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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H04N
管理番号 1330102
異議申立番号 異議2016-700962  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-10-06 
確定日 2017-06-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5899291号発明「グラフィカルインジケータ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5899291号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕、〔8-11〕について訂正することを認める。 特許第5899291号の請求項7、9ないし11に係る特許を維持する。 特許第5899291号の請求項1-6、8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第5899291号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし請求項11に係る特許についての出願は、平成26年10月7日(パリ条約の例による優先権主張2014年6月5日 台湾)に特許出願され、平成28年3月11日に特許権の設定登録(特許公報発行日、平成28年4月6日)がされた。
その後、その特許に対し、平成28年10月6日に特許異議申立人の吉田健治により特許異議の申立てがされ、平成28年12月20日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年3月27日に意見書の提出及び訂正請求がされたものである。

2.訂正の適否
2.1 訂正請求の内容
特許権者の訂正請求は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?6、請求項8?11について請求項ごとに訂正することを求める、というものである。

2.2 請求項1?6に係る訂正について
2.2.1 訂正事項
ア.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

イ.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

ウ.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

エ.訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

オ.訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

カ.訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。

2.2.2 当審の判断
2.2.2.1 一群の請求項について
訂正事項1?6に係る訂正前の請求項1?6について、請求項2?6は請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1?6に対応する訂正後の請求項1?6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

2.2.2.2 訂正の目的
訂正事項1?6は、訂正前の請求項1?6の記載を削除するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

2.2.2.3 訂正の範囲
訂正事項1?6は、訂正前の請求項1?6の記載を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

2.2.2.4 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1?6は、訂正前の請求項1?6の記載を削除するものであるから、訂正前の請求項1?6に記載された発明のカテゴリーを変更しておらず、かつ、発明の対象や目的も変更していない。
したがって、訂正事項1?6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

2.3 請求項8?11に係る訂正について
2.3.1 訂正の内容
ア.訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8を削除する。

イ.訂正事項8
特許請求の範囲の請求項9に、「請求項7又は8に記載のグラフィカルインジケータ」と記載されているのを、「請求項7に記載のグラフィカルインジケータ」に訂正する。

ウ.訂正事項9
特許請求の範囲の請求項10に、「請求項7?9に記載のグラフィカルインジケータ」と記載されているのを、「請求項7又は9に記載のグラフィカルインジケータ」に訂正する。

エ.訂正事項10
特許請求の範囲の請求項11に、「請求項7?9に記載のグラフィカルインジケータ」と記載されているのを、「請求項7又は9に記載のグラフィカルインジケータ」に訂正する。

2.3.2 当審の判断
2.3.2.1 一群の請求項について
訂正事項7?10に係る訂正前の請求項8?11について、請求項9?11は請求項8を引用するものであって、訂正事項7によって記載が訂正される請求項8に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項8?11に対応する訂正後の請求項8?11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

2.3.2.2 訂正の目的
訂正事項7は、訂正前の請求項8の記載を削除するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項8?10は、請求項8の削除に伴い、訂正前に多数項を引用していた請求項9?11の引用請求項数を減らすものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

2.3.2.3 訂正の範囲
訂正事項7は、訂正前の請求項8の記載を削除するものであり、訂正事項8?11は、請求項8の削除に伴い、訂正前に多数項を引用していた請求項9?11の引用請求項数を減らすものである。
したがって、訂正事項7、8?11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

2.3.2.4 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項7は、訂正前の請求項8の記載を削除するものであり、訂正事項8?11は、請求項8の削除に伴い、訂正前に多数項を引用していた請求項9?11の引用請求項数を減らすものであるから、訂正前の請求項8?11に記載された発明のカテゴリーを変更せず、かつ、発明の対象や目的も変更しない。
したがって、訂正事項7、8?11は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

2.4 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、特許法第120条の5第4項、及び、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項?第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-6〕、〔8-11〕についての訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
3.1 本件発明
本件特許の訂正請求により訂正された請求項1?請求項11に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1?請求項11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
なお、7A?11Aの記号については、説明のために、異議申立人が付したものを参考にして、当審にて付したものである。以下、「構成7A」、「構成11A」などと称することにする。
また、下線は訂正事項を示すために特許権者が付したものによる。

【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
7A 複数のエリアブロックを含む線状区域を具備し、それぞれの前記複数のエリアブロックはヘッダーグラフィカルマイクロユニットを具備し、
7B アレイ区域は、前記線状区域とインジケータマトリックスを形成し、前記インジケータマトリックスの寸法はM×Nであり、MとNは正の整数であり、それぞれ2より大きく、前記アレイ区域は前記線状区域に平行な複数のサブ線状アレイ区域により構成され、それぞれの前記サブ線状アレイ区域は前記複数のエリアブロックを具備し、かつ少なくとも一つの前記ヘッダーグラフィカルマイクロユニット及び複数のデータグラフィカルマイクロユニットを含み、それぞれ配列順序に従って前記サブ線状アレイ区域が具備する前記複数のエリアブロックに設けられ、前記インジケータマトリックス内の全ての前記複数のサブ線状アレイ区域の前記配列順序は完全には一致せず、それぞれの前記データグラフィカルマイクロユニットは、前記サブ線状アレイ区域が具備する前記複数のエリアブロックの複数の仮想エリアブロックの一つに選択的に設けられ、前記複数のヘッダーグラフィカルマイクロユニットはヘッダー情報を表し、前記複数のデータグラフィカルマイクロユニットはインジケータデータを表し、前記ヘッダー情報と前記インジケータデータはグラフィカルインジケータとなり、
7C 前記複数のグラフィカルインジケータは併合されて、グラフィカルインジケータ構造となり、前記複数のデータグラフィカルマイクロユニットは、前記グラフィカルインジケータ構造のそれぞれの列及びそれぞれの行における連続して配列される数はM-1及びN-1を超えず、それぞれの前記アレイ区域の一つの前記ヘッダーグラフィカルマイクロユニットは、その所属する前記エリアブロックの仮想センター、若しくは、その所属する前記エリアブロックの前記仮想センターから離れた位置に選択的に設けられ、残りの前記ヘッダーグラフィカルマイクロユニットは所属する前記エリアブロックの前記仮想センターに位置する、
7D ことを特徴とするグラフィカルインジケータ。
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
9A それぞれの前記アレイ区域において、前記複数のヘッダーグラフィカルマイクロユニットが所属する前記複数のエリアブロックは、前記アレイ区域の斜線上に位置し、前記斜線外のそれぞれのその他の前記複数のエリアブロックは、前記データグラフィカルマイクロユニットを具備する、
ことを特徴とする請求項7に記載のグラフィカルインジケータ。
【請求項10】
10A それぞれの前記データグラフィカルマイクロユニットが所属する前記エリアブロックは、第1仮想エリアブロック、第2仮想エリアブロック、第3仮想エリアブロック、及び第4仮想エリアブロックに分けられ、かつ、前記データグラフィカルマイクロユニットは、前記エリアブロックの前記第1仮想エリアブロック、前記第2仮想エリアブロック、前記第3仮想エリアブロック、又は前記第4仮想エリアブロックに選択的に設けられることにより、所属する前記エリアブロックを一つのビット値に対応させる、
ことを特徴とする請求項7又は9のいずれか一項に記載のグラフィカルインジケータ。
【請求項11】
11A それぞれの前記データグラフィカルマイクロユニットが所属する前記エリアブロックは、第1仮想エリアブロック、第2仮想エリアブロック、第3仮想エリアブロック、第4仮想エリアブロック、第5仮想エリアブロック、第6仮想エリアブロック、第7仮想エリアブロック、第8仮想エリアブロックに分けられ、かつ、前記データグラフィカルマイクロユニットは、前記エリアブロックの前記第1仮想エリアブロック、前記第2仮想エリアブロック、前記第3仮想エリアブロック、前記第4仮想エリアブロック、前記第5仮想エリアブロック、前記第6仮想エリアブロック、前記第7仮想エリアブロック、前記第8仮想エリアブロックのいずれか一つに選択的に設けられることにより、所属する前記エリアブロックを一つのビット値に対応させる、
ことを特徴とする請求項7又は9のいずれか一項に記載のグラフィカルインジケータ。

3.2 取消理由の概要
当審において、本件特許に対して通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

3.2.1 取消理由1
本件特許の下記の請求項に係る発明は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

ア.請求項1?6について
(1) 請求項1には、「前記複数の第2ヘッダーエリアブロックはそれぞれ、隣り合う前記第1ヘッダーエリアブロックの間に位置し、」という構成があるが、どのような構成であるのか明確でない。
(2) 請求項1には、「前記複数の第2ヘッダーエリアブロックと前記複数のデータエリアブロックはアレイ区域を形成し、前記第1ヘッダーエリアブロックは、前記アレイ区域の一方の側面に設けられ、」という構成があるが、「側面」という記載がどのような位置を表現しようとしているのか不明確である。

イ.請求項3?6,8?11について
(3) 請求項3には、「・・・前記第2ヘッダーエリアブロックは、隣り合う2個の前記第1ヘッダーエリアブロックと異なる距離離れており、」という構成があるが、どのような構成であるのか明確でない。
また、同様な表現が請求項8にあるため、請求項8に係る発明も明確でない。

3.2.2 取消理由2
本件特許の請求項1?6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

甲第4号証 : 特開2007-288756号公報
甲第5号証 : 国際公開第2004/029871号
甲第7号証 : 特開2009-295134号公報

3.3 取消理由に対する当審の判断
3.3.1 取消理由1
本件訂正により、請求項1?6は削除されたので、請求項1に係る上記(1)、(2)の取消理由は解消された。
本件訂正により、請求項3?6は削除されたので、請求項3に係る上記(3)の取消理由は解消された。また、本件訂正により、請求項8が削除され、請求項9?11における引用請求項から請求項8が削除されたので、請求項3に係る上記(3)の取消理由と同様であるとした請求項8の取消理由も解消された。
したがって、上記取消理由1は解消された。

3.3.2 取消理由2 (特許法第29条第2項の規定違反)
本件訂正により、請求項1?6は削除されたので、上記取消理由2は解消された。

3.3.3 小括
上記のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件特許の請求項1?11に係る特許を取り消すことはできない。

3.4. 特許異議申立人の意見について
訂正請求によって本件の請求項1?6、8は削除されたので、本件の請求項7、9?11に係る発明(以下、項番にしたがい「本件特許発明7」、「本件特許発明9」等という。)に係る特許異議申立人の意見について以下に検討する。
特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件特許の請求項1?11に係る発明は、甲第4?甲8号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1?11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものであると主張している。
そこで、この主張に対し、上述のとおり本件特許発明7、9?11について検討することにする。

3.4.1 各甲号証の刊行物に記載された事項及び各甲号証に記載された発明
3.4.1.1 甲第4号証について
3.4.1.1.1 甲第4号証に記載された事項
甲第4号証(特開2007-288756号公報)には、「画像インジケーター」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「【0012】
図4は本発明に基づく実施例で設計された、多くの画像インジケーター10が配列し形成する図案を表示し、図5はその中の画像インジケーター10の拡大図で、はっきりと本発明の設計を説明するものである。図5に示すように、画像インジケーター10はコンテンツデータ部(content part) 12及びヘッダー部(header part) 14を含む。本実施例によると、コンテンツデータ部12は9個のドット16で構成される9個の画像マイクロユニットを含み、且つそのコンテンツデータ部12の占有エリアは9個の状態エリア18に区分され、3*3の平面2次元状態エリアのアレイを構成する。各状態エリア18は全て1つのドット16を含む。本実施例に基づく設計では、1つのドット16が状態エリア18中の異なる配列位置に置かれると、マッピングしたインジケーターデータ中の個別の数値で表すことを利用することができる。詳しく言うと、図6に示すように、1つの状態エリア18は4個のバーチャルエリアに等分することができ、ドット16は選択的に右下方、左下方、左上方或いは右上方のバーチャルエリアに設置でき、それぞれ4個の異なるビット値00、01、10或いは11で表すことができる。こうして、図5のコンテンツデータ部12が示すドット16の配置関係は、図7に示すビットアレイに対応させることができる。コンテンツデータ部12が9個のドット16を有し、且つそれぞれ9個の状態エリア中に置く時、各状態エリア18が4個のバーチャルエリアに等分されているため、各ドット16を選択的に4個のバーチャルエリア中の1つに設置する場合、そのコンテンツデータ部12に4^(9)(=262144)種の状態の組み合わせを持たせることができる。そこで、図5に示す画像インジケーター10の設計を利用すると、マッピングするインジケーターデータ中の262144個の異なる数値を表示することができる。そのため、本実施例によるコンテンツデータ部12の設計は、その262144種の状態組み合わせ中から、65536種の状態組み合わせを取り出し、ユニコード(Unicode)のコード構造中の1つのプレーン(plane)に属する65536個のコード位置に対応させ、その残りの状態組み合わせは、その他の用途のために保留することができる。例をあげると、チェックサムコード(checksum code)に対応させるコード位置として状態組み合わせを提供することができる。
【0013】
もう一方では、画像インジケーター10が1グループの画像マイクロユニットから構成されているため、ヘッダー部14を設置して2つの隣り合う画像インジケーター10を区分する必要がある。図8に示すように、4個の画像インジケーター10は全て同じコンテンツデータ部12を持ち、また同じインジケーターのデータ内容を有する。そのため、4個の画像インジケーター10には全て同じ特定のヘッダー部14を設置し、こうすることで、その特定のヘッダー部14を探し出すだけで、同じ画像インジケーター10が探し出せ、近隣の他の画像インジケーター10における干渉を受けない。ヘッダー部14は同様に例えばドット16から構成される多くの画像マイクロユニットを含み、且つそのヘッダー部14の占有エリアが多くの状態エリア18に区分されている。さらに図5を参照する。本実施例に基づく設計では、ヘッダー部14の各状態エリア18は全て状態エリア18の中心位置に設置される1つのドットを含み、そのためヘッダー部14は7個のドットを持つ。且つ2つの隣り合うボーダー上を9個のドットを有するコンテンツデータ部12で囲み、ヘッダー部14をL型分布に形成させ、且つ画像インジケーター10全体を16個のドットで構成される4*4マトリックス配列とする。図5に示すように、ヘッダー部14のドットの配列位置は全て状態エリアの中心位置に予設され、画像インジケーターがヘッダー部14を識別する過程をさらに速くさせることができる。但し、ヘッダー部14中の1つのドット16’の位置は特定方向に偏移させ、その他のドット16の位置と変える必要がある。そのため画像識別(pattern/image recognition)を行い、その画像インジケーター10を読み取る時、光学デバイス(図の表示なし)が物体表面を読み取り拡大影像を取得した後、まず画像インジケーター10のヘッダー部14を識別するだけで、その画像インジケーター10に対する方向付けができ、コンテンツデータ部12の状態組み合わせを正確にキャプチャすることができる。」

イ.「



ウ.「



エ.「



3.4.1.1.2 甲第4号証に記載された発明
上記ア.の記載及び上記イ.?エ.に示された各図面並びにこの分野における技術常識を考慮して、甲第4号証の刊行物の記載事項を検討する。

(i) 甲第4号証の刊行物には、「画像インジケーター」に関する記載がある。
上記ア.の記載及び上記イ.の図5によれば、「画像インジケータ」は、状態エリアが4*4マトリックス配列されて構成されており、1行目と1列目の7個の状態エリアによりL型分布されたヘッダー部と、2行2列目から4行4列目の9個の状態エリアが3*3マトリックス分布されたコンテンツデータ部とからなっている。

(ii) ヘッダー部の状態エリアは、内部にドットで構成される画像マイクロユニットを有しており、7個の状態エリアのうち1つのドットは特定方向に偏移しており、その他の状態エリアのドットは中央に位置している。なお、図5の実施例では、3行1列目の状態エリアのドットが特定方向に偏移している。
また、光学デバイスがヘッダー部を識別することにより、画像インジケータの方向付け、コンテンツデータ部の状態組み合わせを正確にキャプチャすることができるようになっている。

(iii) コンテンツデータ部の各状態エリアは、上記ウ.の図6に示されるように4個のバーチャルエリアに等分されており、いずれかのバーチャルエリアにドットで構成される画像マイクロユニットを有している。各状態エリアは、いずれのバーチャルエリアにドットがあるかによって2ビットのデータ値を表すことができるようになっており、コンテンツデータ部の9個の状態エリアを組合わせて4^(9)(=262144)種のデータを表すことができるようになっている。

(iv) 上記エ.の図8に示されるように、画像インジケーターは、マトリクス状に並べられて用いられる。このとき、コンテンツデータ部の状態エリアは、行及び列の方向に3個並ぶことになる。

(v) ここで、上記(i)?(iv)のように構成される画像インジケーターを、行方向を単位として表現する。
画像インジケーターの1行目は、1?4番目までヘッダー部の状態エリアから構成されており、ここで各状態エリアは、中央に画像マイクロユニットを有している。
画像インジケータの2?4行目は、1番目のヘッダー部の状態エリアと2?4番目のコンテンツデータ部の状態エリアから構成されている。ここで、2、4行目のヘッダー部の状態エリアは、中央に画像マイクロユニットを有し、3行目のヘッダー部の状態エリアは、特定方向に偏移した位置に画像マイクロユニットを有している。また、2?4行の2?4番目のコンテンツデータ部の各状態エリアは、4個のバーチャルエリアに等分され、いずれかのバーチャルエリアに画像マイクロユニットを有するかによって2ビットのデータ値を表すことができるようになっている。

(vi) 以上より、甲第4号証には、次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されているといえる。
なお、説明のために、(a)?(f)の記号を当審で付与した。以下、構成a、構成bなどという。

(甲4発明)
(a) 4行4列の状態エリアのマトリックスからなる画像インジケーターであって、
(b) 1行目は、1?4番目までヘッダー部の状態エリアから構成されており、ここで各状態エリアは中央に画像マイクロユニットを有しており、
(c-1) 2?4行目は、1番目のヘッダー部の状態エリアと2?4番目のコンテンツデータ部の状態エリアから構成されており、
(c-2) ここで2、4行目のヘッダー部の状態エリアは、中央に画像マイクロユニットを有し、3行目のヘッダー部の状態エリアは、特定方向に偏移した位置に画像マイクロユニットを有し、
(c-3) また、2?4行目の2?4番目のコンテンツデータ部の各状態エリアは、4個のバーチャルエリアに等分され、いずれのバーチャルエリアに画像マイクロユニットを有するかによって2ビットのデータ値を表すことができるようになっており、
(d) 3行3列のコンテンツデータ部の各状態エリアの2ビットのデータ値は組合わされてデータを表し、
(e) 画像インジケーターをマトリックス状に並べて用いた際に、コンテンツデータ部の状態エリアは、行及び列の方向に3個並ぶように構成されている
(f) 画像インジケータ。

3.4.1.2 甲第5号証について
3.4.1.2.1 甲第5号証に記載された事項
甲第5号証(国際公開第2004/029871号)には、「ドットパターンを用いた情報再生・入出力方法、情報再生装置、携帯情報入出力装置および電子玩具」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

オ.「図22はドットパターンの一例を示す正面図である。
本発明のカメラ入力による情報入出力方法を用いた情報入出力方法は、ドットパターン1の生成と、そのドットパターン1の認識と、このドットパターン1から対応した情報およびプログラムを出力する手段とからなる方法である。すなわち、ドットパターン1をカメラユニット2によりその画像データを取り込み、先ずキードット3を抽出し、次に情報ドット4を抽出することによりデジタル化して情報領域を抽出して情報の数値化を図り、その数値情報より、このドットパターン1から対応した情報およびプログラムを出力させる方法である。
本発明のドットパターン1の生成は、ドットコード生成アルゴリズムにより、情報を認識させるために微細なドット(キードット(KD)3a、格子ドット(LD)3b、情報ドット4)を所定の規則に則つて配列する。」(23頁14行?25行)

カ「



キ.「次に、本発明におけるドットパターンの仕様について図103?図106を用いて説明する。
ドットパターン部601は、図105に示すように、格子状に配置されたドットで構成されている。なお縦横方向の格子線はドットの配置位置を説明するためのものであり実際の印刷物上には存在しない。
ここで、4×4個の格子領域を1つのデータブロックまたは格子ブロックと呼び、この格子ブロックの四隅(格子線の交点(格子点)上)には格子ドットLDが配置されている。格子ドットLD同士の間隔は0.35mm?1.0mm、好ましくは0.5mm程度であることが最適である。また、ドットの直径は前記格子ドット間隔の8?10%程度であることが望ましい。
どの格子ブロックからどの格子ブロックまでが1つのデータであるかを示すためにキードットKDを配置している。
キードットKDとは、格子ドットLDの位置をずらしたものである。すなわち、格子ドットLDは本来格子点上に配置されているが、この位置をずらしてキードットKDを配置している。なお、キードットKDの格子点からのずれは約20%前後程度が好ましい。
前記キードットKDに囲まれた領域、またはキードットKDを中心にした領域が1つのデータを構成している。
このデータの並びは、図104に示すように、左上から下方向に向かって順番に配置されている。
データは、 図103に示すように、ドット605を格子ブロック内の中心点からどの程度ずらすかによつてデータ内容が定義できるようになつている。同図では、中心から等距離で45度ずつそれぞれずらした点を8個定義することによって単一の格子ブロックで8通り、すなわち3ビットのデータを表現できるようになっている。 なお、さらに中心点から距離を変更した点をさらに8個定義すれば16通り、すなわち4ビットのデータを表現できる。
本発明のドットパターンは、1個のデータブロックを構成する格子を自由に定義することができる点に特徴がある。つまり、前述のようにキードットKDがデータ領域を範囲を定義しているため、このキードットKDの配置を変更すれば任意の可変長の格子ブロック群をデータ格納領域として扱うことができるわけである。
また、本発明のドットパターンでは、キードットのずらし方を変更することにより、同一のドットパターン部であっても別の意味を持たせることができる。つまり、キードットKDは格子点からずらすことでキードットKDとして機能するもであるが、このずらし方を格子点から等距離で45度ずつずらすことにより8パターンのキードットを定義できる。」(44頁22行?45頁28行)

3.4.1.2.2 甲第5号証に記載された発明
上記オ.、キ.の記載及び上記カ.に示された図面並びにこの分野における技術常識を考慮して、甲第5号証の刊行物の記載事項を検討する。

(i) 甲第5号証には、ドットパターンについて記載がある。
上記オ.には、上記カ.の図22に示されるドットパターンについて記載があり、該ドットパターンが、キードット、格子ドット、情報ドットから構成されることが記載されている。図22のドットパターンは、7行7列のマトリクッスを形成し、奇数行において、情報ドットを先頭に、情報ドット、格子ドットが交互に配置され、偶数行において、格子ドットを先頭に、格子ドット、情報ドットが交互に配置され、ドットパターンの中央の4行4列目の格子点から上方にずれた位置にキードットが配置されていることがみてとれる。

(ii) 上記キ.には、図22とはパターンの違うドットパターンに関する記載ではあるが、格子ドット、情報ドット、キードットについて記載がある。上記キ.によれば、周囲の格子ドットで構成される格子ブロックの中心点からデータドットをどの程度ずらすかによって数ビットのデータが定義できることが記載されている。また、キードットは、どの格子ブロックからどの格子ブロックまでが1つのデータ、すなわちドットパターンであるかを定義するものである。

(iii) 以上より、甲第5号証には、次の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されているといえる。

(甲5発明)
「奇数行において、情報ドットを先頭に、情報ドット、格子ドットが交互に配置され、
偶数行において、格子ドットを先頭に、格子ドット、情報ドットが交互に配置され、
ドットパターンの中央の格子点から上方にずれた位置にキードットが配置され、
情報ドットは、周囲の格子ドットで構成される格子ブロックの中心点からのずれによりデータを定義し、キードットは、ドットパターンを定義する、
マトリックス状のドットパターン。」

3.4.1.3 甲第6号証について
3.4.1.3.1 甲第6号証に記載された事項
甲第6号証(特開2007-11890号公報)には、「ドットパターン」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

ク.「【0010】
すなわち、本発明では、紙面等の媒体面上に所定の規則(たとえば三角形や四角形さらにはそれ以上の多角形の頂点や、それらの辺の所定間隔毎等)に基づいて基準点を配置する。そしてその配置された複数の基準点からある規則に基づいて仮想基準点を設定する。ここである規則とは、たとえば、前記多角形の頂点同士を結んだ線の交点を仮想基準点とするような場合である。そして、この仮想基準点を始点にしたベクトルの終点にドットを配置する。このドットは情報を定義する情報ドットとして機能するが、少なくともブロック中の1つの情報ドットの向きを他とは異なるものとすることによって当該ブロックの向きや大きさを示すディレクションドットとすることができる。ここで向きとは当該ディレクションドットが前記仮想基準点から上方向のベクトル終点に配置されている場合には、このディレクションドットが所属するブロックは上向きであることが識別できる。」

ケ.「【0198】
図48は、ブロックの形状が格子状以外であるブロックにおいて、方向を定義したものである。
【0199】
同図において、まず基準点48a?48eが配置されている。この基準点48a?48eを結ぶ線によってブロックの向きを示す形状(ここでは上方を向いた5角形)が定義されている。そして、この基準点に基づいて仮想基準点48f,48g,48hが配置され、この仮想基準点を視点始点として方向と長さを有するベクトル終点に情報ドット3が配置されている。このように、同図では、ブロックの向きを基準点の配置の仕方によって定義することができる。そしてブロックの向きが定義されることによって、ブロック全体の大きさも定義されることになる。」

コ.「



3.4.1.3.2 甲第6号証に記載された発明
上記ク.、ケ.の記載及び上記コ.に示された図面並びにこの分野における技術常識を考慮して、甲第6号証の刊行物の記載事項を検討する。

(i) 甲第6号証には、ドットパターンについて記載がある。
上記ク.には、ドットパターンに関し、所定の規則に基づいて基準点を配置し、その複数の基準点からある規則に基づいて仮想基準点を設定すること、そして、この仮想基準点を始点にしたベクトルの終点に情報ドットを配置することが記載されている。

(ii) 上記ケ.の記載、上記コ.に示された図48には、5つの基準点を結んだ線が5角形となるように基準点を配置する例が記載されており、5角形の形状によりドットパターンのブロックの向きが定義されるようになっている。

(iii) ここで、図48では、基準点、仮想基準点がマトリックスを形成しており、1行目が、情報ドット、基準点、情報ドットの順に配置され、2?3行目が基準点、情報ドット、基準点の順に配置されていることが見てとれる。また、情報ドットは、基準点とともに格子状となる位置の仮想基準点を始点にしたベクトルの終点に配置されることにより情報を定義している。

(iv) 以上より、甲第6号証には、次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されているといえる。

(甲6発明)
「1行目が、情報ドット、基準点、情報ドットの順に配置され、
2?3行目が基準点、情報ドット、基準点の順に配置され、
情報ドットは、基準点とともに格子状となる位置の仮想基準点を始点にしたベクトルの終点に配置されることにより情報を定義し、
5つの基準点を結んだ線による5角形の形状によりドットパターンのブロックの向きを定義する、
ドットパターン」

3.4.1.4 甲第7号証について
3.4.1.4.1 甲第7号証に記載された事項
甲第7号証(特開2009-295134号公報)には、「二次元コード、そのデコード装置及び方法」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

サ.「【0018】
図7は図1の実施例の変化実施例を示し、十字形は5個以上の境界ドットで構成され、例えば図7の十字形70は6個の境界ドット73で構成され、十字形70は直交する十字形でなくともよく、方向ドット72によりこの二次元コードの方向性を知ることができる。」

シ.「



3.4.1.4.2 甲第7号証に記載された発明
上記サ.の記載及び上記シ.に示された図面並びにこの分野における技術常識を考慮して、甲第7号証の刊行物の記載事項を検討する。

(i) 甲第7号証には、二次元コードについて記載がある。
上記サ.の記載、上記シ.に示された図7には、二次元コードがドットパターンで構成されていること、及び、直交しない十字形に配置された複数の境界ドットと、方向ドットにより二次元コードの方向を示すこと、が記載されている。

(ii) 以上より、甲第7号証には、次の発明(以下、「甲7発明」という。)が記載されているといえる。

(甲7発明)
「直交しない十字形に配置された複数の境界ドットと、方向ドットにより方向を示すようにした、
ドットパターンによる二次元コード。」

3.4.1.5 甲第8号証について
3.4.1.5.1 甲第8号証に記載された事項
甲第8号証(特開2010-206433号公報)には、「情報埋込装置、情報認識装置、情報埋込方法、情報認識方法、情報埋込プログラム、情報認識プログラム及び情報埋込印刷媒体」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

ス.「【0106】
図9は、図7に示された網点ドット数を1とする4進制のマルチビットの45度回転のスクリーンコードを、スクリーンの特性に基づいて複数のスクリーンコードを画像パターン群として、マトリクス配置することによって地紋を構成したスクリーンコード網点の配置の例を示している。901を情報ドットとし、902を情報ドット901の配置可能の場所とし、903をドット数1の45度のスクリーンコードとする。
【0107】
図9に示すように、画像パターン群の中で、S_(11)、S_(12)、S_(13)、S_(14)、S_(15)及びS_(16)をメイン垂直基準ドット行とし、S_(21)、S_(31)、S_(41)、S_(51)及びS_(61)をメイン水平基準ドット列とし、S_(42)、S_(43)、S_(45)及びS_(46)をサブ垂直基準ドット行とし、S_(24)、S_(34)、S_(44)、S_(54)及びS_(64)をサブ水平基準ドット列とする。
ここで、図5に示された画像パターン群と同様に、メイン垂直基準ドット行S_(11)、S_(12)、S_(13)、S_(14)、S_(15)及びS_(16)がサブ垂直基準ドット行S_(42)、S_(43)、S_(45)及びS_(46)と比べると、S_(11)の網点ドットが真ん中に配置している、S_(41)の網点ドットが網点の右上に配置している、S_(14)の網点ドットが真ん中に配置している、S_(44)の網点ドットが網点の左下に配置している。また、メイン水平基準ドット列S_(21)、S_(31)、S_(41)、S_(51)及びS_(61)がサブ水平基準ドット列S_(42)、S_(43)、S_(45)及びS_(46)と比べると、メイン水平基準ドット列S_(21)、S_(31)、S_(51)及びS_(61)が網点の左下に配置している、サブ水平基準ドット列S_(24)及びS_(34)の網点ドットが真ん中に配置している、S_(54)及びS_(64)の網点ドットが網点の右上に配置している。上記のメイン垂直基準ドット行がサブ垂直基準ドット行との異なること、メイン水平基準ドット列がサブ水平基準ドット列との異なることによって、画像パターン群の方向情報として認識することができる。
S_(22)、S_(23)、S_(25)、S_(26)、S_(32)、S_(33)、S_(35)、S_(36)、S_(52)、S_(53)、S_(55)、S_(56)、S_(62)、S_(63)、S_(65)及びS_(66)それぞれ2ビットの情報を記述することができる、即ち1つの画像パターン群に対して、図5に示された画像パターン群と同様に、最大32ビット情報を記述することが可能である。
【0108】
図5に示された画像パターン群と同様に、付加情報の形式を印刷媒体の座標とする場合に、S_(22)、S_(23)、S_(25)、S_(26)、S_(32)、S_(33)、S_(35)、S_(36)、S_(52)、S_(53)、S_(55)、S_(56)、S_(62)、S_(63)、S_(65)及びS_(66)それぞれ印刷媒体の該当領域の座標値を表している。網点近傍の座標値が一定数値になっている特徴を利用して、誤り訂正することを可能とする。
【0109】
図5に示された画像パターン群と同様に、付加情報の形式を印刷媒体の該当領域の序列とする場合に、S_(22)とS_(23)、S_(25)とS_(26)、S_(32)とS_(33)、S_(35)とS_(36)、S_(52)とS_(53)、S_(55)とS_(56)、S_(62)とS_(63)及びS_(65)とS_(66)それぞれ同じ数値として、マルチメディアデータに対応する印刷媒体の該当領域の序列値を表している。網点近傍の数値が同じになっている特徴を利用して、誤り訂正することを可能とする。
【0110】
サンプリング理論に基づいて、2倍以上の印刷ドットの大きさが必要であるが、図9に示したとおり、スクリーンコードによって、構成された画像パターン群のS_(22)とS_(23)、S_(25)とS_(26)、S_(32)とS_(33)、S_(35)とS_(36)、S_(52)とS_(53)、S_(55)とS_(56)、S_(62)とS_(63)及びS_(65)とS_(66)それぞれ同じ数値になることが可能であるので、各網点ドットの大きさを印刷ドットの大きさとしても、サンプリング理論に基づいて、スクリーンコードのコード値を正確に認識することを可能とする。
【0111】
図9に示すように、画像パターン群が元々6行×6列によって構成されているが、45度回転させたので、11行×11列の構成になった。各11行×11列のドットマトリクスにとって、必ず二つの基準ドット行及び基準ドット列を含めているので、イメージセンサーによって、任意11行×11列の網点の画像を検出すれば、マルチメディア再生値を認識することができる特徴がある。
【0112】
図9に示した画像パターン群が、図5に示した画像パターン群と同様に、読取面積の最小化になっている。僅かな2.31mm×2.31mmの領域に対して、最大32ビットの情報を記述することができる。また、1ドットに対して、2ビット以上情報も記述することが可能である。さらに、1つの位置情報ドット列を画像パターン群の左下に、1つの位置情報ドット行を画像パターン群の左上に設置し、もう1つ位置情報ドット列或いは位置情報ドット行を画像パターン群の真ん中に設置している。
【0113】
また、図9に示された画像パターン群の配置では、印刷スクリーンの網点間隔特性に基づいて、網点の間隔が、網点ドットの配置可能な領域によって構成された網点のサイズより大きい、
即ち(I_(901)^(2)/2)^(1/2)>(W_(901)^(2)+W_(902)^(2))^(1/2)
ここで、I_(901)=I_(902)とする。
そのメリットが、画像パターン群によって構成した地紋のランダム配置の現象が少ないので、地紋の画質が従来の配置方法より良い。」

セ.「



ソ.「



3.4.1.5.2 甲第8号証に記載された発明
上記ス.の記載及び上記セ.、ソ.に示された図面並びにこの分野における技術常識を考慮して、甲第8号証の刊行物の記載事項を検討する。

(i) 甲第8号証には、画像パターン群について記載がある。
上記ス.には、上記セ.に示された図5の6行6列の画像パターン群を45度回転させて上記ソ.に示された図9のように11行11列の画像パターン群となすことが記載されている。

(ii) 上記ス.に記載され、上記ソ.に示された図9には、メイン垂直基準ドット行、メイン水平基準ドット列、サブ垂直基準ドット行、サブ水平基準ドット列、および、2ビットの情報を記述する画像パターンを有している。ここで、段落【0111】にあるように、二つの垂直基準ドット行及び二つの水平基準ドット列によって画像パターンによる再生値が検出できるようにされている。

(iii) ここで、図9に示された画像パターン群は、各スクリーンコードがマトリックス状に配置されて構成されており、『垂直基準ドット行または水平基準ドット列を構成するスクリーンコード』は3×3の9個の位置のうち、真ん中、左下、右上のいずれかの位置に情報ドットを有するものであり、また、『2ビットの情報を記述するスクリーンコード』は3×3の9個の位置のうち、上下左右の4位置に情報ドットを有するものである。
図9では、これらの、『垂直基準ドット行または水平基準ドット列を構成するスクリーンコード』と、『2ビットの情報を記述するスクリーンコード』との所定の配列により、11行11列の画像パターン群を構成している。ここで、奇数行と偶数行は千鳥状に配置されており、また、少なくとも2つの行において2種類のスクリーンコードの配置順が相違している。

(iv) 以上より、甲第8号証には、次の発明(以下、「甲8発明」という。)が記載されている。

(甲8発明)
「垂直基準ドット行または水平基準ドット列を構成するスクリーンコードと、2ビットの情報を記述するスクリーンコードから構成され、
各スクリーンコードは、3×3の9個の所定の位置に情報ドットを有し、
奇数行と偶数行は千鳥状に配置され、
少なくとも2つの行において2種類のスクリーンコードの配置順が相違している
11行11列の画像パターン群。」

3.4.2 当審の判断
3.4.2.1 本件特許発明7について
3.4.2.1.1 対比
本件特許発明7と甲4発明とを対比する。
(i) 本件特許発明7の構成7Aと甲4発明の構成bとの対比
甲4発明の「1行目」は、構成aの画像インジケーターの1行目であり、「ヘッダー部」を構成していることから、本件特許発明7の「線状区域」に相当する。
また、甲4発明の「状態エリア」は、明らかに本件特許発明7の「エリアブロック」に相当し、そして、甲4発明の1行目の「状態エリア」は1?4番目の合計4個あることから「複数」である。
甲4発明の「画像マイクロユニット」は、本件特許発明7の「グラフィカルマイクロユニット」に相当することは明らかであって、さらに、「ヘッダー部」を構成する状態エリアの「画像マイクロユニット」であることから、本件特許発明7の「ヘッダーグラフィカルマイクロユニット」に相当する。

したがって、本件特許発明7の構成7Aと甲4発明の構成bは一致する。

(ii) 本件特許発明7の構成7Bと甲4発明の構成a、構成c-1?構成c-3、および構成dとの対比
甲4発明の構成c-1の「2?4行目」は、ヘッダー部を構成する「1行目」と、甲4発明の構成aのマトリックスを形成して「画像インジケーター」を構成している。このことから、構成c-1の「2?4行目」は、本件特許発明7の「アレイ区域」に相当し、「2?4行目」の各行は本件特許発明7の線状区域に平行な「サブ線状アレイ区域」に相当するものといえる。
そして、甲4発明の「画像インジケーター」は、甲4発明の構成aのとおり、4行4列のマトリックスを形成していることから、本件特許発明7のように「インジケータマトリックスを形成し」ているといえる。さらに、甲4発明の画像インジケーターは4行4列であるのでM=4、N=4とすれば、本件発明7と「前記インジケータマトリックスの寸法はM×Nであり、MとNは正の整数であり、それぞれ2より大き」い点で一致する。

甲4発明の構成c-1のとおり、「2?4行目」の各行は、「1番目のヘッダー部の状態エリア」と「2?4番目のコンテンツデータ部の状態エリア」から構成されている。ここで、「1番目のヘッダー部の状態エリア」は、構成c-2のとおり、「画像マイクロユニット」を有している。そして、この「画像マイクロユニット」は、ヘッダー部の画像マイクロユニットであることから、本件特許発明7の「ヘッダーグラフィカルマイクロユニット」に相当している。また、「2?4番目のコンテンツデータ部の状態エリア」は、構成c-3のとおり、4個の「バーチャルエリア」に等分され、いずれかの「バーチャルエリア」に「画像マイクロユニット」を有する構成となっている。ここで、甲4発明の「バーチャルエリア」は、明らかに本件特許発明7の「仮想エリアブロック」に相当する。そして、甲4発明の「コンテンツデータ部」の「画像マイクロユニット」は2ビットのデータ値を表すものであることから、本件特許発明7の「データグラフィカルマイクロユニット」に相当している。
そして、甲4発明では、「1番目のヘッダー部の状態エリア」の「画像マイクロユニット」と「2?4番目のコンテンツデータ部の状態エリア」の「画像マイクロユニット」は、各行で同じ順序、すなわち同じ「配列順序」で設けられている。

また、甲4発明の「ヘッダー部の状態エリア」の「画像マイクロユニット」が、ヘッダーの情報を表すものであることは明らかであり、また、甲4発明の「コンテンツデータ部の状態エリア」の「画像マイクロユニット」は、構成dに「3行3列のコンテンツデータ部の各状態エリアの2ビットのデータ値は組合わされてデータを表し、」とあるように、画像インジケータのデータを表すものである。
このように、画像インジケータは、「ヘッダー部の状態エリア」の「画像マイクロユニット」と「コンテンツデータ部の状態エリア」の「画像マイクロユニット」により構成されている。
ここで、上記「ヘッダーの情報」、「データ」、「画像インジケータ」が、本件特許発明7の「ヘッダー情報」、「インジケータデータ」、「グラフィカルインジケータ」に相当することは明らかである。

以上のとおりであるから、本件特許発明7の構成7Bと甲4発明の構成a、構成c-1?構成c-3、および構成dとは、本件特許発明7では「前記インジケータマトリックス内の全ての前記複数のサブ線状アレイ区域の前記配列順序は完全には一致せず」としているのに対し、甲4発明では、当該配列順序が完全に一致している点において相違し、その他の点については一致している。

(iii) 本件特許発明7の構成7Cと甲4発明の構成c-2および構成eとの対比
甲4発明の構成eのように、画像インジケーターはマトリックス状に並べて用いられており、「画像インジケーターをマトリックス状に並べ」た構成は、本件特許発明7の「グラフィカルインジケータ構造」に相当する。
甲4発明では、「画像インジケーターをマトリックス状に並べて用いた際に、コンテンツデータ部の状態エリアは、行及び列の方向に3個並ぶ」構成を有している。ここで、コンテンツデータ部の状態エリアは、構成c-3にあるように「画像マイクロユニット」をそれぞれ1個有していることから、上記構成は、『画像インジケーターをマトリックス状に並べて用いた際に、コンテンツデータ部の画像マイクロユニットが、行及び列の方向に3個並ぶ構成』と言い換えることができる。このように、甲4発明の画像インジケーターは4行4列であるのでM=4、N=4とすれば、甲4発明の上記構成eは、本件特許発明7の「前記複数のグラフィカルインジケータは併合されて、グラフィカルインジケータ構造となり、前記複数のデータグラフィカルマイクロユニットは、前記グラフィカルインジケータ構造のそれぞれの列及びそれぞれの行における連続して配列される数はM-1及びN-1を超えず」とする構成に一致する。

また、甲4発明の構成c-2のとおり、2、4行目のヘッダー部の状態エリアは、中央に画像マイクロユニットを有し、3行目のヘッダー部の状態エリアは、特定方向に偏移した位置に画像マイクロユニットを有している。
ここで、上記(iii)にて検討したとおり、甲4発明の「2?4行目」は本件特許発明7の「アレイ区域」に相当し、上記(i)で検討したとおり、甲4発明のヘッダー部の状態エリアの「画像マイクロユニット」は本件特許発明7の「ヘッダーグラフィカルマイクロユニット」に相当し、甲4発明の状態エリアの「中央」は、明らかに本件特許発明7の「仮想センター」に相当する。また、甲4発明の「特定方向に偏移した位置に画像マイクロユニット」設けることは、本件特許発明7の「仮想センター、若しくは、その所属する前記エリアブロックの前記仮想センターから離れた位置に選択的に設けられ」ることに相当する。
よって、甲4発明の構成c-3は、本件特許発明7の「それぞれの前記アレイ区域の一つの前記ヘッダーグラフィカルマイクロユニットは、その所属する前記エリアブロックの仮想センター、若しくは、その所属する前記エリアブロックの前記仮想センターから離れた位置に選択的に設けられ、残りの前記ヘッダーグラフィカルマイクロユニットは所属する前記エリアブロックの前記仮想センターに位置する」構成に一致する。

したがって、本件特許発明7の構成7Cと甲4発明の構成c-2および構成eは一致する。

(iv) 本件特許発明7の構成7Dと甲4発明の構成a、構成fとの対比
甲4発明の構成a、構成fの「画像インジケーター」は、明らかに本件特許発明7の「グラフィカルインジケータ」に相当している。

(v) まとめ
上記(i)?(iv)に検討したとおり、本件特許発明7と甲4発明は、以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
複数のエリアブロックを含む線状区域を具備し、それぞれの前記複数のエリアブロックはヘッダーグラフィカルマイクロユニットを具備し、
アレイ区域は、前記線状区域とインジケータマトリックスを形成し、前記インジケータマトリックスの寸法はM×Nであり、MとNは正の整数であり、それぞれ2より大きく、前記アレイ区域は前記線状区域に平行な複数のサブ線状アレイ区域により構成され、それぞれの前記サブ線状アレイ区域は前記複数のエリアブロックを具備し、かつ少なくとも一つの前記ヘッダーグラフィカルマイクロユニット及び複数のデータグラフィカルマイクロユニットを含み、それぞれ配列順序に従って前記サブ線状アレイ区域が具備する前記複数のエリアブロックに設けられ、それぞれの前記データグラフィカルマイクロユニットは、前記サブ線状アレイ区域が具備する前記複数のエリアブロックの複数の仮想エリアブロックの一つに選択的に設けられ、前記複数のヘッダーグラフィカルマイクロユニットはヘッダー情報を表し、前記複数のデータグラフィカルマイクロユニットはインジケータデータを表し、前記ヘッダー情報と前記インジケータデータはグラフィカルインジケータとなり、
前記複数のグラフィカルインジケータは併合されて、グラフィカルインジケータ構造となり、前記複数のデータグラフィカルマイクロユニットは、前記グラフィカルインジケータ構造のそれぞれの列及びそれぞれの行における連続して配列される数はM-1及びN-1を超えず、それぞれの前記アレイ区域の一つの前記ヘッダーグラフィカルマイクロユニットは、その所属する前記エリアブロックの仮想センター、若しくは、その所属する前記エリアブロックの前記仮想センターから離れた位置に選択的に設けられ、残りの前記ヘッダーグラフィカルマイクロユニットは所属する前記エリアブロックの前記仮想センターに位置する、
グラフィカルインジケータ。

(相違点)
本件特許発明7では、「前記インジケータマトリックス内の全ての前記複数のサブ線状アレイ区域の前記配列順序は完全には一致せず」であるのに対し、甲4発明では、当該配列順序が完全に一致している点。

3.4.2.1.2 判断
(i) 上記相違点は、そもそも甲4発明のヘッダー部の画像インジケータがL型分布していることから、1行目以外の2?4行目において、1番目が『ヘッダー部の画像マイクロユニット』、2番目以降が『コンテンツデータ部の画像マイクロユニット』になるという配列順序となっていることに起因して、甲4発明の2?4行の配列順序が「完全に一致」している点が、本件特許発明7の「完全には一致せず」とする点と相違するというものである。

(ii) 一方、「3.4.1.2.2」において認定した甲5発明は、
「奇数行において、情報ドットを先頭に、情報ドット、格子ドットが交互に配置され、
偶数行において、格子ドットを先頭に、格子ドット、情報ドットが交互に配置され、
ドットパターンの中央の格子点から上方にずれた位置にキードットが配置され、
情報ドットは、周囲の格子ドットで構成される格子ブロックの中心点からのずれによりデータを定義し、キードットは、ドットパターンを定義する、
マトリックス状のドットパターン。」
であって、甲5発明のドットパターンでは、「奇数行において、情報ドットを先頭に、情報ドット、格子ドットが交互に配置され、偶数行において、格子ドットを先頭に、格子ドット、情報ドットが交互に配置され」る配列順序となっており、各行の配列順序が「完全には一致せず」という配列順序となっている。

そこで、甲4発明の2?4行目の配列順序を甲5発明の上記配列順序に置き替えることが、当業者に容易想到であるか否かについて検討する。

甲5発明の格子ドット(甲4発明の「ヘッダー部の画像マイクロユニット」に相当。)と情報ドット(甲4発明の「コンテンツデータ部の画像マイクロユニット」に相当。)の配列順序は、「3.4.1.2.2」の(ii)で言及したとおり、格子ドットで構成される格子ブロックを配置し、該格子ブロックの中心点からデータドットをずらしてデータを定義することに基づいている。
これに対して、甲4発明における、ヘッダー部の画像マイクロユニットのL型配置は、「3.3.1.2」の(i)及び(ii)で言及したとおり、3行3列のコンテンツデータ部のデータを確実に読み出すための配置である。
このように、甲4発明、甲5発明の両発明のそれぞれのヘッダー部の画像マイクロユニットの配置は、コンテンツデータ部の画像マイクロユニットの配置と密接不可分の関係にあり、甲4発明の一部(2?4行)のヘッダー部の画像マイクロユニットの配置を、甲5発明の一部(奇数行と偶数行のうちの3行)の格子ブロックの配置に置き替えるとすることは、甲4発明における上記密接不可分の関係を崩すことになり、コンテンツデータ部の確実な読み出しを阻害し、さらに、置き換えられて構成された画像インジケータの技術的意味を不明確とすることとになる。

したがって、甲4発明及び甲5発明に基いて上記相違点を克服することが当業者にとって容易であるとすることはできない。

(iii) 同様に、「3.4.1.3.2」において認定した甲6発明は、
「1行目が、情報ドット、基準点、情報ドットの順に配置され、
2?3行目が基準点、情報ドット、基準点の順に配置され、
情報ドットは、基準点とともに格子状となる位置の仮想基準点を始点にしたベクトルの終点に配置されることにより情報を定義し、
5つの基準点を結んだ線による5角形の形状によりドットパターンのブロックの向きを定義する、
ドットパターン」
であって、甲6発明のドットパターンでは、「1行目が、情報ドット、基準点、情報ドットの順に配置され、
2?3行目が基準点、情報ドット、基準点の順に配置され」る配列順序、すなわち各行の配列順序が「完全には一致せず」という配列順序となっている。

そこで、甲4発明の2?4行目の配列順序を甲6発明の上記配列順序に置き替えることが、当業者に容易想到であるか否かについて検討する。

甲6発明の基準点(甲4発明の「ヘッダー部の画像マイクロユニット」に相当。)と情報ドット(甲4発明の「コンテンツデータ部の画像マイクロユニット」に相当。)の配列順序は、「3.4.1.3.2」の(i)、(ii)で言及したとおり、5角形を構成する基準点からある規則に基づいて仮想基準点を設定し、この仮想基準点を始点としたベクトルの終点に情報ドットを配置することにより情報ドットの情報を定義することに基づいている。また、基準点が構成する5角形の形状によりドットパターンのブロックの向きも定義されている。
このように、甲6発明の基準点の配置は、情報ドットの配置と密接不可分の関係にあり、同様にコンテンツデータ部の画像マイクロユニットの配置と密接不可分である甲4発明の一部(2?4行)のヘッダー部の画像マイクロユニットの配置を、甲6発明の一部(1行目と2?3行目)の基準点の配置に置き替えるとすることは、甲4発明における上記密接不可分の関係を崩すことになり、コンテンツデータ部の確実な読み出しを阻害し、さらに、置き換えられて構成された画像インジケータの技術的意味を不明確とすることとになる。

したがって、甲4発明及び甲6発明に基いて上記相違点を克服することが当業者にとって容易であるとすることはできない。

(iv) 同様に、「3.4.1.5.2」において認定した甲8発明は
「垂直基準ドット行または水平基準ドット列を構成するスクリーンコードと、2ビットの情報を記述するスクリーンコードから構成され、
各スクリーンコードは、3×3の9個の所定の位置に情報ドットを有し、
奇数行と偶数行は千鳥状に配置され、
少なくとも2つの行において2種類のスクリーンコードの配置順が相違している
11行11列の画像パターン群。」
であって、甲8発明の画像パターン群では、「少なくとも2つの行において2種類のスクリーンコードの配置順が相違」している配列順序、すなわち各行の配列順序が「完全には一致せず」という配列順序となっている。

そこで、甲4発明の2?4行目の配列順序を甲8発明の上記配列順序に置き替えることが、当業者に容易想到であるか否かについて検討する。

甲8発明の『垂直基準ドット行または水平基準ドット列を構成するスクリーンコード』の情報ドット、『2ビットの情報を記述するスクリーンコード』の情報ドットは、それぞれ、甲4発明の「ヘッダー部の画像マイクロユニット」、「コンテンツデータ部の画像マイクロユニット」に相当するが、その配列は、奇数行と偶数行が千鳥状に配置されるものである。また、上記各情報ドットの配列順序は、「3.4.1.5.2」の(ii)で言及したとおり、二つの垂直基準ドット行及び二つの水平基準ドット列を構成する『垂直基準ドット行または水平基準ドット列を構成するスクリーンコード』の情報ドットと『2ビットの情報を記述するスクリーンコード』の情報ドットの配置によって再生値が検出できることに基づく配列順序である。
このように、甲8発明の『垂直基準ドット行または水平基準ドット列を構成するスクリーンコード』の情報ドットと『2ビットの情報を記述するスクリーンコード』の情報ドットとは千鳥状に配置されているものであることから、甲4発明に適用することに困難を要するものである。さらに、甲8発明の『垂直基準ドット行または水平基準ドット列を構成するスクリーンコード』の情報ドットの配置は、『2ビットの情報を記述するスクリーンコード』の情報ドットの配置と密接不可分の関係にあり、甲4発明の一部(2?4行)のヘッダー部の画像マイクロユニットの配置を、甲8発明の一部(奇数行と偶数行のうち3行)の配置に置き替えるとすることは、甲4発明における上記密接不可分の関係を崩すことになり、コンテンツデータ部の確実な読み出しを阻害し、さらに、置き換えて構成された画像インジケータの技術的意味を不明確とすることとになる。

したがって、甲4発明及び甲8発明に基いて上記相違点を克服することが当業者にとって容易であるとすることはできない。

(v) また、「3.4.1.4.2」において認定した甲7発明は、
「直交しない十字形に配置された複数の境界ドットと、方向ドットにより方向を示すようにした、
ドットパターンによる二次元コード。」
であって、「ヘッダー部の画像マイクロユニット」と「コンテンツデータ部の画像マイクロユニット」の配列順序に関しての記載が無く、甲4発明及び甲7発明に基いて上記相違点を克服することが当業者にとって容易であるとすることはできない。

(vi) 以上のとおりであるから、本件特許発明7は、甲4発明?甲8発明に基いて当業者が容易に発明することができたとすることはできない。

3.4.2.2 本件特許発明9?11について
本件特許の請求項9?11は、請求項7を引用していることから、本件特許発明9?11は、それぞれ「3.4.2.1.1」における相違点に係る構成を有している。ここで、相違点に対する判断は、「3.4.2.1.2」にて検討したとおりであるから、本件特許発明9?11も、甲4発明?甲8発明に基いて当業者が容易に発明することができたとすることはできない。

4.むすび
以上のとおり、上記取消理由及び異議申立理由によっては、本件請求項7、9ないし11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項7、9ないし11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件請求項1ないし6、8に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項1ないし6、8に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立については、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
複数のエリアブロックを含む線状区域を具備し、それぞれの前記複数のエリアブロックはヘッダーグラフィカルマイクロユニットを具備し、
アレイ区域は、前記線状区域とインジケータマトリックスを形成し、前記インジケータマトリックスの寸法はM×Nであり、MとNは正の整数であり、それぞれ2より大きく、前記アレイ区域は前記線状区域に平行な複数のサブ線状アレイ区域により構成され、それぞれの前記サブ線状アレイ区域は前記複数のエリアブロックを具備し、かつ少なくとも一つの前記ヘッダーグラフィカルマイクロユニット及び複数のデータグラフィカルマイクロユニットを含み、それぞれ配列順序に従って前記サブ線状アレイ区域が具備する前記複数のエリアブロックに設けられ、前記インジケータマトリックス内の全ての前記複数のサブ線状アレイ区域の前記配列順序は完全には一致せず、それぞれの前記データグラフィカルマイクロユニットは、前記サブ線状アレイ区域が具備する前記複数のエリアブロックの複数の仮想エリアブロックの一つに選択的に設けられ、前記複数のヘッダーグラフィカルマイクロユニットはヘッダー情報を表し、前記複数のデータグラフィカルマイクロユニットはインジケータデータを表し、前記ヘッダー情報と前記インジケータデータはグラフィカルインジケータとなり、
前記複数のグラフィカルインジケータは併合されて、グラフィカルインジケータ構造となり、前記複数のデータグラフィカルマイクロユニットは、前記グラフィカルインジケータ構造のそれぞれの列及びそれぞれの行における連続して配列される数はM-1及びN-1を超えず、それぞれの前記アレイ区域の一つの前記ヘッダーグラフィカルマイクロユニットは、その所属する前記エリアブロックの仮想センター、若しくは、その所属する前記エリアブロックの前記仮想センターから離れた位置に選択的に設けられ、残りの前記ヘッダーグラフィカルマイクロユニットは所属する前記エリアブロックの前記仮想センターに位置する、
ことを特徴とするグラフィカルインジケータ。
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
それぞれの前記アレイ区域において、前記複数のヘッダーグラフィカルマイクロユニットが所属する前記複数のエリアブロックは、前記アレイ区域の斜線上に位置し、前記斜線外のそれぞれのその他の前記複数のエリアブロックは、前記データグラフィカルマイクロユニットを具備する、
ことを特徴とする請求項7に記載のグラフィカルインジケータ。
【請求項10】
それぞれの前記データグラフィカルマイクロユニットが所属する前記エリアブロックは、第1仮想エリアブロック、第2仮想エリアブロック、第3仮想エリアブロック、及び第4仮想エリアブロックに分けられ、かつ、前記データグラフィカルマイクロユニットは、前記エリアブロックの前記第1仮想エリアブロック、前記第2仮想エリアブロック、前記第3仮想エリアブロック、又は前記第4仮想エリアブロックに選択的に設けられることにより、所属する前記エリアブロックを一つのビット値に対応させる、
ことを特徴とする請求項7又は9に記載のグラフィカルインジケータ。
【請求項11】
それぞれの前記データグラフィカルマイクロユニットが所属する前記エリアブロックは、第1仮想エリアブロック、第2仮想エリアブロック、第3仮想エリアブロック、第4仮想エリアブロック、第5仮想エリアブロック、第6仮想エリアブロック、第7仮想エリアブロック、第8仮想エリアブロックに分けられ、かつ、前記データグラフィカルマイクロユニットは、前記エリアブロックの前記第1仮想エリアブロック、前記第2仮想エリアブロック、前記第3仮想エリアブロック、前記第4仮想エリアブロック、前記第5仮想エリアブロック、前記第6仮想エリアブロック、前記第7仮想エリアブロック、前記第8仮想エリアブロックのいずれか一つに選択的に設けられることにより、所属する前記エリアブロックを一つのビット値に対応させる、
ことを特徴とする請求項7又は9に記載のグラフィカルインジケータ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-05-26 
出願番号 特願2014-206545(P2014-206545)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (H04N)
P 1 651・ 537- YAA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石田 信行  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 冨田 高史
藤井 浩
登録日 2016-03-11 
登録番号 特許第5899291号(P5899291)
権利者 松翰科技股▲ふん▼有限公司
発明の名称 グラフィカルインジケータ  
代理人 矢部 耕三  
代理人 中西 基晴  
代理人 矢部 耕三  
代理人 小野 新次郎  
代理人 山本 修  
代理人 松尾 淳一  
代理人 松尾 淳一  
代理人 山本 修  
代理人 末松 亮太  
代理人 小野新次郎  
代理人 末松 亮太  
代理人 中西 基晴  
代理人 宮前 徹  
代理人 宮前 徹  

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