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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1330600
審判番号 不服2016-14151  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-21 
確定日 2017-07-20 
事件の表示 特願2012-206208号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年4月10日出願公開、特開2014-61012号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年9月19日の出願であって、平成26年6月23日付けで手続補正がなされ、平成27年3月13日付け拒絶理由通知に対して、同年5月14日付けで意見書の提出及び手続補正がなされ、同年10月29日付け拒絶理由通知に対して、平成28年1月5日付けで意見書が提出されたところ、同年6月20日付け(発送日:同年6月28日)で拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月21日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされ、さらに、同年12月22日付けで上申書が提出されたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、明細書及び特許請求の範囲を補正するものであって、特許請求の範囲の請求項1について補正前に、

(平成27年5月14日付け手続補正)
「【請求項1】
開始条件が成立したことにもとづいて、可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
未だ開始条件が成立していない可変表示について、保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に記憶されている保留記憶の各々に対応して第1の表示態様または第2の表示態様により保留表示を表示可能な保留表示手段と、
開始条件が成立する前に、前記有利状態に制御されるか否かを判定する開始前判定手段と、
前記開始前判定手段の判定結果にもとづいて、前記保留表示手段において前記第2の表示態様で保留表示を表示する保留予告演出を実行する保留予告演出実行手段と、
前記保留表示手段に保留表示を表示する表示制御と、所定条件が成立したことにもとづいて前記保留表示手段において保留表示を所定期間非表示状態とする非表示制御と、を実行する保留表示制御手段とを備え、
前記保留予告演出実行手段は、前記非表示制御が実行されている場合に、前記保留予告演出を禁止可能であり、
前記保留表示制御手段は、前記非表示制御を終了するときに、前記第1の表示態様で保留表示を表示可能であり、
可変表示が行われる可変表示手段とは異なる副演出表示装置をさらに備え、
前記保留表示手段は、前記副演出表示装置の表示画面に設けられ、
前記保留予告演出実行手段は、前記副演出表示装置において前記保留予告演出を実行する
ことを特徴とする遊技機。」

とあったものを、

(本件補正である平成28年9月21日付け手続補正)
「【請求項1】
A 開始条件が成立したことにもとづいて、可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 未だ開始条件が成立していない可変表示に関する情報を保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
C 前記保留記憶手段に記憶されている保留記憶の各々に対応して第1の表示態様または第2の表示態様により保留表示を表示可能な保留表示手段と、
D 開始条件が成立する前に、前記有利状態に制御されるか否かを判定する開始前判定手段と、
E 前記開始前判定手段の判定結果にもとづいて、前記保留表示手段において前記第2の表示態様で保留表示を表示する保留予告演出を実行する保留予告演出実行手段と、
F 前記保留表示手段に保留表示を表示する表示制御と、所定条件が成立したことにもとづいて前記保留表示手段において保留表示を所定期間非表示状態とする非表示制御と、を実行する保留表示制御手段とを備え、
G 前記保留予告演出実行手段は、前記非表示制御が実行されている場合に、前記保留予告演出を禁止可能であり、
H 前記保留表示制御手段は、前記非表示制御を終了するときに、前記第1の表示態様で保留表示を表示可能であり、
I 可変表示が行われる可変表示手段とは異なる副演出表示装置をさらに備え、
J 前記保留表示手段は、前記副演出表示装置の表示画面に設けられ、
K 前記保留予告演出実行手段は、前記副演出表示装置において前記保留予告演出を実行し、
L 前記所定条件は、可動部材である前記副演出表示装置が動作していることを少なくとも含む
ことを特徴とする遊技機。」

と補正することを含むものである(下線部は補正箇所を示す。記号A?Lは、分説するため当審で付した。)。

2 補正の適否
本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「保留記憶手段」が記憶する内容に関して、補正前の「未だ開始条件が成立していない可変表示について」から「未だ開始条件が成立していない可変表示に関する情報」へと補正して、「情報」であることを限定するとともに、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「保留表示制御手段」が保留表示を所定期間非表示状態とするための「所定条件」に関して、「可動部材である前記副演出表示装置が動作していることを少なくとも含む」との限定を付加するものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、願書に最初に添付した明細書の段落【0513】には、「副演出表示装置91が可動式に構成して、副演出表示装置91のLCD部分を視認可能な状態から視認不可能な状態に切り替え可能とした場合、副演出表示装置91のLCD部分を視認不可能な状態にすることで、保留記憶表示を非表示状態とする非表示制御を実行し・・・てもよい。」と記載されており、保留表示を非表示状態とするためには可動部材である副演出表示装置91のLCD部分を視認不可能な状態に動作させることが必要な構成が示されているから、「保留表示制御手段」が保留表示を所定期間非表示状態とするための「所定条件」を、「可動部材である前記副演出表示装置が動作していることを少なくとも含む」ものとする補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものといえる。
したがって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載からみて、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。

(1)引用文献に記載された事項
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2011-115329号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(1-ア)
「【0035】
この実施形態の遊技機10においては、遊技者が上記操作部24を回動操作することによって、打球発射装置が、上皿21から供給される遊技球を遊技盤30前面の遊技領域32に向かって発射する。また、遊技者が演出ボタン25を操作することによって、表示装置41(図2参照)における変動表示ゲーム(飾り特図変動表示ゲーム)において、遊技者の操作を介入させた演出等を行わせることができる。さらに、上皿21上方のガラス枠15の前面には、遊技者が隣接する球貸機から球貸しを受ける場合に操作する球貸ボタン27、球貸機のカードユニットからプリペイドカードを排出させるために操作する排出ボタン28、プリペイドカードの残高を表示する残高表示部(図示省略)等が設けられている。
・・・・・
【0038】
表示装置41は、例えば、LCD(液晶表示器)、CRT(ブラウン管)等の表示画面を有する装置で構成されている。表示画面の画像を表示可能な領域(表示領域)には、複数の識別情報(特別図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタや演出効果を高める背景画像等が表示される。表示装置41の表示画面においては、識別情報として割り当てられた複数の特別図柄が変動表示(可変表示)されて、特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームが行われる。また、表示画面には遊技の進行に基づく演出のための画像(例えば、大当り表示画像、ファンファーレ表示画像、エンディング表示画像等)が表示される。」

(1-イ)
「【0058】
始動入賞口36への入賞球及び普通変動入賞装置37への入賞球は、それぞれは内部に設けられた始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aによって検出される。始動入賞口36へ入賞した遊技球は第1特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、4個を限度に記憶されるとともに、普通変動入賞装置37へ入賞した遊技球は第2特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、4個を限度に記憶される。また、この始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100(図3参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特図始動記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の記憶表示部54、55に表示されるとともに、センターケース40の表示装置41においても表示される。」

(1-ウ)
「【0062】
また、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態で、且つ、始動記憶数が0の状態で、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って始動記憶が記憶されて、始動記憶数が1加算されるととともに、直ちに始動記憶に基づいて、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始され、この際に始動記憶数が1減算される。一方、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が直ちに開始できない状態、例えば、既に第1若しくは第2特図変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動記憶数が上限数未満ならば、始動記憶数が1加算されて始動記憶が1つ記憶されることになる。そして、始動記憶数が1以上となった状態で、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了若しくは特別遊技状態の終了)となると、始動記憶数が1減算されるとともに、記憶された始動記憶に基づいて第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始される。以下の説明においては、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称する。」

(1-エ)
「【0148】
そして、大当り乱数をRWMの乱数セーブ領域にセーブし(ステップA217)、次に、対応する大当り図柄乱数をRWMの乱数セーブ領域にセーブするとともに、その大当り図柄乱数をレジスタに退避する(ステップA218)。次に、対応する変動パターン乱数1をロード(変動パターン乱数1を抽出)し、ロードした値をRWMの乱数セーブ領域にセーブし(ステップA219)、次に、対応する変動パターン乱数2をロード(変動パターン乱数2を抽出)し、ロードした値をRWMの乱数セーブ領域にセーブし(ステップA220)、次に、対応する変動パターン乱数3をロード(変動パターン乱数3を抽出)し、ロードした値をRWMの乱数セーブ領域にセーブする(ステップA221)。ここで、RWM(RAM111C)は、始動入賞口36や普通変動入賞装置37の始動領域への遊技球の流入に基づいて各種乱数を抽出し、該抽出された各種乱数を始動記憶として所定の上限数まで記憶可能な始動記憶手段をなす。なお、始動記憶手段は、変動表示ゲームを実行させるための始動権利を始動記憶として所定の上限数の範囲内で記憶可能な手段であるとも言える。」

(1-オ)
「【0162】
すなわち、遊技制御装置100が、始動記憶として記憶された乱数値を、当該始動記憶に対応する変動表示ゲームの実行前に事前に判定する事前判定手段をなす。なお、始動記憶に対応して記憶された乱数値を事前に判定する時期は、当該始動記憶が発生した始動入賞時だけではなく、当該始動記憶に基づく変動表示ゲームが行われる前であればいつでもよい。また、事前判定は、遊技を制御する遊技制御装置100で行っても良いし、演出を制御する演出制御装置300で行っても良い。さらに、両方で行っても良い。また、特定の結果態様(例えば、特別結果態様)となることを事前判定するものでも良いし、リーチ結果態様となることを事前判定するものでも良いし、両方でも良い。なお、判定は大当りを決定するための乱数値や変動パターンを決定するための乱数値を判定するが、該乱数値により決定された停止結果態様や変動パターンを判定するものでもよい。
・・・・・
【0164】
図13には、表示装置41での表示態様を示した。図13(a)に示すように、識別情報を表示する領域の下方には、特図始動記憶に対応した飾り特図始動記憶表示を表示する飾り特図始動記憶表示領域610が設定されている。この飾り特図始動記憶表示領域は、最も左側に現在実行中の特図変動表示ゲームに対応する特図始動記憶についての飾り特図始動記憶表示600を表示する実行中表示領域611が設けられている。そして、この実行中表示領域611の右方に未だ特図変動表示ゲームを実行していない特図始動記憶に対応した飾り特図始動記憶表示600を表示する未実行表示領域612が設けられている。
・・・・・
【0166】
未実行表示領域612の飾り特図始動記憶表示600は、一の特図始動記憶に対応して一つの表示がなされるものであって、記憶された順に左側から表示される。すなわち、左端の飾り特図始動記憶表示600が最先の(最も古い)特図始動記憶に対応するものである。そして、最先の特図始動記憶に基づく特図変動表示ゲームが開始されると、対応する左端の飾り特図始動記憶表示600が実行中表示領域611へ移動して変化するとともに、未だ消化されていない特図始動記憶に対応する飾り特図始動記憶表示600が左方へ順次移動して表示される。
【0167】
また、図13(b)に示す未実行表示領域612での右端の飾り特図始動記憶表示のように、未実行表示領域612の飾り特図始動記憶表示において、事前判定手段の判定結果に基づいて表示態様を通常とは異なる予告表示態様で表示することで特図変動表示ゲームの結果を示唆することが可能とされている。
【0168】
図13(c)に示すように、未実行表示領域612での飾り特図始動記憶表示600の表示態様には四種類の表示態様があり、白色の丸印で示す通常表示態様と、黒色の丸印で示す第1予告表示態様と、白色の星印で示す第2予告表示態様と、黒色の星印で示す第3予告表示態様とがある。これらの表示態様は、対応する特図始動記憶に基づく特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されて特別遊技状態となる可能性や特定のリーチとなる可能性が異なる(信頼度が異なる)ものである。」

(1-カ)
「【0176】
そして、図14(c)に示すように、非表示状態において予告表示態様とされる特図始動記憶が発生した場合(図15のt4)、このタイミングでは予告表示態様の表示や効果音の出力を行わない。その後、図14(d)に示すように、特図変動表示ゲームの結果がはずれの結果態様で仮停止し、図14(e)に示すように非表示状態が終了する(図15のt5)。なお、仮停止の状態は、識別情報の変動表示が終了しておらず結果態様を表示する状態ではない。よって、この後に識別情報が変化する可能性がある状態である。この仮停止の状態を示すために、識別情報は上下に揺れるように表示される。」

(1-キ)
「【0198】
飾り特図始動記憶表示600の表示を上述のように制御することで、遊技者に確実に予告対象の始動記憶が発生したことを確実に認識させることができ、期待感を高めることができる。すなわち、特図変動表示ゲームにおける演出態様の変化に応じて表示装置41に表示されている飾り特図始動記憶表示600を非表示状態に変更することで、特図始動記憶に関係なく(例えば、飾り特図始動記憶表示領域610を含めて画面全体で)画面変化を行うことができ、特図変動表示ゲームに関する装飾演出を効率よく行える。また、非表示状態中に発生した予告表示態様で表示される特図始動記憶に対応する飾り特図始動記憶表示600を非表示状態が終了してから表示することにより、予告の対象の特図始動記憶が発生した旨を強調できるので、遊技者に確実に予告対象の特図始動記憶が発生したことを認識させることができ、期待感を高めることができる。」

(1-ク)
「【0200】
以上のことから、複数の識別情報による変動表示ゲームを表示可能な変動表示装置(表示装置41)と、該変動表示ゲームを実行させるための始動権利を始動記憶として所定の上限数の範囲内で記憶可能な始動記憶手段(遊技制御装置100)と、を備え、該変動表示ゲームの結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる遊技機において、始動記憶を変動表示装置に表示させる記憶表示制御手段(遊技制御装置100、演出制御装置300)と、始動記憶手段に記憶された始動記憶に対応する変動表示ゲームの結果を当該変動表示ゲームの実行前に事前に判定する事前判定手段(遊技制御装置100)と、始動記憶が発生した場合に、事前判定手段の判定結果に基づいて、記憶表示制御手段で表示される始動記憶の表示態様を通常とは異なる表示態様で表示することで変動表示ゲームの結果を示唆可能な予告手段(演出制御装置300)と、変動表示ゲームにおける演出態様の変化に応じて変動表示装置に表示されている始動記憶を非表示状態に変更する記憶表示非表示化手段(演出制御装置300)と、を備え、予告手段は、予告対象となる始動記憶が発生した際には、その旨を報知可能な補助演出を行う予告演出手段(演出制御装置300)を含み、予告演出手段は、記憶表示非表示化手段により始動記憶が非表示状態となっている間に予告対象となる始動記憶が発生した場合には、該記憶表示非表示化手段により始動記憶の非表示状態が解除されてから、補助演出を実行するようにしたこととなる。」

(1-ケ)
「【0226】
次に、上述した実施形態の遊技機の第4変形例について説明する。なお、基本的には、上述の実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分については同じ符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。本変形例の遊技機は、非表示状態終了後の飾り特図始動記憶表示の表示方法が異なる。
【0227】
図21には、飾り特図始動記憶表示領域610を非表示とする非表示状態となる所定のリーチで、非表示状態において予告表示態様で表示される特図始動記憶が発生した場合を示した。なお、図21(a)は、非表示状態の終了直前において特図変動表示ゲームの結果がはずれの結果態様で仮停止している状態であり、この状態は図14(d)と同じ状態である。また、これ以前の表示態様は図14(a)から(d)に示す表示態様と同様である。
【0228】
図21(a)に示すように、非表示状態において特図変動表示ゲームの結果がはずれの結果態様で仮停止した後、図21(b)に示すように非表示状態が終了する。なお、ここでは実行中表示領域611を省略している。本変形例の遊技機では、図21(b)に示す非表示状態の終了直後においては、非表示状態で発生した特図始動記憶が予告表示態様で表示されるものであっても通常表示態様で表示する(図中に予告対象と示す飾り特図始動記憶表示600)。」

上記(1-ア)?(1-ケ)に基づき、引用文献1に記載された事項について、以下に検討する。

(1-a)
上記(1-ウ)の段落【0062】には、「第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態で、且つ、始動記憶数が0の状態で、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、・・・第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始され、・・・」、「始動記憶数が1以上となった状態で、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了若しくは特別遊技状態の終了)となると、・・・第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始される。」と記載されている。
これらの記載から、「第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態で、且つ、始動記憶数が0の状態で、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞する」こと、及び、「始動記憶数が1以上となった状態で、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了若しくは特別遊技状態の終了)となる」ことは、これにより「第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始され」るから、開始条件ということができる。
また、同段落【0062】には、「第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称する。」と記載され、上記(1-ア)の段落【0038】には、「表示装置41の表示画面においては、識別情報として割り当てられた複数の特別図柄が変動表示(可変表示)されて、特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームが行われる。」と記載され、同段落【0035】には、「表示装置41(図2参照)における変動表示ゲーム(飾り特図変動表示ゲーム)」と記載されている。
したがって、飾り特図変動表示ゲームは特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲーム)に対応して行われるから、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始されると、複数の特別図柄が変動表示(可変表示)されて、変動表示ゲーム(飾り特図変動表示ゲーム)が開始されるといえる。
さらに、上記(1-ク)の段落【0200】には、「該変動表示ゲームの結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる遊技機」と記載されている。
以上のことから、引用文献1には、「開始条件が成立すると、複数の特別図柄を変動表示(可変表示)して、変動表示ゲームを開始し、該変動表示ゲームの結果が特別結果態様となった場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる遊技機」が記載されていると認められる。

(1-b)
上記(1-エ)の段落【0148】には、「ここで、RWM(RAM111C)は、始動入賞口36や普通変動入賞装置37の始動領域への遊技球の流入に基づいて各種乱数を抽出し、該抽出された各種乱数を始動記憶として所定の上限数まで記憶可能な始動記憶手段をなす。なお、始動記憶手段は、変動表示ゲームを実行させるための始動権利を始動記憶として所定の上限数の範囲内で記憶可能な手段であるとも言える。」と記載されている。
また、上記(1-ウ)の段落【0062】には、「第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が直ちに開始できない状態、例えば、既に第1若しくは第2特図変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動記憶数が上限数未満ならば、始動記憶数が1加算されて始動記憶が1つ記憶されることになる。」、「第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始され、この際に始動記憶数が1減算される」、「始動記憶数が1減算されるとともに、記憶された始動記憶に基づいて第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始される。」と記載されているから、上記(1-a)の検討を踏まえると、始動記憶は、未だ開始条件が成立していない変動表示ゲームに関するものであるといえる。
したがって、引用文献1には、「未だ開始条件が成立していない変動表示ゲームを実行させるための始動権利(抽出された各種乱数)を始動記憶として記憶可能な始動記憶手段」が記載されていると認められる。

(1-c)
上記(1-オ)の段落【0164】には、「図13には、表示装置41での表示態様を示した。図13(a)に示すように、識別情報を表示する領域の下方には、特図始動記憶に対応した飾り特図始動記憶表示を表示する飾り特図始動記憶表示領域610が設定されている。」と記載され、同段落【0166】には、「飾り特図始動記憶表示600は、一の特図始動記憶に対応して一つの表示がなされるものであって」と記載されている。
そして、上記(1-ク)の段落【0200】には、「変動表示装置(表示装置41)」と記載されている。
さらに、上記(1-イ)の段落【0058】には、「この始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100(図3参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。」と記載されているから、上記(1-b)の検討を踏まえると、「特図始動記憶」が「始動記憶」と同じことを意味することは明らかである。
また、上記(1-オ)の段落【0168】には、「飾り特図始動記憶表示600の表示態様には四種類の表示態様があり、白色の丸印で示す通常表示態様と、黒色の丸印で示す第1予告表示態様と、白色の星印で示す第2予告表示態様と、黒色の星印で示す第3予告表示態様とがある。」と記載されている。
そして、「飾り特図始動記憶表示600」は、一の特図始動記憶に対応して一つの表示がなされるものであり(段落【0166】)、一つの表示を同時に複数の表示態様で表示することはできないから、通常表示態様、第1予告表示態様、第2予告表示態様、第3予告表示態様のいずれかにより表示されるものであるといえる。
したがって、引用文献1には、「一の始動記憶に対応して一つの表示がなされ、白色の丸印で示す通常表示態様と、黒色の丸印で示す第1予告表示態様と、白色の星印で示す第2予告表示態様と、黒色の星印で示す第3予告表示態様のいずれかにより飾り特図始動記憶表示600を表示する変動表示装置」が記載されていると認められる。

(1-d)
上記(1-ク)の段落【0200】には、「始動記憶手段に記憶された始動記憶に対応する変動表示ゲームの結果を当該変動表示ゲームの実行前に事前に判定する事前判定手段(遊技制御装置100)」と記載されている。
また、上記(1-オ)の段落【0162】には、「特定の結果態様(例えば、特別結果態様)となることを事前判定するものでも良い」と記載されている。
したがって、引用文献1には、「変動表示ゲームの結果が特別結果態様となることを当該変動表示ゲームの実行前に事前に判定する事前判定手段」が記載されていると認められる。

(1-e)
上記(1-ク)の段落【0200】には、「始動記憶が発生した場合に、事前判定手段の判定結果に基づいて、記憶表示制御手段で表示される始動記憶の表示態様を通常とは異なる表示態様で表示することで変動表示ゲームの結果を示唆可能な予告手段(演出制御装置300)」と記載されている。
そして、同段落【0200】には、「始動記憶を変動表示装置に表示させる記憶表示制御手段(遊技制御装置100、演出制御装置300)」とも記載されている。
また、上記(1-オ)の段落【0167】には、「事前判定手段の判定結果に基づいて表示態様を通常とは異なる予告表示態様で表示することで特図変動表示ゲームの結果を示唆する」と記載されているから、「通常とは異なる表示態様」は、「予告表示態様」であるといえる。
したがって、引用文献1には、「事前判定手段の判定結果に基づいて、変動表示装置に表示される始動記憶の表示態様を通常とは異なる予告表示態様で表示する予告手段」が記載されていると認められる。

(1-f)
上記(1-ク)の段落【0200】には、「始動記憶を変動表示装置に表示させる記憶表示制御手段(遊技制御装置100、演出制御装置300)」、「変動表示ゲームにおける演出態様の変化に応じて変動表示装置に表示されている始動記憶を非表示状態に変更する記憶表示非表示化手段(演出制御装置300)」と記載されている。
したがって、引用文献1には、「始動記憶を変動表示装置に表示させる記憶表示制御手段、及び、変動表示ゲームにおける演出態様の変化に応じて変動表示装置に表示されている始動記憶を非表示状態に変更する記憶表示非表示化手段」が記載されていると認められる。

(1-g)
上記(1-カ)の段落【0176】には、「そして、図14(c)に示すように、非表示状態において予告表示態様とされる特図始動記憶が発生した場合(図15のt4)、このタイミングでは予告表示態様の表示や効果音の出力を行わない。」と記載されている。
そして、上記(1-c)で検討したとおり、「特図始動記憶」が「始動記憶」と同じことを意味することは明らかである。
また、上記(1-e)の検討によれば、予告表示態様の表示を制御するのは予告手段であるから、予告手段が予告表示態様の表示を行わないものといえる。
したがって、引用文献1には、「前記予告手段は、非表示状態において予告表示態様とされる始動記憶が発生した場合、このタイミングでは予告表示態様の表示を行わない」ことが記載されていると認められる。

(1-h)
上記(1-ケ)の段落【0228】には、「本変形例の遊技機では、図21(b)に示す非表示状態の終了直後においては、非表示状態で発生した特図始動記憶が予告表示態様で表示されるものであっても通常表示態様で表示する(図中に予告対象と示す飾り特図始動記憶表示600)。」と記載されている。
また、上記(1-c)で検討したとおり、「特図始動記憶」は、「始動記憶」と同じことを意味することが明らかであり、上記(1-f)の検討によれば、始動記憶を表示するのは記憶表示制御手段であるといえる。
したがって、引用文献1には、「前記記憶表示制御手段は、非表示状態の終了直後においては、非表示状態で発生した始動記憶が予告表示態様で表示されるものであっても通常表示態様で表示する」ことが記載されていると認められる。

上記(1-ア)?(1-ケ)の記載事項、及び、上記(1-a)?(1-h)の認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(記号a?hは、本願補正発明の記号A?Hに対応させて付した。なお、引用発明には本願補正発明の記号I?Lに対応する構成がないため、記号i?lは用いていない。)。

「a 開始条件が成立すると、複数の特別図柄を変動表示(可変表示)して、変動表示ゲームを開始し、該変動表示ゲームの結果が特別結果態様となった場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる遊技機であって、
b 未だ開始条件が成立していない変動表示ゲームを実行させるための始動権利(抽出された各種乱数)を始動記憶として記憶可能な始動記憶手段と、
c 一の始動記憶に対応して一つの表示がなされ、白色の丸印で示す通常表示態様と、黒色の丸印で示す第1予告表示態様と、白色の星印で示す第2予告表示態様と、黒色の星印で示す第3予告表示態様のいずれかにより飾り特図始動記憶表示600を表示する変動表示装置と、
d 変動表示ゲームの結果が特別結果態様となることを当該変動表示ゲームの実行前に事前に判定する事前判定手段と、
e 事前判定手段の判定結果に基づいて、変動表示装置に表示される始動記憶の表示態様を通常とは異なる予告表示態様で表示する予告手段と、
f 始動記憶を変動表示装置に表示させる記憶表示制御手段、及び、変動表示ゲームにおける演出態様の変化に応じて変動表示装置に表示されている始動記憶を非表示状態に変更する記憶表示非表示化手段とを備え、
g 前記予告手段は、非表示状態において予告表示態様とされる始動記憶が発生した場合、このタイミングでは予告表示態様の表示を行わず、
h 前記記憶表示制御手段は、非表示状態の終了直後においては、非表示状態で発生した始動記憶が予告表示態様で表示されるものであっても通常表示態様で表示する、遊技機。」

イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2004-329540号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(2-ア)
「【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機を用いて説明する。なお、本発明を他の遊技機に用いることは、当然に可能である。」

(2-イ)
「【0054】
このように、保留球数が表示されて遊技者が視認可能な通常状態とされた期間中に行われる変動表示であると判断された場合に1の有効ラインLを有する通常の変動表示が実行され、保留球数を視認し得ない特別状態とされた期間中に行われる変動表示に対しては通常の変動表示より有効ラインLを多数にした5本の有効ラインLを有する特別の動的表示が実行される。よって、特別状態中の変動表示と、通常状態中の変動表示とを区分することができ、遊技者には複数種類の遊技性を提供することができる。
【0055】
また、特別状態においては、通常状態よりLCD3の表示画面3aと保留表示装置8とが重なる量が少ないので、LCD3の前面にはより大きな表示領域が確保され、この表示領域が確保されたときに有効ラインLを多数にした特別の変動表示が実行される。よって、有効ラインLを可変しつつ、変動図柄Zをより見易い大きなサイズで遊技者に示すことができる。」

(2-ウ)
「【0157】
次に、図14を参照して、第2実施例について説明する。上記した第1実施例では、LCD3の上側に配設された保留表示装置8の回数表示部8a?8dの点灯状態によって保留球数を表示し、その保留表示装置8をソレノイド12によって回動させて回数表示部8a?8dを上昇させることにより、遊技者が保留球数を視認困難にした。これに対し、第2実施例では、保留球数を表示する保留表示装置202をモータ203によってスライドさせて上フレーム204の前面に回数表示部202bが重なるようにして保留球数を覆い隠すものである。以下、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみについて説明する。
【0158】
図14は、第2実施例における中央表示装置200の正面図であり、(a)は保留球数が表示された状態を示し、(b)は保留球数が覆い隠された状態を示している。LCD3の表示画面3aには、その中央部に変動図柄201aが表示される表示領域が設けらている。表示画面3aの右側上部には、左右方向に沿って4つの白抜きの丸印が並べて表示された回数表示部202bを有する保留表示装置202が設けられる。この回数表示部202bの丸印が保留球数に対応した個数分だけ赤色の丸印の表示に変化して保留球数が表示される。
・・・・・
【0160】
保留表示装置202は、図14(a)に示すように、下側に配置された状態においては回数表示部202bの前面側に上フレーム204の前面が重ならない位置に配置されており、モータ203が正方向(図14(a)の時計回り方向)に駆動されてその軸に固着されたギヤ203aが回動すると、ギヤ203aに噛み合わされた保留表示装置202のラック202aが上方にスライド移動する。モータ203が略半回転回動すると、保留表示装置202の回数表示部202bが上フレーム204の前面に重なり、保留球数が視認し得ない状態となる(図14(b)の状態)。
【0161】
このモータ203は、表示用制御基板Dの入出力ポート45に接続されており(図示せず)、表示用制御基板Dの制御によって、第1実施例における遮蔽用ソレノイド12がオンされるタイミングでモータ203を正方向に駆動して保留表示装置202の回数表示部202bが視認し得ない特別状態となるように移動する。一方、第1実施例における遮蔽用ソレノイド12をオフするタイミングで、モータ203を逆方向に駆動して保留表示装置202を下降させ、保留球数が視認可能な通常状態に復帰させる。
【0162】
このように、第2実施例のパチンコ機Pにおいては、保留表示装置202を回数表示領域202bに重なるようにスライド移動するので、回数表示部202bの態様に基づいては保留球数が視認し得ない状態を、スライド移動する保留表示装置202と、その保留表示装置202をスライド移動させるモータ203と、保留表示装置202が上昇した場合にその回数表示部202bに重なる上フレーム204とにより実現することができる。
【0163】
なお、第2実施例におけるLCD3の表示画面3aには、第1実施例におけるLCD3の表示画面3aと同様、保留球数が視認し得る通常状態と、保留球数が視認し得ない特別状態とに応じて有効ラインの数を変化させつつ変動表示が行われるように、主制御基板C等に制御を行わせても良い。」

(2-エ)
「【0167】
例えば、上記第1実施例においては、保留表示装置8が動作して回数表示部8a?8dに表示される保留球数を視認し得ない特別状態としたが、特別状態としたときには回数表示部8a?8dを強制的にすべて消灯状態にしても良い。保留表示装置8のと回数表示部8a?8dと上フレーム13,204との隙間から回数表示部8a?8dが覗かれて保留球数が確認されることを確実に防止することができる。」

上記(2-ア)?(2-エ)の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の発明が記載されていると認められる。

「変動図柄201aが表示される表示領域が設けられているLCD3の表示画面3aの右側上部には、赤色の丸印の表示により保留球数を表示する回数表示部202bを有する保留表示装置202が設けられ、保留表示装置202をスライドさせて、保留球数が視認可能な通常状態と、保留球数が視認し得ない特別状態にすることが可能な遊技機。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する(対比にあたっては、本願補正発明の構成A?Hと引用発明の構成a?hについて、それぞれ(a)?(h)の見出しを付けて行った。また、本願補正発明の構成I?Lについては、(i?l)との見出しを付けてまとめて検討した。)。

(a)引用発明の「複数の特別図柄を変動表示(可変表示)」することは、本願補正発明の「可変表示を行」うことに相当する。
また、引用発明の「遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる」ことは、本願補正発明の「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能」であることに相当する。
そうすると、引用発明の「開始条件が成立すると、複数の特別図柄を変動表示(可変表示)して、変動表示ゲームを開始し、該変動表示ゲームの結果が特別結果態様となった場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる遊技機」は、
本願補正発明の「開始条件が成立したことにもとづいて、可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。

(b)引用発明において、「変動表示ゲーム」は、複数の特別図柄を変動表示(可変表示)して行うものであるから(引用発明の構成aを参照。)、引用発明の「変動表示ゲームを実行させるための始動権利(抽出された各種乱数)」は、本願補正発明の「可変表示に関する情報」に相当する。
また、引用発明の「始動記憶」は、「未だ開始条件が成立していない変動表示ゲームを実行させるための始動権利」を記憶するものであり、開始条件が成立するまで始動権利を保留するものといえるから、本願補正発明の「保留記憶」に相当する。
そうすると、引用発明の「未だ開始条件が成立していない変動表示ゲームを実行させるための始動権利(抽出された各種乱数)を始動記憶として記憶可能な始動記憶手段」は、
本願補正発明の「未だ開始条件が成立していない可変表示に関する情報を保留記憶として記憶する保留記憶手段」に相当する。

(c)引用発明において、「始動記憶」は始動記憶手段に記憶可能なものであるから(引用発明の構成bを参照。)、引用発明の「一の始動記憶に対応して一つの表示がなされ」ることは、本願補正発明の「前記保留記憶手段に記憶されている保留記憶の各々に対応して」「表示可能」であることに相当する。
また、引用発明の「白色の丸印で示す通常表示態様」は、本願補正発明の「第1の表示態様」に相当し、引用発明の「黒色の丸印で示す第1予告表示態様と、白色の星印で示す第2予告表示態様と、黒色の星印で示す第3予告表示態様」は、本願補正発明の「第2の表示態様」に相当する。
そして、引用発明の「飾り特図始動記憶表示600」は、本願補正発明の「保留表示」に相当するから、引用発明の「飾り特図始動記憶表示600を表示する変動表示装置」は、本願補正発明の「保留表示を表示可能な保留表示手段」に相当する。
そうすると、引用発明の「一の始動記憶に対応して一つの表示がなされ、白色の丸印で示す通常表示態様と、黒色の丸印で示す第1予告表示態様と、白色の星印で示す第2予告表示態様と、黒色の星印で示す第3予告表示態様のいずれかにより飾り特図始動記憶表示600を表示する変動表示装置」は、
本願補正発明の「前記保留記憶手段に記憶されている保留記憶の各々に対応して第1の表示態様または第2の表示態様により保留表示を表示可能な保留表示手段」に相当する。

(d)引用発明は、開始条件が成立すると変動表示ゲームを開始するものであるから(引用発明の構成aを参照。)、引用発明の「当該変動表示ゲームの実行前」は、本願補正発明の「開始条件が成立する前」に相当する。
また、引用発明は、「該変動表示ゲームの結果が特別結果態様となった場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる」ものであるから(引用発明の構成aを参照。)、引用発明の「変動表示ゲームの結果が特別結果態様となることを」「判定する」ことは、本願補正発明の「前記有利状態に制御されるか否かを判定する」ことに相当する。
そうすると、引用発明の「変動表示ゲームの結果が特別結果態様となることを当該変動表示ゲームの実行前に事前に判定する事前判定手段」は、
本願補正発明の「開始条件が成立する前に、前記有利状態に制御されるか否かを判定する開始前判定手段」に相当する。

(e)上記(d)で検討したとおり、引用発明の「事前判定手段」は、本願補正発明の「開始前判定手段」に相当し、上記(c)で検討したとおり引用発明の「変動表示装置」は、本願補正発明の「保留表示手段」に相当する。
また、引用発明の「通常とは異なる予告表示態様」は、「通常表示態様」を除く「第1予告表示態様」、「第2予告表示態様」及び「第3予告表示態様」を意味することは明らかであるから、上記(c)の検討を踏まえると、本願補正発明の「第2の表示態様」に相当する。
そうすると、引用発明の「始動記憶の表示態様を通常とは異なる予告表示態様で表示する」演出は、本願補正発明の「前記第2の表示態様で保留表示を表示する保留予告演出」に相当する。
したがって、引用発明の「事前判定手段の判定結果に基づいて、変動表示装置に表示される始動記憶の表示態様を通常とは異なる予告表示態様で表示する予告手段」は、
本願補正発明の「前記開始前判定手段の判定結果にもとづいて、前記保留表示手段において前記第2の表示態様で保留表示を表示する保留予告演出を実行する保留予告演出実行手段」に相当する。

(f)引用発明の「始動記憶」の表示は、本願補正発明の「保留表示」に相当するから、引用発明の「始動記憶を変動表示装置に表示させる」制御は、本願補正発明の「前記保留表示手段に保留表示を表示する表示制御」に相当する。
また、本願補正発明の構成Fにおける「所定条件」は、例えば可動物予告演出の開始タイミングとなること(本願明細書の段落【0425】)やスーパーリーチ演出の開始タイミングとなること(同段落【0432】)などを含む、保留表示を所定期間非表示状態とするための何らかの条件を意味するものと解されるところ、引用発明は、「変動表示ゲームにおける演出態様の変化に応じて変動表示装置に表示されている始動記憶を非表示状態に変更する」ものであるから、引用発明の「変動表示ゲームにおける演出態様」の所定の「変化」は、本願補正発明の「所定条件」に相当する。
そして、引用発明の「記憶表示非表示化手段」は、「前記非表示制御を終了するときに、前記第1の表示態様で保留表示を表示可能」なものであるから(引用発明の構成hを参照。)非表示状態に変更すると、所定期間非表示状態とし、その後非表示制御を終了するものであるといえる。
そうすると、引用発明の「変動表示ゲームにおける演出態様の変化に応じて変動表示装置に表示されている始動記憶を非表示状態に変更する」制御は、本願補正発明の「所定条件が成立したことにもとづいて前記保留表示手段において保留表示を所定期間非表示状態とする非表示制御」に相当する。
したがって、引用発明の「始動記憶を変動表示装置に表示させる記憶表示制御手段、及び、変動表示ゲームにおける演出態様の変化に応じて変動表示装置に表示されている始動記憶を非表示状態に変更する記憶表示非表示化手段」は、
本願補正発明の「前記保留表示手段に保留表示を表示する表示制御と、所定条件が成立したことにもとづいて前記保留表示手段において保留表示を所定期間非表示状態とする非表示制御と、を実行する保留表示制御手段」に相当する。

(g)引用発明の「非表示状態において」は、本願補正発明の「前記非表示制御が実行されている場合」に相当する。
また、引用発明の「予告表示態様とされる始動記憶が発生した場合、このタイミングでは予告表示態様の表示を行わ」ないことは、本願補正発明の「前記保留予告演出を禁止可能であ」ることに相当する。
そうすると、引用発明の「非表示状態において予告表示態様とされる始動記憶が発生した場合、このタイミングでは予告表示態様の表示を行わ」ない「前記予告手段」は、
本願補正発明の「前記非表示制御が実行されている場合に、前記保留予告演出を禁止可能であ」る「前記保留予告演出実行手段」に相当する。

(h)引用発明の「非表示状態の終了直後」、「通常表示態様」、「始動記憶」の表示は、それぞれ本願補正発明の「前記非表示制御を終了するとき」、「第1の表示態様」、「保留表示」に相当する。
そうすると、引用発明の「非表示状態の終了直後においては、非表示状態で発生した始動記憶が予告表示態様で表示されるものであっても通常表示態様で表示する」「前記記憶表示制御手段」は、
本願補正発明の「前記非表示制御を終了するときに、前記第1の表示態様で保留表示を表示可能である」「前記保留表示制御手段」に相当する。

(i?l)引用発明は、本願補正発明の構成I?Lに対応する構成を有しないから、この点を相違点とした。

上記(a)?(i?l)の検討により、本願補正発明と引用発明とは、

(一致点)
「A 開始条件が成立したことにもとづいて、可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 未だ開始条件が成立していない可変表示に関する情報を保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
C 前記保留記憶手段に記憶されている保留記憶の各々に対応して第1の表示態様または第2の表示態様により保留表示を表示可能な保留表示手段と、
D 開始条件が成立する前に、前記有利状態に制御されるか否かを判定する開始前判定手段と、
E 前記開始前判定手段の判定結果にもとづいて、前記保留表示手段において前記第2の表示態様で保留表示を表示する保留予告演出を実行する保留予告演出実行手段と、
F 前記保留表示手段に保留表示を表示する表示制御と、所定条件が成立したことにもとづいて前記保留表示手段において保留表示を所定期間非表示状態とする非表示制御と、を実行する保留表示制御手段とを備え、
G 前記保留予告演出実行手段は、前記非表示制御が実行されている場合に、前記保留予告演出を禁止可能であり、
H 前記保留表示制御手段は、前記非表示制御を終了するときに、前記第1の表示態様で保留表示を表示可能である遊技機。」

である点で一致し、構成I?Lに関する以下の点で相違している。

(相違点)
本願補正発明は、可変表示が行われる可変表示手段とは異なる副演出表示装置を備え、保留表示手段は、前記副演出表示装置の表示画面に設けられ、保留予告演出実行手段は、前記副演出表示装置において保留予告演出を実行し、保留表示を所定期間非表示状態とするための所定条件は、可動部材である前記副演出表示装置が動作していることを少なくとも含むのに対して、引用発明は、副演出表示装置及びこれに関連する構成を有しない点。

(3)判断
相違点の判断について
(ア)上記相違点について検討すると、上記3(1)イで検討したとおり、引用文献2には、
「変動図柄201aが表示される表示領域が設けられているLCD3の表示画面3aの右側上部には、赤色の丸印の表示により保留球数を表示する回数表示部202bを有する保留表示装置202が設けられ、保留表示装置202をスライドさせて、保留球数が視認可能な通常状態と、保留球数が視認し得ない特別状態にすることが可能な遊技機。」
の発明が記載されている。
ここで、引用文献2の「変動図柄201aが表示される表示領域が設けられているLCD3」は、本願補正発明の「可変表示が行われる可変表示手段」に対応するから、引用文献2の「変動図柄201aが表示される表示領域が設けられているLCD3の表示画面3aの右側上部」に設けられた「保留表示装置202」は、本願補正発明の「可変表示が行われる可変表示手段とは異なる副演出表示装置」(構成I)に対応する。
そして、引用文献2の「保留表示装置202」が有する「赤色の丸印の表示により保留球数を表示する回数表示部202b」は、本願補正発明の「前記副演出表示装置の表示画面に設けられ」る「前記保留表示手段」(構成J)に対応する。
また、本願の願書に添付した明細書の段落【0513】には、「副演出表示装置91が可動式に構成して、副演出表示装置91のLCD部分を視認可能な状態から視認不可能な状態に切り替え可能とした場合、副演出表示装置91のLCD部分を視認不可能な状態にすることで、保留記憶表示を非表示状態とする非表示制御を実行し・・・てもよい。」と記載され、可動式の副演出表示装置91のLCD部分を視認不可能な状態に切り替え動作させることで、保留記憶表示を非表示状態とするものが示されているところ、引用文献2に記載された発明は、「保留表示装置202をスライドさせて」「保留球数が視認し得ない特別状態にする」ものであるから、引用文献2の副演出表示装置(保留表示装置202)は、「可動部材」といえるとともに、副演出表示装置を動作(スライド)させることにより保留表示を非表示状態とするもの(構成Lに関連)であるといえる。
そうすると、引用文献2には、本願補正発明の用語を用いて表現すると、
「可変表示が行われる可変表示手段とは異なる副演出表示装置を備え、保留表示手段は、前記副演出表示装置の表示画面に設けられ、可動部材である副演出表示装置を動作させることにより保留表示を非表示状態とする遊技機。」
の発明が記載されているといえる。

(イ)また、上記(2-エ)の記載事項によれば、引用文献2の段落【0163】には、「第2実施例におけるLCD3の表示画面3aには、第1実施例におけるLCD3の表示画面3aと同様、保留球数が視認し得る通常状態と、保留球数が視認し得ない特別状態とに応じて有効ラインの数を変化させつつ変動表示が行われるように、主制御基板C等に制御を行わせても良い。」と記載され、上記(2-イ)の記載事項によれば、引用文献2の段落【0055】には、「特別状態においては、通常状態よりLCD3の表示画面3aと保留表示装置8とが重なる量が少ないので、LCD3の前面にはより大きな表示領域が確保され、この表示領域が確保されたときに有効ラインLを多数にした特別の変動表示が実行される。」と記載されている。
一方、上記(1-キ)の記載事項によれば、引用文献1の段落【0198】には、「特図変動表示ゲームにおける演出態様の変化に応じて表示装置41に表示されている飾り特図始動記憶表示600を非表示状態に変更することで、特図始動記憶に関係なく(例えば、飾り特図始動記憶表示領域610を含めて画面全体で)画面変化を行うことができ、特図変動表示ゲームに関する装飾演出を効率よく行える。」と記載されている。
そうすると、引用発明と引用文献2に記載された発明とは、保留表示を視認可能な状態(表示状態)から視認し得ない状態(非表示状態)へと切り替えて、保留表示されていた領域を含む広い表示領域を用いて演出を行うことが可能な遊技機という点で共通するものであり、さらに、引用発明においても、保留表示手段を可動部材に設けて演出を行えば、興趣の向上が図られることは明らかであるから、引用発明に対して引用文献2に記載された発明の構成を適用する動機付けが存在するといえる。

(ウ)そして、引用発明の保留予告演出実行手段(予告手段)は、保留表示手段(変動表示装置)に表示される保留表示(始動記憶)の表示態様を通常とは異なる予告表示態様で表示する保留予告演出を実行するものであり、保留表示手段に表示される保留表示を用いて保留予告演出を行うものといえるから、引用発明に対して引用文献2に記載された発明の構成を適用する場合に、保留予告演出実行手段が、保留表示手段が設けられた副演出表示装置において保留予告演出を実行するように構成すること(構成K)は、当業者であれば当然に実施できるものであるといえる。

(エ)したがって、引用発明の遊技機は、非表示制御において保留表示を所定期間非表示状態にするものであるところ、保留表示を非表示状態にするための手段として、保留表示(表示そのもの)を非表示にすることに代えて、引用文献2に記載された発明の構成を採用することにより、可変表示が行われる可変表示手段とは異なる副演出表示装置を設け(構成I)、保留表示手段を前記副演出表示装置の表示画面に設ける(構成J)とともに、可動部材である副演出表示装置を動作させることにより保留表示を非表示状態とする、すなわち、保留表示を所定期間非表示状態とするための所定条件として、可動部材である副演出表示装置が動作していることを含め(構成L)、併せて、保留予告演出実行手段が、保留表示手段が設けられた副演出表示装置において保留予告演出を実行するように構成して(構成K)、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。

イ 本願補正発明の作用効果について
そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び引用文献2に記載された発明から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものとはいえない。

ウ 請求人の主張について
(ア)なお、請求人は審判請求書において、「引用文献3に記載された遊技機は、保留表示装置8を上昇させて回数表示部8a?8dの表示面を上向きにし、更に回数表示部8a?8dを上フレーム13により覆って回数表示部8a?8dを隠した特別状態に変化させるものです(引用文献3の段落0028)。このとき、保留球数は回数表示部8a?8dに表示されたままであるものと解されます。従って、引用文献3は、「前記保留表示手段において」保留表示を所定期間非表示状態とすることを開示していません。」(第4頁第1?8行)と主張している。
しかしながら、願書に添付した明細書の段落【0513】には、「副演出表示装置91が可動式に構成して、副演出表示装置91のLCD部分を視認可能な状態から視認不可能な状態に切り替え可能とした場合、副演出表示装置91のLCD部分を視認不可能な状態にすることで、保留記憶表示を非表示状態とする非表示制御を実行し・・・てもよい。」と記載され、可動式の副演出表示装置91のLCD部分を視認不可能な状態に切り替え動作させることで、保留記憶表示を非表示状態とするものが示されている。
そうすると、引用文献2(請求人のいう「引用文献3」)に記載された、可動部材である副演出表示装置(保留表示装置202)を動作させることにより保留表示を視認し得ない状態にする構成も、保留表示手段において保留表示を非表示状態にするものといえる。
また、仮に本願補正発明において、「非表示状態」が保留表示手段の表示自体を非表示(消灯状態)とするものに限定されるとしても、引用文献2の段落【0167】には、「特別状態としたときには回数表示部8a?8dを強制的にすべて消灯状態にしても良い。」と記載されているから、そのような構成は、引用文献2に示唆されている。
そうすると、請求人の上記主張は採用することができない。

(イ)また、請求人は審判請求書において、「また、引用文献3に記載された遊技機では、保留球数を視認困難な状態とするために保留表示装置を動作させています。これに対して、請求項1に係る発明は、可動部材である副演出表示装置が動作していることを条件に、保留表示を所定期間非表示状態とする非表示制御を実行するものです。このように、請求項1に係る発明は、引用文献3に記載された遊技機と概念的に異なります。」(第4頁第9?15行)と主張している。
しかしながら、引用文献2(請求人のいう「引用文献3」)には、上記(ア)で検討したとおり、可動部材である副演出表示装置(保留表示装置202)を動作させることにより保留表示を非表示状態とする構成が記載されており、保留表示を非表示状態とするためには、可動部材である副演出表示装置を動作させることが必要であるから、引用文献2には、可動部材である副演出表示装置が動作していることを条件に、保留表示を非表示状態とする構成が記載されているといえる。
そうすると、請求人の上記主張は採用することができない。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1?3に係る発明は、平成27年5月14日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1 補正の内容」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1及び2の記載事項及び引用発明の認定については、上記「第2[理由]3(1)引用文献に記載された事項」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]」で検討した本願補正発明から、構成要件である「保留記憶手段」が記憶する内容に関して、「未だ開始条件が成立していない可変表示に関する情報」から「未だ開始条件が成立していない可変表示について」とし、「情報」であることの限定を省くともに、同じく構成要件である「保留表示制御手段」が保留表示を所定期間非表示状態とするための「所定条件」に関して、「可動部材である前記副演出表示装置が動作していることを少なくとも含む」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の特定事項をすべて含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2[理由]3(2)対比、(3)判断」に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-03-30 
結審通知日 2017-04-04 
審決日 2017-06-02 
出願番号 特願2012-206208(P2012-206208)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤脇 沙絵寺田 祥子尾崎 俊彦  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 藤田 年彦
萩田 裕介
発明の名称 遊技機  
代理人 木村 満  

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