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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1330598
審判番号 不服2016-13075  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-31 
確定日 2017-07-20 
事件の表示 特願2013-272517号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年7月9日出願公開、特開2015-126762号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本件は、平成25年12月27日の出願であって、平成27年5月11日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月10日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月11日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成28年2月15日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年5月30日付けで、同年2月15日に提出された手続補正書でした補正の却下の決定がなされ、同日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年6月7日)、それに対し、同年8月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成28年8月31日付けの手続補正についての補正却下の決定
平成28年8月31日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の補正を含んでおり、本件補正により、平成27年7月10日付けの手続補正書における特許請求の範囲の請求項1における
「複数の図柄がそれぞれの周面に配された複数のリールと、
前記複数のリールの周面に配された複数の図柄のうち、一部の図柄を表示する図柄表示手段と、
遊技者による開始操作を検出する開始操作検出手段と、
前記開始操作検出手段により、遊技者による開始操作が検出されたことに基づいて、当選役を決定する当選役決定手段と、
前記開始操作が検出されたことに基づいて、前記複数のリールを回転させることにより、前記複数の図柄を前記図柄表示手段に変動表示させる図柄変動手段と、
前記複数のリールそれぞれに対応して設けられ、遊技者による停止操作を検出する停止操作検出手段と、
前記停止操作検出手段により遊技者による停止操作が検出されたことと、前記当選役決定手段により決定された当選役とに基づいて、前記図柄変動手段により変動表示されている図柄の停止制御を行う停止制御手段と、
前記停止制御手段により前記複数の図柄の変動表示が全て停止されたことを条件に、予め定められた図柄の組み合わせが表示されたか否かを判定する判定手段と、
前記当選役決定手段により、特定の図柄の組み合わせを表示することが許容される特定の当選役が決定されたことに基づいて、当該特定の当選役に係る情報を記憶する記憶手段と、
遊技者にとって相対的に不利な不利遊技状態において、前記当選役決定手段により前記特定の当選役が決定されたことに基づいて、前記当選役決定手段により再遊技が決定される確率が、前記不利遊技状態と比較して高い第1高確率再遊技状態へ移行させる制御を行う第1高確率再遊技状態移行制御手段と、
前記判定手段により所定の当選役に係る図柄の組み合わせが表示されたことに基づいて、前記当選役決定手段により再遊技が決定される確率が、前記不利遊技状態と比較して高い第2高確率再遊技状態へ移行させる制御を行う第2高確率再遊技状態移行制御手段と、
前記第2高確率再遊技状態移行制御手段により前記第2高確率再遊技状態に移行された後、所定の遊技数の遊技が行われたことに基づいて、前記第2高確率再遊技状態から前記不利遊技状態へ移行させる制御を行う不利遊技状態移行制御手段と、
前記判定手段により前記特定の図柄の組み合わせが表示されたと判定されたことに基づいて、前記不利遊技状態と比較して遊技者にとって有利な特定遊技状態へ移行させる制御を行う特定遊技状態移行制御手段と、
前記第1高確率再遊技状態移行制御手段により前記第1高確率再遊技状態へ移行された後、前記停止制御手段により前記特定の図柄の組み合わせの停止が許容されている場合において、前記特定の図柄の組み合わせが表示されなかったことに基づいて、前記記憶手段により前記特定の当選役に係る情報が記憶されていることを報知する報知手段と、
を備え、
前記当選役決定手段は、
前記特定の当選役と、前記所定の当選役を同時に決定することが可能であることを特徴とする遊技機。」は、

審判請求時に提出された手続補正書(平成28年8月31日付け)における
「A 複数の図柄がそれぞれの周面に配された複数のリールと、
B 前記複数のリールの周面に配された複数の図柄のうち、一部の図柄を表示する図柄表示手段と、
C 遊技者による開始操作を検出する開始操作検出手段と、
D 前記開始操作検出手段により、遊技者による開始操作が検出されたことに基づいて、当選役を決定する当選役決定手段と、
E 前記開始操作が検出されたことに基づいて、前記複数のリールを回転させることにより、前記複数の図柄を前記図柄表示手段に変動表示させる図柄変動手段と、
F 前記複数のリールそれぞれに対応して設けられ、遊技者による停止操作を検出する停止操作検出手段と、
G 前記停止操作検出手段により遊技者による停止操作が検出されたことと、前記当選役決定手段により決定された当選役とに基づいて、前記図柄変動手段により変動表示されている図柄の停止制御を行う停止制御手段と、
H 前記停止制御手段により前記複数の図柄の変動表示が全て停止されたことを条件に、予め定められた図柄の組み合わせが表示されたか否かを判定する判定手段と、
I 前記当選役決定手段により、特定の図柄の組み合わせを表示することが許容される特定の当選役が決定されたことに基づいて、当該特定の当選役に係る情報を記憶する記憶手段と、
J 遊技者にとって相対的に不利な不利遊技状態において、前記当選役決定手段により前記特定の当選役が決定されたことに基づいて、前記当選役決定手段により再遊技が決定される確率が、前記不利遊技状態と比較して高い第1高確率再遊技状態へ移行させる制御を行う第1高確率再遊技状態移行制御手段と、
K 前記判定手段により所定の当選役に係る図柄の組み合わせが表示されたことに基づいて、前記当選役決定手段により再遊技が決定される確率が、前記不利遊技状態と比較して高い第2高確率再遊技状態へ移行させる制御を行う第2高確率再遊技状態移行制御手段と、
L 前記第2高確率再遊技状態移行制御手段により前記第2高確率再遊技状態に移行された後、所定の遊技数の遊技が行われたことに基づいて、前記第2高確率再遊技状態から前記不利遊技状態へ移行させる制御を行う不利遊技状態移行制御手段と、
M 前記判定手段により前記特定の図柄の組み合わせが表示されたと判定されたことに基づいて、前記不利遊技状態と比較して遊技者にとって有利な特定遊技状態へ移行させる制御を行う特定遊技状態移行制御手段と、
N 前記記憶手段により前記特定の当選役に係る情報が記憶されていることを報知する報知手段と、
を備え、
O 前記特定の当選役は、
第1の特定の当選役と、前記第1の特定の当選役とは異なる第2の特定の当選役により構成されており、
P 前記当選役決定手段は、
前記第1の特定の当選役と、前記所定の当選役を同時に決定することが可能であるとともに、前記第2の特定の当選役と、前記所定の当選役を同時に決定することが可能であり、
Q 前記報知手段は、
Q1 前記記憶手段により前記特定の当選役に係る情報が記憶されている場合において、前記当選役決定手段により当選役としてハズレが決定され、前記特定の図柄の組み合わせが表示されなかった場合に、前記特定の当選役に係る情報が前記記憶手段に記憶されていることを報知する第1報知演出を実行可能とするとともに、
Q2 前記第1報知演出が実行された次の遊技において、前記第1の特定の当選役に係る情報が前記記憶手段に記憶されているか、または前記第2の特定の当選役に係る情報が前記記憶手段に記憶されているかを報知する第2報知演出を実行可能とすることを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。また、A?Q2は、当審にて分説して付与した。)。

2 補正の目的
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「報知手段」に関して、「前記第1高確率再遊技状態移行制御手段により前記第1高確率再遊技状態へ移行された後、前記停止制御手段により前記特定の図柄の組み合わせの停止が許容されている場合において、前記特定の図柄の組み合わせが表示されなかったことに基づいて、前記記憶手段により前記特定の当選役に係る情報が記憶されていることを報知する報知手段」「を備え」を「前記記憶手段により前記特定の当選役に係る情報が記憶されていることを報知する報知手段」「を備え」、「前記報知手段は、前記記憶手段により前記特定の当選役に係る情報が記憶されている場合において、前記当選役決定手段により当選役としてハズレが決定され、前記特定の図柄の組み合わせが表示されなかった場合に、前記特定の当選役に係る情報が前記記憶手段に記憶されていることを報知する第1報知演出を実行可能とするとともに、前記第1報知演出が実行された次の遊技において、前記第1の特定の当選役に係る情報が前記記憶手段に記憶されているか、または前記第2の特定の当選役に係る情報が前記記憶手段に記憶されているかを報知する第2報知演出を実行可能とする」と限定する(以下「補正イ」という。)と共に、
補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「当選役決定手段」に関して、「前記特定の当選役と、前記所定の当選役を同時に決定することが可能である」を、「前記第1の特定の当選役と、前記所定の当選役を同時に決定することが可能であるとともに、前記第2の特定の当選役と、前記所定の当選役を同時に決定することが可能であ」ると、「特定の当選役」に「第1の特定の当選役」、「第1の特定の当選役とは異なる第2の特定の当選役」のあることを限定する(以下「補正ロ」という。)ものである。

そこで、上記「補正イ」について検討する。
まず、上記補正イのうち、「報知手段」の実行条件に関して、「前記第1高確率再遊技状態移行制御手段により前記第1高確率再遊技状態へ移行された後、前記停止制御手段により前記特定の図柄の組み合わせの停止が許容されている場合において、前記特定の図柄の組み合わせが表示されなかったことに基づいて」とあったものを、「前記記憶手段により前記特定の当選役に係る情報が記憶されている場合において、前記当選役決定手段により当選役としてハズレが決定され、前記特定の図柄の組み合わせが表示されなかった場合」とする点について検討する。

本件補正後の「前記記憶手段により前記特定の当選役に係る情報が記憶され」るのは、本件補正後の構成Iによると、「当選役決定手段により、特定の図柄の組み合わせを表示することが許容される特定の当選役が決定されたことに基づ」くものである。
ここで、本件補正後の構成Gによると、上記構成Iの「特定の図柄の組み合わせ」の停止表示は、「停止制御手段」により行われるものである。
さらに、本件補正後の構成Jによると、「当選役決定手段により特定の当選役が決定されたことに基づいて」、「第1高確率再遊技状態移行制御手段」は、「第1高確率再遊技状態へ移行させる制御を行う」ものである。
したがって、本件補正後の「前記記憶手段により前記特定の当選役に係る情報が記憶されている場合」は、「当選役決定手段により、特定の図柄の組み合わせを表示することが許容される特定の当選役が決定され」、「第1高確率再遊技状態移行制御手段」により、「第1高確率再遊技状態へ移行さ」れ、「停止制御手段」により、「特定の図柄の組み合わせ」の停止表示が許容されている場合であるといえる。
そうすると、本件補正後の「前記記憶手段により前記特定の当選役に係る情報が記憶されている場合において、前記当選役決定手段により当選役としてハズレが決定され、前記特定の図柄の組み合わせが表示されなかった場合」は、本件補正前の「前記第1高確率再遊技状態移行制御手段により前記第1高確率再遊技状態へ移行された後、前記停止制御手段により前記特定の図柄の組み合わせの停止が許容されている場合において、前記特定の図柄の組み合わせが表示されなかったことに基づ」くことに対応する構成を含み、さらに、「前記当選役決定手段により当選役としてハズレが決定され」た場合であることを限定するものである。

そして、上記補正イは、「報知手段」の実行条件に関して、「前記特定の当選役に係る情報が前記記憶手段に記憶されていることを報知する第1報知演出を実行可能とするとともに、前記第1報知演出が実行された次の遊技において、前記第1の特定の当選役に係る情報が前記記憶手段に記憶されているか、または前記第2の特定の当選役に係る情報が前記記憶手段に記憶されているかを報知する第2報知演出を実行可能とする」ことを限定するものである。

ここで、上記補正イ、上記補正ロについて、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

また、本件補正は新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)刊行物
(1-1)刊行物1
平成28年5月30日付けの補正の却下の決定において提示された、本件の出願前に頒布された刊行物である特開2012-45054号公報(以下「刊行物1」という。)には、スロットマシンに関して、図面と共に次の事項が記載されている(下線は審決にて付した。以下同じ。)。

ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、特別役の当選時に、当選した特別役と異なる特別役に当選した旨の矛盾報知を行う場合があるスロットマシンに関するものである。」

イ「【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。なお、かっこ書きにて対応する実施形態を示す。
請求項1の発明は、役を構成する図柄を含む複数種類の図柄を表示した複数のリール(左、中及び右リール31)と、前記リールの回転を開始させるときに遊技者が操作するスタートスイッチ(41)と、各前記リールごとに設けられ、対応する前記リールを停止させるときに遊技者が操作するストップスイッチ(42)と、前記スタートスイッチが操作されたときに、遊技者にとって有利となる特別遊技(SBB遊技、NBB遊技又はRB遊技)に移行させるための特別役であって第1特別役(RB)及びこの第1特別役よりもさらに遊技者にとって有利となる第2特別役(NBB及びSBB)、所定役(「PB=1」である小役2及びリプレイ)、並びに特定役(「PB≠1」であるが特定条件下では常に入賞する小役1)を含む役の抽選を行う役抽選手段(61)と、前記スタートスイッチが操作されたときに前記リールの回転を開始するとともに、前記ストップスイッチが操作されたときに、前記役抽選手段による役の抽選結果に基づいて前記リールを停止制御するリール制御手段(64)と、前記役抽選手段で前記特別役に当選したときに、当選した前記特別役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止するまで、前記特別役の当選を次遊技に持ち越す特別役当選持越し手段(63)とを備え、・・・前記第2特別役に当選した旨の適正報知を行うように制御することを特徴とする。」

ウ「【0021】また、スタートスイッチ41は、(左、中、右のすべての)リール31を始動させるときに遊技者が操作するスイッチである。
さらにまた、(左、中、右)ストップスイッチ42は、3つ(左、中、右)のリール31に対応して3つ設けられ、対応するリール31を停止させるときに遊技者が操作するスイッチである。
・・・
【0023】
リール31は、リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役に対応する図柄の組合せを構成している図柄)を印刷したリールテープを貼付したものである。図2は、本実施形態におけるリール31の図柄配列を示す図である。図2では、図柄番号を併せて図示している。図2に示すように、本実施形態では、各リール31ごとに、21個の図柄表示領域が等間隔で配置されているとともに(図柄コマ数が21個)、各図柄表示領域にそれぞれ所定の図柄が表示されている。
【0024】
また、図3は、スロットマシン10のフロントマスク部(前面扉。図示せず。)に設けられた表示窓(透明窓)11と、各リール31との位置関係を示す図である。各リール31は、本実施形態では横方向に並列に3個(左リール31、中リール31、及び右リール31)設けられている。さらに、各リール31は、表示窓11から、上下に連続する3図柄が見えるように配置されている。よって、スロットマシン10の表示窓11から、合計3×3=9個の図柄が見えるように配置されている。」

エ「【0030】
また、スピーカ22は、遊技中に各種の演出を行うべく、所定の条件を満たしたときに、所定のサウンドを出力するものである。
さらにまた、画像表示装置23は、液晶ディスプレイやドットディスプレイ等からなるものであり、遊技中に各種の演出画像や当選役の報知等を表示するものである。
【0031】
図4は、本実施形態における役(後述する役抽選手段61で抽選される役)の種類、払出し枚数等、及び図柄の組合せ等を示す図である。図4に示すように、役としては、特別役、小役、及びリプレイが設けられている。
そして、各役に対応する図柄の組合せ及び入賞時の払出し枚数等が定められている。これにより、すべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止する(その役が入賞する)と、その役に対応する枚数のメダルが払い出される。ただし、特別役入賞時には払出しはない。また、リプレイ入賞時は、当該遊技で投入されたメダル枚数が自動投入される。
さらにまた、図4の小役2?小役6の払出しにおいて、かっこ書きは特別遊技中の払出し枚数を示している。例えば小役2は、通常遊技中は8枚の払出しであるが、特別遊技中は15枚の払出しとなる。
なお、本明細書では、説明の便宜上、いずれかの役に対応する図柄の組合せがいずれかの有効ラインに停止したことを、「その役が“入賞”した」と称する。
【0032】
役において、まず、特別役とは、通常遊技から特別遊技(通常遊技以上に出玉率が高く、遊技者にとって有利な遊技)に移行させる役である。本実施形態では、特別役として、BB(ビッグボーナス)及びRB(レギュラーボーナス)が設けられ、さらに、BBとして、SBB(スーパーBB)及びNBB(ノーマルBB)が設けられている。SBBが入賞すると、当該遊技におけるメダルの払い出しはないが、次遊技から、特別遊技の1つであるSBB遊技に移行する。同様に、NBBが入賞すると、当該遊技におけるメダルの払い出しはないが、次遊技から、特別遊技の他の1つであるNBB遊技に移行し、また、RBが入賞すると、当該遊技におけるメダルの払い出しはないが、次遊技から、特別遊技の他の1つであるRB遊技に移行する。
また、SBB、NBB、及びRBは、独立した役(別フラグ)である。」

オ 「【0036】
上述した各役において、役に当選した遊技でその役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止しなかったときは、次遊技以降に持ち越される役と、持ち越されない役とが定められている。
持ち越される役としては、特別役(SBB、NBB及びRB)が挙げられる。特別役に当選したときは、リール31の停止時に、特別役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止するまでの遊技において、特別役の当選を次遊技以降に持ち越すように制御される。
・・・
【0039】
遊技の開始時には、遊技者は、ベットスイッチ40を操作して予め貯留されたメダルを投入するか、又はメダル投入口からメダルを投入し、スタートスイッチ41を操作(オン)する。スタートスイッチ41が操作されると、そのときに発生する信号が遊技制御手段50に入力される。遊技制御手段50(具体的には、後述するリール制御手段64)は、この信号を受信すると、すべてのモータ32を駆動制御して、すべてのリール31を回転させるように制御する。このようにしてリール31がモータ32によって回転されることで、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓11内で上下方向に移動表示される。
【0040】
そして、遊技者は、ストップスイッチ42を押すことで、そのストップスイッチ42に対応するリール31(例えば、左ストップスイッチ42に対応する左リール31)の回転を停止させる。ストップスイッチ42が操作されると、そのときに発生する信号が遊技制御手段50に入力される。遊技制御手段50(具体的には、後述するリール制御手段64)は、この信号を受信すると、そのストップスイッチ42に対応するモータ32を駆動制御して、そのモータ32に係るリール31の停止制御を行う。そして、すべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したとき(すなわち、その役の入賞となったとき)は、入賞した役に対応するメダルの払出し等が行われる。
・・・
【0042】
役抽選手段61は、役(上述した特別役、小役及びリプレイ)の抽選を行うものである。役抽選手段61は、例えば、役抽選用の乱数発生手段(ハードウェア乱数等)と、この乱数発生手段が発生する乱数を抽出する乱数抽出手段と、乱数抽出手段が抽出した乱数値に基づいて、役の当選の有無及び当選役を判定する判定手段とを備えている。
【0043】
乱数発生手段は、所定の領域(例えば10進法で0?65535)の乱数を発生させる。乱数は、例えば200n(ナノ)secで1カウントを行うカウンターが0?65535の範囲を1サイクルとしてカウントし続ける乱数であり、スロットマシン10の電源が投入されている間は、乱数をカウントし続ける。
【0044】
乱数抽出手段は、乱数発生手段によって発生した乱数を、所定の時、本実施形態では遊技者によりスタートスイッチ41が操作(オン)された時に抽出する。判定手段は、乱数抽出手段により抽出された乱数値を、後述する役抽選テーブル62と照合することにより、その乱数値が属する領域に対応する役を決定する。例えば、抽出した乱数値がSBBの当選領域に属する場合は、SBBの当選と判定し、非当選領域に属する場合は、非当選と判定する。
【0045】
役抽選テーブル62は、抽選される役の種類と、各役の当選確率とを定めたものである。図5及び図6は、本実施形態における役抽選テーブル62(62A?62D)を示す図である。役抽選テーブル62は、遊技状態ごとに設けられている。役抽選テーブル62は、それぞれ所定の範囲の抽選領域を有し、この抽選領域は、各役の当選領域及び非当選領域に分けられているとともに、抽選される役が、予め設定された当選確率となるように所定の割合に設定されている。
【0046】
まず、本実施形態の「遊技状態」としては、通常遊技、RT遊技及び特別遊技を備える。
「通常遊技」とは、RT遊技及び特別遊技以外の遊技状態をいう。本実施形態では、通常遊技は、非RT、かつ非内部中の遊技である。例えば、スロットマシン10の電源投入後に移行するデフォルトとしての遊技状態が、通常遊技である。
【0047】
「RT(Replay Time )遊技」とは、通常遊技とリプレイの当選確率が異なるように設定された遊技である。本実施形態では、RT遊技は、リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている。また、本実施形態では、RT遊技として、RT1遊技及びRT2遊技を備えている。さらにまた、本実施形態では、RT1遊技は、非内部中の遊技であり、また、RT2遊技は、内部中の遊技である。
「特別遊技」とは、本実施形態ではSBB遊技、NBB遊技及びRB遊技に相当する。
【0048】
図5において、役抽選テーブル62Aは、通常遊技(非RT遊技、非内部中)で用いられる役抽選テーブル62である。
役抽選テーブル62Aでは、SBB、SBB+小役1、NBB、NBB+小役1、RB、RB+小役1、小役1、小役2、小役3、小役4、小役5、小役6及びリプレイの各当選領域及び非当選領域が設けられている。
【0049】
ここで、図5及び図6中、「+」とは、重複当選を示している。例えば、「SBB+小役1」とは、SBBと小役1との重複当選を意味する。また、重複当選とは、重複して定められている全ての役が、当該遊技で同時に当選することを意味する。
そして、図5及び図6に示すように、本実施形態では、SBB、NBB及びRBの各特別役は、それぞれ単独当選する場合と、小役1と重複当選する場合とがある。また、小役1についても、単独当選する場合と、いずれかの特別役と重複当選する場合とがある。」

カ「【0053】
また、本実施形態では、一旦特別役に当選すると、当選した特別役が入賞するまで、内部中になると同時に、RT2遊技中になる。その間、特別役は抽選されず、かつ、リプレイの当選確率が、通常遊技中よりも高くなる。
なお、上述したように、本明細書において「内部中」とは、特別役に当選した遊技を含む意味で用いているが、役の抽選においては、特別役に当選する遊技まで役抽選テーブル62Aが用いられ、特別役に当選した遊技の次遊技から、特別役が入賞するまでの遊技で、役抽選テーブル62Cが用いられる。
・・・
【0055】
説明を図1に戻す。
当選フラグ制御手段63は、役抽選手段61による役の抽選結果に基づいて、各役に対応する当選フラグ63aのオン/オフを制御するものである。本実施形態では、当選役に対応するように、SBB、NBB、RB、小役1、小役2、小役3、小役4、小役5、小役6、及びリプレイの各当選フラグ63aを備える。そして、役抽選手段61による役の抽選において当選したときは、対応する役の当選フラグ63aをオンにする(当選フラグ63aを立てる)。例えば、リプレイに当選したときは、リプレイに係る当選フラグ63aがオンとなり、それ以外の役の当選フラグ63aはオフのままである。」
キ「【0125】
説明を図1に戻す。
停止図柄判断手段66は、第1に、各リール31の停止時ごとに、有効ラインに停止した図柄を判断する。また第2に、すべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したか否かを判断する。停止図柄判断手段66は、例えばモータ32の停止時の角度やステップ数等を検知することにより、有効ライン上の図柄を判断する。
・・・
【0131】
遊技状態制御手段69は、遊技状態の移行を制御するものである。
図7は、遊技状態の移行を説明する図である。以下、図7に基づき説明する。
先ず、遊技状態制御手段69は、通常遊技中(非内部中、非RT遊技中)に、小役1に対応する「スイカ」-「スイカ」-「スイカ」の図柄の組合せがいずれかの有効ラインに停止するか、又は小役1に対応する「スイカ」-「スイカ」-「スイカ」の図柄の組合せを最大移動図柄数の範囲内では有効ラインに停止させることができなかったときに出現する停止出目である、小役1こぼし目が表示されると、次遊技から、RT1遊技(非内部中)に移行するように制御する。
・・・
【0133】
また、本実施形態では、RT1遊技の終了条件は、RT1遊技中の遊技回数が規定回数(3回)に到達したことに設定されている。そして、遊技状態制御手段69は、RT1遊技に移行したときは、毎遊技、遊技回数をカウントするとともに、RT1遊技中の遊技回数が前記規定回数に到達したときは、RT1遊技の終了条件を満たすと判断し、当該遊技をもってRT1遊技を終了して、次遊技から、通常遊技に移行するように制御する。
【0134】
さらにまた、遊技状態制御手段69は、通常遊技中(非内部中、非RT遊技中)又はRT1遊技中に、特別役(SBB、NBB又はRB)に当選した場合において、当該遊技で当選した特別役が入賞しなかったときは、次遊技から、RT2遊技(内部中)に移行するように制御する。そして、遊技状態制御手段69は、RT2遊技中において、当選したSBBが入賞したときは、次遊技から、SBB遊技に移行し、また、当選したNBBが入賞したときは、次遊技から、NBB遊技に移行し、さらにまた、当選したRBが入賞したときは、次遊技から、RB遊技に移行するように制御する。」

ク「【0140】
そして、この特別役が入賞するまでの複数回の遊技の間に、まず、前記規定回数(3回)と同じ遊技回数だけ、前記連続演出と同様の連続演出を行う。次に、この連続演出が終了するまでに、いずれかの特別役に当選した旨(ボーナス確定)を報知する。すなわち、特別役当選後、3回の遊技にわたって連続演出を行い、3回目の遊技が終了するまでに、ボーナス確定の報知を行う。その後、矛盾報知を複数回の遊技にわたって行い、報知内容の変化を経て、最終的には適正報知を行う。これにより、当選した特別役の種類(対応する図柄の組合せ)が次第に判別するようにする。このような一連の演出により、遊技者に期待感を与え続けることができる。
【0141】
なお、連続演出のパターンとして、例えば、主人公のキャラクターと敵のキャラクターとが戦う様子を前記規定回数(3回)の遊技にわたって表示するものを挙げることができる。そして、RT1遊技に移行した(特別役には当選しなかった)ときには、連続演出の最後に主人公のキャラクターが戦いに負ける様子を表示するパターンとし、一方、RT2遊技に移行した(いずれかの特別役に当選した)ときには、連続演出の最後に主人公のキャラクターが敵のキャラクターを倒して戦いに勝つ様子を表示するパターンとすることができる。そして、主人公のキャラクターが戦いに勝つ様子を表示した後、ボーナス確定の画像表示を行うことにより、いずれかの特別役に当選したことを遊技者に知らせ、その後、矛盾報知及び適正報知を行うことにより、当選した特別役の種類を遊技者に知らせることができる。
・・・
【0146】
図1において、演出制御手段70は、ランプ21、スピーカ22、及び画像表示装置23からの演出の出力を制御するものである。
演出制御手段70の演出パターン記憶手段71は、複数種類の演出パターンを記憶しているものである。そして、演出制御手段70の演出パターン選択手段72は、遊技の開始時等に、役抽選手段61による役の抽選が行われた後、ソフトウェア乱数を用いた抽選によって、遊技状態(通常遊技(非RT遊技、かつ非内部中)、RT1遊技(非内部中)、RT2遊技(内部中)、特別遊技(SBB遊技、NBB遊技、又はRB遊技))に応じて、役の抽選結果に対応するいずれか1つの演出パターンを選択する。」

ケ 上記【0055】の「当選フラグ制御手段63は、役抽選手段61による役の抽選結果に基づいて、各役に対応する当選フラグ63aのオン/オフを制御するものである。」との記載、上記【0036】の「持ち越される役としては、特別役(SBB、NBB及びRB)が挙げられる。」との記載から、刊行物1には、「役抽選手段61による役の抽選結果に基づいて、特別役(SBB、NBB及びRB)に対応する各当選フラグ63aのオン/オフを制御する当選フラグ制御手段63」について記載されていると認められる。

コ 上記【0134】の「遊技状態制御手段69は、通常遊技中(非内部中、非RT遊技中)又はRT1遊技中に、特別役(SBB、NBB又はRB)に当選した場合において、当該遊技で当選した特別役が入賞しなかったときは、次遊技から、RT2遊技(内部中)に移行するように制御する。」との記載、上記【0053】の「本実施形態では、一旦特別役に当選すると、当選した特別役が入賞するまで、内部中になると同時に、RT2遊技中になる。その間、特別役は抽選されず、かつ、リプレイの当選確率が、通常遊技中よりも高くなる。」との記載、上記【0007】の「遊技者にとって有利となる特別遊技(SBB遊技、NBB遊技又はRB遊技)に移行させるための特別役」との記載から、刊行物1には、「通常遊技中に、遊技者にとって有利となる特別遊技(SBB遊技、NBB遊技又はRB遊技)に移行させるための特別役(SBB、NBB又はRB)に当選した場合において、当該遊技で当選した特別役が入賞しなかったときは、次遊技から、リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている、RT2遊技(内部中)に移行するように制御する遊技状態制御手段69」について記載されていると認められる。

サ 上記【0131】の「先ず、遊技状態制御手段69は、通常遊技中(非内部中、非RT遊技中)に、小役1に対応する「スイカ」-「スイカ」-「スイカ」の図柄の組合せがいずれかの有効ラインに停止するか、又は小役1に対応する「スイカ」-「スイカ」-「スイカ」の図柄の組合せを最大移動図柄数の範囲内では有効ラインに停止させることができなかったときに出現する停止出目である、小役1こぼし目が表示されると、次遊技から、RT1遊技(非内部中)に移行するように制御する。」との記載、上記【0047】の「「RT(Replay Time )遊技」とは、通常遊技とリプレイの当選確率が異なるように設定された遊技である。本実施形態では、RT遊技は、リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている。また、本実施形態では、RT遊技として、RT1遊技及びRT2遊技を備えている。」との記載から、刊行物1には、「遊技状態制御手段69は、小役1に対応する図柄の組合せがいずれかの有効ラインに停止すると、次遊技から、リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている、RT1遊技(非内部中)に移行するように制御する」ことが記載されていると認められる。

シ 上記【0146】の「図1において、演出制御手段70は、ランプ21、スピーカ22、及び画像表示装置23からの演出の出力を制御するものである。」との記載、上記【0140】の「特別役当選後、3回の遊技にわたって連続演出を行い、3回目の遊技が終了するまでに、ボーナス確定の報知を行う。」との記載、上記【0030】の「さらにまた、画像表示装置23は、液晶ディスプレイやドットディスプレイ等からなるものであり、遊技中に各種の演出画像や当選役の報知等を表示するものである。」との記載から、刊行物1には、「演出制御手段70は、特別役当選後、3回の遊技にわたって連続演出を行い、3回目の遊技が終了するまでに、ボーナス確定の画像表示を画像表示装置23にて行」うことが記載されていると認められる。

ス 上記【0042】の「役抽選手段61は、役(上述した特別役、小役及びリプレイ)の抽選を行うものである。役抽選手段61は、例えば、役抽選用の乱数発生手段(ハードウェア乱数等)と、この乱数発生手段が発生する乱数を抽出する乱数抽出手段と、乱数抽出手段が抽出した乱数値に基づいて、役の当選の有無及び当選役を判定する判定手段とを備えている。」との記載、上記【0044】の「判定手段は、乱数抽出手段により抽出された乱数値を、後述する役抽選テーブル62と照合することにより、その乱数値が属する領域に対応する役を決定する。」との記載、上記【0048】の「役抽選テーブル62Aでは、SBB、SBB+小役1、NBB、NBB+小役1、RB、RB+小役1、小役1、小役2、小役3、小役4、小役5、小役6及びリプレイの各当選領域及び非当選領域が設けられている。」との記載から、刊行物1には、「役抽選手段61は、SBB、SBB+小役1、NBB、NBB+小役1、RB、RB+小役1、小役1、小役2、小役3、小役4、小役5、小役6及びリプレイの各当選領域及び非当選領域が設けられている役抽選テーブル62Aを照合して、役を決定する判定手段を備え」ることが記載されていると認められる。

セ 上記ア?クの記載事項、及び、上記ケ?スの認定事項を総合すると、刊行物1には次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる(a?q2は、本件補正発明のA?Q2に対応させて付与した。)。
「a リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役に対応する図柄の組合せを構成している図柄)を印刷したリールテープを貼付した複数のリール31(左、中及び右リール)(【0007】、【0023】)と、
b 各リール31の上下に連続する3図柄が見えるようにした表示窓11(【0024】)と、
c スタートスイッチ41が操作されるときに発生する信号が入力されるリール制御手段64(【0039】)と、
d スタートスイッチ41が操作されたときに、遊技者にとって有利となる特別遊技に移行させるための特別役であって第1特別役及びこの第1特別役よりもさらに遊技者にとって有利となる第2特別役、所定役、並びに特定役を含む役の抽選を行う役抽選手段(【0007】)と、
e スタートスイッチ41が操作されると、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓11内で上下方向に移動表示させるリール制御手段64(【0039】)と、
f (左、中、右)ストップスイッチ42が操作されるときに発生する信号が入力される遊技制御手段50(【0021】、【0040】)と、
g ストップスイッチ42が操作されたときに、役抽選手段による役の抽選結果に基づいてリールを停止制御するリール制御手段64(【0007】)と、
h すべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したか否かを判断する停止図柄判断手段66(【0125】)と、
i 役抽選手段61による役の抽選結果に基づいて、特別役(SBB、NBB及びRB)に対応する各当選フラグ63aのオン/オフを制御する当選フラグ制御手段63と(認定事項ケ)、
j 通常遊技中に、遊技者にとって有利となる特別遊技(SBB遊技、NBB遊技又はRB遊技)に移行させるための特別役(SBB、NBB又はRB)に当選した場合において、当該遊技で当選した特別役が入賞しなかったときは、次遊技から、リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている、RT2遊技(内部中)に移行するように制御する遊技状態制御手段69(認定事項コ)と
を備え、
k 遊技状態制御手段69は、小役1に対応する図柄の組合せがいずれかの有効ラインに停止すると、次遊技から、リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている、RT1遊技(非内部中)に移行するように制御し認定事項サ)、
l 遊技状態制御手段69は、RT1遊技に移行したときにRT1遊技中の遊技回数が規定回数に到達したときは、RT1遊技を終了して、次遊技から、通常遊技に移行するように制御し(【0133】)、
m 遊技状態制御手段69は、RT2遊技中において、当選したSBBが入賞したときは、次遊技から、SBB遊技に移行し、また、当選したNBBが入賞したときは、次遊技から、NBB遊技に移行し、さらにまた、当選したRBが入賞したときは、次遊技から、RB遊技に移行するように制御し(【0134】)、
n、q、q1 演出制御手段70は、特別役当選後、3回の遊技にわたって連続演出を行い、3回目の遊技が終了するまでに、ボーナス確定の画像表示を画像表示装置23にて行い(認定事項シ)、
o 特別役として、SBB(スーパーBB)、NBB(ノーマルBB)、及び、RB(レギュラーボーナス)が設けられ(【0032】)、
p 役抽選手段61は、SBB、SBB+小役1、NBB、NBB+小役1、RB、RB+小役1、小役1、小役2、小役3、小役4、小役5、小役6及びリプレイの各当選領域及び非当選領域が設けられている役抽選テーブル62Aを照合して、役を決定する判定手段を備え(認定事項ス)、
q2 演出制御手段70は、特別役が入賞するまでの複数回の遊技の間に、ボーナス確定の画像表示を行った後、当選した特別役の種類を遊技者に知らせる(【0140】、【0141】、【0146】)
スロットマシン(【0001】)。」

(2-2)刊行物2
前置報告書において提示された、本件の出願前に頒布された刊行物である特開2005-204833号公報には、遊技機に関して、次の技術事項が記載されている。

ア「【0048】
実施例のリーチ目は、基本的に、“赤7”、“白7”又は“BAR”のうちのいずれか“2種類以上”の“3つ”の図柄がいずれかの入賞ラインに沿って並ぶ停止態様である。例えば、“白7-赤7-BAR”がいずれかの入賞ラインに沿って並ぶ図柄の停止態様は、リーチ目である。ただし、“BAR-赤7-BAR”はリーチ目とはしていない。リーチ目が表示された場合には、遊技者は、遊技状態が内部当選中一般遊技状態であること、又は内部当選中一般遊技状態に移行することを把握することができる。」

イ「【0145】
実施例では、内部当選中一般遊技状態では、ボーナス入賞可能ゲーム(内部当選役がハズレのゲーム)でリーチ目を表示するようにしているが、これに限られるものではない。例えば、内部当選中一般遊技状態において内部当選役が小役の場合、リプレイの場合にリーチ目を表示するようにしてもよい。」

(3)対比
本件補正発明と刊行物発明とを、分説に従い対比する。
(a)刊行物発明における構成aの「リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役に対応する図柄の組合せを構成している図柄)を印刷したリールテープを貼付した複数のリール31(左、中及び右リール)」は、本件補正発明における構成Aの「複数の図柄がそれぞれの周面に配された複数のリール」に相当する。

(b)刊行物発明における構成bの「各リール31の上下に連続する3図柄が見えるようにした表示窓11」は、本件補正発明における構成Bの「前記複数のリールの周面に配された複数の図柄のうち、一部の図柄を表示する図柄表示手段」に相当する。

(c)刊行物発明における構成cの「リール制御手段64」は、「スタートスイッチ41が操作され」たことを「スタートスイッチ41が操作されるときに発生する信号が入力され」たことにより検出するものであるから、本件補正発明における構成Cの「遊技者による開始操作を検出する開始操作検出手段」に相当する。

(d)上記(c)によると、刊行物発明において、「スタートスイッチ41が操作され」ると、「リール制御手段64」により信号が検出されることから、刊行物発明における「スタートスイッチ41が操作された」ことは、本件補正発明における「開始操作検出手段により、遊技者による開始操作が検出されたこと」に相当する。
そして、刊行物発明における「特別役であって第1特別役及びこの第1特別役よりもさらに遊技者にとって有利となる第2特別役、所定役、並びに特定役を含む役の抽選を行う」ことは、本件補正発明における「当選役を決定する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成dは、本件補正発明における構成Dに相当する。

(e)刊行物発明は、構成aによると、「複数のリール31」を備えるものである。
そうすると、刊行物発明における「リール31上の図柄」を「所定の速度で表示窓11内で上下方向に移動表示させる」ことは、本件補正発明における「複数のリールを回転させることにより、複数の図柄を図柄表示手段に変動表示させる」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成eは、本件補正発明における構成Eに相当する。

(f)刊行物発明における「遊技制御手段50」は、「(左、中、右)ストップスイッチ42が操作され」たことを「ストップスイッチ42が操作されるときに発生する信号が入力され」たことにより検出するものであるから、本件補正発明における構成Fの「複数のリールそれぞれに対応して設けられ、遊技者による停止操作を検出する停止操作検出手段」に相当する。

(g)上記(f)の内容からみて、刊行物発明において、ストップスイッチ42が操作された」ことが、「遊技制御手段50」により検出されるものであるから、刊行物発明における「ストップスイッチ42が操作された」ことは、本件補正発明における「停止操作検出手段により遊技者による停止操作が検出された」ことに相当する。
そして、刊行物発明における「役抽選手段による役の抽選結果」は、本件補正発明における「当選役決定手段により決定された当選役」に相当する。
また、刊行物発明において、「停止制御」される「リール31上の図柄」は、停止されるまでの間、「所定の速度で表示窓11内で上下方向に移動表示さ」れているから、刊行物発明における「リール31上の図柄」は、本件補正発明における「変動表示されている図柄」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成gは、本件補正発明における構成Gに相当する。

(h)刊行物発明において、「いずれかの役」は、予め定められていることは明らかである。
したがって、刊行物発明における構成hの「すべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したか否かを判断する停止図柄判断手段66」は、本件補正発明における構成Hの「停止制御手段により複数の図柄の変動表示が全て停止されたことを条件に、予め定められた図柄の組み合わせが表示されたか否かを判定する判定手段」に相当する。

(i)刊行物発明における「特別役(SBB、NBB及びRB)に対応する各当選フラグ63a」は、本件補正発明における「特定の当選役に係る情報」に相当する。
また、刊行物発明における「各当選フラグ63aのオン/オフを制御する」ことは、「当選フラグ63a」として、1又は0を記憶することであるから、本件補正発明における「特定の当選役に係る情報を記憶する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成iは、本件補正発明における構成Iに相当する。

(j)刊行物発明における「通常遊技中」は、「リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている」「RT1遊技」、「RT2遊技」に比して、不利な遊技状態であるから、本件補正発明における「遊技者にとって相対的に不利な不利遊技状態」に相当する。
そして、刊行物発明における「特別役(SBB、NBB又はRB)に当選した」ことは、本件補正発明における 「当選役決定手段により特定の当選役が決定された」ことに相当する
また、刊行物発明において、「リプレイ」は、「役抽選手段」により抽選されるものであるから、刊行物発明における「リプレイの当選確率」は、本件補正発明における「当選役決定手段により再遊技が決定される確率」に相当する。

したがって、刊行物発明における構成jは、本件補正発明における構成Jに相当する。

(k)刊行物発明における「小役1に対応する図柄の組合せ」は、本件補正発明における「所定の当選役に係る図柄の組み合わせ」に相当する。
そして、刊行物発明における「小役1に対応する図柄の組合せがいずれかの有効ラインに停止する」ことは、「停止図柄判断手段66」により判断されるものである。
また、刊行物発明における「リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている、RT1遊技(非内部中)」は、本件補正発明における「当選役決定手段により再遊技が決定される確率が、不利遊技状態と比較して高い第2高確率再遊技状態」に相当する。

したがって、刊行物発明における構成kは、本件補正発明における構成Kに相当する。

(l)刊行物発明における
「RT1遊技に移行したとき」、
「RT1遊技中の遊技回数が規定回数に到達した」こと、
「RT1遊技を終了して、次遊技から、通常遊技に移行するように制御」することは、それぞれ、
本件補正発明における
「第2高確率再遊技状態移行制御手段により第2高確率再遊技状態に移行された後」、
「所定の遊技数の遊技が行われたこと」、
「第2高確率再遊技状態から不利遊技状態へ移行させる制御を行う」ことに相当する。

したがって、刊行物発明における構成lは、本件補正発明における構成Lに相当する。

(m)刊行物発明における「当選したSBBが入賞したとき」は、「停止図柄判断手段66」により、「当選したSBB」に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したと判断されることであるから、本件補正発明における「判定手段により特定の図柄の組み合わせが表示されたと判定されたこと」に相当する。なお、「NBB」、「BB」も「SBB」と同様のことがいえる。
そして、刊行物発明における構成jによると、「SBB遊技」、「NBB遊技」、又は、「RB遊技」は、「遊技者にとって有利となる特別遊技」である。
したがって、刊行物発明における「SBB遊技」、「NBB遊技」、「RB遊技」は、本件補正発明における「不利遊技状態と比較して遊技者にとって有利な特定遊技状態」に相当する。

よって、刊行物発明における構成mは、本件補正発明における構成Mに相当する。

(n)刊行物発明において、「特別役当選」するとは、「当選フラグ制御手段63」により、対応する「当選フラグ63a」として1が記憶されることであるから、本件補正発明における「記憶手段により特定の当選役に係る情報が記憶されていること」に相当する。
そして、刊行物発明における「ボーナス確定の画像表示を画像表示装置23にて行」うことは、「ボーナス確定」を画像表示装置23における画像表示を介して、遊技者に知らせることであるから、本件補正発明における「特定の当選役に係る情報が記憶されていることを報知する」ことに相当する。

したがって、刊行物発明における構成nは、本件補正発明における構成Nに相当する。

(o)刊行物発明における「SBB(スーパーBB)」、又は、「NBB(ノーマルBB)」、「RB(レギュラーボーナス)」は、それぞれ、本件補正発明における「第1の特定の当選役」、「第1の特定の当選役とは異なる第2の特定の当選役」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成oは、本件補正発明における構成Oに相当する。

(p)刊行物発明における「SBB+小役1」、「NBB+小役1」の「当選領域及び非当選領域が設けられている役抽選テーブル62Aを照合」することは、本件補正発明における「第1の特定の当選役と、所定の当選役を同時に決定することが可能である」ことに相当し、刊行物発明における「RB+小役1」の「当選領域及び非当選領域が設けられている役抽選テーブル62Aを照合」することは、本件補正発明における「第2の特定の当選役と、所定の当選役を同時に決定することが可能である」ことに相当する。
したがって、刊行物発明における構成pは、本件補正発明における構成Pに相当する。

(q、q1)刊行物発明における「特別役当選後」は、「当選フラグ制御手段63」により、「特別役(SBB、NBB及びRB)に対応する各当選フラグ63a」がオンに制御されることであるから、本件補正発明における「記憶手段により特定の当選役に係る情報が記憶されている場合」に相当する。

そして、刊行物発明は、構成q2によると、「特別役が入賞するまでの複数回の遊技の間に、ボーナス確定の画像表示を行った後、当選した特別役の種類を遊技者に知らせる」ことから、「ボーナス確定の画像表示を行った」遊技において、未だ「特別役が入賞」していないことは明らかである。

したがって、刊行物発明における構成q、q1の「3回の遊技にわたって連続演出を行い、3回目の遊技が終了するまでに、ボーナス確定の画像表示を画像表示装置23にて行」うことと、本件補正発明における構成Q、Q1の「当選役決定手段により当選役としてハズレが決定され、特定の図柄の組み合わせが表示されなかった場合」とは、「特定の図柄の組み合わせが表示されなかった場合」の点で共通する。

よって、刊行物発明における構成qの「演出制御手段70」と、本件補正発明における構成Qの「報知手段」とは、「記憶手段により特定の当選役に係る情報が記憶されている場合において、特定の図柄の組み合わせが表示されなかった場合に、特定の当選役に係る情報が記憶手段に記憶されていることを報知する第1報知演出を実行可能とする」「報知手段」である点で共通する。

(q2)刊行物発明は、「SBB、NBB又はRB」の3種類の「特別役」を有するものである。
そして、刊行物発明は、「特別役が入賞するまでの複数回の遊技の間に、当選した特別役の種類を遊技者に知らせる」ために、当選した特別役の種類に対応する当選フラグ63aに1を記憶するものである。
したがって、刊行物発明における「特別役が入賞するまでの複数回の遊技の間に、当選した特別役の種類を遊技者に知らせる」ことは、本件補正発明における「第1の特定の当選役に係る情報が記憶手段に記憶されているか、または第2の特定の当選役に係る情報が記憶手段に記憶されているかを報知する」ことに相当する。

また、刊行物発明において、「当選した特別役の種類を遊技者に知らせる」タイミングは、「ボーナス確定の画像表示を行った後」のタイミングであるから、刊行物発明における「ボーナス確定の画像表示を行った後」と、本件補正発明における「第1報知演出が実行された次の遊技」とは、「第1報知演出が実行された後」である点で共通する。

よって、刊行物発明における構成q2の「演出制御手段70」と、本件補正発明における構成Q2の「報知手段」とは、「第1報知演出が実行された後、第1の特定の当選役に係る情報が記憶手段に記憶されているか、または第2の特定の当選役に係る情報が記憶手段に記憶されているかを報知する第2報知演出を実行可能とする」「報知手段」としての機能を有する点で共通する。

上記(a)?(q2)によれば、本件補正発明と刊行物発明は、
「A 複数の図柄がそれぞれの周面に配された複数のリールと、
B 前記複数のリールの周面に配された複数の図柄のうち、一部の図柄を表示する図柄表示手段と、
C 遊技者による開始操作を検出する開始操作検出手段と、
D 前記開始操作検出手段により、遊技者による開始操作が検出されたことに基づいて、当選役を決定する当選役決定手段と、
E 前記開始操作が検出されたことに基づいて、前記複数のリールを回転させることにより、前記複数の図柄を前記図柄表示手段に変動表示させる図柄変動手段と、
F 前記複数のリールそれぞれに対応して設けられ、遊技者による停止操作を検出する停止操作検出手段と、
G 前記停止操作検出手段により遊技者による停止操作が検出されたことと、前記当選役決定手段により決定された当選役とに基づいて、前記図柄変動手段により変動表示されている図柄の停止制御を行う停止制御手段と、
H 前記停止制御手段により前記複数の図柄の変動表示が全て停止されたことを条件に、予め定められた図柄の組み合わせが表示されたか否かを判定する判定手段と、
I 前記当選役決定手段により、特定の図柄の組み合わせを表示することが許容される特定の当選役が決定されたことに基づいて、当該特定の当選役に係る情報を記憶する記憶手段と、
J 遊技者にとって相対的に不利な不利遊技状態において、前記当選役決定手段により前記特定の当選役が決定されたことに基づいて、前記当選役決定手段により再遊技が決定される確率が、前記不利遊技状態と比較して高い第1高確率再遊技状態へ移行させる制御を行う第1高確率再遊技状態移行制御手段と、
K 前記判定手段により所定の当選役に係る図柄の組み合わせが表示されたことに基づいて、前記当選役決定手段により再遊技が決定される確率が、前記不利遊技状態と比較して高い第2高確率再遊技状態へ移行させる制御を行う第2高確率再遊技状態移行制御手段と、
L 前記第2高確率再遊技状態移行制御手段により前記第2高確率再遊技状態に移行された後、所定の遊技数の遊技が行われたことに基づいて、前記第2高確率再遊技状態から前記不利遊技状態へ移行させる制御を行う不利遊技状態移行制御手段と、
M 前記判定手段により前記特定の図柄の組み合わせが表示されたと判定されたことに基づいて、前記不利遊技状態と比較して遊技者にとって有利な特定遊技状態へ移行させる制御を行う特定遊技状態移行制御手段と、
N 前記記憶手段により前記特定の当選役に係る情報が記憶されていることを報知する報知手段と、
を備え、
O 前記特定の当選役は、
第1の特定の当選役と、前記第1の特定の当選役とは異なる第2の特定の当選役により構成されており、
P 前記当選役決定手段は、
前記第1の特定の当選役と、前記所定の当選役を同時に決定することが可能であるとともに、前記第2の特定の当選役と、前記所定の当選役を同時に決定することが可能であり、
Q 前記報知手段は、
Q1’ 前記記憶手段により前記特定の当選役に係る情報が記憶されている場合において、前記特定の図柄の組み合わせが表示されなかった場合に、前記特定の当選役に係る情報が前記記憶手段に記憶されていることを報知する第1報知演出を実行可能とするとともに、
Q2’ 前記第1報知演出が実行された後、前記第1の特定の当選役に係る情報が前記記憶手段に記憶されているか、または前記第2の特定の当選役に係る情報が前記記憶手段に記憶されているかを報知する第2報知演出を実行可能とする遊技機。」
の点で一致し、構成Qに関して次の点で相違する。

[相違点1](構成Q1)
特定の当選役に係る情報が記憶手段に記憶されていることを報知する第1報知演出を実行可能とする場合に関し、
本件補正発明は、当選役決定手段により当選役としてハズレが決定され、特定の図柄の組み合わせが表示されなかった場合であるのに対して、
刊行物発明は、特定の図柄の組み合わせが表示されなかった場合であるが、本件補正発明の上記発明特定事項を具備するか否か明らかでない点。

[相違点2](構成Q2)
第1の特定の当選役、または、第2の特定の当選役に係る情報が記憶手段に記憶されているかを報知する第2報知演出を実行可能とするタイミングに関し、
本件補正発明は、第1報知演出が実行された次の遊技においてであるのに対して、
刊行物発明は、ボーナス確定の画像表示を行った後であるが、本件補正発明の上記発明特定事項を具備するか否か明らかでない点。

(4)当審の判断
ア 相違点1について
上記相違点1について検討する。
刊行物2には、遊技状態が内部当選中一般遊技状態であることを示すリーチ目を、内部当選役がハズレのゲームで表示する技術事項について記載されている。そして、このものにおける「リーチ目」が、ボーナス入賞しなかった場合、すなわち、「特定の図柄の組み合わせが表示されなかった場合」に表示されることは明らかである。
一方、上記(3)において検討したように、刊行物発明は、「記憶手段により特定の当選役に係る情報が記憶されている場合において、特定の図柄の組み合わせが表示されなかった場合に」に第1報知演出を実行するものである。
そうすると、刊行物発明と刊行物2に記載された技術事項とは、記憶手段により特定の当選役に係る情報が記憶されている場合において、特定の図柄の組み合わせが表示されなかった場合に第1報知演出を実行可能とする点で共通するものである。

よって、刊行物発明の第1報知演出に刊行物2に記載された技術事項を適用して、記憶手段により特定の当選役に係る情報が記憶されている場合において、第1報知演出を特定の図柄の組み合わせが表示されないで、かつ、当選役決定手段により当選役としてハズレが決定された場合に実行可能とし、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

イ 相違点2について
上記相違点2について検討する。
遊技機の技術分野において、特定の当選役に係る情報が記憶手段に記憶されていることを報知する第1報知演出を実行した次の遊技において、第1の特定の当選役、または、第2の特定の当選役に係る情報が記憶手段に記憶されているかを報知する第2報知演出を実行することは、本件の出願前に周知の技術事項である(例えば、「うる星やつら」、パチスロ必勝ガイド2007年6月号、株式会社白夜書房、2007年6月1日発行、p73の「ボーナス成立でリプ確率アップ」欄の「液晶でボーナスが確定したら次ゲームにボーナスの種類を告知」との記載や、「小野真弓のかわいい日本昔話」、パチスロ必勝ガイド 2007年1月号、株式会社白夜書房、2007年1月1日発行、p128の「ボーナス確定後次Gに注目」欄の「ボーナスが確定した次ゲームでボーナスの種類を告知。」との記載を参照のこと。)。
そして、刊行物発明は、「記憶手段により特定の当選役に係る情報が記憶されている場合に」、第1報知演出としての「ボーナス確定の画像表示」を行った後に第2報知演出を実行するものであるから、刊行物発明における報知手段に、上記周知の技術事項を適用して、第2報知演出を実行可能とするタイミングを第1報知演出の次として、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

ウ 請求人の主張について
請求人は、平成28年8月31日付けの審判請求書において、本件補正発明は、構成Qを備えることにより「記憶手段により特定の当選役に係る情報が記憶されている状態において、当選役がハズレであって、特定の当選役に係る図柄の組み合わせが揃わなかった場合に、第1報知演出が実行されることにより、遊技者は、所謂リーチ目を覚えながら遊技を行うことができるとともに、第1報知演出が実行された次の遊技において、第1の特定の当選役に係る情報が記憶手段に記憶されているか、第2の特定の当選役に係る情報が記憶手段に記憶されているかが報知されるので、特定の当選役の種別を認識することができるという効果を奏します。」(第5頁第8?14行)と主張する。

しかしながら、前者の「第1報知演出が実行されることにより、遊技者は、所謂リーチ目を覚えながら遊技を行うことができる」という効果は、刊行物2に記載された技術事項により奏される効果であり、後者の「特定の当選役の種別を認識することができる」という効果は、刊行物発明における構成q2により奏される効果に過ぎない。
したがって、請求人の主張する上記本件補正発明の効果は、刊行物発明、及び、刊行物2に記載された技術事項から導かれる効果に過ぎない。

よって、請求人の上記主張を採用することはできない。

エ 小括
上記ア?ウにおいて検討したように、本件補正発明は、刊行物発明、刊行物2に記載された技術事項、及び、周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年7月10日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「A 複数の図柄がそれぞれの周面に配された複数のリールと、
B 前記複数のリールの周面に配された複数の図柄のうち、一部の図柄を表示する図柄表示手段と、
C 遊技者による開始操作を検出する開始操作検出手段と、
D 前記開始操作検出手段により、遊技者による開始操作が検出されたことに基づいて、当選役を決定する当選役決定手段と、
E 前記開始操作が検出されたことに基づいて、前記複数のリールを回転させることにより、前記複数の図柄を前記図柄表示手段に変動表示させる図柄変動手段と、
F 前記複数のリールそれぞれに対応して設けられ、遊技者による停止操作を検出する停止操作検出手段と、
G 前記停止操作検出手段により遊技者による停止操作が検出されたことと、前記当選役決定手段により決定された当選役とに基づいて、前記図柄変動手段により変動表示されている図柄の停止制御を行う停止制御手段と、
H 前記停止制御手段により前記複数の図柄の変動表示が全て停止されたことを条件に、予め定められた図柄の組み合わせが表示されたか否かを判定する判定手段と、
I 前記当選役決定手段により、特定の図柄の組み合わせを表示することが許容される特定の当選役が決定されたことに基づいて、当該特定の当選役に係る情報を記憶する記憶手段と、
J 遊技者にとって相対的に不利な不利遊技状態において、前記当選役決定手段により前記特定の当選役が決定されたことに基づいて、前記当選役決定手段により再遊技が決定される確率が、前記不利遊技状態と比較して高い第1高確率再遊技状態へ移行させる制御を行う第1高確率再遊技状態移行制御手段と、
K 前記判定手段により所定の当選役に係る図柄の組み合わせが表示されたことに基づいて、前記当選役決定手段により再遊技が決定される確率が、前記不利遊技状態と比較して高い第2高確率再遊技状態へ移行させる制御を行う第2高確率再遊技状態移行制御手段と、
L 前記第2高確率再遊技状態移行制御手段により前記第2高確率再遊技状態に移行された後、所定の遊技数の遊技が行われたことに基づいて、前記第2高確率再遊技状態から前記不利遊技状態へ移行させる制御を行う不利遊技状態移行制御手段と、
M 前記判定手段により前記特定の図柄の組み合わせが表示されたと判定されたことに基づいて、前記不利遊技状態と比較して遊技者にとって有利な特定遊技状態へ移行させる制御を行う特定遊技状態移行制御手段と、
N1 前記第1高確率再遊技状態移行制御手段により前記第1高確率再遊技状態へ移行された後、前記停止制御手段により前記特定の図柄の組み合わせの停止が許容されている場合において、前記特定の図柄の組み合わせが表示されなかったことに基づいて、前記記憶手段により前記特定の当選役に係る情報が記憶されていることを報知する報知手段と、
を備え、
O1 前記当選役決定手段は、
前記特定の当選役と、前記所定の当選役を同時に決定することが可能であることを特徴とする遊技機。」

2 刊行物
原査定の拒絶の理由において提示された刊行物3である特開2012-125283号公報には、スロットマシンに関して、図面と共に次の事項が記載されている。

ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、リプレイを構成する図柄として、第1リプレイ図柄と、第1リプレイ図柄とは異なる第2リプレイ図柄とを有するとともに、1個以上の第2リプレイ図柄を有するリプレイを設けたスロットマシンに関するものである。」

イ 「【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。なお、かっこ書きにて対応する実施形態を示す。
請求項1の発明は、役を構成する図柄を含む複数種類の図柄を表示した3個以上のリール(左、中、及び右リール31)と、各前記リールごとに設けられ、対応する前記リールを停止させるときに遊技者が操作するストップスイッチ(左、中、及び右ストップスイッチ42)と、遊技者に再遊技を行わせるためのリプレイを含む役の抽選を行う役抽選手段(61)と、前記ストップスイッチが操作されたときに、前記役抽選手段による役の抽選結果に基づいて前記リールを停止制御するリール制御手段(64)とを備え・・・」

ウ「【0039】
また、演出制御手段70は、遊技中及び遊技待機中における演出、当選役の報知、遊技情報等の出力等を制御するものである。演出制御手段70は、サブ制御基板(図示せず)上に設けられており、演算等を行うCPU、演出用のデータ等(演出パターン等)を記憶しておくROM、CPUが各種の演出を出力するときに取り込んだデータ等を一時的に記憶しておくRAM等を備える。
なお、サブ制御基板は、メイン制御基板の下位に属する制御基板である。そして、遊技制御手段50と演出制御手段70とは電気的に接続されており、遊技制御手段50から演出制御手段70に一方向で信号や情報(コマンド)が送信されるように形成されている。
【0040】
図1に示すように、遊技制御手段50の入力側(図1中、左側)には、ベットスイッチ40、スタートスイッチ41、及び(左、中、右)ストップスイッチ42が電気的に接続されている。
ベットスイッチ40は、遊技者が貯留メダルを当該遊技のために投入するときに操作するスイッチである。
なお、メダル投入口43は、実際のメダルを遊技者が投入する部分であり、メダル投入口43からメダルを投入することは、ベットスイッチ40を操作することと同様の役割を果たす。
・・・
【0043】
リール31は、リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役に対応する図柄の組合せを構成している図柄)を印刷したリールテープを貼付したものである。図2は、本実施形態におけるリール31の図柄配列を示す図である。図2では、図柄番号を併せて図示している。図2に示すように、本実施形態では、各リール31ごとに、21個の図柄表示領域が等間隔で配置されているとともに(図柄コマ数が21個)、各図柄表示領域にそれぞれ所定の図柄が表示されている。
【0044】
また、図3は、スロットマシン10のフロントマスク部(前面扉。図示せず。)に設けられた表示窓(透明窓)11と、各リール31との位置関係を示す図である。各リール31は、本実施形態では横方向に並列に3個(左リール31、中リール31、及び右リール31)設けられている。さらに、各リール31は、表示窓11から、上下に連続する3図柄が見えるように配置されている。よって、スロットマシン10の表示窓11から、合計3×3=9個の図柄が見えるように配置されている。」

エ「【0059】
上述した各役において、役に当選した遊技でその役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止しなかったときは、次遊技以降に持ち越される役と、持ち越されない役とが定められている。
持ち越される役としては、特別役(BB1、及びBB2)が挙げられる。特別役に当選したときは、リール31の停止時に、特別役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止するまでの遊技において、特別役の当選を次遊技以降に持ち越すように制御される。」

オ「【0062】
遊技の開始時には、遊技者は、ベットスイッチ40を操作して予め貯留されたメダルを投入するか、又はメダル投入口からメダルを投入し、スタートスイッチ41を操作(オン)する。スタートスイッチ41が操作されると、そのときに発生する信号が遊技制御手段50に入力される。遊技制御手段50(具体的には、後述するリール制御手段64)は、この信号を受信すると、すべてのモータ32を駆動制御して、すべてのリール31を回転させるように制御する。このようにしてリール31がモータ32によって回転されることで、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓11内で上下方向に移動表示される。
【0063】
そして、遊技者は、ストップスイッチ42を押すことで、そのストップスイッチ42に対応するリール31(例えば、左ストップスイッチ42に対応する左リール31)の回転を停止させる。ストップスイッチ42が操作されると、そのときに発生する信号が遊技制御手段50に入力される。遊技制御手段50(具体的には、後述するリール制御手段64)は、この信号を受信すると、そのストップスイッチ42に対応するモータ32を駆動制御して、そのモータ32に係るリール31の停止制御を行う。そして、すべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したとき(すなわち、その役の入賞となったとき)は、入賞した役に対応するメダルの払出し等が行われる。
【0064】
図1に示すように、遊技制御手段50は、以下の役抽選手段61等を備える。なお、本実施形態における以下の各手段は例示であり、遊技制御手段50は、本実施形態で示した手段に限定されるものではない。
【0065】
役抽選手段61は、役(上述した特別役、小役及びリプレイ)の抽選を行うものである。役抽選手段61は、例えば、役抽選用の乱数発生手段(ハードウェア乱数等)と、この乱数発生手段が発生する乱数を抽出する乱数抽出手段と、乱数抽出手段が抽出した乱数値に基づいて、役の当選の有無及び当選役を判定する判定手段とを備えている。
・・・
【0067】
乱数抽出手段は、乱数発生手段によって発生した乱数を、所定の時、本実施形態では遊技者によりスタートスイッチ41が操作(オン)された時に抽出する。判定手段は、乱数抽出手段により抽出された乱数値を、後述する役抽選テーブル62と照合することにより、その乱数値が属する領域に対応する役を決定する。例えば、抽出した乱数値がBB1の当選領域に属する場合は、BB1の当選と判定し、非当選領域に属する場合は、非当選と判定する。
・・・
【0069】
まず、本実施形態の「遊技状態」としては、通常遊技、RT遊技及び特別遊技を備える。
「通常遊技」とは、RT遊技及び特別遊技以外の遊技状態をいう。本実施形態では、通常遊技は、非RT、かつ非内部中の遊技である。例えば、スロットマシン10の電源投入後に移行するデフォルトとしての遊技状態が、通常遊技である。
【0070】
「RT(Replay Time )遊技」とは、広義には、通常遊技(非RT遊技)とはリプレイの当選確率が異なるように設定された遊技を意味する。本実施形態では、RT遊技は、リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている。また、本実施形態では、RT遊技として、RT1遊技及びRT2遊技を備えている。さらにまた、本実施形態では、RT1遊技は、非内部中の遊技であり、また、RT2遊技は、内部中の遊技である。
なお、通常遊技(非RT遊技)よりもリプレイの当選確率が低く設定されているRT遊技を設けることもできる。
また、リプレイとして、通常リプレイと、通常リプレイとは対応する図柄の組合せが異なる1又は2以上の特殊リプレイとを備えることができる。この場合、通常リプレイ及び特殊リプレイの当選確率の合算値(リプレイ全体の当選確率)は同一だが、通常リプレイ及び特殊リプレイのそれぞれの当選確率の割振りが異なる、複数の遊技状態を設けることができる。このとき、複数の遊技状態のうち、いずれか1つを通常遊技(非RT遊技)とし、それ以外をRT遊技とすることもできる。
「特別遊技」とは、本実施形態ではBB遊技に相当する。
【0071】
ここで、図5及び図6中、「+」とは、重複当選を示している。重複当選とは、重複して定められている複数種類の全ての役が、当該遊技で同時に当選することを意味する。
図5及び図6に示すように、本実施形態では、リプレイAは、常に単独当選し、他の役と重複当選することはない。一方、リプレイB?リプレイHは、単独当選することはなく、常に所定の組合せで重複当選する。
【0072】
具体的には、リプレイB、リプレイC、及びリプレイDの組合せを、リプレイ群1と称する。また、リプレイ群1の重複当選を、リプレイ重複当選1と称する。
また、リプレイB、リプレイE、リプレイF、及びリプレイGの組合せを、リプレイ群2と称する。また、リプレイ群2の重複当選を、リプレイ重複当選2と称する。すなわち、リプレイ2(リプレイE、リプレイF、リプレイG)は、リプレイ1(リプレイB)と
重複当選するように設定されている。」

カ「【0075】
役抽選テーブル62Aは、通常遊技(非RT遊技、非内部中)で用いられる役抽選テーブル62である。
そして、本実施形態では、役抽選テーブル62Aでは、上記の単独当選又は重複当選の各当選領域、及び非当選領域が設けられている。
【0076】
またここで、役抽選テーブル62Aでは、リプレイ群1のみで重複当選する場合と、BB1とリプレイ群1とが重複当選する場合と、BB2とリプレイ群1とが重複当選する場合とがある。
さらに、リプレイ群1のみで重複当選する確率は1/125であり、BB1とリプレイ群1とが重複当選する確率は1/1000であり、BB2とリプレイ群1とが重複当選する確率も1/1000である。
このため、リプレイ群1が当選したときは、20%の確率で、BB1又はBB2に当選している可能性がある。すなわち、リプレイ群1が当選したときにおける、BB1又はBB2の当選の期待度は、20%である。
【0077】
また、役抽選テーブル62Aでは、リプレイ群2のみで重複当選する場合と、BB1とリプレイ群2とが重複当選する場合と、BB2とリプレイ群2とが重複当選する場合とがある。
さらに、リプレイ群2のみで重複当選する確率は1/600であり、BB1とリプレイ群2とが重複当選する確率は1/1200であり、BB2とリプレイ群2とが重複当選する確率も1/1200である。
このため、リプレイ群2が当選したときは、50%の確率で、BB1又はBB2に当選している可能性がある。すなわち、リプレイ群2が当選したときにおける、BB1又はBB2の当選の期待度は、50%である。」

キ「【0087】
また、本実施形態では、一旦特別役に当選すると、当選した特別役が入賞するまで、内部中になると同時に、RT2遊技中になる。その間、特別役は抽選されず、かつ、リプレイの当選確率が、通常遊技中よりも高くなる。
なお、上述したように、本明細書において「内部中」とは、特別役に当選した遊技を含む意味で用いているが、役の抽選においては、特別役に当選する遊技まで役抽選テーブル62Aが用いられ、特別役に当選した遊技の次遊技から、特別役が入賞するまでの遊技で、役抽選テーブル62Cが用いられる。」

ク「【0089】
説明を図1に戻す。
当選フラグ制御手段63は、役抽選手段61による役の抽選結果に基づいて、各役に対応する当選フラグ63aのオン/オフを制御するものである。本実施形態では、当選役に対応するように、BB1、BB2、小役1、小役2、小役3、小役4A?小役4C、及びリプレイA?リプレイHの各当選フラグ63aを備える。そして、役抽選手段61による役の抽選において当選したときは、対応する役の当選フラグ63aをオンにする(当選フラグ63aを立てる)。例えば、小役1に当選したときは、小役1に係る当選フラグ63aがオンとなり、それ以外の役の当選フラグ63aはオフのままである。」

ケ「【0095】
リール制御手段64は、スタートスイッチ41が操作されたとき(スタートスイッチ41が操作された旨の信号を受信したとき)に、すべて(3つ)のリール31の回転を開始するように制御するものである。さらに、リール制御手段64は、役抽選手段61により役の抽選が行われた後、当該遊技における当選フラグ63aのオン/オフを参照して当選フラグ63aのオン/オフに対応する停止位置決定テーブル65を選択するとともに、ストップスイッチ42が操作されたときに、ストップスイッチ42が操作されたときのタイミングに基づいて、そのストップスイッチ42に対応するリール31の停止位置を決定するとともに、モータ32を駆動制御して、その決定した位置にそのリール31を停止させるように制御するものである。」

コ「【0159】
説明を図1に戻す。
停止図柄判断手段66は、第1に、各リール31の停止時ごとに、有効ラインに停止した図柄を判断する。また第2に、すべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したか否かを判断する。停止図柄判断手段66は、例えばモータ32の停止時の角度やステップ数等を検知することにより、有効ライン上の図柄を判断する。」

サ「【0164】
遊技状態制御手段69は、遊技状態の移行を制御するものである。
図7は、遊技状態の移行を説明する図である。以下、図7に基づき説明する。
先ず、遊技状態制御手段69は、通常遊技中(非内部中、非RT遊技中)に、リプレイB?リプレイGのいずれかに対応する図柄の組合せがいずれかの有効ラインに停止すると、次遊技から、RT1遊技(非内部中)に移行するように制御する。
【0165】
また、本実施形態では、RT1遊技の終了条件は、RT1遊技中の遊技回数が規定回数(5回)に到達したことに設定されている。そして、遊技状態制御手段69は、RT1遊技に移行したときは、毎遊技、遊技回数をカウントするとともに、RT1遊技中の遊技回数が前記規定回数に到達したときは、RT1遊技の終了条件を満たすと判断し、当該遊技をもってRT1遊技を終了して、次遊技から、通常遊技に移行するように制御する。
【0166】
さらにまた、遊技状態制御手段69は、通常遊技中(非内部中、非RT遊技中)又はRT1遊技中(非内部中)に、特別役(BB1又はBB2)に当選した場合において、当該遊技で当選した特別役が入賞しなかったときは、次遊技から、RT2遊技(内部中)に移行するように制御する。また、RT2遊技は、当選した特別役が入賞するまで継続する(維持される)。そして、遊技状態制御手段69は、RT2遊技中において、当選した特別役が入賞したときは、次遊技から、特別遊技に移行するように制御する。」

シ「【0172】
図1において、演出制御手段70は、ランプ21、スピーカ22、及び画像表示装置23からの演出の出力を制御するものである。
演出制御手段70の演出パターン記憶手段71は、複数種類の演出パターンを記憶しているものである。そして、演出制御手段70の演出パターン選択手段72は、遊技の開始時等に、役抽選手段61による役の抽選が行われた後、ソフトウェア乱数を用いた抽選によって、遊技状態(通常遊技(非RT遊技、かつ非内部中)、RT1遊技(非内部中)、RT2遊技(内部中)、特別遊技(BB遊技)に応じて、役の抽選結果に対応するいずれか1つの演出パターンを選択する。
【0173】
また、演出パターンは、当選役に応じて、それぞれ複数種類が設けられている。例えば、特別役当選時、小役当選時、リプレイ当選時、非当選時等ごとに、それぞれ複数種類の演出パターンが設けられている。
演出パターンは、遊技の進行に伴って、どのようなタイミングで(スタートスイッチ41の操作時や各ストップスイッチ42の操作時等)、どのような演出を出力するか(ランプ21をどのように点灯、点滅又は消灯させるか、スピーカ22からどのようなサウンドを出力するか、及び画像表示装置23にどのような画像を表示させるか等)を定めたものである。
そして、演出制御手段70は、選択した演出パターンに従い、所定のタイミングで演出出力機器から演出を出力するように制御する。」

ス 上記【0089】の「当選フラグ制御手段63は、役抽選手段61による役の抽選結果に基づいて、各役に対応する当選フラグ63aのオン/オフを制御するものである。」との記載、上記【0059】の「持ち越される役としては、特別役(SBB、NBB及びRB)が挙げられる。」との記載から、刊行物1には、「役抽選手段61による役の抽選結果に基づいて、特別役(SBB、NBB及びRB)に対応する各当選フラグ63aのオン/オフを制御する当選フラグ制御手段63」について記載されていると認められる。

セ 上記【0166】の「遊技状態制御手段69は、通常遊技中(非内部中、非RT遊技中)又はRT1遊技中に、特別役(BB1又はBB2)に当選した場合において、当該遊技で当選した特別役が入賞しなかったときは、次遊技から、RT2遊技(内部中)に移行するように制御する。」との記載、上記【0087】の「本実施形態では、一旦特別役に当選すると、当選した特別役が入賞するまで、内部中になると同時に、RT2遊技中になる。その間、特別役は抽選されず、かつ、リプレイの当選確率が、通常遊技中よりも高くなる。」との記載から、刊行物1には、「通常遊技中に、特別役(BB1又はBB2)に当選した場合において、当該遊技で当選した特別役が入賞しなかったときは、次遊技から、リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている、RT2遊技(内部中)に移行するように制御する遊技状態制御手段69」について記載されていると認められる。

ソ 上記【0164】の「先ず、遊技状態制御手段69は、通常遊技中(非内部中、非RT遊技中)に、リプレイB?リプレイGのいずれかに対応する図柄の組合せがいずれかの有効ラインに停止すると、次遊技から、RT1遊技(非内部中)に移行するように制御する。」との記載、上記【0070】の「RT(Replay Time )遊技」とは、広義には、通常遊技(非RT遊技)とはリプレイの当選確率が異なるように設定された遊技を意味する。本実施形態では、RT遊技は、リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている。また、本実施形態では、RT遊技として、RT1遊技及びRT2遊技を備えている。」との記載から、刊行物1には、「遊技状態制御手段69は、リプレイB?リプレイGのいずれかに対応する図柄の組合せがいずれかの有効ラインに停止すると、次遊技から、リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている、RT1遊技(非内部中)に移行するように制御する」ことが記載されていると認められる。

タ 上記【0065】?【0067】の「役抽選手段61は、・・・役抽選テーブル62と照合することにより、その乱数値が属する領域に対応する役を決定する。」との記載、上記【0075】の「役抽選テーブル62Aは、通常遊技(非RT遊技、非内部中)で用いられる役抽選テーブル62である。」との記載、上記【0076】の「役抽選テーブル62Aでは、リプレイ群1のみで重複当選する場合と、BB1とリプレイ群1とが重複当選する場合と、BB2とリプレイ群1とが重複当選する場合とがある。」との記載、上記【0077】の「また、役抽選テーブル62Aでは、リプレイ群2のみで重複当選する場合と、BB1とリプレイ群2とが重複当選する場合と、BB2とリプレイ群2とが重複当選する場合とがある。」との記載から、刊行物1には、「役抽選手段61は、通常遊技(非RT遊技、非内部中)において、BB1とリプレイ群1とが重複当選する場合と、BB2とリプレイ群1とが重複当選する場合、及び、BB1とリプレイ群2とが重複当選する場合と、BB2とリプレイ群2とが重複当選する場合がある、役抽選テーブル62Aと照合することにより、役を決定する」ことが記載されていると認められる。

チ 上記ア?シの記載事項、及び、上記ス?タの認定事項を総合すると、刊行物3には次の発明(以下「刊行物3発明」という。)が記載されていると認められる(a?o1は、本件補正発明のA?Oに対応させて付与した。)。

「a1 リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役に対応する図柄の組合せを構成している図柄)を印刷したリールテープを貼付した3個以上のリール31(左、中、及び右リール)(【0007】、【0043】)と、
b1 各リール31の上下に連続する3図柄が見えるようにした表示窓11(【0044】)と、
c1 スタートスイッチ41が操作されるときに発生する信号が入力されるリール制御手段64(【0062】)と、
d1 スタートスイッチ41が操作されたときに、リール制御手段64により役の抽選が行われる役抽選手段61(【0095】)と、
e1 スタートスイッチ41が操作されると、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓11内で上下方向に移動表示させるリール制御手段64(【0062】)と、
f1 (左、中、右)ストップスイッチ42が操作されるときに発生する信号が入力される遊技制御手段50(【0040】、【0063】)と、
g1 ストップスイッチ42が操作されたときに、役抽選手段による役の抽選結果に基づいてリールを停止制御するリール制御手段64(【0007】)と、
h1 すべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したか否かを判断する停止図柄判断手段66(【0159】)と、
i1 役抽選手段61による役の抽選結果に基づいて、特別役(BB1、及びBB2)に対応する各当選フラグ63aのオン/オフを制御する当選フラグ制御手段63(認定事項ス)と、
j1 通常遊技中に、特別役(BB1又はBB2)に当選した場合において、当該遊技で当選した特別役が入賞しなかったときは、次遊技から、リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている、RT2遊技(内部中)に移行するように制御する遊技状態制御手段69(認定事項セ)と
を備え、
k1 遊技状態制御手段69は、リプレイB?リプレイGのいずれかに対応する図柄の組合せがいずれかの有効ラインに停止すると、次遊技から、リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている、RT1遊技(非内部中)に移行するように制御し(認定事項ソ)、
l1 遊技状態制御手段69は、RT1遊技に移行したときにRT1遊技中の遊技回数が規定回数に到達したときは、RT1遊技を終了して、次遊技から、通常遊技に移行するように制御し(【0165】)、
m1 遊技状態制御手段69は、RT2遊技中において、当選した特別役が入賞したときは、次遊技から、特別遊技に移行するように制御し(【0166】)、
n1 遊技の開始時等に、役抽選手段61による役の抽選が行われた後、ソフトウェア乱数を用いた抽選によって、遊技状態(通常遊技(非RT遊技、かつ非内部中)、RT1遊技(非内部中)、RT2遊技(内部中)、特別遊技(BB遊技)に応じて、役の抽選結果に対応するいずれか1つの演出パターンを選択する、演出制御手段70の演出パターン選択手段72を備え(【0172】)、
o1 役抽選手段61は、通常遊技(非RT遊技、非内部中)において、BB1とリプレイ群1とが重複当選する場合と、BB2とリプレイ群1とが重複当選する場合、及び、BB1とリプレイ群2とが重複当選する場合と、BB2とリプレイ群2とが重複当選する場合がある、役抽選テーブル62Aと照合することにより、役を決定する(認定事項タ)
スロットマシン(【0001】)。」

3 対比
本願発明と刊行物3発明とを、分説に従い対比する。
(a1)刊行物3発明における構成a1の「リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役に対応する図柄の組合せを構成している図柄)を印刷したリールテープを貼付したリール31」は、本願発明における構成Aの「複数の図柄がそれぞれの周面に配された複数のリール」に相当する。

(b1)刊行物3発明における構成b1の「各リール31の上下に連続する3図柄が見えるようにした表示窓11」は、本願発明における構成Bの「前記複数のリールの周面に配された複数の図柄のうち、一部の図柄を表示する図柄表示手段」に相当する。

(c1)刊行物3発明における構成c1の「スタートスイッチ41が操作されるときに発生する信号が入力されるリール制御手段64」は、「スタートスイッチ41が操作され」たことを「スタートスイッチ41が操作されるときに発生する信号が入力され」たことにより検出するものであるから、本願発明における構成Cの「遊技者による開始操作を検出する開始操作検出手段」に相当する。

(d1)刊行物3発明において、「スタートスイッチ41が操作され」ると、「リール制御手段64」により信号が検出されることから、刊行物3発明における構成「スタートスイッチ41が操作された」ことは、本願発明における「開始操作検出手段により、遊技者による開始操作が検出されたこと」に相当する。
したがって、刊行物3発明における構成d1は、本願発明における構成Dに相当する。

(e1)刊行物3発明は、構成a1によると、「3個以上のリール31」を備えるものである。
そうすると、刊行物3発明における「リール31上の図柄」を「所定の速度で表示窓11内で上下方向に移動表示させる」ことは、本願発明における「複数のリールを回転させることにより、複数の図柄を図柄表示手段に変動表示させる」ことに相当する。
したがって、刊行物3発明における構成e1は、本願発明における構成Eに相当する。

(f1)刊行物3発明における「遊技制御手段50」は、「(左、中、右)ストップスイッチ42が操作され」たことを「ストップスイッチ42が操作されるときに発生する信号が入力され」たことにより検出するものであるから、本件補正発明における構成Fの「複数のリールそれぞれに対応して設けられ、遊技者による停止操作を検出する停止操作検出手段」としての機能を有する。

(g1)上記(f1)の内容からみて、刊行物3発明において、ストップスイッチ42が操作され」たことが、「遊技制御手段50」により検出されるものであるから、刊行物3発明における「ストップスイッチ42が操作された」ことは、本願発明における「停止操作検出手段により遊技者による停止操作が検出された」ことに相当する。
そして、刊行物3発明における「役抽選手段による役の抽選結果」は、本願発明における「当選役決定手段により決定された当選役」に相当する。
また、刊行物3発明において、「停止制御」される「リール31上の図柄」は、停止されるまでの間、「所定の速度で表示窓11内で上下方向に移動表示さ」れているから、刊行物3発明における「リール31上の図柄」は、本願発明における「変動表示されている図柄」に相当する。
したがって、刊行物3発明における構成g1は、本願発明における構成Gに相当する。

(h1)刊行物3発明において、「いずれかの役」は、予め定められていることは明らかである。
したがって、刊行物3発明における構成h1の「すべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したか否かを判断する停止図柄判断手段66」は、本願発明における構成Hの「停止制御手段により複数の図柄の変動表示が全て停止されたことを条件に、予め定められた図柄の組み合わせが表示されたか否かを判定する判定手段」に相当する。

(i1)刊行物3発明における「特別役(BB1、及びBB2)に対応する各当選フラグ63a」は、本願発明における「特定の当選役に係る情報」に相当する。
また、刊行物3発明における「各当選フラグ63aのオン/オフを制御する」ことは、「当選フラグ63a」として、1又は0を記憶することであるから、本願発明における「特定の当選役に係る情報を記憶する」ことに相当する。
したがって、刊行物3発明における構成i1は、本願発明における構成Iに相当する。

(j1)刊行物3発明における「通常遊技中」は、「リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている」「RT1遊技」、「RT2遊技」に比して、不利な遊技状態であるから、本願発明における「遊技者にとって相対的に不利な不利遊技状態」に相当する。
そして、刊行物3発明における「特別役(BB1又はBB2)に当選した」場合は、本件補正発明における「当選役決定手段により特定の当選役が決定された」ことに相当する。
また、刊行物3発明において、「リプレイ」は、「役抽選手段」により抽選されるものであるから、刊行物3発明における「リプレイの当選確率」は、本願発明における「当選役決定手段により再遊技が決定される確率」に相当する。

したがって、刊行物3発明における構成j1は、本願発明における構成Jに相当する。

(k1)刊行物3発明における「リプレイB?リプレイGのいずれかに対応する図柄の組合せ」は、本願発明における「所定の当選役に係る図柄の組み合わせ」に相当する。
そして、刊行物3発明における「リプレイB?リプレイGのいずれかに対応する図柄の組合せがいずれかの有効ラインに停止する」ことは、「停止図柄判断手段66」により判断されるものである。
また、刊行物3発明における「リプレイの当選確率が通常遊技よりも高く設定されている、RT1遊技(非内部中)」は、本願発明における「当選役決定手段により再遊技が決定される確率が、不利遊技状態と比較して高い第2高確率再遊技状態」に相当する。

したがって、刊行物3発明における構成k1は、本願発明における構成Kに相当する。

(l1)刊行物3発明における
「RT1遊技に移行したとき」、
「RT1遊技中の遊技回数が規定回数に到達した」こと、
「RT1遊技を終了して、次遊技から、通常遊技に移行するように制御」することは、それぞれ、
本願発明における
「第2高確率再遊技状態移行制御手段により第2高確率再遊技状態に移行された後」、
「所定の遊技数の遊技が行われたこと」、
「第2高確率再遊技状態から不利遊技状態へ移行させる制御を行う」ことに相当する。

したがって、刊行物3発明における構成l1は、本願発明における構成Lに相当する。

(m1)刊行物3発明における「当選した特別役が入賞したとき」は、「停止図柄判断手段66」により、「当選した特別役」に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したと判断されることであるから、本願発明における「判定手段により特定の図柄の組み合わせが表示されたと判定されたこと」に相当する。
そして、刊行物3発明における「特別遊技」は、本願発明における「不利遊技状態と比較して遊技者にとって有利な特定遊技状態」に相当する。

そうすると、刊行物3発明における構成m1は、本願発明における構成Mに相当する。

(n1)刊行物3発明における「RT2遊技(内部中)」は、「特別役(BB1又はBB2)に当選した場合において、当該遊技で当選した特別役が入賞しなかったときは、次遊技から」「移行する」ものであって、「当選した特別役が入賞」可能な遊技状態であるから、本願発明における「第1高確率再遊技状態移行制御手段により第1高確率再遊技状態へ移行された後、停止制御手段により特定の図柄の組み合わせの停止が許容されている場合において、特定の図柄の組み合わせが表示されなかったことに基づ」く状態である。
そして、刊行物3発明において、「RT2遊技(内部中)」「に応じて」「役の抽選結果に対応するいずれか1つの演出パターンを選択する」ことは、遊技者に「RT2遊技(内部中)」であることを「演出パターン」により識別可能とすることであるから、本願発明における「記憶手段により特定の当選役に係る情報が記憶されていることを報知する報知手段」に相当する。

したがって、刊行物3発明における構成n1は、本願発明における構成N1に相当する。

(o1)刊行物3発明における「BB1とリプレイ群1とが重複当選する場合」、「BB2とリプレイ群1とが重複当選する場合」、「BB1とリプレイ群2とが重複当選する場合」、及び、「BB2とリプレイ群2とが重複当選する場合」は、本願発明における「特定の当選役と、所定の当選役を同時に決定すること」に相当する。
したがって、刊行物3発明における構成o1は、本願発明における構成O1に相当する。

上記(a1)?(o1)によれば、本願発明と刊行物3発明とは、
「A 複数の図柄がそれぞれの周面に配された複数のリールと、
B 前記複数のリールの周面に配された複数の図柄のうち、一部の図柄を表示する図柄表示手段と、
C 遊技者による開始操作を検出する開始操作検出手段と、
D 前記開始操作検出手段により、遊技者による開始操作が検出されたことに基づいて、当選役を決定する当選役決定手段と、
E 前記開始操作が検出されたことに基づいて、前記複数のリールを回転させることにより、前記複数の図柄を前記図柄表示手段に変動表示させる図柄変動手段と、
F 前記複数のリールそれぞれに対応して設けられ、遊技者による停止操作を検出する停止操作検出手段と、
G 前記停止操作検出手段により遊技者による停止操作が検出されたことと、前記当選役決定手段により決定された当選役とに基づいて、前記図柄変動手段により変動表示されている図柄の停止制御を行う停止制御手段と、
H 前記停止制御手段により前記複数の図柄の変動表示が全て停止されたことを条件に、予め定められた図柄の組み合わせが表示されたか否かを判定する判定手段と、
I 前記当選役決定手段により、特定の図柄の組み合わせを表示することが許容される特定の当選役が決定されたことに基づいて、当該特定の当選役に係る情報を記憶する記憶手段と、
J 遊技者にとって相対的に不利な不利遊技状態において、前記当選役決定手段により前記特定の当選役が決定されたことに基づいて、前記当選役決定手段により再遊技が決定される確率が、前記不利遊技状態と比較して高い第1高確率再遊技状態へ移行させる制御を行う第1高確率再遊技状態移行制御手段と、
K 前記判定手段により所定の当選役に係る図柄の組み合わせが表示されたことに基づいて、前記当選役決定手段により再遊技が決定される確率が、前記不利遊技状態と比較して高い第2高確率再遊技状態へ移行させる制御を行う第2高確率再遊技状態移行制御手段と、
L 前記第2高確率再遊技状態移行制御手段により前記第2高確率再遊技状態に移行された後、所定の遊技数の遊技が行われたことに基づいて、前記第2高確率再遊技状態から前記不利遊技状態へ移行させる制御を行う不利遊技状態移行制御手段と、
M 前記判定手段により前記特定の図柄の組み合わせが表示されたと判定されたことに基づいて、前記不利遊技状態と比較して遊技者にとって有利な特定遊技状態へ移行させる制御を行う特定遊技状態移行制御手段と、
N1 前記第1高確率再遊技状態移行制御手段により前記第1高確率再遊技状態へ移行された後、前記停止制御手段により前記特定の図柄の組み合わせの停止が許容されている場合において、前記特定の図柄の組み合わせが表示されなかったことに基づいて、前記記憶手段により前記特定の当選役に係る情報が記憶されていることを報知する報知手段と、
を備え、
O1 前記当選役決定手段は、
前記特定の当選役と、前記所定の当選役を同時に決定することが可能である遊技機。」
の点で一致し、相違する点はない。

4 判断
(1)上記3において検討したとおり本願発明は、刊行物3発明と同一のものであり、刊行物3に記載された発明である。

なお、仮に、刊行物3発明(構成n1)において、「RT2遊技(内部中)」「に応じて」「選択」される「演出パターン」が、「RT2遊技(内部中)」であることを識別可能とする演出でないとしても、遊技機の技術分野において、内部中の遊技状態であるときに、特別役に当選中であることを演出パターンにより遊技者に報知することは、本願出願前に周知の技術事項(例えば、特開平11-24452号公報の【0038】?【0040】、【0054】、特開2009-61125号公報の【0317】、【0322】を参照。)であり、刊行物3発明における内部中の遊技状態であるRT2遊技状態に、当該周知の技術事項を適用して、刊行物3発明における「演出パターン」を、特別役に当選中であることを識別可能な演出パターンとすることは、当業者が適宜なし得たものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-19 
結審通知日 2017-05-23 
審決日 2017-06-05 
出願番号 特願2013-272517(P2013-272517)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡崎 彦哉  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 長崎 洋一
藤田 年彦
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 エビス国際特許事務所  

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