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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1330388
審判番号 不服2016-8574  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-09 
確定日 2017-07-13 
事件の表示 特願2013- 98811「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月 1日出願公開、特開2013-146632〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成20年4月3日に出願された特願2008-96876号の一部を平成25年5月8日に新たな特許出願としたものであって、平成26年9月30日付けで拒絶理由通知がなされ、同年12月3日に意見書及び手続補正書が提出され、平成27年8月14日付けで拒絶理由通知がなされ、同年10月19日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年3月15日付けで平成27年10月19日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対し、平成28年6月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされ、当審において、平成29年1月19日付けで拒絶理由を通知し、平成29年3月27日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2.本願発明
平成29年3月27日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める(A?Hは、本願発明を分説するために当審にて付した。)。
「【請求項1】
A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
C 可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに仮停止させた後に再度可変表示を実行して前記有利状態に制御される場合と制御されない場合とがある再可変表示パターンを含む複数種類の可変表示パターンのうちから1の可変表示パターンを決定する可変表示パターン決定手段と、
D 前記再可変表示パターンによる可変表示に対応して実行される再可変表示演出として、第1再可変表示演出と、前記第1再可変表示演出および該第1再可変表示演出とは異なる態様の第2再可変表示演出が組み合わされた第3再可変表示演出とを実行可能な再可変表示演出制御手段と、
E 移行条件が成立したときに、互いに演出態様が異なる複数のステージのうち、いずれかのステージに移行する制御を行うステージ移行制御手段とを備え、
F 前記複数のステージは、前記再可変表示パターンによる可変表示を実行可能な第1ステージと実行不可能な第2ステージとを含み、
G 前記第1ステージにて前記再可変表示パターンによる可変表示の実行中に、前記第2ステージへ移行せず、
H 前記第3再可変表示演出が実行されたときは、前記第1再可変表示演出が実行されたときよりも高い割合で前記有利状態に制御される、
ことを特徴とする遊技機。」

3.当審における拒絶理由
当審における平成29年1月19日付けの拒絶理由の概要は次のとおりである。
本件出願の請求項1?2に係る発明は,その出願遡及日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物1?2に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:特開2007-6982号公報
刊行物2:CRぱちんこ 仮面ライダー ショッカー全滅大作戦,パチンコ 必勝ガイド 2007.10.20号,株式会社白夜書房,2007年10月20日発行,第19巻,第26号,p.64?69

4.刊行物
当審における平成29年1月19日付けの拒絶理由において刊行物として引用した特開2007-6982号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【発明を実施するための最良の形態】
【0011】・・・図1には、パチンコ機10の機表側が略示されており、機体の外郭をなす外枠11の開口前面側には、各種の遊技用構成部材をセットする・・・中枠12が開閉及び着脱自在に組み付けられている。・・・
【0012】遊技盤13の遊技領域13aの略中央には、液晶ディスプレイ型のゲーム表示手段としての可変表示器Hを備えた表示装置20が配設されている。可変表示器Hでは、変動画像(又は画像表示)に基づく遊技演出(表示演出)が行われるようになっている。・・・
【0013】そして、遊技者は、図柄組み合わせゲームにおいて最終的に表示(確定停止表示)された図柄組み合わせ(表示結果)から大当り又ははずれを認識できる。可変表示器Hに確定停止表示された全列の図柄が同一種類の場合には、その図柄組み合わせ([222][777]など)から大当りを認識できる。この大当りを認識できる図柄組み合わせが大当りの図柄組み合わせ(大当り表示結果)となる。大当りの図柄組み合わせが確定停止表示されると、遊技者には、図柄組み合わせゲームの終了後に大当り遊技が付与される。・・・
【0014】また、表示装置20の下方には、図示しないアクチュエータ(ソレノイド、モータなど)の作動により開閉動作を行う開閉羽根21を備えた始動入賞口22が配設されている。始動入賞口22の奥方には、入賞した遊技球を検知する始動口センサSE1(図2に示す)が設けられている。始動入賞口22は、遊技球の入賞検知を契機に、図柄組み合わせゲームの始動条件を付与し得る。また、始動入賞口22の下方には、図示しないアクチュエータ(ソレノイド、モータなど)の作動により開閉動作を行う大入賞口扉23を備えた大入賞口24が配設されている。そして、大当り遊技が付与されると、大入賞口扉23の開動作によって大入賞口24が開放されて遊技球が入賞可能となるため、遊技者は、多数の賞球が獲得できるチャンスを得ることができる。
【0015】また、本実施形態のパチンコ機10には、その機前面側(具体的に言えば、上球皿15の前面側中央)に遊技者が操作可能な演出用操作手段としての演出用ボタン25が設けられている。演出用ボタン25は、押しボタン式とされている。」

(イ)「【0016】次に、パチンコ機10の制御構成を図2に基づき説明する。・・・
【0018】・・・図2に示すように主制御基板26には、メインCPU26aと、ROM26bと、RAM26cとが設けられている。メインCPU26aは、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン振分乱数などの各種乱数の値を所定の周期毎に更新している。ROM26bには、パチンコ機10を制御するためのメイン制御プログラムと、複数種類の変動パターン(演出パターン)と、大当り判定値と、リーチ判定値とが記憶されている。RAM26cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数の値など)が記憶(設定)されるようになっている。
【0019】変動パターンは、図柄が変動を開始(図柄組み合わせゲームの開始)してから全列の図柄が確定停止表示(図柄組み合わせゲームの終了)される迄の間の遊技演出のベースとなるパターンを示すものである。変動パターンには、該変動パターン毎に、図柄組み合わせゲームの開始から終了迄の変動時間(演出時間)が定められている。また、変動パターンには、図柄組み合わせゲームの演出内容が対応付けられている。このため、変動パターンにより、図柄組み合わせゲームの演出内容が特定されることになる。
・・・
【0021】また、メインCPU26aは、図柄組み合わせゲームの開始直前に、RAM26cに格納されている前記大当り判定用乱数の値とROM26bに記憶されている大当り判定値とを比較して大当りか否かを判定(大当り判定)する。そして、メインCPU26aは、大当り判定の判定結果が肯定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが一致)の場合、大当りを決定する。大当りを決定したメインCPU26aは、大当り判定用乱数の値とともにRAM26cに記憶した大当り図柄用乱数の値を読み出し、該値に予め対応付けられた図柄を大当り図柄として決定する。大当り図柄は、最終的に確定停止表示される大当りの図柄組み合わせ(最終的な大当り表示結果)を形成する図柄である。また、メインCPU26aは、変動パターン振分乱数の値を読み出し、該値に基づき大当り演出用の変動パターンの中から1つの変動パターンを決定する。本実施形態では、主制御基板26が、演出パターン決定手段として機能する。
・・・
【0023】一方、メインCPU26aは、大当り判定の判定結果が否定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが不一致)の場合、リーチ判定用乱数の値をRAM26cから読み出し、該値とROM26bに記憶されているリーチ判定値とを比較してリーチか否か(リーチ演出を行うか否か)を判定(リーチ判定)する。そして、メインCPU26aは、リーチ判定の判定結果が肯定(リーチ判定用乱数の値とリーチ判定値とが一致)の場合、リーチを決定する。リーチを決定したメインCPU26aは、リーチ図柄を決定する。・・・また、メインCPU26aは、変動パターン振分乱数の値を読み出し、該値に基づきはずれリーチ演出用の変動パターンの中から1つの変動パターンを決定する。・・・
【0024】また、メインCPU26aは、リーチ判定の判定結果が否定(リーチ判定用乱数の値とリーチ判定値とが不一致)の場合、はずれを決定する。はずれを決定したメインCPU26aは、はずれ図柄を決定する。はずれ図柄は、リーチを形成せずに、最終的に確定停止表示されるはずれの図柄組み合わせを形成する図柄である。・・・また、メインCPU26aは、変動パターン振分乱数の値を読み出し、該値に基づきはずれ演出用の変動パターンの中から1つの変動パターンを決定する。・・・」

(ウ)「【0027】・・・表示制御基板28には、サブCPU28aと、ROM28bと、RAM28cとが設けられている。ROM28bには、可変表示器Hの表示内容を制御するための表示制御プログラム・・・また、演出データとしての画像データが記憶されている。画像データには、図柄組み合わせゲームの演出内容を可変表示器Hに画像表示するための動画像用のデータを含む。また、RAM28cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が記憶(設定)されるようになっている。
【0028】そして、本実施形態のパチンコ機10は、変動パターンで特定される演出内容の中に特別リーチ演出(特定種演出)の演出内容が含まれている。・・・
【0029】特別リーチ演出は、複数(本実施形態では5つ)の演出ブロックBL1,BL2,BL3,BL4,BL5から構成されている。各演出ブロックの演出実行時間は、同一の単位時間(時間T)として規定されている。すなわち、各演出ブロックは、同一時間で演出が実行される。また、特別リーチ演出に係る最大演出時間は、5ブロック分の時間5T(時間T×5)とされている。そして、特別リーチ演出が実行される時の全体実行時間は、最小時間を2ブロック分の時間2T(時間T×2)とし、最大時間を5ブロック分の時間5Tとしている。すなわち、全体実行時間は、2ブロック分の時間2T、3ブロック分の時間3T、4ブロック分の時間4T、又は5ブロック分の時間5Tの何れかとなる。・・・
【0030】特別リーチ演出の演出内容は、各演出ブロックに予め用意されているブロック演出(演出部分)を差込み、互い演出態様が異なる複数のブロック演出を組み合わせて構成される。演出態様が異なるとは、表現される演出の中身が異なることであり、例えば、演出に登場するキャラクタの種類が異なる場合、同種のキャラクタが出現するが当該キャラクタの動作(図柄を導出するための動作)が異なる場合や、図柄の変動の仕方が異なる場合などがある。この構成により、特別リーチ演出は、演出ブロックBL1?BL5に差込まれたブロック演出が順番に実行され、演出態様の異なる演出が複数出現することとなる。例えば、5ブロック分の特別リーチ演出は、5つのブロック演出が出現する演出内容で実行される。なお、ブロック演出は、演出ブロック単位で演出が一旦完結する内容となっている。具体的に言えば、演出ブロック毎に一旦図柄組み合わせが停止表示され、次ブロックが存在する場合には当該次ブロックに差込まれたブロック演出の開始とともに再度図柄の変動が開始されるようになっている。
【0031】以下、特別リーチ演出を実行させるための主制御基板26、統括制御基板27及び表示制御基板28の具体的な構成を説明する。
主制御基板26のROM26bには、図4に示すような複数種類の変動パターンが記憶されている。なお、図4には、説明を簡略化するため、5種類の変動パターンP1?P5のみを示している。また、変動パターンP1?P5は、特定される演出内容にリーチ演出を含み、大当り演出時又ははずれリーチ演出時に選択される変動パターンである。
【0032】変動パターンP1は、演出内容に特別リーチ演出を含まず、他のリーチ演出を含むパターンとされ、リーチ演出の時間が時間Yに設定されている。変動パターンP2は、演出内容に特別リーチ演出を含むパターンとされ、その特別リーチ演出の時間(全体実行時間)が時間2T(2ブロック分)に設定され・・・変動パターンP3は、演出内容に特別リーチ演出を含むパターンとされ、その特別リーチ演出の時間(全体実行時間)が時間3T(3ブロック分)に設定され・・・変動パターンP4は、演出内容に特別リーチ演出を含むパターンとされ、その特別リーチ演出の時間(全体実行時間)が時間4T(4ブロック分)に設定され・・・変動パターンP5は、演出内容に特別リーチ演出を含むパターンとされ、リーチ演出の時間が時間5T(5ブロック分)に設定されている。
【0033】・・・図4に示す変動パターンP1?P5では、変動パターンP1の大当り信頼度が最も低く、変動パターンP5の大当り信頼度が最も高く、変動パターンP1<P2<P3<P4<P5の順に大当り信頼度が高く設定されている。・・・
【0034】また、特別リーチ演出を含む変動パターンP2?P5については、図5に示すリーチテーブルの選択割合が設定されている。リーチテーブルは、特別リーチ演出の演出内容をパターン化したものであり、当該演出内容は5つのブロック演出を組み合わせて構成されている。本実施形態では、3種類のリーチテーブルA,B,Cが設けられている。・・・
【0035】統括制御基板27のROM27bには、図5に示す3種類のリーチテーブルA,B,Cが記憶されている。リーチテーブルA,B,Cは、リーチ形成時に可変表示器Hに画像表示される背景画像の種類と、特別リーチ演出の演出内容のパターン番号(PT No.)と、そのパターン番号毎に対応付けられた5ブロック分の演出の種類から構成されている。以下、特別リーチ演出の演出内容のパターンを「内容パターン」と示す。
【0036】リーチテーブルAは、背景画像の種類が「aaa」であって、32の内容パターンから構成されている。32の内容パターンは、「a1」「a2」「a3」「a4」「a5」「a6」の6種類のブロック演出から5種類のブロック演出を抽出し、その抽出したブロック演出の実行順序又は組み合わせを変更することにより構成されている。・・・
【0037】リーチテーブルBは、背景画像の種類が「bbb」であって、19の内容パターンから構成されている。19の内容パターンは、「b1」「b2」「b3」「b4」「b5」「b6」「b7」の7種類のブロック演出から5種類のブロック演出を抽出し、その抽出したブロック演出の実行順序又は組み合わせを変更することにより構成されている。・・・
【0038】リーチテーブルCは、背景画像の種類が「ccc」であって、30の内容パターンから構成されている。30の内容パターンは、「c1」「c2」「c3」「c4」「c5」「c6」「c7」「c8」の8種類のブロック演出から5種類のブロック演出を抽出し、その抽出したブロック演出の実行順序又は組み合わせを変更することにより構成されている。・・・
【0039】統括制御基板27の統括CPU27aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、当該コマンドで指示された変動パターンが変動パターンP2?P5の場合、リーチテーブルA又はリーチテーブルBの何れかから一つの内容パターンを選択する。本実施形態において統括CPU27aは、変動パターンP2,P3の場合、リーチテーブルAの中から内容パターンを選択し易く、変動パターンP4、P5の場合、リーチテーブルBの中から内容パターンを選択し易くなっている。内容パターンを選択する際、統括CPU27aは、最初にリーチテーブルA又はリーチテーブルBの何れにするかを決定し、その後に決定したリーチテーブルの中から一つの内容パターンを抽選して選択する。そして、内容パターンを選択した統括CPU27aは、その選択した内容パターンを指示する内容パターン指定コマンドを各制御基板28?30に出力する。
【0040】統括CPU27aは、特別リーチ演出の演出内容をリーチテーブルの中から抽選で選択することにより、前記演出内容を構成する複数のブロック演出について実行順序又は組み合わせをランダムに選択していることとなる。すなわち、本実施形態では、統括制御基板27が、演出内容選択手段として機能する。
【0041】また、統括CPU27aは、変動パターンP2?P5に基づく図柄組み合わせゲーム中に所定条件が成立した場合、その成立を契機に内容パターンを再選択するようになっている。本実施形態では、所定条件を、リーチ形成時に遊技者によって演出用ボタン25が操作され、その操作回数が予め定めた回数(例えば、10回)に達したこととしている。統括CPU27aは、変動パターンP2?P5が指定されている場合、リーチ形成時に演出用ボタン25の操作が有効となる有効期間(例えば、5秒)を設定し、演出用ボタン25の操作を許容する。そして、統括CPU27aは、有効期間中、演出用ボタン25が操作される毎に、その操作回数を計数し、当該操作回数が予め定めた回数に達したか否かを判定する。本実施形態では、統括制御基板27が、期間設定手段として機能する。
【0042】前記所定条件が成立した場合、統括CPU27aは、変動パターン指定コマンドの入力時(図柄組み合わせゲームの開始時)にリーチテーブルAの中から内容パターンを選択している場合、リーチテーブルBの中から内容パターンを再選択する。また、統括CPU27aは、変動パターン指定コマンドの入力時にリーチテーブルBの中から内容パターンを選択している場合、リーチテーブルCの中から内容パターンを再選択する。そして、統括CPU27aは、内容パターンを再選択した場合、その再選択した内容パターンを指示する内容パターン指定コマンドを各制御基板28?30に出力する。
【0043】・・・リーチテーブルA,B,Cは、リーチテーブルA<リーチテーブルB<リーチテーブルCの順に大当り信頼度が結果的に高くなっており、特別リーチ演出の演出内容は大当り信頼度の高低に応じてグループ化されていることとなる。そして、特別リーチ演出の演出内容は、所定条件が成立すると、最初に選択された内容パターンが属するリーチテーブルよりも大当り信頼度が高いリーチテーブルから再選択されることとなる。
・・・
【0045】表示制御基板28のサブCPU28aは、図柄変動ゲームの開始時に変動パターン指定コマンドを入力し、当該コマンドに基づく図柄組み合わせゲームを表示制御プログラムにしたがって可変表示器Hに画像表示させる。なお、サブCPU28aは、変動パターンP2?P5が決定されている場合、内容パターン指定コマンドを入力する。
【0046】そして、サブCPU28aは、変動パターンP2?P5が決定されている場合、リーチ形成時に介入演出を可変表示器Hに画像表示させる。介入演出は、内容パターン指定コマンドで指定された内容パターンが属するリーチテーブルの背景画像と、演出用ボタン25の操作を促すメッセージ画像(例えば、「PUSH PUSH」など)とが可変表示器Hに画像表示されて行われる。
【0047】また、サブCPU28aは、変動パターンP2?P5が決定されている場合、リーチ演出の開始によって内容パターン指定コマンドで指示された内容パターンに基づく特別リーチ演出を可変表示器Hに画像表示させる。このとき、サブCPU28aは、新たに内容パターン指定コマンドを入力している場合、当該コマンドで指示された内容パターンに基づく特別リーチ演出を画像表示させる。一方、サブCPU28aは、図柄組み合わせゲームの開始時のみに内容パターン指定コマンドを入力している場合、当該コマンドで指示された内容パターンに基づく特別リーチ演出を実行させる。なお、サブCPU28aは、新たに内容パターン指定コマンドを入力している場合、当該コマンドで指示された内容パターンが属するリーチテーブルの背景画像に切替え、その背景画像を可変表示器Hに画像表示させる。本実施形態では、表示制御基板28が、演出制御手段として機能する。」

(エ)「【0048】・・・特別リーチ演出が実行される態様を図6にしたがって・・・説明する。図6(a)は、特別リーチ演出の演出内容が変更されなかった場合の態様を示す。演出内容が変更されなかった場合とは、演出用ボタン25が全く操作されなかった場合又は演出用ボタン25を操作したが、操作回数が予め定めた回数に達しなかった場合(条件を満たさなかった場合)である。また、図6(b)は、特別リーチ演出の演出内容が変更された場合の態様を示している。なお、以下の説明では、メインCPU26aが変動パターンP5(5ブロック分の特別リーチ演出)を決定し、図柄組み合わせゲームの開始時に統括CPU27aがリーチテーブルAを決定した場合について説明する。
【0049】最初に、図6(a)にしたがって説明する。メインCPU26aは、大当り判定の判定結果に基づいて変動パターンP5を決定すると、その変動パターンP5を指示する変動パターン指定コマンドを出力する。そして、統括CPU27aは、決定したリーチテーブルAの中から1つの内容パターンを選択する。この説明では、統括CPU27aがパターン番号「2」の内容パターンを選択したものとする。内容パターンを選択した統括CPU27aは、内容パターン指定コマンドをサブCPU28aに出力する。
【0050】変動パターン指定コマンドと内容パターン指定コマンドを入力したサブCPU28aは、図柄組み合わせゲームを実行させる。可変表示器Hでは、図柄組み合わせゲームの開始によって各列の図柄が変動する通常変動が画像表示される。続いて、可変表示器Hでは、左右2列の図柄が同一種類の図柄となってリーチが形成され、介入演出が画像表示される。サブCPU28aは、介入演出時、可変表示器Hに背景画像「aaa」を画像表示させる。そして、サブCPU28aは、演出用ボタン25の有効期間の経過に伴って、パターン番号「2」の内容パターンで実行すべきブロック演出の種類と実行順序をリーチテーブルA(図5参照)にしたがって特定し、特別リーチ演出を画像表示させる。サブCPU28aは、特定したブロック演出の種類と実行順序に基づき画像データを読み出し、時間T毎にブロック演出を実行させる。
【0051】本説明においては、特別リーチ演出がパターン番号「2」の内容パターンで実行されるので、可変表示器Hでは、最初に、ブロック演出a1が実行され、以降、時間T毎に、ブロック演出a2→ブロック演出a3→ブロック演出a5→ブロック演出a6の順に実行される。そして、特別リーチ演出の終了後、最終的な図柄組み合わせ(大当りの図柄組み合わせ又ははずれの図柄組み合わせ)が確定停止表示されて大当り又ははずれが確定し、図柄組み合わせゲームが終了する。大当りが確定した場合には、図柄組み合わせゲームの終了後に大当り遊技へ移行し、はずれが確定した場合には、図柄組み合わせゲームの終了後、次の図柄組み合わせゲームへ移行する。
【0052】次に、図6(b)にしたがって説明する。・・・介入演出に移行後、有効期間中に演出用ボタン25の操作回数が予め定めた回数に達すると、統括CPU27aは、内容パターンを再選択する。このとき、統括CPU27aは、図柄組み合わせゲームの開始時にリーチテーブルAを決定しているので、内容パターンを再選択する場合のリーチテーブルとしてリーチテーブルBを決定する。そして、統括CPU27aは、決定したリーチテーブルBの中から1つの内容パターンを選択する。この説明では、統括CPU27aがパターン番号「49」の内容パターンを選択したものとする。内容パターンを選択した統括CPU27aは、内容パターン指定コマンドをサブCPU28aに出力する。
【0053】サブCPU28aは、内容パターン指定コマンドを入力すると、パターン番号「49」の内容パターンが属するリーチテーブルBの背景画像の種類を特定し、可変表示器Hに画像表示させる背景画像を「aaa」から「bbb」に切替える。また、サブCPU28aは、演出用ボタン25の有効期間の経過に伴って、パターン番号「49」の内容パターンで実行すべきブロック演出の種類と実行順序をリーチテーブルBにしたがって特定し、特別リーチ演出を画像表示させる。」

(オ)「【0054】本説明においては、特別リーチ演出がパターン番号「49」の内容パターンで実行されるので、可変表示器Hでは、最初に、ブロック演出b2が実行され、以降、時間T毎に、ブロック演出b4→ブロック演出b5→ブロック演出b6→ブロック演出b7の順に実行される。特別リーチ演出は、演出用ボタン25が操作されたことにより、演出内容がパターン番号「2」の内容パターンからパターン番号「49」の内容パターンに変更されて実行される。
【0055】次に、変動パターンP2?P4に基づく特別リーチ演出が実行される態様を図7にしたがって説明する。変動パターンP5が決定された場合、特別リーチ演出は、5ブロック(時間5T)に亘って実行される。このため、サブCPU28aは、図柄組み合わせゲームにおいて、図7(a)に示すように内容パターンを構成する5ブロック分のブロック演出の全てを実行部分とし、特別リーチ演出を実行させる。
【0056】一方、変動パターンP4が決定された場合、特別リーチ演出は、4ブロック(時間4T)に亘って実行される。このため、サブCPU28aは、図柄組み合わせゲームにおいて、図7(b)に示すように内容パターンを構成する5ブロック分のブロック演出のうち、実行順序が1番目から4番目までの4つのブロック演出を実行部分とする一方で、5番目の1つのブロック演出を省略部分とし、特別リーチ演出を実行させる。・・・
【0057】また、変動パターンP3が決定された場合、特別リーチ演出は、3ブロック(時間3T)に亘って実行される。・・・
【0058】また、変動パターンP2が決定された場合、特別リーチ演出は、2ブロック(時間2T)に亘って実行される。・・・
【0059】したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)特別リーチ演出の演出内容を複数のブロック演出で構成し、そのブロック演出の実行順序や組み合わせを選択することにより、演出内容に変化をもたらすようにした。そして、表示制御基板28では、ブロック演出の画像データを保持し、統括制御基板27による内容パターンの選択結果に応じて個別の画像データを流用しつつ、演出制御を実行する。このため、ブロック演出の数を増加させた場合には、その増加に伴うブロック演出用の画像データを保持させることで、実行順序や組み合わせの変更によって特別リーチ演出の演出内容の多種類化を図ることができる。したがって、遊技演出に係る制御基板の負担増を抑制しつつ、遊技演出を多種類化することができる。また、実行される演出内容は、実行順序や組み合わせの変更によって変化がもたらされるので、その実行順序や組み合わせの規則性にも興味を持たせることができ、興趣の向上を図ることができる。
・・・
【0063】(5)演出用ボタン25の操作によって特別リーチ演出の演出内容を再選択する場合には、図柄組み合わせゲームの開始時に選択した演出内容よりも大当り信頼度の高い演出内容が選択されるようにした。このため、演出用ボタン25を操作することに対する興味を遊技者に持たせることができる。そして、演出用ボタン25の操作により、演出内容が選択された場合には、その演出内容の出現によって遊技者に大当りへの期待感を抱かせることができる
・・・
【0067】なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○実施形態において、予告演出(特定種演出)を複数の演出ブロックで構成し、予告演出の演出内容を、複数のブロック演出を組み合わせて構成しても良い。例えば、複数の画像を所定順序で連続的に表示させて行う予告演出(ステップアップ予告とも言われる)の演出内容を複数のブロック演出を組み合わせて構成しても良い。
【0068】○実施形態において、リーチテーブルの種類を、例えば、2種類や4種類などに変更しても良い。
○実施形態において、1つのリーチテーブルに振分ける内容パターンの数は変更しても良い。例えば、実施形態で説明した内容パターンの数より多くしても良いし、少なくしても良い。・・・」

上記(ア)?(オ)の記載事項から以下の事項が導かれる。なお、(a)?(h)は、本願発明の構成A?Hに対応した事項を示している。

(a)上記(ア)の段落【0011】には、「パチンコ機10」と記載され、上記(ア)の段落【0012】には、「遊技盤13の遊技領域13aの略中央には・・・可変表示器Hを備えた表示装置20が配設され・・・可変表示器Hでは、変動画像(又は画像表示)に基づく遊技演出(表示演出)が行われる」と記載され、上記(ア)の段落【0013】には、「可変表示器Hに・・・大当りの図柄組み合わせが確定停止表示されると、遊技者には、図柄組み合わせゲームの終了後に大当り遊技が付与される」との記載がある。
これらの記載から、刊行物1には、遊技盤13の遊技領域13aの略中央に配設された表示装置20が備える可変表示器Hでは、変動画像(又は画像表示)に基づく遊技演出(表示演出)が行われ、可変表示器Hに大当りの図柄組み合わせが確定停止表示されると、遊技者には、図柄組み合わせゲームの終了後に大当り遊技が付与されるパチンコ機10が記載されているといえる。

(b)上記(イ)の段落【0021】には、「メインCPU26aは、・・・大当り判定用乱数の値と・・・大当り判定値とを比較して大当りか否かを判定・・・する。そして、メインCPU26aは、大当り判定の判定結果が肯定・・・の場合、大当りを決定する」との記載がある。
この記載から、刊行物1には、大当り判定用乱数の値と大当り判定値とを比較して大当りか否かを判定し、大当り判定の判定結果が肯定の場合、大当りを決定するメインCPU26aが記載されているといえる。

(c)上記(ウ)の段落【0035】には、「3種類の・・・リーチテーブルA,B,Cは、リーチ形成時に可変表示器Hに画像表示される背景画像の種類と、特別リーチ演出の演出内容のパターン番号(PT No.)と、そのパターン番号毎に対応付けられた5ブロック分の演出の種類から構成されている」との記載があり、図5には、リーチブロックA,B,Cが、それぞれ、演出内容が異なる複数のパターンを有することが示されている。そして、上記(ウ)の段落【0030】に記載されるように、「特別リーチ演出」は、「演出ブロックBL1?BL5に差込まれたブロック演出が順番に実行され、演出態様の異なる演出が複数出現」し、「演出ブロック毎に一旦図柄組み合わせが停止表示され、次ブロックが存在する場合には当該次ブロックに差込まれたブロック演出の開始とともに再度図柄の変動が開始される」ものである。また、上記(エ)の段落【0051】には、「特別リーチ演出の終了後」「大当りが確定した場合には、図柄組み合わせゲームの終了後に大当り遊技へ移行し、はずれが確定した場合には、図柄組み合わせゲームの終了後、次の図柄組み合わせゲームへ移行する」との記載がある。
これらの記載から、上記【0030】、【0035】、【0051】には、リーチテーブルA,B,Cは、それぞれ、特別リーチ演出の演出内容が異なる複数のパターンを有し、特別リーチ演出は、演出ブロックに差込まれたブロック演出を順番に実行し、演出ブロック毎に一旦図柄組み合わせが停止表示し、次ブロックの演出の開始とともに再度図柄変動が開始され、特別リーチ演出が終了し、図柄組み合わせゲームが終了すると、大当りの場合には大当り遊技へ移行し、はずれの場合には次の図柄組み合わせゲームへ移行することが記載されているといえる。

そして、上記(イ)の段落【0021】には、「メインCPU26aは、大当り判定の判定結果が肯定・・・の場合、・・・変動パターン振分乱数の値・・・に基づき大当り演出用の変動パターンの中から1つの変動パターンを決定する」と記載され、上記(イ)の段落【0023】には、「メインCPU26aは、大当り判定の判定結果が否定・・・の場合、リーチか否か・・・を判定する。・・・リーチ判定の判定結果が肯定・・・の場合、・・・メインCPU26aは、変動パターン振分乱数の値・・・に基づきはずれリーチ演出用の変動パターンの中から1つの変動パターンを決定する」と記載され、上記(ウ)の段落【0039】には、「統括制御基板27の統括CPU27aは、変動パターン指定コマンド・・・で指示された変動パターンが変動パターンP2?P5の場合」、「最初にリーチテーブルA又はリーチテーブルBの何れにするかを決定し、その後に決定したリーチテーブルの中から一つの内容パターンを抽選して選択する」ことが記載されている。なお、上記(ウ)の段落【0035】に記載されるように「内容パターン」とは「特別リーチ演出の演出内容のパターン」を示している。
これらの記載から、上記【0021】、【0023】、【0035】、【0039】には、統括CPU27aは、メインCPU26aが決定した変動パターンがP2?P5の場合、最初にリーチテーブルA又はBの何れにするかを決定し、その後に決定したリーチテーブルの中から一つの特別リーチ演出の演出内容のパターンを抽選して選択することが記載されているといえる。
以上から、刊行物1には、リーチテーブルA,B,Cは、それぞれ、特別リーチ演出の演出内容が異なる複数のパターンを有し、特別リーチ演出は、演出ブロックに差込まれたブロック演出を順番に実行し、演出ブロック毎に一旦図柄組み合わせが停止表示し、次ブロックの演出の開始とともに再度図柄変動が開始され、特別リーチ演出が終了し、図柄組み合わせゲームが終了すると、大当りの場合には大当り遊技へ移行し、はずれの場合には次の図柄組み合わせゲームへ移行し、統括CPU27aは、メインCPU26aが決定した変動パターンがP2?P5の場合、最初にリーチテーブルA又はBの何れにするかを決定し、その後に決定したリーチテーブルの中から一つの特別リーチ演出の演出内容のパターンを抽選して選択することが記載されているといえる。

(d)上記(エ)の段落【0049】には、「メインCPU26aは、大当り判定の判定結果に基づいて変動パターンP5を決定すると、・・・統括CPU27aは、決定したリーチテーブルAの中から1つの内容パターンを選択する・・・パターン番号「2」の内容パターンを選択し」と記載され、上記(エ)の段落【0050】には、「サブCPU28aは、・・・パターン番号「2」の内容パターンで実行すべきブロック演出の種類と実行順序をリーチテーブルA・・・にしたがって特定し、特別リーチ演出を画像表示させる」と記載されている。上記段落【0052】には、「介入演出に移行後、・・・統括CPU27aは、図柄組み合わせゲームの開始時にリーチテーブルAを決定しているので、内容パターンを再選択する場合のリーチテーブルとしてリーチテーブルBを決定する。そして、統括CPU27aは、決定したリーチテーブルBの中から1つの内容パターンを選択する・・・パターン番号「49」の内容パターンを選択し」と記載され、上記段落【0053】には、「サブCPU28aは、・・・パターン番号「49」の内容パターンで実行すべきブロック演出の種類と実行順序をリーチテーブルBにしたがって特定し、特別リーチ演出を画像表示させる」ことが記載されている。
以上から、刊行物1には、決定したリーチテーブルAの中から選択されたパターン番号の内容パターンで実行すべきブロック演出の種類と実行順序をリーチテーブルAにしたがって特定し、特別リーチ演出を画像表示させ、内容パターンを再選択する場合、リーチテーブルとしてリーチテーブルBを決定し、決定したリーチテーブルBの中から選択されたパターン番号の内容パターンで実行すべきブロック演出の種類と実行順序をリーチテーブルBにしたがって特定し、特別リーチ演出を画像表示させるサブCPU28aが記載されているといえる。

(e)上記(ウ)の段落【0041】には、「統括CPU27aは、変動パターンP2?P5に基づく図柄組み合わせゲーム中に所定条件が成立した場合、その成立を契機に内容パターンを再選択する・・・リーチ形成時に遊技者によって演出用ボタン25が操作され、・・・操作回数が予め定めた回数に達したか否かを判定する」と記載され、上記(ウ)の段落【0042】には、「前記所定条件が成立した場合、統括CPU27aは、・・・図柄組み合わせゲームの開始時・・・にリーチテーブルAの中から内容パターンを選択している場合、リーチテーブルBの中から内容パターンを再選択する」と記載され、上記(ウ)の段落【0043】には、「特別リーチ演出の演出内容は、所定条件が成立すると、最初に選択された内容パターンが属するリーチテーブルよりも大当り信頼度が高いリーチテーブルから再選択されることとなる」と記載されている。
また、上記段落(ウ)の【0036】、【0037】、【0038】には、それぞれ、「リーチテーブルAは、背景画像の種類が「aaa」であって、・・・「a1」?「a6」の6種類のブロック演出・・・により構成され」ること、「リーチテーブルBは、背景画像の種類が「bbb」であって、「b1」?「b7」の7種類のブロック演出・・・により構成され」ること、「リーチテーブルCは、背景画像の種類が「ccc」であって、「c1」?「c8」の8種類のブロック演出・・・により構成され」ることが記載されている。
これらの記載から、刊行物1には、リーチテーブルA,B,Cは、それぞれ、異なる背景画像を有するとともに異なる種類のブロック演出により構成され、変動パターンP2?P5に基づく図柄組み合わせゲーム中に、リーチ形成時に遊技者によって演出用ボタン25が操作され、操作回数が予め定めた回数に達した場合に、最初に選択された内容パターンが属するリーチテーブルよりも大当り信頼度が高いリーチテーブルから再選択する統括CPU27aが記載されているといえる。

(f)上記(d)の認定事項から、刊行物1には、リーチテーブルA及びリーチテーブルBは、ブロック演出の種類と実行順序が特定された特別リーチ演出を画像表示させる内容パターンを含むことが記載されているといえる。

(g)上記(ウ)の段落【0041】には、「統括CPU27aは、変動パターンP2?P5に基づく図柄組み合わせゲーム中に所定条件が成立した場合、その成立を契機に内容パターンを再選択する・・・リーチ形成時に演出用ボタン25の操作が有効となる有効期間・・・を設定し、演出用ボタン25の操作を許容する。そして、・・・操作回数が予め定めた回数に達したか否かを判定する」と記載され、上記(ウ)の段落【0042】には、「前記所定条件が成立した場合、統括CPU27aは、・・・リーチテーブルAの中から内容パターンを選択している場合、リーチテーブルBの中から内容パターンを再選択する」と記載されている。また、本願の図6(a)(b)には、演出用ボタン25の操作を許容する介入演出が、ブロック演出の開始前に設定されることも図示されている。
以上から、刊行物1には、リーチテーブルAの中から内容パターンを選択している場合、演出用ボタン25の操作を許容するブロック演出の開始前に設定された有効期間に操作回数が予め定めた回数に達した場合、統括CPU27aは、リーチテーブルBの中から内容パターンを再選択することが記載されているといえる。

(h)上記(d)の認定事項から、刊行物1には、「リーチテーブルAの中から選択されたパターン番号の内容パターン」にかかる「特別リーチ演出」を「画像表示」させることが記載されており、また、「内容パターンを再選択する場合」「リーチテーブルBの中から選択されたパターン番号の内容パターン」にかかる「特別リーチ演出」を「画像表示」することが記載されている。そして、上記(オ)の段落【0063】には、「演出用ボタン25の操作によって特別リーチ演出の演出内容を再選択する場合には、図柄組み合わせゲームの開始時に選択した演出内容よりも大当り信頼度の高い演出内容が選択される」と記載されている。
以上から、刊行物1には、再選択されたリーチテーブルBの中から選択されたパターン番号の内容パターンにかかる特別リーチ演出が画像表示されたときの大当り信頼度は、当該図柄組み合わせゲームの開始時にリーチテーブルAの中から選択されたパターン番号の内容パターンにかかる特別リーチ演出が画像表示されたときの大当り信頼度よりも高いことが記載されているといえる。

上記(ア)?(オ)の記載事項及び上記(a)?(h)の認定事項を総合すると、刊行物には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(a?hは、本願発明の構成A?Hに対応させた当審で付した。)。

「a 遊技盤13の遊技領域13aの略中央に配設された表示装置20が備える可変表示器Hでは、変動画像(又は画像表示)に基づく遊技演出(表示演出)が行われ、可変表示器Hに大当りの図柄組み合わせが確定停止表示されると、遊技者には、図柄組み合わせゲームの終了後に大当り遊技が付与されるパチンコ機10であって(認定事項(a))、
b 大当り判定用乱数の値と大当り判定値とを比較して大当りか否かを判定し、大当り判定の判定結果が肯定の場合、大当りを決定するメインCPU26aと(認定事項(b))、
c リーチテーブルA,B,Cは、それぞれ、特別リーチ演出の演出内容が異なる複数のパターンを有し、特別リーチ演出は、演出ブロックに差込まれたブロック演出を順番に実行し、演出ブロック毎に一旦図柄組み合わせが停止表示し、次ブロックの演出の開始とともに再度図柄変動が開始され、特別リーチ演出が終了し、図柄組み合わせゲームが終了すると、大当りの場合には大当り遊技へ移行し、はずれの場合には次の図柄組み合わせゲームへ移行し、統括CPU27aは、メインCPU26aが決定した変動パターンがP2?P5の場合、最初にリーチテーブルA又はBの何れにするかを決定し、その後に決定したリーチテーブルの中から一つの特別リーチ演出の演出内容のパターンを抽選して選択し(認定事項(c))、
d 決定したリーチテーブルAの中から選択されたパターン番号の内容パターンで実行すべきブロック演出の種類と実行順序をリーチテーブルAにしたがって特定し、特別リーチ演出を画像表示させ、内容パターンを再選択する場合、リーチテーブルとしてリーチテーブルBを決定し、決定したリーチテーブルBの中から選択されたパターン番号の内容パターンで実行すべきブロック演出の種類と実行順序をリーチテーブルBにしたがって特定し、特別リーチ演出を画像表示させるサブCPU28aと(認定事項(d))、
e リーチテーブルA,B,Cは、それぞれ、異なる背景画像を有するとともに異なる種類のブロック演出により構成され、変動パターンP2?P5に基づく図柄組み合わせゲーム中に、リーチ形成時に遊技者によって演出用ボタン25が操作され、操作回数が予め定めた回数に達した場合に、最初に選択された内容パターンが属するリーチテーブルよりも大当り信頼度が高いリーチテーブルから再選択する統括CPU27aと(認定事項(e))、
f リーチテーブルA及びリーチテーブルBは、ブロック演出の種類と実行順序が特定された特別リーチ演出を画像表示させる内容パターンを含んでおり(認定事項(f))、
g リーチテーブルAの中から内容パターンを選択している場合、演出用ボタン25の操作を許容するブロック演出の開始前に設定された有効期間に操作回数が予め定めた回数に達した場合、統括CPU27aは、リーチテーブルBの中から内容パターンを再選択し(認定事項(g))、
h 再選択されたリーチテーブルBの中から選択されたパターン番号の内容パターンにかかる特別リーチ演出が画像表示されたときの大当り信頼度は、当該図柄組み合わせゲームの開始時にリーチテーブルAの中から選択されたパターン番号の内容パターンにかかる特別リーチ演出が画像表示されたときの大当り信頼度よりも高い(認定事項(h))、
パチンコ機10(【0011】)。」

5.対比
本願発明と引用発明とを分説にしたがって対比する。
(a)引用発明における「遊技盤13の遊技領域13aの略中央に配設された表示装置20が備える可変表示器H」で「変動画像(又は画像表示)に基づく遊技演出(表示演出)」を「行」うのは、本願発明において、「可変表示を行」うことに相当する。引用発明の「大当り遊技」は、本願発明の「遊技者にとって有利な有利状態」に相当するから、引用発明において、「可変表示器Hに大当りの図柄組み合わせが確定停止表示されると、遊技者には、図柄組み合わせゲームの終了後に大当り遊技が付与されるパチンコ機10」は、本願発明における「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。
したがって、引用発明における構成aは、本願発明における「可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。

(b)引用発明における「メインCPU26a」が「大当り判定用乱数の値と大当り判定値とを比較して大当りか否かを判定し、大当り判定の判定結果が肯定の場合、大当りを決定する」ことは、本願発明における「決定手段」が「前記有利状態に制御するか否かを決定する」ことに相当する。
したがって、引用発明における構成bは、本願発明における「前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段」に相当する。

(c)引用発明における「リーチテーブルA,B,C」が含む「特別リーチ演出の演出内容が異なる複数のパターン」は、当該「特別リーチ演出」が「実行」される際、「演出ブロック毎に一旦図柄組み合わせが停止表示し、次ブロックの演出の開始とともに再度図柄変動が開始され」るから、本願発明における「再可変表示パターン」が「可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに仮停止させた後に再度可変表示を実行」することに相当する。
また、引用発明において、「特別リーチ演出が終了し、図柄組み合わせゲームが終了すると、大当りの場合には大当り遊技へ移行し、はずれの場合には次の図柄組み合わせゲームへ移行」することは、本願発明において、「仮停止させた後に再度可変表示を実行して前記有利状態に制御される場合と制御されない場合とがある」ことに相当する。
そして、引用発明における「統括CPU27a」が「メインCPU26aが決定した変動パターンがP2?P5の場合、最初にリーチテーブルA又はBの何れにするかを決定し、その後に決定したリーチテーブルの中から一つの特別リーチ演出の演出内容のパターンを抽選して選択」することは、本願発明における「可変表示パターン決定手段」が「複数種類の可変表示パターンのうちから1の可変表示パターンを決定する」ことに相当する。
したがって、引用発明における構成cは、本願発明における「可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに仮停止させた後に再度可変表示を実行して前記有利状態に制御される場合と制御されない場合とがある再可変表示パターンを含む複数種類の可変表示パターンのうちから1の可変表示パターンを決定する可変表示パターン決定手段」に相当する。

(d)引用発明における「決定したリーチテーブルAの中から選択されたパターン番号の内容パターン」及び「決定したリーチテーブルBの中から選択されたパターン番号の内容パターン」は、「演出ブロック毎に一旦図柄組み合わせが停止表示し、次ブロックの演出の開始とともに再度図柄変動が開始」する「特別リーチ演出」の演出内容を特定するものであり(上記c)、いずれも本願発明における「前記再可変表示パターン」に相当するから、引用発明において、「決定したリーチテーブルAの中から選択されたパターン番号の内容パターンで実行すべきブロック演出の種類と実行順序をリーチテーブルAにしたがって特定し、特別リーチ演出を画像表示させ」ること、及び、「決定したリーチテーブルBの中から選択されたパターン番号の内容パターンで実行すべきブロック演出の種類と実行順序をリーチテーブルBにしたがって特定し、特別リーチ演出を画像表示させ」ることは、いずれも本願発明において、「前記再可変表示パターンによる可変表示に対応して」「再可変表示演出」を「実行」することに相当する。
そして、引用発明における「決定したリーチテーブルAの中から選択されたパターン番号の内容パターンで実行すべきブロック演出の種類と実行順序をリーチテーブルAにしたがって特定し、特別リーチ演出を画像表示させ」ること、及び、「決定したリーチテーブルBの中から選択されたパターン番号の内容パターンで実行すべきブロック演出の種類と実行順序をリーチテーブルBにしたがって特定し、特別リーチ演出を画像表示させ」ることは、本願発明における「再可変表示演出」を「実行可能」であることに相当する。
したがって、引用発明における構成dは、本願発明における構成Dと「前記再可変表示パターンによる可変表示に対応して実行される再可変表示演出として、互いに異なる内容パターンの再可変表示演出を実行可能な再可変表示演出制御手段」である点で共通する。

(e)引用発明における「変動パターンP2?P5に基づく図柄組み合わせゲーム中に、リーチ形成時に遊技者によって演出用ボタン25が操作され、その操作回数が予め定めた回数に達した場合」は、本願発明における「移行条件が成立したとき」に相当する。
引用発明における「リーチテーブルA,B,C」は、それぞれ、「異なる背景画像を有するとともに異なる種類のブロック演出により構成され」るから、本願発明における「互いに演出態様が異なる複数のステージ」に相当する。
そうすると、引用発明における「統括CPU27a」が「最初に選択された内容パターンが属するリーチテーブル」から「最初に選択された内容パターンが属するリーチテーブルよりも大当り信頼度が高いリーチテーブル」を「再選択する」ことは、本願発明における「ステージ移行制御手段」が「互いに演出態様が異なる複数のステージのうち、いずれかのステージに移行する制御を行う」ことに相当する。
したがって、引用発明における構成eは、本願発明における「移行条件が成立したときに、互いに演出態様が異なる複数のステージのうち、いずれかのステージに移行する制御を行うステージ移行制御手段」に相当する。

(f)引用発明における「リーチテーブルA及びリーチテーブルB」は、本願発明の「複数のステージ」に対応し、また、引用発明において、「ブロック演出の種類と実行順序が特定された特別リーチ演出を画像表示させる内容パターンを含んで」いることは、本願発明の「再可変表示パターンによる可変表示を実行可能」であることに相当するから、引用発明における「リーチテーブルA及びリーチテーブルB」は、本願発明における「再可変表示パターンによる可変表示を実行可能な第1ステージ」に相当する。
したがって、引用発明における構成fは、本願発明における構成Fと「複数のステージは、前記再可変表示パターンによる可変表示を実行可能な第1ステージを含」む点で共通する。

(g)引用発明における「演出用ボタン25の操作を許容する」「有効期間」は、「リーチテーブルAの中から」「選択している」「内容パターン」に基づく「ブロック演出の開始前」に設定されているから、「ブロック演出の開始」後は、「リーチテーブルBの中から内容パターンを再選択」することはできない。
したがって、引用発明における構成gは、本願発明における構成Gと「前記第1ステージにて前記再可変表示パターンによる可変表示の実行中に、他のステージへ移行」しない点で共通する。

(h)上記(d)より、引用発明における「再選択によりリーチテーブルBの中から選択されたパターン番号の内容パターンにかかる特別リーチ演出」が「画像表示され」たこと、及び、「再選択前にリーチテーブルAの中から選択されたパターン番号の内容パターンにかかる特別リーチ演出」が「画像表示され」たことは、本願発明における「再可変表示演出」が「実行され」たことに相当する。
したがって、引用発明における構成hは、本願発明における構成Hと「互いに異なる内容パターンの再可変表示演出が実行されたときは、互いに異なる割合で前記有利状態に制御される」点で共通する。

上記(a)?(h)により、本願発明と引用発明とは、
「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
C 可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに仮停止させた後に再度可変表示を実行して前記有利状態に制御される場合と制御されない場合とがある再可変表示パターンを含む複数種類の可変表示パターンのうちから1の可変表示パターンを決定する可変表示パターン決定手段と、
D’前記再可変表示パターンによる可変表示に対応して実行される再可変表示演出として、互いに異なる内容パターンの再可変表示演出を実行可能な再可変表示演出制御手段と、
E 移行条件が成立したときに、互いに演出態様が異なる複数のステージのうち、いずれかのステージに移行する制御を行うステージ移行制御手段とを備え、
F’複数のステージは、前記再可変表示パターンによる可変表示を実行可能な第1ステージを含み、
G’前記第1ステージにて前記再可変表示パターンによる可変表示の実行中に、他のステージへ移行せず、
H’前記互いに異なる内容パターンの再可変表示演出が実行されたときは、互いに異なる割合で前記有利状態に制御される、
ことを特徴とする遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]本願発明は、「第1再可変表示演出および該第1再可変表示演出とは異なる態様の第2再可変表示演出が組み合わされた第3再可変表示演出」を「実行可能」であるのに対し、引用発明では、そのように特定されていない点。(構成D)

[相違点2]本願発明の「複数のステージ」は、「再可変表示パターンによる可変表示を実行可能な第1ステージ」と「実行不可能な第2ステージ」とを含み、「前記第1ステージにて前記再可変表示パターンによる可変表示の実行中」に「前記第2ステージへ移行」しないのに対し、引用発明の「複数のステージ」は、いずれも「再可変表示パターンによる可変表示を実行可能な第1ステージ」である点。(構成F、G)

[相違点3]本願発明は、「前記第3再可変表示演出が実行されたときは、前記第1再可変表示演出が実行されたときよりも高い割合で前記有利状態に制御される」のに対し、引用発明では、そのように特定されていない点。(構成H)

6.判断
上記相違点について、検討する。
[相違点1及び相違点3について]
相違点1と相違点3は、「第3再可変表示演出」に関するものである点で互いに関連するので、まとめて検討する。
当審における平成29年1月19日付けの拒絶理由において刊行物として引用した「CRぱちんこ 仮面ライダー ショッカー全滅大作戦,パチンコ必勝ガイド,2007.10.20号,株式会社白夜書房,2007年10月20日発行,第19巻,第26号,p.64?69」(以下、「刊行物2」という。)のp.65には、ぱちんこ機において、疑似連の演出の種類として、回転開始時にベルト役モノが激しく発光する「疑似連No.1 ベルトフラッシュ予告」と、最終回転でパワーボールが爆発しアイコンが出現する「疑似連No.2 ライダーパワータイム」とについて記載されており、特に、中段の「疑似連No.2 ライダーパワータイム」における「check2」には、「ベルトフラッシュの複合」により「大当り信頼度が4倍に」上がることが示されている。
したがって、刊行物2には、「ライダーパワータイム」なる擬似連(「第1再可変表示演出」といえる。)と、これに「ベルトフラッシュ」なる擬似連(「第2再可変表示演出」といえる。)を組み合わせ、信頼度が高くなるようにした擬似連(「第3再可変表示演出」といえる。)とを可能とすることが記載されているといえる。すなわち、「第1再可変表示演出および該第1再可変表示演出とは異なる態様の第2再可変表示演出が組み合わされた第3再可変表示演出」を「実行可能」であり、「前記第3再可変表示演出が実行されたときは、前記第1再可変表示演出が実行されたときよりも高い割合で前記有利状態に制御される」ことが記載されているといえる。
そして、遊技機の分野において、互いに信頼度が異なる再可変表示演出の演出内容をどのようなものとするかを当業者が適宜決定することは、本願の出願遡及日前に当業者が適宜なし得る事項であるから、引用発明において、刊行物2に記載の技術事項を採用し、上記相違点1及び相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

[相違点2について]
遊技機の分野において、複数のステージを有し、再可変表示パターンによる可変表示を実行可能なステージと実行不可能なステージとを含むようにすることは、本願の出願遡及日前における周知技術であり(例えば、「CRハイパー海物語INカリブ 予告篇,パチンコ必勝ガイド,2007.12.15号,株式会社白夜書房,2007年12月15日発行、第19巻,第30号,p.14?17」のp.14の下欄には、アドベンチャーモード及び海モードでは擬似連予告を搭載しているが、パイレーツモードでは擬似連予告は非搭載であることが記載されている。「CRハイパー海物語INカリブ,パチンコ必勝ガイド1.28号増刊 パチンコ年鑑2008,株式会社白夜書房,2008年1月28日発行、第20巻,第3号,p.30?41」のp.32、p.36、p.41の各頁の上欄に記載の「デジタルアクションフローチャート」にも同様の事項が示されている。)、また、再可変表示パターンによる可変表示を実行中に再可変表示パターンによる可変表示が不可能なステージに移行しないようにすることは当然のことである。
そして、遊技機の分野において、ステージの種類を増やして多様化を図ったり、ステージ間の移行条件を適宜定めることは、本願の出願遡及日前に当業者が適宜になし得る事項であるから、引用発明における「複数のステージ」に、上記周知技術を採用して、「再可変表示パターンによる可変表示を実行可能な第1ステージ」と「実行不可能な第2ステージ」とを含むようにし、「前記第1ステージにて前記再可変表示パターンによる可変表示の実行中」に「前記第2ステージへ移行」しないようにすることで上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

なお、請求人は、平成29年3月27日付け意見書の「3.本願発明と刊行物に記載された発明との対比」において、「刊行物1に記載された内容パターンが属するリーチテーブルは、いずれも第1ステージに相当し、第1ステージとは異なり再可変表示パターンによる可変表示を実行不可能な第2ステージに相当するものが」ないという旨(2頁下から2行目?3頁1行目)や「刊行物2は、疑似連の演出が複合した場合の信頼度に関して開示するものにすぎず、ステージの移行を示唆する記載などが」なく、「そのため、刊行物2に記載された技術を、刊行物1に記載された発明に適用しても、本願の請求項1に記載された「第2ステージ」の特徴を得ることはでき」ないという旨(4頁1行目?4行目)主張している。
これについて検討すると、上記[相違点2について]で示したとおり、再可変表示パターンによる可変表示を実行可能なステージと実行不可能なステージとを含むようにすることは、本願の出願遡及日前の遊技機の分野における周知技術であるから、刊行物1に記載された発明には、再可変表示パターンによる可変表示を実行不可能な第2ステージに相当するものがないという旨の上記主張は採用することができない。そして、当該「第2ステージ」は「再可変表示パターンによる可変表示を実行不可能」であるから、このことにかんがみ、「前記第1ステージにて前記再可変表示パターンによる可変表示の実行中」に「再可変表示パターンによる可変表示を実行不可能」な「前記第2ステージへ移行しない」ようにすることは、当業者が当然になし得たことである。

そして、本願発明の作用効果は、引用発明、刊行物2に記載された事項及び周知技術からみて格別なものではない。

よって、本願発明は、引用発明、刊行物2に記載された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

7.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-11 
結審通知日 2017-05-16 
審決日 2017-05-30 
出願番号 特願2013-98811(P2013-98811)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福田 知喜  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 長井 真一
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 木村 満  

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