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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01H
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01H
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01H
管理番号 1330366
審判番号 不服2016-8535  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-08 
確定日 2017-08-07 
事件の表示 特願2014-137498「ブレードヒューズ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月25日出願公開、特開2014-179350、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年1月13日(パリ条約による優先権主張 2008年1月14日 米国)に出願した特願2009-5206号の一部を平成26年7月3日に新たな特許出願としたものであって、平成27年1月7日付けで拒絶理由が通知され、同年4月7日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年6月1日に拒絶理由が通知され、同年9月2日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、平成28年1月28日付け(発送日:同年2月8日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、同年6月8日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされ、その後当審において同年12月5日付けで拒絶理由(以下、「第1回当審拒絶理由」という。)が通知され、平成29年3月1日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年3月22日付けで拒絶理由(以下、「第2回当審拒絶理由」という。)が通知され、同年5月12日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

理由1
本願請求項1、5-6、11-12、14-16、18-19に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2
本願請求項1-20に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
実願昭61-162696号(実開昭63-69351号)
のマイクロフィルム

第3 当審で通知した拒絶理由の概要

1 第1回当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
理由1
本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1) 請求項1について
(1-1) 第1端子部及び第2端子部の「上部分」及び「下部分」は、その定義が明確でない。
(1-2) 「直接接続」は、その定義が明確でない。
(1-3) 「切欠部」は、その定義が明確でない。
(1-4) 「前記第2端子部の前記上部分ある切欠部であって」との記載は、「前記第2端子部の前記上部分にある切欠部であって」の誤記ではないか。
(1-5) 「突出部」の定義が明確でない。

(2) 請求項3の「少なくとも部分的に前記筐体の外側にある前記第2端子部の前記下部分から前記第1端子部に向けて前記第1ギャップ(G)内へ及び前記第2ギャップ(g)内へ所定距離だけ延在する第2突出部」との記載は、明確でなく、且つ、実施例と一致していない。

(3) 請求項7の「前記第2端子部の前記下部分から前記第1端子部に向けて前記第1ギャップ(G)内へ及び前記第2ギャップ(g)内へ所定距離だけ延在する第2突出部」との記載は、明確でなく、且つ、実施例と一致していない。

(4) 請求項9の「アンプ」との記載は明確でない。

(5) 請求項13の記載は明確でない。
「第1端子部の前記下部分または第2端子部の前記下部分を狭くして前記筐体を前記第1及び第2端子部に位置付ける第2凹凸部」は、どの部分か明らかでない。また、明細書中では、「第2の凹凸部」について説明がされていない。

(6) 請求項14について
(6-1) 「ギャップ」は、どれか明らかでない。
(6-2) 「直接接続」は、その定義が明確でない。
(6-3) 「突出部」の定義が明確でない。

(7) 請求項16の「前記突出部が、前記第1端子部から前記第1及び第2ギャップ内へ所定距離だけ延在する」との記載、請求項17の「少なくとも部分的に前記筐体の外側にある前記第2端子部の前記下部分から前記第1及び第2ギャップ内へ所定距離だけ延在する第2突出部」との記載、及び請求項20の「少なくとも部分的に前記筐体の外側にある前記第2端子部の前記下部分から前記第1端子部に向けて前記ギャップ内へ所定距離だけ延在する第2突出部」との記載は、明確でなく、且つ、実施例と一致していない。

理由2
本願請求項1、3?7、11、12に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由3
本願請求項1?20に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献1?4に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2006-318768号公報
2.特開平10-199395号公報
3.実願平1-68653号(実開平3-8852号)
のマイクロフィルム
4.特開2001-283708号公報

2 第2回当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1) 請求項1及び請求項13の、「張出部」の構成が明確ではない。

(2) 請求項1の「前記第2端子部の前記上部分にあり、前記上部分を前記下部分よりも狭くして前記第1ギャップ(G)を規定すする切欠部であって、」との記載は誤記であり、正しくは、「前記第2端子部の前記上部分にあり、前記上部分を前記下部分よりも狭くして前記第1ギャップ(G)を規定する切欠部であって、」である。

(3) 請求項5及び請求項16の、「前記第1及び第2端子部それぞれの長さを延長させるほぼ直線状の外縁部を有すること」は、請求項1及び請求項13の「張出部を有する」との記載と対応しない。
張出部を有する場合には、外縁部は直線とはならない。

(4) 請求項9の「1アンプ」との記載は誤記であり、正しくは、「1アンペア」である。

第4 本願発明
本願請求項1?15に係る発明(以下、「本願発明1」?「本願発明15」という。)は、平成29年5月12日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりである。

「【請求項1】
上部分及び下部分を有する第1端子部であって、前記下部分が第1幅(w1)を有する、第1端子部と、
上部分及び下部分を有する第2端子部であって、前記下部分が第2幅(w2)を有し、当該第2端子部の前記上部分が、前記第1端子部の前記上部分から離間してこれらの間に第1ギャップ(G)を規定しており、当該第2端子部の前記下部分が前記第1端子部の前記下部分から離間してこれらの間に第2ギャップ(g)を規定し、前記第2ギャップ(g)が、前記第1端子部の前記下部分の第1幅(w1)よりも小さく、前記第2ギャップ(g)が、当該第2端子部の前記下部分の前記第2幅(w2)よりも小さい、第2端子部と、
前記第1及び第2端子部間にある前記第1ギャップ(G)に配置され、前記第1及び前記第2端子部に一体的に形成されて直接接続されている溶融可能素子と、
前記第2端子部の前記上部分にあり、前記上部分を前記下部分よりも狭くして前記第1ギャップ(G)を規定する切欠部であって、前記溶融可能素子が、当該切欠部において前記第2端子部の前記上部分に接続されている、切欠部と、
前記溶融可能素子及び前記第1及び第2端子部の前記上部分を覆う筐体と、
前記第1端子部の前記下部分から前記第2端子部に向けて所定距離だけ延在する突出部と、
を備え、
前記第1及び第2端子部の前記下部分のうちの少なくとも一方が、前記第1及び第2端子部のうちの他方を向く内縁部の反対側にある外縁部において、上端が前記筐体の下端を前記第1及び第2端子部のうちの少なくとも一方に位置付けるための張出部を有し、
前記張出部が、前記外縁部に対する凸部となるように前記外縁部に設けられていることを特徴とするブレードヒューズ。
【請求項2】
前記第1幅(w1)が、前記下部分から前記上部分まで少なくとも30パーセント狭くなっており、前記第2幅(w2)が、前記下部分から前記上部分まで少なくとも30パーセント狭くなっており、前記第1ギャップ(G)を規定することを特徴とする請求項1に記載のブレードヒューズ。
【請求項3】
前記第2端子部の前記下部分から前記第1端子部に向けて所定距離だけ延在する第2突出部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のブレードヒューズ。
【請求項4】
前記第1及び第2突出部が、他のヒューズの端子部が前記筐体内に入ることを妨げるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のブレードヒューズ。
【請求項5】
前記溶融可能素子が、(i)U字状、(ii)V字状、(iii)蛇行状のうちの少なくとも1つの形状を有することを特徴とする請求項1に記載のブレードヒューズ。
【請求項6】
前記突出部が、第1突出部であり、
当該ブレードヒューズが、前記第2端子部の前記下部分から前記第1端子部に向けて所定距離だけ延在する第2突出部を備えることを特徴とする請求項1に記載のブレードヒューズ。
【請求項7】
前記第1端子部の前記上部分が、上幅(t1)を有し、
前記第2端子部の前記上部分が、上幅(t2)を有し、
前記上幅(t1)及び(t2)それぞれが、カシメ用穴部を収容するのに十分であることを特徴とする請求項1に記載のブレードヒューズ。
【請求項8】
当該ブレードヒューズが、短絡回路及び低い過電流の事象に対して1アンペアから80アンペアまでの定格とされていることを特徴とする請求項1に記載のブレードヒューズ。
【請求項9】
前記第1及び第2端子部の前記上部分が、前記筐体にかしめられていることを特徴とする請求項1に記載のブレードヒューズ。
【請求項10】
前記第1端子部の前記上部分が、前記第1幅(w1)よりも小さい幅を有すること特徴とする請求項1に記載のブレードヒューズ。
【請求項11】
前記第2端子部の前記上部分が、前記第2幅(w2)よりも小さい幅を有することを特徴とする請求項1に記載のブレードヒューズ。
【請求項12】
上部分及び下部分を有する第1端子部であって、前記上部分が前記下部分の厚さと同じ厚さを有する、第1端子部と、
上部分及び下部分を有する第2端子部であって、当該第2端子部の前記上部分が前記第1端子部の前記上部分から離間してこれらの間に第1ギャップを規定する、第2端子部と、
前記第2端子部の前記上部分にある切欠部と、
前記第1及び第2端子部それぞれの前記上部分に一体的に形成されて直接接続され、前記切欠部内へ延在する溶融可能素子であって、当該溶融可能素子が、前記第1端子部の前記上部分の厚さよりも小さい厚さを有する、溶融可能素子と、
前記溶融可能素子を覆う筐体と、
前記第1端子部の前記下部分から前記第2端子部に向けて所定距離だけ延在する突出部と、
を備え、
前記第1及び第2端子部の前記下部分のうちの少なくとも一方が、前記第1及び第2端子部のうちの他方を向く内縁部の反対側にある外縁部において、上端が前記筐体の下端を前記第1及び第2端子部のうちの少なくとも一方に位置付けるための張出部を有し、
前記張出部が、前記外縁部に対する凸部となるように前記外縁部に設けられていることを特徴とするブレードヒューズ。
【請求項13】
前記第2端子部の前記上部分が、前記第2端子部の前記下部分の厚さと同じ厚さを有することを特徴とする請求項12に記載のブレードヒューズ。
【請求項14】
前記突出部が、第1突出部であり、
当該ブレードヒューズが、前記第2端子部の前記下部分から前記第1端子部に向けて所定距離だけ延在する第2突出部を備え、
前記第1及び第2突出部が、他のヒューズの端子部が前記筐体内に入ることを妨げるように構成されていることを特徴とする請求項12または13に記載のブレードヒューズ。
【請求項15】
前記第1端子部の前記上部分の厚さが、前記第2端子部の前記上部分の厚さとほぼ同じであることを特徴とする請求項13に記載のブレードヒューズ。」

第5 各引用文献、引用発明等

1 第1回当審拒絶理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献1(特開2006-318768号公報)には、「ヒューズ」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

(1) 「【0001】
本発明は、自動車、トラック等の車両に過電流防止として使用されるとともに、カーオーディオ、カーナビゲーション、空気清浄器等の車両用電装製品などに組込まれている回路基板に取付けられることのあるヒューズに関するものである。」

(2) 「【0021】
図1において、ヒューズ1は自動車等の車両に用いられるブレード形のヒューズであるが、カーオーディオ、カーナビゲーション、空気清浄器等の車両用電装製品を制御する制御部の回路基板に組付けて使用されることもある。このヒューズ1は導電性を有するヒューズ本体2と、絶縁性を有し、前記ヒューズ本体2の一部を格納するハウジング6とで構成されている。更に、前記ヒューズ本体2は、所定間隔をおいて対向する一対の導電板3と、前記各導電板3の一端部に形成された端子4と、前記一対の導電板3間に架設された溶断部5とで構成されている。そして、前記一対の端子4のそれぞれの内側端部4cには相対向して本願発明の特徴とするコ字状の切欠7が形成されている。
【0022】
前記導電性を有するヒューズ本体2は、長尺の亜鉛合金製の導電性板材の中央部を長手方向に沿って一定幅に切削して薄肉部を形成し、次いで、前記長尺の導電性板材を移送しながらプレス成形によって順次ヒューズ本体2となる部分を打抜いた後、境界部分を切断して切離して単体とし、更に、端子4の先端部をプレス成形によってテーパ部4bを形成することにより、1個ずつ連続的に製造することができる。
【0023】
前記導電性を有するヒューズ本体2を構成する導電板3は、細板状に形成され、その一端部はハウジング6から突出して相手材の被装着部に差込まれる端子4を形成している。
【0024】
また、前記導電性を有するヒューズ本体2を構成する溶断部5は、略逆U字状をなし、所定間隔をおいて対向する一対の前記導電板3間に一体に架設されていて、過電流が流れて溶断する電流値に応じた各種の板厚に形成されている。
【0025】
前記導電板3の一端部に形成された端子4は、平面部4aの先端部に形成されたテーパ部4bによって被装着部への挿入を容易なものとしている。前記一対の端子4のそれぞれの内側端部4cの相対向する位置には、前記コ字状の切欠7が形成されているとともに、反対側の外側端部4dは直線状となっている。また、前記切欠7の開口幅は後述する回路基板21の厚さと略等しい大きさに形成されている。前記切欠7は前記長尺の導電性板材を移送しながらプレス成形によって順次ヒューズ本体2となる部分を打抜くときに同時に打抜かれて形成される。したがって、1回のプレス成形において簡単に形成される。
【0026】
前記ハウジング6は、絶縁性を有し、前記ヒューズ本体2に組付けられて、前記ヒューズ2における端子4を除く部分、即ち、導電板3の一部及び溶断部5を内部に格納し、前記導電板3及び溶断部5を所定箇所に配置、固定するとともに、外部からこれらの部材を保護している。」

(3) 「【0029】
ここで、図3に示す、前記回路基板21の一対の端子挿入孔24の内端部即ち一対の端子挿入孔24の相対向する内側の端部における間隔L3は、図1に示す、前記回路基板21に装着する前のヒューズ1において左右一対の切欠7の底部を両端とする間隔L1と略等しい大きさに形成されている。
【0030】
前記一対の端子4と一対の端子挿入孔24とはこのような寸法関係にあって、図1に示す、一対の端子4の先端部における内側の間隔L2は、前記回路基板21の一対の端子挿入孔24の内端部における間隔L3より小さいので、ヒューズ1は前記回路基板21の端子挿入孔24に向けてそのまま移動させただけでは、端子挿入孔24の内端部と干渉し、端子挿入孔24内に挿入することはできない。
【0031】
そこで、図3に示すように、ヒューズ1を端子4が元の位置に復帰しようとする弾性力に抗して回路基板21側に向けて強制的に押込んで挿入する。このとき、端子4の先端部にはテーパ部4bが形成されているので、端子4を端子挿入孔24に挿入し易い。すると、端子4の挿入に伴って、一対の端子4はその先端が回路基板21の端子挿入孔24の内端部に当接して反力を受け、導電板3における上端部を軸としてそれぞれ反対方向に僅かに回動する。これにより、一対の端子間4の間隔は水平方向に拡張して端子挿入孔24内に圧入されることになる。そして、所定量ヒューズ1を押込めば、回路基板21の端子挿入孔24の下面側角部が端子4の切欠7内に嵌入し、一対の端子4は導電板3の上端部を軸として互いに内側方向に回動して接近し、元の状態に弾性復帰して、図4に示すように、回路基板21の端子挿入孔24における内端部が端子4の切欠7と嵌合する。
【0032】
これによって、ヒューズ1は端子4の切欠7が回路基板21の端子挿入孔24と係合して該回路基板24に保持され、回路基板21が移動するなどの何らかの拍子に脱落するのが確実に防止される。そこで、以後は、ヒューズ1が回路基板24に保持された状態で図4に示す箇所に半田25を付けて端子4と回路基板21の回路22との間の電気的接続を行なう。」

(4) 図1(a)?(c)を参酌すると、左側及び右側の導電板3は、それぞれ、上側部分とその下側に所定の幅の端子4を備えていること、左側の導電板3の上側部分と、右側の導電板3の上側部分との間に、間隔を規定するための隙間があり、その間隔に溶断部5が配置されていること、内側の間隔L2 は、端子の前記所定の幅よりも小さいこと、及び左側の導電板3の端子4から右側の導電板3に向けて所定距離だけ延在する突出した部分を備えていることが看取される。

上記の記載事項及び図面の記載を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、図1?図5の第1実施形態として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「上側部分及び端子4を有する左側の導電板3であって、前記端子4が所定の幅を有する、左側の導電板3と、
上側部分及び端子4を有する右側の導電板3であって、前記端子4が所定の幅を有し、当該右側の導電板3の前記上側部分が、前記左側の導電板3の前記上側部分から離間してこれらの間に間隔を規定しており、当該右側の導電板3の前記端子4が前記左側の導電板3の前記端子4から離間してこれらの間に内側の間隔L2を規定し、前記内側の間隔L2が、前記左側の導電板3の前記端子4の所定の幅よりも小さく、前記内側の間隔L2が、当該右側の導電板3の前記端子4の前記所定の幅よりも小さい、右側の導電板3と、
前記左側及び右側の導電板3間にある前記間隔に配置され、前記左側及び右側の導電板3に一体的に形成されて直接接続されている溶断部5と、
前記右側の導電板3の前記上側部分にあり、前記上側部分を前記端子4よりも狭くして前記間隔を規定する隙間であって、前記溶断部5が、当該隙間において前記右側の導電板3の前記上側部分に接続されている、隙間と、
前記溶断部5及び前記左側及び右側の導電板3の前記上側部分を覆うハウジング6と、
前記左側の導電板3の前記端子4から前記右側の導電板3に向けて所定距離だけ延在する突出した部分と、
を備えるヒューズ。」

2 第1回当審拒絶理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献2(特開平10-199395号公報)には、「多極型ヒューズ素子およびこの素子を使用した多極型ヒューズ」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

(1) 「【0023】なお、図中7は絶縁製のハウジング内に多極型ヒューズ素子を挿入しカシメ固定する際の係止用打抜孔である。」

(2) 「【0025】図4、図5は、前記図1の形態のヒューズ素子の上半部を絶縁製のハウジング10内に装着固定した状態の縦断正面図とA-A線縦断側面図で、この形態のものが多極型ヒューズとして実際に使用されるものである。」

3 第1回当審拒絶理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献3(実願平1-68653号(実開平3-8852号)のマイクロフィルム)には、「超小型電流ヒューズ」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

「一対のリード端子1,2が基台3にモールドされリード端子1,2の上方の間には基台3の凸部4が形成されている。リード端子1,2の先端部5,6にはヒューズ線7がリード線を折り曲げ挟み込まれた後、半田で確実に固定される。基台3の上方は内部に凸部8があり、この凸部8の中央には半円状切欠き9がある容器10が超音波溶着される。この時基台3の凸部4と容器10の凸部8も接し合い溶着し、それぞれ1つづつのリード端子上部11,12を収納する消弧室13,14を形成する。」(明細書5ページ10行?20行)

4 第1回当審拒絶理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献4(特開2001-283708号公報)には、「ヒューズ」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

(1) 「【0031】ハウジング4は、絶縁性を有する合成樹脂などからなる。ハウジング4は、箱状に形成されている。ハウジング4は、図2に示すように、一対の端壁12a,12bと、一対の側壁13a,13bと、一対の胴壁14と、を備えている。」

(2) 「【0064】端子位置決め突起23は、前記一対の胴壁14が互いに近づく方向に、前記胴壁14のうち少なくとも一方の内面17から突出している。端子位置決め突起23は側壁13aの近傍でかつ端壁12b寄りの位置と、側壁13bの近傍でかつ端壁12b寄りの位置と、にそれぞれ設けられている。
【0065】端子位置決め突起23は、前記端子2の取付孔7内に嵌合できるようになっている。第2固定部31は、取付孔7と、端子位置決め突起23とが互いに嵌合して、一対の端子2とハウジング4とを互いに固定する。
【0066】前述した構成によれば、端子2は、それぞれ、ハウジング4の端子位置決め突起23を取付孔7内に通しかつ突起46を貫通孔45に嵌合させるとともに側壁13a,13bの内側に配された状態で、一端部3aが収容室20内に収容される。このとき、端子2は、端壁12bの貫通孔18内を通っている。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「左側の導電板3」は、本願発明1の「第1端子部」に相当する。
以下同様に、「右側の導電板3」は、「第2端子部」に、
「上側部分」は、「上部分」に、
「端子4」は、「下部分」に、
「所定の幅」は、「第1幅(w1)」または「第2幅(w2)」に、
「間隔」は、「第1ギャップ(G)」に、
「内側の間隔L2」は、「第2ギャップ(g)」に、
「溶断部5」は、「溶融可能素子」に、
「隙間」は、「切欠部」に、
「ハウジング6」は、「筐体」に、
「突出した部分」は、「突出部」に、
「ヒューズ」は、「ブレードヒューズ」に、それぞれ相当する。

以上のことから、本願発明1と引用発明とは次の点で一致する。
「上部分及び下部分を有する第1端子部であって、前記下部分が第1幅を有する、第1端子部と、
上部分及び下部分を有する第2端子部であって、前記下部分が第2幅を有し、当該第2端子部の前記上部分が、前記第1端子部の前記上部分から離間してこれらの間に第1ギャップを規定しており、当該第2端子部の前記下部分が前記第1端子部の前記下部分から離間してこれらの間に第2ギャップを規定し、前記第2ギャップが、前記第1端子部の前記下部分の第1幅よりも小さく、前記第2ギャップが、当該第2端子部の前記下部分の前記第2幅よりも小さい、第2端子部と、
前記第1及び第2端子部間にある前記第1ギャップに配置され、前記第1及び前記第2端子部に一体的に形成されて直接接続されている溶融可能素子と、
前記第2端子部の前記上部分にあり、前記上部分を前記下部分よりも狭くして前記第1ギャップを規定する切欠部であって、前記溶融可能素子が、当該切欠部において前記第2端子部の前記上部分に接続されている、切欠部と、
前記溶融可能素子及び前記第1及び第2端子部の前記上部分を覆う筐体と、
前記第1端子部の前記下部分から前記第2端子部に向けて所定距離だけ延在する突出部と、
を備えるブレードヒューズ。」

一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点]
本願発明1では、「前記第1及び第2端子部の前記下部分のうちの少なくとも一方が、前記第1及び第2端子部のうちの他方を向く内縁部の反対側にある外縁部において、上端が前記筐体の下端を前記第1及び第2端子部のうちの少なくとも一方に位置付けるための張出部を有し、前記張出部が、前記外縁部に対する凸部となるように前記外縁部に設けられている」との構成を備えているのに対して、
引用発明では、かかる構成を備えていない点。

(2) 判断
上記相違点に係る本願発明1の構成については、引用文献1に記載ないし記載されているに等しい事項とはいえない。
したがって、本願発明1は、引用文献1に記載された発明ということはできない。

引用文献2には、ハウジング10内(本願発明1の「筐体」に相当。)に、ヒューズ素子(本願発明1の「第1端子部」及び「第2端子部」に相当。)を挿入し、カシメ固定することが記載されてはいるものの、上記相違点に係る本願発明1の構成については、記載も示唆もされていない。
引用文献3には、リード端子1、2(本願発明1の「第1端子部」及び「第2端子部」に相当。)が、基台3(本願発明1の「筐体」に相当。)にモールドされていることが記載されてはいるものの、上記相違点に係る本願発明1の構成については、記載も示唆もされていない。
引用文献4には、端子2(本願発明1の「第1端子部」及び「第2端子部」に相当。)の取付孔7と、ハウジング4(本願発明1の「筐体」に相当。)の一対の胴壁14の内面17から突出する端子位置決め突起23とが、互いに嵌合して、一対の端子2とハウジング4とを互いに固定することが記載されてはいるものの、上記相違点に係る本願発明1の構成については、記載も示唆もされていない。
このように、上記相違点に係る本願発明1の構成については、引用文献2?4に記載には記載も示唆もされていない。
そうすると、たとえ引用発明に引用文献2?4に記載された事項を適用したとしても、上記相違点に係る本願発明1の構成に至るものではない。
したがって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2?4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2?11について
本願発明2?11は、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同じ理由により、引用文献1に記載された発明ということはできないし、引用発明及び引用文献2?4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

3 本願発明12について
本願発明12は、上記相違点に係る本願発明1の構成と同一の「前記第1及び第2端子部の前記下部分のうちの少なくとも一方が、前記第1及び第2端子部のうちの他方を向く内縁部の反対側にある外縁部において、上端が前記筐体の下端を前記第1及び第2端子部のうちの少なくとも一方に位置付けるための張出部を有し、前記張出部が、前記外縁部に対する凸部となるように前記外縁部に設けられている」との構成を備えている。
したがって、本願発明12は、本願発明1と同様に、引用文献1に記載された発明ということはできないし、引用発明及び引用文献2?4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

4 本願発明13?15について
本願発明13?15は、本願発明12をさらに限定したものであるので、本願発明12と同じ理由により、引用文献1に記載された発明ということはできないし、引用発明及び引用文献2?4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

第7 原査定についての判断
平成29年5月12日の手続補正により、補正後の請求項1?15は、「前記第1及び第2端子部の前記下部分のうちの少なくとも一方が、前記第1及び第2端子部のうちの他方を向く内縁部の反対側にある外縁部において、上端が前記筐体の下端を前記第1及び第2端子部のうちの少なくとも一方に位置付けるための張出部を有し、前記張出部が、前記外縁部に対する凸部となるように前記外縁部に設けられている」との構成を有するものとなった。
当該構成については、原査定における引用文献(実願昭61-162696号(実開昭63-69351号)のマイクロフィルム)に記載ないし記載されているに等しい事項とはいえないし、また、上記引用文献に示唆されているものでもない。
そうすると、本願発明1?15は、上記引用文献に記載された発明ということはできないし、上記引用文献に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 当審で通知した拒絶理由についての判断
1 第1回当審拒絶理由について
(1) 理由1について
平成29年5月12日の手続補正により、請求項1?15は、前記「第4」に記載したように補正された結果、特許請求の範囲の記載は明確となり、この拒絶理由の理由1は解消した。

(2) 理由2及び理由3について
前記「第6 1」?「第6 4」のとおり、本願発明1?15は、引用文献1に記載された発明ということはできないし、引用発明及び引用文献2?4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
したがって、この拒絶理由の理由2及び理由3は解消した。

2 第2回当審拒絶理由について
平成29年5月12日の手続補正により、請求項1及び請求項12において、張出部に関して、「前記第1及び第2端子部の前記下部分のうちの少なくとも一方が、前記第1及び第2端子部のうちの他方を向く内縁部の反対側にある外縁部において、上端が前記筐体の下端を前記第1及び第2端子部のうちの少なくとも一方に位置付けるための張出部を有し、前記張出部が、前記外縁部に対する凸部となるように前記外縁部に設けられている」と補正され、これにより張出部の構成が明確になった。
また、当該手続補正により、補正前の請求項1及び請求項9の誤記は補正されるとともに、補正前の請求項5及び請求項16は削除された。
したがって、この拒絶理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-07-24 
出願番号 特願2014-137498(P2014-137498)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01H)
P 1 8・ 537- WY (H01H)
P 1 8・ 113- WY (H01H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 段 吉享  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 小関 峰夫
中川 隆司
発明の名称 ブレードヒューズ  
代理人 実広 信哉  
代理人 阿部 達彦  
代理人 村山 靖彦  
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