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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 B62D 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 B62D 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B62D |
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管理番号 | 1330743 |
審判番号 | 不服2016-3660 |
総通号数 | 213 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-03-09 |
確定日 | 2017-08-16 |
事件の表示 | 特願2014-120207号「電動自動車用の取付けフレーム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年1月5日出願公開、特開2015-721号、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年6月11日(パリ条約による優先権主張2013年6月13日、(DE)ドイツ連邦共和国)の出願であって、平成27年4月13日付けで拒絶理由が通知され、同年7月13日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月6日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、平成28年3月9日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出され、平成29年3月23日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年6月13日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 この出願の請求項1?13に係る発明は、本願の出願前に日本国内において頒布された以下の刊行物1?5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <刊行物> 刊行物1:特開2010-195134号公報 刊行物2:特開2011-152841号公報 刊行物3:特開2001-301649号公報 刊行物4:特開2009-51251号公報 刊行物5:特開2009-190438号公報 ここで、原査定では、請求項1?4、7、8及び13に対して刊行物1及び2に基づく容易想到性が、請求項5及び6に対して刊行物1?3に基づく容易想到性が、請求項9?11に対して刊行物1?4に基づく容易想到性が、請求項12に対して刊行物1?5に基づく容易想到性がそれぞれ検討され、以下のとおり判断されている。 パワーユニットを車両本体フレームとは別のサブフレームに搭載することは、刊行物2に記載されており(図1-3参照)、このものは、前方に横メンバ37(本願の「中空体」に相当)も有している。そして、刊行物2に記載された発明において、刊行物1に記載された発明に倣って、前記横メンバの剛性を高めることは当業者が容易になし得ることであると認められるから、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得たものである。 また、請求項2?13に係る発明についても同様に、刊行物1?5に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得たものである。 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 [理由1]本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。 [理由2]本願の請求項1?3、6?10に係る発明は、本願の出願前に日本国内において頒布された以下の刊行物Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。 [理由3]本願の請求項1?3、6?10に係る発明は、本願の出願前に日本国内において頒布された以下の刊行物Aに記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <刊行物> 刊行物A:特開2011-152841号公報(拒絶査定時の刊行物2) 第4 本願発明 本願の請求項1?9に係る発明(以下「本願発明1?9」という。)は、平成29年6月13日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本願発明1は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 電動自動車(10)用の取付けフレーム(20)であって、該取付けフレーム(20)が車輪(14)が取り付けられている支持フレーム(12)に固定されるものにおいて、 前記自動車(10)の長手方向(18)に向けられ長手方向軸線(16)に対して平行に延在すると共に離間配置されている2つの長手方向ビーム(30、32)と、前記自動車(10)を駆動させるための、前記長手方向ビーム(30、32)に取り付けられた電気駆動ユニット(22)とを備え、 前記長手方向ビーム(30、32)が、前記長手方向(18)で外方向に開いたフレーム構成を形成し、取付けフレーム(20)がさらに、曲げ剛性を有する中空体(28)を有し、前記中空体(28)が、前記長手方向ビーム(30、32)の間に配置され、前記長手方向ビーム(30、32)に機械的に固定接続されて、閉じたフレーム区域を形成すると共に、 前記中空体(28)が、前記長手方向(18)で前記電気駆動ユニット(22)に対して外方向にずらされ、 前記中空体(28)と前記電気駆動ユニット(22)との間に配置された取付部材(42)を更に含み、 前記取付部材(42)が、前記電気駆動ユニット(22)に向いた凹曲面を有し、 更に、前記中空体(28)内に補剛ストラット(68)が形成されている、ことを特徴とする取付けフレーム(20)。」 なお、本願発明2?9は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものである。 第5 当審の判断 1 当審拒絶理由について (1)[理由1]について 当審では、補正前の請求項1について、「前記中空体(28)が、前記長手方向ビーム(30、32)とは別個に構成され、前記取付けフレーム(20)に固定され、前記中空体(28)が、前記長手方向ビーム(30、32)の間に配置され、前記長手方向ビーム(30、32)に機械的に固定接続されて、閉じたフレーム区域を形成すると共に」(下線は当審で付した。)との記載における「前記取付けフレーム(20)に固定され」との構成が技術的に明らかでなく、発明が不明確である旨の拒絶の理由を通知しているが、平成29年6月13日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、本願の請求項1は、上記「第4」のとおり補正された。 そして、本件補正によって、上記[理由1]は解消した。 (2)[理由2]及び[理由3]について 当審拒絶理由の[理由2]及び[理由3]は、上記「第3」に示すとおりであって、補正前の請求項1?3、6?10に係る発明について拒絶の理由を通知するものである(補正前の請求項4及び5に係る発明については、当該拒絶の理由を通知していない。)。 そして、本件補正によって、本願発明1は、補正前の請求項4で特定する事項を追加して限定することとなった。また、本願発明2?9は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものである。 したがって、本件補正によって、上記[理由2]及び[理由3]は解消した。 2 原査定について 原査定の概要は、上記「第2」に示すとおりであって、要するに、請求項1?13に係る発明は、刊行物2に記載された発明に、刊行物1、3?5に記載された技術事項を適用し、容易想到との判断を行ったものと解されるから、そのように解して以下検討する。 (1)刊行物2に記載された発明 ア 刊行物2には、「電気自動車の前部車体構造」に関する技術について開示されており(段落【0001】)、その具体的な構造として、 (ア)サブフレーム34は、左右の前部立ち上がり部39,40の上端部と、左右の後部立ち上がり部41,42の上端部とにおいて、フロントサイドフレーム25,27の下面に固定され、後部横メンバ38の車幅方向両端部において、フロアパネル20の下面に固定されること(段落【0042】)、 (イ)サブフレーム34は、前後方向に延びる左右一対の縦メンバ35,36と、左右の縦メンバ35,36間に亘って車幅方向に延びる前後一対の横メンバ37,38とを有すること(段落【0040】) (ウ)サブフレーム34は断面ロ字形の鋼材からなること(段落【0045】)、 (エ)左右一対のサイドフレーム24,26がそれぞれ前後方向に延設され、各サイドフレーム24,26のダッシュパネル18よりも前方部分は、フロントサイドフレーム25,27となっていること(段落【0034】)、 (オ)モータユニット10は、前方連結部50を介してサブフレーム34の前部横メンバ37に連結され、左右一対の側方連結部51,52を介してサブフレーム34の左右の縦メンバ35,36に連結されていること(段落【0059】)、が記載されている。 イ また、図1?3より、前部横メンバ37が、車両1の長手方向でモータユニット10に対して前方側に位置することが看取できる。 さらに、上記(ウ)のとおり、サブフレーム34は断面ロ字形の鋼材からなるところ、図3及び図4より、サブフレーム34を構成する前部横メンバ37は中空体であることも看取できる。 以上によれば、刊行物2には、 「電気自動車の前部車体構造をなすサブフレーム34において、 サブフレーム34は、左右の前部立ち上がり部39,40の上端部と、左右の後部立ち上がり部41,42の上端部とにおいて、フロントサイドフレーム25,27の下面に固定され、後部横メンバ38の車幅方向両端部において、フロアパネル20の下面に固定され、 サブフレーム34は、前後方向に延びる左右一対の縦メンバ35,36と、左右の縦メンバ35,36間に亘って車幅方向に延びる前後一対の横メンバ37,38とを有し、 サブフレーム34は断面ロ字形の鋼材からなり、 左右一対のサイドフレーム24,26がそれぞれ前後方向に延設され、各サイドフレーム24,26のダッシュパネル18よりも前方部分は、フロントサイドフレーム25,27となっており、 モータユニット10は、前方連結部50を介してサブフレーム34の前部横メンバ37に連結され、左右一対の側方連結部51,52を介してサブフレーム34の左右の縦メンバ35,36に連結され、 前部横メンバ37が、車両1の長手方向でモータユニット10に対して前方側に位置し、 前部横メンバ37は中空体である、 電気自動車の前部車体構造をなすサブフレーム34。」 の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。 (2)対比・判断 ア 対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「サブフレーム34」は、「電気自動車の前部車体構造をなす」ことから、本願発明1の「電動自動車(10)用の取付けフレーム(20)」に相当するものといえる。 (イ)引用発明の「サブフレーム34」は、「左右の前部立ち上がり部39,40の上端部と、左右の後部立ち上がり部41,42の上端部とにおいて、フロントサイドフレーム25,27の下面に固定され、後部横メンバ38の車幅方向両端部において、フロアパネル20の下面に固定され」るものであるから、上記「サブフレーム34」は、少なくとも、上記「フロントサイドフレーム25,27」に固定されていることが明らかである。 また、引用発明は、「左右一対のサイドフレーム24,26がそれぞれ前後方向に延設され、各サイドフレーム24,26のダッシュパネル18よりも前方部分は、フロントサイドフレーム25,27となって」いることから、上記「フロントサイドフレーム25,27」は、「左右一対のサイドフレーム24,26」に含まれ、それが電動自動車構成上、支持フレームを構成することも技術的に明らかである。 したがって、引用発明における「サブフレーム34」及び「フロントサイドフレーム25,27」の配設構造と、本願発明1の「該取付けフレーム(20)が車輪(14)が取り付けられている支持フレーム(12)に固定される」という構成とは、「該取付けフレーム(20)が支持フレーム(12)に固定される」という構成の限度で共通するものといえる。 (ウ)引用発明の「前後方向に延びる左右一対の縦メンバ35,36」と本願発明1の「前記自動車(10)の長手方向(18)に向けられ長手方向軸線(16)に対して平行に延在すると共に離間配置されている2つの長手方向ビーム(30、32)」とは、「前記自動車(10)の長手方向(18)に向けられ長手方向軸線(16)に延在すると共に離間配置されている2つの長手方向ビーム(30、32)」の限度で共通するものといえる。 (エ)引用発明の「モータユニット10」は、「電気自動車」用の電気駆動ユニットをなすことが明らかであり、さらに「左右一対の側方連結部51,52を介してサブフレーム34の左右の縦メンバ35,36に連結され」るものであるから、上記(ウ)をも踏まえると、本願発明1の「前記自動車(10)を駆動させるための、前記長手方向ビーム(30、32)に取り付けられた電気駆動ユニット(22)」に相当するものといえる。 (オ)引用発明の「前部横メンバ37」は、「中空体であ」り、曲げ剛性を有することが技術的に明らかであるから、本願発明1の「曲げ剛性を有する中空体(28)」に相当するものといえる。 (カ)引用発明の「サブフレーム34」は、「前後方向に延びる左右一対の縦メンバ35,36と、左右の縦メンバ35,36間に亘って車幅方向に延びる前後一対の横メンバ37,38とを有し」て構成されるものであるから、左右一対の縦メンバ35,36が、前後方向で前方向に開いたフレーム構成を形成すること、及び前部横メンバ37が、左右一対の縦メンバ35,36の間に配置され、左右一対の縦メンバ35,36に接続されて、閉じたフレーム区域を形成することは技術的に明らかである(図2、3にもそのように記載されている。)。 したがって、かかる「サブフレーム34」の構成は、上記(ウ)及び(オ)をも踏まえると、本願発明1の「前記長手方向ビーム(30、32)が、前記長手方向(18)で外方向に開いたフレーム構成を形成し、取付けフレーム(20)がさらに、曲げ剛性を有する中空体(28)を有し、前記中空体(28)が、前記長手方向ビーム(30、32)の間に配置され、前記長手方向ビーム(30、32)に機械的に固定接続されて、閉じたフレーム区域を形成する」という構成と、「前記長手方向ビーム(30、32)が、前記長手方向(18)で外方向に開いたフレーム構成を形成し、取付けフレーム(20)がさらに、曲げ剛性を有する中空体(28)を有し、前記中空体(28)が、前記長手方向ビーム(30、32)の間に配置され、前記長手方向ビーム(30、32)に接続されて、閉じたフレーム区域を形成する」という構成の限度で共通するものといえる。 (キ)引用発明の「横メンバ37が、車両1の長手方向でモータユニット10に対して前方側に位置し」という構成は、上記(エ)及び(オ)をも踏まえると、本願発明1の「前記中空体(28)が、前記長手方向(18)で前記電気駆動ユニット(22)に対して外方向にずらされ」という構成に相当するものといえる。 (ク)引用発明において、「モータユニット10は、前方連結部50を介してサブフレーム34の前部横メンバ37に連結され」るものであるから、前部横メンバ37とモータユニット10との間に前方連結部50が配置されていることは技術的に明らかである(図3にもそのように記載されている)。 したがって、引用発明の「前方連結部50」は、本願発明1の「前記中空体(28)と前記電気駆動ユニット(22)との間に配置された取付部材(42)」に相当するものといえる。 以上によれば、本願発明1と引用発明とは、 「電動自動車用の取付けフレームであって、該取付けフレームが支持フレームに固定されるものにおいて、前記自動車の長手方向に向けられ長手方向軸線に延在すると共に離間配置されている2つの長手方向ビームと、前記自動車を駆動させるための、前記長手方向ビームに取り付けられた電気駆動ユニットとを備え、 前記長手方向ビームが、前記長手方向で外方向に開いたフレーム構成を形成し、取付けフレームがさらに、曲げ剛性を有する中空体を有し、前記中空体が、前記長手方向ビームの間に配置され、前記長手方向ビームに接続されて、閉じたフレーム区域を形成すると共に、 前記中空体が、前記長手方向で前記電気駆動ユニットに対して外方向にずらされ、 前記中空体と前記電気駆動ユニットとの間に配置された取付部材を更に含む、取付けフレーム。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 「支持フレーム」について、本願発明1は、「車輪(14)が取り付けられている」支持フレーム(12)であるのに対し、引用発明は、「左右一対のサイドフレーム24,26」を含む「フロントサイドフレーム25,27」である点。 <相違点2> 「2つの長手方向ビーム」について、本願発明1は、「長手方向軸線(16)に対して平行に」延在するものであるのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。 <相違点3> 「中空体」の配設態様について、本願発明1は、長手方向ビームに「機械的に固定」接続されるものであるのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。 <相違点4> 「取付部材」について、本願発明1は、「前記電気駆動ユニット(22)に向いた凹曲面を有」するものであるのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。 <相違点5> 「中空体」の構造について、本願発明1は、「更に、前記中空体(28)内に補剛ストラット(68)が形成されている」ものであるのに対し、引用発明は、「前部横メンバ37は中空体である」ものの、その内部構造が明らかでない点。 イ 判断 事案に鑑み、上記相違点5について検討する。 ここで、上記相違点5に係る本願発明1の構成は、上記「第2」で述べた原査定において、請求項5で特定される事項である。そして、原査定では、請求項5について刊行物1?3に基づく容易想到性の検討がなされ容易想到と判断されているので、かかる判断を踏まえて以下検討する。 (ア)刊行物1には、パワーユニットが配置された車両前部構造に関し(段落【0001】)、左右のフロントサイドメンバ12の車両前後方向の前端12C間に、バンパ骨格部材としてのバンパリインフォースメント28を架け渡して設けること(段落【0023】)、パワーユニット50を、フロントサイドメンバ12及びバンパリインフォースメント28を介して車体11に支持すること(段落【0041】)、及び、パワーユニット50の車両前側部分と、バンパリインフォースメント28の背面とは連結部材66を介して結合されていること(段落【0042】)、が記載されている。 ここで、上記刊行物1に記載された「車両前部構造」における「バンパリインフォースメント28」、「左右のフロントサイドメンバ12」及び「パワーユニット50」と、引用発明における「横メンバ37」、「左右の縦メンバ35,36」及び「モータユニット10」とは、各構成要素の配設位置関係に照らして、その配設態様が共通する、ということもできるから、引用発明の「横メンバ37」の構造について、上記刊行物1に記載された「バンパリインフォースメント28」の構造の適用を試みることは、当業者が通常の創作能力の発揮において行い得ることということもできるが、上記「バンパリインフォースメント28」は、その内部に補剛ストラットが形成されるものではない。 したがって、引用発明に刊行物1に記載された技術事項を適用しても、上記相違点5に係る本願発明1の構成に至るものではない。 (イ)刊行物3には、自動車等の車両におけるサイドメンバ先端への衝撃吸収部材の取付構造に関し(段落【0001】)、車体前後方向に沿って配設された左右一対のフロントサイドメンバ10の先端部に、衝撃吸収部材としてのクラッシュボックス12を介してバンパリインフォースメント14を取り付けることが記載されている(段落【0022】)。 しかし、上記「バンパリインフォースメント14」は、その内部に補剛ストラットが形成されるものではないから、引用発明に上記技術事項を適用しても、上記相違点5に係る本願発明1の構成に至るものではない。 また、刊行物3には、荷重伝達向上手段としてのボックス台40がクラッシュボックス12の端部12Cを形成してなるものにおいて(段落【0046】、図7)、ボックス台40の後面40Bに、略中央部40Dから隆起し、外周壁部40Cの稜線40Eに至る複数のリブ40Fを形成することが記載されているが(段落【0048】、図9、図10)、上記「ボックス台40」は、あくまでも、クラッシュボックス12の端部12Cを形成するボックス台40であるから、その配設意義が異なる引用発明の「横メンバ37」に上記「ボックス台40」に係る技術を適用する動機付けは存在しない。 (ウ)そして、本願発明1は、上記相違点に係る「補剛ストラット」を設けることにより、「長手方向で中空体の機械的安定性を高める」(段落【0017】)という格別の効果を奏するものである。 (エ)したがって、本願発明1は、引用発明及び刊行物1、3に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 また、本願発明2?9は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものであるから、本願発明1と同様に当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-08-03 |
出願番号 | 特願2014-120207(P2014-120207) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(B62D)
P 1 8・ 113- WY (B62D) P 1 8・ 537- WY (B62D) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 森本 哲也、川上 佳 |
特許庁審判長 |
島田 信一 |
特許庁審判官 |
出口 昌哉 氏原 康宏 |
発明の名称 | 電動自動車用の取付けフレーム |
代理人 | 岡島 伸行 |