• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1330891
審判番号 不服2016-18463  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-08 
確定日 2017-08-03 
事件の表示 特願2015- 56622「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月 6日出願公開、特開2016-174692〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月19日の出願であって、平成28年2月16日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年4月19日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成28年9月9日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成28年12月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正がなされたものである。

第2 平成28年12月8日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年12月8日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「【請求項1】
所定の音を出力することが可能な音出力部と、遊技の状態に応じて前記音出力部から演出音を出力させる演出音出力手段と、を備えた遊技機において、
所定の操作部の操作に基づいて、前記音出力部から出力される前記演出音の音量値を所定の音量値に設定する音量値設定手段と、
所定の選択肢を所定の選択操作によって選択させる選択画像を所定の表示部に表示させる選択画像表示手段と、
報知を行うべき所定の事象が発生したことに基づいて、前記所定の事象が発生したことを所定期間に亘って報知する事象報知手段と、を備え、
前記選択画像表示手段は、前記音量値の設定に関する音量の項目を前記所定の選択肢として含む前記選択画像を表示させることが可能であるが、前記事象報知手段による報知中は前記選択画像を表示させることが規制され、
前記音量値設定手段は、前記選択画像の表示中に前記音量の項目を選択する選択操作が行われたことに基づいて、前記音量値を設定可能となることを特徴とする遊技機。」

から

「【請求項1】
所定の音を出力することが可能な音出力部と、遊技の状態に応じて前記音出力部から演出音を出力させる演出音出力手段と、を備えた遊技機において、
所定の操作部の操作に基づいて、前記音出力部から出力される前記演出音の音量値を所定の音量値に設定する音量値設定手段と、
所定の選択肢を所定の選択操作によって選択させる選択画像を所定の表示部に表示させる選択画像表示手段と、
報知を行うべき所定の事象が発生したことに基づいて、前記所定の事象が発生したことを所定期間に亘って報知する事象報知手段と、を備え、
前記所定の操作部は、第1操作部と、第2操作部とを含み、
前記第1操作部には、前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が許容される第1状態と、前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が規制される第2状態とがあり、
前記選択画像表示手段は、前記第1操作部が前記第1状態になっているときは前記音量値の設定に関する音量の項目を前記所定の選択肢として含む第1選択画像を表示させることが可能であるが、前記第1操作部が前記第2状態になっているときは前記音量の項目が前記所定の選択肢とならない第2選択画像を表示させ、前記事象報知手段による報知中は前記第1選択画像及び前記第2選択画像を表示させることが規制され、
前記音量値設定手段は、前記第1選択画像の表示中に前記音量の項目を選択する選択操作が行われたことに基づいて、前記音量値を設定可能となることを特徴とする遊技機。」

に補正された(下線部は補正箇所を示す。)。
なお、補正後の請求項1における「前記2操作部」は「前記第2操作部」の誤記であることは明らかであるから、上記の通り認定した。

2 補正の適否
本件補正のうち、「前記所定の操作部は、第1操作部と、第2操作部とを含み、前記第1操作部には、前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が許容される第1状態と、前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が規制される第2状態とがあり、」との事項を追加する補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「所定の操作部」について、「第1操作部と、第2操作部とを含」む点を限定し、さらに、「第1操作部」の状態として、「前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が許容される第1状態と、前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が規制される第2状態と」がある点を限定するものである。
本件補正のうち、「前記選択画像表示手段は、前記音量値の設定に関する音量の項目を前記所定の選択肢として含む前記選択画像を表示させることが可能であるが、前記事象報知手段による報知中は前記選択画像を表示させることが規制され、」を「前記選択画像表示手段は、前記第1操作部が前記第1状態になっているときは前記音量値の設定に関する音量の項目を前記所定の選択肢として含む第1選択画像を表示させることが可能であるが、前記第1操作部が前記第2状態になっているときは前記音量の項目が前記所定の選択肢とならない第2選択画像を表示させ、前記事象報知手段による報知中は前記第1選択画像及び前記第2選択画像を表示させることが規制され、」とする補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「選択画像」について、「前記第1操作部が前記第1状態になっているとき」の「第1選択画像」と、「前記第1操作部が前記第2状態になっているとき」の「前記音量の項目が前記所定の選択肢とならない第2選択画像」とがある点を限定し、さらに、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記事象報知手段による報知中は前記選択画像を表示させることが規制され」について、「表示させることが規制され」る「選択画像」が「前記第1選択画像及び前記第2選択画像」であることを限定するものである。
また、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の段落【0020】、【0087】、【0886】、【0888】、【1760】、【1794】、【1802】及び図71、137等に基づくものであり、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要において示したとおりのものである(A?Hは、分説するために当審にて付した。また、上記1の本件補正の概要において示したとおり、「前記2操作部」は「前記第2操作部」の誤記であることは明らかであるため、Fにおいて「前記第2操作部」として認定した。)。

「【請求項1】
A 所定の音を出力することが可能な音出力部と、遊技の状態に応じて前記音出力部から演出音を出力させる演出音出力手段と、を備えた遊技機において、
B 所定の操作部の操作に基づいて、前記音出力部から出力される前記演出音の音量値を所定の音量値に設定する音量値設定手段と、
C 所定の選択肢を所定の選択操作によって選択させる選択画像を所定の表示部に表示させる選択画像表示手段と、
D 報知を行うべき所定の事象が発生したことに基づいて、前記所定の事象が発生したことを所定期間に亘って報知する事象報知手段と、を備え、
E 前記所定の操作部は、第1操作部と、第2操作部とを含み、
F 前記第1操作部には、前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が許容される第1状態と、前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が規制される第2状態とがあり、
G 前記選択画像表示手段は、前記第1操作部が前記第1状態になっているときは前記音量値の設定に関する音量の項目を前記所定の選択肢として含む第1選択画像を表示させることが可能であるが、前記第1操作部が前記第2状態になっているときは前記音量の項目が前記所定の選択肢とならない第2選択画像を表示させ、前記事象報知手段による報知中は前記第1選択画像及び前記第2選択画像を表示させることが規制され、
H 前記音量値設定手段は、前記第1選択画像の表示中に前記音量の項目を選択する選択操作が行われたことに基づいて、前記音量値を設定可能となることを特徴とする遊技機。」

(2)刊行物1に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2015-29906号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

(1-a) 「【0020】
また、第1副基板ケース162の左上には、第1出力設定スイッチ190を配設している。詳細は後述するが、この第1出力設定スイッチ190は、パチンコ機100のスピーカ120から出力する音(例えば、BGM、効果音、エラー音等)の音量(ボリューム)や、各種ランプの輝度(光量)を調整するためのスイッチである。第1出力設定スイッチ190は、パチンコ機100の背面に配設されているため、前面枠扉106の施解錠を行うことができる者(例えば、遊技店の店員等)は前面枠扉160を開放することで操作を行うことができるが、前面枠扉106の施解錠を行うことができない者(例えば、遊技者)は操作を行うことができないように構成されている。」

(1-b) 「【0075】
<副制御部>
次に、パチンコ機100の第1副制御部400について説明する。第1副制御部400は、主に主制御部300が送信したコマンド等に基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備えており、この基本回路402には、CPU404と、制御プログラムや各種演出データを記憶するためのROM406と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412を搭載している。この基本回路402のCPU404は、水晶発信器414が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。なお、ROM406は、制御プログラムと各種演出データとを別々のROMに記憶させてもよい。

【0076】
また、基本回路402には、スピーカ120(およびアンプ)の制御を行うための音制御回路431と、各種ランプ418(例えば、チャンスボタンランプ138、枠ランプ、演出用ランプ)の制御を行うためのランプ駆動回路420と、各種ランプ440(例えば、設定操作部ランプ、賞球残数表示部の各セグメント、情報報知用ランプ群の各ランプ、払出表示ランプ、エラー表示ランプ)と、遮蔽装置246の駆動制御を行うための駆動回路432と、遮蔽装置246の現在位置を検出する遮蔽装置センサ430と、第2出力設定スイッチ194の押下操作を検出するスイッチセンサ426と、遮蔽装置センサ430やスイッチセンサ426からの検出信号を基本回路402に出力するセンサ回路428と、第1出力設定スイッチ190と、CPU404からの信号に基づいてROM406に記憶された画像データ等を読み出してVRAM436のワークエリアを使用して表示画像を生成して装飾図柄表示装置208に画像を表示するVDP434(ビデオ・ディスプレイ・プロセッサー)と、を接続している。なお、第1出力設定スイッチセンサ190をスイッチセンサ426、センサ回路428を介して基本回路402に接続してもよい。」

(1-c) 「【0177】
<演出実行タイミングデータ>
図14は、第1副制御部400のROM406に予め記憶される演出実行タイミングデータの一例を示している。第1副制御部400は、後述する演出制御メインループ処理で設定された演出実行タイミングデータに基づいて各報知手段の制御を行う。

【0178】
この演出実行タイミングデータは、主制御部300からのコマンドに含まれる特図変動時間が10秒である場合に、一義的にあるいは所定の乱数抽選に基づいて選択されるノーマルリーチA用の演出実行タイミングデータである。

【0179】
演出実行タイミングデータは、「時間(ms)」、「ランプデータ」および「サウンドデータ内容」の3項目で構成されている。例えば、時間0msに対応して、ランプデータには「ノーマル変動」が割り当てられ、サウンドデータ内容には「変動開始」が割り当てられている。時間33.3ms、66.6ms、99.9msのそれぞれに対応して、ランプデータには「↑」(その時点で設定されているランプデータを引き続き設定する)が割り当てられ、サウンドデータ内容には「-」(非設定)が割り当てられている。

【0180】
ここで、無音や無点灯を設定する場合、演出実行タイミングデータ上でランプデータまたはサウンドデータ内容を非設定としてもよいし、無点灯のランプデータまたは無音のサウンドデータ内容を設定してもよい。時間133.2msに対応して、ランプデータには「↑」が割り当てられ、サウンドデータ内容には「チャンス告知」が割り当てられている。

【0181】
時間4995msに対応して、ランプデータには「-」が割り当てられ、サウンドデータ内容には「-」が割り当てられている。時間5028.3msに対応して、ランプデータには「ノーマルリーチA」が割り当てられ、サウンドデータ内容には「リーチ報知」が割り当てられている。時間5061.6msに対応して、ランプデータには「↑」が割り当てられ、サウンドデータ内容には「-」が割り当てられている。時間5094.9msに対応して、ランプデータには「↑」が割り当てられ、サウンドデータ内容には「エフェクトA」が割り当てられている。」

(1-d) 「【0202】
音量(音圧)は、第1出力設定スイッチ190の操作によって管理者設定値(目盛り0?F)を変更するか、設定値調整モード(例えば、図32(f)に示す音量調整画面)において、第2設定出力スイッチ194の操作によって遊技者設定値(目盛り1?15)を変更することにより調整可能である(詳細は後述する)。

【0203】
本例では、同図(b)に示すように、第1出力設定スイッチ190(または第2出力設定スイッチ194)による設定のうち「5」?「F」は通常営業用(通常モード)に使用され、「4」は省電力モードA用に使用され、「3」は省電力モードB用に使用され、「1」および「2」は開発および販促用に使用され、「0」は申請用に使用される。

【0204】
設定が「F」であるときには、音圧の初期値は100dBに設定され、音量設定の初期位置は15に設定される。すなわち、音量調整画面に遷移したとき、音量のユーザー設定値はデフォルトとして目盛り15(音圧100dB)に設定される。なお、同図では、各設定における目盛り(音圧)のデフォルト値を太い枠線で囲っている。設定「F」では、音量調整画面の目盛り1?15のそれぞれに対応して、音圧は86dB、87dB、88dB、89dB、90dB、91dB、92dB、93dB、94dB、95dB、96dB、97dB、98dB、99dB、および100dBの各レベルに調整可能である。」

(1-e) 「【0218】
以上のように、設定が通常営業用の「5」?「F」の範囲である場合、設定が低くなるほど(「5」に近づくほど)、デフォルトで設定される音量が低くなり、調整可能な音量範囲が低くなり、デフォルトで設定される輝度が低くなる。

【0219】
設定が「4」であるときには、動作モードが省電力モードAに設定されるとともに、音圧の初期値は、設定「5」?「F」のときに設定可能な最低音圧レベル(すなわち、遊技者が設定可能な最低音圧レベル)65dBよりもさらに低い60dBに設定される。設定「4」のときには、遊技者による音量調整が不可能であり、音圧は60dBに固定される。

【0220】
また、設定「4」のとき、輝度設定の初期値は、設定「5」?「F」のときに設定可能な最低輝度(すなわち、遊技者が設定可能な最低輝度)である「暗(デューティ比40%)」よりもさらに低い「極暗(デューティ比10%)」に設定される。設定「4」のときには、遊技者による輝度調整が不可能であり、輝度は「極暗(デューティ比10%)」に固定される。

【0221】
設定が「3」であるときには、動作モードが省電力モードBに設定されるとともに、音圧の初期値は、設定「4」のときの音圧60dBよりもさらに低い0dB(消音)に設定される。設定「3」のときにも、遊技者による音量調整が不可能であり、音圧は0dBに固定される。また、設定「3」のとき、輝度設定の初期値は、の設定「4」のときの輝度「極暗(デューティ比10%)」よりもさらに低い「消灯(デューティ比0%)」に設定される。の設定「3」のときにも、遊技者による輝度調整が不可能であり、輝度は「消灯(デューティ比0%)」に固定される。」

(1-f) 「【0285】
<音量調整画面と輝度調整画面の例>
次に、音量調整画面と輝度調整画面の一例について説明する。図32は、音量調整画面と輝度調整画面を表示するまでの画面遷移の一例を時系列で示した図である。

・・・

【0288】
続いて、第1副制御部400は、第2出力設定スイッチ194の操作を受付けたことを条件に、設定値調整モードに移行するとともに、同図(d)に示すようなメニュー画面を表示する。本例では、メニュー表示として、音量調整と輝度調整の選択メニューを表示するとともに、第2出力設定スイッチ194の左ボタン194bと右ボタン194cの操作に応じて、選択メニューのいずれか一方を強調表示することで仮選択の状態にする。

【0289】
続いて、第1副制御部400は、第2出力設定スイッチ194の決定ボタン194aの操作を受付けた場合に、仮選択されている選択メニューに対応する画面を表示させる。具体的には、メニュー画面において音量調整が仮選択されている状態で決定ボタン194aの操作を受付けた場合には同図(f)に示すような音量調整画面を表示し、メニュー画面において輝度調整が仮選択されている状態で決定ボタン194aの操作を受付けた場合には同図(g)に示すような輝度調整画面を表示する。

【0290】
なお、設定画面(メニュー画面、音量調整画面、輝度調整画面)は、特図変動中は表示できないが、普図変動中は表示できるものでもよい。また、設定画面を表示する場合に、普図変動に基づく「所定の演出」を表示してもよい。ここで、「所定の演出」は、電チューがロング開放する普図(例えば第二の普通図柄)に当選した場合に実行されるものでもよく、ガセ(偽)の場合にも行われるものでもよく、電チューが開放する前や開放中に所定の表示や所定の音が出力されるものでもよい。また、「所定の演出」を、第二の普通図柄の当選を煽る演出1、当選を報知するための演出2A、外れを報知するための演出2B、電チューの開放に係る演出3などに分類してもよい。また、設定画面表示中は、これらの演出1?3のうちの全部を実行してもよいし、演出3のみを実行してもよい。」

(1-g) 「【0294】
続いて、第1副制御部400は、同図(a)に示すタイミングでメニュー画面の選択操作を受付けたことから、設定値調整モードに移行するとともに、同図(b)に示すメニュー画面を表示し、このメニュー画面の表示中に音量調整画面の選択操作を受付けたことから、同図(c)に示す音量調整画面を表示している。

【0295】
続いて、第1副制御部400は、同図(c)に示す音量調整画面の表示中に第2出力設定スイッチ194の右ボタン194cの押下操作を2回受付けたことから、遊技者設定値を「11」から「13」に変更するとともに、音量(ボリューム)の設定値を「11」に対応する96dBから、「13」に対応する98dBに変更している。また、音量(ボリューム)の設定値を2段階上昇させたことに対応して、同図(d)に示すように、音量調整の目盛りを11から13に2段階上昇させる表示を行っている。」

(1-h) 「【0344】
<その他の画面表示>
次に、図44を用いて、その他の画面表示について説明する。図44(a)は、複数の演出モードから特定の演出モードを選択させるための演出モード選択画面の一例である。このような演出モード選択画面において、決定ボタンの操作を受付けた場合に、当該画面を消去しないように構成してもよい。なお、曲選択画面、あらすじ画面、キャラ選択画面、リーチ選択画面、アイテム選択画面等についても同様である。

・・・

【0346】
また、同図(c)は、音量調整画面を構成する画像の少なくとも一部にエラー表示を重ねて表示する例である。本例のように、エラー表示を行う場合に、他の画像の少なくとも一部に重なり合うように表示を行なえば、単にエラー表示を行う場合に比べ、遊技者をエラー表示に注目させることができ、エラー表示を気付かせやすくすることができる場合がある。また、磁気検出、電波検出などの、エラーを検知した場合は設定画面を非表示にしてもよい。」

(1-i)上記摘記事項(1-b)より、「第1副制御部400は」「基本回路402を備えており」(段落【0075】)、「基本回路402には、スピーカ120(およびアンプ)の制御を行うための音制御回路431」「を接続している」(段落【0076】)から、第1副制御部400は、スピーカ120の制御を行うための音制御回路431が接続された基本回路402を備えているといえる。
また、上記摘記事項(1-c)より、「第1副制御部400は、」「演出実行タイミングデータに基づいて各報知手段の制御を行う」(段落【0177】)ものであり、「演出実行タイミングデータは、「時間(ms)」、「ランプデータ」および「サウンドデータ内容」の3項目で構成され」(段落【0179】)、また、「サウンドデータ内容には「変動開始」が割り当てられている」(段落【0179】)、あるいは、「サウンドデータ内容には「リーチ報知」が割り当てられている」(段落【0181】)から、第1副制御部400は、「変動開始」や「リーチ報知」が割り当てられたサウンドデータ内容を含む演出実行タイミングデータに基づいて各報知手段の制御を行うものといえる。

(1-j)上記摘記事項(1-b)より、「第1副制御部400は」「基本回路402を備えており」(段落【0075】)、「基本回路402には、」「第2出力設定スイッチ194の押下操作を検出するスイッチセンサ426と、」「第1出力設定スイッチ190と、」「を接続している。」(段落【0076】)から、第1副制御部400の基本回路402には、第2出力設定スイッチ194の押下操作を検出するスイッチセンサ426と、第1出力設定スイッチ190とを接続しているといえる。

(1-k)上記摘記事項(1-f)の段落【0288】には、「第1副制御部400は、第2出力設定スイッチ194の操作を受付けたことを条件に、・・・同図(d)に示すようなメニュー画面を表示する。本例では、メニュー表示として、音量調整と輝度調整の選択メニューを表示する」との記載があり、段落【0289】には、「第1副制御部400は、第2出力設定スイッチ194の決定ボタン194aの操作を受付けた場合に、仮選択されている選択メニューに対応する画面を表示させる。」との記載があり、さらに、図32(a)、(d)には、メニュー画面が装飾図柄表示装置208に表示されることが図示されているから、刊行物1には、第1副制御部400は、第2出力設定スイッチ194の操作を受付けたことを条件に、音量調整と輝度調整の選択メニューを表示するメニュー画面を装飾図柄表示装置208に表示し、第2出力設定スイッチ194の操作に応じて、選択メニューに対応する画面を表示させることが記載されているといえる。

(1-l)上記摘記事項(1-b)より、「第1副制御部400は」「基本回路402を備えており」(段落【0075】)、「基本回路402には、」「表示画像を生成して装飾図柄表示装置208に画像を表示するVDP434(ビデオ・ディスプレイ・プロセッサー)と、を接続している」(段落【0076】)から、第1副制御部400の基本回路402には、表示画像を生成し、装飾図柄表示装置208に画像を表示するVDP434が接続されているといえる。

(1-m)図44(c)には、装飾図柄表示装置208に音量調整画面を表示することが図示されている。さらに、上記摘記事項(1-h)の段落【0346】には「同図(c)は、音量調整画面を構成する画像の少なくとも一部にエラー表示を重ねて表示する例である。」と記載されているから、刊行物1には、装飾図柄表示装置208の音量調整画面を構成する画像の少なくとも一部にエラー表示を重ねて表示することができることが記載されているといえる。

(1-n)上記摘記事項(1-d)の段落【0202】より、「音量(音圧)は」、「音量調整画面」において、「第2設定出力スイッチ194の操作によって」「調整可能」であるから、段落【0204】において、「設定「F」では、音量調整画面の目盛り1?15のそれぞれに対応して、音圧は86dB、87dB、88dB、89dB、90dB、91dB、92dB、93dB、94dB、95dB、96dB、97dB、98dB、99dB、および100dBの各レベルに調整可能」とする際の、「音量調整画面」における音量の調整は、「第2設定出力スイッチ194」の操作によって行うものといえる。また、上記摘記事項(1-e)の段落【0218】より、「設定が通常営業用の「5」?「F」の範囲である場合、」「調整可能な音量範囲」を有しているから、第1出力設定スイッチ190による設定が通常営業用の「5」?「F」であるとき、音量調整画面において第2設定出力スイッチの操作によって音量が調整可能であるといえる。
さらに、上記摘記事項(1-e)の段落【0219】の「設定「4」のときには、遊技者による音量調整が不可能であり」、段落【0221】の「設定「3」のときにも、遊技者による音量調整が不可能であり」との記載より、遊技者による音量調整が不可能である第1出力設定スイッチ190による設定が「4」、「3」であるときがあるといえる。
そうすると、刊行物1には、音量調整画面において第2設定出力スイッチの操作によって音量が調整可能である第1出力設定スイッチ190による設定が通常営業用の「5」?「F」であるときと、遊技者による音量調整が不可能である第1出力設定スイッチ190による設定が「4」、「3」であるときとがあることが記載されているといえる。
また、第1出力設定スイッチ190による設定が通常営業用の「5」?「F」であるときに音量を調整するための「音量調整画面」は、上記摘記事項(1-f)の段落【0288】、【0289】より、「第1副制御部400」が、「第2出力設定スイッチ194の操作を受付けたことを条件に、」「音量調整と輝度調整の選択メニューを表示する」「メニュー画面を表示」し、「メニュー画面において音量調整が仮選択されている状態で決定ボタン194aの操作を受付けた場合に」表示するものであるから、第1副制御部400は、第1出力設定スイッチ190による設定が通常営業用の「5」?「F」であるときには、第2出力設定スイッチ194の操作を受付けたことを条件に、音量調整と輝度調整の選択メニューを表示するメニュー画面を表示するものといえる。

上記(1-a)?(1-h)の記載事項及び(1-i)?(1-n)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。(a?hは、本願発明のA?Hに対応させて付した。)

「a BGM、効果音、エラー音等の音を出力するスピーカ120と、スピーカ120の制御を行うための音制御回路431が接続された基本回路402を備え、「変動開始」や「リーチ報知」が割り当てられたサウンドデータ内容を含む演出実行タイミングデータに基づいて各報知手段の制御を行う第1副制御部400と、を備えたパチンコ機100において、(段落【0020】、認定事項(1-i))
b、e 第1副制御部400の基本回路402には、第2出力設定スイッチ194の押下操作を検出するスイッチセンサ426と、第1出力設定スイッチ190とを接続し、音量は、第1出力設定スイッチ190の操作によって管理者設定値を変更するか、設定値調整モードにおいて、第2設定出力スイッチ194の操作によって遊技者設定値を変更することにより調整可能であり、(段落【0202】、認定事項(1-j))
c 第1副制御部400は、第2出力設定スイッチ194の操作を受付けたことを条件に、音量調整と輝度調整の選択メニューを表示するメニュー画面を装飾図柄表示装置208に表示し、第2出力設定スイッチ194の操作に応じて、選択メニューに対応する画面を表示させ、(認定事項(1-k))
d 第1副制御部400の基本回路402には、表示画像を生成し、装飾図柄表示装置208に画像を表示するVDP434が接続され、装飾図柄表示装置208の音量調整画面を構成する画像の少なくとも一部にエラー表示を重ねて表示することができ、(認定事項(1-l)、(1-m))
f 音量調整画面において第2設定出力スイッチの操作によって音量が調整可能である第1出力設定スイッチ190による設定が通常営業用の「5」?「F」であるときと、遊技者による音量調整が不可能である第1出力設定スイッチ190による設定が「4」、「3」であるときとがあり、(認定事項(1-n))
g 第1副制御部400は、第1出力設定スイッチ190による設定が通常営業用の「5」?「F」であるときには、第2出力設定スイッチ194の操作を受付けたことを条件に、音量調整と輝度調整の選択メニューを表示するメニュー画面を表示し、磁気検出、電波検出などの、エラーを検知した場合は設定画面(メニュー画面、音量調整画面、輝度調整画面)を非表示としてもよく、(段落【0290】、【0346】、認定事項(1-n))
h 第1副制御部400は、メニュー画面の表示中に音量調整画面の選択操作を受付けると音量調整画面を表示し、音量調整画面の表示中に第2出力設定スイッチ194の右ボタン194cの押下操作を2回受付けたことから、音量の設定値を96dBから98dBに変更するパチンコ機100。(段落【0294】、【0295】)」

(3)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)?(h)は、刊行物1発明の構成に対応している。)。

(a)刊行物1発明における「BGM、効果音、エラー音等の音」及び「スピーカ120」は、それぞれ、本願補正発明における「所定の音」及び「音出力部」に相当する。そうすると、刊行物1発明における「BGM、効果音、エラー音等の音を出力するスピーカ120」は、本願補正発明における「所定の音を出力することが可能な音出力部」に相当する。
刊行物1発明における「第1副制御部400」は、「スピーカ120の制御を行うための音制御回路431が接続された基本回路402を備え」ているから、本願補正発明における「音出力部から演出音を出力させる演出音出力手段」としての機能を有しているといえる。また、刊行物1発明における「第1副制御部400」は、「「変動開始」や「リーチ報知」が割り当てられたサウンドデータ内容を含む演出実行タイミングデータに基づいて各報知手段の制御を行う」から、「変動開始」や「リーチ」等の遊技の状態に応じて「各報知手段の制御」を行うものといえ、さらに、「各報知手段」が「スピーカ120」を含むことは当業者にとって自明である。そうすると、刊行物1発明における「「変動開始」や「リーチ報知」が割り当てられたサウンドデータ内容を含む演出実行タイミングデータに基づいて各報知手段の制御を行う第1副制御部400」は、本願補正発明における「遊技の状態に応じて前記音出力部から演出音を出力させる演出音出力手段」としての機能を有しているといえる。
また、刊行物1発明における「パチンコ機100」は、本願補正発明における「遊技機」に相当する。

(b)刊行物1発明における「第1出力設定スイッチ190」及び「第2設定出力スイッチ194」は、本願補正発明における「所定の操作部」に相当する。また、刊行物1発明における「音量」は「スピーカ120」が出力する「BGM、効果音、エラー音等の音」の音量であることは当業者にとって自明であるから、刊行物1発明において、「音量」を、「第1出力設定スイッチ190の操作によって管理者設定値を変更するか、設定値調整モードにおいて、第2設定出力スイッチ194の操作によって遊技者設定値を変更することにより調整」することは、本願補正発明における、「所定の操作部の操作に基づいて、前記音出力部から出力される前記演出音の音量値を所定の音量値に設定する」ことに相当する。
また、刊行物1発明においては、「第2出力設定スイッチ194の押下操作を検出するスイッチセンサ426と、第1出力設定スイッチ190と」は、「第1副制御部400の基本回路402」に接続されており、さらに、構成hより、「第1副制御部400」が、「メニュー画面の表示中に音量調整画面の選択操作を受付けると音量調整画面を表示し、音量調整画面の表示中に第2出力設定スイッチ194の右ボタン194cの押下操作を2回受付けたことから、音量の設定値を96dBから98dBに変更」するものであるから、刊行物1発明において、「音量は、第1出力設定スイッチ190の操作によって管理者設定値を変更するか、設定値調整モードにおいて、第2設定出力スイッチ194の操作によって遊技者設定値を変更することにより調整可能」としているのは「第1副制御部400」であることは、当業者にとって自明である。
そうすると、刊行物1発明における「第1副制御部400」は、「音量は、第1出力設定スイッチ190の操作によって管理者設定値を変更するか、設定値調整モードにおいて、第2設定出力スイッチ194の操作によって遊技者設定値を変更することにより調整可能」とするものであるから、本願補正発明における「所定の操作部の操作に基づいて、前記音出力部から出力される前記演出音の音量値を所定の音量値に設定する音量値設定手段」としての機能を有しているといえる。

(c)刊行物1発明における、「装飾図柄表示装置208」、「音量調整と輝度調整の選択メニュー」、及び「第2出力設定スイッチ194の操作」は、それぞれ、本願補正発明における、「所定の表示部」、「所定の選択肢」、「所定の選択操作」に相当する。また、刊行物1発明における「メニュー画面」は、「音量調整と輝度調整の選択メニューを表示」し、「第2出力設定スイッチ194の操作に応じて、選択メニューに対応する画面を表示させ」るものであるから、本願発明の「所定の選択肢を所定の選択操作によって選択させる選択画像」に相当する。
そうすると、刊行物1発明における「第2出力設定スイッチ194の操作を受付けたことを条件に、音量調整と輝度調整の選択メニューを表示するメニュー画面を装飾図柄表示装置208に表示し、第2出力設定スイッチ194の操作に応じて、選択メニューに対応する画面を表示させ」る「第1副制御部400」は、本願補正発明における「所定の選択肢を所定の選択操作によって選択させる選択画像を所定の表示部に表示させる選択画像表示手段」としての機能を有しているといえる。

(d)刊行物1発明における「エラー」は、本願補正発明における「報知を行うべき所定の事象」に相当する。また、刊行物1発明において、「エラー表示を」「表示する」ことは、本願補正発明における「報知を行うべき所定の事象が発生したことに基づいて、前記所定の事象が発生したことを」「報知する」ことに相当し、さらに、「エラー表示」を表示する際に、「表示」が所定期間に亘ってされることは、当業者にとって自明である。
また、刊行物1発明において、「第1副制御部400の基本回路402には、表示画像を生成し、装飾図柄表示装置208に画像を表示するVDP434が接続され」ているから、「第1副制御部400」は「装飾図柄表示装置208に画像を表示する」機能を有しており、さらに、「エラー表示」は「装飾図柄表示装置208」に表示されるものであるから、「第1副制御部400」が「エラー表示」を「表示する」機能を有しているといえる。
そうすると、刊行物1発明における「第1副制御部400」は、本願補正発明における「報知を行うべき所定の事象が発生したことに基づいて、前記所定の事象が発生したことを所定期間に亘って報知する事象報知手段」としての機能を有しているといえる。

(e)刊行物1発明における「第1出力設定スイッチ190」及び「第2設定出力スイッチ194」は、それぞれ、本願補正発明における「第1操作部」及び「第2操作部」に相当する。

(f)刊行物1発明において、「第1出力設定スイッチ190による設定が通常営業用の「5」?「F」」となっている状態は、「音量調整画面において第2設定出力スイッチの操作によって音量が調整可能」な状態であるから、本願補正発明における「前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が許容される第1状態」に相当し、刊行物1発明において、「第1出力設定スイッチ190による設定が「4」、「3」」となっている状態は、「遊技者による音量調整が不可能である」状態であるから、本願補正発明における「前記音量値の設定が規制される第2状態」に相当する。
そうすると、刊行物1発明における、「音量調整画面において第2設定出力スイッチの操作によって音量が調整可能である第1出力設定スイッチ190による設定が通常営業用の「5」?「F」であるときと、遊技者による音量調整が不可能である第1出力設定スイッチ190による設定が「4」、「3」であるときとが」あることは、本願補正発明における「前記第1操作部には、前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が許容される第1状態と、前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が規制される第2状態とが」あることに相当する。

(g)刊行物1発明における「音量調整」「の選択メニュー」は、本願補正発明における「前記音量値の設定に関する音量の項目」に相当する。そして、刊行物1発明における、「メニュー画面」は、「音量調整と輝度調整の選択メニューを表示」するものであるから、本願補正発明における「前記音量値の設定に関する音量の項目を前記所定の選択肢として含む第1選択画像」に相当する。また、「第1副制御部400は、第1出力設定スイッチ190による設定が通常営業用の「5」?「F」であるときには、第2出力設定スイッチ194の操作を受付けたことを条件に、音量調整と輝度調整の選択メニューを表示するメニュー画面を表示」するものであるから、「第1副制御部400」は、「第1出力設定スイッチ190による設定が通常営業用の「5」?「F」であるとき」には、「メニュー画面」を表示させることが可能であるといえる。
また、構成dより、刊行物1発明においては「装飾図柄表示装置208の音量調整画面を構成する画像の少なくとも一部にエラー表示を重ねて表示」している。そして、刊行物1発明は、「磁気検出、電波検出などの、エラーを検知した場合は設定画面(メニュー画面、音量調整画面、輝度調整画面)を非表示と」するものであるところ、「磁気検出、電波検出などの、エラーを検知した場合」に「エラー表示」を「表示する」ことは、当業者にとって自明であるから、「磁気検出、電波検出などの、」「エラー表示」を「表示」している場合においても「メニュー画面」を「非表示」としているといえる。よって、刊行物1発明において、「磁気検出、電波検出などの、」「エラー表示」を「表示」しているとき、及び「メニュー画面」を「非表示」とすることは、本願補正発明における、「事象報知手段による報知中」、及び「第1選択画像」「を表示させることが規制され」ていることに相当する。
そうすると、刊行物1発明は、本願補正発明と、「前記選択画像表示手段は、前記第1操作部が前記第1状態になっているときは前記音量値の設定に関する音量の項目を前記所定の選択肢として含む第1選択画像を表示させることが可能」であり、「前記事象報知手段による報知中は前記第1選択画像」「を表示させることが規制され」ている点で共通しているといえる。

(h)刊行物1発明における「メニュー画面の表示中に音量調整画面の選択操作を受付ける」ことは、本願補正発明における「前記第1選択画像の表示中に前記音量の項目を選択する選択操作が行われたこと」に相当する。また、刊行物1発明においては、「メニュー画面の表示中に音量調整画面の選択操作を受付けると」、「音量調整画面」が表示され、「音量調整画面の表示中に第2出力設定スイッチ194の右ボタン194cの押下操作を2回受付けたことから、音量の設定値を96dBから98dBに変更する」から、「メニュー画面の表示中に音量調整画面の選択操作を受付けると」、本願補正発明と同様に「前記音量値を設定可能となる」といえる。
そうすると、刊行物1発明における「第1副制御部400は、メニュー画面の表示中に音量調整画面の選択操作を受付けると音量調整画面を表示し、音量調整画面の表示中に第2出力設定スイッチ194の右ボタン194cの押下操作を2回受付けたことから、音量の設定値を96dBから98dBに変更する」ことは、本願補正発明における「前記音量値設定手段は、前記第1選択画像の表示中に前記音量の項目を選択する選択操作が行われたことに基づいて、前記音量値を設定可能となる」ことに相当する。

以上、(a)?(h)の対比より、本願補正発明と刊行物1発明とは、

「A 所定の音を出力することが可能な音出力部と、遊技の状態に応じて前記音出力部から演出音を出力させる演出音出力手段と、を備えた遊技機において、
B 所定の操作部の操作に基づいて、前記音出力部から出力される前記演出音の音量値を所定の音量値に設定する音量値設定手段と、
C 所定の選択肢を所定の選択操作によって選択させる選択画像を所定の表示部に表示させる選択画像表示手段と、
D 報知を行うべき所定の事象が発生したことに基づいて、前記所定の事象が発生したことを所定期間に亘って報知する事象報知手段と、を備え、
E 前記所定の操作部は、第1操作部と、第2操作部とを含み、
F 前記第1操作部には、前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が許容される第1状態と、前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が規制される第2状態とがあり、
G’ 前記選択画像表示手段は、前記第1操作部が前記第1状態になっているときは前記音量値の設定に関する音量の項目を前記所定の選択肢として含む第1選択画像を表示させることが可能であるが、前記事象報知手段による報知中は前記第1選択画像を表示させることが規制され、
H 前記音量値設定手段は、前記第1選択画像の表示中に前記音量の項目を選択する選択操作が行われたことに基づいて、前記音量値を設定可能となることを特徴とする遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)「選択画像表示手段」について、本願補正発明は、「前記第1操作部が前記第2状態になっているときは前記音量の項目が前記所定の選択肢とならない第2選択画像を表示させ」、また、「前記事象報知手段による報知中は」「第2選択画像を表示させることが規制され」ているのに対し、刊行物1発明には、そのような特定はされていない点。(構成G)

(4)判断
ア 上記相違点について検討する。
選択画像を表示する表示装置の技術分野において、選択不可とされている項目を選択肢としない選択画像を表示することは、周知技術である(例えば、特開2007-173887号公報の段落【0020】、【0054】、図6(a)、国際公開第2009/093518号公報の段落[0063]、[0066]、図4、特開2007-180749号公報の段落【0054】、【0055】、図5(A)、特開2013-59428号公報の段落【0178】、図44参照。)。
そして、刊行物1発明においては、「第1出力設定スイッチ190による設定が「4」、「3」であるとき」に、「第2出力設定スイッチ194の操作を受付けたことを条件に、音量調整と輝度調整の選択メニューを表示するメニュー画面を表示」する際の、「メニュー画面」の具体的な表示態様については特定されていないが、「第1出力設定スイッチ190による設定が「4」、「3」であるとき」には、「遊技者による音量調整が不可能である」から、その「メニュー画面」の具体的な表示態様として、遊技者による調整が不可能である音量調整の選択メニュー(選択が規制されている項目)を選択不可とすることは当業者にとって自明の課題である。また、刊行物1発明と上記周知技術とは、選択画像を表示する表示装置を有する点で共通するから、刊行物1発明において、上記の課題を解決するために上記周知技術を適用し、「第1出力設定スイッチ190による設定が「4」、「3」であるとき」に表示する「メニュー画面」として、「音量調整」の「選択メニュー」が選択肢とならない第2選択画像を表示させることは、当業者が容易になし得たことである。
さらに、刊行物1発明は「エラーを検知した場合は設定画面(メニュー画面、音量調整画面、輝度調整画面)を非表示」とするものであるから、上記周知技術として示した選択不可とされている項目を選択肢としない選択画像、すなわち第2選択画像についても他の「設定画面」と同様に「非表示」として表示を規制させることは、当業者が当然なし得る事項にすぎない。
したがって、刊行物1発明において上記周知技術を適用し、上記相違点に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が容易になし得たことである。

イ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、「本願発明では、第1操作部が第2操作部の操作による音量値の設定が許容される第1状態になっているときは、音量値の設定に関する音量の項目を選択肢として含む第1選択画像を表示可能であるが、第1操作部が第2操作部の操作による音量値の設定が規制される第2状態になっているときは、音量の項目が選択肢とならない第2選択画像を表示させるのに対し、引用文献1では、そのようになっていない点で相違します。
本願発明では、上記相違点を備えたことで、第2操作部の操作による音量値の設定が規制されているにも拘らず、遊技者に音量値の設定が可能であるとった勘違いさせるような不都合を回避することができ、遊技者に親切な選択画像の表示とすることが可能となります。
・・・
してみれば、引用文献1を参照しても、上記相違点のような構成を想起することは難しく、そのような構成を想起するための十分な動機付けにもならないと考えられます。」との主張をしている(第頁4第29行?第6頁第1行)。
しかしながら、上記アで検討したとおり、選択画像を表示する表示装置の技術分野において、選択不可とされている項目を選択肢としない選択画像を表示することは、周知技術であり、刊行物1発明において上記周知技術を適用し、請求人の主張する上記相違点に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が容易になし得たことであるから、上記請求人の主張は採用できない。

ウ 本願補正発明が奏する効果について
上記相違点によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明及び周知技術から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

(5)まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が刊行物1発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、平成28年4月19日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、特に、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】
所定の音を出力することが可能な音出力部と、遊技の状態に応じて前記音出力部から演出音を出力させる演出音出力手段と、を備えた遊技機において、
所定の操作部の操作に基づいて、前記音出力部から出力される前記演出音の音量値を所定の音量値に設定する音量値設定手段と、
所定の選択肢を所定の選択操作によって選択させる選択画像を所定の表示部に表示させる選択画像表示手段と、
報知を行うべき所定の事象が発生したことに基づいて、前記所定の事象が発生したことを所定期間に亘って報知する事象報知手段と、を備え、
前記選択画像表示手段は、前記音量値の設定に関する音量の項目を前記所定の選択肢として含む前記選択画像を表示させることが可能であるが、前記事象報知手段による報知中は前記選択画像を表示させることが規制され、
前記音量値設定手段は、前記選択画像の表示中に前記音量の項目を選択する選択操作が行われたことに基づいて、前記音量値を設定可能となることを特徴とする遊技機。」

2 刊行物
刊行物1及びその記載事項、並びに刊行物1発明は、上記「第2 3(2)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2 3(1)」で検討した本願補正発明から、「前記所定の操作部は、第1操作部と、第2操作部とを含み、」及び「前記第1操作部には、前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が許容される第1状態と、前記第2操作部の操作による前記音量値の設定が規制される第2状態とがあり、」という事項を省き、また、上記「第2 3(1)」で検討した本願補正発明における、「前記選択画像表示手段は、前記第1操作部が前記第1状態になっているときは前記音量値の設定に関する音量の項目を前記所定の選択肢として含む第1選択画像を表示させることが可能であるが、前記第1操作部が前記第2状態になっているときは前記音量の項目が前記所定の選択肢とならない第2選択画像を表示させ、前記事象報知手段による報知中は前記第1選択画像及び前記第2選択画像を表示させることが規制され、」との事項から、「前記第1操作部が前記第1状態になっているとき」に表示させるのが「第1選択画像」であること、「前記第1操作部が前記第2状態になっているときは前記音量の項目が前記所定の選択肢とならない第2選択画像を表示させ」ること、及び、「前記事象報知手段による報知中」に「表示させることが規制され」るのが「前記第1選択画像及び前記第2選択画像」であることを省き、「前記選択画像表示手段は、前記音量値の設定に関する音量の項目を前記所定の選択肢として含む前記選択画像を表示させることが可能であるが、前記事象報知手段による報知中は前記選択画像を表示させることが規制され、」としたものである。

そうすると、本願発明と刊行物1発明とを対比すると、上記「第2 3(3)」で検討した相違点を有さず、他に相違する点もないから、本願発明は刊行物1に記載された発明である。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-06-05 
結審通知日 2017-06-06 
審決日 2017-06-19 
出願番号 特願2015-56622(P2015-56622)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 智也山本 一  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 藤田 年彦
萩田 裕介
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 エビス国際特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ