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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J
管理番号 1330947
審判番号 不服2015-3184  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-19 
確定日 2017-08-01 
事件の表示 特願2012-538222「印刷プロセスの調整方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月19日国際公開、WO2011/057725、平成25年 3月21日国内公表、特表2013-510024〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件出願は、平成22年10月30日を出願日とする国際出願(外国庁受理、パリ条約による優先権主張,2009年11月10日,独国)であって、平成26年9月2日付けで手続補正書が提出され、同年11月18日付けで拒絶の査定がなされるとともに手続補正書が提出され、これに対し、平成27年2月19日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、その後、当審において平成28年2月12日付けで拒絶の理由を通知したところ、同年5月12日付けで手続補正書が提出され、更に当審において、同年9月30日付けで拒絶の理由を通知したところ、同年12月16日付けで手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明は、前記の平成28年12月16日付けの手続補正後(以下「本件補正」という。)の明細書、特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める(以下「本願発明」という。)。

【請求項1】
プリプレスからの印刷データ(13,33)に基づいて印刷デバイス(12,32)を用いて被印刷物を印刷する印刷プロセスの調整方法であって、前記被印刷物上の印刷結果が設定色値と比較され、そこから修正値が導き出される方法において、前記プリプレスの前記印刷データ(13,33)が前記修正値により修正され、
前記印刷デバイス(12,32)がデジタル印刷機であり、前記調整が本刷りの印刷中に継続的に行われ、
画像データの色再現に関する測定が、前記印刷デバイス(12,32)の内部で行われ、前記修正値が、調べた実際の色値と所与の設定色値との比較に基づいて得られることを特徴とする方法。

第3 引用例

1.当審の平成28年9月30日付けの拒絶理由通知で引用された本願の優先権日前の平成15年4月9日に頒布された刊行物である特開2003-103885号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(なお、下線は、審決で付した。以下同じ)。

「【0006】まず,図1を用いて本発明の実施の形態に係る画像形成装置Xの概略構成について説明する。本画像形成装置Xは,画像形成を行うプリンタ2と該プリンタ2による印刷後のシートに対し後処理を行うフィニッシャ1とから構成される。前記プリンタ2は,紙等のシートに静電記録法によるトナー画像やインクジェット法によるインク画像等を形成する画像形成部20,各種操作入力やメッセージの表示を行うための液晶タッチパネル等で構成される表示操作部21,パソコン等の端末と通信して印刷ジョブデータの受信等を行う端末通信部22,MPU及びその周辺装置から構成され,プリンタ2を構成するアクチュエータ26その他の機器の制御や各種演算処理を行う制御部23,前記印刷ジョブデータ等の各種データを記憶するハードディスク等の記憶装置である記憶部24,及び前記フィニッシャ1と制御信号やデータの通信を行う制御インターフェース(制御I/F25)から構成され,各構成要素が通信可能に接続されている。」

「【0008】以下,図3を用いて,本画像形成装置Xによりコピーを行う際の,画像形成のフィードバック補正の処理手順について説明する。以下,S121,S122,,は,処理手順(ステップ)の番号を表すものとする。また,図3の処理が開始される前に,コピー原稿である原稿シートが前記インサータ11に載置されているものとする。まず,前記フィニッシャ1においては,前記制御部14により,前記表示操作部13から入力されるコピー倍率やコピー枚数等のコピー条件が入力されるとともに,所定のコピー開始操作の入力確認が行われる(S121)。次に,前記コピー開始操作の入力があったか否かが判別され,なかった場合はS101へ戻って処理が繰り返される(S122のNo側)。一方,S122において,前記コピー開始操作の入力があったと判別された場合には,前記インサータ11により,前記原稿シートがフィニッシャ1の内部に供給され(S123),前記画像読取り部10に搬送されて前記原稿シートの画像が読み取られ,その画像データが前記記憶部15に記憶された後(S124),排出ローラ等によって前記可動排紙トレー12に排出される(S125)。次に,S126において,前記画像読取り部10によって読み取られた画像データから所定の印刷ジョブデータ(前記画像形成用データに該当)が前記制御部14によって生成された後,S127において前記印刷ジョブデータの1枚分が前記プリンタ2へ前記制御I/F16を介して出力される。
【0009】一方,前記プリンタにおいては,前記印刷ジョブデータが前記制御I/F25によって入力されると(S221),前記画像形成部20によって前記印刷ジョブデータに応じた画像が印刷され(S222),前記印刷後のシートが前記フィニッシャ1側(前記経路R3)へ排出された後(S223),再度S221へ戻って,前記印刷ジョブデータの入力を待つ状態となる。
【0010】一方,前記フィニッシャ1においては,前記プリンタ2から前記印刷後のシートが搬送されてくるので,これが前記画像読取り部10の位置まで搬送ローラ等によって搬送され,前記画像読取り部10により前記印刷後のシートから画像データが読み取られて前記記憶部13に記憶される(S128)。次に,S128で読み取られた前記印刷後のシートの画像データと,S124で読み取られた前記原稿シートの画像データとの比較に基づいて,それら2つの画像データの差が求められる(S129)。これは,例えば,前記2つの画像データそれぞれについて,各カラー(シアン,マゼンタ,イエロー)毎の平均輝度を求め,該平均輝度の差を算出すること等によって求められる。前記2つの画像データの差を求める方法は,これに限らず,画像形成の補正の必要性を判断する指標を求める方法であれば他の方法であってもかまわない。次に,S130において,S129で求められた前記2つの画像データの差が,所定の許容範囲内であるかが判別され,該許容範囲にないと判別された場合には,S133へ移行して前記印刷後のシートが前記可動排紙トレー12に排出される。前記許容範囲は,明らかに不適正な印刷となる前に前記2つの画像データの差を補正できるように,例えば,正常な印刷が行われている場合の誤差範囲程度に設定される。このとき,前記2つの画像データの差が,前記許容範囲を大きく越えるような場合には,適正な画質でコピーされたシートと区別するため,前記可動排紙トレー12の移動により,適正に印刷されたシートが排出されるトレーとは別のトレーに排出されるようにしてもよい。次に,S134において,前記2つの画像データの差(前述の例では,各カラーにおける前記平均輝度の差)がなくなるようにS126で生成された前記印刷ジョブデータが補正された後,S127へ戻って前記補正された前記印刷ジョブデータについて処理が繰り返される。一方,S130において,前記2つの画像データの差が前記許容範囲内であると判別された場合は,前記印刷後のシートが前記可動排紙トレー12に排出された後(S131),S132において,S121で入力されたコピー枚数に対して残り枚数があるか否かが判別され,残り枚数があると判別された場合には,S127へ戻って残りの前記印刷ジョブデータについて処理が繰り返される。このような処理S127?S134が,前記残り枚数がなくなるまで(入力されたコピー枚数分だけ印刷されるまで)繰り返された後,処理が終了する。ここで,前記印刷ジョブデータの補正に関する処理(S128?S130,S133,S134)は,1枚毎ではなく所定の枚数毎にのみ行うよう構成してもかまわない。これにより,例えば,前記原稿データのコピー枚数が多い場合に,前記プリンタ2の構成機器の温度変化等によって,前記印刷後のシートの画質に変化が生じても,画像形成の補正により良好な画質を維持でき,無駄な印刷物を大量に排出するといった無駄がなくなる。」

前記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「画像形成装置Xは、画像形成を行うプリンタ2と該プリンタ2による印刷後のシートに対し後処理を行うフィニッシャ1とから構成され、前記プリンタ2は、紙等のシートに静電記録法によるトナー画像やインクジェット法によるインク画像等を形成する画像形成部20から構成され、前記フィニッシャ1において、原稿シートが画像読取り部10によって読み取られた画像データから所定の印刷ジョブデータが生成された後、前記プリンタ2において前記印刷ジョブデータに応じた画像が印刷され、前記フィニッシャ1において前記印刷後のシートから画像データが読み取られ、前記印刷後のシートの画像データと前記原稿シートの画像データとの比較に基づいて、それら2つの画像データの差が、前記2つの画像データそれぞれについて、各カラー(シアン、マゼンタ、イエロー)毎の平均輝度を求め、該平均輝度の差を算出することによって求められ、前記2つの画像データの差がなくなるように前記印刷ジョブデータが補正され、前記補正された前記印刷ジョブデータについて処理が繰り返され、このような処理が、入力されたコピー枚数分だけ印刷されるまで繰り返された後、処理が終了する画像形成方法。」

第4 対比

1.本願発明の各事項について

(1)本願明細書には「【背景技術】【0002】プリプレス、つまり、機械による実際の印刷工程に前置された生産段階においてすでに、必要な情報、つまり、いわゆる印刷データを、所与の機械的な印刷条件及び所与の印刷方法に合わせて準備し、エリアカバレッジ及びカラーをデジタルデータセット内で相応に規定することが一般的に知られている。」、「【0022】図1には従来の技術によるデジタル印刷機のワークフローが図示されており、このワークフローではプリプレス1aから開始し、プリプレス1aでは印刷製品の構成、つまりテキスト又は画像といった内容の配置ならびにカラーの構成が規定される。プリプレス1aのこのクリエーティブな部分は、印刷製品がどの印刷デバイスで生産されるかには関係がない。
【0023】次にプリプレスのさらなるステップ1bにおいては、印刷方法とは関係なく、また、どの印刷デバイスで印刷製品が生産されるかに関係なくデータが決定され、このデータを用いて、印刷デバイスは、特に所望の、つまりプリプレス1aで規定された色再現が印刷製品上で達成されるよう制御される。」、「【0028】 ・・・図1の従来の技術と同様、プリプレス10aにおいて印刷製品16の構成が規定される。・・・」と説明されており、本願発明の「プリプレスからの印刷データ(13,33)に基づいて印刷デバイス(12,32)を用いて被印刷物を印刷する印刷プロセスの調整方法」に照らすと、本願発明における「プリプレス」とは、印刷製品の構成を規定するための印刷データを準備することであると解される。

(2)本願発明の「前記調整」とは、同「印刷プロセスの調整方法」を受けたものであるが、「調整」とは、本願発明には、「前記被印刷物上の印刷結果が設定色値と比較され、そこから修正値が導き出される方法において、前記プリプレスの前記印刷データ(13,33)が前記修正値により修正され」ると特定されていることからみると、「前記被印刷物上の印刷結果が設定色値と比較され、そこから修正値が導き出される方法において、前記プリプレスの前記印刷データ(13,33)が前記修正値により修正され」ることであると解される。

(3)本願発明の 「前記被印刷物上の印刷結果が設定色値と比較され、そこから修正値が導き出される」ことと、「修正値が、調べた実際の色値と所与の設定色値との比較に基づいて得られる」について、「被印刷物上の印刷結果」と「調べた実際の色値」とは、共に設定色値(所与の設定色値)と比較されて、修正値が導き出される(得られる)から、前記「被印刷物上の印刷結果」と「調べた実際の色値」は、同じ意味であると解される。

(4)本願明細書には「【0025】・・・色再現に関しては実際の色度を調べるために、印刷製品6は手動で又は機械的に、相応の測定デバイス7内で、又は相応の測定デバイス7を用いて測定/検査される。・・・」と説明されているので、本願発明の「印刷デバイスの内部で行われ」る「画像データの色再現に関する測定」とは、「調べた実際の色値」を得るための測定であると解され、前記(3)で検討したとおり、「被印刷物上の印刷結果」と「調べた実際の色値」は同じ意味であるから、前記「画像データの色再現に関する測定」は「被印刷物上の印刷結果」を測定対象としていると解される。

2.本願発明と引用発明とを対比すると、

(1)後者の「画像形成装置X」は、前者の「印刷デバイス」に相当し、以下同様に、「印刷後のシート」は「被印刷物」に相当する。

(2)前記1(1)で検討したとおり、前者の「プリプレス」とは「プリプレス」とは、「印刷データ」を準備することであるから、後者の「フィニッシャ1において、原稿シートが画像読取り部10によって読み取られた画像データから」「所定の印刷ジョブデータ」を「生成」することは、前者の「プリプレス」に相当し、同様に、後者の「所定の印刷ジョブデータ」は、前者の「印刷データ」に相当する。

(3)後者は「前記印刷後のシートの画像データと前記原稿シートの画像データとの比較に基づいて、それら2つの画像データの差が、前記2つの画像データそれぞれについて、各カラー(シアン、マゼンタ、イエロー)毎の平均輝度を求め、該平均輝度の差を算出すること等によって求められ、前記2つの画像データの差がなくなるように前記印刷ジョブデータが補正され」ているので、本願発明の「印刷プロセスの調整方法」を備えているといえる。

(4)前者の「デジタル印刷機」とは、本願明細書には「【0019】本発明に関してデジタル印刷とは、静的な印刷版を使用せずに印刷画像がコンピュータから直接印刷機/印刷デバイスに伝送される印刷方法群と理解される。それは望ましくはインクジェット印刷デバイス又は、望ましくは高部数用に構成されたレーザープリンタなどの電子写真式印刷システムである。」と記載されており、後者の「画像形成装置X」を構成する「プリンタ2」は「紙等のシートに静電記録法によるトナー画像やインクジェット法によるインク画像等を形成する画像形成部20から構成され」ているので、後者の「画像形成装置X」は、前者の「デジタル印刷機」であるといえる。

(5)後者の「前記補正された前記印刷ジョブデータについて処理が繰り返され、このような処理が、入力されたコピー枚数分だけ印刷されるまで繰り返された後、処理が終了する」ことは、前者の「調整が本刷りの印刷中に継続的に行われ」ることに相当するといえる。

(6)後者の「フィニッシャ1」は「画像形成装置X」を構成するものであるから、同「フィニッシャ1において前記印刷後のシートから画像データが読み取られ」ることは、「画像形成装置X」の内部で行われることである。
後者の「印刷後のシートから画像データが読み取られ」ることは、「印刷後のシートの画像データ」から、「各カラー(シアン、マゼンタ、イエロー)毎の平均輝度を求め」るためであるから、前者の「画像データの色再現に関する測定」(前記1(4)で検討したとおり「被印刷物上の印刷結果」を測定対象としている。)とに相当する。
よって、後者は前者の「画像データの色再現に関する測定が、前記印刷デバイスの内部で行われ」る事項を備えているといえる。

したがって、両者は、

「プリプレスからの印刷データに基づいて印刷デバイスを用いて被印刷物を印刷する印刷プロセスの調整方法であって、
前記印刷デバイスがデジタル印刷機であり、前記調整が本刷りの印刷中に継続的に行われ、
画像データの色再現に関する測定が、前記印刷デバイスの内部で行われる方法。」

の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
本願発明の「印刷プロセスの調整方法」にあって、「前記被印刷物上の印刷結果が設定色値と比較され、そこから修正値が導き出される方法において、前記プリプレスの前記印刷データ(13,33)が前記修正値により修正され」ること、及び「前記修正値が、調べた実際の色値と所与の設定色値との比較に基づいて得られること」が、引用発明に含まれているのか否か不明である点。

第5 当審の判断。

前記相違点について検討する。

本願発明の「色値」とは、一般的な技術用語として定義づけられたものではなく、本願当初の明細書にも記載されていないが、平成28年12月16日付け意見書2.(4)の「請求項1の「設定値」および「設定色度」は、いずれも「設定色値」であり、プリプレス10aおよび11aによって決定された数値です。なお、色を数値化(色値)する場合、例えばLab色空間内では、a-b軸の次元として示される明度(審判注:色度の誤記と解される。)および次元Lで示される色度(審判注:明度の誤記と解される。)を伴って正確に示されます。したがって、色度のみでは正確に色を数値化できないため、明細書および特許請求の範囲中の「色度」は「色値」と記載されるべきです。」との記載からみれば、前記「色値」とは、色を数値化する値であると解される。
本願発明の「設定色値」とは、前記意見書1.(1)によれば「設定色度」を補正したものであり、本願明細書には、「【0030】・・・これらの設定に基づいて印刷製品16が印刷され、印刷製品16はセンサシステム19により色再現に関する測定、つまり、実際の色度が調べられ、プリプレス10a及び11aのそれぞれの設定色度と比較される。・・・」と記載され、前記意見書の2.(3)には「 請求項1の「設定色値」は、「印刷デバイスの、あらかじめ作成された校正カラープロファイルから導き出された数値」であり、プリプレス10aおよび11aによって決定された数値です。」と説明されているから、「設定色値」は「プリプレス」から得られるものである。
これに対し、引用発明の「画像データ」について求められる「各カラー(シアン、マゼンタ、イエロー)毎の平均輝度」も、色を数値化するものであるから「色値」であり、前記第4 2(2)で検討したとおり、引用発明の「フィニッシャ1において、原稿シートが画像読取り部10によって読み取られた画像データから」「所定の印刷ジョブデータ」を「生成」することは、本願発明の「プリプレス」に相当し、該「画像データ」から求められる各カラー(シアン、マゼンタ、イエロー)毎の平均輝度は、プリプレスから得られるものといえる。
よって、原稿シートが画像読取り部10によって読み取られた画像データ(「プリプレス」の一部といえる。)から求められる各カラー(シアン、マゼンタ、イエロー)毎の平均輝度は、本願発明の「設定色度」に相当する。
本願発明の上記第4 1(3)で検討したとおり同じものである「被印刷物上の印刷結果」と「調べた実際の色値」は、引用発明の「印刷後のシートから」読み取られた「画像データ」から求めた「各カラー(シアン、マゼンタ、イエロー)毎の平均輝度」に相当するといえる。
そして、本願発明の「被印刷物上の印刷結果が設定色値と比較」する、修正値が、調べた実際の色値と所与の設定色値との比較」することに対して、引用発明1の「原稿シートが画像読取り部10によって読み取られた画像データ(「プリプレス」の一部といえる。)から求められる各カラー(シアン、マゼンタ、イエロー)毎の平均輝度」と「原稿シートが画像読取り部10によって読み取られた画像データ(「プリプレス」の一部といえる。)から求められる各カラー(シアン、マゼンタ、イエロー)毎の平均輝度」を比較することが相当している。。
本願発明の「印刷データが」「調べた実際の色値と所与の設定色値との比較」に基づいて得られる」「修正値」「により修正され」るのに対して、引用発明は「前記印刷後のシートから画像データが読み取られ、前記印刷後のシートの画像データと前記原稿シートの画像データとの比較に基づいて、それら2つの画像データの差が、前記2つの画像データそれぞれについて、各カラー(シアン、マゼンタ、イエロー)毎の平均輝度を求め、該平均輝度の差を算出することによって求められ、前記2つの画像データの差がなくなるように前記印刷ジョブデータが補正され」るものであるから、前記「調べた実際の色値と所与の設定色値との比較」「修正値」は実質的に備わっているといえる。
よって、引用発明1には、相違点に係る本願発明の「前記被印刷物上の印刷結果が設定色値と比較され、そこから修正値が導き出される方法において、前記プリプレスの前記印刷データ(13,33)が前記修正値により修正され」ること、及び「前記修正値が、調べた実際の色値と所与の設定色値との比較に基づいて得られること」は、実質的に備わっているから、本願発明は当業者が容易に想到しえるといえる。

4.そして、本願発明の発明特定事項の全体によって奏される効果も、引用発明に基づいて、当業者が予測し得る範囲内のものである。

第6.むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
 
審理終結日 2017-01-30 
結審通知日 2017-02-06 
審決日 2017-03-16 
出願番号 特願2012-538222(P2012-538222)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (B41J)
P 1 8・ 121- WZ (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 下村 輝秋  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 畑井 順一
吉村 尚
発明の名称 印刷プロセスの調整方法  
代理人 実広 信哉  
代理人 村山 靖彦  

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