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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特39条先願 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1330606
審判番号 不服2016-16601  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-07 
確定日 2017-07-20 
事件の表示 特願2015-72423号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年7月2日出願公開、特開2015-120067号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年5月22日に出願した特願2012-117007号の一部を平成27年3月31日に新たな特許出願としたものであって、平成28年3月2日付けで拒絶理由通知がされ、これに対し同年5月11日付けで意見書が提出されたが、同年9月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月7日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載を含む補正であり、出願時と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。

(補正前:出願時)
「【請求項1】
識別情報の可変表示を行う可変表示装置に特定結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
リーチ演出を実行するリーチ演出実行手段と、
遊技者に遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備え、
前記リーチ演出は、最終停止識別情報として導出表示される識別情報の候補の画像と所定演出を示唆する所定演出示唆画像とが表示される特別リーチ演出を含み、
前記特別リーチ演出が実行された後、最終停止識別情報が導出表示される前に前記所定演出を実行する所定演出実行手段をさらに備え、
前記遊技価値付与手段は、前記所定演出実行手段により前記所定演出が実行されてから前記有利状態に制御されたときと、前記特別リーチ演出が実行された後前記所定演出が実行されずに前記有利状態に制御されたときとで、異なる割合で遊技価値を付与し、
前記特別リーチ演出では、前記所定演出示唆画像を複数表示可能である、
ことを特徴とする遊技機。」

(補正後:本件補正である平成28年11月7日付けの手続補正)
「【請求項1】
識別情報の可変表示を行う可変表示装置に特定結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
リーチ演出を実行するリーチ演出実行手段と、
遊技者に遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備え、
前記リーチ演出は、最終停止識別情報として導出表示される識別情報の候補の画像と所定演出を示唆する所定演出示唆画像とが表示される特別リーチ演出を含み、
前記特別リーチ演出が実行された後、最終停止識別情報が導出表示される前に前記所定演出を実行する所定演出実行手段をさらに備え、
前記遊技価値付与手段は、前記所定演出実行手段により前記所定演出が実行されてから前記有利状態に制御されたときと、前記特別リーチ演出が実行された後前記所定演出が実行されずに前記有利状態に制御されたときとで、異なる割合で遊技価値を付与し、
前記特別リーチ演出では、前記所定演出示唆画像を複数表示可能であり、
前記所定演出実行手段は、複数種類の前記所定演出のいずれかを実行可能であり、
前記所定演出の各々に対応して複数種類の前記所定演出示唆画像が定められ、前記特別リーチ演出で表示される前記所定演出示唆画像の組み合わせに応じて異なる割合で前記所定演出が実行される、
ことを特徴とする遊技機。」

2.補正の適否
本件補正によって、請求項1の記載は、上記1.の下線部H及びIが加わるように補正された。すなわち、補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「所定演出実行手段」について「複数種類の前記所定演出の何れかを実行可能であ」るという限定を付加し、また、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「所定演出実行手段」により「実行」される「所定演出」について「前記所定演出の各々に対応して複数種類の前記所定演出示唆画像が定められ、前記特別リーチ演出で表示される前記所定演出示唆画像の組み合わせに応じて異なる割合で前記所定演出が実行される」という限定を付加したものである。
そうすると、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
そして、本件補正は、明細書の段落【0274】、【0276】?【0278】及び【0281】等の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下において検討する。

(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の本件補正の概要において示した次に特定されるとおりのものである。なお、A?Iについては、発明特定事項を分説するため答申で付与した。

「A 識別情報の可変表示を行う可変表示装置に特定結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B リーチ演出を実行するリーチ演出実行手段と、
C 遊技者に遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備え、
D 前記リーチ演出は、最終停止識別情報として導出表示される識別情報の候補の画像と所定演出を示唆する所定演出示唆画像とが表示される特別リーチ演出を含み、
E 前記特別リーチ演出が実行された後、最終停止識別情報が導出表示される前に前記所定演出を実行する所定演出実行手段をさらに備え、
F 前記遊技価値付与手段は、前記所定演出実行手段により前記所定演出が実行されてから前記有利状態に制御されたときと、前記特別リーチ演出が実行された後前記所定演出が実行されずに前記有利状態に制御されたときとで、異なる割合で遊技価値を付与し、
G 前記特別リーチ演出では、前記所定演出示唆画像を複数表示可能であり、
H 前記所定演出実行手段は、複数種類の前記所定演出のいずれかを実行可能であり、
I 前記所定演出の各々に対応して複数種類の前記所定演出示唆画像が定められ、前記特別リーチ演出で表示される前記所定演出示唆画像の組み合わせに応じて異なる割合で前記所定演出が実行される、
ことを特徴とする遊技機。」

ここで、本願補正発明の「G 前記特別リーチ演出では、前記所定演出示唆画像を複数表示可能であ」ることの「可能」とは、文言上、特別リーチ演出で、所定演出示唆画像を必ず複数表示するのではなく、1つのみ表示する場合や、全く表示しない場合もあると解すことができる。
しかしながら、本願補正発明の構成Dにおいて「特別リーチ演出」は「最終停止識別情報として導出表示される識別情報の候補の画像と所定演出を示唆する所定演出示唆画像とが表示される」のであるから、必ず所定演出示唆画像を表示するものであることは明らかであり、また、本願補正発明の構成Iにおいて「所定演出示唆画像の組み合わせ」が「表示される」のであるから、「組み合わせ」とするために複数の所定示唆画像の表示が必要なことも明らかである。
したがって、本願補正発明の「G 前記特別リーチ演出では、前記所定演出示唆画像を複数表示可能であ」ることは、本願補正発明の構成D、Iにより特別リーチ演出で所定演出示唆画像を1つのみ表示する場合や、全く表示しない場合は除外されるから、「前記特別リーチ演出では、前記所定演出示唆画像を複数表示」することと実質的に同視できる。

(2)本願と同日の出願に係る発明
前置報告書において新たに提示された、本願と同日の出願に係る特願2014-252203号(以下「同日出願」という。特許第5873159号公報参照。)の請求項1に係る発明(以下、「同日出願発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 なお、a?iについては同日出願発明の発明特定事項を分説するため当審で付与した。

「a 各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行う可変表示装置に表示結果として特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な有利状態に制御する遊技機であって、
b リーチ演出を実行するリーチ演出実行手段と、
c 遊技者に遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備え、
d 前記リーチ演出は、導出表示される識別情報の候補の画像と所定演出を示唆する所定演出示唆画像とが前記可変表示装置に表示される特別リーチ演出を含み、
e 前記特別リーチ演出が実行された後、表示結果が導出表示される前に前記所定演出を実行する所定演出実行手段をさらに備え、
f 前記遊技価値付与手段は、前記特別リーチ演出が実行された後前記所定演出が実行されてから特定表示結果が導出表示されるときと、前記特別リーチ演出が実行された後前記所定演出が実行されずに特定表示結果が導出表示されるときとで、異なる割合で遊技価値を付与し、
h 前記所定演出実行手段は、複数種類の前記所定演出のいずれかを実行可能であり、
g、i 前記所定演出の各々に対応して複数種類の前記所定演出示唆画像が定められ、前記特別リーチ演出で表示される前記所定演出示唆画像の組み合わせに応じて異なる割合で前記所定演出が実行される、
ことを特徴とする遊技機。」

(3)対比・判断
本願補正発明と同日出願発明とを対比する。なお、見出しは(a)?(i)とし、本願補正発明、同日出願発明の分説に対応させている。

(a)識別情報の可変表示を行う可変表示装置を有する遊技機において、「識別情報」が各々を識別可能な複数種類のものからなることは技術常識であり、本願補正発明の「識別情報」が各々を識別可能な複数種類のものからなることは明らかである。
また、同日出願発明の「表示結果として」の「特定表示結果」及び「遊技者にとって有利な遊技状態状態に制御する遊技機」は、本願補正発明の「特定結果」及び「遊技者にとって有利な遊技状態に制御可能な遊技機」に相当する。
したがって、同日出願発明の「各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行う可変表示装置に表示結果として特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な有利状態に制御する遊技機」は、本願補正発明の「識別情報の可変表示を行う可変表示装置に特定結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。

(b)同日出願発明の「リーチ演出を実行するリーチ演出実行手段」は、本願補正発明の「リーチ演出を実行するリーチ演出実行手段」に相当する。

(c)同日出願発明の「遊技者に遊技価値を付与する遊技価値付与手段」は、本願補正発明の「遊技者に遊技価値を付与する遊技価値付与手段」に相当する。

(d)同日出願発明の「導出表示される識別情報」は、「表示結果」または「特定表示結果」であることは明らかであって、本願補正発明の「最終停止識別情報として導出表示される識別情報」に相当するといえる。
また、識別情報の可変表示を行う可変表示装置を有する遊技機において、最終停止識別情報として導出表示される識別情報の候補の画像を表示してリーチ演出を行う際に可変表示装置を用いることは技術常識であるから、本願補正発明の「リーチ演出」に「含」まれる「特別リーチ演出」において「最終停止識別情報として導出表示される識別情報の候補の画像と所定演出を示唆する所定演出示唆画像と」が、「識別情報の可変表示を行う可変表示装置」に表示されるものであることは明らかである。
したがって、同日出願発明の「前記リーチ演出は、導出表示される識別情報の候補の画像と所定演出を示唆する所定演出示唆画像とが前記可変表示装置に表示される特別リーチ演出を含」むことは、本願補正発明の「前記リーチ演出は、最終停止識別情報として導出表示される識別情報の候補の画像と所定演出を示唆する所定演出示唆画像とが表示される特別リーチ演出を含」むことに相当する。

(e)同日出願発明の「前記特別リーチ演出が実行された後、表示結果が導出表示される前に前記所定演出を実行する所定演出実行手段」は、本願補正発明の「前記特別リーチ演出が実行された後、最終停止識別情報が導出表示される前に前記所定演出を実行する所定演出実行手段」に相当する。

(f)同日出願発明において、「所定演出」は、「所定演出実行手段」により「実行」されるものである。また、「特定表示結果が導出表示されるとき」は、「有利状態に制御」されるものである。
さらに、本願補正発明においては、「特別リーチ演出が実行された後」に「所定演出」が「実行」されるものである。また、「有利状態に制御され」るのは、「特定結果が導出表示されたとき」である。
したがって、同日出願発明の「前記遊技価値付与手段は、前記特別リーチ演出が実行された後前記所定演出が実行されてから特定表示結果が導出表示されるときと、前記特別リーチ演出が実行された後前記所定演出が実行されずに特定表示結果が導出表示されるときとで、異なる割合で遊技価値を付与」することは、本願補正発明の「前記遊技価値付与手段は、前記所定演出実行手段により前記所定演出が実行されてから前記有利状態に制御されたときと、前記特別リーチ演出が実行された後前記所定演出が実行されずに前記有利状態に制御されたときとで、異なる割合で遊技価値を付与」することに相当する。

(g)上記(1)で検討したように、本願補正発明の「G 前記特別リーチ演出では、前記所定演出示唆画像を複数表示可能であ」ることは、本願補正発明の構成D、Iを勘案すれば「前記特別リーチ演出では、前記所定演出示唆画像を複数表示」することと実質的に同視できる。
したがって、同日出願発明の「前記特別リーチ演出で」「複数種類の」「前記所定演出示唆画像」を「表示」することは、本願補正発明の構成D、Iを勘案した本願補正発明の「前記特別リーチ演出では、前記所定演出示唆画像を複数表示可能であ」ることに相当する。

(h)同日出願発明の「前記所定演出実行手段は、複数種類の前記所定演出のいずれかを実行可能であ」ることは、本願補正発明の「前記所定演出実行手段は、複数種類の前記所定演出のいずれかを実行可能であ」ることに相当する。

(i)同日出願発明の「前記所定演出の各々に対応して複数種類の前記所定演出示唆画像が定められ、前記特別リーチ演出で表示される前記所定演出示唆画像の組み合わせに応じて異なる割合で前記所定演出が実行される」ことは、本願補正発明の「前記所定演出の各々に対応して複数種類の前記所定演出示唆画像が定められ、前記特別リーチ演出で表示される前記所定演出示唆画像の組み合わせに応じて異なる割合で前記所定演出が実行される」ことに相当する。

そうすると、両者は、
「A 識別情報の可変表示を行う可変表示装置に特定結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B リーチ演出を実行するリーチ演出実行手段と、
C 遊技者に遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備え、
D 前記リーチ演出は、最終停止識別情報として導出表示される識別情報の候補の画像と所定演出を示唆する所定演出示唆画像とが表示される特別リーチ演出を含み、
E 前記特別リーチ演出が実行された後、最終停止識別情報が導出表示される前に前記所定演出を実行する所定演出実行手段をさらに備え、
F 前記遊技価値付与手段は、前記所定演出実行手段により前記所定演出が実行されてから前記有利状態に制御されたときと、前記特別リーチ演出が実行された後前記所定演出が実行されずに前記有利状態に制御されたときとで、異なる割合で遊技価値を付与し、
G’前記特別リーチ演出では、前記所定演出示唆画像を複数表示可能又は複数表示するものであり、
H 前記所定演出実行手段は、複数種類の前記所定演出のいずれかを実行可能であり、
I 前記所定演出の各々に対応して複数種類の前記所定演出示唆画像が定められ、前記特別リーチ演出で表示される前記所定演出示唆画像の組み合わせに応じて異なる割合で前記所定演出が実行される、
遊技機。」
である点で一致し、相違点はない。

よって、本願補正発明と同日出願発明とは同一である。

(4)小括
したがって、本願補正発明は、同日出願発明と同一の発明であり、同日出願発明は、既に特許されており、協議をすることができないから、特許法第39条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1.で出願時の特許請求の範囲の請求項1として示した次に特定されるとおりのものである。なお、A?Gについては、発明特定事項を分説するため当審で付与した。

「A 識別情報の可変表示を行う可変表示装置に特定結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B リーチ演出を実行するリーチ演出実行手段と、
C 遊技者に遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備え、
D 前記リーチ演出は、最終停止識別情報として導出表示される識別情報の候補の画像と所定演出を示唆する所定演出示唆画像とが表示される特別リーチ演出を含み、
E 前記特別リーチ演出が実行された後、最終停止識別情報が導出表示される前に前記所定演出を実行する所定演出実行手段をさらに備え、
F 前記遊技価値付与手段は、前記所定演出実行手段により前記所定演出が実行されてから前記有利状態に制御されたときと、前記特別リーチ演出が実行された後前記所定演出が実行されずに前記有利状態に制御されたときとで、異なる割合で遊技価値を付与し、
G 前記特別リーチ演出では、前記所定演出示唆画像を複数表示可能である、
ことを特徴とする遊技機。」

1.刊行物に記載された事項
(1) 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2011-234755号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

ア 「【1112】
なお、変動表示において変動して表示される画像(複合候補画像)に、複数種類の発展演出をそれぞれ表す複数の演出示唆画像が追加されてもよい。そして、その複数の演出示唆画像のうちの停止表示された演出示唆画像に対応付けられた発展演出が実現されてもよい。こうすれば、遊技者は、どのような演出があるのか興味深く変動表示を観察することができ、さらに、複数種類の発展演出が実現され得るので、遊技者は、そのれらの演出の実現を楽しみに遊技を行うことができる。」

イ 「【1133】
[態様6]
遊技機であって、
検出手段による遊技球の検出に応じて取得された乱数を用いて抽選を行う抽選手段と、
画像を表示可能であるとともに、複数の図柄表示領域を表示可能な表示画面を有する表示手段と、
前記抽選のそれぞれに関して、前記複数の図柄表示領域のそれぞれにおいて複数の図柄を利用した変動表示を行った後に図柄を停止表示させることによって、停止表示させた複数の図柄の組み合わせによって特定の特典が付与されるか否かを遊技者に報知する表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記表示手段の制御の一部の種類のパターンを実現する手段として、
前記複数の図柄表示領域のうちの一部の図柄表示領域において図柄を停止表示させることによってリーチ状態を形成するリーチ形成手段と、
前記リーチ状態を形成する図柄表示領域と組み合わせて前記特定の特典が付与されるか否かの報知に利用される図柄表示領域である特定の図柄表示領域における前記変動表示において表示されるべき画像に、図柄の候補である複数の停止図柄候補に加えて、図柄の停止表示に先立って実現され得る演出である発展演出を表す発展演出示唆画像を追加する演出示唆画像追加手段と、
前記一部の種類のパターンのうちの特定のパターンである第1パターンを実現するための手段であって、前記特定の図柄表示領域における変動表示に続いて、前記発展演出を実現することなく、図柄を停止表示させることによって、前記リーチ状態を形成する図柄表示領域と前記特定の図柄表示領域とによる図柄の組み合わせである対象図柄組み合わせを報知する図柄停止手段と、
前記一部の種類のパターンのうちの前記第1パターンとは異なる別の特定のパターンであって、前記抽選結果が前記特定の特典が付与されることを表す当たりである期待度が高い第2パターンを実現するための手段であって、前記特定の図柄表示領域における変動表示に続いて、図柄を停止表示させる代わりに前記発展演出示唆画像を停止表示させ、前記発展演出を前記表示手段に実現させ、前記発展演出の実現の後に、図柄を停止表示させることによって、前記対象図柄組み合わせを報知する演出実現停止手段と、
前記特定の図柄表示領域における変動表示を実行する手段であって、前記第1パターンが実現される場合に、前記第2パターンと比べて前記当たりの期待度が低いとはいえ、前記第2パターンでは停止表示されるものの前記第1パターンでは停止表示されないにも拘わらずに、前記発展演出示唆画像の表示を含む前記変動表示を行う複合変動表示手段と、
を含む、遊技機。

【1137】
また、特定の特典としては、種々の特典を採用可能である。例えば、いわゆる大入賞口の開閉部材が、多数(例えば、10個)の遊技球が入賞することが十分に可能な長時間(例えば、30秒程度)、開放されることを含む大当たり遊技を採用してもよい。また、大当たり遊技としては、大入賞口の開閉部材が、上述の長時間、開放されることと、多数の遊技球が入賞することが困難な短時間(例えば、0.05秒?0.6秒程度)、開放されることとの両方を含む遊技が採用される場合がある。このような場合には、特定の特典として、上記開放部材の1回目の開放が上述の長時間の開放である大当たり遊技を採用してもよい。また、そのような大当たり遊技に限らず、他の特典を採用してもよい。例えば、大当たり遊技後に確変機能が作動しない通常大当たりと、大当たり遊技後に確変機能が作動する確変大当たりが存在する遊技機においては、特定の特典として、確変大当たりを採用してもよい。」

上記記載事項ア及びイを総合すれば、刊行物1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。また、a?gについては引用発明を分説するため当審で付与した。

「a 複数の図柄表示領域を表示可能な表示画面において複数の図柄を利用した変動表示を行った後に図柄を停止表示させることによって、停止表示させた複数の図柄の組み合わせによって特定の特典として大当たり遊技が付与される遊技機であって(【1133】、【1137】)、
b、d 前記複数の図柄表示領域のうちの一部の図柄表示領域において図柄を停止表示させることによってリーチ状態を形成する図柄表示領域と組み合わせて前記特定の特典が付与されるか否かの報知に利用される図柄表示領域である特定の図柄表示領域における前記変動表示において表示されるべき画像に、図柄の候補である複数の停止図柄候補に加えて、図柄の停止表示に先立って実現され得る演出である発展演出を表す発展演出示唆画像を追加する演出示唆画像追加手段と(【1133】)、
e 前記特定の図柄表示領域における変動表示に続いて、図柄を停止表示させる代わりに前記発展演出示唆画像を停止表示させ、前記発展演出を前記表示手段に実現させる演出実現停止手段とを備え(【1133】)、
f’ 前記演出実現停止手段は、前記特定の図柄表示領域における変動表示に続いて、前記発展演出を実現することなく、図柄を停止表示させることによって実現される第1パターンとは異なる別のパターンであって、前記特定の図柄表示領域における変動表示に続いて、図柄を停止表示させる代わりに前記発展演出示唆画像を停止表示させ、前記発展演出を前記表示手段に実現させることによって前記特定の特典が付与されることを表す当たりである期待度が高い第2パターンを実現し(【1133】)、
g 変動表示において変動して表示される画像(複合候補画像)に、複数種類の発展演出をそれぞれ表す複数の演出示唆画像が追加される(【1112】)、
遊技機。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2005-287873号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0134】
本実施の形態のパチンコ機10において、通常の変動表示は左側・中央・右側の各表示領域において各図柄列42a?42cの配列に基づいて各図柄が縦スクロールすることにより行われる。ここで、各表示領域における縦スクロールがすべて停止した際に、有効ラインL1?L5上に同一図柄、或いは、顔図柄を含む同一の主図柄が揃った表示状態となれば、所定の遊技価値が付与される大当たり状態となるように構成されている。このため、3つの内2つの表示領域の縦スクロールが停止した際に、有効ラインL1?L5上に同一図柄が2つ揃っていれば、大当たりを示唆する表示状態、即ち、リーチ状態となる。本実施の形態のパチンコ機10では、変動表示の変動パターンとして、ハズレ変動(通常変動)と、ノーマルリーチと、ノーマルリーチから発展するノーマルロングリーチと、ノーマルロングリーチから発展する星空スーパーリーチと、ノーマルロングリーチから発展する噴水スーパーリーチと、いきなり噴水スーパーリーチとが用意されている。
【0135】
なお、星空スーパーリーチ、噴水リーチ及びいきなり噴水リーチは、大当たりの発生確率が高いスーパーリーチに分類される。本実施の形態のパチンコ機10では、大物口33への遊技球の入球に基づく抽選によって大当たりを付与する抽選結果が導出された場合には、スーパーリーチを選択し易いように構成する一方、大物口33への遊技球の入球の基づく抽選によって大当たりを付与しない抽選結果が導出された場合にはハズレ又はノーマルリーチを選択し易いように構成されている。また、通常大当たり(即ち、顔図柄を含んだ大当たり)は、スーパーリーチでは発生しないように構成されている。このように構成することによって、例えば、変動表示の実行時にスーパーリーチが現出した場合に、通常大当たりより遊技価値が高い確変大当たり発生の期待感を向上させることができるので、抑揚のある遊技を実現することができる。」

2.対比
本願発明と引用発明を対比する。なお、見出しは(a)?(g)とし、本願発明、引用発明の分説に対応させている。

(a)引用発明の「複数の図柄」、「変動表示」、「複数の図柄表示領域を表示可能な表示画面」及び「特定の特典として大当たり遊技が付与される」ことは、それぞれ、本願発明の「識別情報」、「可変表示」、「可変表示装置」及び「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能」なことに相当する。
また、引用発明の「停止表示させた複数の図柄の組み合わせ」は、それによって「特定の特典として大当たり遊技が付与される」のであるから、本願発明の「特定結果」を含むものとえいる。
したがって、引用発明の「複数の図柄表示領域を表示可能な表示画面を有する表示手段において複数の図柄を利用した変動表示を行った後に図柄を停止表示させることによって、停止表示させた複数の図柄の組み合わせによって特定の特典として大当たり遊技が付与される遊技機」は、本願発明の「識別情報の可変表示を行う可変表示装置に特定結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。

(b)引用発明の「前記リーチ状態を形成する図柄表示領域と組み合わせて前記特定の特典が付与されるか否かの報知に利用される図柄表示領域である特定の図柄表示領域における前記変動表示において表示されるべき画像に、図柄の候補である複数の停止図柄候補に加えて、図柄の停止表示に先立って実現され得る演出である発展演出を表す発展演出示唆画像を追加する」ことは、リーチにおける演出を実行することといえる。
したがって、引用発明の「前記リーチ状態を形成する図柄表示領域と組み合わせて前記特定の特典が付与されるか否かの報知に利用される図柄表示領域である特定の図柄表示領域における前記変動表示において表示されるべき画像に、図柄の候補である複数の停止図柄候補に加えて、図柄の停止表示に先立って実現され得る演出である発展演出を表す発展演出示唆画像を追加する演出示唆画像追加手段」は、本願発明の「リーチ演出を実行するリーチ演出実行手段」に相当する。

(d)引用発明の「図柄の候補である複数の停止図柄候補」及び「図柄の停止表示に先立って実現され得る演出である発展演出を表す発展演出示唆画像」は、それぞれ、本願発明の「最終停止識別情報として導出表示される識別情報の候補の画像」及び「所定演出を示唆する所定演出示唆画像」に相当する。
また、引用発明では「前記リーチ状態を形成する図柄表示領域と組み合わせて前記特定の特典が付与されるか否かの報知に利用される図柄表示領域である特定の図柄表示領域における前記変動表示において表示されるべき画像」として、「図柄の候補である複数の停止図柄候補」が表示される通常のリーチ演出に対して、「図柄の停止表示に先立って実現され得る演出である発展演出を表す発展演出示唆画像を追加」して表示する演出は特別なリーチ演出といえる。
したがって、引用発明の「前記リーチ状態を形成する図柄表示領域と組み合わせて前記特定の特典が付与されるか否かの報知に利用される図柄表示領域である特定の図柄表示領域における前記変動表示において表示されるべき画像に、図柄の候補である複数の停止図柄候補に加えて、図柄の停止表示に先立って実現され得る演出である発展演出を表す発展演出示唆画像を追加する」ことは、本願発明の「前記リーチ演出は、最終停止識別情報として導出表示される識別情報の候補の画像と所定演出を示唆する所定演出示唆画像とが表示される特別リーチ演出」に相当する。

(e)上記(d)の検討を踏まえれば、引用発明の「前記特定の図柄表示領域における変動表示に続いて、図柄を停止表示させる代わりに前記発展演出示唆画像を停止表示させ、前記発展演出を前記表示手段に実現させる演出実現停止手段」は、本願発明の「前記特別リーチ演出が実行された後、最終停止識別情報が導出表示される前に前記所定演出を実行する所定演出実行手段」に相当する。

(f)上記(a)?(e)の検討を踏まえれば、引用発明の「前記演出実現停止手段は、前記特定の図柄表示領域における変動表示に続いて、前記発展演出を実現することなく、図柄を停止表示させることによって実現される第1パターンとは異なる別のパターンであって、前記特定の図柄表示領域における変動表示に続いて、図柄を停止表示させる代わりに前記発展演出示唆画像を停止表示させ、前記発展演出を前記表示手段に実現させることによって前記特定の特典が付与されることを表す当たりである期待度が高い第2パターンを実現」することと、本願発明の「前記遊技価値付与手段は、前記所定演出実行手段により前記所定演出が実行されてから前記有利状態に制御されたときと、前記特別リーチ演出が実行された後前記所定演出が実行されずに前記有利状態に制御されたときとで、異なる割合で遊技価値を付与」することとは、「前記所定演出実行手段により前記所定演出が実行されてから前記有利状態に制御されたときと、前記特別リーチ演出が実行された後前記所定演出が実行されずに前記有利状態に制御されたときとで、異なる割合で遊技利益を付与する」点で共通する。

(g)引用発明の「変動表示において変動して表示される画像(複合候補画像)に、複数種類の発展演出をそれぞれ表す複数の演出示唆画像が追加される」ことは、本願発明の「前記特別リーチ演出では、前記所定演出示唆画像を複数表示可能である」ことに相当する。

そうすると、両者は
「A 識別情報の可変表示を行う可変表示装置に特定結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B リーチ演出を実行するリーチ演出実行手段とを備え、
D 前記リーチ演出は、最終停止識別情報として導出表示される識別情報の候補の画像と所定演出を示唆する所定演出示唆画像とが表示される特別リーチ演出を含み、
E 前記特別リーチ演出が実行された後、最終停止識別情報が導出表示される前に前記所定演出を実行する所定演出実行手段をさらに備え、
F’前記所定演出実行手段により前記所定演出が実行されてから前記有利状態に制御されたときと、前記特別リーチ演出が実行された後前記所定演出が実行されずに前記有利状態に制御されたときとで、異なる割合で遊技利益を付与し、
G 前記特別リーチ演出では、前記所定演出示唆画像を複数表示可能である、
遊技機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
本願発明は「遊技者に遊技価値を付与する遊技価値付与手段」を備えるものであるのに対し、引用発明は遊技価値付与手段を備えるか否か特定されていない点。

(相違点2)
所定演出実行手段により所定演出が実行されてから有利状態に制御されたときと、特別リーチ演出が実行された後所定演出が実行されずに有利状態に制御されたときとで、異なる割合で付与される遊技利益が、本願発明では「有利状態」とは異なる「遊技価値」であるのに対し、引用発明では有利状態である「大当たり」である点。

3.判断
上記相違点1及び2は関連するので、以下、まとめて検討する。
刊行物2の段落【0134】及び【0135】(上記第3の1.(2))には、パチンコ機において、変動表示の変動パターンとして、ノーマルリーチから発展するノーマルロングリーチと、ノーマルロングリーチから発展する星空スーパーリーチ等が用意され、通常大当たりはスーパーリーチでは発生しないように構成することによって、変動表示の実行時にスーパーリーチが現出した場合に、通常大当たりより遊技価値が高い確変大当たり発生の期待感を向上させるという技術事項が記載されている。
ここで、このパチンコ機が確変という遊技価値を付与する遊技価値付与手段を備えることは明らかであり、また、通常大当たりはスーパーリーチでは発生しないのであるから、スーパーリーチが現出した場合と現出しない場合とで、異なる割合で確変という遊技価値を付与するものといえる。
したがって、この刊行物2は、確変という遊技価値を付与する遊技価値付与手段を備えるという技術事項と、確変という遊技価値を付与する遊技価値付与手段は、スーパーリーチという所定演出の実行手段により、スーパーリーチという所定演出が実行されてから大当たりという有利状態に制御されたときと、ノーマルロングリーチという特別なリーチ演出が実行された後前記スーパーリーチという所定演出が実行されずに前記大当たりという有利状態に制御されたときとで、異なる割合で確変という遊技価値を付与するという技術事項、すなわち、上記相違点1及び2に係る本願発明の構成C、Fに対応する技術事項を開示するものといえる。

そして、刊行物1の段落【1137】(上記第3の1.イ)には特定の特典として大当たり遊技に限らず確変大当たりを採用してもよいという技術事項が記載されているから、確変に関する刊行物2の上記技術事項に倣い、引用発明の特定の特典として確変を採用して、発展演出が実行されてから大当たりという有利状態に制御されたときと、発展演出示唆画像を追加して変動表示を行う特別なリーチ演出が実行された後前記発展演出が実行されずに前記大当たりという有利状態に制御されたときとで、異なる割合で確変という遊技価値を付与するものとして上記相違点1及び2に係る本願発明の構成C、Fに想到することは容易になし得るものである。

なお、刊行物2の上記技術事項を採用しなくても、刊行物1の段落【1137】(上記第3の1.イ)の特定の特典として大当たり遊技に限らず確変大当たりを採用してもよいという技術事項の記載から、引用発明の「特定の特典」を「大当たり遊技」ではなく「確変大当たりによる確変」とすることによって上記相違点1及び2に係る本願発明の構成C、Fに想到することも当業者が容易になし得るものである。

また、本願発明の効果は、引用発明、刊行物1に記載の技術事項及び刊行物2に記載の技術事項から予測できる範囲のものであり格別なものではない。

4.請求人の主張に対して
請求人は、審判請求書の第5頁第20行?第6頁第9行において、次のように主張する。

「本願請求項1に係る発明では…遊技価値付与手段は、所定演出実行手段により所定演出が実行されてから有利状態に制御されたときと、特別リーチ演出が実行された後所定演出が実行されずに有利状態に制御されたときとで、異なる割合で遊技価値を付与します。なお…所定演出実行手段は、特別リーチ演出が実行された後、最終停止識別情報が導出表示される前に所定演出を実行します。つまり、本願請求項1に係る発明では、特別リーチ演出が実行された後所定演出が実行されてから有利状態に制御されたときと、特別リーチ演出が実行された後所定演出が実行されずに有利状態に制御されたときとで異なる割合で遊技価値を付与します。
これに対しまして、引用文献2(当審注:当審決の「刊行物2」に相当する。)の発明には、スーパーリーチが実行されてから大当たりとなる場合には通常大当たりにはならないのに対し、スーパーリーチが実行されずに大当たりとなる場合には通常大当たりとなり得ることが開示されているだけです。つまり、単独の「スーパーリーチ」が実行されるかどうかに応じて、異なる遊技価値が付与されるだけです。そのため、このような引用文献2の発明を引用文献3(当審注:当審決の「刊行物1」に相当する。)の発明に適用しても、「異サイズリーチ演出」が実行されるかどうかに応じて、異なる遊技価値が付与されるにとどまると思料致します。
従いまして、本願請求項1に係る発明は…引用文献3、2に記載された発明から、当業者であっても容易に想到することはできません。」

しかしながら、 上記第3の3.で述べたように、刊行物2には、確変という遊技価値を付与する遊技価値付与手段を備え、前記遊技価値付与手段は、スーパーリーチという所定演出の実行手段により、スーパーリーチという所定演出が実行されてから大当たりという有利状態に制御されたときと、ノーマルロングリーチという特別なリーチ演出が実行された後前記スーパーリーチという所定演出が実行されずに前記大当たりという有利状態に制御されたときとで、異なる割合で確変という遊技価値を付与するという本願発明の構成C、Fに対応する技術事項を開示するものといえる。
そして、確変に関する上記刊行物2に記載の技術事項に倣い、引用発明の特定の特典として確変を採用して、発展演出が実行されてから大当たりという有利状態に制御されたときと、発展演出示唆画像を追加して変動表示を行う特別なリーチ演出が実行された後前記発展演出が実行されずに前記大当たりという有利状態に制御されたときとで、異なる割合で確変という遊技価値を付与するものとすることは当業者が容易になし得るものである。
したがって、請求人の主張は採用できない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、刊行物1に記載の技術事項及び刊行物2に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-22 
結審通知日 2017-05-23 
審決日 2017-06-05 
出願番号 特願2015-72423(P2015-72423)
審決分類 P 1 8・ 4- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 阿部 知  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 蔵野 いづみ
藤田 年彦
発明の名称 遊技機  
代理人 木村 満  

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