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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 B41J
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B41J
管理番号 1330744
審判番号 不服2016-19458  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-27 
確定日 2017-08-17 
事件の表示 特願2012-138518「ドットインパクトプリンタ装置並びにその印字濃度調整方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月 9日出願公開、特開2014- 758、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年6月20日の出願であって、平成28年5月17日付けで手続補正がされ、同年9月23日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年12月27日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成29年6月2日付けで拒絶理由通知がされ、同年6月21日付けで手続補正がされたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1乃至10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」乃至「本願発明10」という。)は、平成29年6月21日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1乃至10に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
インクリボン及び印字ピンを含む印字ヘッドを用いて複数のドットによって文字等を印字するドットインパクトプリンタ装置において、
印字された前記文字等の濃度である印字濃度を検出する印字濃度検出部と、
この印字濃度検出部で検出された前記印字濃度が淡くなるに従い、前記複数のドットのうち間引きするドット数を減らすことにより、隣接して印字する前記ドット同士の間隔であるドット間距離を短くする印字濃度調整部と、
を備えたことを特徴とするドットインパクトプリンタ装置。」

なお、本願発明2乃至10の概要は以下のとおりである。
本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明3は、本願発明2を減縮した発明である。
本願発明4は、本願発明1乃至本願発明3のいずれかを減縮した発明である。
本願発明5は、本願発明1乃至本願発明3のいずれかを減縮した発明である。
本願発明6は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明7は、本願発明6を減縮した発明である。
本願発明8は、本願発明7を減縮した発明である。
本願発明9は、本願発明6乃至本願発明8のいずれかを減縮した発明である。
本願発明10は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1と実質的な構成の差異がない発明である。


第3 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成14年12月24日に頒布された引用文献1(特開2002-370434号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 カセットリボンを用いたナンバリング印字部と、
前記ナンバリング印字部にてナンバリングデータの文字列と同時に濃度チェックパターンを帳票に印字する印字制御手段と、
前記帳票に印字された前記濃度チェックパターンの印字濃度を測定するフォトセンサと、
前記フォトセンサで測定した印字濃度から前記カセットリボンの交換を指示する、若しくは交換時期を判断する処理手段とを具備したことを特徴とする光学的文字読取装置。

【請求項3】 前記フォトセンサで測定した値から印字濃度の劣化を判断し、若しくは外部からの指示に従い、前記ナンバリング印字部によって前記帳票に印字出力するナンバリングデータの文字パターンの印字ドット密度を高めるよう印字フォントを変更して前記ナンバリングデータの印字濃度を上げる印字フォント変更手段を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の光学的文字読取装置。」
(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、交換可能なカセットリボンを用いたナンバリング印字機構を備えた光学的文字読取装置、及びOCRナンバリング印字カセットリボン寿命検出方法に関する。」
(3)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来では、目視若しくは一様に定めた値をもとにカセットリボンの寿命を判断し交換していたことから、カセットリボンが有効に使用されないという問題があった。
【0007】本発明は上記実情に鑑みなされたもので、印字する文字種やカセットリボンのばらつき等による、使用可能状態下でのカセットリボンの無駄な交換を排除して、常にカセットリボンを有効に使用することができる光学的文字読取装置及びOCRナンバリング印字カセットリボン寿命検出方法を提供することを目的とする。
【0008】更に、本発明は、実際に印字された文字の濃度をチェックして、カセットリボンの寿命を判断し、実際に印字した文字の濃度劣化の状態を認識してカセットリボンの交換時期を促すことで、カセットリボンを無駄なく有効に使用することのできる光学的文字読取装置及びOCRナンバリング印字カセットリボン寿命検出方法を提供することを目的とする。」
(4)「【0066】また、印字密度を高くして印字品質を確保する動作モードが設定されている際は、制御部(CONT)17がナンバリング印字機構14に高密度印字を指示して、以降の帳票へのナンバリングデータ文字列の印字フォントを高密度印字フォントに切り換える(図2ステップS14)。
【0067】この際の印字フォント例を図4に示す。この例では、同図(a)に示す5×7ドットマトリクスの文字パターンについて、同図(b)に示すように、7本の印字ピンの印字走査方向(図の横方向)に、1ドット重複して印字を行うことで、カセットリボン14rの消耗によるナンバリングデータ文字列の印字濃度劣化を回避し所定の印字濃度を確保する。これにより、カセットリボン14rの消耗により、印字濃度が確保できなくなっても、カセットリボンを交換するまでの間(設定濃度以下になるまで)、カセットリボン14rをそのまま用いて所定のナンバリング印字濃度を確保することができる。」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「カセットリボンを用いたナンバリング印字部と、
前記ナンバリング印字部にてナンバリングデータの文字列と同時に濃度チェックパターンを帳票に印字する印字制御手段と、
前記帳票に印字された前記濃度チェックパターンの印字濃度を測定するフォトセンサと、
前記フォトセンサで測定した印字濃度から前記カセットリボンの交換を指示する、若しくは交換時期を判断する処理手段とを具備し、
前記フォトセンサで測定した値から印字濃度の劣化を判断し、若しくは外部からの指示に従い、前記ナンバリング印字部によって前記帳票に印字出力するナンバリングデータの文字パターンの印字ドット密度を高めるよう、印字走査方向に、1ドット重複して印字を行う印字フォントに変更して前記ナンバリングデータの印字濃度を上げる印字フォント変更手段を具備した光学的文字読取装置。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成15年3月12日に頒布された引用文献2(特開2003-72207号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【請求項2】 印字条件を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された印字条件に基づき、消耗部品を用いて帳票への印字を行う印字部と、
前記印字部により帳票に印字された印字画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部によって読み取られた印字画像に基づき、印字濃度を判定する印字濃度判定部と、
前記印字濃度判定部により判定された印字濃度と所定の基準印字濃度とを比較して、前記記憶部に記憶された第1の印字条件を該第1の印字条件より印字濃度が濃い第2の印字条件へと切り換える印字条件切換部と、
を具備することを特徴とする帳票処理装置。」
(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、銀行等の金融機関で用いられる帳票処理装置と帳票処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から銀行等の金融機関において、現金自動預出金機(以下、単にATMと称する)が利用されている。このATMに搭載されるユニットの一つに、払込書や通帳等の帳票の取り込み、帳票への印字等の処理を実行する帳票処理ユニットがある。この印字は、例えばインクリボンを用いたドットインパクト方式の印字部によって行われる。ここで、印字部が多数の帳票への印字を行うと印字品質が低下する傾向がある。例えば、印字にインクリボンを用いる場合には、印字の繰り返しによってインクリボン上のインク濃度が薄くなり、印字濃度が低下する。このため、印字濃度を判定し、判定された印字濃度が著しく低下するとインクリボンの交換を促す等の処置を行い、印字品質を保っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、異なるATM間での印字濃度の判定誤差により、帳票の処理に困難を来す可能性がある。この1例として、通帳への印字における印字済み行の検出が挙げられる。通帳では、検出された印字済み行の情報に基づき、空白行への印字が行われる。異なるATMによって印字された通帳に印字を行うときに、ATM間での印字濃度の判定誤差に起因して、誤って印字済行を検出する可能性がある。このようなATM間での印字濃度判定の相違に基づく困難を回避するには、印字濃度に充分な余裕を持った状態でインクリボンを交換するようにすればよいが、これではインクリボンの寿命が短くなってしまう。本発明はこのような課題を解決するためのもので、印字品質の低下を回避しつつ、インクリボン等消耗部品の寿命の向上を図れる帳票処理装置と帳票処理方法の提供を目的とする。」
(3)「【0012】挿入口1は、ATM100の利用者からの通帳および払込書などの帳票の投入を受け入れる。取込部3は、例えば一対の搬送ローラ3a,3bで構成され、挿入口1より挿入された帳票の自動取り込みを行う。磁気リード/ライト部7は、磁気ヘッド39を有し、通帳に貼り付けられた磁気ストライプに対してデータをリード/ライトする。イメージ読取部9は、赤外線光源およびCCDラインセンサから構成され、帳票のイメージを光学的に読み込む。具体的には、赤外線を帳票に照射し、帳票からの反射した赤外線をCCDラインセンサによって画像データとして読み取る。印字部10は、帳票への印字を行う。印字部10は、インクリボンを用いたドットインパクト方式の印字ヘッド43を有し、ドットピンによりインクリボンを押圧することでインクリボン上のインクを帳票に転写する。帳票格納部11は、複数の収納庫を有し、取引済み払込書などを収納する。幅寄せ機構13は、磁気リード/ライト部7の磁気ヘッド39と通帳裏面に貼り付けられている磁気ストライプが平行に接触するように通帳を整位する。通帳発行部15は、未使用の通帳を格納し、新規通帳の発行を行う。一時保留部17は、帳票格納部11への経路であるが、帳票を一時的に配置することもできる。搬送ローラ群3c-3nは、内部搬送路を形成する。」
(4)「【0029】(その他の実施形態)なお、本発明の帳票処理装置は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、印字濃度の判定はPCS値に拘る必要はなく、何らかの意味で印字品質を判定できれば足りる。また、上記実施形態において印字濃度の基準を単一の基準値としていたが、基準値を複数とすることもできる。例えば、複数の基準値によって印字濃度を区分し、判定された印字濃度がどの区分に属するかによって印字条件を決定できる。さらに判定された印字濃度に応じて連続的に印字条件を変化させても差し支えない。印字条件としては、印字動作のタイミング等の時間的条件に加えて、例えば印字ヘッドのドットピンの押圧強度等の力学的あるいは物理的、化学的条件も含められる。要するに何らかの意味で印字品質、特に印字濃度に影響あるパラメータであれば印字条件に含めて差し支えない。消耗部品としては、インクリボンに限ることなく、例えば印字部がインクジェット方式の場合のインクカートリッジ等その消耗によって印字品質に何らかの影響が現れるもの一般が含まれる。」

したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「印字条件を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された印字条件に基づき、消耗部品を用いて帳票への印字を行う印字部と、
前記印字部により帳票に印字された印字画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部によって読み取られた印字画像に基づき、印字濃度を判定する印字濃度判定部と、
前記印字濃度判定部により判定された印字濃度と所定の基準印字濃度とを比較して、前記記憶部に記憶された第1の印字条件を該第1の印字条件より印字濃度が濃い第2の印字条件へと切り換える印字条件切換部と、
を具備し、
印字部は、インクリボンを用いたドットインパクト方式の印字ヘッドを有し、ドットピンによりインクリボンを押圧することでインクリボン上のインクを帳票に転写する、帳票処理装置。」

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成13年8月21日に頒布された引用文献3(特開2001-225507号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】 文字や図形などのフォントを構成するドットに係る印字データを、クロック信号出力毎に印字ヘッドに出力して前記フォントを印刷するドットマトリクスプリンタにおいて、クロック信号出力毎に出力された印字データを一時記憶する印字データ記憶手段と、同じ印字データを印字ヘッドへ繰り返し出力するための繰り返し回数を設定する繰り返し回数設定手段と、或るクロック信号出力から次のクロック信号出力までの所定周期内で、印字データ記憶手段に記憶されている印字データを、繰り返し回数設定手段に設定されている繰り返し回数だけ印字ヘッドへ繰り返し出力して印刷させる印字データ繰り返し出力手段とを備えていることを特徴とするドットマトリクスプリンタ。」
(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば文字や図形などのフォントをドットで印刷するドットマトリクスプリンタに係り、更に詳しくは同じ印字データの出力を繰り返して印刷濃度を調整するドットマトリクスプリンタに関するものである。」
(3)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述のように画像濃度を濃くするに当たっては、クロック信号CL?CL間の所定周期Tを短く設定し直すことが考えられる。しかしながら、制御手段(CPU)を介して印字データを生成しデータ転送する処理は時間がかかる。そのため、CPUの演算速度やメモリ容量による制限もあるが、所定周期Tを一定以上に短くすることはできない。このようにデータの生成・転送処理に時間がかかりすぎると、次の印字データ出力が遅れて後にずれることとなり被印刷物の高速搬送に対応できないことから、プリンタとしては致命的となる。また、データ生成・転送処理中はCPUが専有されるため、別のジョブを実行させることができないという問題もある。
【0004】本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、印刷濃度を変えるようにしたプリンタにおいて、簡単な構成により、高速印字に対応することのできるドットマトリクスプリンタの提供を目的とするものである。」
(4)「【0009】繰り返し回数設定手段20は同じ印字データを印字ヘッド7へ繰り返し出力するための繰り返し回数を設定するものである。この繰り返し回数設定手段20は、前記の入力手段3と、制御手段2の信号出力側に接続された繰り返し回数記憶手段16と、繰り返し回数カウント手段15とから構成され、更に、繰り返し周期演算手段14と、制御手段2の信号出力側に接続された繰り返し周期記憶手段18と、繰り返し周期カウント手段17の機能も備えている。前記の繰り返し周期演算手段14は例えば制御手段2の保有する演算機能により実現される。
【0010】印字データ繰り返し出力手段21は、印字データ記憶手段19に記憶されている繰り返しデータ信号RD(印字データ信号LDと同じ信号)を、或るクロック信号CLの出力から次のクロック信号CLの出力までの所定周期T内で、繰り返し回数記憶手段16に設定されて記憶されている繰り返し回数nだけ、印字ヘッド7のドライバ12,12,・・・へ出力するようになっている。尚、上記した信号線11、印字指令出力手段10、繰り返し回数カウント手段15、繰り返し回数記憶手段16、繰り返し周期カウント手段17、および、繰り返し周期記憶手段18の部分は、例えば汎用のプログラマブル・ロジック・デバイスなどで構成される。また、印字データ出力手段6および印字データ記憶手段19は、例えば汎用のシリアルパラレル変換LSIなどで構成することができる。
【0011】引続き、上記したドットマトリクスプリンタ1による印刷動作を、図1ないし図3を参照して説明する。ここでは、コンベアにより搬送中のダンボール箱(被印刷物)の外側面に英文字の「A」を印刷する例を示す。まず、所望の印刷濃度が外部から入力手段3を用いて制御手段2に入力される。この印刷濃度は、少なくとも、後述する印字の繰り返し回数nと所望のドット幅(パルス幅)tbとにより決まる。この場合、例えば繰り返し回数nを3回とする。この繰り返し回数データは制御手段2から繰り返し回数記憶手段16へ送信されて記憶される。
【0012】一方、制御手段2の繰り返し周期演算手段14は、クロック信号CL?CL間の所定周期Tと、繰り返し回数n(3回)と、ドット幅tbとから実施可能な繰り返し出力周期taを演算し、この繰り返し出力周期taを繰り返し周期記憶手段18に送って記憶させる。そこで、ドットマトリクスプリンタ1の箱検知手段(図示省略)が、コンベア搬送されてくるダンボール箱の先端を検知すると、制御手段2はフォントメモリ4から「A」に係るフォントデータを読み出し、このフォントデータを印字データ生成手段9によりノズル1ライン分のドットデータに分解して印字データとする。このように生成された印字データはいったん印字データメモリ5に格納される。
【0013】そうして、箱先端の検知時点から予め決められた時間が経過し所定の印刷開始時点になって、制御手段2のクロック回路8から所定周期T毎のクロック信号CLが出力されると、制御手段2からの指令により、印字指令出力手段10が印字データ出力手段6に印字指令信号OE(図2のOEl)を出力する。そして、印字データ出力手段6は信号線11を介して印字データメモリ5の印字データを印字データ信号LDとして受け取り、印字ヘッド7のドライバ12,12,・・・へ出力する。これにより、ドライバ12,12,・・・が駆動してノズル13,13,・・・からインクが噴射される。その際に、信号線11の印字データは印字データ記憶手段19へも送られて一時記憶される。
【0014】他方、繰り返し周期カウント手段17は繰り返し周期記憶手段18に記憶されている繰り返し出力周期taを計時し、クロック信号CLの発信後から繰り返し出力周期taが経過したときに印字指令出力手段10により印字指令信号OEd(図2)を出力させる。すると、印字データ繰り返し出力手段21は印字データ記憶手段19の印字データ(クロック信号CL毎の印字データ信号LDと同じデータ)を読み出し、繰り返しデータ信号RDとして印字ヘッド7に送信する。これにより、信号オンに対応したドライバ12,12,・・・が繰り返しデータ信号RDのパルス幅tbの時間だけ駆動してノズル13,13,・・・からインクを噴射させる。
【0015】続いて、繰り返し回数記憶手段16に記憶されている繰り返し回数nは繰り返し回数カウント手段15により1回ぶんが減算されてn-1とされる。上記のように印字指令信号OEdを出力して印字する処理手順は、繰り返し回数nだけ繰り返される。このようにして、印字データ信号LDと、これに続く3つの繰り返しデータ信号RD,RD,RDが印字ヘッド7に順次出力される。すなわち、このドットマトリクスプリンタ1では、図3および図4に示すように、文字や図形などのフォントを構成するドットDに係る印字データ信号LDがクロック信号CLおよび印字指令信号OElの出力毎に出力され、更には繰り返しデータ信号RDが印字指令信号OEd毎に繰り返し出力されることにより、濃度の濃いフォント「A」がドットD,D,・・・で表されるのである。
【0016】この場合、演算される繰り返し出力周期taは所定周期Tを均等割りしたものであれば、被印刷物の搬送方向に均一な画質の印刷を得ることができる。一方、所定周期Tを均等割りした場合よりも短い繰り返し周期taを演算して用いると、その回における最後の印字データ信号RD出力から次回の印字データ信号LD出力までの時間tdを長くとることができる。このときの時間tdは、パルス幅tbと、パルス幅tb?tb間の周期tcとを設定することで決められる。すなわち、上記のように時間tdを長くすると、印刷画質が搬送方向に幾分疎らになる反面、時間tdの間に制御手段2に対し種々の処理を実行させることができる。
【0017】尚、繰り返しデータ信号RDを出力する繰り返し回数nは、上記のような3回に限るものでなく、所定周期T内で設定可能であれば、任意の回数を設定することができる。かかる繰り返し回数nを外部から設定可能とすることにより、所望の印字濃度を選択することができる。また、印字ヘッドにおけるノズルの配置は上述の実施形態ような垂直な向きに限らず、被印刷物の搬送方向に幾分か傾けた配置でも構わない。ノズルの数も10個に限らず、例えば100個程度設けたものでもよい。また、上述した実施形態ではインクジェット式のドットマトリクスプリンタを例示したが、本発明はそれに限定されず、例えばレーザマーキング式やワイヤドット式のものにも適用可能であるのは言うまでもない。
【0018】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係るドットマトリクスプリンタによれば、クロック信号出力毎に出力された印字データを所定の繰り返し回数だけ印字ヘッドへ繰り返し出力して印刷するようにしてあるので、制御手段を介するデータ転送回数が少なくてすむ。従って、印字データを繰り返し出力している間に、制御手段を他のジョブに利用することができる。また、高速印字に対応させるためにメモリ容量を大きくする必要がない。これにより、高速処理で印刷することができるため、被印刷物の高速搬送に対応可能となる。」

したがって、上記引用文献3には次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「文字や図形などのフォントを構成するドットに係る印字データを、クロック信号出力毎に印字ヘッドに出力して前記フォントを印刷するドットマトリクスプリンタにおいて、クロック信号出力毎に出力された印字データを一時記憶する印字データ記憶手段と、同じ印字データを印字ヘッドへ繰り返し出力するための繰り返し回数を設定する繰り返し回数設定手段と、或るクロック信号出力から次のクロック信号出力までの所定周期内で、印字データ記憶手段に記憶されている印字データを、繰り返し回数設定手段に設定されている繰り返し回数だけ印字ヘッドへ繰り返し出力して印刷させる印字データ繰り返し出力手段とを備えているドットマトリクスプリンタ。」

4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成4年5月11日に頒布された引用文献4(特開平4-135777号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「2.特許請求の範囲
用紙に対する実際の印字動作量を表わす印字履歴パラメータを計数して累積する印字履歴計数部と、
前記印字履歴パラメータの累積値を所定の基準値と比較して、印字濃度の減少率を判定する印字濃度判定部と、
前記印字履歴パラメータの累積値が所定の基準値を越えた時、印字ヘッド部の保守動作を指示する保持管理部とを備えたことを特徴とするプリンタ装置。」(1頁左欄4?14行)
(2)「(産業上の利用分野)
本発明は、インクリボンを用いて印字するワイヤドット式印字ヘッドのように、長期間の使用により印字濃度が低下し、一定の段階でその保守動作を必要とするプリンタ装置に関する。」(1頁左欄16?末行)
(3)「(発明が解決しようとする課題)
ところが、この種の従来の装置においては、印字品質を管理し、印字濃度の低下を判断して、濃度切換えスイッチを操作するのは、オペレータ自身である。
従って、その濃度評価には個人差があり、実際には、印字濃度が低下してもそのままで使用され続けたり、必要以上に重ね打ちを実行し、印字濃度を高め、インクリボンの寿命を縮める等の問題があった。
特に、老巧化したインクリボンであるにも関わらず、その濃度を上げようとして重ね打ちを繰返すと、インクリボンの損傷により、インクリボンが装置各部に引っ掛かり、種々の二次障害を発生させる恐れもあった。
尚、インクリボンを使用したドットインパクト型のプリンタに関わらず、インクジェットを使用したもの等においても、インクボトルの交換等の保守動作を適切に行なうことが重要である。しかしながら、それにはきめの細かい管理を必要とし、煩雑になるという問題点があった。
本発明は以上の点に着目してなされたもので、オペレータの保守動作を予告しあるいは要求指示するために、装置のインクリボン等の状態を的確にオペレータに伝えることができるプリンタ装置を提供することを目的とするものである。」(2頁左上欄3?右上欄8行)

したがって、上記引用文献4には次の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。
「用紙に対する実際の印字動作量を表わす印字履歴パラメータを計数して累積する印字履歴計数部と、
前記印字履歴パラメータの累積値を所定の基準値と比較して、印字濃度の減少率を判定する印字濃度判定部と、
前記印字履歴パラメータの累積値が所定の基準値を越えた時、印字ヘッド部の保守動作を指示する保持管理部とを備えたプリンタ装置。」

5.引用文献5について
本願の出願日前の平成1年9月1日に頒布された引用文献5(特開平1-218851号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「2.特許請求の範囲
1.通常の印刷速度の他に通常の印刷速度のn倍の速度(n倍速)でドットマトリクス構成の文字・記号等を印刷するドットマトリクス式プリンタであって、通常の印刷速度用の基本ドットマトリクスを編集処理して前記n倍速用のドットマトリクスを生成するドットマトリクス式プリンタにおいて、
印刷ヘッドを通常の速度のn倍で移動させる手段と、
同一行において、印刷ドットと次の印刷ドットとの間に印刷しないドットが少なくともn-1含まれるように基本ドットマトリクスを編集して前記n倍速用のドットマトリクスを生成するドットマトリクス生成手段
とを有することを特徴とするドットマトリクス式プリンタ。」(1頁左下欄4?末行)
(2)「(産業上の利用分野)
本発明はドットマトリクス式プリンタの高速印刷に関する。」(1頁右下欄)下から4?2行)
(3)「(本発明が解決しようとする課題)
しかしながら、上記構成のドットマトリクス式プリンタでは3/2列単位のドット単位としているため、基本のドット周期に対し2/3の解像度となり、例えば斜め印刷の場合、印刷品位がおちるという欠点があった。一般に、ドットマトリクス式プリンタはドットピッチが1/180インチであるがこの場合1/120インチの解像度となってしまう。
これについて第10図を参照しながら説明する。第10図は従来技術による3倍速印刷の説明図である。同図(イ)は基本ドットマトリクスの印刷パターンである。同図(ロ)は印刷間隔を1/180インチから1/120インチへ広げた2/3縮小ドットマトリクスの印刷パターンである。同図(ハ)は更に同じ行から連続する印刷データを間引いて基本ドットマトリクスの印刷速度の3倍速で印刷したパターンである。同図(イ)と同図(ハ)とを見比べて判るように同図(ハ)には列間に
1/120インチ-1/180インチ=1/360インチ
の間隙が生じているので印刷品位がおちる。
又、コントロール方法が複雑になる欠点があった。」(2頁左上欄下から3行?右上欄下から2行)

したがって、上記引用文献5には次の発明(以下、「引用発明5」という。)が記載されていると認められる。
「通常の印刷速度の他に通常の印刷速度のn倍の速度(n倍速)でドットマトリクス構成の文字・記号等を印刷するドットマトリクス式プリンタであって、通常の印刷速度用の基本ドットマトリクスを編集処理して前記n倍速用のドットマトリクスを生成するドットマトリクス式プリンタにおいて、
印刷ヘッドを通常の速度のn倍で移動させる手段と、
同一行において、印刷ドットと次の印刷ドットとの間に印刷しないドットが少なくともn-1含まれるように基本ドットマトリクスを編集して前記n倍速用のドットマトリクスを生成するドットマトリクス生成手段
とを有するドットマトリクス式プリンタ。」

6.引用文献6について
本願の出願日前の平成12年11月21日に頒布された引用文献6(特開2000-318214号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】複数の印刷速度を指定可能とする印刷装置において、
ホスト装置からの受信印字データに基づいて受信印字データ3ドットに対して編集データを4ドットに変換し、印字するドットが連続した箇所があった場合、印字するドットが1ドットおきとなるように間引き処理を行う処理手段を備え、
処理手段によって間引きされた印字データに基づいて印刷処理を実行する、
ことを特徴とする印刷装置。」
(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複数の印刷速度を指定可能とする印刷装置において、印字速度を速めるとともに、印字品質をも確保することを実現する印刷装置およびその制御方法ならびに印刷装置の制御を実現するコンピュータ読取り可能なプログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、ドットマトリックス方式のインパクト式ドット・プリンタにおいて、印字ピンを駆動するか、印字ピンを駆動しないかによって英数字、かな、漢字、図形およびグラフなどが印刷される。
【0003】また、オペレータによって複数の印字速度を指定できる印刷装置において、高品位印刷(ノーマル速度)と高速印刷とに加えて、スピードアップモードとして、高品位印刷と高速印刷との中間速度で印刷する中速印刷を行っている。高品位印刷は、特に印刷品質を確保することを目的とする印刷時に適用される。また、中速印刷は、例えば清書モードなどを含む印刷品質を確保することを目的とする印刷時に適用される。一方、高速印刷は、例えば下書きモードなどを含む印刷品質を確保する必要がなく印刷の確認のみを目的とする印刷時に適用される。
【0004】複数の印字速度を指定できる印刷装置において、印字ヘッドの印字タイミングは一定となる。つまり、印字ピンの打撃スピードは一定である。例えば、高品位印刷(ノーマル速度)を1倍速印字とし、高速印刷を2倍速印字とした場合、高速印刷では印字ヘッドの移動速度を高品位印刷(ノーマル速度)に比較して2倍にする。このため、高速印刷の場合は、高品位印刷(ノーマル速度)の時に比べ、ドット間隔を2倍にする必要があるため、高品位印刷(ノーマル速度)の印字データを間引きして印字を行うことになる。
【0005】一方、中速印刷は、高品位印刷と高速印刷との中間速度で印刷するため、印字ヘッドの移動速度を高品位印刷(ノーマル速度)に比較して1.5倍にする。このため、高品位印刷(ノーマル速度)の時に比べ、ドット間隔を1.5倍にする必要があるため、高品位印刷(ノーマル速度)の印字データを解像度変換処理を行い、間引きして印字を行うことになる。
【0006】図9は従来技術における印刷装置の印刷モードの説明図を示すものである。印字ピンの印字周期は高品位印刷と中速印刷と高速印刷とにおいても同一となる。従って、ドット間隔が180DPI仕様の印刷装置においては、高品位印刷のドット間隔を1/180インチとした場合、2倍速印字とした高速印刷のドット間隔は1/90インチとなる。さらに、1.5倍速印字とした通常印刷のドット間隔は1/120インチとなる。また、ドット間隔が160DPI仕様の印刷装置においては、高品位印刷のドット間隔を1/160インチとした場合、2倍速印字とした高速印刷のドット間隔は1/80インチとなる。さらに、1.5倍速印字とした中速印刷のドット間隔は1/106.67インチとなる。
【0007】図10は従来技術の説明図を示すものである。同図において、ドット間隔が180DPI仕様の印刷装置におけるホスト装置から受信した受信印刷データに対する高品位印刷時と高速印刷時と中速印刷時との実際の印刷処理について説明する。
【0008】図10(a)において、高品位印刷(ノーマル速度)は、印字周期は1とし、印字ヘッドの移動速度(キャリッジ速度)は1とし、印字データの間引きはしない。また、図10(b)において、高速印刷は、印字周期は1/2とし、印字ヘッドの移動速度(キャリッジ速度)は2とし、印字データの間引きは1ドットとする。
【0009】図10(c)において、中速印刷は、印字周期は1/3とし、印字ヘッドの移動速度(キャリッジ速度)は3/2とし、印字データの間引きは2ドットとする。すなわち、ホスト装置からの受信印字データを記憶部に格納後、受信印字データ1ドットに対して2ドットに変換して編集データを生成(解像度変換処理)し、編集データに対して印字するドットが連続した箇所があった場合、印字するドットが前が黒(印字ドット駆動)なら2ドット間引き処理を行って印字データを生成し、間引き処理を行った印字データに基づいて印刷処理を実行している。
【0010】なお、中速印刷における印刷処理の手順を説明する。
【0011】図11は従来技術のフローチャートを示すものである。
【0012】ステップS51において、印刷装置はホスト装置より1ライン分の印字データを受信し記憶部に格納する。ステップS52において、中速印刷が指定されているか判定し、中速印刷モードが指定されていればステップS53に進む。また、中速印刷モードが指定されていなければ、指定された印刷モードに従って印刷処理を実行してステップS55に進む。
【0013】ステップS53において、印刷装置は受信した1ライン分の印字データの各印字ドットを2倍に数える。例えば印刷パターンを180DPIから360DPIのデータ(図10(c)の編集データ参照)に置き換える。
【0014】ステップS54において、印刷装置は置き換えた360DPIのデータを、1ドット毎に印字ドット内容が黒ドット(印字ドット駆動)の後の2ドットを白ドット(印字ドット非駆動)に変換する。(図10(c)の印字データ参照)
【0015】ステップS55において、印刷装置はキャリッジを動作させるとともに、印字ヘッドを動作させて印刷を開始する。ステップS56において、印字データの継続があるか判定する。印字データの継続があればステップS51に戻る。
【0016】図12は従来技術の説明図を示すものである。同図において、中速印刷は、ホスト装置からの受信印字データに基づいて例えば180DPI印字データを360DPIに解像度変換処理を行い、印字ヘッドの移動速度(キャリッジ速度)を1.5倍、印字周期を1/3にし、連続データの場合に3ドットのうち2ドットを間引くことで360DPI印刷を行っていた。なお、同図(a)に示すように、印刷装置の印刷スピードが比較的遅い場合は、印字周期よりオンタイム時間(印字時間)は短くなり、1つのタイマで各印字ピンの駆動を制御できる。
【0017】しかし、同図(b)に示すように、印刷装置の印刷スピードが速い場合は、各印字ピンはハンマクロック内で動作させることができなくなり、各印字ピン同士の干渉により印字が汚くなることや、印字周期よりオンタイム時間(印字時間)が長くなってしまい、1つのタイマで各印字ピンの駆動制御をできなくなる。つまり、オンタイム回路を各印字ピンごとに持つことが必要になる。
【0018】なお、図12(c)において、例えば、前述のように高速印刷を印字周期は1/2とし、印字ヘッドの移動速度(キャリッジ速度)は2とし、印字データの間引きは1ドットとする場合は、印刷装置の印刷スピードが速い場合であっても、印字周期よりオンタイム時間(印字時間)は短くなり、1つのタイマで各印字ピンの駆動を制御できる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】前記のごとく、従来の技術では次のような問題点がある。
【0020】1)中速印刷において、印刷装置の印刷スピードが速い場合は、印字周期が短いため、各印字ピンはハンマクロック内で動作させることができなくなり、各印字ピン同士の干渉により印字が汚くなる。
【0021】2)中速印刷において、印刷装置の印刷スピードが速い場合は、印字周期よりオンタイム時間(印字時間)が長くなってしまい、1つのタイマで各印字ピンの駆動制御をできなくなり、オンタイム回路を各印字ピンごとに持つ必要があり、オンタイム回路が大きくなる。
【0022】この発明の目的は、中速印刷における印字周期を1/3に短くしないことにより、印刷装置の印刷スピードが速い場合であっても、中速印刷を好適に行うとともに、1つのタイマで各印字ピンの駆動制御をできる手法を提供することにある。」

したがって、上記引用文献6には次の発明(以下、「引用発明6」という。)が記載されていると認められる。
「複数の印刷速度を指定可能とする印刷装置において、
ホスト装置からの受信印字データに基づいて受信印字データ3ドットに対して編集データを4ドットに変換し、印字するドットが連続した箇所があった場合、印字するドットが1ドットおきとなるように間引き処理を行う処理手段を備え、
処理手段によって間引きされた印字データに基づいて印刷処理を実行する、
印刷装置。」


第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、
引用発明1における「カセットリボン」、及び「帳票に印字された濃度チェックパターンの印字濃度を測定するフォトセンサ」は、それぞれ、本願発明1における「インクリボン」、及び「印字された前記文字等の濃度である印字濃度を検出する印字濃度検出部」に相当する。
引用発明1の「ナンバリング印字部」は、「カセットリボンを用い」て、「ナンバリングデータの文字列と同時に濃度チェックパターンを帳票に印字する」ものであるから、本願発明1の「印字ピンを含む印字ヘッド」と、「印字ヘッド」との概念で共通する。
引用発明1の「光学的文字読取装置」は、「カセットリボンを用いたナンバリング印字部」、「前記ナンバリング印字部にてナンバリングデータの文字列と同時に濃度チェックパターンを帳票に印字する印字制御手段」、及び「印字走査方向に、1ドット重複して印字を行う印字フォントに変更して前記ナンバリングデータの印字濃度を上げる印字フォント変更手段」を具備するものであるから、本願発明1の「印字ヘッドを用いて複数のドットによって文字等を印字するドットインパクトプリンタ装置」と、「印字ヘッドを用いて複数のドットによって文字等を印字するドットプリンタ装置」との概念で共通する。

したがって、両者は、
「インクリボン含む印字ヘッドを用いて複数のドットによって文字等を印字するドットプリンタ装置において、
印字された前記文字等の濃度である印字濃度を検出する印字濃度検出部と、
を備えたドットプリンタ装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願発明1が、「印字ピン」を含む印字ヘッドを用いて複数のドットによって文字等を印字するドット「インパクト」プリンタ装置であるのに対し、引用発明1は、その点が定かでない点。

[相違点2]
本願発明1が、「この印字濃度検出部で検出された前記印字濃度が淡くなるに従い、前記複数のドットのうち間引きするドット数を減らすことにより、隣接して印字する前記ドット同士の間隔であるドット間距離を短くする印字濃度調整部」を有するのに対し、引用発明1は、そのような構成を有していない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点2について検討する。
引用発明5の「印刷しないドット」は、本願発明1の「間引きするドット」に相当する。
しかし、引用発明5には、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項である「この印字濃度検出部で検出された前記印字濃度が淡くなるに従い、前記複数のドットのうち間引きするドット数を減らすことにより、隣接して印字する前記ドット同士の間隔であるドット間距離を短くする印字濃度調整部」については、記載も示唆もされていない。
また、引用発明6の「間引きされた印字データ」は、本願発明1の「間引きするドット」に相当する。
しかし、引用発明6にも、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項については、記載も示唆もされていない。
さらに、上記引用発明2乃至引用発明4のいずれにも、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項については、記載も示唆もされていない。
また、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項が設計的事項といえる理由もない。
そして、本願発明1は、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項により、「印字濃度が淡くなるに従いドット間距離を短くすることにより、印字品質を落とすことなく、インクリボンに残されたインクを最後まで無駄なく使い切ることができる。これに伴い、インクリボンの交換周期を長くできる。」(本願明細書【0011】参照。)という効果を奏するものである。

したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明1乃至引用発明6に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明2乃至本願発明5について
本願発明2乃至本願発明5のいずれも、本願発明1の発明特定事項に加えて、更なる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、上記「1 (2)」と同様の理由により、引用発明1乃至引用発明6に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明6、及び本願発明10について
本願発明6、及び本願発明10は、それぞれ、本願発明1の「ドットインパクトプリンタ装置」を、「印字濃度調整方法」、及び「印字濃度調整プログラム」としたものであって、実質的に、本願発明1と同様の発明特定事項を備えるものであるから、上記「1 (2)」と同様の理由により、引用発明1乃至引用発明6に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.本願発明7乃至本願発明9について
本願発明7乃至本願発明9のいずれも、本願発明6の発明特定事項に加えて、更なる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、上記「1 (2)」と同様の理由により、引用発明1乃至引用発明6に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。


第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、
「この出願の下記請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1乃至4に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1-2,6-7,10に対して、引用文献等1-3
・請求項3-5、8-9に対して、引用文献等1-4
<引用文献等一覧>
1.特開2002-370434号公報
2.特開2003-072207号公報
3.特開2001-225507号公報
4.特開平04-135777号公報」
というものである。
しかしながら、請求項1に係る発明は、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項である「この印字濃度検出部で検出された前記印字濃度が淡くなるに従い、前記複数のドットのうち間引きするドット数を減らすことにより、隣接して印字する前記ドット同士の間隔であるドット間距離を短くする印字濃度調整部」を有するものとなっており、上記「第4」のとおり、本願発明1乃至10は、上記刊行物1乃至刊行物4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。


第6 当審拒絶理由について
当審では、
「請求項1、6、及び10の「印字しないドットからなるドット間距離」との記載、及び請求項1の「印字濃度調整部隣接する前記ドット同士の間隔であるドット間距離を短くする印字濃度調整部」との記載は不明瞭である。
よって、請求項1乃至10に係る発明は明確でない。」
との拒絶の理由を通知しているが、平成29年6月21日付けの補正において、請求項1、請求項6、及び請求項10、請求項1を引用する請求項2乃至請求項5、並びに請求項6を引用する請求項7乃至請求項9は、前者の記載について、「隣接して印字する前記ドット同士の間隔であるドット間距離」と、後者の記載について、「印字濃度調整部」と、それぞれ補正がなされた結果、この拒絶の理由は解消した。


第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-07 
出願番号 特願2012-138518(P2012-138518)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (B41J)
P 1 8・ 121- WY (B41J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 金田 理香小宮山 文男大関 朋子  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 森次 顕
藤本 義仁
発明の名称 ドットインパクトプリンタ装置並びにその印字濃度調整方法及びプログラム  
代理人 高橋 勇  
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