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審決分類 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H02K
審判 一部申し立て 2項進歩性  H02K
管理番号 1330085
異議申立番号 異議2016-700848  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-09 
確定日 2017-06-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5880577号発明「モータ、モータシステムおよびモータ用エンコーダ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5880577号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1、2、4-9]、10、11について訂正することを認める。 特許第5880577号の請求項1、2、4、6ないし11に係る特許を維持する。 特許第5880577号の請求項5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第5880577号に係る出願は、平成23年12月21日の出願であって、平成28年2月12日に特許の設定登録がなされた。
これに対して、特許異議申立人より平成28年9月9日に、本件請求項1、2、4ないし11に係る発明の特許について特許異議の申立がなされ、平成28年10月27日付で取消理由が通知され(発送日:平成28年11月1日)、これに対し特許権者より平成28年12月28日付で意見書及び訂正請求書が提出され、平成29年1月24日付で訂正拒絶理由が通知され(発送日:平成29年1月30日)、これに対し特許権者より平成29年2月27日付で意見書及び手続補正書が提出され、平成29年3月2日付で訂正請求があった旨が通知され(発送日:平成29年3月7日)、これに対し特許異議申立人より平成29年4月6日付で意見書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
平成29年2月27日付の手続補正により、平成28年12月28日付の訂正請求による訂正事項1?8のうち、訂正事項3は請求項5の削除という訂正事項に補正され、それに整合させるため、請求項9の「請求項1?8のいずれか1項」を「請求項1?4または請求項6?8のいずれか1項」に訂正する訂正事項9が追加された。
請求項の削除という訂正事項を追加する補正及びそれに整合させるための訂正事項の補正は、訂正請求書の要旨を変更するものには該当しないので、当該補正は認められる。
なお、平成28年12月28日付の訂正請求書の「請求の趣旨」には、「特許第5880577号の明細書、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、4、5、7、8、10、11について訂正することを求める。」とあるが、他の請求項の訂正に伴って訂正される請求項2、6、9を誤って除いて記載したものであり、「特許第5880577号の明細書、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1、2、4?9]、10、11について訂正することを求める。」を誤記したものと認める。

平成28年12月28日付の訂正請求による訂正のうち訂正事項1、2、4?8による訂正の内容、また、平成29年2月27日付の手続補正によって補正された訂正事項3及びそれに整合させるための訂正事項9(以下、訂正事項1?9を「本件訂正」という。)は以下のとおりである。

(ア)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の記載を、「シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、前記シャフトの回転を検出するエンコーダと、を備え、前記エンコーダは、永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、を備え、前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、前記回転位置検出センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、を備え、前記磁界センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、前記光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される、モータ。」に訂正する。

(イ)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4の記載を、「前記磁界センサは、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記回転体の回転中心線の方向で前記永久磁石と対向する位置になる、請求項1?3のいずれか1項に記載のモータ。」に訂正する。

(ウ)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

(エ)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7の記載を、「シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、前記回転シャフトの回転を検出するエンコーダと、を備え、前記エンコーダは、永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、を備え、前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、前記回転位置検出センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、を備え、前記磁界センサは、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記回転体の回転中心線の方向で前記永久磁石と対向する位置になり、前記磁界センサを3つ以上備え、前記永久磁石を4つ以上備える、モータ。」に訂正する。

(オ)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8の記載を、「前記磁界センサは3つ備えられ、前記3つの磁界センサは、前記回転中心線からずれた立置に互いに前記回転中心線に対して120度回転対称に配置され、前記磁性体の長手方向が前記回転中心線と直交交差する線に対して線対称となるように配置される、請求項7に記載のモータ。」に訂正する。

(カ)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項10の記載を、「シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、前記シャフトの回転を検出するエンコーダと、前記エンコーダの検出結果に基づいて、前記モータ本体を制御する制御装置と、を備え、前記エンコーダは、永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、を備え、前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、前記回転位置検出センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、を備え、前記磁界センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、前記光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される、モータシステム。」に訂正する。

(キ)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項11の記載を、「永久磁石を有する回転体と、磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、を備え、前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、前記回転位置検出センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、を備え、前記磁界センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、前記光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される、モータ用エンコーダ。」に訂正する。

(ク)訂正事項8
願書に添付した明細書の段落【0005】の記載を「実施形態の一態様に係るモータは、モータ本体と、エンコーダとを備える。前記エンコーダは、回転体と、磁界センサと、回転位置検出センサとを備える。前記モータ本体は、シャフトを軸線周りに回転させる。前記エンコーダは、前記シャフトの回転を検出する。前記回転体は、永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する。前記磁界センサは、磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記永久磁石コイルからパルス信号が出力される。前記回転位置検出センサは、光学式であり、前記回転体の回転位置を検出する。前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向である。前記回転位置検出センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、を備える。前記磁界センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、前記光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される。」に訂正する。

(ケ)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9の記載を、「前記回転体および前記磁界センサの周囲に配置されるバックヨークを備える、請求項1?4または請求項6?8のいずれか1項に記載のモータ。」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 一群の請求項について
訂正前の請求項1、2、4?9において、訂正前の請求項2、4?9は、訂正前の請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって訂正前の請求項1が訂正されることに伴い訂正されるものである。
訂正前の請求項1、2、4?9に対する訂正(訂正事項1?5、8、9)は一群の請求項ごとに請求されたものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第4項に適合するものである。

イ.訂正の適否
(ア)訂正事項1
(a)訂正の目的について
・訂正事項1のうち、「シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、」を「シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、前記シャフトの回転を検出するエンコーダと、を備え、前記エンコーダは、」へと訂正することは、回転体と、磁界センサと回転位置検出センサとを備えた構成がエンコーダであり、このエンコーダがシャフトの回転を検出することを明確にするとともに、エンコーダという発明特定事項を追加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
・訂正事項1のうち、「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体を有し、」を「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、」へと訂正するものは、磁界センサが磁性体と検出コイルとを有していることを明確にするとともに、「検出コイル」という発明特定事項を追加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
・訂正事項1のうち、「前記回転体の回転位置が所定の回転位置である場合に、」を「前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、」へと訂正することは、不明確であると指摘された「回転体の回転位置が所定の回転位置である場合」が「回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合」であることを明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
・訂正事項1のうち、「前記永久磁石と対向する位置になる磁界センサ」を「前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサ」へと訂正することは、永久磁石によって磁界センサの磁性体が磁化され、磁界センサの検出コイルからパルス信号が出力されることを明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
・訂正事項1のうち、「前記磁界センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、前記光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される」という発明特定事項を追加するものは、磁界センサが回転体のうち永久磁石が配置される面に対向して配置されるとともに、光センサが回転体のうち永久磁石が配置される面とは逆側の面に対向して配置されることを特定して明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(b)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1に含まれる訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許請求の範囲の減縮を目的とする事項は、いずれも訂正前の請求項1に記載されていた発明特定事項を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(c)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
・願書に添付した明細書の段落【0010】には、「図1に示すように、第1の実施形態に係るモータ1は、モータ本体2と、エンコーダ3とを備える。」と記載され、また、段落【0011】には、「エンコーダ3は、モータ本体2の回転力を出力する負荷装置側とは反対側のシャフト4に連結され、シャフト4の回転数を検出する。」と記載されている。
したがって、願書に添付した明細書には、モータは、モータ本体と、エンコーダとが備えられ、このエンコーダがシャフトの回転を検出することが記載されているから、「シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、前記シャフトの回転を検出するエンコーダと、を備え、前記エンコーダは、」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

・願書に添付した明細書の段落【0022】には、「磁界センサ7は、磁性ワイヤ7aと、検出コイル7bとを備える。」と記載され、また、段落【0024】には、「磁性ワイヤ7aは、非磁性体である樹脂部材7cによってモールドされ、モールドされた磁性ワイヤ7aの周りに検出コイル7bが巻装される。磁性ワイヤ7aにおいて磁性体内部の磁壁が一度に移動すると、検出コイル7bに誘導起電力が発生し、検出コイル7bからパルス信号が出力される。」と記載されている。
したがって、願書に添付した明細書には、磁界センサが磁性体と検出コイルとを有していることが記載されているから、「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

・願書に添付した明細書の段落【0029】【0030】には、「図5に示すように、回転体6が所定の回転位置(0度)にある状態から回転軸Ax周りに75度回転した場合、回転軸Ax方向から見てセット磁石である永久磁石6bの長手方向と磁界センサ7の長手方向との角度が15度になる。永久磁石6bの長手方向は永久磁石6bの磁化方向であり、磁界センサ7の長手方向は磁界センサ7の磁化容易方向である。したがって、永久磁石6bによって磁界センサ7はS極からN極への磁化方向がZ軸の正方向に磁化されてセット状態となる。その後、回転体6が255度の回転位置となった場合、回転軸Ax方向から見てリセット磁石である永久磁石6cの長手方向と磁界センサ7の長手方向との角度が15度になる。永久磁石6cの長手方向は永久磁石6cの磁化方向である。また、永久磁石6bと永久磁石6cとは、磁界センサ7と対向する位置においてN極とS極の位置が反対となる。」と記載されている。
したがって、願書に添付した明細書には、回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合について記載されており、「前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

・願書に添付した明細書の段落【0061】には、「基体40の反負荷側には磁石ユニット41が固定され、蓋部材35の負荷側には磁気検出ユニット31が固定される。そして、磁石ユニット41と磁気検出ユニット31とが互いに接触しないように間隔を空けて対向するように配置される。これら磁石ユニット41と磁気検出ユニット31とにより多回転検出部37が形成される。また、基体40の負荷側には、反射ディスク42が固定されて反射ディスク42と光検出ユニット32とが対向配置され、反射ディスク42と光検出ユニット32とにより回転位置検出部38(光学式の回転位置検出センサの一例)が形成される。」と記載されている。
したがって、「前記磁界センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、前記光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

このため、上記訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(d)特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件特許異議申立事件においては、請求項1が特許異議の申立ての対象とされているので、上記訂正事項1に関して、第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

(イ)訂正事項2
(a)訂正の目的について
上記訂正事項2は、請求項4の「前記回転体の回転位置が所定の回転位置である場合に、」とあるのを「前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、」へと訂正するものである。
これは、不明確であると指摘された「回転体の回転位置が所定の回転位置である場合」が「回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合」であることを明確にすることを目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(b)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項2は、訂正前の請求項4の明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(c)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の段落【0029】【0030】には、「図5に示すように、回転体6が所定の回転位置(0度)にある状態から回転軸Ax周りに75度回転した場合、回転軸Ax方向から見てセット磁石である永久磁石6bの長手方向と磁界センサ7の長手方向との角度が15度になる。永久磁石6bの長手方向は永久磁石6bの磁化方向であり、磁界センサ7の長手方向は磁界センサ7の磁化容易方向である。したがって、永久磁石6bによって磁界センサ7はS極からN極への磁化方向がZ軸の正方向に磁化されてセット状態となる。その後、回転体6が255度の回転位置となった場合、回転軸Ax方向から見てリセット磁石である永久磁石6cの長手方向と磁界センサ7の長手方向との角度が15度になる。永久磁石6cの長手方向は永久磁石6cの磁化方向である。また、永久磁石6bと永久磁石6cとは、磁界センサ7と対向する位置においてN極とS極の位置が反対となる。」と記載されている。
このため、願書に添付した明細書には、回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合について記載されており、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(d)特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件特許異議申立事件においては、請求項4が特許異議の申立ての対象とされているので、上記訂正事項2に関して、第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

(ウ)訂正事項3
(a)訂正事項3は、請求項5を削除するというものであるから、当該訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(b)訂正事項3は、請求項5を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(c)訂正事項3は、請求項5を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(d)本件特許異議申立事件においては、訂正前の請求項5について特許異議の申立ての対象とされているので、訂正前の請求項5に係る訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(エ)訂正事項4
(a)訂正の目的について
・訂正事項4のうち、訂正前の請求項7の記載が訂正前の請求項1を引用する請求項4の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用する請求項4の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。
・訂正事項4のうち、訂正前の請求項7が引用する訂正前の請求項1の「シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、」とあるのを「シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、前記シャフトの回転を検出するエンコーダと、を備え、前記エンコーダは、」へと訂正するものは、回転体と、磁界センサと回転位置検出センサとを備えた構成がエンコーダであり、このエンコーダがシャフトの回転を検出することを明確にするとともに、エンコーダという発明特定事項を追加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
・訂正事項4のうち、訂正前の請求項7が引用する訂正前の請求項1の「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体を有し、」とあるのを「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、」へと訂正するものは、磁界センサが磁性体と検出コイルとを有していることを明確にするとともに、検出コイルという発明特定事項を追加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
・訂正事項4のうち、訂正前の請求項7が引用する訂正前の請求項1の「前記回転体の回転位置が所定の回転位置である場合に、」とあるのを「前記回転体の回転位置が隻定旦回転位置に回転した場合に、」へと訂正するものは、不明確であると指摘された「回転体の回転位置が所定の回転位置である場合」が「回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合」であることを明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
・訂正事項4のうち、訂正前の請求項7が引用する訂正前の請求項1の「前記永久磁石と対向する位置になる磁界センサ」とあるのを「前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサ」へと訂正するものは、永久磁石によって磁界センサの磁性体が磁化され、磁界センサの検出コイルからパルス信号が出力されることを明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
・訂正事項4のうち、訂正前の請求項7が引用する訂正前の請求項4の「前記磁界センサは、前記回転体の回転位置が所定の回転位置である場合に、」とあるのを「前記磁界センサは、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、」へと訂正するものは、不明確であると指摘された「回転体の回転位置が所定の回転位置である場合」が「回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合」であることを明確にするものである。
これは、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
・訂正事項4のうち、「前記磁界センサを複数備える、」とあるのを「前記磁界センサを3つ以上備え、前記永久磁石を4つ以上備える、」へと訂正するものは、磁界センサが3つ以上備えられ、永久磁石が4つ以上備えられる旨を明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
これは、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(b)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4のうち、特許請求の範囲の減縮を目的とする事項については、いずれも訂正前の請求項7が引用する請求項1、4もしくは、訂正前の請求項7に記載されていた発明特定事項を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
そして、訂正前の請求項7の、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とし、また、明瞭でない記載の釈明を目的とする事項についても、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(c)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
・願書に添付した明細書の段落【0010】には、「図1に示すように、第1の実施形態に係るモータ1は、モータ本体2と、エンコーダ3とを備える。」と記載され、また、段落【0011】には、「エンコーダ3は、モータ本体2の回転力を出力する負荷装置側とは反対側のシャフト4に連結され、シャフト4の回転数を検出する。」と記載されている。
したがって、願書に添付した明細書には、モータは、モータ本体と、エンコーダとが備えられ、このエンコーダがシャフトの回転を検出することが記載されているから、「シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、前記シャフトの回転を検出するエンコーダと、を備え、前記エンコーダは、」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

・願書に添付した明細書の段落【0022】には、「磁界センサ7は、磁性ワイヤ7aと、検出コイル7bとを備える。」と記載され、また、段落【0024】には、「磁性ワイヤ7aは、非磁性体である樹脂部材7cによってモールドされ、モールドされた磁性ワイヤ7aの周りに検出コイル7bが巻装される。磁性ワイヤ7aにおいて磁性体内部の磁壁が一度に移動すると、検出コイル7bに誘導起電力が発生し、検出コイル7bからパルス信号が出力される。」と記載されている。
したがって、願書に添付した明細書には、磁界センサが磁性体と検出コイルとを有していることが記載されているから、「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

・願書に添付した明細書の段落【0073】?【0076】及び図14には、回転体が特定の回転位置に回転した場合に、永久磁石と磁界センサとが対向する位置になる点が開示されている。

・願書に添付した明細書の段落【0114】には、「4つ以上の永久磁石と3つ以上の磁界センサとによって構成されるエンコーダであってもよい。」なる記載がされている。
したがって「前記磁界センサを3つ以上備え、前記永久磁石を4つ以上備える、」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

このため、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(d)特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件特許異議申立事件においては、請求項7が特許異議の申立ての対象とされているので、訂正事項4に関して、第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

(オ)訂正事項5
(a)訂正の目的について
訂正事項5は、請求項8の「前記複数の磁界センサは、互いに前記回転中心線に対して回転対称に配置される、」とあるのを「前記磁界センサは3つ備えられ、前記3つの磁界センサは、前記回転中心線からずれた位置に互いに前記回転中心線に対して120度回転対称に配置され、前記磁性体の長手方向が前記回転中心線と直交交差する線に対して線対称となるように配置される、」へと訂正するものは、磁界センサを3つ備え、かかる3つの磁界センサが回転中心線からずれた位置に互いに回転中心線に対して120度回転対称に配置され、磁性体の長手方向が回転中心線と直交交差する線に対して線対称となるように配置される旨を明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(b)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5に含まれる訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、訂正前の請求項8に記載されていた発明特定事項を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(c)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
段落【0070】には、「磁界センサ54a?54cは、回転軸Axに対して直交する面に沿って配置される。具体的には、磁界センサ54a?54cは、長手方向が回転軸Axに対して直交する方向に対して平行であり、長手方向が保持部材56の主面に沿うように配置される。また、磁界センサ54a?54cは、回転軸Axからずれた位置で、かつ回転軸Axに対して回転対称となる位置に形成される。具体的には、磁界センサ54bに対して磁界センサ54a,54cは、回転軸Axを中心とした120度回転対称の位置にある。また、磁界センサ54a?54cは、磁性ワイヤが回転軸Axと直交交差する線に対して両端が互いに対称になるように配置され、磁性ワイヤの長手方向の中央が回転軸Axに最も近く、長手方向の両端が回転軸Axから同程度の距離となる。」と記載されている。
訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(d)特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件特許異議申立事件においては、請求項8が特許異議の申立ての対象とされているので、上記訂正事項5に関して、第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

(カ).訂正事項6
(a)訂正の目的について
・訂正事項6のうち、訂正前の請求項10の「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体を有し、」とあるのを「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、」へと訂正するものは、磁界センサが磁性体と検出コイルとを有していることを明確にするとともに、検出コイルという発明特定事項を追加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
・訂正事項6のうち、「前記回転体の回転位置が所定の回転位置である場合に、」とあるのを「前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、」へと訂正するものは、不明確であると指摘された「回転体の回転位置が所定の回転位置である場合」が「回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合」であることを明確にするものである。
これは、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
・訂正事項6のうち、「前記永久磁石と対向する位置になる磁界センサ」とあるのを「前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサ」へと訂正するものは、永久磁石によって磁界センサの磁性体が磁化され、磁界センサの検出コイルからパルス信号が出力されることを明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
・訂正事項6のうち、「前記磁界センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、前記光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される」という発明特定事項を追加するものは、磁界センサが回転体のうち永久磁石が配置される面に対向して配置されるとともに、光センサが回転体のうち永久磁石が配置される面とは逆側の面に対向して配置される旨を明らかにするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(b)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6に含まれる訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、訂正前の請求項10に記載されていた発明特定事項の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(c)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
・願書に添付した明細書の段落【0022】には、「磁界センサ7は、磁性ワイヤ7aと、検出コイル7bとを備える。」と記載され、また、段落【0024】には、「磁性ワイヤ7aは、非磁性体である樹脂部材7cによってモールドされ、モールドされた磁性ワイヤ7aの周りに検出コイル7bが巻装される。磁性ワイヤ7aにおいて磁性体内部の磁壁が一度に移動すると、検出コイル7bに誘導起電力が発生し、検出コイル7bからパルス信号が出力される。」と記載されている。
したがって、願書に添付した明細書には、磁界センサが磁性体と検出コイルとを有していることが記載されているから、「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

・願書に添付した明細書の段落【0029】【0030】には、「図5に示すように、回転体6が所定の回転位置(0度)にある状態から回転軸Ax周りに75度回転した場合、回転軸Ax方向から見てセット磁石である永久磁石6bの長手方向と磁界センサ7の長手方向との角度が15度になる。永久磁石6bの長手方向は永久磁石6bの磁化方向であり、磁界センサ7の長手方向は磁界センサ7の磁化容易方向である。したがって、永久磁石6bによって磁界センサ7はS極からN極への磁化方向がZ軸の正方向に磁化されてセット状態となる。その後、回転体6が255度の回転位置となった場合、回転軸Ax方向から見てリセット磁石である永久磁石6cの長手方向と磁界センサ7の長手方向との角度が15度になる。永久磁石6cの長手方向は永久磁石6cの磁化方向である。また、永久磁石6bと永久磁石6cとは、磁界センサ7と対向する位置においてN極とS極の位置が反対となる。」と記載されている。
したがって、願書に添付した明細書には、回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合について記載されており、「前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

・願書に添付した明細書の段落【0061】には、「基体40の反負荷側には磁石ユニット41が固定され、蓋部材35の負荷側には磁気検出ユニット31が固定される。そして、磁石ユニット41と磁気検出ユニット31とが互いに接触しないように間隔を空けて対向するように配置される。これら磁石ユニット41と磁気検出ユニット31とにより多回転検出部37が形成される。また、基体40の負荷側には、反射ディスク42が固定されて反射ディスク42と光検出ユニット32とが対向配置され、反射ディスク42と光検出ユニット32とにより回転位置検出部38(光学式の回転位置検出センサの一例)が形成される。」と記載されている。
したがって、「前記磁界センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、前記光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

このため、上記訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(d)特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件特許異議申立事件においては、訂正を行った請求項10が特許異議の申立ての対象とされているので、上記訂正事項6に関して、第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

(キ)訂正事項7
(a)訂正の目的について
・訂正事項7のうち、請求項11の「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体を有し、」とあるのを「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、」へと訂正するものは、「検出コイル」という発明特定事項を追加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
・訂正事項7のうち、「前記回転体の回転位置が所定の回転位置である場合に、」とあるのを「前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、」へと訂正するものは、不明確であると指摘された「回転体の回転位置が所定の回転位置である場合」が「回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合」であることを明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
・訂正事項7のうち、「前記永久磁石と対向する位置になる磁界センサ」とあるのを「前記永久磁石と対向する位置になり、記泳久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサ」へと訂正するものは、永久磁石によって磁界センサの磁性体が磁化され、磁界センサの検出コイルからパルス信号が出力される旨を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
・訂正事項7のうち、「前記磁界センサは 前記回転体のうち前記永久磁石配置される面に対向して配置され、前記光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される」という発明特定事項を追加するものであり、磁界センサが回転体のうち永久磁石が配置される面に対向して配置されることを特定して明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(b)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項7に含まれる訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とすると共に、訂正前の請求項11に記載されていた発明特定事項を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(c)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
・願書に添付した明細書の段落【0022】には、「磁界センサ7は、磁性ワイヤ7aと、検出コイル7bとを備える。」と記載され、また、段落【0024】には、「磁性ワイヤ7aは、非磁性体である樹脂部材7cによってモールドされ、モールドされた磁性ワイヤ7aの周りに検出コイル7bが巻装される。磁性ワイヤ7aにおいて磁性体内部の磁壁が一度に移動すると、検出コイル7bに誘導起電力が発生し、検出コイル7bからパルス信号が出力される。なお、樹脂部材7cを用いずに磁界センサ7を構成するようにしてもよい。」と記載されている。
したがって、願書に添付した明細書には、磁界センサが磁性体と検出コイルとを有していることが記載されているから、「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

・願書に添付した明細書の段落【0029】【0030】には、「図5に示すように、回転体6が所定の回転位置(0度)にある状態から回転軸Ax周りに75度回転した場合、回転軸Ax方向から見てセット磁石である永久磁石6bの長手方向と磁界センサ7の長手方向との角度が15度になる。永久磁石6bの長手方向は永久磁石6bの磁化方向であり、磁界センサ7の長手方向は磁界センサ7の磁化容易方向である。したがって、永久磁石6bによって磁界センサ7はS極からN極への磁化方向がZ軸の正方向に磁化されてセット状態となる。その後、回転体6が255度の回転位置となった場合、回転軸Ax方向から見てリセット磁石である永久磁石6cの長手方向と磁界センサ7の長手方向との角度が15度になる。永久磁石6cの長手方向は永久磁石6cの磁化方向である。また、永久磁石6bと永久磁石6cとは、磁界センサ7と対向する位置においてN極とS極の位置が反対となる。」と記載されている。
したがって、願書に添付した明細書には、回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合について記載されており、「前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

・願書に添付した明細書の段落【0061】には、「基体40の反負荷側には磁石ユニット41が固定され、蓋部材35の負荷側には磁気検出ユニット31が固定される。そして、磁石ユニット41と磁気検出ユニット31とが互いに接触しないように間隔を空けて対向するように配置される。これら磁石ユニット41と磁気検出ユニット31とにより多回転検出部37が形成される。また、基体40の負荷側には、反射ディスク42が固定されて反射ディスク42と光検出ユニット32とが対向配置され、反射ディスク42と光検出ユニット32とにより回転位置検出部38(光学式の回転位置検出センサの一例)が形成される。」と記載されている。
したがって、「前記磁界センサは 前記回転体のうち前記永久磁石配置される面に対向して配置され、前記光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

このため、上記訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(d)特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件特許異議申立事件においては、訂正を行った請求項11が特許異議の申立ての対象とされているので、上記訂正事項7に関して、第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

(ク)訂正事項8
(a)訂正の目的について
訂正事項8は、訂正前の明細書の段落【0005】に記載された課題を解決するための手段を、訂正事項1に係る訂正後の請求項1の記載にあわせて訂正するものである。
訂正前の明細書の段落【0005】には、課題を解決するための手段として、訂正前の請求項1に記載された発明が有する特徴の一部が記載されていたため、訂正後の請求項1と同様の訂正を、明細書の段落【0005】に対しても行うことで、訂正後の請求項1の記載と、明細書の記載とをあわせたものである。
訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(b)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項8は、訂正後の請求項1と明細書の記載とをあわせるためのものであり、訂正後の請求項1に記載された発明の作用効果を説明するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(c)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項8は、訂正前の明細書の段落【0005】の記載を、訂正後の請求項1の記載にあわせるものである。
このため、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(d)願書に添付した明細書の訂正に係る請求項について
願書に添付した明細書の段落【0005】には請求項1に対応する実施例が記載されているから、上記訂正事項8による明細書の訂正に係る請求項は、請求項1である。
よって、これを含む一群の請求項、すなわち、訂正前の請求項1、2、4?9の全てが訂正事項8の対象となる。従って、訂正事項8は、特許法120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。

(ケ)訂正事項9
(a)訂正事項9は、請求項5を削除する訂正に整合させるものであるから、当該訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(b)訂正事項9は、請求項5を削除する訂正に整合させるものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(c)訂正事項9は、請求項5を削除する訂正に整合させるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(d)本件は、訂正前の請求項9について特許異議申立がされているので、訂正前の請求項9に係る訂正事項9に関して、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(3)むすび
したがって、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第4項?第6項の規定に適合するので、本件訂正を認める。
なお、請求項9は請求項1?4、6?8を引用しているので、請求項5、7、8を、請求項1とは別途訂正する求め(平成28年12月28日付け訂正請求書、第27頁下から3行?28頁2行「ウ 引用関係の解消の求め」)については認められない。

3.特許異議の申立について
(1)本件発明
本件訂正により訂正された請求項1ないし4、6ないし12に係る発明(以下、請求項順に「本件発明1」、「本件発明2」等という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし4、6ないし12に記載された以下のとおりのものである。

「【請求項1】
シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、
前記シャフトの回転を検出するエンコーダと、
を備え、
前記エンコーダは、
永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、
前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
前記回転位置検出センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、
前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、を備え、
前記磁界センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、
前記光センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される、モータ。
【請求項2】
前記反射パターンは前記永久磁石よりもモータ側に配置される、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、
永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体を有し、前記回転体の回転位置が所定の回転位置である場合に、前記永久磁石と対向する位置になる磁界センサと、
前記磁界センサの検出結果を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された情報に基づいて前記回転体の回転数を検出する検出部と、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
前記記憶部は前記磁界センサに隣接して配置される、モータ。
【請求項4】
前記磁界センサは、
前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記回転体の回転中心線の方向で前記永久磁石と対向する位置になる、請求項1?3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記磁界センサは、前記磁性体の長手方向の一端が他端よりも前記回転中心線に近い位置に配置される、請求項4に記載のモータ。
【請求項7】
シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、
前記回転シャフトの回転を検出するエンコーダと、
を備え、
前記エンコーダは、
永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、
前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
前記回転位置検出センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、
を備え、
前記磁界センサは、
前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記回転体の回転中心線の方向で前記永久磁石と対向する位置になり、
前記磁界センサを3つ以上備え、
前記永久磁石を4つ以上備える、モータ。
【請求項8】
前記磁界センサは3つ備えられ、
前記3つの磁界センサは、前記回転中心線からずれた立置に互いに前記回転中心線に対して120度回転対称に配置され、前記磁性体の長手方向が前記回転中心線と直交交差する線に対して線対称となるように配置される、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記回転体および前記磁界センサの周囲に配置されるバックヨークを備える、請求項1?4または請求項6?8のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項10】
シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、
前記シャフトの回転を検出するエンコーダと、
前記エンコーダの検出結果に基づいて、前記モータ本体を制御する制御装置と、
を備え、
前記エンコーダは、
永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、
前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
前記回転位置検出センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、
前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、
を備え、
前記磁界センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、
前記光センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される、モータシステム。
【請求項11】
永久磁石を有する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、
前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
前記回転位置検出センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、
前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、
を備え、
前記磁界センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、
前記光センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される、モータ用エンコーダ。
【請求項12】
永久磁石を有する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体を有し、前記回転体の回転位置が所定の回転位置である場合に、前記永久磁石と対向する位置になる磁界センサと、
前記磁界センサの検出結果を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された情報に基づいて前記回転体の回転数を検出する検出部と、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
前記記憶部は前記磁界センサに隣接して配置される、モータ用エンコーダ。」

(2)取消理由の概要
訂正前の請求項1、2、4-11に係る特許に対して平成28年10月27日付で通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。

「1.本件の請求項1、2、4-11に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件の請求項1、2、4-11に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2.本件の特許請求の範囲の記載は下記の点で不備のため、本件の請求項1、2、4-11に係る発明の特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に適合していない。
[理由1](特許法第29条第2項)
甲第1号証:特開2008-14799号公報
甲第2号証:特開2011-112539号公報
甲第3号証:特開2010-210287号公報
甲第4号証:特開2007-114032号公報
甲第5号証:特開2006-158059号公報
甲第6号証:特開平9-308171号公報
(1)請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証に記載の事項を適用することにより、この発明の属する分野において通常の知識を有する者が容易に想到し得たものである。
(2)請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載の発明に、甲第2-4号証に記載の事項を適用することにより、この発明の属する分野において通常の知識を有する者が容易に想到し得たものである。
(3)請求項4?8に係る発明は、甲第1号証に記載の発明に、甲第1-4号証に記載の事項を適用することにより、この発明の属する分野において通常の知識を有する者が容易に想到し得たものである。
(4)請求項9に係る発明は、甲第1号証に記載の発明に、甲第2、5、6号証に記載の事項を適用することにより、この発明の属する分野において通常の知識を有する者が容易に想到し得たものである。
(5)請求項10に係る発明は、甲第1号証に記載の発明に、甲第1、2、4号証に記載の事項を適用することにより、この発明の属する分野において通常の知識を有する者が容易に想到し得たものである。
(6)請求項11に係る発明は、甲第1号証に記載の発明に、甲第1、2号証に記載の事項を適用することにより、この発明の属する分野において通常の知識を有する者が容易に想到し得たものである。
[理由2](特許法第36条第6項第2号)
請求項1、2、4-11に係る発明の記載は明確でない。」

(3)甲号証の記載
(甲第1号証)
甲第1号証には、図面と共に、以下の事項が記載されている(下線は当審付加。)。
a「【0001】
本発明は、産業用ロボット、NC工作機械等に用いられるモータの回転位置を検出するエンコーダ装置に関し、特に、1回転以内角度の絶対位置検出に加えて、多回転量を検出する絶対値エンコーダ装置に関する。」

b「【0014】
従来例3として、大バルクハウゼン効果を利用したエンコーダの他の例が開示されている。(特許文献3参照)。
図18は、第3従来技術におけるエンコーダの検出部構成を示す斜視図である。
図18において、永久磁石230は、略円柱状に形成され、所定の回転方向に回転する回転板200に接合されて取り付けられている。この永久磁石230は、その回転板200との接合面側がS極に、反対面側がN極に着磁されているので、内部を貫通する磁束Φが回転板200に直交するようになっている。
【0015】
センサコイル220は、バルクハウゼン効果を有するアモルファス磁性体製の鉄芯210にコイル線220が巻回されてなるものであって、鉄芯210の軸方向が回転板200の回転方向に沿うよう、詳しくは、回転方向に接する接線方向となるよう配設されている。【0016】
次に、この動作を図19(a)及び(b)に基づいて以下に説明する。
同図(a) の状態では、永久磁石230は、センサコイル220の一端220a側に位置しており、永久磁石230から発せられた磁束Φは、センサコイル220の一端220a側から他端220b側へと鉄芯210を通過する。ここで、回転板200が所定の方向に回転して、同図(b)の状態になると、永久磁石230は、センサコイル220の他端220b側に位置しており、永久磁石230から発せられた磁束Φは、センサコイル220の他端220b側から一端220a側へと鉄芯210を通過する。このように、セン
サコイル220の鉄芯210を通る磁束Φの方向は、永久磁石230が回転板200と共に回転したときに逆転するので、この逆転に応じて、コイル線220の両端間にパルス信号が出力され、このパルス信号に基づいて、回転板200の回転状態が検出される。
【0017】
このように、第3従来技術のエンコーダは、回転板に永久磁石取り付け、バルクハウゼン効果を有するアモルファス磁性体製の鉄芯にコイル線が巻回したセンサを用いて、鉄芯の軸方向が回転方向に沿うよう配設し、永久磁石が回転板と共に回転したときに、センサコイルの鉄芯を通る磁束Φの方向が逆転するのに応じて発生するコイル線の両端間のパルス信号に基づいて、回転板の回転状態を検出していた。」

c「【0020】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
・・・略・・・ 請求項3に記載の発明は、回転軸の一回転内の絶対位置を検出する絶対位置検出器と、多回転を検出する多回転検出器とを備えた絶対値エンコーダにおいて、前記多回転検出器は、前記回転軸の先端に設けられた永久磁石と、大バルクハウゼン効果をもつ磁性ワイヤ及びコイルから構成され、前記永久磁石の磁界を検出し発電電圧が互いに位相差を持つ位置に設けられた2個の発電装置を備え、外部電源遮断時に前記発電装置から発電された電圧によって、前記多回転検出器の電源をバックアップするとともに、前記2つの発電装置からの電圧をカウントすることによって多回転量を検出することを特徴するものである。 ・・・略・・・」

d「【0023】
図1は、本発明の第1実施例における絶対値エンコーダ装置の構成を示す側断面図である。
図1において、1は絶対値エンコーダ、2は発電装置、3は回転シャフト、4は回転シャフトに対して固定されたエンコーダステータ、5は回転シャフトに固定された回転ディスク、6は回転シャフトを支持するベアリング、7は多回転検出のための回転ディスク上に配置された永久磁石、8a、8bは多回転検出のための磁界検出センサ、9a、9bは前記磁界検出センサからの信号をパルス信号に変換する比較器、15はシャフト1回転内の絶対値を検出するために回転シャフトに光を照射するLEDやレーザなどの光源、17は光源15によって照射され、回転ディスクを透過した光を受光し、電気信号に変換する受光素子で、図示していないが、受光素子表面にはスリットを配置した固定スリットが配置されている。また、19は回路基板であり、8a、8bや9a、9b、さらに17等のセンサや発電装置および信号処理回路や上位とのデータ送受信および電源供給用ケーブル等を搭載している。
【0024】
1回転内の絶対値は、回転ディスク5上にグレイコードの透光、遮光のスリットパターンを蒸着して形成し、そのパターンを通過した光をフォトダイオード17で電気信号に変換し、図3のブロック図にある1回転絶対値演算処理器19dで演算処理することにより求められる。」

e「【0027】
発電装置2は、回路基板19上の永久磁石7の磁界が数十Oeくらいになる位置に搭載される。発電装置2は大バルクハウゼン効果を有する磁性ワイヤ2aとその回りにコイル2bを巻いたもので、大バルクハウゼン効果による急峻な磁壁移動により磁性ワイヤ2aの磁化が反転し、その磁化の反転によりコイルに誘起電圧が発生するようになっている。」

f「【0038】
図5は、本発明の第2実施例の構成を示す側断面図である。
図5において、201、202は発電装置で、本発明の第1の実施例との違いは、発電装置を2つ配置したことである。この2つの発電装置201、202は、発電装置の機能の他に磁界検出センサの機能としても動作させて、前記磁界検出センサ8a、8bを削除することができる。
図6は、本発明の第2実施例の構成を示す発電装置2側から見た正面図である。発電装置201、202は、回路基板19上に90°の角度間隔を置いて配置されている。永久磁石は円形の2極着磁で示されているが、長方形の2極着磁品でも同じ効果が得られる。」

g「【0046】
次に、主電源OFF状態において、回転シャフト3が外力により回されたときの動作について説明する。
この場合は、永久磁石のある回転位置で発電装置201、202の磁性ワイヤ201a、202aの大バルクハウゼン効果により、コイル201b、202bに発生した誘起電圧が、Vcとして、波形整形器9c、9d、多回転検出演算処理器19b、多回転量カウント値記憶装置19cに印加される。」

上記fに、第2実施例の構成を示す側断面図であるとされる図5を参照すると、第2実施例は、上記d、fに第1実施例として示されたエンコーダ装置1と同様、回転シャフト3、回転ディスク5、永久磁石7、受光素子であるフォトダイオード17を有するエンコーダ装置といえる。
また、図5、図6に示される回路基板19は、回転ディスク5の回転中心線に直交する基板であり、当該回路基板19には、光源15によって照射され、回転ディスクを透過した光を受光するフォトダイオード17が図示されているから、第1実施例と同様、第2実施例の構成においても回路基板19は受光素子であるフォトダイオード17を搭載するものであり、また、当該フォトダイオード17は、回転ディスク5に対向して回路基板19に搭載されたものであるといえる。

上記記載事項からみて、甲第1号証には、
「モータの回転位置を検出するエンコーダ装置であって、
永久磁石7を有し、回転シャフト3に固定された回転ディスク5と、
前記永久磁石7のある回転位置で、磁性ワイヤ201a、202aの大バルクハウゼン効果により、コイル201b、202bに発生した誘起電圧を、多回転検出器の磁界検出センサの機能として動作させる発電装置201、202と、
回転軸の一回転内の絶対位置を検出する絶対位置検出器と、
を備え、
前記発電装置201、202は、前記回転ディスク5の回転中心線に直交する回路基板19上に90°の角度間隔を置いて配置され、
前記絶対位置検出器は、前記回転ディスク5上に形成されるスリットパターンと、前記回転ディスク5に光を照射し、前記スリットパターンを透過した光を受光するフォトダイオード17とを備え、
前記発電装置201、202は、前記回路基板19上に配置され、
前記フォトダイオード17は、前記回路基板19上に、前記回転ディスク5に対向して搭載された、エンコーダ装置。」
の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。

(甲第2号証)
甲第2号証には、図面と共に、以下の事項が記載されている(下線は当審付加。)。
a「【0002】
モータの回転軸など回転体の回転数や回転速度を検出する装置として、エンコーダが知られている(特許文献1)。例えば、ロータリーエンコーダは、モータ等の回転軸に取り付けられて用いられる。また、エンコーダの具体的構成として、例えば磁気を用いて回転数などを検出する構成が知られている。
【0003】
このような構成のエンコーダは、パターンが形成された符号板を回転軸と一体的に回転させ、光源からパターンに光を照射し、パターンを透過した光又はパターンに反射された光を検出部によって検出する。これにより、モータの一回転内の絶対位置などを検出できるようになっている。具体的な構成としては、例えば、符号板が設けられた回転部がモータの回転軸に固定され、回転部がベース部に回転可能に収容されたものが知られている。」

b「【0012】・・・・ 本実施形態のエンコーダは、モータなどの回転体の回転数や回転速度を検出する装置である。」

c「【0013】
回転部1は、例えばボルト等によって測定対象であるモータMの駆動軸MSに固定されることで、駆動軸MSと一体的に回転する部材である。回転部1は、例えばアルミ等の金属により形成されている。回転部1の中央部には、回転部1の回転軸Rを中心として、モータMの駆動軸MSが挿入される挿入孔1aと、挿入孔1aに挿入された駆動軸MSを固定するためのボルトBを挿入するボルト穴1bとが、回転軸Rと平行に設けられている。」

d「【0015】
符号板1cは、回転部1の検出部3と対向する面に固定された円環状の部材である。符号板1cは、検出部3と対向する面の回転方向の全周に亘って、例えばアブソリュートパターンやインクリメンタルパターン等の光学パターンが形成されている。符号板1cは、光学パターンに照射された光を反射させるようになっている。
【0016】
磁石部1dは、回転部1のベース部2と対向する面に固定された円環状のネオジ鉄系の焼結磁石である。磁石部1dには、所定の磁気パターンが着磁されている。磁石部1dの磁気パターンとしては、例えば内周側の磁極と外周側の磁極とが異なり、内周側の磁極と外周側の磁極とが回転方向の180°で入れ替わるような磁気パターンが用いられる。

e「【0017】・・・また、ベース部2は、バックヨーク(磁性部材)2cと、バックヨーク支持部2dとを有している。」

f「【0023】
検出部3は、光センサ3a、磁気センサ3b及び不図示の電子部品等が実装された基板3cを備えている。
光センサ3aは、回転部1に固定された符号板1cと対向する位置に設けられている。光センサ3aは、符号板1cの光学パターンに光を照射すると共に、光学パターンによって反射された光を検出し、検出結果に基づく電気信号を不図示の演算制御部に伝送するようになっている。
【0024】
磁気センサ3bは、磁石部1dと平面視で重なる位置に設けられている。磁石部は、不図示のバイアス磁石を備えており、磁石部1dとバイアス磁石とにより生成される合成磁場の方向を検出し、検出結果に基づく電気信号を不図示の演算制御部に伝送するようになっている。」

上記dの「符号板1cは、回転部1の検出部3と対向する面に固定された円環状の部材である。」及び「磁石部1dは、回転部1のベース部2と対向する面に固定された円環状のネオジ鉄系の焼結磁石である。」の記載と、図1、2とを併せて参照すると、回転部1には、符号板1cと、磁石部1dとが、それぞれ逆側の面に固定されているものといえる。

上記の記載、及び図面を参照すると、甲第2号証には、以下の事項が開示されているものと認める。
「モータの回転数や回転速度を検出するエンコーダにおいて、
モータMの駆動軸MSに固定されることで、駆動軸MSと一体的に回転する回転部1には、光学パターンが形成されている符号板1cと、所定の磁気パターンが着磁されている磁石部1dとが、それぞれ逆側の面に固定され、
光センサ3aは、回転部1に固定された符号板1cと対向する位置に設けられて、符号板1cの光学パターンに光を照射すると共に、光学パターンによって反射された光を検出し、磁気センサ3bは、磁石部1dと平面視で重なる位置に設けられ、磁場の方向を検出する。」

(甲第3号証)
甲第3号証には、図面と共に、以下の事項が記載されている(下線は当審付加。)。
a「【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施形態に係るエンコーダECの構成を示す断面図である。
図1を参照して、エンコーダECの構成を説明する。エンコーダECは、モータなどの回転体の回転数を検出する装置である。エンコーダECは、回転部R及び検出部Dを有している。エンコーダECは、回転部Rが検出部Dに収容された状態で用いられる。
【0011】
回転部Rは、回転体である例えばモータMRの回転軸40に固定され回転軸40と一体的に回転する部分である。回転部Rは、円盤部S、ハブ20、パターン形成部21、突出部22及びポケット部23を有している。
円盤部Sは、例えばSUSなどの磁性体材料によって円板状に形成され、回転部Rの本体をなす部分である。」

b「【0012】
ハブ20は、円盤部Sの図中下側の円盤面Saに設けられ、上記モータMRの回転軸40に接続される部分である。ハブ20は、例えばアルミニウムなど線膨張係数の大きい材料が用いられている。ハブ20は、平面視中央部に挿入穴20aを有している。挿入穴20aには、モータMRの回転軸40が挿入されるようになっている。」

c「【0013】
パターン形成部21は、円盤部Sの図中上側の円盤面Sbに設けられた円環状の部分である。パターン形成部21は、円盤面Sbの周縁部に設けられている。パターン形成部21には光反射パターン24が形成されている。」

d「【0016】
磁石部材Mは、回転部Rの回転方向に沿って円環状に形成された永久磁石である。磁石部材Mとしては、例えばネオジ鉄系の焼結磁石などが用いられている。磁石部材Mは、円環の内周部Maが突出部22の保持面22aに保持されている。内周部Maは、例えば接着剤などを介して保持面22aに保持されている。磁石部材Mは、突出部22の外側に配置されると共に、回転部Rの外側にはみ出すように配置されている。磁石部材Mは、円盤部Sとの間に隙間を空けるように配置されている。したがって、磁石部材Mは、円盤面Saには保持されていない状態となっている。」

e「【0022】
磁気センサ32は、回転軸40の軸方向に見て、例えば磁石部材Mのうち円盤部Sから外側にはみ出した部分に重なる位置に一対配置されている(磁気センサ32A及び32B)。」

f「【0027】
回転部Rが回転すると、当該回転部Rに形成された光反射パターン24が回転方向に移動する。光センサ31は、移動する光反射パターン24へ光を射出し、反射光を読み取ることで光反射パターン24の移動角度を検出する。」

上記の記載、及び図面を参照すると、甲第3号証には、以下の事項が開示されているものと認める。
「モータなどの回転体の回転数を検出する装置であるエンコーダECは、回転部R及び検出部Dを有し、
回転部Rは、回転体であるモータMRの回転軸40に固定され回転軸40と一体的に回転する部分であり、円盤部S、パターン形成部21、突出部22を有し、
円盤部Sは、円板状に形成され、回転部Rの本体をなす部分であり、
パターン形成部21は、円盤部Sの上側の円盤面Sbに設けられた円環状の部分であり、円盤面Sbの周縁部に設けられ、光反射パターン24が形成され、
磁石部材Mは、回転部Rの回転方向に沿って円環状に形成された永久磁石であり、円環の内周部Maが突出部22の保持面22aに保持され、突出部22の外側に配置されると共に、回転部Rの外側にはみ出すように配置され、
磁気センサ32は、回転軸40の軸方向に見て、磁石部材Mのうち円盤部Sから外側にはみ出した部分に重なる位置に一対配置され、
光センサ31は、移動する光反射パターン24へ光を射出し、反射光を読み取ることで光反射パターン24の移動角度を検出する。」

(甲第4号証)
甲第4号証には、図面と共に、以下の事項が記載されている(下線は当審付加。)。
a「【0008】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るエンコーダ10を示しており、図2はこのエンコーダ10を有して構成される回転量検出システムの信号伝送系統を示している。また、図3は本実施形態に係るエンコーダ10が適用された多関節形ロボット(以下、単にロボットと称する)RBを示している。この第1実施形態においてロータリエンコーダ10は、ロボットRBの1つの関節部を構成する双方向駆動型の電動モータ70の回転量(回転方向を含む回転角度や回転数)を検出するセンサとして用いられている。」

b「【0009】
ロータリエンコーダ10は図1に示すように、電動モータ70の出力軸71(図3参照)により駆動される回転軸(回転体)72をハウジング11に取付けられた上下のベアリング(上側ベアリング12及び下側ベアリング13)により回転自在に支持している。回転軸72はハウジング11内においてその先端部を図1の上方に向けており、ハウジング11には回転軸72の先端部を覆うように下方に開口した円筒状のカバー部材14が取付けられている。ここで、ロータリエンコーダ10が電動モータ70と一体に構成されるモジュラー型であるのであれば、回転軸72を電動モータ70の出力軸71そのものとしてもよい。
【0010】
回転軸72には周方向に並設された複数の(多数の)スリット(図示せず)からなるスリットパターン(第1の所定パターン)を有した1枚の透過型ディスク21と、この透過型ディスク21の下方に取付けられて表面(下面)に周方向に並設された複数の(多数の)反射部からなる反射部パターン(第2の所定パターン)を有した反射型ディスク31と、これら透過型ディスク21及び反射型ディスク31を上下から挟むように設けられ、回転軸72を中心とするドーナツ状に配置された永久磁石を表面に有した上下2枚の磁気ディスク(上側の第1磁気ディスク41及び下側の第2磁気ディスク51)とが複数の螺子部材16により一体に結合された状態で回転軸72の上部に形成された水平部72aの上面側に固定されている。」

c「【0011】・・略・・透過型ディスク21の上方位置にはロボット制御部81と繋がった第1の回路基板61(図3も参照)が回転軸72と直交する面内に延びて設けられており、」

d「【0012】
回転軸72を支持する上側ベアリング12の上方位置にはロボット制御部81と繋がった第2の回路基板62(図3も参照)が第1の回路基板61と平行な面内に延びて設けられている(回転軸72は第2の回路基板62を上下方向に貫通している)。第2の回路基板62の上面側には第2発光素子33及び第2受光素子34が設けられており、第2発光素子33が発光した光は反射型ディスク31において反射された後第2受光素子34に受光され、第2受光素子34は反射ディスク31の反射部パターンに応じた電圧信号を出力する。第2受光素子34から出力された電圧信号は増幅器37によって増幅された後、処理回路38においてディジタル信号に変換されて反射型ディスク31の位置が求められ、この反射型ディスク31の位置の変化に基づいて、回転軸72の回転量(回転方向を含む回転角度や回転数)が検出される。ここで、第2発光素子33、第2受光素子34、増幅器37及び処理回路38は反射型ディスク31の回転量を検出する反射型回転量検出部32を構成しており、反射型ディスク31及び反射型回転量検出部32によって反射型回転量検出機構30が構成される(図2参照)。」

e「【0013】
第1の回路基板61の下面側における第1磁気ディスク41と対向する位置には第1磁気センサ43が設けられている。第1磁気ディスク41には、永久磁石が回転軸72を中心とするドーナツ状に配置されており、第1磁気ディスク41の磁気はこの第1磁気センサ43によって検知され、第1磁気センサ43は第1磁気ディスク41の磁気に応じた電圧信号を出力する。第1磁気センサ43から出力された電圧信号は増幅器47によって増幅された後、処理回路48においてディジタル信号に変換されて第1磁気ディスク41の(すなわち回転軸72の)回転数(回転方向を含む回転数)が検出される。ここで、第1磁気センサ43、増幅器47及び処理回路48は第1磁気ディスク41の回転数を検出する第1の回転数検出部(磁気検出部)42を構成しており、第1磁気ディスク41及び第1の回転数検出部42によって第1の回転数検出機構40が構成される(図2参照)。」

f「【0014】
また、第2の回路基板62の上面側における第2磁気ディスク51と対向する位置には」

上記記載事項からみて、甲第4号証には、以下の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されている。
「電動モータ70の回転軸72の回転量を検出するセンサとして用いられ、電動モータと一体に構成されるエンコーダ10であって、
回転軸72には1枚の透過型ディスク21と、この透過型ディスク21の下方に取付けられた反射型ディスク31と、これら透過型ディスク21及び反射型ディスク31を上下から挟むように設けられ、回転軸72を中心とするドーナツ状に配置された永久磁石を表面に有した上側の第1磁気ディスク41及び下側の第2磁気ディスク51とが複数の螺子部材16により一体に結合された状態で固定され、
第1磁気ディスク41の磁気に応じた電圧信号を出力する第1磁気センサと、
反射ディスク31の回転量を検出する反射型回転量検出機構30と、
を備え、
前記反射型回転量検出機構30は、
下面に反射部パターンを有した反射型ディスク31と、
反射部パターンへ光を発し、反射型パターンにより反射された光を受光する第2受光素子34と、を備え、
前記第1磁気センサは、
透過型ディスク21の上方位置に回転軸72と直交する面内に延びて設けられた第1の回路基板61の下面側に、第1磁気ディスクと対向する位置に設けられ、
前記第2受光素子34は、
前記第2磁気ディスク51と対向し第1の回路基板61と平行な面内に延びて設けられた第2の回路基板62の上面側に配置される、エンコーダ10。」

(甲第5号証)
甲第5号証には、図面と共に、以下の事項が記載されている。
a「【0003】
図5は従来の磁気エンコーダをモータに搭載した場合の横断面図である(なお、磁界センサ側は図示を省略している)。
図において、1はセンサマグネット、2はバックヨーク、4はモータシャフト、6はセンサマグネット1取り付け用のハブである。50代はモータ固定子側の部品で、51はフレーム、52は電磁部、53はマグネット、54はブラケット、55はシールドプレート、56はベアリングである。
図から判るように、固定子側にベアリング56を介して回転自在に保持されたシャフト4の表面にはマグネット53が接着固定されており、シャフト4の先端部はバックヨーク2の内部にまで達している。ブラケット54のマグネット対向面には、磁気シールドとなるシールドプレート55がインサート成型またはネジ等の固定手段を用いて固定されてお
り、図6に示すように漏れ磁束対策を行なっている。
【0004】
図6は従来の磁気エンコーダにおける漏れ磁束の流れを図示している。
なお、マグネット53の主磁束は電磁部52へと流れるので省略している。
一方、マグネット53の漏れ磁束は、マグネット及びシャフトの角部より直接シールドプレート55へと放射される磁束(1)と、マグネット内部を通過してシャフト4の先端へ進みそこからエンコーダ部のバックヨーク内部へとへと放射される磁束(2)とが生じる。磁束(1)の方はシールドプレート55で遮蔽されるので問題ないが、磁束(2)はエンコーダ部を通過するので、漏れ磁束の影響を受けてしまって、正確な回転位置検出に支障を来すことがあった。
また、特許文献1に記載されている磁気式エンコーダ付きモータは、磁気シールドプレートを省略できるため部品点数の低減、コストダウン、効果的磁気遮蔽の点で一定の成果がみられるものの、図6で説明した磁束(2)はこの場合にも発生し、依然としてエンコーダ部を通過するので、漏れ磁束の影響を受けてしまって、正確な回転位置検出に支障を来すことがあった。」

b「【0008】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明に係る磁気エンコーダの概略構造を示す分解斜視図である。
図において、10は本発明に係る磁気エンコーダで、大きく、センサマグネット1とバックヨーク2と磁界センサ3とから構成される。5はモータであり、固定子側のブラケット54の開口部から回転子側のモータシャフト4が臨んでいる。
磁気エンコーダ10のセンサマグネット1はモータシャフト4に、バックヨーク2はブラケット54にそれぞれ固定される。バックヨーク2はその空間部中心にセンサマグネット1を配置されており、センサマグネット1によって形成される磁界を磁界センサ3が検出できるようにバックヨーク2の内部に磁界センサ3を挿入配置する構成となっている。なお、磁界センサ3は以下の図示では省略している。
【0009】
図2は本発明の磁気エンコーダをモータ5に搭載した場合の横断面図である。
図において、1はセンサマグネット、2はバックヨーク、4はモータシャフト、5はモータ、6はセンサマグネット1を取り付けるための取付用ハブである。
51はフレーム、52は電磁部、53はマグネット、54はブラケットである。
本発明が図5の従来技術と異なる部分は、従来技術では磁気シールド21とバックヨーク2を別体にしていたのであるが、ここでは磁気シールド21とバックヨーク2を一体化した点が特徴である。このように一体化することにより、より高い漏れ磁束対策効果と低コストとが得られる。
バックヨーク2の磁気シールド部分(図2の21)は厚さtであり、シャフト4の先端部は磁気シールドの厚さの中心(t/2)までの配置となっている。この配置が漏れ磁束対策での効果が最も高く得られることが判った。
【0010】
図3は本発明に係る磁気エンコーダの磁気シールドを実現する部品図である。
図において、(a)はバックヨークの平面図、(b)はその正面断面図である。そして、(c)は(b)のバックヨークの変形例である。
(a)および(b)において、バックヨーク2は円板状の磁気シールド部21と円筒状のバックヨーク部22とから成り、しかも円板状の磁気シールド部21の円板を円筒状バックヨーク22の円筒内に同心一体的に形成し、バックヨーク22の側断面形状を中心の開口したH形となるようにバックヨーク部22の下端を磁気シールド部21の形成面よりさらに下方へ延設する延設部22aを形成している。
これにより、後述するように磁気シールド効果が高くなり、しかもモータシャフトに非磁性体材料を使用しなくてよいので低コストとなり、バックヨークをブラケット54へ固定することがバックヨーク部22の下端の延設部22aをブラケットの段差部54a(図2)に嵌合することで行なわれるので取付け及びセンタリング合わせが極めて容易となる。
(c)の変形例において、バックヨーク2’は円板状の磁気シールド部21と円筒状の磁気シールド部21とから成り、しかも円板状の磁気シールド部21の円板を円筒状バックヨーク22の円筒内に同心一体的に形成し、バックヨーク2’の側断面形状を中心の開口した凹形となるように構成している。このように、バックヨーク部22を磁気シールド部22より下面を削除した形状としたので、モータブラケット54に位置決め用の段差部54aの加工をしなくても良くなるため、加工コストの面で有利となる。ただし、バックヨーク2’をモータブラケット54に正確に位置決めする機構を別途設ける必要がある。」

(甲第6号証)
甲第6号証には、図面と共に、以下の事項が記載されている。
a「【0013】
図1に示すように、磁気式エンコーダ付きモータ1は、モータ本体10と、モータ本体10の反出力側の端面に同軸状態に取り付けられた磁気式エンコーダ20とを有している。」

b「【0015】
磁気式エンコーダ20は、外部からの磁気ノイズの侵入を防止するために、磁性体からなるカップ状のエンコーダカバー30によって覆われている。エンコーダカバー30の内部には、モータシャフト11の基端部112が突出しており、この外周にアルミニウム製の円盤状ボス15が固着されている。この円盤状ボス15の表面に、磁性体からなる円盤状のバックヨーク21がねじ2により固定されている。バックヨーク21の表面にはモータロータ12と同一の磁極数を有する円盤状のポールマグネット22が取り付けられている。ポールマグネット22からモータの軸線方向に離れた位置には回路基板23がバックヨーク21と平行にねじ止め固定されている。回路基板23には、ポールマグネット22と対向した位置に磁気センサとしてのホール素子24が固定されている。」

c「【0022】
このように、本例の磁気式エンコーダ付きモータ1では、バックヨーク21が磁気シールド板として機能するので、別途、磁気シールド板を用いる必要がない。この結果、磁気シールド板を必要としない分だけ、磁気式エンコーダ付きモータ1を小型化できる。また、磁気シールド板およびその取付けに必要な部品が不要な分だけ、モータの製造コストを低減できる。」

(4)対比・判断
(本件発明1)
本件発明1と甲1発明とを対比すると、
・甲1発明の「回転シャフト3」、「モータ」は、それぞれ、本件発明1の「シャフト」、「シャフトを軸線周りに回転させるモータ」に相当する。
そして、本件発明1におけるシャフトの回転の検出は、回転位置を検出するものであるから、モータの回転位置を検出するものであるといえ、甲1発明の「モータの回転位置を検出するエンコーダ装置」は、本件発明1の「シャフトの回転を検出するエンコーダ」に相当する。
・甲1発明の「永久磁石7」、「回転ディスク5」は、それぞれ、本件発明1の「永久磁石」、「回転体」に相当する。
・甲1発明の「磁性ワイヤ201a、202a」、「コイル201b、202b」は、それぞれ、本件発明1の「磁性体」、「検出コイル」に相当し、甲1発明の「永久磁石7のある回転位置で、磁性ワイヤ201a、202aの大バルクハウゼン効果により、コイル201b、202bに発生した誘起電圧を、多回転検出器の磁界検出センサの機能として動作させる発電装置201、202」は、大バルクハウゼン効果が内部の磁壁が一度に移動する性質に基づく効果であって、磁性ワイヤ201a、202aは長手方向を磁化容易方向とする磁性体であり、大バルクハウゼン効果に基づく誘起電圧はパルスといえるから、本件発明1の「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサ」に相当する。
・甲1発明の「回転軸の一回転内の絶対位置を検出する絶対位置検出器」は、本件発明1の「前記回転体の回転位置を検出する」「回転位置検出センサ」に相当する。
・甲1発明の「発電装置201、202は、回転ディスク5の回転中心線に直交する回路基板19上に90°の角度間隔を置いて配置された」構成は、磁性ワイヤ201a、202aの長手方向が、回転ディスク5の回転中心線に直交する回路基板19の面に沿った方向にあるといえるから、本件発明1の「磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり」に相当する。
・甲1発明の「絶対位置検出器は、回転ディスク5上に形成されるスリットパターンと、回転ディスク5に光を照射し、スリットパターンを透過した光を受光するフォトダイオード17とを備え」る構成と、本件発明1の「回転位置検出センサは、回転体のうち永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、を備え」る構成とは、回転位置検出センサは、回転体に形成されるパターンと、前記パターンへ光を照射し、前記パターンによる光を受光する光センサとを備えた、光学式の回転位置検出センサである点で共通する。
・甲1発明の「発電装置201、202は、回路基板19上に配置され」る構成と、本件発明1の「磁界センサは、回転体のうち永久磁石の配置される面に対向して配置され、」る構成とは、磁界センサは回転体の永久磁石に対して配置される点で共通する。
・甲1発明の「フォトダイオード17は、回路基板19上に、回転ディスク5に対向して搭載され」る構成と、本件発明1の「光センサは、記回転体のうち永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置され」る構成とは、光センサは、回転体に対向して配置される点で共通する。

そうすると、本件発明1と甲1発明とは以下の点で一致する。
一致点
「シャフトを軸線周りに回転させるモータの前記シャフトの回転を検出するエンコーダであって、
前記エンコーダは、
永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、
前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
回転位置検出センサは、回転体に形成されるパターンと、前記パターンへ光を照射し、前記パターンによる光を受光する光センサとを備え、
磁界センサは、回転体の永久磁石に対して配置され、
光センサは、回転体に対向して配置される」点。

そして、以下の点で相違する。
相違点1
本件発明1は、モータ本体と、エンコーダとを備えるモータに係る発明であるのに対して、甲1発明は、モータ本体を含まないエンコーダである点。

相違点2
本件発明1は、回転位置検出センサが「回転体のうち永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、を備え」、「前記光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される」のに対して、甲1発明の絶対位置検出器は、回転ディスク5上のパターンを透過した光を受光する構成を用いるものであり、受光素子であるフォトダイオード17も、回転ディスク5の永久磁石7の配置と同じ側の回路基板19に配置されるものである点。

相違点3
本件発明1は、磁界センサが「回転体のうち永久磁石の配置される面に対向して配置される」のに対し、甲1発明の発電装置201、202は、永久磁石の磁気に対して発電が行われるものの、永久磁石の配置される面に対して対向して配置されることは示されていない点。

相違点についての判断
相違点1について
甲1発明のエンコーダは、モータの回転に関する検出を行うものであるから、モータ本体に甲1発明のエンコーダを備えるものとして構成することは当業者が適宜なし得ることであり(一例として、甲第5号証や甲第6号証を参照。)、甲1発明に基づいて、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

相違点2、3について
甲第2号証に記載される「光学パターン」は、本件発明1の「反射パターン」に相当し、甲第2号証の「駆動軸MSと一体的に回転する回転部1には、光学パターンが形成されている符号板1cと、所定の磁気パターンが着磁されている磁石部1dとが、それぞれ逆側の面に固定され」る態様は、本件発明1の「回転体のうち永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターン」を有する態様に相当し、甲第2号証の「光センサ3aは、回転部1に固定された符号板1cと対向する位置に設けられて、符号板1cの光学パターンに光を照射すると共に、光学パターンによって反射された光を検出」る態様は、本件発明1の「光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される」態様に相当するものである。
しかし、本件発明1は、光センサを回転体のうち永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置する構成(上記相違点2)と共に、磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質(大バルクハウゼン効果)を利用するため、必然的にサイズが大きい磁界センサを、永久磁石と対向する位置に設けるという構成(上記相違点3)を用いることで、光センサと磁気センサとをそれぞれ回転体の逆側に、しかも、回転体と対面するように配置し、エンコーダ全体の省スペース化を実現できるという顕著な効果を奏するものである。
一方、甲第2号証には「磁気センサ3bは、磁石部1dと平面視で重なる位置に設けられ」ることが開示されるのみで、本件発明1の「磁界センサを、永久磁石と対向する位置に設ける」という事項については、開示されるものでも示唆されるものでもない。
そうすると、甲1発明に、甲第2号証に記載される事項を組み合わせたとしても、光センサと磁気センサとをそれぞれ回転体の逆側に、しかも、回転体と対面するように配置することによって、エンコーダ全体の省スペース化を実現するという技術思想を得ることはできないから、本件発明1は、甲1発明に甲第2号証に記載の事項を適用することにより当業者が容易に想到し得たものとすることはできない。

なお、甲第3、4号証にも、本件発明1の「反射パターン」に相当する構成を有するものではあるが、甲第3号証には、上記相違点2、3に相当する構成の開示はない。
そして、甲第4号証に示された「回転軸72には1枚の透過型ディスク21と、この透過型ディスク21の下方に取付けられた反射型ディスク31と、これら透過型ディスク21及び反射型ディスク31を上下から挟むように設けられ、回転軸72を中心とするドーナツ状に配置された永久磁石を表面に有した上側の第1磁気ディスク41及び下側の第2磁気ディスク51とが複数の螺子部材16により一体に結合された状態で固定され」る態様を、本件発明1の「回転体のうち永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターン」を有する態様と比較すると、回転体のうち、一つの永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンを有する点において共通し、甲第4号証の「反射部パターンへ光を発し、反射型パターンにより反射された光を受光する第2受光素子34」を有する態様と、本件発明1の「光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される」態様とは、光センサは、回転体のうち一つの永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される点において共通するものである。
しかし、甲第4号証は、上側の第1磁気ディスク41及び下側の第2磁気ディスク51とを有するものであり、磁気センサは回転体の双方に配置されることになるから、エンコーダ全体の省スペース化を実現するという技術思想を開示するするものではない。
そして、甲第5、6号証は、エンコーダの磁気シールドに関する構成を開示するものであって、上記相違点2、3に係る構成を有するものではない。

(小括)
そうすると、本件発明1は、甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証に記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
なお、たとえ、甲第1号証に記載の発明に、甲第2-6号証に記載の事項を適用しても当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(本件発明2、4、6、9)
本件発明2、4、6、9は、本件発明1にさらに他の構成要素を付加したものに相当するから、上記「本件発明1について」と同様の理由により、甲第1号証に記載の発明に、甲第2-6号証に記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(本件発明7)
本件発明7と甲1発明とを対比すると、本件発明7と甲1発明とは、以下の点で一致する。
一致点
「シャフトを軸線周りに回転させるモータの前記シャフトの回転を検出するエンコーダであって、
前記エンコーダは、
永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、
前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
前記回転位置検出センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、
を備え、
前記磁界センサは、
前記回転体の永久磁石に対して配置される」点。

そして、以下の点で相違する。
相違点1’
本件発明7は、モータ本体と、エンコーダとを備えるモータに係る発明であるのに対して、甲1発明は、モータ本体を含まないエンコーダである点。

相違点2’
本件発明7は、回転位置検出センサが「回転体のうち永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、を備える」のに対して、甲1発明の絶対位置検出器は、回転ディスク5上のパターンを透過した光を受光する構成を用いるものであり、受光素子であるフォトダイオード17も、回転ディスク5の永久磁石7の配置と同じ側の回路基板19に配置されるものである点。

相違点3’
本件発明7は、磁界センサが「回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記回転体の回転中心線の方向で永久磁石と対向する位置になり、磁界センサを3つ以上備え」、「永久磁石を4つ以上備える」のに対し、甲1発明の発電装置201、202は、回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記回転体の回転中心線の方向で永久磁石と対向する位置になることは示されておらず、その数も2であり、永久磁石の数も相違する点。

・相違点についての判断
相違点1’について
相違点1’は、上記相違点1と同様、甲1発明に基づいて、相違点1’に係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

相違点2’、3’について
甲第2-4号証には「磁界センサを3つ以上備え」、「永久磁石を4つ以上備える」ことについての記載はない。
一方、本件発明7は「磁界センサを3つ以上備え」、「永久磁石を4つ以上備える」という構成に基づき、大バルクハウゼン効果を利用する磁界センサを備えたエンコーダにおいて、回転体の回転方向を計測することができるという顕著な効果を奏するものである。
したがって、少なくとも相違点3’に含まれる「磁界センサを3つ以上備え」、「永久磁石を4つ以上備える」という構成は、甲1発明の構成において適宜採用可能なものということはできないし、甲第2-4号証に記載の事項から容易に想到し得たものとすることもできないものであるから、相違点2’、3’の他の要素を検討するまでもなく本件発明7は、甲第1号証に記載の発明に、甲第2-4号証に記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。。

(小括)
そうすると、本件発明7は、甲第1号証に記載の発明に、甲第2-4号証に記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(本件発明8)
本件発明8は、本件発明7にさらに他の構成要素を付加したものに相当するから、上記「本件発明7について」と同様の理由により、甲第1号証に記載の発明に、甲第2-4号証に記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(本件発明10)
本件発明10と甲1発明とは以下の点で一致する。
一致点
「シャフトを軸線周りに回転させるモータの前記シャフトの回転を検出するエンコーダであって、
前記エンコーダは、
永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、
前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
回転位置検出センサは、回転体に形成されるパターンと、前記パターンへ光を照射し、前記パターンによる光を受光する光センサとを備え、
磁界センサは、回転体の永久磁石に対して配置され、
光センサは、回転体に対向して配置される」点。

そして、以下の点で相違する。
相違点1’’
本件発明10は、モータ本体と、エンコーダとを備えるモータシステムに係る発明であるのに対して、甲1発明は、モータ本体を含まないエンコーダであり、エンコーダの検出結果に基づいて、モータ本体を制御する制御装置を有していない点。

相違点2’’
本件発明1は、回転位置検出センサが「回転体のうち永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、を備え」、「前記光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される」のに対して、甲1発明の絶対位置検出器は、回転ディスク5上のパターンを透過した光を受光する構成を用いるものであり、受光素子であるフォトダイオード17も、回転ディスク5の永久磁石7の配置と同じ側の回路基板19に配置されるものである点。

相違点3’’
本件発明1は、磁界センサが「回転体のうち永久磁石の配置される面に対向して配置される」のに対し、甲1発明の発電装置201、202は、永久磁石の磁気に対するものの、永久磁石の配置される面に対して対向する配置であることは示されていない点。

・相違点についての判断
相違点1について
甲1発明のエンコーダは、モータの回転に関する検出を行うものであるから、モータ本体に甲1発明のエンコーダを備えるものとして構成すること(一例として、甲第5号証や甲第6号証を参照。)、また、モータの制御装置を本体に内蔵することも当業者が適宜なし得ることであるから甲1発明に基づいて、相違点1’’に係る本件発明10の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

相違点2’’、3’’について
相違点2’’、3’’は、上記相違点2、3と同様、甲1発明に甲第2、4号証に記載の事項を適用することにより当業者が容易に想到し得たものとすることはできない。

(小括)
そうすると、本件発明10は、甲第1号証に記載の発明に、甲第2、4号証に記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(本件発明11)
本件発明11と甲1発明とは以下の点で一致する。
一致点
「永久磁石を有する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、
前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
回転位置検出センサは、回転体に形成されるパターンと、前記パターンへ光を照射し、前記パターンによる光を受光する光センサとを備え、
磁界センサは、回転体の永久磁石に対して配置され、
光センサは、回転体に対向して配置されるモータ用エンコーダ。」

そして、上記「(本件発明1)」において、本件発明1と甲1発明とを対比した際の、相違点2及び相違点3の点で相違し、その判断も、上記「(本件発明1)」と同様である。
そうすると、本件発明11は、甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証に記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(イ)特許法第36条第6項第2号
請求項1、4、10、11の「前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に」の記載は、回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、磁界センサと、永久磁石とが対向する位置になることを示すことが明確であるから、請求項1、4、10、11の記載が明確でないとすることはできない。


(5)採用しなかった特許異議申立理由
特許異議申立人は、平成29年4月6日付け意見書において、本件発明1、2、4、6?11は、甲第4号証に記載された発明(甲4発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると主張している。

(本件発明1)
本件発明1と甲4発明とを対比すると、
・甲4発明の「回転軸72」は、本件発明1の「シャフト」に相当する。
・甲4発明の「電動モータ70の回転軸72の回転量を検出するセンサとして用いられ、電動モータと一体に構成されるエンコーダ10」は、回転軸72を軸線周りに回転させる電動モータ70を本体とするモータに、回転軸72の回転量を検出するエンコーダ10を一体に構成されるものといえ、本件発明1の「シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、前記シャフトの回転を検出するエンコーダとを備え」ることに相当する。
・甲4発明の「回転軸72には1枚の透過型ディスク21と、この透過型ディスク21の下方に取付けられた反射型ディスク31と、これら透過型ディスク21及び反射型ディスク31を上下から挟むように設けられ、回転軸72を中心とするドーナツ状に配置された永久磁石を表面に有した上側の第1磁気ディスク41及び下側の第2磁気ディスク51とが複数の螺子部材16により一体に結合された状態で固定され」た構成は、本件発明1の「永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体」に相当する。
・甲4発明の「第1磁気ディスク41の磁気に応じた電圧信号を出力する第1磁気センサ」と、本件発明1の「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサ」とは、回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、信号が出力される磁界センサ、である点において共通する。
・甲4発明の「反射ディスク31の回転量を検出する反射型回転量検出機構30」は、本件発明1の「前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサ」に相当する。
・甲4発明の「前記反射型回転量検出機構30は、下面に反射部パターンを有した反射型ディスク31と、反射部パターンへ光を発し、反射型パターンにより反射された光を受光する第2受光素子34と、を備え」る構成と、本件発明1の「回転位置検出センサは、回転体のうち永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、を備え」る構成とは、回転位置検出センサは、回転体の一つの面に形成されるパターンと、前記パターンへ光を照射し、前記パターンによる光を受光する光センサとを備える点で共通する。
・甲4発明の「第1磁気センサは、透過型ディスク21の上方位置に回転軸72と直交する面内に延びて設けられた第1の回路基板61の下面側に、第1磁気ディスクと対向する位置に設けられ」る構成と、本件発明1の「磁界センサは、回転体のうち永久磁石の配置される面に対向して配置され、」る構成とは、磁界センサは、回転体の永久磁石の配置に対向して配置される点において共通する。
・甲4発明の「第2受光素子34は、前記第2磁気ディスク51と対向し第1の回路基板61と平行な面内に延びて設けられた第2の回路基板62の上面側に配置される」る構成と、本件発明1の「光センサは、記回転体のうち永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置され」る構成とは、光センサは、回転体の面に対向して配置される点で共通する。
そうすると、本件発明1と甲4発明とは以下の点で一致する。
一致点
「シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、
前記シャフトの回転を検出するエンコーダと、
を備え、
前記エンコーダは、
永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、
前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、信号が出力される磁界センサと、
前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、
を備え、
前記回転位置検出センサは、
前記回転体の一つの面に形成される反射パターンと、
前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、を備え、
前記磁界センサは、
前記回転体の前記永久磁石の配置に対向して配置され、
前記光センサは、
前記回転体の前記一つの面に対向して配置される、モータ。」である点。

そして、以下の点で相違する。
相違点ア
磁界センサに関し、本件発明1は「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサ」を有し、「磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向」であるのに対し、甲4発明にはそのような磁性体や検出コイルを用いた磁界センサについての開示はない点。

相違点イ
回転位置検出センサの配置に関し、本件発明1は「回転体のうち永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターン」を備え「光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される」のに対して、甲4発明は、上側の第1磁気ディスク41及び下側の第2磁気ディスク51を有するから、反射型ディスク31の配置を、永久磁石の配置と逆側の面として特定することはできず、第2受光素子34の配置も、永久磁石の配置によって特定することはできない点。

相違点ウ
磁界センサの配置に関し、本件発明1は「磁界センサは、回転体のうち永久磁石の配置される面に対向して配置され」るのに対し、甲4発明は、上側の第1磁気ディスク41及び下側の第2磁気ディスク51を有するものであって、第1磁気センサの配置を、永久磁石の配置される面によって特定することはできない点。

・検討
相違点アについて
甲第1号証には「永久磁石7のある回転位置で、磁性ワイヤ201a、202aの大バルクハウゼン効果により、コイル201b、202bに発生した誘起電圧を、多回転検出器の磁界検出センサの機能として動作させる発電装置201、202」と、「前記発電装置201、202は、前記回転ディスク5の回転中心線に直交する回路基板19上に90°の角度間隔を置いて配置され」ることが記載されているから、甲4発明において、甲第1号証に記載された構成を用いることで、本件発明1の「磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサ」を有する「磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向」の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たものである。

相違点イ、ウについて
本件発明1は、光センサを回転体のうち永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置すると共に、磁界センサを回転体のうち永久磁石の配置される面に対向して配置することで、磁界センサと光センサとが回転体の反対側にそれぞれ回転体に対して対向されるように配置して、エンコーダ全体の省スペース化を実現するものであるのに対し、甲4発明は、かかる技術思想を開示するものでも、示唆するものでもない。
また、甲第1-3、5、6号証にも、光センサを回転体のうち永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置すると共に、磁界センサを回転体のうち永久磁石の配置される面に対向して配置するという構成を開示するものでも、示唆するものでもない。
したがって、本件発明1は、甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(本件発明2、4、6、9)
本件発明2、4、6は、本件発明1にさらに他の構成要素を付加したものに相当するから、本件発明1と同様の理由により、甲第4号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(本件発明7、8)
本件発明7、8は「磁界センサを3つ以上備え」、「永久磁石を4つ以上備える」という構成に基づき、大バルクハウゼン効果を利用する磁界センサを備えたエンコーダにおいて、回転体の回転方向を計測することができるという顕著な効果を奏するものである。
甲第1-6号証には、このような構成を開示していないから、本件発明7、8は、甲第4号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(本件発明10、11)
本件発明10、11は、本件発明1と同様に、光センサを回転体のうち永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置すると共に、磁界センサを回転体のうち永久磁石の配置される面に対向して配置することで、磁界センサと光センサとが回転体の反対側にそれぞれ回転体に対して対向されるように配置して、エンコーダ全体の省スペース化を実現するものである。
したがって、本件発明1と同様、本件発明10、11は、甲第4号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(6)むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2、4、6?11に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、他に本件請求項1、2、4、6?11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件請求項5に係る特許は、訂正により削除されたため、本件請求項5に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
モータ、モータシステムおよびモータ用エンコーダ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、モータ、モータシステムおよびモータ用エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの回転検出に用いられるエンコーダとして、磁界センサを備えた磁気式エンコーダが知られている。磁気式エンコーダは、モータの回転に伴って回転する永久磁石の磁界を磁界センサによって検出することでモータの回転を検出する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4622487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の一態様は、小型化を図ることができるモータ、モータシステムおよびモータ用エンコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の一態様に係るモータは、モータ本体と、エンコーダとを備える。前記エンコーダは、回転体と、磁界センサと、回転位置検出センサとを備える。前記モータ本体は、シャフトを軸線周りに回転させる。前記エンコーダは、前記シャフトの回転を検出する。前記回転体は、永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する。前記磁界センサは、磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される。前記回転位置検出センサは、光学式であり、前記回転体の回転位置を検出する。前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向である。前記回転位置検出センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、を備える。前記磁界センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、前記光センサは、前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される。
【発明の効果】
【0006】
実施形態の一態様によれば、小型化を図ることができるモータ、モータシステムおよびモータ用エンコーダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るモータを説明するための説明図である。
【図2】図2は、エンコーダを説明するための説明図である。
【図3】図3は、回転体における永久磁石の配置を説明するための説明図である。
【図4】図4は、回転体に対する磁界センサの位置関係を説明するための説明図である。
【図5】図5は、永久磁石に対する磁界センサの位置関係を示す図である。
【図6】図6は、磁界センサから出力される信号を説明するための説明図である。
【図7】図7は、回転数検出部を説明するための説明図である。
【図8】図8は、モータ本体からの漏れ磁束を説明するための説明図である。
【図9】図9は、磁界センサの他の配置例を示す図である。
【図10】図10は、第2の実施形態に係るモータシステムを説明するための説明図である。
【図11】図11は、第2の実施形態に係るモータを説明するための説明図である。
【図12】図12は、磁石ユニットを説明するための説明図である。
【図13】図13は、磁気検出ユニットを説明するための説明図である。
【図14】図14は、永久磁石に対する磁界センサの位置関係を示す図である。
【図15】図15は、光検出ユニットおよび回転数検出部を説明するための説明図である。
【図16】図16は、回転体に配置される反射ディスクを説明するための説明図である。
【図17】図17は、第2の実施形態に係る磁気検出ユニットを説明するための説明図である。
【図18】図18は、第3の実施形態に係る磁石ユニットを説明するための説明図である。
【図19】図19は、第4の実施形態に係る永久磁石の形状を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するモータ、モータシステムおよびモータ用エンコーダの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す各実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係るモータについて図面を参照して具体的に説明する。図1は、第1の実施形態に係るモータを説明するための説明図である。なお、以下においては、モータ用エンコーダを単にエンコーダと記載する。また、モータの回転によって駆動される負荷装置の方向(X軸の負方向)を負荷側とし、その反対方向(X軸の正方向)を反負荷側と記載する場合がある。
【0010】
図1に示すように、第1の実施形態に係るモータ1は、モータ本体2と、エンコーダ3とを備える。モータ本体2は、シャフト4を有し、このシャフト4をその軸線である回転軸Ax周りに回転させることにより、回転力を出力する。なお、モータ本体2は、動力源として電気を使用する電動式モータである場合に限定されるものではなく、例えば、油圧式モータ、エア式モータ、蒸気式モータ等の他の動力源を使用したモータであってもよい。
【0011】
エンコーダ3は、モータ本体2の回転力を出力する負荷装置側とは反対側のシャフト4に連結され、シャフト4の回転数を検出する。
【0012】
図2は、第1の実施形態に係るエンコーダ3を説明するための説明図である。図2に示すように、エンコーダ3は、回転体6と、磁界センサ7と、回転数検出部8とを備える。かかるエンコーダ3は、モータ本体2の回転に応じて磁界センサ7から出力される信号を回転数検出部8によって処理することでモータ本体2の回転数を検出する。
【0013】
回転体6は、シャフト4に連結され、シャフト4の回転に伴って回転する。かかる回転体6は、基体6aと、永久磁石6b,6cとを備える。基体6aは円盤状の部材であり、永久磁石6b,6cの一部のそれぞれを収容する2つの凹部が反負荷側の主面に形成される。かかる凹部に永久磁石6b,6cを収容され、例えば、接着剤などによって、永久磁石6b,6cが基体6a凹部に固着される。
【0014】
基体6aの中心部はシャフト4に連結され、回転軸Axを回転中心として回転する。なお、基体6aは、永久磁石6b,6cを回転軸Ax周りに回転させることができればよく、円盤状の部材に限定されるものではない。例えば、基体6aは、多角形状の板部材であってもよく、また、永久磁石6b,6cのそれぞれを保持するアームを備える部材であってもよい。
【0015】
永久磁石6b,6cは、長手方向を磁化方向とする円筒状の永久磁石であり、長手方向の両端に異なる磁極が形成される。かかる永久磁石6b,6cの長手方向は、回転軸Axに対して直交する方向に対して平行であり、基体6aの主面に配置される。
【0016】
図3は、回転体6における永久磁石6b,6cの配置を説明するための説明図である。図3に示すように、永久磁石6b,6cは、基体6aの回転中心Oxからずらした位置に、回転軸Axと直交交差する線に対して2つの磁極(N極とS極)が互いに線対称になるように配置され、両端のN極とS極とが回転中心Oxから同程度の距離となる。
【0017】
永久磁石6b,6cは、回転中心Oxを中心とした180度回転対称の位置にある。したがって、永久磁石6bは、180度回転した場合に、回転前の永久磁石6cの位置になり、永久磁石6cは、180度回転した場合に、回転前の永久磁石6bの位置になる。
【0018】
また、永久磁石6b,6cは、互いに磁極の方向が異なる。例えば、回転方向を図3に示す方向とすると、永久磁石6bは、回転方向側がS極であり、永久磁石6cは、回転方向側がN極である。したがって、任意の位置において180度回転ごとにS極とN極とが反対となる永久磁石が現れることになる。
【0019】
なお、永久磁石6b,6cは、長手方向を軸線方向とする円柱状(図2等参照)であるが、かかる形状に限定されるものではない。例えば、長手方向を軸線方向とする四角柱状であってもよく、また、四角柱状以外の角柱状であってもよい。
【0020】
図2に戻ってエンコーダ3の説明を続ける。図2に示すように、エンコーダ3は、磁界センサ7と、回転数検出部8とを備える。かかる磁界センサ7は、永久磁石6bが通過するごとに第1方向(例えば、Z軸の正方向)に磁化されて正極性のパルス(以下、正パルスと記載する)を出力する。また、磁界センサ7は、永久磁石6cが通過するごとに第1方向とは反対の第2方向(例えば、Z軸の負方向)に磁化されて負極性のパルス(以下、負パルスと記載する)を出力する。
【0021】
回転数検出部8は、磁界センサ7から出力される正パルスをカウントし、カウントした数をモータ1の回転数として出力する。なお、以下において、磁界センサ7を第1方向に磁化して正パルスを出力させるための永久磁石をセット磁石と記載する場合があり、磁界センサ7を第2方向に磁化して負パルスを出力させるための永久磁石をリセット磁石と記載する場合がある。
【0022】
磁界センサ7は、磁性ワイヤ7aと、検出コイル7bとを備える。かかる磁界センサ7は、大バルクハウゼン効果を利用して正パルスや負パルスなどの検出パルスを含む信号Sig1を出力するものであり、外部からの電力供給を行うことなく動作する。
【0023】
磁性ワイヤ7aは、外周部と中心部で磁気特性が異なる強磁性体のワイヤであり、大バルクハウゼン効果を有する。大バルクハウゼン効果とは、磁性体が磁化される場合に、磁性体内部の磁壁が一度に移動する性質である。かかる磁性ワイヤ7aは、例えば、基本組成がFe-Co-SiやCo-FeNi系であるアモルファス磁性材料を線引きした後ひねり応力を加えることによって形成される。また、磁性ワイヤ7aの磁化容易方向は、磁性ワイヤ7aの延伸方向である。
【0024】
磁性ワイヤ7aは、非磁性体である樹脂部材7cによってモールドされ、モールドされた磁性ワイヤ7aの周りに検出コイル7bが巻装される。磁性ワイヤ7aにおいて磁性体内部の磁壁が一度に移動すると、検出コイル7bに誘導起電力が発生し、検出コイル7bからパルス信号が出力される。なお、樹脂部材7cを用いずに磁界センサ7を構成するようにしてもよい。
【0025】
図2に示すように、磁界センサ7は、回転軸Axに対して直交する回転体6の回転中心線に直交する面に沿って配置される。具体的には、磁界センサ7は、長手方向が回転軸Axに対して直交する方向に対して平行であり、磁性ワイヤ7aの延伸方向が基体6aの主面に沿うように基体6aの主面に対向して配置される。また、図2に示すように、磁界センサ7の長手方向と磁性ワイヤ7aの長手方向とは同様の長さであるが、磁界センサ7はかかる構成に限定されるものではない。例えば、磁界センサ7の長手方向が磁性ワイヤ7aの長手方向よりも長い構成であってもよい。また、図2では、磁性ワイヤ7aが検出コイル7b内の中心に配置される例を示したが、磁性ワイヤ7aの位置は図2に示す例に限定されるものではなく、検出コイル7b内の中心からずれた位置に磁性ワイヤ7aを配置してもよい。
【0026】
図4は、回転体6に対する磁界センサ7の位置関係を説明するための説明図である。図4に示すように、磁界センサ7は、回転軸Ax方向から見て回転体6の回転中心Oxからずれた位置にある。また、磁界センサ7は、回転軸Axと直交交差する線に対して線対称となるように磁性ワイヤ7aが配置され、磁性ワイヤ7aの長手方向の中央が回転軸Axに最も近く、長手方向の両端が回転軸Axから同程度の距離となる。
【0027】
また、磁界センサ7と永久磁石6b,6cとは、互いに長手方向の中央が回転軸Axから同程度の距離となる位置に配置される。そのため、磁界センサ7は、回転体6が回転軸Ax周りに回転した場合に、永久磁石6b,6cと対向する位置に繰り返し位置する。
【0028】
図5は、永久磁石6b,6cに対する磁界センサ7の位置関係を示す図であり、回転体6を所定の回転位置(0度)から、75度、180度、225度回転させた場合の様子を示す。なお、ここでは、一例として、磁界センサ7の磁化容易方向が永久磁石6b,6cの磁化方向に対して回転軸Ax方向から見て15度の角度になった場合に磁界センサ7の磁壁が一度に移動する磁化反転が発生するものとする。
【0029】
図5に示すように、回転体6が所定の回転位置(0度)にある状態から回転軸Ax周りに75度回転した場合、回転軸Ax方向から見てセット磁石である永久磁石6bの長手方向と磁界センサ7の長手方向との角度が15度になる。永久磁石6bの長手方向は永久磁石6bの磁化方向であり、磁界センサ7の長手方向は磁界センサ7の磁化容易方向である。したがって、永久磁石6bによって磁界センサ7はS極からN極への磁化方向がZ軸の正方向に磁化されてセット状態となる。
【0030】
その後、回転体6が255度の回転位置となった場合、回転軸Ax方向から見てリセット磁石である永久磁石6cの長手方向と磁界センサ7の長手方向との角度が15度になる。永久磁石6cの長手方向は永久磁石6cの磁化方向である。また、永久磁石6bと永久磁石6cとは、磁界センサ7と対向する位置においてN極とS極の位置が反対となる。したがって、永久磁石6cによって磁界センサ7はS極からN極への磁化方向がZ軸の負方向に磁化されてリセット状態となる。
【0031】
このように、永久磁石6bによる磁界センサ7の磁化方向と永久磁石6cによる磁界センサ7の磁化方向とが異なるため、検出コイル7bに流れる電流の方向が逆極性になる。検出コイル7bは、永久磁石6bによって磁性ワイヤ7aが磁化された場合に正パルスを出力し、永久磁石6cによって磁性ワイヤ7aが磁化された場合に負パルスを出力するように巻線方向が設定される。
【0032】
したがって、回転体6が一定方向に連続して回転した場合、図6に示すように、検出コイル7bから正パルスと負パルスが繰り返し交互に出力される。図6は、磁界センサ7から出力される信号を説明するための説明図である。なお、磁界センサ7が一旦セット状態になった場合には、磁界センサ7がリセット状態になるまで、磁化方向が変わらず、急激な磁化反転は発生しない。そのため、磁界センサ7がセット状態である場合、セット磁石である永久磁石6bに磁界センサ7が再度15度の範囲になっても、正パルスは出力されない。
【0033】
図2に戻ってエンコーダ3の説明を続ける。回転数検出部8は、磁界センサ7から出力される信号Sig1に基づいて回転体6の回転数、すなわち、シャフト4の回転数を検出する。かかる回転数検出部8は、外部から電源電圧Vccが供給されない場合であっても回転体6の回転数を保持することができる。また、回転数検出部8を磁界センサ7に隣接して配置することで、回転体6の回転数をカウントし保持するための電力が低減される。
【0034】
図7は、回転数検出部8を説明するための説明図である。図7に示すように、回転数検出部8は、電源切替部8aと、波形整形部8bと、回転数カウント部8cとを備え、外部から電力供給がない場合であっても、回転体6の回転数を検出することができる。かかる回転数検出部8は、磁界センサ7から出力される信号Sig1のうち正パルスの数をカウントし、回転体6の回転数として出力する。
【0035】
電源切替部8aは、外部から電源電圧Vccが供給される場合、波形整形部8bおよび回転数カウント部8cへ電源電圧Vccを供給する。一方、外部から電源電圧Vccが供給されない場合、電源切替部8aは、磁界センサ7から出力される正パルスから生成した電圧を波形整形部8bおよび回転数カウント部8cへ供給する。磁界センサ7から出力される負パルスは極性が負であり、電圧生成には用いられないが、全波整流器などによって負パルスを電圧生成に用いることもできる。
【0036】
波形整形部8bは、磁界センサ7から出力される正パルスを矩形波のパルスへ変換して、回転数カウント部8cへ出力する。回転数カウント部8cは、波形整形部8bから出力されるパルスの数をカウントして外部へ出力する。回転数カウント部8cには、カウントしたパルスの数を記憶する記憶部が設けられ、外部から電源電圧Vccが回転数検出部8へ供給されない場合であっても、カウントしたパルスの数を記憶部に記憶できるように構成される。
【0037】
このように、第1の実施形態に係るモータ1では、大バルクハウゼン効果をもつ磁性体を備える磁界センサ7がエンコーダ3に配置される。そのため、例えば、電源電圧Vccが供給されない場合にモータ1のシャフト4が回転した場合であっても、エンコーダ3によってシャフト4の回転数を検出することができる。しかも、磁性体による位置検出であるため、光検出による位置検出に比べ、消費電力を低減することができる。
【0038】
また、エンコーダ3において、磁界センサ7と永久磁石6b,6cとはそれぞれ回転中心線である回転軸Axに対して間隔を空けて配置される。そして、回転体6の回転位置が所定の回転位置である場合に、磁界センサ7が永久磁石6b,6cと対向する位置になる。また、永久磁石6b,6cの磁化方向と磁界センサ7の磁化容易方向とがそれぞれ回転軸Axに対して直交する面に沿った方向である。したがって、例えば、モータ本体2等からの漏れ磁束がある場合に、かかる漏れ磁束に対する誤動作を抑制することができる。
【0039】
ここで、電動式モータであるモータ本体2からの漏れ磁束の一例について説明する。なお、モータ本体2が電動式モータでない場合であっても、例えば、ブレーキや動力源の制御に使用される電磁気による漏れ磁束があり、かかる漏れ磁束に対してもエンコーダ3の誤動作を抑制することができる。
【0040】
図8は、モータ本体2からの漏れ磁束の一例を説明するための説明図である。なお、図8においては、説明を分かり易くするために、一部の構成のみを記載し、他の構成は省略している。また、エンコーダ3には、耐磁気ノイズ性の向上等を目的として、例えば金属製のバックヨーク5が配置される。かかるバックヨーク5によって不要な磁束の逃げ道を形成することができる。ここでは、回転体6および磁界センサ7の周囲を囲むように円筒状のバックヨーク5が配置される例を説明するが、バックヨーク5の形状や配置はこれに限定されるものではない。
【0041】
図8に示すように、エンコーダ3に円筒状のバックヨーク5が配置される場合、モータ本体2からの漏れ磁束は、シャフト4の先端からバックヨーク5へ放射状に伝わるため、モータ本体2からの漏れ磁束は磁界センサ7を通過する。しかし、シャフト4からの漏れ磁束の方向は、磁界センサ7の磁化容易方向とねじれの位置にあるため、磁界センサ7は、シャフト4からの漏れ磁束に対する影響を受け難い。そのため、例えば、磁界センサ7とモータ本体2との距離を近づけることができ、これにより、エンコーダ3およびモータ1の小型化を図ることができる。なお、ここでは、バックヨーク5を配置した場合の例を示したが、バックヨーク5が配置されない場合や樹脂部材で形成されるバックヨークが配置される場合であっても、モータ本体2からの漏れ磁束は、例えばシャフト4の先端から放射状に広がり、磁界センサ7を通過する場合がある。したがって、金属製のバックヨーク5が配置されない場合等であっても、モータ本体2からの漏れ磁束に対するエンコーダ3の誤動作を抑制することができる。
【0042】
さらに、磁界センサ7は、回転軸Axと直交交差する線に対して線対称となるように磁性ワイヤ7aが配置され、磁性ワイヤ7aの長手方向の両端が回転軸Axから同程度の距離となるように配置される。そのため、シャフト4からの漏れ磁束の方向は、磁界センサ7の長手方向中央部を中心として長手方向の両側で対称となり、これにより、磁界センサ7は、モータ本体2からの漏れ磁束に対する影響をさらに受け難くなるため、エンコーダ3およびモータ1の小型化をさらに図ることができる。
【0043】
また、エンコーダ3は、永久磁石6b,6cの長手方向を磁化方向とし、磁界センサ7の長手方向を磁化容易方向とする。そのため、永久磁石6b,6cの長手方向と磁界センサ7の長手方向とがそれぞれ回転軸Axに対して直交する面に沿って配置される。したがって、永久磁石6b,6cの短手方向と磁界センサ7の短手方向が回転軸Ax方向となり、回転軸Ax方向におけるエンコーダ3の長さを抑えることができ、これによっても、エンコーダ3およびモータ1の小型化を図ることができる。
【0044】
また、磁界センサ7を設けることによって、回路基板上に実装される多回転検出用のMR素子やホール素子が不要になる。そのため、それらの実装スペースを基板上に確保する必要がなくなり、回路基板の省スペース化および設計の自由度を高めることができる。
【0045】
なお、上述した実施形態では、永久磁石6b,6cと磁界センサ7とを回転軸Axの方向で対向させることとしたが、かかる位置関係に限定されるものではない。例えば、図9に示すように、磁界センサ7を永久磁石6b,6cに対して回転軸Axに直交する方向に配置するようにすることもできる。図9は、磁界センサ7の他の配置例を示す図である。なお、磁界センサ7を永久磁石6b,6cに対して回転軸Axに直交する方向に配置する場合に比べ、磁界センサ7を永久磁石6b,6cに対して回転軸Axの方向で対向させた場合には、永久磁石6b,6cと磁界センサ7とをより近接させることができる。
【0046】
ところで、上述した第1の実施形態では、エンコーダの構成についての一例を例示した。しかしながら、エンコーダの構成には種々のバリエーションが存在する。そこで、以下に示す各実施形態では、その他の例について示すこととする。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るモータを説明する。なお、以下においては、制御装置を含むモータシステムについて説明するものとする。
【0048】
まず、図10を参照しつつ、第2の実施形態に係るモータシステムの構成について説明する。図10は、第2の実施形態に係るモータシステムを説明するための説明図である。
【0049】
図10に示すように、本実施形態に係るモータシステムSは、モータ10と、制御装置20とを有する。さらに、モータ10は、モータ本体11と、エンコーダ12とを有する。
【0050】
モータ本体11は、エンコーダ12を含まない動力発生源の一例である。かかるモータ本体11は、シャフト13を有し、このシャフト13をその軸線である回転軸Ax周りに回転させることにより、回転力を出力する。なお、モータ本体11は、第1の実施形態に係るモータ本体2と同様に、動力源として電気を使用する電動式モータである場合に限定されるものではなく、例えば、油圧式モータ、エア式モータ、蒸気式モータ等の他の動力源を使用したモータであってもよい。
【0051】
エンコーダ12は、モータ本体11の回転力を出力する負荷装置側とは反対側のシャフト13に連結される。そして、エンコーダ12は、シャフト13の回転角度および回転数を検出することにより、モータ本体11の回転量xを検出し、その回転量xを表す位置データを出力する。なお、エンコーダ12は、モータ本体11の回転量xに加え、モータ本体11の回転速度vおよびモータ本体11の回転加速度aの少なくとも一方を検出することもできるが、説明の便宜上、以下ではエンコーダ12が検出する物理量は回転量xであるとして説明する。
【0052】
制御装置20は、不図示の上位制御装置から上位制御指令を取得し、かかる上位制御指令に応じてモータ本体11を制御する。制御装置20は、モータ本体11の回転が上位制御指令に応じた回転となるように、エンコーダ12から出力される位置データを取得し、かかる位置データに基づいて、モータ本体11の回転を制御する。モータ本体11として電動式モータが使用される本実施形態では、制御装置20は、位置データに基づいて、モータ本体11に印加する電流又は電圧等を制御することにより、モータ本体11の回転を制御する。なお、モータ本体11が、油圧式、エア式、蒸気式などの他の動力源を使用する場合には、制御装置20は、それらの動力源の供給を制御することにより、モータ本体11の回転を制御することが可能である。
【0053】
次に、図11を参照しつつ、第2の実施形態に係るモータ10の構成について説明する。図11は、第2の実施形態に係るモータ10を説明するための説明図である。
【0054】
図11に示すように、第2の実施形態に係るモータ10は、モータ本体11とエンコーダ12を備え、モータ本体11の反負荷側にエンコーダ12が取り付けられる。モータ本体11は、シャフト13と、フレーム15と、ブラケット16と、軸受17A,17Bと、固定子18と、回転子19とを備える。
【0055】
フレーム15は、筒状に形成されており、内周面に固定子18の外周が固着され、一端側で軸受17Aを保持する。ブラケット16は、略円盤状に形成され、外周部がフレーム15の他方端に取り付けられ、内周部で軸受17Bを保持する。これら軸受17A,17Bによって、シャフト13の軸線が回転軸Ax上に位置するようにシャフト13が回転可能に保持される。
【0056】
固定子18は、固定子コアと固定子巻線とを備えており、フレーム15に固定される。かかる固定子18の内周側には空隙を介して回転子19が対向配置され、固定子18の固定子巻線に電流を流すことにより固定子18の内側に回転磁界が発生する。回転子19は、回転子コアおよび複数の永久磁石を備え、固定子18の内側に生じた回転磁界と回転子19の永久磁石が発生する磁界との相互作用により回転子19が回転し、この回転子19の回転に伴ってシャフト13が回転軸Ax周りに回転する。
【0057】
エンコーダ12は、回転体30と、磁気検出ユニット31と、光検出ユニット32とを備え、シャフト13の回転数および回転位置を検出し、かかる検出結果に基づいて位置データを生成して出力する。
【0058】
さらに、エンコーダ12は、ベース部33と、バックヨーク34と、蓋部材35とを備える。ベース部33は中央部にシャフト13を挿通する開孔を有し、負荷側がブラケット16に取り付けられる。また、ベース部33の反負荷側には光検出ユニット32が取り付けられる。バックヨーク34は、金属などの磁性部材からなる円筒状の部材であり、回転体30、磁気検出ユニット31および光検出ユニット32の周囲を囲むように設けられ、ベース部33の反負荷側の外周部に一端が取り付けられる。かかるバックヨーク34によって、エンコーダ12における耐磁気ノイズ性の向上が図られる。なお、ここでは、金属製のバックヨーク34を配置した場合の例を示すが、第1の実施形態に係るモータ1と同様に、バックヨーク34が配置されない場合であっても、シャフト13の先端からの漏れ磁束は、シャフト13の先端から放射状に広がり、モータ本体11からの漏れ磁束は、例えば磁界センサ54a?54cを通過する。したがって、金属製のバックヨーク34が配置されない場合等であっても、モータ本体11からの漏れ磁束に対するエンコーダ12の誤動作を抑制することができる。
【0059】
バックヨーク34の他端には、蓋部材35が取り付けられ、ベース部33、バックヨーク34および蓋部材35によって形成される空間に、回転体30、磁気検出ユニット31および光検出ユニット32が配置される。
【0060】
回転体30は、基体40と、磁石ユニット41と、反射ディスク42とを備え、中央部に開孔を有する円盤状の部材である。基体40の中央部は、ボルト36によってシャフト13の先端に固定され、シャフト13の回転に伴って回転する。
【0061】
基体40の反負荷側には磁石ユニット41が固定され、蓋部材35の負荷側には磁気検出ユニット31が固定される。そして、磁石ユニット41と磁気検出ユニット31とが互いに接触しないように間隔を空けて対向するように配置される。これら磁石ユニット41と磁気検出ユニット31とにより多回転検出部37が形成される。また、基体40の負荷側には、反射ディスク42が固定されて反射ディスク42と光検出ユニット32とが対向配置され、反射ディスク42と光検出ユニット32とにより回転位置検出部38(光学式の回転位置検出センサの一例)が形成される。
【0062】
多回転検出部37は、回転位置検出部38に対して、モータ本体11よりも遠い位置に配置されることになるため、多回転検出部37をモータ本体11側に配置する場合に比べ、モータ本体11から多回転検出部37へ達する漏れ磁束が弱い。これにより、モータ本体11からの漏れ磁束に対する耐性を向上させることができる。
【0063】
次に、図12?図15を参照しつつ、多回転検出部37の構成について説明する。まず、図12を参照して、磁石ユニット41の構成を説明する。図12は、磁石ユニット41を説明するための説明図である。
【0064】
図12に示すように、磁石ユニット41は、永久磁石51a?51cと、バランスウェイト52と、保持部材53とを備える。保持部材53は円盤状の部材であり、保持部材53には、永久磁石51a?51cおよびバランスウェイト52の一部のそれぞれを収容する4つの凹部が反負荷側である主面側に形成される。これら4つの凹部は、回転軸Axからずれた位置、かつ回転軸Axに対して回転対称となる位置に配置される。かかる凹部に永久磁石51a?51cおよびバランスウェイト52が収容され、例えば、接着剤などによって、永久磁石51a?51cおよびバランスウェイト52が保持部材53の凹部に固着される。
【0065】
永久磁石51a?51cは、回転軸Axからずれた位置に、回転軸Axと直交交差する線に対して2つの磁極(N極とS極)が互いに線対称になるように配置され、長手方向の両端部とが互いに回転軸Axから同程度の距離となる。また、永久磁石51a?51cは、回転軸Axからずれた位置で、かつ回転軸Axに対して回転対称となる位置に形成される。具体的には、永久磁石51bに対し永久磁石51a,51cが、回転軸Axを中心とした90度回転対称の位置にある。永久磁石51bは、永久磁石51a,51cとN極とS極の位置が異なり、セット磁石としての役割を果たし、永久磁石51a,51cはリセット磁石としての役割を果たす。
【0066】
永久磁石51bに対し回転軸Axを中心とした180度回転対称の位置には、バランスウェイト52が配置される。かかるバランスウェイト52は、永久磁石51a?51cと同程度の重量および形状を有しており、これにより、磁石ユニット41の重心位置を回転軸Ax近傍に位置させることができる。そのため、回転軸Axに対して磁石ユニット41をバランスよく回転させることができる。
【0067】
永久磁石51a?51cは、長手方向を軸線方向とする円柱状であるが、かかる形状に限定されるものではない。例えば、長手方向を延伸方向とする四角柱状であってもよく、また、四角柱状以外の角柱状であってもよい。
【0068】
次に、図13を参照して、磁気検出ユニット31の構成を説明する。図13は、磁気検出ユニット31を説明するための説明図である。
【0069】
図13に示すように、磁気検出ユニット31は、磁界センサ54a?54cと、回転数検出部55と、保持部材56とを備える。保持部材56は円盤状の部材であり、保持部材56には、磁界センサ54a?54cの一部のそれぞれを収容する3つの凹部が負荷側に形成される。これら3つの凹部は、回転軸Axからずれた位置、かつ回転軸Axに対して回転対称となる位置に形成される。また、保持部材56には、回転数検出部55を収納する凹部も形成される。
【0070】
磁界センサ54a?54cは、回転軸Axに対して直交する面に沿って配置される。具体的には、磁界センサ54a?54cは、長手方向が回転軸Axに対して直交する方向に対して平行であり、長手方向が保持部材56の主面に沿うように配置される。また、磁界センサ54a?54cは、回転軸Axからずれた位置で、かつ回転軸Axに対して回転対称となる位置に形成される。具体的には、磁界センサ54bに対して磁界センサ54a,54cは、回転軸Axを中心とした120度回転対称の位置にある。また、磁界センサ54a?54cは、磁性ワイヤが回転軸Axと直交交差する線に対して両端が互いに対称になるように配置され、磁性ワイヤの長手方向の中央が回転軸Axに最も近く、長手方向の両端が回転軸Axから同程度の距離となる。
【0071】
磁界センサ54a?54cは、磁界センサ7と同様に、磁性ワイヤと検出コイルとを備え、磁性ワイヤにおいて磁性体内部の磁壁が一度に移動する磁化反転が発生すると、検出コイルに誘導起電力が発生し、検出コイルからパルス信号を出力する。磁界センサ54a?54cの構成については、磁界センサ7と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0072】
磁界センサ54a?54cと永久磁石51a?51cとは、互いに長手方向の中央が回転軸Axから同程度の距離となる位置に配置される。そのため、磁界センサ54a?54cは、回転体30が回転軸Ax周りに回転した場合に、永久磁石51a?51cと対向する位置に繰り返し位置する。
【0073】
図14は、永久磁石51a?51cに対する磁界センサ54a?54cの位置関係を示す図であり、回転体30を回転位置(0度)から、75度、105度、195度、225度、315度、345度回転させた場合の様子を示す。なお、ここでは、一例として、磁界センサ54a?54cの磁化容易方向が永久磁石51a?51cの磁化方向に対して回転軸Ax方向から見て15度の角度になった場合に、磁界センサ54a?54cの磁壁が一度に移動する磁化反転を発生させるものとする。
【0074】
図14に示すように、回転体30の回転位置が0度である状態では、磁界センサ54bがセット状態であり、磁界センサ54a,54cがリセット状態である。かかる位置から回転体30が回転軸Ax周りに75度回転した場合、回転軸Ax方向から見てリセット磁石である永久磁石51aの長手方向と磁界センサ54bの長手方向との角度が15度になる。永久磁石51aの長手方向は永久磁石51aの磁化方向であり、磁界センサ54bの長手方向は磁界センサ54bの磁化容易方向である。したがって、磁界センサ54bは磁化反転しリセット状態になり、磁界センサ54bから負パルスが出力される。
【0075】
回転体30が105度の回転位置となると、セット磁石である永久磁石51bの磁化方向と磁界センサ54cの磁化容易方向との角度が15度となる。そのため、磁界センサ54cは磁化反転によりリセット状態になり、磁界センサ54cから正パルスが出力される。さらに、回転体30が195度の回転位置となると、永久磁石51aの磁化方向と磁界センサ54cの磁化容易方向との角度が15度となり、磁界センサ54cは磁化反転によりリセット状態になり、磁界センサ54cから負パルスが出力される。
【0076】
回転体30が225度の回転位置となると、永久磁石51bの磁化方向と磁界センサ54aの磁化容易方向との角度が15度となり、磁界センサ54aは磁化反転によりセット状態になり、磁界センサ54aから正パルスが出力される。さらに、回転体30が315度の回転位置となると、永久磁石51cの磁化方向が磁界センサ54aの磁化容易方向と15度の関係となり、磁界センサ54aは磁化反転によりリセット状態になり、磁界センサ54aから負パルスが出力される。さらに、回転体30が345度の回転位置となると、永久磁石51bの磁化方向が磁界センサ54bの磁化容易方向と15度の関係となり、磁界センサ54bは磁化反転によりセット状態になり、磁界センサ54bから正パルスが出力される。
【0077】
このように、図14で説明した方向を回転方向として回転した場合、磁界センサ54a,54b,54cから順に正パルスが繰り返し出力される。一方、図14で説明した方向とは逆方向を回転方向として回転した場合、磁界センサ54c,54b,54aから順に正パルスが繰り返し出力される。したがって、3つの磁界センサ54a?54cのうちどの磁界センサから正パルスが出力されたかの履歴を記憶しておくことで、回転体30がどの方向に回転した場合であっても、回転体30がどのように回転したかを判断することができる。
【0078】
なお、3つの磁界センサ54a?54cのうち2つの磁界センサがセット状態となった場合、いずれの回転方向から残りの磁界センサまでの位置に到達したかがわからない。したがって、本実施形態のエンコーダ12では、3つの磁界センサ54a?54cのうち1つのみがセット状態になるように、上述のような磁界センサ54a?54cおよび永久磁石51a?51cの配置としている。また、3つの磁界センサ54a?54cのうち1つのみがセット状態になるように、永久磁石51a?51cによる磁界センサ54a?54cの磁化特性を設定している。
【0079】
ここで、図15を参照して、光検出ユニット32、および、磁石ユニット41における回転数検出部55について説明する。図15は、光検出ユニット32および回転数検出部55を説明するための説明図であり、図16は、回転体30に配置される反射ディスク42を説明するための説明図である。
【0080】
図15に示すように、光検出ユニット32は、光センサ60と、1回転絶対値検出部61と、位置データ生成部62とを備える。光センサ60は、発光部と受光部とを備えており、回転体30の反射ディスク42に対して発光部から光を照射する。図16に示すように、反射ディスク42には、複数の反射スリットを有するスリットアレイ43が反射パターンとして形成されており、光センサ60は、スリットアレイ43による反射光を受光部で受光し、受光状態に応じた信号を出力する。
【0081】
スリットアレイ43が有する複数の反射スリットは、反射ディスク42の周方向でアブソリュートパターンを有するように、反射ディスク42の全周に配置される。アブソリュートパターンとは、光検出ユニット32の受光部が対向する角度内における反射スリットの位置や割合等が、反射ディスク42の1回転内で一義に定まるようなパターンである。光センサ60は、反射ディスク42への光の照射に対して反射ディスク42の複数の反射スリットから反射される光を受光して反射ディスク42の周方向の位置に応じた信号を出力する。1回転絶対値検出部61は、光センサ60から出力される信号に基づいて、回転体30の絶対位置(回転位置)を検出し、回転体30の絶対位置の情報を位置データ生成部62へ出力する。
【0082】
位置データ生成部62は、1回転絶対値検出部61から出力される回転体30の絶対位置の情報と、回転数検出部55から出力される回転体30の回転数の情報とを取得する。そして、位置データ生成部62は、取得した信号に基づいて、これらの信号が表すモータ本体11の回転量xを算出して、当該回転量xを表す位置データを制御装置20に出力する。なお、ここでいう回転量xには、回転体30の回転数と回転体30の絶対位置情報とが含まれる。
【0083】
なお、位置データ生成部62は、外部から電源電圧Vccが供給されている場合、1回転絶対値検出部61から出力される回転体30の絶対位置の情報のみに基づいてモータ本体11の回転量xを算出することもできる。一方、外部からの電源電圧Vccが停止した後、外部からの電源電圧Vccの供給が開始された場合、1回転絶対値検出部61から出力される回転体30の絶対位置の情報と、回転数検出部55から出力される回転体30の回転数の情報とに基づいてモータ本体11の回転量xを算出する。回転数検出部55は、以下に説明するように、外部から電源電圧Vccが供給されない場合でも、消費電力を自己発電できるため、バックアップ用電源(例えば、バッテリ)を省略することができる。
【0084】
回転数検出部55は、電源切替部70と、波形整形部71と、多回転検出部72と、多回転記憶部73とを備える。かかる回転数検出部55は、後述するように、外部から電源電圧Vccが供給されない場合であっても、磁界センサ54a?54cから出力される正パルスからの電力に基づいて回転体30の回転数を検出することができる。
【0085】
電源切替部70は、外部から電源電圧Vccが供給される場合、波形整形部71、多回転検出部72および多回転記憶部73へ電源電圧Vccを供給する。一方、外部から電源電圧Vccが供給されない場合、電源切替部70は、磁界センサ54a?54cから出力される正パルスから生成した電圧を、波形整形部71、多回転検出部72および多回転記憶部73へ供給する。磁界センサ54a?54cから出力される負パルスは極性が負であり、電圧生成には用いられないが、全波整流器などによって負パルスを電圧生成に用いることもできる。
【0086】
波形整形部71は、磁界センサ54a?54cから出力される正パルスをそれぞれ矩形波のパルスへ変換して、多回転検出部72へ出力する。多回転検出部72は波形整形部71から出力されるパルスに基づき、回転体30の回転数を検出する。
【0087】
具体的には、多回転検出部72は、波形整形部71から出力されるパルスが、磁界センサ54a?54cのうちどの磁界センサから出力された正パルスによるものかを判定し、その結果を多回転記憶部73へ記憶する。例えば、多回転検出部72は、磁界センサ54aに対応するパルスの場合には「00」のデータを、磁界センサ54bに対応するパルスの場合には「01」のデータを、磁界センサ54cに対応するパルスの場合には「10」のデータを、多回転記憶部73へ記憶する。そして、多回転検出部72は、多回転記憶部73に記憶されたデータに基づき、回転体30の回転数を検出する。
【0088】
多回転検出部72は、回転体30の回転位置だけでは、正確な回転数を検出することができない。そのため、多回転検出部72は、検出した回転体30の回転数と多回転記憶部73に記憶されたデータとを位置データ生成部62へ出力する。位置データ生成部62は、回転体30の絶対位置と多回転記憶部73に記憶されたデータとに基づいて、回転体30の回転数を補正してモータ本体11の回転量xを算出する。なお、多回転検出部72において、回転体30の回転数を検出せずに、多回転記憶部73に記憶されたデータを位置データ生成部62へ送信するようにしてもよい。この場合、位置データ生成部62は、多回転記憶部73に記憶されたデータと回転体30の絶対位置とに基づいて、回転体30の回転数を演算する。
【0089】
このように、第2の実施形態に係るモータ10では、大バルクハウゼン効果をもつ磁性体を備える磁界センサ54a?54cがエンコーダ12に配置される。そのため、例えば、電源電圧Vccが供給されない場合にモータ10のシャフト13が回転した場合であっても、エンコーダ12によってシャフト13の回転数を検出することができる。
【0090】
また、エンコーダ12は、磁界センサ54a?54cと永久磁石51a?51cとはそれぞれ回転中心線である回転軸Axに対して間隔を空けて配置される。そして、永久磁石51a?51cの磁化方向と磁界センサ54a?54cの磁化容易方向とがそれぞれ回転軸Axに対して直交する方向に対して平行である。したがって、モータ本体11からの漏れ磁束の方向は、磁界センサ54a?54cの磁化容易方向とねじれの位置にあるため、磁界センサ54a?54cは、モータ本体11からの漏れ磁束に対する影響を受け難い。そのため、例えば、磁界センサ54a?54cとモータ本体11との距離を近づけることができ、エンコーダ12およびモータ10の小型化を図ることができる。
【0091】
さらに、磁界センサ54a?54cは、回転軸Axと直交交差する線に対して線対称となるように磁性ワイヤが配置され、磁性ワイヤの長手方向の両端が回転軸Axから同程度の距離となるように配置される。そのため、モータ本体11からの漏れ磁束の方向は、磁界センサ54a?54cの長手方向中央部を中心として長手方向の両側で対称となり、これにより、磁界センサ54a?54cは、モータ本体11からの漏れ磁束に対する影響をさらに受け難くなるため、エンコーダ12およびモータ10の小型化をさらに図ることができる。
【0092】
また、エンコーダ12は、永久磁石51a?51cの長手方向を磁化方向とし、磁界センサ54a?54cの長手方向を磁化容易方向とする。そのため、永久磁石51a?51cの長手方向と磁界センサ54a?54cの長手方向とがそれぞれ回転軸Axに対して直交する方向に対して平行であり、永久磁石51a?51cの長手方向と磁界センサ54a?54cの長手方向とが回転体30の回転中心線に直交する面に沿って配置される。したがって、永久磁石51a?51cの短手方向と磁界センサ54a?54cの短手方向が回転軸Ax方向となり、回転軸Ax方向におけるエンコーダ12の長さを抑えることができ、これによっても、エンコーダ12およびモータ10の小型化を図ることができる。
【0093】
また、エンコーダ12においては、1回転絶対値の検出を光学式によって行うことから、モータ本体11からの漏れ磁束に対する影響を受けず、精度よく1回転絶対値の検出を行うことができる。
【0094】
また、磁界センサ54a?54cを設けることによって、回路基板上に実装される多回転検出用のMR素子やホール素子が不要になる。そのため、それらの実装スペースを基板上に確保する必要がなくなり、回路基板の省スペース化および設計の自由度を高めることができる。
【0095】
また、エンコーダ12において、回転体30の一方側に多回転検出部37が形成され、その反対側に回転位置検出部38が形成される。そのため、回転体30を多回転検出と回転位置検出とに共用することができ、省スペース化および小型化を図ることができる。しかも、回転体30の基体40によって多回転検出部37と回転位置検出部38とを分離することができるため、光検出ユニット32や他の回路に対する永久磁石51a?51cの磁束による影響を抑制することができる。
【0096】
また、磁界センサ54a?54cの検出結果を記憶する多回転記憶部73を磁界センサ54a?54cに隣接させて配置しており、これにより、磁界センサ54a?54cの検出結果を伝える際の電力が低減される。また、電源切替部70も磁界センサ54a?54cに隣接させているため、磁界センサ54a?54cからの電力供給を効率的に行うことができる。
【0097】
なお、上述した実施形態では、永久磁石51a?51cと磁界センサ54a?54cとを回転軸Axの方向で対向させることとしたが、かかる位置関係に限定されるものではない。例えば、第1の実施形態の場合(図9参照)と同様に、磁界センサ54a?54cを永久磁石51a?51cに対して回転軸Axに直交する方向に配置するようにすることもできる。
【0098】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るモータを説明する。第3の実施形態に係るモータは、磁気検出ユニットにおける磁界センサの配置と磁石ユニットにおける永久磁石の配置とが第2の実施形態に係るモータ10とは異なる。以下においては、磁気検出ユニットにおける磁界センサの配置と磁石ユニットにおける永久磁石の配置とについて具体的に説明する。また、上述した第2の実施形態の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付し、第2の実施形態と重複する説明については適宜、省略する。
【0099】
まず、磁気検出ユニットにおける磁界センサの配置について図17を参照して説明する。図17は、第3の実施形態に係る磁気検出ユニットを説明するための説明図である。図17に示すように、磁気検出ユニット31Aの保持部材56Aには、磁界センサ54a?54cの一部のそれぞれを収容する3つの凹部が負荷側に形成される。これら3つの凹部は、回転軸Axからずれた位置、かつ回転軸Axに対して回転対称となる位置に形成される。
【0100】
磁界センサ54a?54cは、回転軸Axに対して直交する回転体30の回転中心線に直交する面に沿って配置される。具体的には、磁界センサ54a?54cは、長手方向が回転軸Axに対して直交する方向に対して平行であり、長手方向が保持部材56Aの主面に沿うように配置される。また、磁界センサ54a?54cは、保持部材56Aに形成される凹部によって、回転軸Axからずれた位置で、かつ回転軸Axに対して回転対称となる位置に配置される。具体的には、磁界センサ54bに対して磁界センサ54a,54cは、回転軸Axを中心とした120度回転対称の位置にある。
【0101】
また、磁界センサ54a?54cは、回転軸Axと直交交差する線に対して互いに非対称となるように磁性ワイヤが配置され、磁性ワイヤの長手方向の一端が他端よりも回転軸Axに近い位置に配置される。このように、磁界センサ54a?54cを配置することで、第2の実施形態に係る磁気検出ユニット31に比べ、磁界センサ54a?54cによって囲まれる面積を低減することができる。したがって、第3の実施形態に係る磁気検出ユニット31Aでは第2の実施形態に係る磁気検出ユニット31に比べ、小型化を図ることができる。
【0102】
次に、磁石ユニットにおける永久磁石の配置について図18を参照して説明する。図18は、第3の実施形態に係る磁石ユニットを説明するための説明図である。図18に示すように、磁石ユニット41Aの保持部材53Aには、永久磁石51a?51cおよびバランスウェイト52の一部のそれぞれを収容する4つの凹部が反負荷側である主面側に形成される。これら4つの凹部は、回転軸Axからずれた位置、かつ回転軸Axに対して回転対称となる位置に配置される。
【0103】
永久磁石51a?51cは、保持部材53Aに形成される凹部によって、磁界センサ54a?54cと同様に、回転軸Axと直交交差する線に対して2つの磁極が互いに非対称となるように磁性ワイヤが配置され、磁性ワイヤの長手方向の一端が他端よりも回転軸Axに近い位置に配置される。また、永久磁石51bに対し永久磁石51a,51cが、回転軸Axを中心とした90度回転対称の位置にある。
【0104】
磁界センサ54a?54cと永久磁石51a?51cとは、長手方向の中央が回転軸Axから同程度の距離となる位置に配置される。そのため、磁界センサ54a?54cは、回転体30が回転軸Ax周りに回転した場合に、永久磁石51a?51cと対向する位置に繰り返し位置する。
【0105】
また、永久磁石51bに対し回転軸Axを中心とした180度回転対称の位置には、バランスウェイト52が配置される。かかるバランスウェイト52は、永久磁石51a?51cと同程度の重量および形状を有しており、これにより、磁石ユニット41Aの重心位置を回転軸Ax近傍に位置させることができる。そのため、回転軸Axに対して磁石ユニット41Aをバランスよく回転させることができる。
【0106】
このように、第3の実施形態に係るモータのエンコーダでは、磁界センサ54a?54cと永久磁石51a?51cとが、回転軸Axと直交交差する線に対して非対称となるように配置される。そのため、磁界センサ54a?54cによって囲まれる領域の面積および永久磁石51a?51cによって囲まれる領域の面積をそれぞれ低減することができ、その結果、エンコーダおよびモータの小型化を図ることができる。
【0107】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係るモータを説明する。第4の実施形態に係るモータは、磁石ユニットにおける永久磁石の形状が第2の実施形態に係るモータ10とは異なる。以下においては、磁石ユニットにおける永久磁石の形状について具体的に説明する。また、上述した第2の実施形態の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付し、第2の実施形態と重複する説明については適宜、省略する。
【0108】
第4の実施形態に係る永久磁石の形状について図19を参照して説明する。図19は、第4の実施形態に係る永久磁石の形状を説明するための説明図である。図19に示すように、磁石ユニット41Bの保持部材53Bには、第2の実施形態に係る保持部材53と同様に、永久磁石81a?81cおよびバランスウェイト82の一部のそれぞれを収容する4つの凹部が反負荷側の主面側に形成される。これら4つの凹部は、回転軸Axからずれた位置、かつ回転軸Axに対して回転対称となる位置に配置される。
【0109】
永久磁石81a?81cは、磁界センサ54a?54cとの対向方向、すなわち、回転軸Axの軸方向から見て長手方向が先細となる楕円状に形成される。永久磁石81a?81cをこのような形状にすることにより、磁界センサ54a?54cに発生する磁化変化を急峻にすることができる。したがって、磁界センサ54a?54cによる位置検出精度を向上させることができる。
【0110】
また、永久磁石81bに対し回転軸Axを中心とした180度回転対称の位置には、バランスウェイト82が配置される。かかるバランスウェイト82は、永久磁石81a?81cと同程度の重量および形状を有しており、これにより、磁石ユニット41Bの重心位置を回転軸Ax近傍に位置させることができる。そのため、回転軸Axに対して磁石ユニット41Bをバランスよく回転させることができる。
【0111】
このように、第4の実施形態に係るモータでは、磁界センサ54a?54cによる位置検出精度を向上させることができる。なお、図19に示す例では、第2の実施形態に係るモータ10のうち、永久磁石の形状を変更した例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、第1の実施形態に係るモータ1のうち永久磁石の形状を図19に示す楕円状にしてもよく、第3の実施形態に係るモータのうち永久磁石の形状を図19に示す楕円状にしてもよい。
【0112】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0113】
例えば、上述した第1の実施形態では、エンコーダ3において、シャフト4の回転数に加え、シャフト4の回転位置(1回転内の回転角度)も検出するようにしてもよい。この場合、シャフト4の回転位置は、例えば、光式エンコーダによって検出される。
【0114】
例えば、上述した実施形態では、2つの永久磁石と1つの磁界センサとによって構成されるエンコーダと、3つの永久磁石と3つの磁界センサとによって構成されるエンコーダとについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、3つの永久磁石と4つ以上の磁界センサとによって構成されるエンコーダであってもよく、また、4つ以上の永久磁石と3つ以上の磁界センサとによって構成されるエンコーダであってもよい。
【0115】
また、上述したモータでは、エンコーダが、回転子19および固定子18に対しブラケット16を介して隣接するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、回転子19および固定子18とブラケット16との間に、電力供給停止時にシャフト13を固定するブレーキを配置するようにしてもよい。かかるブレーキが電磁式ブレーキである場合、ブレーキからの磁界も発生するが、この場合でも、上述したモータでは、ブレーキからの磁界に対する影響を抑制することができる。
【0116】
また、上述した磁界センサでは、1つの磁性ワイヤを配置することとしたが、磁性ワイヤは2つ以上であってもよい。このように、磁性ワイヤは2つ以上として磁界センサを構成することで、磁界センサの発生する電力を向上させることができる。
【0117】
また、上述したエンコーダでは、磁界センサから出力される正パルスを回転数のカウントに用いることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、磁界センサから出力される負パルスを回転数のカウントに用いてもよく、磁界センサから出力される正パルスおよび負パルスを回転数のカウントに用いてもよい。
【0118】
また、上述したエンコーダでは、永久磁石や磁界センサが凹部に配置される例を説明したが、凹部への配置に限定されるものではなく、例えば、永久磁石や磁界センサを平坦面や凸部に配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1,10 モータ
2,11 モータ本体
3,12 エンコーダ
4,13 シャフト
6,30 回転体
6b,6c,51a?51c 永久磁石
7,54a?54c 磁界センサ
S モータシステム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、
前記シャフトの回転を検出するエンコーダと、
を備え、
前記エンコーダは、
永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、
前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
前記回転位置検出センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、
前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、
を備え、
前記磁界センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、
前記光センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される、モータ。
【請求項2】
前記反射パターンは前記永久磁石よりもモータ側に配置される、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、
永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体を有し、前記回転体の回転位置が所定の回転位置である場合に、前記永久磁石と対向する位置になる磁界センサと、
前記磁界センサの検出結果を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された情報に基づいて前記回転体の回転数を検出する検出部と、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
前記記憶部は前記磁界センサに隣接して配置される、モータ。
【請求項4】
前記磁界センサは、
前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記回転体の回転中心線の方向で前記永久磁石と対向する位置になる、請求項1?3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】(削除)
【請求項6】
前記磁界センサは、前記磁性体の長手方向の一端が他端よりも前記回転中心線に近い位置に配置される、請求項4に記載のモータ。
【請求項7】
シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、
前記シャフトの回転を検出するエンコーダと、
を備え、
前記エンコーダは、
永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、
前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
前記回転位置検出センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、
前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、
を備え、
前記磁界センサは、
前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記回転体の回転中心線の方向で前記永久磁石と対向する位置になり、
前記磁界センサを3つ以上備え、
前記永久磁石を4つ以上備える、モータ。
【請求項8】
前記磁界センサは3つ備えられ、
前記3つの磁界センサは、前記回転中心線からずれた位置に互いに前記回転中心線に対して120度回転対称に配置され、前記磁性体の長手方向が前記回転中心線と直交交差する線に対して線対称となるように配置される、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記回転体および前記磁界センサの周囲に配置されるバックヨークを備える、請求項1?4または請求項6?8のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項10】
シャフトを軸線周りに回転させるモータ本体と、
前記シャフトの回転を検出するエンコーダと、
前記エンコーダの検出結果に基づいて、前記モータ本体を制御する制御装置と、
を備え、
前記エンコーダは、
永久磁石を有し、前記シャフトの回転に伴って回転する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、
前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
前記回転位置検出センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、
前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、
を備え、
前記磁界センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、
前記光センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される、モータシステム。
【請求項11】
永久磁石を有する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体と、検出コイルとを有し、前記回転体の回転位置が特定の回転位置に回転した場合に、前記永久磁石と対向する位置になり、前記永久磁石によって前記磁性体が磁化され、前記検出コイルからパルス信号が出力される磁界センサと、
前記回転体の回転位置を検出する光学式の回転位置検出センサと、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
前記回転位置検出センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に形成される反射パターンと、
前記反射パターンへ光を照射し、前記反射パターンによる反射光を受光する光センサと、
を備え、
前記磁界センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置される面に対向して配置され、
前記光センサは、
前記回転体のうち前記永久磁石の配置とは逆側の面に対向して配置される、モータ用エンコーダ。
【請求項12】
永久磁石を有する回転体と、
磁化される場合に内部の磁壁が一度に移動する性質をもち且つ長手方向を磁化容易方向とする磁性体を有し、前記回転体の回転位置が所定の回転位置である場合に、前記永久磁石と対向する位置になる磁界センサと、
前記磁界センサの検出結果を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された情報に基づいて前記回転体の回転数を検出する検出部と、
を備え、
前記磁性体の磁化容易方向が前記回転体の回転中心線に直交する面に沿った方向であり、
前記記憶部は前記磁界センサに隣接して配置される、モータ用エンコーダ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-05-25 
出願番号 特願2013-550016(P2013-550016)
審決分類 P 1 652・ 121- YAA (H02K)
P 1 652・ 537- YAA (H02K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 重幸  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 矢島 伸一
久保 竜一
登録日 2016-02-12 
登録番号 特許第5880577号(P5880577)
権利者 株式会社安川電機
発明の名称 モータ、モータシステムおよびモータ用エンコーダ  
代理人 酒井 宏明  
代理人 酒井 宏明  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
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