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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61B 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B |
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管理番号 | 1330406 |
審判番号 | 不服2016-13527 |
総通号数 | 213 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-09-09 |
確定日 | 2017-08-07 |
事件の表示 | 特願2013-531783「X線システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月 5日国際公開、WO2012/044710、平成25年11月14日国内公表、特表2013-541374、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年9月28日(パリ条約による優先権主張 平成22年10月2日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成27年5月15日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月19日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年4月26日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされた。 これに対して、同年9月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正書が提出され、当審において平成29年2月8日付けで拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年6月7日に意見書及び手続補正書が提出された。 第2 原査定の概要 本願請求項1?12、15及び16に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載されている周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開平11-151233号公報 引用文献2:特開2000-133491号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3:特開2003-332098号公報(周知技術を示す文献) 第3 本願発明 本願の請求項1?14に係る発明(以下、「本願発明1」?「本願発明14」という。)は、平成29年6月7日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願発明1は以下のとおりである。 「 【請求項1】 アノードおよびカソードを有するX線管と、 前記X線管の動作から生成され、前記X線管の活性化に関連する放射量を検出するように構成されるセンサと、 前記センサによって検出された前記放射量に応じてパネルに信号を伝送するための通信デバイスと、を備え、 前記パネルは、放射線を受信し、前記受信された放射線に応じて画像信号を生成するように構成され、 前記信号は、前記パネルにもうすぐ照射される放射線について、前記パネルに通知して、それによって、前記パネルに、前記パネルの画像要素をリセットさせるための制御信号として、機能するように構成され、 前記通信デバイスは、前記パネルが前記もうすぐ照射される放射線を受信する前に、前記パネルに前記信号を伝送するように構成される、X線システム。」 なお、本願発明2?14は、本願発明1を引用し、さらに減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は参考のため当審が付与した。)。 ア 「【0017】 【発明の実施の形態】[第1の実施例]以下、本発明の第1の実施例を図面に基づいて、詳細に説明する。 【0018】図1は、本発明の第1の実施例による放射線撮影装置の概略を示したものである。 【0019】図1において、10は放射線11をパルス状に発することができる放射線源であり、放射線制御手段13により放射線のパルスのオン・オフや、放射線源内の放射線管球の管電圧、管電流が制御される。放射線源10で発した放射線11は、診断対象となる患者である被写体12を透過し、放射線11を可視光に変換する蛍光体20に入射する。この時、被写体12を透過する放射線11は、被写体12の内部の骨や内臓の大きさや形、病巣の有無により透過量が異なり、それらの像情報が含まれている。この放射線11は、蛍光体20により可視光に変換され像情報光21として放射線撮像手段22に入射する。 【0020】ここで例としてあげる放射線撮像手段22は、行列に配列された複数の光電変換素子からなり、像情報光21を電気信号に変換して蓄積し、A/D変換器26を介してディジタル画像信号として出力する。また、放射線撮像手段22は、駆動制御手段25により、撮像時間や駆動方法等が制御される。 【0021】また、駆動制御手段25は、放射線照射の開始と放射線撮像手段22の撮像動作の開始が同期するように放射線制御手段13と同期信号線が接続されている。」 イ 「【0046】[第2の実施例]つづいて、本発明の第2の実施例を図面に基づいて、詳細に説明する。 【0047】図5は、本発明の第2の実施例による放射線撮影装置の概略を示したものである。 【0048】第1の実施例との構成としての違いは、放射線制御手段13と駆動制御手段25に同期信号線が接続されていない点である。 【0049】次に図6に示す駆動タイミング図を参照し、撮影の手順を説明する。 【0050】装置の電源が投入された時点、あるいは前回の撮影後画像データが出力された時点で、駆動制御手段25は、放射線撮像手段22をリフレッシュ動作させ、既定の回数の空読み動作をさせた後に、暗電流を吐出したままの状態を維持し続け放射線照射に備えた撮像準備状態に移行させる。 【0051】次に、術者は、被写体12を観察、動作の指示等を送りながら、撮影に適すると判断した際に、放射線照射ボタン14を押す。 【0052】放射線制御手段13は、放射線照射ボタン14からの信号50を検知すると、放射線源10より放射線11を放射する。 【0053】放射線検出手段23は、放射線11を監視しており、照射放射線量に対応した出力を放射線照射タイミング判断手段24にリアルタイムで出力する。 【0054】放射線照射タイミング判断手段24は、放射線検出手段23からの信号が既定の閾値を上回ると、放射線11の照射が開始されたものと判断し、放射線照射開始検知信号56を駆動制御手段25に対して出力する。 【0055】駆動制御手段25は、放射線照射開始検知信号56を受信すると、放射線撮像手段22の撮像準備状態を終了し、撮像状態へ移行させる。 【0056】その後、放射線制御手段13は、フォトタイマ15からの出力の積算値が閾値(既定の累積放射線照射量)に達する、あるいは、放射線制御手段13にあらかじめ設定された放射線照射時間が経過すると、放射線11の照射を終了する。 【0057】この時、放射線照射タイミング判断手段24は、放射線検出手段23からの信号が既定の閾値を下回ると、放射線11の照射が終了したものと判断し、放射線照射終了検知信号57を駆動制御手段25に対して出力する。 【0058】駆動制御手段25は、放射線照射終了検知信号57を受信すると、放射線撮像手段22の撮像動作を終了し、画像データ出力可能状態へ移行させる。 【0059】その他の構成要件、作用は第1の実施例と同様である。」 ウ 図5には、以下の図面が示されている。 エ 図6には、以下の図面が示されている。 したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 放射線源10で発した放射線11は、診断対象となる患者である被写体12を透過し、放射線11を可視光に変換する蛍光体20に入射し、この放射線11は、蛍光体20により可視光に変換され像情報光21として放射線撮像手段22に入射し、放射線撮像手段22は、行列に配列された複数の光電変換素子からなり、像情報光21を電気信号に変換して蓄積し、A/D変換器26を介してディジタル画像信号として出力し、また、放射線撮像手段22は、駆動制御手段25により、撮像時間や駆動方法等が制御される、放射線撮影装置であって、 装置の電源が投入された時点、あるいは前回の撮影後画像データが出力された時点で、駆動制御手段25は、放射線撮像手段22をリフレッシュ動作させ、既定の回数の空読み動作をさせた後に、暗電流を吐出したままの状態を維持し続け放射線照射に備えた撮像準備状態に移行させ、 次に、術者は、被写体12を観察、動作の指示等を送りながら、撮影に適すると判断した際に、放射線照射ボタン14を押し、 放射線制御手段13は、放射線照射ボタン14からの信号50を検知すると、放射線源10より放射線11を放射し、 放射線検出手段23は、放射線11を監視しており、照射放射線量に対応した出力を放射線照射タイミング判断手段24にリアルタイムで出力し、 放射線照射タイミング判断手段24は、放射線検出手段23からの信号が既定の閾値を上回ると、放射線11の照射が開始されたものと判断し、放射線照射開始検知信号56を駆動制御手段25に対して出力し、 駆動制御手段25は、放射線照射開始検知信号56を受信すると、放射線撮像手段22の撮像準備状態を終了し、撮像状態へ移行させ、 その後、放射線制御手段13は、フォトタイマ15からの出力の積算値が閾値(既定の累積放射線照射量)に達する、あるいは、放射線制御手段13にあらかじめ設定された放射線照射時間が経過すると、放射線11の照射を終了し、 この時、放射線照射タイミング判断手段24は、放射線検出手段23からの信号が既定の閾値を下回ると、放射線11の照射が終了したものと判断し、放射線照射終了検知信号57を駆動制御手段25に対して出力し、 駆動制御手段25は、放射線照射終了検知信号57を受信すると、放射線撮像手段22の撮像動作を終了し、画像データ出力可能状態へ移行させる、 放射線撮影装置。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0002】 【従来の技術】X線写真撮影における自動露出制御装置はほとんどの間接撮影に用いられ、胸部、腹部等の直接撮影にも広く利用されている。この自動露出制御装置は、撮影時間を自動制御することにより、フイルム濃度を一定に保つように作動するもので、被写体を透過したX線量を電気信号に変換し、この電気量が一定値に達した時、X線を遮断し希望するフイルム濃度を得ようとするものである。図3はX線自動露出制御装置を使用したX線撮影システムを示しているが、X線高電圧装置19で撮影条件である管電圧、管電流、時間が設定された後、X線管8からX線が放射され、絞り9で有効視野に絞られて、被写体11を透過し、X線ホトタイマ検出器10に入射するとともに、X線ホトタイマ検出器10を透過してカセッテ12中のX線フイルムを露光する。X線ホトタイマ検出器10ではX線量を信号電流13に変換しX線自動露出制御装置14に入力する。信号電流13はX線ホトタイマ検出器10に入射したX線強度に比例するので、X線フイルムの露光量は信号電流13を積分した値に比例する。信号電流13が積分回路15で積分され、その積分値が濃度設定回路16の設定値と比較器17で比較され、一致すればX線遮断信号発生器18でX線遮断信号を発生し、X線高電圧装置19に送られX線の曝射が停止される。図3ではX線フイルムが装着されたカセッテ12の前面にX線ホトタイマ検出器10が置かれているが、後面に設けられる場合もある。この場合には増感紙、カセッテ後面材の吸収などが特性に大きく影響するため、一般撮影用自動露出制御(ホタイマ制御)ではカセッテ12の前面にX線ホトタイマ検出器10が置かれる。この被写体を透過してきたX線の検出機構としてのX線ホトタイマ検出器10は、従来では蛍光採光型、電離箱型、半導体型などがあるが、ここでは電離箱型のX線ホトタイマ検出器10Sについて図4により説明する。この電離箱検出方式はX線を検出するのに、X線の電離作用を利用した方式で、フレーム4と、X線の入力側と出力側のAL板5からなるチャンバの内部に、X線入力側のAL板5の内側に絶縁板20を、X線出力側のAL板5の内側に絶縁板20を設け、その表面に電極7をそれぞれ設け、両電極7を平行に対向させた構造である。内部は1気圧の空気が入れられて、両電極7間に直流の電圧が印加されている。X線がこのチャンバに入射すると、X線のエネルギーを十分吸収した気体原子は、最外殻の電子が、原子核の引力圏外まで飛び出した状態となり、原子は正に帯電する。そして電子及び正に帯電した原子は、各々電極に捕獲され、外部に信号電流13として取り出される。従来はX線を検出する手段として、空気(大気)がX線により電離された電荷を測定して検出していた。」 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0027】図1は、本発明の第一実施形態に係るX線発生装置を備えた非破壊検査システムを示す概略構成図である。本非破壊検査システム80は、被検査物5が多数載置されると共に水平方向に移動される移動ステージ2と、移動ステージ2の下方に設置され移動ステージ2に対してX線を出射するマイクロフォーカス型のX線発生装置100と、移動ステージ2及び被検査物5を透過したX線を検出し透過X線の画像を取得するX線カメラ1と、を備えており、被検査物5の非破壊検査を行うものである。 【0028】X線発生装置100は、主として、反射型ターゲット(ターゲット)27から発生するX線を上方へ出射するX線管10と、X線管10で発生するX線の線量を測定するX線モニタ(X線監視手段)30と、X線管10に対して所定の電流電圧を供給しX線を発生させる電流電圧制御装置(駆動手段)40と、を備えている。 ・・・ 【0036】さらに、本実施形態のX線発生装置100は、反射型ターゲット27から発生するX線の線量が一定となるように、電流電圧制御装置40を制御するX線線量制御装置41(X線状態制御手段)を備えている。このX線線量制御装置41は、X線モニタ30によって取得されたX線の線量に基づいて、X線の線量が一定となるように、電流電圧制御装置40が反射型ターゲット27や電子銃23に印加する電流や電圧の設定値を制御する。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「放射線源10」は、技術常識上、X線源であること明らかであるから、引用発明の「放射線源10」と、本願発明1の「アノードおよびカソードを有するX線管」とは、「X線源」という点で共通する。 イ 引用発明の「放射線検出手段23」は、「放射線11」からの「照射放射線量」を検出するものであるから、引用発明の「放射線検出手段23」と、本願発明1の「前記X線管の動作から生成され、前記X線管の活性化に関連する放射量を検出するように構成されるセンサ」とは、「前記X線源の動作から生成され、前記X線源に関連する放射量を検出するように構成されるセンサ」である点で共通する。 ウ 引用発明の「放射線照射タイミング判断手段24は、放射線検出手段23からの信号が既定の閾値を上回ると、放射線11の照射が開始されたものと判断し、放射線照射開始検知信号56を駆動制御手段25(本願発明1の「パネル」の一部に相当する)に対して出力」するものであるから、引用発明の「放射線照射タイミング判断手段24」と、本願発明1の「前記センサによって検出された前記放射量に応じてパネルに信号を伝送するための通信デバイスと、を備え、 前記パネルは、放射線(X線)を受信し、前記受信された放射線(X線)に応じて画像信号を生成するように構成され、 前記信号は、前記パネルにもうすぐ照射される放射線(X線)について、前記パネルに通知して、それによって、前記パネルに、前記パネルの画像要素をリセットさせるための制御信号として、機能するように構成され、 前記通信デバイスは、前記パネルが前記もうすぐ照射される放射線(X線)を受信する前に、前記パネルに前記信号を伝送するように構成される、」とは、 「前記センサによって検出された前記放射量に応じてパネルに信号を伝送するための通信デバイスと、を備え、 前記パネルは、放射線(X線)を受信し、前記受信された放射線(X線)に応じて画像信号を生成するように構成され、 前記信号は、前記パネルに照射される放射線(X線)について、前記パネルに通知して、それによって、前記パネルに、前記パネルの動作を制御するための制御信号として、機能するように構成され、 前記通信デバイスは、前記パネルに前記信号を伝送するように構成される」点で共通する。 エ 引用発明の「放射線撮影装置」は、本願発明1の「X線システム」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「X線源と、 前記X線源の動作から生成され、前記X線源に関連する放射量を検出するように構成されるセンサと、 前記センサによって検出された前記放射量に応じてパネルに信号を伝送するための通信デバイスと、を備え、 前記パネルは、放射線(X線)を受信し、前記受信された放射線(X線)に応じて画像信号を生成するように構成され、 前記信号は、前記パネルに照射される放射線(X線)について、前記パネルに通知して、それによって、前記パネルに、前記パネルの動作を制御するための制御信号として、機能するように構成され、 前記通信デバイスは、前記パネルに前記信号を伝送するように構成される、X線システム。」 (相違点1) X線源が、本願発明では、「アノードおよびカソードを有するX線管」であるのに対し、引用発明では、この点につき不明である点。 (相違点2) センサが、本願発明1では、X線管の「活性化」に関連する放射量を検出するのに対し、引用発明では、この点につき不明である点。 (相違点3) 通信デバイスが、本願発明1では、前記信号(X線管の活性化に関連する放射量に応じてパネルに伝送する信号)は、パネルに「もうすぐ照射される放射線(X線)」について、前記パネルに通知して、それによって、前記パネルに、前記パネルの「画像要素をリセットさせる」ための制御信号として、機能するように構成され、 前記通信デバイスは、「前記パネルが前記もうすぐ照射される放射線(X線)を受信する前に、」前記パネルに前記信号を伝送するように構成されるのに対し、引用発明では、「放射線照射開始検知信号56」(放射線照射タイミング判断手段24からの信号)は、本願発明1のように、「パネルにもうすぐ照射される放射線(X線)」について、前記パネルに通知して、それによって、前記パネルに、前記パネルの「画像要素をリセットさせる」ための制御信号でなく、「前記パネルが前記もうすぐ照射される放射線(X線)を受信する前に、」前記パネルに伝送するものでもない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み上記相違点3について検討する。 引用文献1?3のいずれの文献(上記「第4」参照。)にも、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項の構成、 すなわち、通信デバイスから、X線管の活性化に関連する放射量に応じて、パネルに伝送する信号は、 a.前記パネルにもうすぐ放射線(X線)が照射されることを、前記パネルに通知し、それによって、前記パネルに、前記パネルの画像要素をリセットさせるための制御信号として機能させ、 b.前記パネルにもうすぐ照射される放射線(X線)が受信する前に、前記パネルに伝送されること、 について記載も示唆もされていない。 したがって、引用発明において、引用文献1?3に記載された事項を考慮しても、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項の構成とはならない。そして、引用発明において、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項の構成を採用することが、単なる設計的事項であるともいえない。 よって、本願発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、当業者が引用発明及び引用文献1?3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 2.本願発明2?14について 本願発明2?14は、本願発明1を引用し、さらに減縮したものであるから、本願発明1と同様に、当業者が引用発明及び引用文献1?3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 3.小括 以上のとおりであるから、本願発明1?14は、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 第6 当審拒絶理由について 1.特許法第36条第6項第1号について (1)当審では、請求項1の「X線管の動作から生成される放射量を検出するように構成されるセンサ」という点は、発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年6月7日付けの手続補正書において、「前記X線管の動作から生成され、前記X線管の活性化に関連する放射量を検出するように構成されるセンサ」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。 (2)当審では、請求項1の「前記信号は、前記パネルにもうすぐ照射される放射線について、前記パネルに通知して、それによって、前記パネルの動作を制御するための制御信号として、機能するように構成され」という点は、発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年6月7日付けの手続補正書において、「前記信号は、前記パネルにもうすぐ照射される放射線について、前記パネルに通知して、それによって、前記パネルに、前記パネルの画像要素をリセットさせるための制御信号として、機能するように構成され」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。 2.特許法第36条第6項第2号について (1)当審では、請求項1の「X線管の動作から生成される放射量」に含まれる範囲が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年6月7日付け意見書で「段落0047に記載の放射線ビーム自体からの検出信号や、段落0048に記載の制御ボタンの押下を検出する検出信号が、含まれないことを明確にしました。」と釈明すると同時に、同日付け手続補正書において、「前記X線管の動作から生成され、前記X線管の活性化に関連する放射量」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。 、 (2)当審では、請求項9及び10の「可変積分期間」の決め方が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年6月7日付けの手続補正書において、補正前請求項9及び10は削除された結果、この拒絶の理由は解消した。 (3)当審では、請求項11の「前記信号が所定期間受信された後」という記載の意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年6月7日付け手続補正書において、「前記信号の前記伝送からまたは前記センサが検出してから所定期間が経過した後」補正された結果、この拒絶の理由は解消した。 3.小括 以上のとおりであるから、当審拒絶理由はいずれも解消した。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-07-20 |
出願番号 | 特願2013-531783(P2013-531783) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(A61B)
P 1 8・ 537- WY (A61B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 九鬼 一慶 |
特許庁審判長 |
三崎 仁 |
特許庁審判官 |
▲高▼見 重雄 郡山 順 |
発明の名称 | X線システム |
代理人 | 近藤 直樹 |
代理人 | 西島 孝喜 |
代理人 | 大塚 文昭 |
代理人 | 岸 慶憲 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 須田 洋之 |
代理人 | 上杉 浩 |
代理人 | 弟子丸 健 |