられ、拡散シートに光触媒が担持されており」との事項を有しているのに対して、引用発明はそのような事項を備えていない点。 〔相違点2〕 本願発明1は「導光板における出射面と対向する、導光板の底面側に第一反射シートが設けられており」との事項を有しているのに対して、引用発明はそのような事項を備えていない点。 〔相違点3〕 本願発明1は「筐体の内壁には、第二反射シートが設けられており、筐体の形状に沿って断面コ字形状に設けられた第二反射シートの一方の内面側に拡散シートが重なるように導光板が配設されており、筐体の形状に沿って断面コ字形状に設けられた第二反射シートの他方の内面側に第一反射シートが重なるように導光板が配設されている」との事項を有しているのに対して、引用発明はそのような事項を備えていない点。 (2)判断 事案に鑑み、相違点3について以下検討する。 相違点3に係る本願発明1の構成は、 (ア)「光触媒を励起し得る波長の光線」である「紫外線を含む光線」を照射する「青色系LED」を備えた「LED光源部」を収容した筐体に対して、その断面コ字形状の内壁に「筐体の形状に沿って断面コ字形状に設けられた第二反射シート」を有し、さらに、 (イ)前記の紫外線を含む光線を照射する「LED光源部」を収容した筐体に対して、第二反射シートの「一方の内面側に拡散シートが重なるように導光板が配設され」、「他方の内面側に第一反射シートが重なるように導光板が配設され」る との構成からなるものである。 これに対して、引用文献2には、直下型バックライトの拡散板12に光触媒活性化合物を練り込んで構成することは記載されているものの、上記(ア)、(イ)の事項を示唆するものではない。 また、引用文献3には、筐体3の少なくとも側壁3bの内壁に鏡面反射層3dを形成することが記載されている(上記「第3 3.シ」の段落【0027】参照)。 さらに、引用文献4には、金属P板430の低壁Wsb上に配列された複数個のLEDアレイモジュール420の側面に対向するように鏡面反射シート451および461が属P板430に貼り付けられることが記載されている(上記「第3 4.ス」の段落【0033】参照)。 引用文献3、4には、筐体の側壁に反射層を形成することが共通する事項として導き出せるといえる。 しかしながら、引用文献3、4に記載の事項は、上記(ア)、(イ)の事項を直接的に示唆するものではなく、また技術常識に照らしても、少なくとも上記(イ)の事項のように、内部に紫外線を含む光線を照射する光源部を収容した筐体の内面側が、一方で導光体表面の拡散シートと重なり、他方で導光体裏面の反射シートに重なるとの構成を示唆するものでもない。 そうすると、引用発明を、相違点3に係る本願発明1の構成とすることは、引用文献2?4に記載の事項から当業者が容易に想到し得るとはいえない。 したがって、上記相違点1、2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2?4に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 2.本願発明2?5について 本願発明2?5も、本願発明1の相違点3に係る構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2?4、及び、原査定時に請求項5に対する拒絶の理由に引用された特開2011-96602号公報(以下、「引用文献5」という。)に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 第5 原査定の概要及び原査定についての判断 原査定は、請求項1?4に係る発明は、上記引用文献1?4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項5に係る発明は、上記引用文献1?5に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。 しかしながら、平成29年4月19日の手続補正により補正された請求項1?5は、それぞれ「筐体の内壁には、第二反射シートが設けられており、筐体の形状に沿って断面コ字形状に設けられた第二反射シートの一方の内面側に拡散シートが重なるように導光板が配設されており、筐体の形状に沿って断面コ字形状に設けられた第二反射シートの他方の内面側に第一反射シートが重なるように導光板が配設されている」との事項を有するものとなっており、上記「第4」で述べたとおり、本願発明1?5は、上記引用文献1に記載された発明及び上記引用文献2?5に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第6 当審拒絶理由について 1.特許法第17条の2第3項について 当審では、請求項1?4の「前記第二反射シートの一方の内面側に前記拡散シートが挿入して設けられ、前記拡散シートの表面と前記第二反射シートの一方の内面とが隙間無く接合されており」との事項、及び、「前記第二反射シートの他方の内面側に前記第一反射シートが挿入して設けられ、前記第一反射シートの表面に対向する面と前記第二反射シートの他方の内面とが隙間無く接合されている」との事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内でないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年4月19日の手続補正において、「前記第二反射シートの一方の内面側に前記拡散シートが重なるように前記導光板が配設されており」及び「前記第二反射シートの他方の内面側に前記第一反射シートが重なるように前記導光板が配設されている」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。 2.特許法第36条第6項第1号について 当審では、上記1.で指摘した請求項1?4の事項は、明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではないとの拒絶の理由を通知しているが、上記1.と同様に、平成29年4月19日の手続補正により、この拒絶の理由は解消した。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1?5は、当業者が引用発明及び引用文献2?5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-06-12 |
出願番号 | 特願2011-259617(P2011-259617) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(F21S)
P 1 8・ 537- WY (F21S) P 1 8・ 55- WY (F21S) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松田 長親、柿崎 拓、石井 孝明 |
特許庁審判長 |
和田 雄二 |
特許庁審判官 |
尾崎 和寛 平田 信勝 |
発明の名称 | 照明装置 |
代理人 | 荒木 憲一 |