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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H04N
審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H04N
管理番号 1330052
異議申立番号 異議2016-700732  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-08-12 
確定日 2017-05-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5860189号発明「撮像装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5860189号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。 特許第5860189号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
特許5860189号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、2014年(平成26年) 4月16日(優先権主張2013年 4月26日、日本国)を国際出願日とする出願であって、その手続の概要は以下のとおりである。

登録 :平成27年12月25日
公報発行 :平成28年 2月16日
特許異議申立人羽根均による特許異議の申立
:平成28年 8月12日
取消理由 :平成28年10月12日(起案日)
訂正請求 :平成28年12月15日
意見 :平成28年12月15日
特許異議申立人羽根均による意見
:平成29年 2月13日


第2.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)ないし(5)のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記表示画面に対して、設定された前記視野角に基づき縮小表示されたライブビュー画像を生成する表示用画像生成部と、」と記載されているのを、「前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像、及び、設定された前記視野角に基づき、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を生成する表示用画像生成部と、」に訂正する(請求項1を引用する請求項2?10も同様に訂正する)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、
「(前略)
所定サイズの表示画面を有し、前記表示画面に前記ライブビュー画像を表示する電子ビューファインダと、
前記電子ビューファインダの表示画面に表示される前記被写体の視野角を設定する視野角設定部と、
(中略)
前記1フレーム周期よりも短い遅延時間で前記イメージセンサの駆動タイミングと前記電子ビューファインダの表示タイミングとを同期させ、前記表示画面に前記ライブビュー画像の順次表示させる表示タイミング制御部と、
(後略)」
と記載されているのを、
「(前略)
所定サイズの表示画面を有し、前記表示画面に、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を表示する電子ビューファインダと、
前記電子ビューファインダの前記表示画面に表示される前記被写体の視野角を設定する視野角設定部と、
(中略)
前記1フレーム周期よりも短い遅延時間で前記イメージセンサの駆動タイミングと前記電子ビューファインダの表示タイミングとを同期させ、前記表示画面に、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を順次表示させる表示タイミング制御部と、
(後略)」
に訂正する(請求項1を引用する請求項2?10も同様に訂正する)。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「前記1フレーム周期の最後に、設定された前記視野角に応じたブランキング期間を設定し、前記ブランキング期間の開始前に前記撮像信号の読み出しを完了し、かつ、前記表示用画像生成部が使用するタイミングよりも前に前記撮像信号の読み出しを完了させることにより、前記イメージセンサの駆動タイミングと前記電子ビューファインダの表示タイミングとの同期を維持させるブランキング期間設定部と、」と記載されているのを、「前記1フレーム周期の最後に、設定された前記視野角に応じたブランキング期間を設定し、前記ブランキング期間の開始前に前記撮像信号の読み出しを完了し、かつ、前記表示用画像生成部が、前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像を、縮小された前記ライブビュー画像の生成に使用するタイミングよりも前に前記撮像信号の読み出しを完了させることにより、前記イメージセンサの駆動タイミングと前記電子ビューファインダの表示タイミングとの同期を維持させるブランキング期間設定部と、」に訂正する(請求項1を引用する請求項2?10も同様に訂正する)。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項10に「前記ライブビュー画像を前記表示画面に全画面表示した状態から、前記縮小表示されたライブビュー画像の表示に切り替える場合に、前記縮小表示されたライブビュー画像を表示させるフレームの前の少なくとも1フレームで、前記縮小表示されたライブビュー画像が適用される領域を示すマスクデータを全画面サイズの前記ライブビュー画像に重畳して表示させる請求の範囲第1?9項のうちいずれか1項に記載の撮像装置。」と記載されているのを、「前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像を前記表示画面に全画面表示した状態から、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像の表示に切り替える場合に、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を表示させるフレームの前の少なくとも1フレームで、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像が適用される領域を示すマスクデータを全画面サイズの前記ライブビュー画像に重畳して表示させる請求の範囲第1?9項のうちいずれか1項に記載の撮像装置。」に訂正する。

(5)訂正事項5
ア.
明細書の段落0012に
「本発明の撮像装置は、イメージセンサ、信号処理部、電子ビューファインダ、視野角設定部、表示用画像生成部、表示タイミング制御部、ブランキング期間設定部を備える。イメージセンサは、被写体を撮像し、1フレーム周期毎に1枚のライブビュー画像を生成するための撮像信号を出力する。信号処理部は、撮像信号に基づいてライブビュー画像を生成する。電子ビューファインダは、所定サイズの表示画面を有し、この表示画面にライブビュー画像を表示する。視野角設定部は、電子ビューファインダの表示画面に表示される被写体の視野角を設定する。表示用画像生成部は、表示画面に対して設定された視野角に基づき縮小表示されたライブビュー画像を生成する。表示タイミング制御部は、1フレーム周期よりも短い遅延時間でイメージセンサの駆動タイミングと電子ビューファインダの表示タイミングとを同期させ、表示画面にライブビュー画像の順次表示させる。ブランキング期間設定部は、1フレーム周期の最後に、設定された視野角に応じたブランキング期間を設定する。そして、ブランキング期間の開始前に撮像信号の読み出しを完了し、かつ、表示用画像生成部が使用するタイミングよりも前に撮像信号の読み出しを完了させることにより、前記イメージセンサの駆動タイミングと電子ビューファインダの表示タイミングとの同期を維持させる。」
と記載されているのを、
「本発明の撮像装置は、イメージセンサ、信号処理部、電子ビューファインダ、視野角設定部、表示用画像生成部、表示タイミング制御部、ブランキング期間設定部を備える。イメージセンサは、被写体を撮像し、1フレーム周期毎に1枚のライブビュー画像を生成するための撮像信号を出力する。信号処理部は、撮像信号に基づいてライブビュー画像を生成する。電子ビューファインダは、所定サイズの表示画面を有し、この表示画面に、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像を表示する。視野角設定部は、電子ビューファインダの表示画面に表示される被写体の視野角を設定する。表示用画像生成部は、信号処理部が生成したライブビュー画像、及び、表示画面に対して設定された視野角に基づき、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像を生成する。表示タイミング制御部は、1フレーム周期よりも短い遅延時間でイメージセンサの駆動タイミングと電子ビューファインダの表示タイミングとを同期させ、表示画面に、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像を順次表示させる。ブランキング期間設定部は、1フレーム周期の最後に、設定された視野角に応じたブランキング期間を設定する。そして、ブランキング期間の開始前に撮像信号の読み出しを完了し、かつ、表示用画像生成部が、信号処理部が生成したライブビュー画像を、縮小されたライブビュー画像の生成に使用するタイミングよりも前に撮像信号の読み出しを完了させることにより、前記イメージセンサの駆動タイミングと電子ビューファインダの表示タイミングとの同期を維持させる。」
と訂正する。

イ.
明細書の段落0018に
「ライブビュー画像を表示画面に全画面表示した状態から、縮小表示されたライブビュー画像の表示に切り替える場合に、縮小表示されたライブビュー画像を表示させるフレームの前の少なくとも1フレームで、縮小表示されたライブビュー画像が適用される領域を示すマスクデータを全画面サイズのライブビュー画像に重畳して表示させることが好ましい。」
と記載されているのを、
「信号処理部が生成したライブビュー画像を表示画面に全画面表示した状態から、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像の表示に切り替える場合に、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像を表示させるフレームの前の少なくとも1フレームで、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像が適用される領域を示すマスクデータを全画面サイズのライブビュー画像に重畳して表示させることが好ましい。」
と訂正する。


2.訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)一群の請求項
訂正事項1ないし5に係る訂正前の請求項1ないし10について、請求項2ないし10は、直接的又は間接的に請求項1を引用するものであって、訂正事項1ないし3によって記載が訂正される請求項1によって連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1ないし10に対応する訂正後の請求項1ないし10は、一群の請求項である。

(2)訂正要件
ア.訂正事項1
(ア)訂正の目的
訂正前の請求項1は、表示用画像生成部が画像の生成に用いる信号、及び、表示用画像生成部が生成する画像について明瞭でない記載があった。

これに対して、訂正事項1は、訂正後の請求項1を、「前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像、及び、設定された前記視野角に基づき、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を生成する表示用画像生成部」との記載により、表示用画像生成部が画像の生成に用いる信号が「前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像」であること、及び、表示用画像生成部が生成する画像が、「前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像」であると訂正するものである。
同様に、訂正事項1は、訂正後の請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項2ないし10について、これらの点を訂正するものである。

訂正事項1により、表示用画像生成部が画像の生成に用いる信号が「前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像」であること、及び、表示用画像生成部が生成する画像が、「前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像」であることが明瞭となったから、訂正後の請求項1記載は、明瞭となった。
同様に、訂正事項1により、訂正後の請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項2ないし10の記載は、明瞭となった。

よって、訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ)特許請求の範囲の拡張又は変更
訂正事項1は、訂正前の請求項1における、表示用画像生成部が画像の生成に用いる信号、及び、表示用画像生成部が生成する画像について、それぞれ、「前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像」及び「前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像」と訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

訂正事項1は、訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2ないし10についても実質的に訂正するものであるが、上記のように、訂正後の請求項1の記載は、訂正前の請求項1との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2ないし10の記載について訂正するものではないから、訂正事項1は、請求項2ないし10のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。

よって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)新規事項
訂正事項1に関連する記載として、訂正前の明細書の段落0034には、「信号処理部33が生成した画像データは、RAM36に一時的に記憶される」ことが記載されている。
また、訂正前の明細書の段落0037には、「表示用画像生成部39がRAM36から読み出したライブビュー画像を、第1表示部17の表示画面のサイズに合わせて拡大または縮小することにより、表示用画像を生成する」ことが記載されている。
よって、訂正前の明細書には、「表示用画像生成部」が画像の生成に用いる信号が「信号処理部が生成したライブビュー画像」であることが開示されていると認められる。

また、訂正前の明細書の段落0037には、「表示用画像生成部39は、第1表示部17の表示画面のサイズに対して縮小された領域にライブビュー画像を適用した表示用画像を生成する」ことが記載されている。
よって、訂正前の明細書には、「表示用画像生成部」が生成する画像が「表示画面に対して縮小されたライブビュー画像」であることが開示されていると認められる。

よって、訂正事項1は、訂正前の明細書に記載した事項の範囲内のものである。

イ.訂正事項2
(ア)訂正の目的
訂正前の請求項1は、電子ビューファインダの表示画面に表示される画像について明瞭でない記載があった。

これに対して、訂正事項2は、訂正後の請求項1を、「前記表示画面に、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を表示する電子ビューファインダ」及び「前記表示画面に、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を順次表示させる表示タイミング制御部」という記載により、電子ビューファインダの表示画面に表示される画像が「前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像」であると訂正するものである。
同様に、訂正事項2は、訂正後の請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項2ないし10についても、この点を訂正するものである。

また、訂正前の請求項1は、視野角設定部の記載における電子ビューファインダの「表示画面」が、「前記表示画面」と記載されていないため、請求項1に記載された他の「表示画面」との関係が明瞭でない記載があった。

これに対して、訂正事項2は、訂正後の請求項1を、「前記電子ビューファインダの前記表示画面に表示される前記被写体の視野角を設定する視野角設定部」という記載により、視野角設定部の記載における電子ビューファインダの「表示画面」を、請求項1に前記された「前記表示画面」であると訂正するものである。
同様に、訂正事項2は、訂正後の請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項2ないし10について、この点を訂正するものである。

訂正事項2により、電子ビューファインダの表示画面に表示される画像が「前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像」であること、及び、視野角設定部の記載における電子ビューファインダの「表示画面」が請求項1に前記された「前記表示画面」であることが明瞭となったから、訂正後の請求項1の記載は、明瞭となった。
同様に、訂正事項2により、訂正後の請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項2ないし10の記載は、明瞭となった。

よって、訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ)特許請求の範囲の拡張又は変更
訂正事項2は、訂正前の請求項1における、電子ビューファインダの表示画面に表示される画像を「前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像」と訂正し、視野角設定部の記載における電子ビューファインダの「表示画面」を請求項1に前記された「前記表示画面」と訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

訂正事項2は、訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2ないし10についても実質的に訂正するものであるが、上記のように、訂正後の請求項1の記載は、訂正前の請求項1との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、訂正事項2は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2ないし10の記載について訂正するものではないから、訂正事項2は、請求項2ないし10のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。

よって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)新規事項
訂正事項2に関連する記載として、訂正前の明細書の段落0039には、「表示用画像生成部39が生成した表示用画像は、(略)電子ビューファインダとして用いられる第1表示部17の表示装置17aに逐次読み出されて表示される」ことが記載されている。
また、上記「ア.訂正事項1」で言及したように、表示用画像生成部が生成する画像は、「前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像」である。

よって、訂正前の明細書には、電子ビューファインダの表示画面に表示される画像が「表示画面に対して縮小されたライブビュー画像」であることが開示されていると認められる。

また、訂正前の明細書には、電子ビューファインダに複数の表示画面を設けることは開示されておらず、電子ビューファインダの表示画面は1つしかないものであるから、訂正前の明細書の記載に照らせば、視野角設定部の記載における電子ビューファインダの「表示画面」は、請求項1に前記された「前記表示画面」であるものと認められる。

よって、訂正事項2は、訂正前の明細書に記載した事項の範囲内のものである。

ウ.訂正事項3
(ア)訂正の目的
訂正前の請求項1は、撮像信号の読み出しが完了しなければならないタイミングについて、「前記表示用画像生成部が使用するタイミング」と記載されており、表示用画像生成部が、何をどのようにして使用するタイミングであるのかが明瞭でない記載があった。

これに対して、訂正事項3は、訂正後の請求項1を、「前記1フレーム周期の最後に、設定された前記視野角に応じたブランキング期間を設定し、前記ブランキング期間の開始前に前記撮像信号の読み出しを完了し、かつ、前記表示用画像生成部が、前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像を、縮小された前記ライブビュー画像の生成に使用するタイミングよりも前に前記撮像信号の読み出しを完了させることにより、前記イメージセンサの駆動タイミングと前記電子ビューファインダの表示タイミングとの同期を維持させるブランキング期間設定部」との記載により、撮像信号の読み出しが完了しなければならないタイミングが、「前記表示用画像生成部が、信号処理部が生成したライブビュー画像を、縮小されたライブビュー画像の生成に使用するタイミング」であると訂正するものである。
同様に、訂正事項3は、訂正後の請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項2ないし10について、この点を訂正するものである。

訂正事項3により、撮像信号の読み出しが完了しなければならないタイミングが「前記表示用画像生成部が、前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像を、縮小された前記ライブビュー画像の生成に使用するタイミング」であることが明瞭となったから、訂正後の請求項1の記載は、明瞭となった。
同様に、訂正事項3により、訂正後の請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項2ないし10の記載は、明瞭となった。

よって、訂正事項3は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ)特許請求の範囲の拡張又は変更
訂正事項3は、訂正前の請求項1における、撮像信号の読み出しが完了しなければならないタイミングを、「前記表示用画像生成部が、前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像を、縮小された前記ライブビュー画像の生成に使用するタイミング」と訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

訂正事項3は、訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2ないし10についても実質的に訂正するものであるが、上記のように、訂正後の請求項1の記載は、訂正前の請求項1との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、訂正事項3は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2ないし10の記載について訂正するものではないから、訂正事項3は、請求項2ないし10のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。

よって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)新規事項
訂正事項3に関連する記載として、訂正前の明細書の段落0067には、「1フレーム周期TF1からブランキング期間TBLを除いた期間(TF1-TBL)内で1画面分の撮像信号を完了させることにより、イメージセンサ13の行LNの撮像信号の読み出し完了から、縮小ライブビュー画像68の末尾行のデータをVRAM36aに書き込むまでの時間t3を確保する」ことが記載されている。
よって、訂正前の明細書には、「時間t3」が確保できるように、撮像素子の読み出しを完了すること、すなわち、撮像素子の読み出しが完了しなければならないタイミングが、「時間t3」が確保できるようなタイミングであることが開示されていると言える。

そして、上記の「時間t3」について、訂正前の明細書の段落0059には、「この時間t3は、信号処理部34が各行L1?LNの撮像信号からライブビュー画像61の各行のデータを順次生成してRAM36に一時記憶し、さらに、このライブビュー画像61の各行のデータを用いて表示用画像生成部39が表示用画像65を生成して、VRAM36aに書き込むまでに要する最短の時間」であることが記載されている。
また、上記の表示用画像生成部が生成する「表示用画像65」は、上記「ア.訂正事項1」で言及したように、「前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像」である。
よって、「時間t3」が確保できるようなタイミングとは、「表示用画像生成部が、信号処理部が生成したライブビュー画像を、縮小されたライブビュー画像の生成に使用するタイミング」であると言える。

以上より、訂正前の明細書には、撮像素子の読み出しが完了しなければならないタイミングが、「前記表示用画像生成部が、前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像を、縮小された前記ライブビュー画像の生成に使用するタイミング」であることが開示されているものと認められる。

よって、訂正事項3は、訂正前の明細書に記載した事項の範囲内のものである。

ア.訂正事項4
(ア)訂正の目的
訂正事項4の訂正は、訂正事項1に係る訂正に伴い、請求項1を引用する請求項10の整合性を図るための訂正である。

訂正事項4により、訂正前の請求項10における全画面表示される画像である「前記ライブビュー画像」及び切り替えられる画像である「前記縮小表示されたライブビュー画像」は、訂正後の請求項1における「前記信号処理部によって生成されるライブビュー画像」及び「前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像」と整合するものとなったため、訂正後の請求項10の記載は、明瞭となった。

よって、訂正事項4は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ)特許請求の範囲の拡張又は変更
訂正事項4は、全画面表示される画像である「前記ライブビュー画像」及び切り替えられる画像である「前記縮小表示されたライブビュー画像」を、「前記信号処理部によって生成されるライブビュー画像」及び「前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像」とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

よって、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)新規事項
訂正事項4に関連する記載として、訂正前の明細書の段落0081には、「ライブビュー画像61を全画面表示していた場合に縮小表示に切り替える」ことが記載されている。
そして、上記「ア.訂正事項1」で言及したように、「ライブビュー画像」は、信号処理部によって生成されるものである。また、縮小表示される画像は、「表示画面に対して縮小されたライブビュー画像」である。

よって、訂正事項4は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものである。

オ.訂正事項5
(ア)訂正の目的
訂正事項5のア.及びイ.の訂正は、訂正事項1ないし4に係る訂正に伴い訂正後の特許請求の範囲の記載と訂正後の明細書の記載との整合を図るための訂正である。

よって、訂正事項5は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ)特許請求の範囲の拡張又は変更
訂正事項5のア.は、請求項1ないし10に記載された、電子ビューファインダの表示画面に表示される画像、表示用画像生成部が画像の生成に用いる信号及び生成する画像、撮像信号の読み出しが完了しなければならないタイミングのそれぞれについて、その解釈に影響を与え得る訂正であるが、それぞれについて明瞭にする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項5のイ.は、請求項10に記載された、全画面表示される画像及び切り替えられる画像について、その解釈に影響を与え得る訂正であるが、それぞれについて明瞭にする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)新規事項
訂正事項5のア.における、電子ビューファインダの表示画面に表示される画像、「表示用画像生成部」が画像の生成に用いる信号及び生成する画像、撮像信号の読み出しが完了していなければならないタイミングについての訂正は、上記「ア.訂正事項1」ないし「ウ.訂正事項3」で言及したように、訂正前の明細書に記載した事項の範囲内のものである。
また、訂正事項5のイ.における、全画面表示される画像及び切り替えられる画像についての訂正は、上記「エ.訂正事項4」で言及したように、訂正前の明細書に記載した事項の範囲内のものである。

よって、訂正事項5は、訂正前の明細書に記載した事項の範囲内のものでる。

3.小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-10〕及び明細書について訂正を認める。


第3.特許異議の申立てについて
1.訂正発明
本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1ないし10に係る発明(以下「訂正発明1ないし10」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
なお、訂正発明1に係るAないしHについては、説明のために当審で付したものである(以下、「構成A」等という。)。

「【請求項1】
A 被写体を撮像し、1フレーム周期毎に1枚のライブビュー画像を生成するための撮像信号を出力するイメージセンサと、
B 前記撮像信号に基づいて前記ライブビュー画像を生成する信号処理部と、
C 所定サイズの表示画面を有し、前記表示画面に、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を表示する電子ビューファインダと、
D 前記電子ビューファインダの前記表示画面に表示される前記被写体の視野角を設定する視野角設定部と、
E 前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像、及び、設定された前記視野角に基づき、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を生成する表示用画像生成部と、
F 前記1フレーム周期よりも短い遅延時間で前記イメージセンサの駆動タイミングと前記電子ビューファインダの表示タイミングとを同期させ、前記表示画面に、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を順次表示させる表示タイミング制御部と、
G 前記1フレーム周期の最後に、設定された前記視野角に応じたブランキング期間を設定し、前記ブランキング期間の開始前に前記撮像信号の読み出しを完了し、かつ、前記表示用画像生成部が、前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像を、縮小された前記ライブビュー画像の生成に使用するタイミングよりも前に前記撮像信号の読み出しを完了させることにより、前記イメージセンサの駆動タイミングと前記電子ビューファインダの表示タイミングとの同期を維持させるブランキング期間設定部と、
H を備える撮像装置。

【請求項2】
前記ブランキング期間設定部は、前記ブランキング期間に応じて前記撮像信号の読み出し時間を短縮させることにより前記ブランキング期間を設定し、前記イメージセンサと前記電子ビューファインダの同期を維持させる請求の範囲第1項に記載の撮像装置。

【請求項3】
前記ブランキング期間設定部は、前記イメージセンサから前記撮像信号を間引いて出力する間引き読み出しを行わせることによって前記ブランキング期間を設定する請求の範囲第2項に記載の撮像装置。

【請求項4】
前記ブランキング期間設定部は、複数配列された画素を行単位で前記間引き読み出しを行わせる請求の範囲第3項に記載の撮像装置。

【請求項5】
前記ブランキング期間設定部は、前記撮像信号を読み出すため回路の動作クロックを上げて前記撮像信号の読み出し時間を短縮させることにより前記ブランキング期間を設定する請求の範囲第2項に記載の撮像装置。

【請求項6】
前記ブランキング期間設定部は、前記撮像信号のデータビット長を低減させて前記撮像信号の読み出し時間を短縮させることにより前記ブランキング期間を設定する請求の範囲第2項に記載の撮像装置。

【請求項7】
前記ブランキング期間設定部は、2以上の画素の信号を混合して読み出す画素混合読み出しを行わせることによって前記撮像信号の読み出し時間を短縮させ、前記ブランキング期間を設定する請求の範囲第2項に記載の撮像装置。

【請求項8】
前記ブランキング期間設定部は、前記1フレーム周期を延長することにより前記ブランキング期間を設定する請求の範囲第1項に記載の撮像装置。

【請求項9】
前記ブランキング期間設定部は、間引き読み出し、動作クロックを上げること、撮像送信号のデータビット長の低減、画素混合読み出しのうち少なくとも一つと、1フレーム周期の延長とを組み合わせて前記撮像信号の読み出し時間を短縮させ、
予め複数の撮影モードが設けられている場合に、前記間引き読み出し、前記動作クロックを上げること、前記撮像送信号のデータビット長の低減、前記画素混合読み出しのうち少なくとも一つと、前記1フレーム周期の延長との組み合わせ方が前記撮影モード毎に予め設定されている請求の範囲第1項に記載の撮像装置。

【請求項10】
前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像を前記表示画面に全画面表示した状態から、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像の表示に切り替える場合に、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を表示させるフレームの前の少なくとも1フレームで、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像が適用される領域を示すマスクデータを全画面サイズの前記ライブビュー画像に重畳して表示させる請求の範囲第1?9項のうちいずれか1項に記載の撮像装置。」


2.取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし10に係る特許に対して平成28年10月12日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

『理由1(特許法第36条第6項第1号)について
・請求項1-10
請求項1には、「前記表示画面に対して、設定された前記視野角に基づき縮小表示されたライブビュー画像を生成する表示用画像生成部」と記載されている。
この記載は、どのような信号を用いて縮小表示されたライブビュー画像を生成するかについて規定していないから、請求項1に記載された発明は、任意の信号に基づいて縮小表示されたライブビュー画像を生成する発明である。

一方、発明の詳細な説明(段落0036-段落0037)には、以下の記載がある。
「【0036】
(前略)信号処理部34が生成した画像データがライブビュー画像である場合には、RAM36に記憶されたライブビュー画像は、表示用画像生成部39に読み出され、第1表示部17に表示するための表示用画像の生成に用いられる。
【0037】
表示用画像生成部39は、RAM36から読み出したライブビュー画像を、第1表示部17の表示画面のサイズに合わせて拡大または縮小することにより、表示用画像を生成する。(後略)」
これより、発明の詳細な説明には、信号処理部が生成したライブビュー画像に基づいて、表示用画像(縮小表示されたライブビュー画像)を生成することが記載されている。また、発明の詳細な説明には、信号処理部が生成したライブビュー画像以外の信号に基づいて縮小表示されたライブビュー画像を生成することについては記載されていない。
よって、請求項1に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載されていない発明である、信号処理部が生成したライブビュー画像以外の信号に基づいて縮小表示されたライブビュー画像を生成する発明を含む発明である。
したがって、請求項1に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

また、請求項1を引用する請求項2-10に記載された発明も、発明の詳細な説明に記載されたものではない。


理由2(特許法第36条第6項第2号)について
(1)
・請求項1-10

請求項1には、以下の記載がある。なお、下線及び記号は、当審が付加した。
「(前略)(a)ライブビュー画像を生成するための撮像信号を出力するイメージセンサと、
前記撮像信号に基づいて(b)前記ライブビュー画像を生成する信号処理部と、
所定サイズの表示画面を有し、前記表示画面に(c)前記ライブビュー画像を表示する電子ビューファインダと、
(中略)
前記表示画面に対して、設定された前記視野角に基づき(d)縮小表示されたライブビュー画像を生成する表示用画像生成部と、
(中略)前記表示画面に(e)前記ライブビュー画像の順次表示させる表示タイミング制御部と、
(後略)」
ここで、(b),(c),(e)のライブビュー画像は、前記と記載されていることから、(a)のライブビュー画像と同一のライブビュー画像である。一方、(d)の縮小表示されたライブビュー画像は、前記と記載されていないことから、(a)のライブビュー画像と異なるライブビュー画像である。
そして、請求項1の「所定サイズの表示画面を有し、前記表示画面に(c)前記ライブビュー画像を表示する電子ビューファインダ」との記載及び「前記表示画面に(e)前記ライブビュー画像の順次表示させる表示タイミング制御部」との記載から、請求項1に記載された発明は、表示画面に(a)のライブビュー画像を表示し、(d)の縮小表示されたライブビュー画像は表示しない発明である。
このため、(d)の縮小表示されたライブビュー画像が、請求項1に記載した発明において果たす役割を理解することができない。
したがって、「縮小表示されたライブビュー画像」の技術的意味を理解することができないことから、請求項1に記載された発明は、明確ではない。

また、請求項1を引用する請求項2-10に記載された発明も、明確でない。

(2)
・請求項1-10

請求項1には、「前記表示用画像生成部が使用するタイミングよりも前に前記撮像信号の読み出しを完了させる」ことが記載されているが、この記載だけでは、表示用画像生成部が何をどのように使用するタイミングと比較して、撮像信号の読み出しが完了していなければならないのかが明確でない。
このため、「前記表示用画像生成部が使用するタイミングよりも前に前記撮像信号の読み出しを完了させる」ことが、請求項1に記載された発明において果たす役割を理解することができない。
したがって、「前記表示用画像生成部が使用するタイミングよりも前に前記撮像信号の読み出しを完了させる」ことの技術的意味を理解することができないことから、請求項1に記載された発明は、明確でない。

また、請求項1を引用する請求項2-10に記載された発明も、明確でない。 』


3.甲号証の記載及び甲号証に開示された発明等
(1)甲第1号証の記載事項及び甲1発明
ア.甲第1号証の記載事項
特許異議申立人羽根均が特許異議申立書に甲第1号証として引用した、特開2011-211507号公報(以下、「甲第1号証」という。)には、「デジタルカメラ」(発明の名称)として、図面とともに以下の事項が記載されている。
なお、説明のために下線を当審において付与した。

i.「【0017】
1.概要
本発明の実施形態として図1に示すデジタルカメラ1は、静止画記録モード及び動画記録モードにおいて被写体画像を表示するEVF40が備えられたレンズ交換式ミラーレスデジタルカメラである。デジタルカメラ1においては、エリアイメージセンサ15と画像処理回路22とFPD40とに印加されるタイミング制御信号が1つのタイミング生成回路(TG)21によって一元的にフレーム毎に生成される。すなわちエリアイメージセンサ15、画像処理回路22およびEVF40のそれぞれにおいて1フレーム分のデータを処理する処理単位を繰り返す周期と位相とが1つのタイミング生成回路21によって一元的に制御される。このため、エリアイメージセンサ15、画像処理回路22およびFPD40のそれぞれにおいて1フレーム分のデータ(フレームデータ)を処理する処理単位を繰り返す周期は一致し、その処理単位の位相差は一定である。(略)
【0018】
2.構成
デジタルカメラ1には、光学系10、エリアイメージセンサ15、画像処理エンジン20、EVF40、操作部32、ROM30、RAM31等が備えられている。(略)エリアイメージセンサ15としてCCDイメージセンサを用いる場合、エリアイメージセンサ15から出力されるピクセルデータを増幅してデジタル信号に変換する図示しないAD変換器が備えられる。画像処理エンジン20は、画像処理回路22、タイミング生成回路21、CPU23、加算器51、VRAM(Video-RAM)52等で構成される半導体集積回路チップである。画像処理回路22は、それぞれ複数ライン分のフレームデータを格納できる2つのラインバッファ221、227、画素補間部222、ホワイトバランス補正部(WB)223、色変換部224、フィルタ処理部225、ガンマ補正部226、表示準備部228等を構成している。ラインバッファ221、画素補間部222、ホワイトバランス補正部(WB)223、色変換部224、フィルタ処理部225およびガンマ補正部226は中間画像生成部22aを構成している。ラインバッファ227および表示準備部228はフレームサイズ変換部22bを構成している。フラットパネルディスプレイとしてのEVF40は、インターフェース回路41、コントローラー42、液晶パネル45、垂直駆動回路43、垂直駆動回路44、図示しない接眼レンズ等で構成される。(略)」

ii.「【0024】
具体的には、タイミング生成回路21は、1800画素×720画素の1フレーム分のピクセルデータをドラフトモードで読み出し始めるための垂直同期信号(Vsync)をエリアイメージセンサ15に印加してから一定時間経過後に、1800画素×720画素のピクセルデータから1800画素×720画素の中間画像データを生成しはじめるクロックパルスを中間画像生成部22aに印加する。そしてタイミング生成回路21は、そのクロックパルスを中間画像生成部22aに印加してから一定時間経過後に、水平方向に3/5倍に縮小することによって1800画素×720画素の中間画像データから1080画素×720画素の表示用画像データを生成しはじめるクロックパルスをフレームサイズ変換部22bに印加する。そしてタイミング生成回路21は、そのクロックパルスをフレームサイズ変換部22bに印加してから一定時間経過後に、1080画素×720画素の表示用画像データに基づいて液晶パネル45を駆動するための垂直同期信号(Vsync)をEVF40のコントローラー42に印加する。(略)」

iii.「【0028】
タイミング生成回路21は、図4Aおよび図4Bに示すように垂直同期信号(Vsync)の周期すなわちフレームデータを処理する繰り返し周期を、同一フレームサイズでの最速フレームレートに対応する垂直同期信号(基準Vsync)に対して長く設定するとともに水平同期信号(Hsync)にダミーパルスを挿入してエリアイメージセンサ15およびEVF40を一時停止させる。水平同期信号に挿入するダミーパルスはエリアイメージセンサ15およびEVF40を一時停止させる期間(一時停止期間)の長さに応じた数だけ例えば垂直同期期間の直前または直後の少なくともいずれか一方に挿入すればよい。(略)」

iv.「【0036】
以上説明したように、レリーズまでは、ドラフトモードでエリアイメージセンサ15からフレームデータを読み出してEVF40に取り込むまで画像処理回路22において線順次にフレームデータをパイプライン処理することによって、60fpsよりも高速な100fps相当の実効的な統一されたフレーム周期(図3に示すt3)でエリアイメージセンサ15、画像処理回路22およびEVF40を駆動することが可能になる。そして、静止画再生モードでは60fpsよりも高速な100fpsでエリアイメージセンサ15、画像処理回路22およびEVF40が駆動されるため、表示遅延、すなわちエリアイメージセンサ15からフレームデータを読み込み始めてから液晶パネル45に被写体画像が表示され始めるまでに要する図3に示す時間t1が短くなる。(略)」

図3

イ.甲1発明
上記i.ないしivの記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して、甲第1号証に開示された発明(以下、「甲1発明」という。)を認定する。

(ア)
上記i.の段落0018には、「デジタルカメラ1には、(略)エリアイメージセンサ15(略)等が備えられている」ことが開示されている。
デジタルカメラに備えられたエリアイメージセンサは、被写体を撮像するものであることは明らかである。
また、上記i.の段落0018には、「エリアイメージセンサ15としてCCDイメージセンサを用いる場合、エリアイメージセンサ15から出力されるピクセルデータを増幅してデジタル信号に変換する図示しないAD変換器が備えられる」ことが開示されている。
よって、甲第1号証には、「被写体を撮像し、ピクセルデータを出力するエリアイメージセンサ」が開示されていると言える。

上記iv.の段落0036には、「フレーム周期(図3に示すt3)で(略)画像処理回路22(略)を駆動する」ことが開示されている。
また、上記i.の段落0018には、「画像処理回路22は、(略)フレームサイズ変換部22bを構成している」ことが開示されている。
さらに、下記(イ)で言及するように、フレームサイズ変換部は、ピクセルデータに基づいて表示用画像データを生成するものであるから、甲第1号証には、「1フレーム周期毎にピクセルデータに基づいて1枚の表示用画像データを生成すること」が開示されていると言える。これを、「ピクセルデータ」の点から言い換えるならば、甲第1号証には、「1フレーム周期毎に1枚の表示用画像データを生成するためのピクセルデータ」が開示されていると言える。

以上より、甲第1号証には、『被写体を撮像し、1フレーム周期毎に1枚の表示用画像データを生成するためのピクセルデータを出力するエリアイメージセンサ』について開示されていると言える。

(イ)
上記ii.の段落0024には、「ピクセルデータから(略)表示用画像データを生成し始めるクロックパルスをフレームサイズ変換部22bに印加する」ことが開示されている。

よって、甲第1号証には、『ピクセルデータに基づいて表示用画像データを生成するフレームサイズ変換部』が開示されていると言える。

(ウ)
上記i.の段落0018には、「EVF40は、(略)液晶パネル45(略)等で構成される」ことが開示されている。
なお、「液晶パネル」が、所定のサイズを有することは明らかである。
また、EVFとは、電子ビューファインダ(Electric View Finder)の略語である。
よって、甲第1号証には、「所定サイズの液晶パネルを有する電子ビューファインダ」が開示されていると言える。

上記ii.の段落0024には、「表示用画像データに基づいて液晶パネル45を駆動する」ことが開示されている。
よって、甲第1号証には、「液晶パネルに、表示用画像データを表示する」ことが開示されていると言える。

以上より、甲第1号証には、『所定サイズの液晶パネルを有し、液晶パネルに、表示用画像データを表示する電子ビューファインダ』が開示されていると言える。

(エ)
上記i.の段落0017には、「エリアイメージセンサ15、(略)EVF40のそれぞれにおいて1フレーム分のデータを処理する処理単位を繰り返す周期と位相とが1つのタイミング生成回路21によって一元的に制御される。このため、エリアイメージセンサ15、(略)FPD40のそれぞれにおいて1フレーム分のデータ(フレームデータ)を処理する処理単位を繰り返す周期は一致し、その処理単位の位相差は一定である」ことが開示されている。
上記iv.の段落0036には、「エリアイメージセンサ15からフレームデータを読み込み始めてから液晶パネル45に被写体画像が表示され始めるまでに要する図3に示す時間t1」及び「実効的な統一されたフレーム周期(図3に示すt3)」について開示されている。さらに、図3を見れば、1フレーム周期であるt3よりも位相差t1が短いことが示されている。
よって、甲第1号証には、「1フレーム周期よりも短い位相差で、エリアイメージセンサの処理タイミングと電子ビューファインダの処理タイミングとを同期させるタイミング生成回路」が開示されているといえる。

また、電子ビューファインダが1フレーム周期で1フレーム分のデータを処理する毎に、電子ビューファインダの液晶パネルに表示用画像データが表示されるものと認められるから、甲第1号証には、「液晶パネルに、表示用画像データを順次表示させる」ことが開示されていると言える。

以上より、甲第1号証には、『1フレーム周期よりも短い位相差でエリアイメージセンサの処理タイミングと電子ビューファインダの処理タイミングとを同期させ、液晶パネルに、表示用画像データを順次表示させる、タイミング生成回路』が開示されていると言える。

(オ)
上記(エ)で言及したように、甲第1号証には、「エリアイメージセンサの処理タイミングと電子ビューファインダの処理タイミングとを同期させるタイミング生成回路」が開示されていると言える。

上記iii.の段落0028には、「タイミング生成回路21は、(略)水平同期信号(Hsync)にダミーパルスを挿入してエリアイメージセンサ15(略)を一時停止させる。水平同期信号に挿入するダミーパルスはエリアイメージセンサ15(略)を一時停止させる期間(一時停止期間)の長さに応じた数だけ例えば垂直同期期間の直前または直後の少なくともいずれか一方に挿入」することが開示されている。
また、上記(ア)で言及したように、エリアイメージセンサは、ピクセルデータを出力するものであるが、一時停止期間においてエリアイメージセンサが停止すると、ピクセルデータは出力されなくなるから、一時停止期間の開始前にピクセルデータの読み出しが完了していることは明らかである。
よって、甲第1号証には、「1フレーム周期の最後に、一時停止期間を設定し、一時停止期間の開始前にピクセルデータの読み出しを完了させる、タイミング生成回路」が開示されていると言える。

以上より、甲第1号証には、『1フレーム周期の最後に、一時停止期間を設定し、一時停止期間の開始前にピクセルデータの読み出しを完了させることにより、エリアイメージセンサの処理タイミングと電子ビューファインダの処理タイミングとの同期を維持させるタイミング生成回路』が開示されていると言える。

(カ)
上記i.の段落0018には、「デジタルカメラ1には、(略)エリアイメージセンサ15(略)等が備えられている」ことが開示されている。

よって、甲第1号証には、『デジタルカメラ』が開示されていると言える。

(キ)小括
以上より、甲第1号証に開示された発明を認定すると、甲第1号証には、以下の甲1発明が開示されている。
なお、下記のとおり、説明のためにa1ないしg1の記号を当審において付与した。以下、構成a1等と称することにする。

(甲1発明)
a1 被写体を撮像し、1フレーム周期毎に1枚の表示用画像データを生成するためのピクセルデータを出力するエリアイメージセンサと、
b1 ピクセルデータに基づいて表示用画像データを生成するフレームサイズ変換部と、
c1 所定サイズの液晶パネルを有し、液晶パネルに、表示用画像データを表示する電子ビューファインダと、
f1 1フレーム周期よりも短い位相差でエリアイメージセンサの処理タイミングと電子ビューファインダの処理タイミングとを同期させ、液晶パネルに、表示用画像データを順次表示させ、
g1 1フレーム周期の最後に、一時停止期間を設定し、一時停止期間の開始前にピクセルデータの読み出しを完了させることにより、エリアイメージセンサの処理タイミングと電子ビューファインダの処理タイミングとの同期を維持させるタイミング生成回路と、
h1 を備えるデジタルカメラ。」

(2)甲第2号証の記載事項及び甲2技術事項
ア.甲第2号証の記載事項
特許異議申立人羽根均が特許異議申立書に甲第2号証として引用した、特開2010-16669号公報(以下、「甲第2号証」という。)には、「画像表示装置及び撮像装置」(発明の名称)として、図面とともに以下の事項が記載されている。
なお、説明のために下線を当審において付与した。

i.「【0002】
ビデオカメラやデジタルカメラ等の撮像装置の一部の機種には、従来から電子ビューファインダ(EVF)が用いられている。」

ii.「【0035】
電子ビューファインダ(EVF)110は、接眼光学系113を介して画像を観察する覗き込み式の電子ファインダであり、表示駆動部111と、表示素子112と、接眼光学系113と、視度調整検出部114と、を含んで構成される。」

iii.「【0046】
また、操作部130は、ユーザによるEVF110における視野角や画像位置の設定の入力を受け付ける画面位置設定部(視野角設定部)130aと、ユーザによるEVF110及びLCD120のいずれか一方又は両方の表示/非表示の設定の入力を受け付けるEVF/LCD切換部130bを備える。」

iv.「【0056】
撮像回路は、撮像素子105によって変換された電気信号をアナログ画像信号に変換する。A/D変換回路107は、このアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。変換されたデジタル画像信号は、一旦、バッファメモリ115に記憶される。」

v.「【0062】
撮影ライブ表示モードでは、A/D変換回路107によって変換されたデジタル画像信号は、バッファメモリ115を介してファインダ画像生成部109に送られ、EVF110又はLCD120の画素数に対応した画像が生成される。生成された画像はEVF110の表示駆動部111またはLCD120の表示駆動部121に送られ、それぞれの表示素子112又は122に表示される。」

vi.「【0100】
具体的には、表示素子112の全画素での視野角が30°(垂直方向画素数600画素)であり、ユーザの設定視野角が20°であった場合は、前数式により、394.8≒395画素が得られる。
(略)
【0102】
ファインダ画像生成部109は、表示画像を、演算によって得られた垂直方向画素395画素となるような画像として生成し、生成された画像をEVF110に表示させる(図3(b)参照)。」

イ.甲2技術事項
上記i.ないしviの記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して、甲第2号証に開示された技術事項(以下、「甲2技術事項」という。)を認定する。

(ア)
上記iv.の段落0056には、「撮像回路は、撮像素子105によって変換された電気信号をアナログ画像信号に変換する。A/D変換回路107は、このアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する」ことが開示されている。

よって、甲第2号証には、『撮像素子からの信号に基づくデジタル画像信号を出力する回路』が開示されていると言える。

(イ)
上記ii.の段落0035には、「電子ビューファインダ(EVF)110は、(略)表示素子112と(略)、を含んで構成される」ことが開示されている。
なお、「表示素子」が、所定のサイズを有することは明らかである。
よって、甲第2号証には、「所定サイズの表示素子を有する電子ビューファインダ」が開示されていると言える。

上記v.の段落0062には、「ファインダ画像生成部109に送られ、EVF110又はLCD120の画素数に対応した画像が生成される。生成された画像はEVF110の表示駆動部111またはLCD120の表示駆動部121に送られ、それぞれの表示素子112又は122に表示される」ことが開示されている。
また、下記(エ)で言及するように、ファインダ画像生成部が生成する画像は、表示素子に対して縮小された画像である。

以上より、甲第2号証には、『所定サイズの表示素子を有し、表示素子に、表示素子に対して縮小された画像である表示画像を表示する電子ビューファインダ』が開示されていると言える。

(ウ)
上記iii.の段落0046には、「操作部130は、ユーザによるEVF110における視野角や画像位置の設定の入力を受け付ける画面位置設定部(視野角設定部)130a(略)を備える」ことが開示されている。
ここで、電子ビューファインダの表示素子には被写体が表示されるのであるから、電子ビューファインダにおける視野角は、電子ビューファインダの表示素子に表示される被写体の視野角を意味していることは明らかである。

よって、甲第2号証には、『電子ビューファインダの表示素子に表示される被写体の視野角を設定する視野角設定部』が開示されていると言える。

(エ)
上記v.の段落0062には、「デジタル画像信号は、(略)ファインダ画像生成部109に送られ、EVF110又はLCD120の画素数に対応した画像が生成される」ことが開示されている。
よって、甲第2号証には、「デジタル画像信号に基づいて、画像を生成するファインダ画像生成部」が開示されていると言える。
上記vi.の段落0100には、「表示素子112の全画素での視野角が30°(垂直方向画素数600画素)であり、ユーザの設定視野角が20°であった場合は、前数式により、394.8≒395画素が得られる」ことが開示されている。また、上記vi.の段落0102には、「ファインダ画像生成部109は、表示画像を、演算によって得られた垂直方向画素395画素となるような画像として生成」することが開示されている。
ここで、表示素子の垂直方向の画素数(600)と比較し、演算によって得られた画素数(395)は小さいことから、ファインダ画像生成部によって生成される画像は、「設定された視野角に基づき、表示素子に対して縮小された表示画像」であると言える。

よって、甲第2号証には、『デジタル画像信号、及び、設定された視野角に基づき、表示素子に対して縮小された表示画像を生成するファインダ画像生成部』が開示されていると言える。

(オ)
上記i.の段落0002には、「撮像装置の一部の機種には、従来から電子ビューファインダ(EVF)が用いられる」ことが開示されている。

以上より、甲第2号証には、『撮像装置』が開示されていると言える。

(カ)小括
以上より、甲第2号証に開示された技術事項を認定すると、甲第2号証には、以下の甲2技術事項が開示されている。
なお、下記のとおり、説明のためにa2ないしh2の記号を当審において付与した。以下、構成a2等と称することにする。

(甲2技術事項)
「a2 撮像素子からの信号に基づくデジタル画像信号を出力する撮像回路と、
c2 所定サイズの表示素子を有し、表示素子に、表示素子に対して縮小された表示画像を表示する電子ビューファインダと、
d2 電子ビューファインダの表示素子に表示される被写体の視野角を設定する視野角設定部と、
e2 デジタル画像信号、及び、設定された視野角に基づき、表示素子に対して縮小された表示画像を生成するファインダ画像生成部と、
h2 を備えた、撮像装置」

(3)甲第3号証の記載事項及び甲3技術事項
ア.甲第3号証の記載事項
特許異議申立人羽根均が特許異議申立書に甲第3号証として引用した、特開2001-86412号公報(以下、「甲第3号証」という。)には、「撮像装置」(発明の名称)として、図面とともに以下の事項が記載されている。
なお、説明のために下線を当審において付与した。

i.「【0017】第3の手段として、全ての画素を読み出す第1の撮像モードと、第1の撮像モードの1/nのライン数の画素を読み出す第2の撮像モードを選択可能な固体撮像素子を用いたカメラにおいて、第1の撮像モードと同じフレームレートでかつ垂直方向に1/n、水平方向に1/mずつ縮小した画像を得たいとき、第2の撮像モードで前記固体撮像素子を駆動し、(1/n)V期間で、得られた前記固体撮像素子出力のカメラ信号処理を行い、第1の撮像モードの1/mの周波数によりサンプリングし直して出力し、残りの((n-1)/n)V期間はカメラ信号処理のクロックを停止し、出力にはブランカーをかけることを特徴とする。」

イ.甲3技術事項
上記i.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して、甲第3号証に開示された技術事項(以下、「甲3技術事項」という。)を認定する。

上記i.の段落0017には、「1/n、水平方向に1/mずつ縮小した画像を得たいとき、(略)(1/n)V期間で、得られた前記固体撮像素子出力のカメラ信号処理を行い、(略)残りの((n-1)/n)V期間はカメラ信号処理のクロックを停止し、出力にはブランカーをかけること」が開示されている。
よって、甲3号証には、固体撮像素子の出力の1/nという縮小率に応じたブランカーをかける期間を設定することが開示されている。
また、ブランカーをかける期間は、1フレーム周期毎に行われるカメラ信号処理の後に存在するから、1フレーム周期の最後に、ブランカーをかける期間を設定していると表現することができる。
さらに、ブランカーをかける期間ではカメラ信号処理が停止するのであるから、ブランカーをかける期間の開始前に、固体撮像素子の出力の読み出しは、完了していることは明らかである。

よって、甲第3号証には、以下の甲3技術事項が開示されている。

(甲3技術事項)
「1フレーム周期の後に、固体撮像素子の出力の縮小率に応じたブランカーをかける期間を設定し、ブランカーをかける期間の開始前に固体撮像素子の出力の読み出しを完了する技術」

(4)甲第4号証の記載事項及び甲4技術事項
ア.甲第4号証の記載事項
特許異議申立人羽根均が特許異議申立書に甲第4号証として引用した、特開2003-60994号公報(以下、「甲第4号証」という。)には、「撮像装置及びカメラシステム」(発明の名称)として、図面とともに以下の事項が記載されている。

i.「【0039】このようにすることにより、第1の読み出しモード時にはCCDの駆動周波数を高くするため、信号の読み出し時間を短縮できるので、レリーズタイムラグを短くすることが可能である。」

イ.甲4技術事項
上記i.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、甲第4号証には、以下の技術事項(以下、「甲4技術事項」という。)が開示されている。

(甲4技術事項)
「CCDの駆動周波数を高くして信号の読み出し時間を短縮させる技術」

(5)甲第5号証の記載事項及び甲5技術事項
ア.甲第5号証の記載事項
特許異議申立人羽根均が特許異議申立書に甲第5号証として引用した、特開2009-27401号公報(以下、「甲第5号証」という。)には、「電子撮像装置」(発明の名称)として、図面とともに以下の事項が記載されている。

i.「【0047】
<合焦箇所の表示方法…3>
さらに、再生時の合焦箇所表示の例としては、特開2001-69494号公報に開示されているように、画像に映るプライバシーゾーンをマスキングするマスクデータを保持し、このデータに従って画像の一部をマスキングするように構成する技術を用いて、合焦箇所以外の画像データにマスクをかけて合焦箇所のみの表示し(図5(B)参照)、また、合焦箇所以外を暗くして合焦箇所を見やすくすることも可能である(図5(C)参照)。」

イ.甲5技術事項
上記i.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、甲第5号証には、以下の技術事項(以下、「甲5技術事項」という。)が開示されている。

(甲5技術事項)
「画像をマスキングするマスクデータに従って、画像の一部をマスキングして見やすくする技術」


4.判断
(1)取消理由通知に記載した取消理由
ア.理由1(特許法第36条第6項第1号)
訂正後の請求項1には、「前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像、及び、設定された前記視野角に基づき、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を生成する表示用画像生成部」と記載されている。
よって、訂正発明1は、『信号処理部が生成したライブビュー画像』に基づいて『表示画面に縮小されたライブビュー画像』を生成する発明であって、『信号処理部が生成したライブビュー画像』以外の信号に基づいて『表示画面に縮小されたライブビュー画像』を生成する発明を含まないことが明確となったため、訂正発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものとなった。

したがって、拒絶の理由は、解消した。

イ.理由2(特許法第36条第6項第2号)
(ア)
訂正後の請求項1には、「所定サイズの表示画面を有し、前記表示画面に、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を表示する電子ビューファインダ」と記載されている。
よって、『表示画面に対して縮小されたライブビュー画像』は、『電子ビューファインダ』に表示されるものであることが明確となり、技術的な意味が理解できるようになったから、訂正後の請求項1の記載は明確となった。

したがって、拒絶の理由は、解消した。

(イ)
訂正後の請求項1には、「前記表示用画像生成部が、前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像を、縮小された前記ライブビュー画像の生成に使用するタイミングよりも前に前記撮像信号の読み出しを完了させる」と記載されている。
よって、『表示用画像生成部が、ライブビュー画像を、縮小されたライブビュー画像の生成に利用するタイミング』よりも前に、『撮像素子の読み出し』を完了させることが明確となり、また、技術的な意味が理解できるようになったから、訂正後の請求項1の記載は明確となった。

したがって、拒絶の理由は、解消した。

ウ.特許異議申立人の意見
(ア)訂正事項1、2、4について
特許異議申立人羽根均は、平成29年 2月13日付けの意見書において、信号処理部が生成する「ライブビュー画像」に対応するものは、「前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像」であるとして、訂正後の請求項1は明確性要件及びサポート要件を満たさない旨の主張を行っている。
しかし、信号処理部が生成する「ライブビュー画像」と対応するものは、「前記表示画面に対して縮小された『前記ライブビュー画像』」のうちの『前記ライブビュー画像』であって、「前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像」全体ではないことは明らかであるから、特許異議申立人羽根均の主張には、理由がない。

(イ)訂正事項1について
特許異議申立人羽根均は、平成29年 2月13日付けの意見書において、訂正事項1における、「前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像、及び、設定された視野角に基づき、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を生成する表示用画像生成部」という訂正に関し、「基づき」とは、「基礎にする。よりどころにする。」といった意味であるから、上記の訂正は、信号処理部が生成したライブビュー画像とそれ以外の信号を用いて表示画面に対して縮小されたライブビュー画像を生成することを含むものであるとして、訂正後の請求項1はサポート要件を満たさず、新規事項を追加するものである旨の主張を行っている。
しかし、訂正前の明細書には、信号処理部が生成したライブビュー画像以外の信号を用いて表示画面に対して縮小されたライブビュー画像を生成することは記載されておらず、明細書の記載に当たった当業者が、訂正発明1を、信号処理部が生成したライブビュー画像とそれ以外の信号を用いて、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像を生成する発明と理解するものとは必ずしも言えず、新たな技術的な事項を導入するものとまでは言えないから、特許異議申立人羽根均の主張には、理由がない。

(ウ)訂正事項3について
特許異議申立人羽根均は、平成29年 2月13日付けの意見書において、発明の詳細な説明では、表示用画像生成部は、RAMからライブビュー画像のデータを読み出す処理と、ライブビュー画像を縮小する処理と、縮小した画像を書き込む処理を並列して実行しており、3つの処理を考慮して撮像信号の読み出しを完了させるタイミングを規定しているのに対し、訂正事項3は、ライブビュー画像を縮小する処理と、縮小した画像を書き込む処理とを無視して、上位概念を抽出しているから、新規事項の追加である旨の主張を行っている。
しかし、上記「第2.訂正の適否についての判断 2.訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (2)訂正要件 ウ.訂正事項3 (ウ)新規事項」で言及したように、訂正事項3は、訂正前の明細書に記載した事項の範囲内であるから、特許異議申立人羽根均の主張には、理由がない。

(2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア.特許法第29条第2項(請求項1-10)
特許異議申立人羽根均は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲の請求項1ないし10に係る発明は、甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1ないし10に係る特許は、取り消されるべきものであると主張しているので、以下、検討する。

(ア)訂正発明1
a.対比
訂正発明1と甲1発明とを対比する。

(a-1)訂正発明1の構成Aと甲1発明の構成a1
構成a1の「被写体」、「1フレーム周期」、「表示用画像データ」、「ピクセルデータ」、「エリアイメージセンサ」は、それぞれ、明らかに、構成Aの「被写体」、「1フレーム周期」、「ライブビュー画像」、「撮像信号」、「イメージセンサ」に、一致する。

よって、訂正発明1の構成Aと甲1発明の構成a1とは、「被写体を撮像し、1フレーム周期毎に1枚のライブビュー画像を生成するための撮像信号を出力するイメージセンサ」の点で、一致する。

(a-2)訂正発明1の構成Bと甲1発明の構成b1
構成b1の「ピクセルデータ」、「表示用画像データ」、「フレームサイズ変換部」は、それぞれ、明らかに、構成B1の「撮像信号」、「ライブビュー画像」、「信号処理部」に、一致する。

よって、訂正発明1の構成Bと甲1発明の構成b1とは、「撮像信号に基づいてライブビュー画像を生成する信号処理部」の点で、一致する。

(a-3)訂正発明1の構成Cと甲1発明の構成c1
構成c1の「液晶パネル」、「電子ビューファインダ」は、明らかに、構成Cの「表示画面」、「電子ビューファインダ」に、一致する。
構成c1の「表示用画像データ」は、『表示される画像』である点で、構成Cの「表示画面に対して縮小されたライブビュー画像」と、共通する。

よって、訂正発明1の構成Cと甲1発明の構成c1とは、「所定サイズの表示画面を有し、前記表示画面に、『表示される画像』を表示する電子ビューファインダ」の点で、共通する。
しかし、『表示される画像』に関し、訂正発明1の「表示画面に対して縮小されたライブビュー画像」は、表示画面に対して縮小された画像であるのに対し、甲1発明の「表示用画像データ」は、表示画面に対して縮小された画像ではない点で、相違する。

(a-4)訂正発明1の構成Dと甲1発明
「視野角設定部」に関し、訂正発明1は、「視野角設定部」を備え、「視野角設定部」は、電子ビューファインダの表示画面に表示される被写体の視野角を設定するのに対し、甲1発明には、「視野角設定部」に対応する構成がない点で、相違する。

(a-5)訂正発明1の構成Eと甲1発明
「表示用画像生成部」に関し、訂正発明1は、「表示用画像生成部」を備え、「表示用画像生成部」は、信号処理部が生成したライブビュー画像、及び、設定された視野角に基づき、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像を生成するのに対し、甲1発明には、「表示用画像生成部」に対応する構成がない点で、相違する。

(a-6)訂正発明1の構成F、Gと甲1発明の構成f1、g1
構成f1の「1フレーム周期」、「位相差」、「エリアイメージセンサ」、「電子ビューファインダ」、「液晶パネル」は、それぞれ、明らかに、構成Fの「1フレーム周期」、「遅延時間」、「イメージセンサ」、「電子ビューファインダ」、「表示画面」に、一致する。
上記(a-3)で言及したように、構成f1の「表示用画像データ」と構成Fの「表示画面に対して縮小されたライブビュー画像」は、『表示される画像』である点で共通し、上記(a-3)で言及した点で相違する。

構成g1の「1フレーム周期」、「ピクセルデータ」、「エリアイメージセンサ」、「電子ビューファインダ」は、それぞれ、明らかに、構成Gの「1フレーム周期」、「撮像信号」、「イメージセンサ」、「電子ビューファインダ」に、一致する。
構成g1の「一時停止期間は、『停止する期間』である点で、構成Gの「ブランキング期間」と、共通する。
構成g1の「タイミング生成回路」は、構成Fの「表示タイミング生成部」及び構成Gの「表示タイミング制御部」に、一致する。

よって、訂正発明1の構成F、Gと甲1発明の構成f1、g1とは、「前記1フレーム周期よりも短い遅延時間で前記イメージセンサの駆動タイミングと前記電子ビューファインダの表示タイミングとを同期させ、前記表示画面に、『表示される画像』を順次表示させる表示タイミング生成部と、1フレーム周期の最後に、『停止する期間』を設定し、『停止する期間』の開始前に撮像信号の読み出しを完了し、前記イメージセンサの駆動タイミングと前記電子ビューファインダの表示タイミングとの同期を維持させるブランキング期間設定部」の点で、共通する。
しかし、(a-3)で言及したように、『表示される画像』に関し、訂正発明1の「表示画面に対して縮小されたライブビュー画像」と甲1発明の「表示用画像データ」とは、上記(a-3)で言及した点で、相違する。
また、『停止する期間』に関し、訂正発明1の「ブランキング期間」は、設定された視野角に応じたものであるのに対し、甲1発明の「一時停止期間」は、視野角に応じたものではない点で、相違する。
さらに、「ブランキング期間設定部」に関し、訂正発明1の「ブランキング期間設定部」は、表示用画像生成部が、前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像を、縮小された前記ライブビュー画像の生成に使用するタイミングよりも前に前記撮像信号の読み出しを完了させる構成であるのに対し、甲1発明の「タイミング生成回路」は、上記のタイミングに基づいて撮像信号の読み出しを完了させるものではない点で、相違する。

(a-7)訂正発明1の構成H1と甲1発明の構成h1
構成h1の「デジタルカメラ」は、明らかに、構成H1の「撮像装置」に、一致する。

(a-8)小括
したがって、訂正発明1と甲1発明とは、以下の点で一致ないし相違する。
[一致点]
被写体を撮像し、1フレーム周期毎に1枚のライブビュー画像を生成するための撮像信号を出力するイメージセンサと、
前記撮像信号に基づいて前記ライブビュー画像を生成する信号処理部と、
所定サイズの表示画面を有し、前記表示画面に、『表示される画像』を表示する電子ビューファインダと、
前記1フレーム周期よりも短い遅延時間で前記イメージセンサの駆動タイミングと前記電子ビューファインダの表示タイミングとを同期させ、前記表示画面に、『表示される画像』を順次表示させる表示タイミング制御部と、
1フレーム周期の最後に、『停止する期間』を設定し、『停止する期間』の開始前に撮像信号の読み出しを完了し、前記イメージセンサの駆動タイミングと前記電子ビューファインダの表示タイミングとの同期を維持させるブランキング期間設定部と、
を備える撮像装置。

[相違点1]
『表示される画像』に関し、訂正発明1の「表示画面に対して縮小されたライブビュー画像」は、表示画面に対して縮小された画像であるのに対し、甲1発明の「表示用画像データ」は、表示画面に対して縮小された画像ではない点で、相違する。

[相違点2]
「視野角設定部」に関し、訂正発明1は、「視野角設定部」を備え、「視野角設定部」は、電子ビューファインダの表示画面に表示される被写体の視野角を設定するのに対し、甲1発明には、「視野角設定部」に対応する構成がない点で、相違する。

[相違点3]
「表示用画像生成部」に関し、訂正発明1は、「表示用画像生成部」を備え、「表示用画像生成部」は、信号処理部が生成したライブビュー画像、及び、設定された視野角に基づき、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像を生成するのに対し、甲1発明には、「表示用画像生成部」に対応する構成がない点で、相違する。

[相違点4]
『停止する期間』に関し、訂正発明1の「ブランキング期間」は、設定された視野角に応じたものであるのに対し、甲1発明の「一時停止期間」は、視野角に応じたものではない点で、相違する。

[相違点5]
「ブランキング期間設定部」に関し、訂正発明1の「ブランキング期間設定部」は、表示用画像生成部が、信号処理部が生成したライブビュー画像を、縮小されたライブビュー画像の生成に使用するタイミングよりも前に撮像信号の読み出しを完了させることにより、イメージセンサの駆動タイミングと電子ビューファインダの表示タイミングとの同期を維持させるのに対し、甲1発明の「タイミング生成回路」は、上記のタイミングに基づいて撮像信号の読み出しを完了させるものではない点で、相違する。

b.判断
相違点3及び5は、「表示用画像生成部」に関する相違点であるので、まとめて検討を行う。

ここで、上記「3.甲号証の記載及び甲号証に開示された発明等 (2)甲第2号証の記載事項及び甲2技術事項 イ.甲2技術事項」で言及したように、甲第2号証には、以下の甲2技術事項が開示されている。

「a2 撮像素子からの信号に基づくデジタル画像信号を出力する回路と、
c2 所定サイズの表示素子を有し、表示素子に、表示素子に対して縮小された表示画像を表示する電子ビューファインダと、
d2 電子ビューファインダの表示素子に表示される被写体の視野角を設定する視野角設定部と、
e2 デジタル画像信号、及び、設定された視野角に基づき、表示素子に対して縮小された表示画像を生成するファインダ画像生成部と、
h2 を備えた、撮像装置」


甲2技術事項は、撮像素子からの信号に基づく画像信号と、視野角とに基づいて、表示素子に対して縮小された表示画像を生成するファインダ画像生成部を備えたカメラに関する技術である。
そして、甲1発明と甲2技術事項とは、電子ビューファインダを備えた撮像装置という、同一の技術分野に属するため、甲1発明に甲2技術事項を適用することができる。

しかし、甲2技術事項の「ファインダ画像生成部」は、視野角に基づいて表示素子に対して縮小された表示画像を生成するものであるが、訂正発明1とは異なり、「信号処理部が生成したライブビュー画像」を用いるものではない。よって、甲1発明に甲2技術事項を適用することにより、訂正発明1の「表示用画像生成部」に相当する構成を設けるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

よって、甲1発明に甲2技術事項を適用しても、相違点3を克服することはできない。

さらに、甲1発明1に甲2技術事項を適用しても、訂正発明1の「表示用画像生成部」に相当する構成を設けることができないから、これら2つの構成が存在することを前提としたタイミングである、「表示用画面生成部が、信号処理部が生成したライブビュー画像を、縮小されたライブビュー画像の生成に用いるタイミング」については、当業者が容易に想到できたものではない。

よって、甲1発明に甲2技術事項を適用しても、相違点5を克服することはできない。

また、甲3技術事項は、「1フレーム周期の後に、固体撮像素子の出力の縮小率に応じたブランカーをかける期間を設定し、ブランカーをかける期間の開始前に固体撮像素子の出力の読み出しを完了する技術」であり、甲4技術事項は、「CCDの駆動周波数を高くして信号の読み出し時間を短縮させる技術」であり、甲5技術事項は、「画像をマスキングするマスクデータに従って、画像の一部をマスキングして見やすくする技術」であるが、これらの技術を勘案しても、相違点3及び5を克服することはできない。

よって、その他の相違点について検討するまでもなく、訂正発明1は、甲第1号証ないし甲第5号証に基づいて、当業者が容易になし得たものではない。

(c)小括
よって、訂正発明1は、甲第1号証ないし甲第5号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは言えない。

(イ)訂正発明2ないし10
訂正発明2ないし10は、訂正発明1の構成を引用したものであり、訂正発明1と同様に、相違点3及び5を有するものであるから、訂正発明2ないし10は、訂正発明1と同様に、甲第1号証ないし甲第5号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは言えない。

イ.特許法第36条第4項第1号、第6項1号、第6項2号
(ア)請求項1
a .
特許異議申立人羽根均は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項1に記載の「前記表示用画像生成部が使用するタイミングよりも前に前記撮像信号の読み出しを完了させる」の技術的な意味は、表示用画像生成部がライブビュー画像を生成する処理において、当該処理は少なくともイメージセンサから有効画素領域の撮像信号を読み出した後に開始されるが、この処理の開始前に1フレーム分の撮像信号の読み出しを完了することになり矛盾していると主張している。
しかし、訂正後の請求項1には、「前記1フレーム周期の最後に、設定された前記視野角に応じたブランキング期間を設定し、前記ブランキング期間の開始前に前記撮像信号の読み出しを完了し、かつ、前記表示用画像生成部が、前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像を、縮小された前記ライブビュー画像の生成に使用するタイミングよりも前に前記撮像信号の読み出しを完了させる」と記載されており、「ブランキング期間の開始前に撮像信号の読み出しを完了する」ことと、「表示用画像生成部が、信号処理部が生成したライブビュー画像を、縮小されたライブビュー画像の生成に使用するタイミングよりも前に撮像信号の読み出しを完了する」こととは、矛盾していないから、特許異議申立人羽根均のかかる主張は理由がない。

(イ)請求項2、8、9
a .
特許異議申立人羽根均は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項2に記載の「前記撮像装置の読み出し時間を短縮させる」とあるが、何と比較して「短縮」されるかが不明であるため、請求項2の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たさないと主張している。
しかし、請求項2に記載された「短縮」は、なにも行わない通常の状態と比較して「短縮」することを表していることは明らかであるので、特許異議申立人羽根均のかかる主張は理由がない。

b .
特許異議申立人羽根均は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項8に記載の「前記1フレーム周期を延長することにより」とあるが、何と比較して「延長」されるかが不明であるため、請求項8の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たさないと主張している。
しかし、請求項8に記載された「延長」は、なにも行わない通常の状態と比較して「延長」することを表していることは明らかであるので、特許異議申立人羽根均のかかる主張は理由がない。

c .
特許異議申立人羽根均は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項9に記載の「前記1フレーム周期を延長することにより」とあるが、何と比較して「延長」されるかが不明であるため、請求項9の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たさないと主張している。
しかし、請求項9に記載された「延長」は、なにも行わない通常の状態と比較して「延長」することを表していることは明らかであるので、特許異議申立人羽根均のかかる主張は理由がない。

d .
特許異議申立人羽根均は、訂正前の特許請求の範囲に関し、請求項2、8、9には、請求項1と同様の記載不備があると主張しているが、訂正後の請求項1には記載不備はないから、特許異議申立人羽根均のかかる主張は理由がない。

(ウ)請求項3、4、5、7
a .
特許異議申立人羽根均は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項3、4、5、7には、請求項1及び2と同様の記載不備があると主張しているが、訂正後の請求項1及び2には記載不備はないから、特許異議申立人羽根均のかかる主張は理由がない。

(エ)請求項6
a .
特許異議申立人羽根均は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項6に記載の「データビット長を低減」とあるが、何と比較して「低減」されるかが不明であるため、請求項6の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たさないと主張している。
しかし、請求項6に記載された「低減」は、なにも行わない通常の状態と比較して「低減」することを表していることは明らかであるので、特許異議申立人羽根均のかかる主張は理由がない。

b .
特許異議申立人羽根均は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、撮像信号にはパラレル形式の場合には、データビット長を調整しても撮像信号の読み出し時間を短縮することはできないが、請求項6には撮像信号の形式に限定がないので、原理的に「撮像信号の読み出し時間を短縮させる」ように実施できない場合を含んでいるから、本件特許の発明の詳細な説明は、請求項6に記載の発明を実施できる程度に十分に記載されていないため、特許法第36条第4項第1号の要件を満たさないと主張している。
しかし、本件特許の発明の詳細な説明の段落0072には、「撮像信号のデータビット長を、例えば、2ビット短くすると、データ量は1/4倍になる。」ことが記載されており、この記載にあたった当業者であれば、訂正発明6を実施できるものと認められるから、発明の詳細な説明は、訂正発明6が十分に実施できる程度に記載されていると認められる。

また、特許異議申立人羽根均は、撮像信号がパラレル形式であるときは、「データビット長を調整」しても「撮像信号の読み出し時間を短縮させる」ことができないから、請求項6の記載は不明確であり、請求項6の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たさないと主張している。
しかし、訂正発明6は、「撮像信号のデータビット長を低減」させることと、「撮像信号の読み出し時間を短縮させる」こととの両者を構成として備えた発明であって、「撮像信号のデータビット長を低減」するが、「撮像素子の読み出し時間を短縮」しない発明を含むものではない。
よって、訂正発明6は、「撮像信号のデータビット長を低減」するが、「撮像信号の読み出し時間を低減」しない発明を含まないことは明らかであり、訂正後の請求項6の記載は、明確であるから、特許異議申立人羽根均のかかる主張は理由がない。

c .
特許異議申立人羽根均は、請求項6には、請求項1及び2と同様の記載不備があると主張しているが、訂正後の請求項1及び2には記載不備はないから、特許異議申立人羽根均のかかる主張は理由がない。

(オ)請求項10
a .
特許異議申立人羽根均は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項10には、請求項1ないし9と同様の記載不備があると主張しているが、訂正後の請求項1ないし9には記載不備はないから、特許異議申立人羽根均のかかる主張は理由がない。

第4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、訂正後の請求項1ないし10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の請求項1ないし10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
撮像装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビューファインダを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等、撮像レンズによって結像した被写体の像をイメージセンサで撮像して被写体の画像を得る撮像装置が普及している。また、スマートフォンや携帯電話機、PDA、タブレット端末等の電子機器にも、撮像レンズ及びイメージセンサを有するカメラモジュールが標準的に搭載されており、これらも撮像装置として機能する。このような各種撮像装置には、撮影範囲(構図)の決定やピント合わせを行うために、ビューファインダが設けられていることが普通である。
【0003】
ビューファインダとして、ファインダ光学系を有する光学ファインダや、電子画像を表示する電子ビューファインダ(EVF:Electronic View Finder)が知られている。電子ビューファインダは、液晶表示装置等で構成された表示部を備え、所定のフレームレートで撮像されたイメージセンサからの撮像信号に基づいて生成されるライブビュー画像を順次表示させる。
【0004】
電子ビューファインダによるライブビュー表示は、イメージセンサからの撮像信号の読み出し、読み出した撮像信号に基づく画像の生成、生成された画像を用いた表示用画像(ライブビュー画像)の生成等、複数の信号処理を経て行われる。各信号処理では、メモリからの読み出しと、処理後の信号のメモリへの書き込みが行われる。このため、各信号処理に時間がかかるので、撮影画像(撮影指示が入力された場合に取得される画像)を完全にリアルタイムに表示することはできず、通常は1?数フレーム程度前の画像が遅延して表示される。このため、動きが大きい被写体を撮影しようとする場合には、シャッターチャンスを逃してしまう場合がある。
【0005】
こうしたことから、近年では、イメージセンサと表示部を各々別個に駆動するのではなく、これらを所定の位相差で同期して駆動することにより、電子ビューファインダの表示遅延を1フレーム周期以下に抑え、ほぼリアルタイムなライブビュー表示を可能とした撮像装置が知られている(特許文献1)。
【0006】
ところで、ファインダの視野(表示するライブビュー画像の大きさ)は、ファインダの使用感を決定する重要な要素の一つである。例えば、ライブビュー画像が小さすぎると臨場感に欠け、ライブビュー画像が大きすぎると全体を見渡すために視点を移動させなければならないので確認に時間がかかり、シャッターチャンスを逃してしまう場合がある。このため、近年の電子ビューファインダを採用した撮像装置の中には、ライブビュー画像の表示サイズを可変にしたものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-243615号公報
【特許文献2】特開2010-016669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
撮像装置のビューファインダとして電子ビューファインダを採用する場合には、ライブビュー画像の表示遅延をできる限り抑え、かつ、ライブビュー画像の表示サイズが可変であることが望ましい。このため、特許文献1に記載のライブビュー画像の表示遅延を抑える技術と、特許文献2に記載のライブビュー画像の表示サイズを可変にする技術を組み合わせて用いることが考えられる。しかし、特許文献1に記載の方法で表示遅延を短縮する場合には、ライブビュー画像の表示サイズを縮小することができないという問題がある。
【0009】
具体的には、特許文献1は、イメージセンサから1画面分の撮像信号の読み出しが完了を待たずに、撮像信号の読み出しが完了した行(イメージセンサの画素行)の画像を、一対一に対応する表示画素の行に逐次表示させることによって表示遅延を最小限に抑えている。このように、イメージセンサと表示部とを同期制御する場合に、ライブビュー画像の表示サイズを縮小して表示画面の中央に表示させようとすると、イメージセンサの最後の行(ライブビュー画像の最も下の行)の撮像信号の読み出しが表示に間に合わない。
【0010】
したがって、特許文献1のようにイメージセンサと表示部を同期制御する場合に、ライブビュー画像を縮小表示させようとすると、イメージセンサと表示部とを同期させることができず、撮像信号の読み出しがライブビュー画像の表示タイミングに間に合うように表示遅延を大きくせざるを得ない。
【0011】
本発明は、ライブビュー画像の表示遅延が少なく、かつ、ライブビュー画像の表示サイズを可変とする撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の撮像装置は、イメージセンサ、信号処理部、電子ビューファインダ、視野角設定部、表示用画像生成部、表示タイミング制御部、ブランキング期間設定部を備える。イメージセンサは、被写体を撮像し、1フレーム周期毎に1枚のライブビュー画像を生成するための撮像信号を出力する。信号処理部は、撮像信号に基づいてライブビュー画像を生成する。電子ビューファインダは、所定サイズの表示画面を有し、この表示画面に、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像を表示する。視野角設定部は、電子ビューファインダの表示画面に表示される被写体の視野角を設定する。表示用画像生成部は、信号処理部が生成したライブビュー画像、及び、表示画面に対して設定された視野角に基づき、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像を生成する。表示タイミング制御部は、1フレーム周期よりも短い遅延時間でイメージセンサの駆動タイミングと電子ビューファインダの表示タイミングとを同期させ、表示画面に、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像を順次表示させる。ブランキング期間設定部は、1フレーム周期の最後に、設定された視野角に応じたブランキング期間を設定する。そして、ブランキング期間の開始前に撮像信号の読み出しを完了し、かつ、表示用画像生成部が、信号処理部が生成したライブビュー画像を、縮小されたライブビュー画像の生成に使用するタイミングよりも前に撮像信号の読み出しを完了させることにより、前記イメージセンサの駆動タイミングと電子ビューファインダの表示タイミングとの同期を維持させる。
【0013】
ブランキング期間設定部は、ブランキング期間に応じて撮像信号の読み出し時間を短縮させることにより、イメージセンサと電子ビューファインダの同期を維持させることが好ましい。
【0014】
ブランキング期間設定部は、イメージセンサから撮像信号を間引いて出力する間引き読み出しを行わせることによって撮像信号の読み出し時間を短縮させてブランキング期間を設定することが好ましい。この場合、ブランキング期間設定部は、複数配列された画素を行単位で間引き読み出しを行わせることが好ましい。
【0015】
ブランキング期間設定部は、撮像信号を読み出すため回路の動作クロックを上げて撮像信号の読み出し時間を短縮させることによりブランキング期間を設定しても良い。また、ブランキング期間設定部は、撮像信号のデータビット長を低減させて撮像信号の読み出し時間を短縮させることによりブランキング期間を設定しても良い。さらに、ブランキング期間設定部は、2以上の画素の信号を混合して読み出す画素混合読み出しを行わせることによって撮像信号の読み出し時間を短縮させ、ブランキング期間を設定しても良い。
【0016】
ブランキング期間設定部は、1フレーム周期を延長することにより、ブランキング期間を設定しても良い。
【0017】
ブランキング期間設定部は、間引き読み出し、動作クロックを上げること、撮像送信号のデータビット長の低減、画素混合読み出しのうち少なくとも一つと、1フレーム周期の延長とを組み合わせて撮像信号の読み出し時間を短縮させることが好ましい。そして、予め複数の撮影モードが設けられている場合には、間引き読み出し、動作クロックを上げること、撮像送信号のデータビット長の低減、画素混合読み出しのうち少なくとも一つと、1フレーム周期の延長との組み合わせ方が撮影モード毎に予め設定されていることが好ましい。
【0018】
信号処理部が生成したライブビュー画像を表示画面に全画面表示した状態から、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像の表示に切り替える場合に、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像を表示させるフレームの前の少なくとも1フレームで、表示画面に対して縮小されたライブビュー画像が適用される領域を示すマスクデータを全画面サイズのライブビュー画像に重畳して表示させることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の撮像装置は、ライブビュー画像を縮小表示する場合、撮像信号の読み出し動作にブランキング期間(読み出しを行わない期間)を設け、少なくとも表示画面の生成に使用する前に撮像信号の読み出しを完了させるので、イメージセンサと表示部の同期を維持して表示遅延を最小限に抑え、かつ、ライブビュー画像の縮小表示を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】撮像装置の正面図である。
【図2】撮像装置の背面図である。
【図3】撮像装置のブロック図である。
【図4】全画面表示の説明図である。
【図5】縮小表示の説明図である。
【図6】撮像装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】全画面表示する場合のタイミングチャートである。
【図8】ブランキング期間を設けずに縮小表示する場合のタイミングチャートである。
【図9】間引き読み出しによりブランキング期間を設けて縮小表示する場合のタイミングチャートである。
【図10】表示遅延を大きくして縮小表示をする場合のタイミングチャートである。
【図11】画素混合読み出しによりブランキング期間を設けて縮小表示する場合のタイミングチャートである。
【図12】1フレーム周期の延長によりブランキング期間を設けて縮小表示する場合のタイミングチャートである。
【図13】遅延時間を短縮する場合のタイミングチャートである。
【図14】読み出し画素数とフレームレートの好適な組み合わせを示す説明図である。
【図15】読み出し画素数とフレームレートの好適な組み合わせを示す説明図である。
【図16】表示サイズを変更(縮小)する場合の表示画面の変遷を示す説明図である。
【図17】表示サイズを変更(縮小)する場合の表示画面の変遷を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1において、撮像装置10は、イメージセンサ13等が内蔵されたほぼ直方体状の本体11と、本体11の前面に取り付けられた撮像レンズ12を備えるデジタルカメラである。撮像装置10は、撮像レンズ12によってイメージセンサ13に被写体の像を結像させ、イメージセンサ13によって被写体の像を撮像し、イメージセンサ13から出力される撮像信号に基づいて被写体の撮影画像を生成する。本体11の上面には、例えば、撮影指示を入力するための撮影指示入力スイッチ14、予め複数用意されている撮影モードを切り換えるためのモード切り替えダイヤル16等が設けられている。
【0022】
図2において、本体11の背面には、第1表示部17、第2表示部18、ズームキー21、マルチファンクションキー22等が設けられている。
【0023】
第1表示部17は、イメージセンサ13が所定フレームレートで逐次出力する撮像信号に基づいて生成されるライブビュー画像をほぼリアルタイムに表示する小型の表示装置であり、撮影範囲の確認やピント合わせのために使用される電子ビューファインダである。第1表示部17は、液晶ディスプレイ等の表示装置17a、接眼レンズ17b、観察窓17c等(図3参照)で構成されている。ユーザは、表示装置17aに表示されるライブビュー画像を、観察窓17cから接眼レンズ17bを通して覗くことにより観察することができる。
【0024】
第2表示部18は、第1表示部17よりも大きい表示画面を有する液晶ディスプレイであり、撮像装置10の各種設定を行うためのメニュー画面や過去の撮影画像が表示される。撮像装置10は、設定により、第1表示部17の代わりに(あるいは第1表示部17とともに)、第2表示部18を電子ビューファインダとして機能させることも可能である。本実施形態では、第1表示部18を電子ビューファインダとして用いる。
【0025】
ズームキー21は、撮像レンズ12の焦点距離を変更するズーム制御のために使用される操作キーである。マルチファンクションキー22は、第2表示部18に表示されるメニューや撮影画像の選択や決定に使用される操作キーである。ズームキー21やマルチファンクションキー22は、撮影指示入力スイッチ14やモード切り替えダイヤル16とともに操作部23を構成する。
【0026】
図3において、撮像レンズ12は複数のレンズ12aを有している。これらの複数のレンズ12aには、焦点距離の調節のために光軸L1に沿って移動するレンズ(レンズ群)と、ピント調節のために光軸L1に沿って移動するフォーカシングレンズ(レンズ群)と、これらを駆動するための各種駆動機構とが含まれる。
【0027】
また、複数のレンズ12aには、光軸L1に対して垂直な方向に移動可能に設けられ、手振れを打ち消す向きに移動される補正レンズや、露光量を調節するための絞り等も含まれる。なお、図3では、撮像レンズ12として3枚のレンズを示しているが、レンズの枚数は任意であり、各種光学フィルタ等のレンズ以外の光学要素や、実質的にパワーがないレンズ等を含んでいても良い。
【0028】
撮像装置10は、撮像レンズ12、イメージセンサ13、操作部23の他に、レンズ制御部32、センサドライバ33、信号処理部34、RAM36、画像処理部37、画像記憶部38、表示画像生成部39、同期制御部41等を備えている。これらの撮像装置10の各部は、バス42を介して相互に接続されている。また、撮像装置10の各部のうち一部は図示しないCPUの機能として実現されており、使用する制御プログラムや設定データ等は、ROM43に予め記憶されている。
【0029】
レンズ制御部32は、ズームキー21が操作されることによって操作部23から入力されるズーム信号に基づいて撮像レンズ12の焦点距離を調節する。また、自動的にピント調節を行う撮影モードに設定されている場合には、レンズ制御部32は、信号処理部34から入力される焦点評価値に基づいてフォーカシングレンズの位置を調節することにより、焦点調節(ピント合わせ)を行う。この他、レンズ制御部32は、絞りの開口量等も調節する。
【0030】
イメージセンサ13は、撮像レンズ12の背後に、撮像面13aを撮像レンズ12側に向けて配置されている。撮像面13aは、複数の画素が二次元に配列された領域である。被写体の像は、撮像面13aに結像される。イメージセンサ13は、結像された被写体の像を画素毎に光電変換することによって撮像を行い、画素行毎に撮像信号を出力する。
【0031】
イメージセンサ13は、予め設定された所定のフレームレート(1/T_(F1))で逐次撮像信号を出力する。フレームレート(1/T_(F1))は、例えば60fpsである。このフレームレート(1/T_(F1))で出力される撮像信号は、ライブビュー画像の生成に使用される。また、操作部23の操作(撮影指示入力スイッチ14の押圧操作)によって撮影指示が入力された場合に出力する撮像信号は、保存用の撮影画像の生成に使用される。
【0032】
なお、撮像面13aには、被写体の撮像に寄与しない画素(例えば、遮光された画素)も含まれている。撮像面13aの被写体の撮像に寄与する有効画素領域は、撮像面13aの中央を含む矩形領域である。本実施形態では、イメージセンサ13をCMOS型としているが、CCD型であっても良い。
【0033】
センサドライバ33は、イメージセンサ13の動作を制御する。例えば、ライブビュー画像用の撮像信号を出力するためのフレームレート(1/T_(F1))や、撮像信号の読み出し方式(間引き読み出しや画素混合読み出し)、保存用の撮影画像を撮影する場合のシャッタースピード(露光時間)等を設定に応じて制御する。なお、センサドライバ33は、駆動タイミング制御部51から入力される駆動タイミング信号に基づいて、一定の時間間隔でライブビュー画像用の撮像信号を出力させることにより、フレームレート(1/T_(F1))を制御する。
【0034】
信号処理部34は、イメージセンサ13が出力する撮像信号にデモザイク処理等の各種信号処理を施すことにより、画像データ(撮影画像やライブビュー画像)を生成する画像エンジンである。信号処理部33が生成した画像データは、RAM36に一時的に記憶される。
【0035】
信号処理部34は、設定によっては、入力された撮像信号に基づいて最適なホワイトバランスを検出し、画像データのホワイトバランスを調節する。また、信号処理部34は、入力された撮像信号を用いて焦点評価値を算出する。検出したホワイトバランスや焦点評価値は、レンズ制御部32に入力され、自動焦点調節や露光量(絞りの開口量)の調節に用いられる。
【0036】
信号処理部34が生成した画像データが保存用の撮影画像である場合には、RAM36に記憶された撮影画像は、画像処理部37によって読み出され、γ補正処理や階調変換処理等の各種画像処理が施された後、画像記憶部38に記憶される。一方、信号処理部34が生成した画像データがライブビュー画像である場合には、RAM36に記憶されたライブビュー画像は、表示用画像生成部39に読み出され、第1表示部17に表示するための表示用画像の生成に用いられる。
【0037】
表示用画像生成部39は、RAM36から読み出したライブビュー画像を、第1表示部17の表示画面のサイズに合わせて拡大または縮小することにより、表示用画像を生成する。また、表示用画像生成部39は、第1表示部17の表示画面のサイズに対して縮小された領域にライブビュー画像を適用した表示用画像を生成する場合がある。この場合、画面サイズよりも縮小されたライブビュー画像の周辺は、ブランクデータ(例えば、黒色データ)で埋められる。このため、第1表示部17では、表示画面の中央部にライブビュー画像が表示される。表示用画像生成部39は、ライブビュー画像の視野角を調節するための視野角設定部39aを備えている。
【0038】
視野角設定部39aは、操作部23等による操作入力等に基づき、第1表示部17に表示するライブビュー画像(被写体)の視野角を設定する。具体的には、視野角設定部39aによる視野角の設定は、表示用画像中のライブビュー画像の表示サイズ(表示画面に対する縮小率)を指定することにより行われる。ライブビュー画像の視野角(縮小率)は、任意に変更可能である。また、縮小表示されるライブビュー画像の表示位置も任意に変更可能であるが、本実施形態では、第1表示部17の表示画面の中央にライブビュー画像を縮小表示する。なお、表示用画像生成部39は、予め選択した撮影モード等の設定パラメータを表す文字や記号、インジケータ等を表示用画像に重畳させる場合がある。
【0039】
表示用画像生成部39が生成した表示用画像は、VRAM36aに一時的に記憶される。VRAM36aは、表示用画像を一時記憶するためのメモリ領域であり、RAM36内に予め確保されている。もちろん、VRAM36aを、RAM36とは別に設けても良い。VRAM36aに記憶された表示用画像は、電子ビューファインダとして用いられる第1表示部17の表示装置17aに逐次読み出されて表示される。第2表示部18を電子ビューファインダとして用いる設定の場合には、表示用画像は、第2表示部18に読み出されて表示される。
【0040】
同期制御部41は、駆動タイミング制御部51、表示タイミング制御部52、ブランキング期間設定部53を備えており、イメージセンサ13と第1表示部17の動作タイミングを同期制御する。
【0041】
駆動タイミング制御部51は、イメージセンサ13の駆動タイミングを制御するための駆動タイミング信号を発生し、センサドライバ33に入力する。センサドライバ33は、入力された駆動タイミング信号で定まるフレームレート(1/T_(F1))でライブビュー画像用の撮像信号を出力させる。
【0042】
表示タイミング制御部52は、ライブビュー画像の表示サイズの設定に応じて、第1表示部17の表示タイミングを制御するための表示タイミング信号を発生し、第1表示部17(表示装置17a)に入力する。第1表示部17は、入力された表示タイミング信号にしたがってVRAM36aから表示用画像を読み出して表示する。表示タイミング信号は、駆動タイミング信号に対して所定の遅延時間(位相差)をもって同期されている。このため、第1表示部17の表示フレームレートは、イメージセンサ13の駆動(撮像)フレームレート(1/T_(F1))と等しい。なお、第2表示部18を電子ビューファインダとして使用する設定の場合には、表示タイミング制御部52は、第2表示部18に表示タイミング信号を入力する。
【0043】
表示タイミング制御部52は、駆動タイミング信号に対する表示タイミング信号の遅延時間をΔTaまたはΔTbに設定する。遅延時間ΔTaは、第1表示部17にライブビュー画像を全画面表示する場合に、表示用画像生成部39によるVRAM36aへの表示画像の記憶(書き込み)と、第1表示部17によるVRAM36aからの表示画像の読み出しを正常に行わせるための最短のタイムラグであり、イメージセンサ13から1画面分の撮像信号の読み出し動作を行う1フレーム周期T_(F1)よりも短い。
【0044】
遅延時間ΔTbは、第1表示部17にライブビュー画像を縮小表示し、かつ、ブランキング期間設定部53によってブランキング期間T_(BL)を設定しない場合に、表示用画像生成部39によるVRAM36aへの表示画像の記憶(書き込み)と、第1表示部17によるVRAM36aからの表示画像の読み出しを正常に行わせるためのタイムラグである。遅延時間ΔTbは、遅延時間ΔTaより長く、1フレーム周期T_(F1)より短く設定される(T_(F1)>ΔTb>ΔTa)。
【0045】
なお、遅延時間ΔTbは、仕様上の制限等によってイメージセンサ13や第1表示部17にブランキング期間T_(BL)に対応する適切な動作を行わせることができない場合にのみ設定される。第1表示部17にライブビュー画像を縮小表示する場合においても、イメージセンサ13や第1表示部17にブランキング期間T_(BL)に対応する適切な動作を行わせることができる場合には、表示タイミング制御部52は、遅延時間をΔTaに設定し、ライブビュー画像を全画面表示する場合の設定を維持する。
【0046】
ブランキング期間設定部53は、ライブビュー画像を第1表示部17に縮小表示する場合に、1フレーム周期T_(F1)中に読み出し動作を行わないブランキング期間T_(BL)を設定する。このブランキング期間T_(BL)の長さは、ライブビュー画像の視野角(縮小率)に応じて算出される。
【0047】
また、ブランキング期間設定部53は、1フレーム周期T_(F1)からブランキング期間T_(BL)を除いた期間(T_(F1)-T_(BL))内で、1画面分の撮像信号の読み出しを完了させるために、イメージセンサ13からの撮像信号の読み出し方式の設定を変更するパラメータをセンサドライバ33に入力する。センサドライバ33は、ブランキング期間設定部53から読み出し方式を設定するパラメータが入力されると、このパラメータに応じた読み出し方式でイメージセンサ13から撮像信号の読み出しを行う。
【0048】
例えば、ブランキング期間設定部53は、設定するブランキング期間T_(BL)の長さに応じて、間引き読み出しの行数を設定するパラメータをセンサドライバ33に入力し、行毎に行われる撮像信号の読み出しを、1行おき、2行おき等、所定間隔で間引いて行わせる。これにより、ブランキング期間T_(BL)を除いた読み出し期間(T_(F1)-T_(BL))内で、1画面分の撮像信号の読み出しが行われる。
【0049】
上述のように構成された撮像装置10では、第1表示部17に表示するライブビュー画像の大きさ(表示サイズ)をほぼ任意に設定可能であり、大別して、全画面表示と縮小表示の2種類の表示設定を選択できる。図4に示すように、全画面表示では、イメージセンサ13の有効画素領域を含む行L_(1)?L_(N)から取得された撮像信号を用いて生成されるライブビュー画像61は、第1表示部17の表示画面62の大きさに一致して表示される。また、図5に示すように、縮小表示では、表示画面62の中央に縮小領域63が設定され、縮小領域63にライブビュー画像61が表示され、縮小領域63以外の周辺領域64は空白(黒色表示)とされる。
【0050】
図6に示すように、ライブビュー画像の表示サイズは、撮影の前、あるいは撮影の途中で、第2表示部18に設定メニューを表示し、操作部23により全画面表示または縮小表示を選択することにより設定される(S10)。縮小表示が選択された場合には、さらに視野角(縮小率)を設定することにより、縮小領域63の大きさが設定される。
【0051】
全画面表示が選択された場合(S11でYes判定)には、表示タイミング制御部52は、表示タイミング信号の駆動タイミング信号からの遅延時間をΔTaに設定し(S12)、ライブビュー表示をする(S16)。
【0052】
一方、縮小表示が選択された場合(S11でNo判定)には、ブランキング期間設定部53は、設定された視野角(縮小率)に応じてブランキング期間T_(BL)の長さを算出する。そして、算出したブランキング期間T_(BL)に合わせた読み出し動作をイメージセンサ13に行わせることができるか否かを判別する(S13)。
【0053】
イメージセンサ13がブランキング期間T_(BL)に合わせた読み出し動作を行うことが可能な場合(S13でYes判定)には、1フレーム周期T_(F1)からブランキング期間T_(BL)を除いた期間(T_(F1)-T_(BL))内で、1画面分の撮像信号の読み出しを完了させる読み出し方式を指定するためのパラメータをセンサドライバ33に入力することにより、1フレーム周期T_(F1)内にブランキング期間T_(BL)を設定する(S14)。
【0054】
また、イメージセンサ13に算出したブランキング期間T_(BL)に合わせた読み出し動作を行わせることができるか否かの判別結果は表示タイミング制御部52に通知され、イメージセンサ13がブランキング期間T_(BL)に合わせた読み出し動作を行うことが可能な場合には、表示タイミング制御部52は、表示タイミング信号の駆動タイミング信号からの遅延時間をΔTaに設定する(S15)。これにより、撮像装置10は、全画面表示の場合と同じ最短の遅延時間ΔTaを維持したままライブビュー画像を縮小表示する(S17)。
【0055】
一方、イメージセンサ13の仕様等により、イメージセンサ13がブランキング期間T_(BL)に合わせた読み出し動作を行うことができない場合(S13でNo判定)には、ブランキング期間設定部53は、ブランキング期間T_(BL)の設定を行わず、表示タイミング制御部52は、表示タイミング信号の駆動タイミング信号からの遅延時間をΔTbに設定する(S16)。これにより、撮像装置10は、全画面表示と比較すると遅延時間が長くなるが、表示用画像生成部39によるVRAM36aへの表示画像の記憶と、第1表示部17によるVRAM36aからの表示画像の読み出しを正常に行わせる遅延時間ΔTbを確保し、正常にライブビュー画像を縮小表示する(S17)。
【0056】
以下、ライブビュー画像を全画面表示する場合と、ブランキング期間T_(BL)を設定してライブビュー画像を縮小表示する場合と、ブランキング期間T_(BL)を設定せずにライブビュー画像を縮小表示する場合とのそれぞれについて、イメージセンサ13と第1表示部17との動作タイミングについて詳述する。
【0057】
図7に示すように、ライブビュー画像を全画面表示する場合には、駆動タイミング制御部51は一定の時間間隔(1フレーム周期T_(F1))で読み出し動作を開始させる駆動タイミング信号をセンサドライバ33に入力する。センサドライバ33は、駆動タイミング信号にしたがってイメージセンサ13の各行から順に撮像信号を出力させる。但し、イメージセンサ13の撮像面13aには被写体の撮像に利用されない部分があるので、この部分の撮像信号を掃き出すために、被写体を撮像するための有効画素領域を含む最初の行L_(1)から撮像信号を出力させるまでには一定の時間t_(1)が必要である。同様に、有効画素領域を含む最後の行L_(N)の読み出しが完了してから、次の1フレーム周期T_(F1)までの時間t_(2)は、有効画素領域を含まない行の撮像信号の掃き出し等を行うために必要な時間である。
【0058】
したがって、有効画素領域を含む行L_(1)?L_(N)からの各撮像信号の読み出しは、1フレーム周期T_(F1)から、時間t_(1),t_(2)を差し引いた時間S_(0)(=T_(F1)-t_(1)-t_(2))内に行われる。なお、イメージセンサ13の各画素は、撮像信号の読み出しが行われると、蓄積した電荷が破棄(リセット)され、直ちに次の1フレーム周期T_(F1)のための蓄積動作を開始する。
【0059】
各行L1?LNの撮像信号の読み出しから、VRAM36aに表示用画像65の各行のデータが書き込まれるまでには、時間t_(3)が必要である。この時間t_(3)は、信号処理部34が各行L_(1)?L_(N)の撮像信号からライブビュー画像61の各行のデータを順次生成してRAM36に一時記憶し、さらに、このライブビュー画像61の各行のデータを用いて表示用画像生成部39が表示用画像65を生成して、VRAM36aに書き込むまでに要する最短の時間である。すなわち、VRAM36aへの表示用画像65の書き込み開始タイミングは、行L_(1)の撮像信号の読み出し開始から時間t_(3)だけ遅延し、VRAM36aへの表示用画像65の書き込み完了タイミングは、行L_(N)の撮像信号の読み出し完了から時間t_(3)だけ遅延する。
【0060】
ライブビュー画像61を第1表示部17に全画面表示する場合には、ライブビュー画像61の各行と表示用画像65(表示画面62)の各行はそれぞれ対応しているので、表示用画像65をVRAM36aに書き込むための時間はS_(0)であり、イメージセンサの各行L_(1)?L_(N)の撮像信号の読み出しに要する時間S_(0)に等しい。イメージセンサ13が1行分の撮像信号の読み出しを行う時間をαとすれば、「S_(0)=α×N」である。
【0061】
表示用画像生成部39によるVRAM36aへの表示用画像65の書き込みと、第1表示部17によるVRAM36aからの表示用画像65の読み出しとは、ほぼ並行して(例えば表示用画像65の行毎に交互に)行うことができるが、当然ながら、読み出されたデータへのアクセスは、そのデータがVRAM36aに書き込まれた後でなければならない。このため、表示用画像65のVRAM36aへの書き込みと読み出しの間には時間t_(4)のタイムラグを設けておく必要がある。この時間t_(4)は、例えば、表示用画像65の1行分のデータをVRAM36aに書き込むのに要する時間である。
【0062】
これらのことから、駆動タイミング信号の入力から第1表示部17が表示用画像65のデータをVRAM36aから読み出して表示するまでの最短の遅延時間は、少なくとも時間t_(1),t_(3),t_(4)の合計ΔTa(=t_(1)+t_(3)+t_(4))が必要である。このため、表示タイミング制御部52は、駆動タイミング信号に対して最小の遅延時間ΔTaだけ遅延して同期した表示タイミング信号を生成する。
【0063】
以上のように、ライブビュー画像61を第1表示部17に全画面表示する場合には、撮像装置10は、遅延時間ΔTaで駆動タイミング信号に同期された表示タイミング信号にしたがって第1表示部17を動作させるので、ほぼリアルタイム(1フレーム周期T_(F1)よりも短い遅延時間)でライブビュー画像を表示することができる。例えば、VRAM36aに表示用画像65の全行のデータの書き込みが完了するのを待ってから、第1表示部17に表示用画像65を読み出させる場合よりも、速くライブビュー画像を表示可能である。
【0064】
一方、図8に示すように、ライブビュー画像61を縮小表示する場合の表示用画像66は、先頭及び末尾から所定数の行がブランクデータ67a,67bであり、これらの間がが、ライブビュー画像61が適用される縮小領域63を含む行のデータ68である。このデータ68は、行単位で記憶されるので、各行のデータの両端にはブランクデータも含まれているが、以下では、簡単のためライブビュー画像61が適用される縮小領域63を含む行のデータ68を、縮小ライブビュー画像68と称する。
【0065】
以下、駆動タイミング信号に対する表示タイミング信号の遅延時間を、全画面表示の場合と同じ遅延時間ΔTaに維持する場合を考える。この場合、縮小ライブビュー画像68の先頭行のデータ(縮小ライブビュー画像68を示す帯(斜線)の左端のデータ)の生成には、イメージセンサ13の有効画素領域を含む最初の行L_(1)のデータが必要であるが、ブランクデータ67aのVRAM36aへの書き込み時間があるので、先頭行のデータをVRAM36aに書き込むまでに、時間t_(3)よりも長い時間t_(5)を確保することができる。
【0066】
一方、縮小ライブビュー画像68の末尾行のデータ(縮小ライブビュー画像68を示す帯(斜線)の右端のデータ)の生成には、イメージセンサ13の有効画素領域を含む最後の行L_(N)のデータが必要であるが、末尾行のデータをVRAM36aに書き込む時間は、全画面表示の場合よりも繰り上がってしまうので、ライブビュー画像61を生成するための信号処理等に要する時間t_(3)を確保することはできない。特に、ライブビュー画像61の視野角(縮小率)によっては、イメージセンサ13の行L_(N)の撮像信号の読み出し完了よりも前(時間t_(6)だけ前)に、縮小ライブビュー画像68の末尾行のデータをVRAM36aに書き込んでおかなければならないが、もちろん、このようなことは実現できない。
【0067】
そこで、図9に示すように、ライブビュー画像61を縮小表示する場合には、撮像装置10は、ブランキング期間設定部53によって1フレーム周期T_(F1)の最後に撮像信号の読み出しを行わないブランキング期間T_(BL)を設定する。そして、1フレーム周期T_(F1)からブランキング期間T_(BL)を除いた期間(T_(F1)-T_(BL))内で1画面分の撮像信号を完了させることにより、イメージセンサ13の行L_(N)の撮像信号の読み出し完了から、縮小ライブビュー画像68の末尾行のデータをVRAM36aに書き込むまでの時間t_(3)を確保する。これにより、駆動タイミング信号に対する表示タイミング信号の遅延時間を、全画面表示の場合(図7参照)と同じ遅延時間ΔTaに維持しつつ、ライブビュー画像61の縮小表示することができる。
【0068】
なお、図9の場合、ブランキング期間設定部53は、1行おき(L_(1),L_(3),…,L_(N-2),L_(N))に読み出しを行う間引き読み出しをさせるパラメータをセンサドライバ33に入力して、イメージセンサ13からの撮像信号の読み出し行数を減らすことにより、ブランキング期間T_(BL)を設定している。このため、有効画素を含む行L_(1),L_(3),…,L_(N-2),L_(N)の読み出し時間の総計は、全画面表示の場合の半分(S_(0)/2)である。また、この読み出し方式の変更により、有効画素領域を含まない行の撮像信号を掃き出すための各時間t_(8),t_(9)も全画面表示の場合の半分である(t_(8)=t_(1)/2,t_(9)=t_(2)/2)。もちろん、ブランキング期間設定部53は、ブランキング期間T_(BL)の長さの算出に、これらの各時間の長さの変化を考慮している。また、図9に示す例では、1行おきに間引き読み出しを行わせることによりブランキング期間T_(BL)を設定しているが、間引きする行数は、ブランキング期間T_(BL)に応じて決定される。
【0069】
なお、イメージセンサ13の仕様等によっては、ブランキング期間設定部53が求めたブランキング期間T_(BL)に対応する動作を行わせることができない場合がある。例えば、イメージセンサ13が間引き読み出しに対応していない場合である。また、ブランキング期間T_(BL)を設定するために2行おきの間引き読み出しが必要な場合に、イメージセンサ13が1行おきの間引き読み出しにしか対応していない(2行おきの間引き読み出しができない)場合もある。さらに、ブランキング期間T_(BL)を設定するために1.5行おきの間引き読み出しが必要である場合、通常のイメージセンサ13ではこうした中途半端な行数の間引き読み出しには対応できない。
【0070】
このようにブランキング期間T_(BL)を設定できない場合には、図10に示すように、ブランキング期間T_(BL)を設定する代わりに、表示タイミング制御部52が、駆動タイミング信号に対する表示タイミング信号の遅延時間をΔTbに延長し、表示用画像66のVRAM36aからの読み出しタイミングを全体的に後ろにシフトさせる。これにより、表示用画像66のVRAM36aへの書き込みタイミングも後ろにシフトするので、イメージセンサ13の行L_(N)の撮像信号の読み出し完了から、縮小ライブビュー画像68の末尾行のデータをVRAM36aに書き込むまでの時間t_(3)が確保される。遅延時間ΔTaに対する遅延時間ΔTbの延長量(ΔTb-ΔTa)は、最大でS_(0)/2程度であるので、少なくとも1フレーム周期T_(F1)よりは短い。したがって、全画面表示の場合と同じ遅延時間ΔTaを維持することができないが、ブランキング期間T_(BL)を設定せずに、ライブビュー画像を縮小表示する場合としては最もリアルタイムに近いライブビュー表示をすることができる。
【0071】
なお、ブランキング期間設定部53は、イメージセンサ13に間引き読み出しをさせることによってブランキング期間T_(BL)を設定しているが、図11に示すように、イメージセンサ13の各行から撮像信号を読み出す時間を短縮(例えばα/2)にすることによって、ブランキング期間T_(BL)を設定しても良い。イメージセンサ13の各行から撮像信号を読み出す時間を短縮する方法としては、同じ行にある複数の画素を混合して同時に読み出す画素混合読み出しを行う方法、イメージセンサ13を構成するスイッチング素子やA/D変換器等の読み出し用回路の動作クロックを上げる方法、読み出す撮像信号のデータビット長を減らす方法等がある。
【0072】
画素混合読み出しでは、例えば、2画素を混合して撮像信号を読み出すと、全画素を読み出す場合の半分の時間で撮像信号の読み出しを完了することができる。動作クロックは、読み出し速度を規定するものであるので、動作クロックを上げることにより、撮像信号の読み出しを高速化することができる。撮像信号のデータビット長を、例えば、2ビット短くすると、データ量は1/4倍になる。これにより、撮像信号の読み出し速度を向上させることができる。
【0073】
また、ブランキング期間設定部53は、イメージセンサ13の動作方式(読み出し方式)を変更することによりブランキング期間T_(BL)を設定しているが、その方法でブランキング期間T_(BL)を設定しても良い。例えば、図12に示すように、1フレーム周期の長さをT_(F2)(>T_(F1))に延長し、表示用画像66の縮小ライブビュー画像68の部分をVRAM36aに書き込む時間を、全画面表示する場合と同じS_(0)に延長する。これにより、イメージセンサ13の動作方式を変更しなくても、行L_(N)の撮像信号の読み出し完了から、縮小ライブビュー画像68の末尾行のVRAM36aへの書き込みまでの間に時間t_(3)を確保し、駆動タイミング信号に対する表示タイミング信号の遅延時間を、全画面表示の場合と同じ遅延時間ΔTaに維持しつつ、縮小表示をすることができる。
【0074】
なお、ブランキング期間設定部53は、イメージセンサ13の行L_(N)の撮像信号の読み出し完了から、縮小ライブビュー画像68の末尾行のVRAM36aへの書き込みまでの間に時間t_(3)を確保できるようにブランキング期間T_(BL)を設定しているが、ブランクデータ67aは予め決まっているデータなので、イメージセンサ13から撮像信号を読み出す前にVRAM36aに書き込んでおくことができる。具体的には、図13に示すように、イメージセンサ13からの撮像信号の読み出し以前に、ブランクデータ67aのVRAM36aへの書き込みを開始させ、イメージセンサ13の行L_(1)の読み出し開始からVRAM36aへの縮小ライブビュー画像86の先頭行の書き込み開始までの期間と、イメージセンサ13の行L_(N)の撮像信号の読み出し完了から縮小ライブビュー画像68の末尾行のVRAM36aへの書き込みまでの期間とが、ともに時間t_(3)になるように、ブランキング期間T_(BL2)を設定することができる。
【0075】
この場合、駆動タイミング信号に対する表示タイミング信号の遅延時間を、全画面表示の場合の遅延時間ΔTaよりも短い遅延時間ΔTcに設定することができる。ライブビュー画像61の視野角(縮小率)及びブランクデータ67aの長さ(行数)によっては、遅延時間ΔTcが「0」や負の値になり、ライブビュー画像の実質的な表示遅延を極めて小さくすることができる場合がある。なお、時間t_(10),t_(11)は、有効画素領域を含まない行の撮像信号の掃き出し等に必要な時間である。
【0076】
なお、上述のようにイメージセンサ13の行L_(1)の読み出し開始からVRAM36aへの縮小ライブビュー画像86の先頭行の書き込み開始までの期間が時間t_(3)になるようにブランキング期間T_(BL2)を設定する方法(図13)は、1フレーム周期を延長する方法(図12参照)と組み合わせると特に効果的である。例えば、イメージセンサ13から撮像信号を読み出す行数(ライブビュー画像の解像度)を維持し、かつ、フレームレートの低下を抑えながら、遅延時間を短くできる場合があるからである。
【0077】
なお、ライブビュー画像の縮小表示のためにブランキング期間T_(BL)を設定する場合には、上述の間引き読み出し、画素混合、動作クロックの変更、撮像信号のデータビット長の変更、1フレーム周期(フレームレート)の変更の各方法を組み合わせて用いることができる。これらの中でライブビュー画像61の解像度低下をともなう間引き読み出し(または画素混合,撮像信号のデータビット長の変更)と、1フレーム周期の変更とを組み合わせてブランキング期間T_(BL)を設定する場合には、撮影モードに応じて、ライブビュー画像61の解像度と1フレーム周期とのいずれかが優先的に維持されるように、組み合わせバランスを調節することが好ましい。
【0078】
例えば、間引き読み出しと1フレーム周期の延長とを組み合わせる場合には、ライブビュー画像61の生成のために撮像信号を読み出す行数が、P_(1),P_(2),P_(3)(P_(1)>P_(2)>P_(3))の3段階に変更可能であるとする。また、1フレーム周期がT_(F1),T_(F2),T_(F3)(T_(F1)<T_(F2)<T_(F3))の3段階に変更可能、すなわち、フレームレートが1/T_(F1),1/T_(F2),1/T_(F3)に変更可能であるとする。そして、撮像装置10には、動きのある被写体を撮影する場合に選択されるシャッタスピード優先の第1撮影モード(例えばスポーツモード)と、人物や風景等動きの少ない被写体を撮影する場合に選択される第2撮影モードとがあるとする。
【0079】
例えば、第1撮影モードでは、図14に示すように、ライブビュー画像61の表示サイズ(縮小領域63の大きさ)の低下に対して、フレームレートを維持しつつ、読み出し行数を優先的に低下させることによりブランキング期間T_(BL)を設定する。第2撮影モードでは、図15に示すように、ライブビュー画像61の表示サイズの低下に対して、できる限り読み出し行数を維持しつつ、フレームレートを優先的に低下させることによりブランキング期間T_(BL)を設定する。
【0080】
このように、ライブビュー画像61の解像度低下をともなう間引き読み出し(または画素混合、撮像信号のデータビット長の変更)と、1フレーム周期の変更とを組み合わせてブランキング期間T_(BL)を設定する場合の撮像モードに応じた設定は、撮影モード毎に予め用意しておき、撮影モードを選択することによって自動的に適用されるようにしておくことが好ましい。
【0081】
なお、ライブビュー画像61を全画面表示していた場合に縮小表示に切り替えると、切り替えの途中で大きさの異なるライブビュー画像が表示画面62に混在して表示される。具体的には、図16に示すように、第1フレーム71において第1ライブビュー画像81が表示画面62に全画面表示されているとする。この場合、縮小表示設定に切り替えなければ、例えば過渡フレーム72に示すように表示画面62の上部から順に第2ライブビュー画像82が上書き表示され、第2フレーム73では第2ライブビュー画像83が表示画面62に全画面表示される。過渡フレーム72では、第1ライブビュー画像81と第2ライブビュー画像82とが上下に混在するが、第1ライブビュー画像81と第2ライブビュー画像82とは連続したフレームで撮影された画像であるために変化が少なく、かつ、表示サイズも同じなので、通常のユーザはこれらのライブビュー画像81,82が混在していることには気が付かない。
【0082】
しかし、ここで縮小表示設定に切り替えると、第3フレーム75では第3ライブビュー画像83が中央に縮小表示されるが、第2フレーム73と第3フレーム75の間の過渡フレーム74では、縮小された第3ライブビュー画像83と表示画面62と同じサイズの第2ライブビュー画像82とが混在する。過渡フレーム74のように、縮小表示への切り替えによってサイズが異なる画像が混在する時間は1フレーム周期T_(F1)よりも短く、一瞬のことではあるが、サイズが異なる画像が混在していると、通常のユーザでも違和感を覚える場合がある。このため、縮小表示設定に変更された場合には、直ちに縮小表示に切り替えるのではなく、1?数フレーム程度を用いて縮小表示に切り替わることを視覚的に通知してから縮小表示に切り替え、サイズが異なる画像が混在する過渡フレームの違和感を低減することが好ましい。
【0083】
具体的には、図17に示すように、第1フレーム91において表示画面62に第1ライブビュー画像101が全画面表示されており、縮小表示設定に切り替えられた場合には、次の第2フレーム93で直ちにライブビュー画像を縮小表示するのではなく、第2フレーム93では表示画面62と同じサイズの第2ライブビュー画像102に斜線で示すマスクデータを重畳して表示し、さらに次の第3フレーム95で第3ライブビュー画像103を縮小表示する。
【0084】
マスクデータは、後にライブビュー画像が適用される箇所以外の部分を覆って、縮小されたライブビュー画像が表示される領域(図5の縮小領域63)を示すものである。また、マスクデータは、例えば半透明の灰色や黒色の半透明な画像データであり、下地の第2ライブビュー画像102を確認することを可能とする。マスクデータの重畳処理は、表示用画像生成部39で行われる。
【0085】
このように、縮小表示設定に切り替えられた場合に、マスクデータを重畳した全画面サイズの第2ライブビュー画像102を表示すると、第1フレーム91と第2フレーム93の間の過渡フレーム92では、第2ライブビュー画像102と第1ライブビュー画像101が上下に混在するが、第2ライブビュー画像102と第1ライブビュー画像101の表示サイズが等しいので、ユーザは違和感を覚え難い。そして、第2フレーム93と第3フレーム95の間の過渡フレーム94では、縮小されたライブビュー画像103と全画面サイズの第2ライブビュー画像102が上下に混在するが、第2ライブビュー画像102にマスクデータが重畳されていることにより、異なるサイズのライブビュー画像が混在していることに気付き難くなる。このため、全画面表示から縮小表示に切り替えた場合の違和感を低減することができる。
【0086】
なお、マスクデータは半透明でなくても良く、第2ライブビュー画像102を塗り潰すデータであっても良い。この場合、マスクデータによって第2ライブビュー画像102の表示範囲が狭窄されるので、第1フレーム91と第2フレーム93の間の過渡フレーム92では、第2ライブビュー画像102と第1ライブビュー画像101の表示サイズが実質的に異なるが、これらの境界(破線部分)の像にギャップがほぼ無いので、縮小されたライブビュー画像と全画面サイズのライブビュー画像が混在する場合よりは違和感が少ない。
【0087】
なお、イメージセンサ13は、ライブビュー画像61のために有効画素領域の全行の撮像信号を出力しているが、ライブビュー画像は撮影画像と比較すれば低解像度でも良いので、予め所定行数の間引き読み出しをすることを前提に遅延時間ΔTaが定められている場合がある。この場合、ブランキング期間T_(BL)を、間引き読み出しによって設定するには、間引き読み出しの行数を増加させれば良い。また、画素混合等の他の方法でブランキング期間T_(BL)を設定する場合には、所定行数の間引き読み出しを行い、さらに設定するブランキング期間T_(BL)に応じて画素混合を行えば良い。
【0088】
なお、上記実施形態では、第1表示部17及び第2表示部18に液晶ディスプレイを使用しているが、液晶ディスプレイに代えて、有機ELディスプレイ等の他の表示装置を用いても良い。
【0089】
上記実施形態では、撮像レンズ12をズームレンズとしているが、撮像レンズ12の構成は任意である。すなわち、撮像レンズ12は、単焦点レンズでも良い。また、撮像レンズ12は交換式のものであっても良いし、据え付け型であっても良い。
【0090】
上記実施形態では、撮像装置10をデジタルカメラとしているが、本発明は、スマートフォンやタブレット端末等にも適用可能である。スマートフォン等の場合には、第1表示部17のような専用の電子ビューファインダを有していないため、通常は第2表示部18のようなディスプレイを電子ビューファインダとして機能させるが、このディスプレイとイメージセンサ13との同期制御方法は上記実施形態と同様である。
【0091】
また、スマートフォン等では、ディスプレイに設けられたタッチパネルによって操作部が構成されているが、これは上記同期制御方法には直接的な影響はない。すなわち、操作部23の形態は任意であり、操作部23の各部は必ずしも物理的なスイッチやキーでなくても良い。
【符号の説明】
【0092】
10 撮像装置
12 撮像レンズ
13 イメージセンサ
17 第1表示部
18 第2表示部
39 表示用画像生成部
41 同期制御部
51 駆動タイミング制御部
52 表示タイミング制御部
53 ブランキング期間設定部
61 ライブビュー画像
62 表示画面
63 縮小領域
64 周辺領域
65,66 表示用画像
67a,67b ブランクデータ
68 縮小ライブビュー画像
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像し、1フレーム周期毎に1枚のライブビュー画像を生成するための撮像信号を出力するイメージセンサと、
前記撮像信号に基づいて前記ライブビュー画像を生成する信号処理部と、
所定サイズの表示画面を有し、前記表示画面に、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を表示する電子ビューファインダと、
前記電子ビューファインダの前記表示画面に表示される前記被写体の視野角を設定する視野角設定部と、
前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像、及び、設定された前記視野角に基づき、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を生成する表示用画像生成部と、
前記1フレーム周期よりも短い遅延時間で前記イメージセンサの駆動タイミングと前記電子ビューファインダの表示タイミングとを同期させ、前記表示画面に、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を順次表示させる表示タイミング制御部と、
前記1フレーム周期の最後に、設定された前記視野角に応じたブランキング期間を設定し、前記ブランキング期間の開始前に前記撮像信号の読み出しを完了し、かつ、前記表示用画像生成部が、前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像を、縮小された前記ライブビュー画像の生成に使用するタイミングよりも前に前記撮像信号の読み出しを完了させることにより、前記イメージセンサの駆動タイミングと前記電子ビューファインダの表示タイミングとの同期を維持させるブランキング期間設定部と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記ブランキング期間設定部は、前記ブランキング期間に応じて前記撮像信号の読み出し時間を短縮させることにより前記ブランキング期間を設定し、前記イメージセンサと前記電子ビューファインダの同期を維持させる請求の範囲第1項に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記ブランキング期間設定部は、前記イメージセンサから前記撮像信号を間引いて出力する間引き読み出しを行わせることによって前記ブランキング期間を設定する請求の範囲第2項に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ブランキング期間設定部は、複数配列された画素を行単位で前記間引き読み出しを行わせる請求の範囲第3項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記ブランキング期間設定部は、前記撮像信号を読み出すため回路の動作クロックを上げて前記撮像信号の読み出し時間を短縮させることにより前記ブランキング期間を設定する請求の範囲第2項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記ブランキング期間設定部は、前記撮像信号のデータビット長を低減させて前記撮像信号の読み出し時間を短縮させることにより前記ブランキング期間を設定する請求の範囲第2項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記ブランキング期間設定部は、2以上の画素の信号を混合して読み出す画素混合読み出しを行わせることによって前記撮像信号の読み出し時間を短縮させ、前記ブランキング期間を設定する請求の範囲第2項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記ブランキング期間設定部は、前記1フレーム周期を延長することにより前記ブランキング期間を設定する請求の範囲第1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記ブランキング期間設定部は、間引き読み出し、動作クロックを上げること、撮像送信号のデータビット長の低減、画素混合読み出しのうち少なくとも一つと、1フレーム周期の延長とを組み合わせて前記撮像信号の読み出し時間を短縮させ、
予め複数の撮影モードが設けられている場合に、前記間引き読み出し、前記動作クロックを上げること、前記撮像送信号のデータビット長の低減、前記画素混合読み出しのうち少なくとも一つと、前記1フレーム周期の延長との組み合わせ方が前記撮影モード毎に予め設定されている請求の範囲第1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記信号処理部が生成した前記ライブビュー画像を前記表示画面に全画面表示した状態から、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像の表示に切り替える場合に、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像を表示させるフレームの前の少なくとも1フレームで、前記表示画面に対して縮小された前記ライブビュー画像が適用される領域を示すマスクデータを全画面サイズの前記ライブビュー画像に重畳して表示させる請求の範囲第1?9項のうちいずれか1項に記載の撮像装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-05-09 
出願番号 特願2015-513701(P2015-513701)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (H04N)
P 1 651・ 121- YAA (H04N)
P 1 651・ 537- YAA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高野 美帆子  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 冨田 高史
渡辺 努
登録日 2015-12-25 
登録番号 特許第5860189号(P5860189)
権利者 富士フイルム株式会社
発明の名称 撮像装置  
代理人 小林 和憲  
代理人 小林 和憲  

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