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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1330779
審判番号 不服2016-16597  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-07 
確定日 2017-08-17 
事件の表示 特願2012-131679「撮像装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月26日出願公開、特開2013-258458、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年6月11日の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

平成27年 2月23日 手続補正
平成28年 3月 4日 拒絶理由
平成28年 4月26日 意見書 手続補正
平成28年 9月15日 拒絶査定
平成28年11月 7日 審判請求 手続補正
平成29年 1月13日 前置報告

第2 原査定の理由の概要
原査定の理由の概要は、以下のとおりである。

1.理由1
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

請求項1-3、5、11、13、及び14 に対して 引用文献1

引用文献1.特開2012-039261号公報

2.理由2
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

請求項4、7ないし9 に対して 引用文献1
請求項6、10、及び12 に対して 引用文献1及び2

引用文献1.特開2012-039261号公報
引用文献2.特開2012-049485号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって請求項1に「オンチップレンズまたはカラーフィルタ」という事項を追加する補正は、補正前の発明を特定する事項である「入射部」について限定することにより、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、当初の特許請求の範囲の請求項7、9に記載されているから、新規事項を追加するものではないといえる。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-11に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願の請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成28年11月7日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載した事項により特定される発明であり、下記のとおりである。
なお、本願発明1の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成(A)、構成(B)などと称する。

【請求項1】
(A)画面を構成する各画素に対応する光学像を撮像する撮像部
を備え、
前記撮像部は、
(B)被写体からの所定の色の光を受光する受光部と、
(C)前記光を前記受光部に入射させる入射部と
を備え、
(D)前記画面を構成する画素のうちの一部の画素の前記撮像部の前記入射部に含まれるオンチップレンズまたはカラーフィルタは、電場応答性材料を含み、前記受光部は、前記電場応答性材料によって透過率が調整された前記光を受光する
(E)撮像装置。
【請求項2】
前記撮像部により撮像された前記光学像に基づいて、前記透過率を決定する決定部
をさらに備える
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記決定部は、撮影前に前記撮像部により撮像された前記光学像に基づいて、撮影時の前記透過率を決定する
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記電場応答性材料は、前記透過率を最大の透過率または最小の透過率に調整する
請求項1乃至3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記一部の画素の前記撮像部は、
前記電場応答性材料に電圧を印加する電極部と、
前記電極部に印加する電圧を制御することにより、前記透過率を制御する制御部と
をさらに備える
請求項1乃至4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記電極部は、前記画面の列ごとに、その列に並ぶ画素の前記電場応答性材料に電圧を印加する
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記電場応答性材料は、高分子液晶材料である
請求項1乃至6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記電場応答性材料は、エレクトロミック材料である
請求項1乃至6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項9】
前記電場応答性材料は、グラフェン膜である
請求項1乃至6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像部は、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサである
請求項1乃至9のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項11】
前記撮像部は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである
請求項1乃至9のいずれかに記載の撮像装置。

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1(特開2012-39261号公報)には、「固体撮像装置、撮像装置」(発明の名称)として、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0001】
本発明は、デジタルスチルカメラなどに搭載される固体撮像装置及び撮像装置に関する。
(略)
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、絞り機構がなくても光量を調整することが可能で、高照度下においても広いダイナミックレンジにて撮像することが可能な固体撮像装置を提供することを目的とする。」

(2)「【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に記載された撮像装置200は、固体撮像装置100と、レンズ201と、駆動回路202と、信号処理装置203と、外部インターフェイス部204とを備えるデジタルカメラである。
【0036】
信号処理装置203は、駆動回路202を通して固体撮像装置100を駆動し、固体撮像装置100からの出力信号を取り込み、内部処理した信号を、外部インターフェイス部204を介して外部に出力する。
【0037】
固体撮像装置100は、入射光量を減衰させるための能動的な光減衰フィルタを画素部単位または画素ブロック単位で有し、信号処理装置203は、光減衰フィルタの減衰率を予め画素部単位または画素ブロック単位で設定することにより、撮像領域に入射する光量を調節することが可能である。
【0038】
この構成によれば、被写体の輝度に合わせて撮像領域に到達する光の透過量を制御することがきることから、高照度下での撮像が可能となる。また、上記機能を、例えば、ベイヤー配列毎に設置することで低輝度被写体と高輝度被写体とを同時に諧調表現することが可能となる。以下、本発明の要部である固体撮像装置100及び信号処理装置203について詳細に説明する。
【0039】
図2は、本発明の実施の形態1に係る固体撮像装置の有する画素ブロックの回路構成図である。同図に記載された固体撮像装置100は、フォトダイオードである光電変換部11を有する単位画素1が二次元状に配列された撮像領域2と、画素信号を選択するための水平シフトレジスタ3及び垂直シフトレジスタ4と、選択された単位画素1からの信号を外部に与える出力端子5とを備える。
【0040】
撮像領域2は、複数の単位画素1を含む。単位画素1は、光電変換部11と、転送用トランジスタ12と、リセット用トランジスタ13と、増幅用トランジスタ14と、選択トランジスタ15とを備える。転送用トランジスタ12、リセット用トランジスタ13、増幅用トランジスタ14及び選択トランジスタ15は、それぞれ、MOSトランジスタで構成されている。
【0041】
さらに、固体撮像装置100は、光減衰フィルタ16と、選択トランジスタ17とを備える。光減衰フィルタ16は、撮像領域2の入射光側に形成されている。また、選択トランジスタ17は、電圧線18と光減衰フィルタ16との間に配置されている。選択トランジスタ17のゲートは、読み出し線19に接続されており、読み出し線19からの制御信号により、電圧線18と光減衰フィルタ16との導通及び非導通を切り替える。
(略)
【0053】
次に、光減衰フィルタの構造と動作原理ついて説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る固体撮像装置の有する単位画素の断面概略図の一例である。同図に記載された単位画素1は、光電変換部11と、光減衰フィルタ16と、半導体基板20と、ゲート及びゲート配線22と、層間膜24と、カラーフィルタ26と、平坦化膜27と、マイクロレンズ28と、配線層57及び59とを含む。
【0054】
光減衰フィルタ16は、最上の配線層59の上部であってカラーフィルタ26の下部に配置されている。配線層57及び59の配線材料は、例えば、AlCuである。また配線層数は、配線層57及び59の2層である。
【0055】
また、光減衰フィルタ16は、透明電極31及び32と、活物質層33と、固体電解質層34とを備え、活物質層33と固体電解質層34との積層膜を透明電極31及び32で挟んだキャパシタ構造を有している。透明電極31及び32は、それぞれ、配線層59と電気的に接続されており、配線層59を介して半導体基板上に形成された選択トランジスタ17(図示せず)と電気接続された下部透明電極及び上部透明電極である。前述したように、光減衰フィルタ16は、選択トランジスタ17の導通及び非導通により印加電圧が制御される。
【0056】
次に、光減衰フィルタ16の原理について説明する。
図5(a)及び図5(b)は、本発明の実施の形態1に係る光減衰フィルタの構造断面図及び駆動原理を表す図である。本実施の形態における光減衰フィルタ16は、エレクトロクロミック素子を用いている。
【0057】
エレクトロクロミック素子とは、電圧印加によって材料の吸収スペクトルが変化し、色が変化する素子の総称である。例えば、液晶のように、電界により液晶分子の配向が変化することで透過率が変化する素子もエレクトロクロミック素子の一つである。中でも、固体中のイオン移動によって引き起こされる酸化還元反応によって吸収スペクトルを変化させる固体電解質を用いたエレクトロクロミック素子は、液晶のような偏光依存性もなく、また、特異なスペクトルを示す材料も存在することから、表示素子などに広く使われている。」

(3)「【0103】
(実施の形態2)
本実施の形態では、単位画素1がベイヤー配列している場合の固体撮像装置について説明する。
【0104】
図10は、本発明の実施の形態2に係る固体撮像装置の撮像領域の模式図である。同図に記載された固体撮像装置120は、2行2列の複数の単位画素1で構成される画素ブロック毎に光減衰フィルタ16を有している点のみが、実施の形態1に記載された固体撮像装置100及び110と異なる。以下、固体撮像装置100及び110と同じ点は説明を省略し、異なる点のみを説明する。」

(4)「【0113】
(実施の形態3)
本実施の形態では、緑色の信号を得るG1画素及びG2画素と、赤色の信号を得るR画素と、青色の信号を得るB画素からなるベイヤー配列をしている画素ブロックにおいて、R1画素及びR2画素のみに光減衰フィルタが配置されている固体撮像装置について説明する。
【0114】
図12は、本発明の実施の形態3に係る固体撮像装置の撮像領域の模式図である。同図に記載された固体撮像装置130は、2行2列の複数の単位画素1で構成されるベイヤー配列の画素ブロックのうち、R1画素及びR2画素のみに光減衰フィルタ16を有している点のみが、実施の形態2に記載された固体撮像装置120と異なる。以下、固体撮像装置120と同じ点は説明を省略し、異なる点のみを説明する。
【0115】
図12に記載された撮像領域2における複数の単位画素1は、ベイヤー配列されている。そして、ベイヤー配列の1単位である画素ブロックのうち、視感度が最も高いG1画素及びG2画素の上部にのみ光減衰フィルタ16が配置されている。
【0116】
信号処理装置の有する判定部は、G1画素及びG2画素から出力される輝度信号が飽和するかどうかを、撮像露光の前に予め判定し、信号処理装置の有する透過率制御部は、判定部により輝度信号が飽和すると判定された場合、撮像露光時の輝度信号が飽和信号以下となるように、撮像露光の前に、光減衰フィルタ16への印加電圧を設定することにより光減衰フィルタ16の透過率を電気的に制御する。
【0117】
ベイヤー配列の輝度信号Yに対してG信号の寄与が最も大きいため、輝度信号の飽和を抑制するためには、G画素の光量調整が有効である。これにより、信号量が少ないB信号やR信号のS/Nを低下させることなく、広いダイナミックレンジの実現が可能となる。さらにエレクトロクロミックの駆動面積は緑色画素の面積のみとなるため、駆動電力の低減が実現できることから、低消費電力で広ダイナミックレンジを実現することができる。」

なお、上記(4)において、「R1画素及びR2画素」との記載は、「G1画素及びG2画素」の誤記と認められる。

2.引用発明
上記引用文献1に記載された発明について検討する。

(1)引用文献1には、「光電変換部を有する単位画素が二次元状に配列された撮像領域」を備える「固体撮像装置」(段落【0039】)が記載されている。

(2)引用文献1には、「単位画素」が、「光電変換部」、「光減衰フィルタ」、「カラーフィルタ」、及び「マイクロレンズ」を含むこと(段落【0053】)が記載され、被写体からの光は、「マイクロレンズ」、「カラーフィルタ」、「光減衰フィルタ」の順に入射し、「光電変換部」で受光されること(図4)が理解できる。

(3)引用文献1には、「光減衰フィルタ」として「エレクトロクロミック素子を用い」ること、また、当該エレクトロクロミック素子は、電圧の印加により透過率を制御できること(段落【0056】、【0057】)が記載されている。

(4)引用文献1には、緑色の信号を得るG1画素部及びG2画素部と、赤色の信号を得るR画素部と、青色の信号を得るB画素部からなるベイヤー配列の単位画素において、G1画素部とG2画素部の上部にのみ、「光減衰フィルタ」を配置すること(段落【0113】?【0115】)が記載されている。

したがって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
なお、引用発明の各構成の符号は、説明のために付与したものであり、以下、構成(a)、構成(b)などと称する。

(a)光電変換部を有する単位画素が二次元状に配列された撮像領域を備え、
(c)被写体からの光を、マイクロレンズ、カラーフィルタ、光減衰フィルタの順に入射し、
(b)そのマイクロレンズ、カラーフィルタ、光減衰フィルタの順に入射した被写体からの光を、前記光電変換部で受光し、
(d)前記光減衰フィルタは、エレクトロクロミック素子を用いたものであり、緑色の信号を得るG1画素部及びG2画素部と、赤色の信号を得るR画素部と、青色の信号を得るB画素部からなるベイヤー配列の、G1画素部とG2画素部の上部にのみ配置され、電圧印加によりその透過率を制御する
(e)固体撮像装置。

3.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2(特開2012-49485号公報)には、以下の記載がある。

「【0083】
<第5実施形態>
[固体撮像装置の構成]
図15(a)は本実施形態に係る固体撮像装置の受光面のレイアウトを示す模式的平面図である。
本実施形態においては、エレクトロクロミック膜を有する赤画素R1、緑画素G1及び青画素B1からなる画素組CS1が受光面の全面に配置されている。
また、画素列ごとに電荷量に応じてエレクトロクロミック膜に電圧を印加する構成となっている。
本実施形態においては、例えば、各画素に対してフォトダイオードに蓄積された電荷量を検出する電荷検出部30が設けられ、電荷量に応じてエレクトロクロミック膜16へ電圧を印加する電圧印加部31が複数個の画素からなる画素列ごとに設けられている。電圧印加部31は、エレクトロクロミック膜に電圧を印加することからエレクトロクロミック膜駆動部とも称する。」

以上より、引用文献2には、固体撮像装置において、「複数個の画素列ごとに電圧印加部を設け、画素列ごとに電荷量に応じてエレクトロクロミック膜に電圧を印加する技術」が記載されていると認められる。

4.その他の文献について
前置報告書において周知技術を示す文献として引用された引用文献3(特開平5-244609号公報)には、以下の記載がある。

「【0015】
【作用】即ち、本発明の第1の態様によるカラー撮像装置では、撮像素子が入力画像を撮像すると、上記撮像素子の前面に配置されたカラーフィルタの分光透過率が印加電圧に応じて変化する。つまり、上記カラーフィルタに選択的に電圧を印加することにより上記分光透過率を上記撮像素子における少なくとも1個の画素毎に変化させることができる。また、第2の態様によるカラー撮像装置では、上記の撮像素子の撮像方式の変化に合わせて、上記カラーフィルタの分光透過率を変化させることができる。
(略)
【0029】以上詳述したように、本発明の撮像装置は撮像素子の画素毎またはライン毎にカラーフィルタの色を変えることができるので、動画像の場合にはエレクトロクロミックカラーフィルタを通常のカラーモザイクフィルタとして使用し、高解像度撮像の場合は面順次撮像を行なうように全画面同時に同一色で入力するように切り替えることができる。」

以上より、引用文献3には、「印加電圧に応じてその分光透過率が変化する部材をカラーフィルタとして用いた撮像素子」が記載されていると認められる。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
a.本願発明1の構成(A)と引用発明の構成(a)との対比
引用発明の撮像領域は、光電変換部を有する単位画素が二次元状に配列され、画面を構成する各画素に対応する光学像を撮像するものであるから、本願発明1の「撮像部」に対応する。してみると、引用発明の構成(a)は、本願発明1の構成(A)に相当する。

b.本願発明1の構成(B)と引用発明の構成(b)との対比
引用発明の構成(b)の「光電変換部」は、「マイクロレンズ」、「カラーフィルタ」、及び「光減衰フィルタ」を透過した被写体からの光を受光するものであり、「カラーフィルタ」を経ることにより、所定の色の光を受光するものであるから、本願発明1構成(B)の「受光部」に対応する。してみると、引用発明の構成(b)は、本願発明1の構成(B)に相当する。

c.本願発明1の構成(C)と引用発明の構成(c)との対比
引用発明の構成(c)の「マイクロレンズ」、「カラーフィルタ」、及び「光減衰フィルタ」は、被写体からの光を「光電変換部」に入射させるから、「マイクロレンズ」、「カラーフィルタ」、及び「光減衰フィルタ」は、本願発明1の「入射部」に対応する。してみると、引用発明の構成(c)は、本願発明1の構成(C)に相当する。

d.本願発明1の構成(D)と引用発明の構成(d)との対比
引用発明の構成(d)の「光減衰フィルタ」は、エレクトロクロミック素子を用いたものであるから、電場応答性材料を含むものといえ、ベイヤー配列のG1画素部とG2画素部の上部にのみ配置されるので、画面を構成する画素のうちの一部の画素に配置されるものといえる。
また、「光電変換部」は、「光減衰フィルタ」に入射した被写体からの光を受光するので、「光減衰フィルタ」により透過率が制御された光を受光する。
したがって、本願発明1の構成(D)と引用発明の構成(d)とは、「画面を構成する画素のうちの一部の画素の撮像部の入射部は、電場応答性材料を含み、受光部は、前記電場応答性材料によって透過率が調整された光を受光する」点で共通し、本願発明1の構成(D)は、「オンチップレンズ」または「カラーフィルタ」に電場応答性材料を含むのに対し、引用発明の構成(d)は、「光減衰フィルタ」に電場応答性材料を含む点で相違する。

e.本願発明1の構成(E)と引用発明の構成(e)との対比
引用発明の「固体撮像装置」は、本願発明1の「撮像装置」に対応する。

したがって、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また相違する。

(一致点)
画面を構成する各画素に対応する光学像を撮像する撮像部
を備え、
前記撮像部は、
被写体からの所定の色の光を受光する受光部と、
前記光を前記受光部に入射させる入射部と
を備え、
前記画面を構成する画素のうちの一部の画素の前記撮像部の前記入射部は、電場応答性材料を含み、前記受光部は、前記電場応答性材料によって透過率が調整された前記光を受光する
撮像装置。

(相違点)
本願発明1は、「入射部」に含まれる「オンチップレンズ」または「カラーフィルタ」が、電場応答性材料を含むのに対して、引用発明は、それらとは別に設けられた「光減衰フィルタ」が、電場応答性材料を含む点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
上記第5 3.にて検討したとおり、原査定で引用された引用文献2には、「オンチップレンズ」または「カラーフィルタ」に電場応答性材料を含ませることについて記載も示唆もなされていないから、本願発明1は、引用発明と引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

一方、前置報告書にて周知技術を示す文献として引用された引用文献3には、上記第5 4.にて検討したとおり、「印加電圧に応じてその分光透過率が変化する部材をカラーフィルタとして用いた撮像素子」が記載されており、カラーフィルタに電場応答性材料を用いることは示されているといえる。
しかしながら、引用文献3に記載された周知技術は、その明細書の段落【0029】等にも記載のように、画素毎にカラーフィルタの“色”を変えるための技術であって、引用発明のように、撮像領域への入射光量を調節し、ダイナミックレンジを拡大する(段落【0010】、【0037】、【0038】等)ために用いることは、引用文献3には記載も示唆もされておらず、また、自明であるともいえない。
してみれば、引用発明と引用文献3に記載の周知技術とは、互いに課題が相違し、引用発明に対して、引用文献3に記載した周知技術を組み合わせることは、その動機付けを欠くといえる。
したがって、本願発明1は、引用発明と引用文献3に記載された周知技術に基づいても、当業者が容易に発明し得たものであるということはできない。

2.本願発明2-11について
請求項2-11は、請求項1を引用しており、本願発明2-11も上記相違点に係る構成を備えているから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術、及び、引用文献3に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-11は、上記相違点に係る構成を有するものとなっており、引用発明と同一の発明ではないし、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
したがって、上記「第2 原査定の理由の概要」の「1.理由1」及び「2.理由2」を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-07 
出願番号 特願2012-131679(P2012-131679)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 明  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 篠原 功一
小池 正彦
発明の名称 撮像装置  
代理人 西川 孝  
代理人 稲本 義雄  
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