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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01C
管理番号 1330952
審判番号 不服2015-20036  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-11-06 
確定日 2017-08-01 
事件の表示 特願2012-526643「モバイル機器及びモバイル機器と情報を送受信するサーバ」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月 3日国際公開、WO2011/025236、平成25年 1月24日国内公表、特表2013-502593〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、2010年8月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年8月24日、大韓民国、2009年10月30日、大韓民国)を国際出願日とする出願であって、平成24年2月13日に国内書面が提出され、平成24年2月27日に手続補正書が提出され、平成26年8月28日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成27年1月5日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年6月23日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成27年11月6日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、その後、当審において、平成28年10月19日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、これに対して平成29年1月24日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本件出願の請求項1ないし12に係る発明は、平成24年2月13日に提出された国内書面における明細書及び図面並びに平成29年1月24日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものであるところ、本件出願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次の事項により特定されるとおりのものであると認める。

「【請求項1】
モバイル機器において、
前記モバイル機器の位置情報を獲得する位置情報獲得部と、
前記モバイル機器の位置をより詳細に特定するための詳細位置情報である付加情報として、オーディオ又はテキストが入力される付加情報獲得部と、
映像内の少なくとも1つのオブジェクトの境界を認識し、前記認識された境界の形態を把握して前記少なくとも1つのオブジェクトを識別し、前記識別された少なくとも1つのオブジェクトに関する、前記位置情報と前記付加情報とに基づいて抽出された関連情報が、前記少なくとも1つのオブジェクトに対応付けて前記映像上に重畳させてディスプレイされるように制御する制御部と、
ユーザが設定した複数の関心カテゴリのうち、少なくとも1つの関心カテゴリを選択可能とするメニューを表示する表示部と
を含み、
前記制御部は、前記少なくとも1つのオブジェクトに対応付けてディスプレイされる関連情報のうち、選択された少なくとも1つの関心カテゴリに関する関連情報を、他の関連情報と区別してディスプレイするように制御することを特徴とするモバイル機器。」

第3 引用刊行物
1 刊行物1
(1)刊行物1の記載事項
当審拒絶理由に引用された刊行物であって、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特開2002-108873号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空間情報利用システム等にかかり、特に、取得された画像情報とその画像情報が得られた位置情報等に基づいて所定の付加情報等を提供する空間情報利用システム等に関する。
【0002】
【従来の技術】GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)は、地球の周回軌道を回る24個の衛星(米国国防総省が運営)から発信される情報を利用して、受信者と各衛星との位置関係を測定し、現在地の緯度・経度を計算するシステムである。このGPSの民生用の利用としては、カーナビゲーションが代表的なものであるが、近年、このGPSを利用した新しい発想の機器が存在している。
【0003】その代表的なものとして、GPSを搭載したカメラ(GPSカメラ)がある。このGPSカメラでは、例えば、GPS受信機,方向角センサを内蔵し、撮影時の位置(緯度・経度)、方向角(どの方向を撮影したか)などを記録することで、映像情報と共に、撮影した被写体の場所、部位を具体的な形で表示することが可能である。この用途としては、学術研究,環境保護調査,施設・現場の記録写真等があり、例えば、特開平8-88825号公報では、GPSカメラを用いて工事の進捗状態を示す工事影像の編集方法について示されている。また、近年、超小型GPSと携帯電話を連結させ、携帯電話や電子メール、FAXなど多彩なメディアを利用して、移動者や第三者に位置情報サービスを提供する技術についても提案がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、例えば従来のGPSカメラを用いれば、所定の影像記録を残して資産として有効利用することができ、また、位置情報や日時、撮影部位、撮影角度などの付加情報を用いて格納すれば、映像記録に対するアクセスも容易になる。しかしながら、これらのGPSカメラによる技術だけでは、撮影した対象物に関する他の情報を引き出すきっかけを提供することができない。
【0005】一方で、前述のGPSを搭載した携帯電話のように、対象物を正確に特定し、インターネット等に無線アクセスすることで、歩行者や車等の利用者は、自分がいる周囲の情報を限られた範囲(建物、店の名前、内容)で知ることができ、所定の情報検索を実行することも可能である。しかしながら、従来の技術では、利用者に要求される選択や判断のための作業が多く、対象物の特定の際に利用者の介入の度合いが高い。また、リアルタイム性も悪く、使い易さの点で実用性に欠ける。
・・・略・・・
【0007】本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、屋外を移動中の利用者が情報を得たいと欲する対象物に対して、リアルタイムにその対象物に関する情報を得ることを可能とすることにある。また他の目的は、屋外を移動中の利用者によって撮影されたイメージ情報に対して、利用者による独自の注釈情報(付加情報)を付加し、遠隔地にあるサーバに対して格納可能とすることにある。」(段落【0001】ないし【0007】)

イ 「【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的のもと、本発明は、移動体に携帯されるクライアント装置とこのクライアント装置に対して所定の情報を提供するセンターシステムとを含む空間情報利用システムであって、このクライアント装置は、イメージ情報を取得するための撮影機器とこのクライアント装置の位置情報を取得するための位置情報取得機器とを備え、取得されたイメージ情報および位置情報をセンターシステムに対して送信し、センターシステムは、受信したイメージ情報および位置情報に基づいて、このイメージ情報に含まれる対象物に関する付加情報を抽出し、クライアント装置に対して送信することを特徴としている。
【0009】ここで、このセンターシステムは、受信された位置情報に基づいて、蓄積されている蓄積イメージ情報の中から受信されたイメージ情報とベストマッチングした蓄積イメージ情報を抽出し、抽出された蓄積イメージ情報に対してリンクされた属性情報に基づいて付加情報を検出することを特徴とすることができる。ベストマッチングとは、所定のパターンマッチング手法を用いてほぼ一致した蓄積イメージ情報を抽出するものであり、必ずしも完全に一致している必要はない。また、このセンターシステムは、ネットワークに接続されたウェブサーバから付加情報や後述する詳細情報を検出することを特徴とすることができる。
【0010】更に、クライアント装置は、送信された付加情報の中から特定の付加情報を選択し、選択された旨をセンターシステムに送信し、センターシステムは、選択された付加情報に対する詳細情報をクライアント装置に対して送信することを特徴とすれば、クライアント装置を利用するユーザが、更に詳細な内容を入手することができる点で好ましい。
【0011】他の観点から把えると、本発明は、移動体に携帯されるクライアント装置とこのクライアント装置によって形成された所定の情報を処理するセンターシステムとを含む空間情報利用システムであって、このクライアント装置は、イメージ情報を取得するためのカメラ等のイメージ情報取得手段と、このクライアント装置の位置情報を取得するためのGPS受信機等の位置情報取得手段と、このイメージ情報に対するメモしたい情報等である付加情報を生成する付加情報生成手段と、取得されたイメージ情報と位置情報取得手段により取得された位置情報と生成された付加情報とをセンターシステムに対して送信する送信手段とを備え、センターシステムは、送信されるイメージ情報、位置情報、および付加情報を受信する受信手段と、受信されたイメージ情報、位置情報、および付加情報を蓄積する蓄積手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】ここで、このクライアント装置における付加情報生成手段は、音声情報および/またはテキスト情報を付加情報として生成し、センターシステムにおける蓄積手段は、イメージ情報に対応付けて、付加情報生成手段により生成された音声情報および/またはテキスト情報を蓄積することを特徴とすることができる。より具体的には、イメージ情報をイメージIDで特定し、そのイメージ情報の中に存在する対象物である各オブジェクトをオブジェクトIDで特定し、そのオブジェクトID毎に、テキスト、音声、イメージ、ウェブサイトへのリンク等のオブジェクトインフォメーションとして蓄積することが可能である。
【0013】一方、本発明をクライアント装置側から把えると、本発明は、風景を撮影してイメージ情報を得るイメージ情報撮影手段と、このイメージ情報撮影手段により撮影がなされたときにおける自己の位置を把握する位置情報把握手段と、得られたイメージ情報と把握された位置に関する情報とをサーバに対して送信する送信手段と、イメージ情報撮影手段により得られた風景に存在する所定の対象に関する付加情報をサーバから受信する受信手段と、受信された付加情報を出力する出力手段とを備えたことを特徴としている。「撮影がなされたとき」とは、完全に時間が一致している必要はない。
【0014】ここで、このイメージ情報撮影手段により撮影がなされたときにおけるイメージ情報撮影手段が向いている方位および/または角度を検出する方位センサや角度センサ等からなる検出手段とを更に備え、送信手段は、検出された方位および/または角度に関する情報を送信することを特徴とすれば、パターンマッチングする際に蓄積イメージ情報を特定するのが容易となる点で好ましい。
・・・略・・・
【0016】更に、受信手段により受信された所定のイメージ情報と付加情報とを表示する表示手段と、表示される付加情報の中から特定の付加情報を選択する選択手段とを更に備え、送信手段は、選択された特定の付加情報に関する情報をサーバに対して送信し、受信手段は、特定の付加情報に関する詳細情報をサーバから受信することを特徴とすることができる。
【0017】また、本発明が適用される情報取得装置は、風景を撮影して風景情報を得る撮影機器と、GPS衛星から得られる信号によって自己の位置を把握するGPS受信機と、得られた風景情報と把握された自己の位置に関する情報とを送信するコミュニケーションデバイスとを備え、このコミュニケーションデバイスは、送信された風景情報にある対象物に関する付加情報を受信することを特徴とすることができる。
【0018】ここで、風景情報に基づくイメージ情報を表示すると共に、コミュニケーションデバイスにより受信された付加情報を表示するディスプレイデバイスと、このディスプレイデバイスにより表示された付加情報の中から特定の付加情報を選択するポインティングデバイスとを更に備え、コミュニケーションデバイスは、このポインティングデバイスにより選択された特定の付加情報に関する情報を送信し、送信した情報に関する詳細情報を受信することを特徴とすることができる。これらの機能を有する情報取得装置は、例えば、移動体である人に対して装着されるものである他、移動体である車に対して装着される態様が考えられる。
【0019】他の観点から把えると、本発明が適用される情報取得装置は、風景を撮影して風景情報を得る撮影手段と、得られた風景情報を表示する表示手段と、表示された風景情報に存在する特定部位を指定する指定手段と、指定された特定部位に対して、例えば自己がメモ情報等として保存したいと欲する所定の付加情報を入力する付加情報入力手段と、撮影された風景情報と入力された付加情報とをサーバに対して送信する送信手段と、を備えたことを特徴としている。
【0020】ここで、この送信手段は、ユーザ自身の情報として、独自情報の格納要求であることを明かにして風景情報および付加情報をサーバに対して送信することを特徴とすれば、蓄積する際に、独自情報を区別して蓄積することが可能になると共に、必要に応じて蓄積した情報を迅速に引き出すことが可能となる。
【0021】一方、本発明をサーバシステム(センターシステム)側から把握すると、本発明が適用されるサーバシステムは、クライアント装置によって得られた風景情報をクライアント装置から受信する受信手段と、複数のイメージ情報が予め格納されたイメージ蓄積手段と、このイメージ蓄積手段に格納されている複数のイメージ情報の各々を構成するオブジェクトに対する付加情報であるオブジェクトインフォメーションを予め格納するオブジェクトインフォメーション格納手段と、蓄積されている複数のイメージ情報の中から受信された風景情報に近似する近似イメージ情報を選定する近似イメージ情報選定手段と、選定された近似イメージ情報に対応するオブジェクトインフォメーションをオブジェクトインフォメーション格納手段から読み出し、読み出されたオブジェクトインフォメーションをクライアント装置に送信する送信手段とを備えたことを特徴としている。
【0022】ここで、この受信手段は、クライアント装置が風景情報を得たときのクライアント装置における位置情報を受信し、イメージ蓄積手段は、所定の位置情報によって識別された状態にて複数のイメージ情報が予め格納されており、近似イメージ情報選定手段は、受信された位置情報に基づいて、近似イメージ情報を選定することを特徴とすれば、例えば、パターンマッチングによる近似イメージの選定をより迅速に実行できる点で優れている。
【0023】また、この送信手段は、近似イメージ情報選定手段により選定された近似イメージ情報に対し、読み出されたオブジェクトインフォメーションを付加してクライアント装置に送信することを特徴とすることができる。更に、この送信手段は、近似イメージ情報を構成するオブジェクトの位置に対し、読み出されたオブジェクトインフォメーションを位置に対応させた状態にてクライアント装置に送信することを特徴とすることができる。例えば、オブジェクトの上にテキスト情報を貼り付けることや、オブジェクトの上や近傍に対して所定の記号を設けることで、所定の機能を伝達する等である。
【0024】また更に、この受信手段は、送信されたオブジェクトインフォメーションに対するクライアント装置からの指定を受信し、送信手段は、受信手段により指定を受けたオブジェクトインフォメーションに対する詳細情報をクライアント装置に対して送信することを特徴とすることができる。また、近似イメージ情報を構成するオブジェクトに対応する付加情報または詳細情報をネットワークを介してウェブサーバから受信するウェブサーバアクセス手段とを備えたことを特徴とすることができる。これによれば、サーバシステム自身で全てのオブジェクトインフォメーションを格納する必要がなくなり、更に、膨大かつ最新な情報を得ることが可能となる点で好ましい。
【0025】一方、本発明が適用されるサーバシステムは、クライアント装置によって得られた風景情報と、風景情報を構成する部位に対する付加情報とをクライアント装置から受信する受信手段と、受信された風景情報を格納するイメージ蓄積手段と、格納される風景情報との対応関係を、例えば、イメージID、オブジェクトID等によって保持した状態にて受信した付加情報を格納するオブジェクトインフォメーション格納手段とを備えたことを特徴としている。更には、この受信手段は、風景情報に関する位置情報を受信し、このイメージ蓄積手段は、受信手段により受信された位置情報と共に風景情報を格納することを特徴とすることができる。」(段落【0008】ないし【0025】)

ウ 「【0026】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。図1は、本実施の形態における空間情報利用システムの概要を示した説明図である。図1に示すように、このシステムでは、移動体である人や車に携帯される情報取得装置としてのクライアント装置10、このクライアント装置10における現在地の緯度・経度を計算するための信号を出すGPS衛星9、クライアント装置10から送られた映像情報(イメージ情報)を格納すると共に、クライアント装置10に対して所定の付加情報や詳細情報を提供する、サーバシステムとしてのセンターシステム30、インターネットに接続されて対象物(オブジェクト)の各種情報(付加情報、詳細情報等)を提供するウェブサーバ40とを備えている。
【0027】人に搭載されるクライアント装置10は、後述するようにGPS受信機やカメラ等を備え、人に対して、例えば眼鏡のようにして装着されるヘッドセットとして構成される。また、車に搭載されるクライアント装置10では、GPS受信機や地図表示のためのカーナビゲーションシステムにカメラを搭載した形で構成される。また、クライアント装置10では、後述するように通信手段を備え、カメラによって取得された空間イメージの情報と、GPS受信機により取得された位置情報とをセンターシステム30のサーバに対して送出する。センターシステム30では、パターンマッチングの手法を用いて、蓄積された映像情報(蓄積イメージ情報)の中から、クライアント装置10から送られてきた風景情報(イメージ情報)にベストマッチングした映像情報を抽出して、風景情報の中の対象物(オブジェクト)を特定する。センターシステム30は、この対象物(オブジェクト)に関する情報を、例えばインターネットを介してウェブサーバ40から入手し、風景情報を送出したクライアント装置10に対して送信している。
【0028】図2は、クライアント装置10の構成を説明するためのブロック図である。本実施の形態におけるクライアント装置10は、処理部11、映像を撮るためのデジタルカメラ等の撮影機器であるカメラ12、映像を表示するためのディスプレイデバイス13、マイクやスピーカ、ヘッドフォン等からなる音声入出力装置14、対象物を指定するため等に用いる、特定の部位等を選択する選択手段としてのポインティングデバイス15、名称の指定等、テキスト入力を行うためのテキスト入力デバイス16を備えている。
【0029】処理部11は、クライアント装置10の全体制御を実行するマイクロプロセッサ21、位置情報取得機器としてのGPS受信機22、方位センサ23、角度センサ24、カメラ12により得られた映像情報や各種センサによる計測情報等を格納するメモリ25、センターシステム30との無線による情報の送受信を行うコミュニケーションデバイス26とを備えている。カメラ12は、撮影した光学像をディジタル画像からなる映像に変換する電子スチールカメラであり、得られる映像が静止画か動画かを問わない。ディスプレイデバイス13は、人に装着される態様では、例えば、小型の液晶パネル(LCD)の映像を光学的に拡大するように構成されたものを採用し、眼鏡と同様に用いた場合であっても大型スクリーンと同等の大画面を形成できるようにされている。また、車に搭載される場合には、カーナビゲーションシステムに用いられているLCDを用いることができる。音声入出力装置14は、例えば、ヘッドフォンやスピーカによって音声出力し、マイクロフォンによる音声入力が可能である。ポインティングデバイス15は、リモコンによる手からのクリック操作の他、例えば、目の動き(黒目の動き)をセンサ(アイトラッキングセンサ:eye tracking sensor、等)により捉え、ポインティングしたいところに目を合わせて“まばたき”をすることで特定の表示エリアの所定箇所を選択できるものを採用することができる。テキスト入力デバイス16は、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)や携帯電話等のモバイル機器に用いられているキーと同等のキーを採用することが可能である。
【0030】処理部11にて用いられるGPS受信機22は、図示しないアンテナ部や信号処理部等を備え、例えば4つのGPS衛星9から捕捉されたGPS衛星9の位置(軌道)情報と、GPS衛星9からGPS受信機22までの信号の伝播距離とに基づいて、クライアント装置10の緯度・経度を算出している。但し、このGPSによる測位だけでは、そこから得られる位置情報に数10?数100メートルの誤差が生じてしまう。走行中の車での使用であればその程度の誤差は瞬時に移動してしまうため問題にはならないが、人の歩行時における使用では、その誤差を完全に無視することができない。そのために、本実施の形態におけるクライアント装置10では、例えば、ディファレンシャルGPSにより誤差を補正している。このディファレンシャルGPSは、全国に設置されたGPS基地局からの信号によってその誤差を補正するシステムであり、このディファレンシャル機能により、誤差約2?5mを実現している。
【0031】方位センサ23は、例えば、磁気センサによって構成することができる。この磁気センサを用いた方位センサ23では、例えば、センサ内部に直交して巻かれた2組のコイルとその中心部に配置されたMR素子(磁気抵抗素子)とで地磁気(地球を南北に走る磁力線)を感知し、方位を計測して出力することができる。また、角度センサ24は、例えば、マイクロマシニング技術を用いて物体の傾きを検出する傾斜角センサ等を用いることができる。このマイクロマシニング技術は、半導体の製造工程を使ってシリコンウエハ上にミクロンオーダーの小さな機構部を形成する技術であり、0.1°程度のわずかな傾きも検出可能である。
【0032】マイクロプロセッサ21は、メモリ25を用いて、カメラ12により得られた映像の表示や、ポインティングデバイス15、テキスト入力デバイス16等の入出力手段に対する処理、GPS受信機22、方位センサ23、角度センサ24から得られた位置や方位、角度等の情報を受けて、本システムにて必要な一連の処理を実行している。メモリ25は、マイクロプロセッサ21の処理に必要な情報を格納すると共に、カメラ12から得られた映像情報や、各種インフォメーション情報等を格納している。コミュニケーションデバイス26は、マイクロプロセッサ21の制御に基づいて、センターシステム30に対して映像データや各種センサ等によって取得された情報等の送信を制御する他、センターシステム30から送信されるインフォメーションデータ等を受信するための処理を実行している。」(段落【0026】ないし【0032】)

エ 「【0033】図3は、人に装着されるクライアント装置10の一例を示した図である。図3に示す例では、眼鏡のフレームと同様な本体フレーム17に、図2のブロック図に示した機能を達成するユニットが配置されている。また、クライアント装置10を動かすためのバッテリ18も設けられている。例えば、コミュニケーションデバイス26は、無線用のアンテナ19を備えて本体フレーム17の側部に設けられている。また、このアンテナ19によってまたは他のアンテナによって、GPS衛星9からの信号を捉え、GPS受信機22に供給している。カメラ12は、人(ユーザ)における目の位置の近傍に配置されて、人が実際に見ている方向と撮られる映像とがほぼ一致できるように構成されている。このカメラ12の近傍には、方位センサ23や角度センサ24が設けられ、カメラ12の方位や角度を正確に把握することで、映像された対象をより正確に特定できるように配慮されている。更には、人(ユーザ)の目の位置にディスプレイデバイス13が設けられると共に、前述したアイトラックセンサが設けられ、ポインティングデバイス15として機能している。
【0034】次に、センターシステム30について説明する。図4は、センターシステム30の概略構成を示したブロック図である。本実施の形態におけるセンターシステム30は、クライアント装置10からイメージ情報等を受信するコミュニケーションデバイス31と、ファイルの保管や入出力、アクセスなどの管理サービスや、本実施の形態における空間情報処理システムに要求される業務処理を実行し、処理結果をクライアント装置10に対して通知するためのサーバ32を備えている。また、データベースとして、一般用のイメージ情報を格納するイメージDB(一般用)33、クライアント装置10に提供すべきオブジェクト毎(部位毎)に対応したインフォメーション情報を格納するオブジェクトインフォメーションDB(一般用)34がある。また、クライアント装置10を有する利用者の個人用のデータベースとして、イメージDB(個人用)35、オブジェクトインフォメーションDB(個人用)36を備えている。この個人用のデータベースを備えることで、利用者が興味のある対象物に対し、メモ等を施したい独自情報をイメージと関連させて蓄積することが可能となる。更に、センターシステム30には、外部のネットワーク(インターネット等)にアクセスするために用いられるゲートウェイ37を備えており、図1に示したウェブサーバ40に対してアクセスすることが可能である。
【0035】次に、本実施の形態にて用いられるデータ構造について説明する。図5(a)?(d)は、クライアント装置10からセンターシステム30に対して送出されるデータ構造を示した図であり、例えば、パケット形式によってデータが送出される場合には、その1つ1つのフレームの構造を説明するものである。図5(a)は、オブジェクトインフォメーションリクエストのデータ構造を示しており、カメラ12によって取得された実空間イメージ情報と共に、GPS受信機22によって得られた位置情報、方位センサ23および角度センサ24によって把握された方位や位置に対する情報が示されている。データが送出される際に、まず、一般のインフォメーションリクエストなのか、一般および独自のインフォメーションリクエストなのかを示すデータタイプ101の情報が必要である。また、測定された位置102、方位103、角度104の各情報の他、事象が生じた時刻を示すタイムスタンプ105、ユーザを識別するためのユーザID106、例えば、MPEG2やJPEG等、圧縮方式などの情報を格納したイメージフォーマット107の情報が送出される。これらの管理情報に加えて、実際のイメージ108の情報が送出される。
【0036】図5(b)は、詳細オブジェクトインフォメーションリクエストのデータ構造を示している。このリクエストは、図5(a)によってクライアント装置10からセンターシステム30に対してアクセスし、センターシステム30から特定の情報を得た後に、クライアント装置10から送出されるデータ構造を示している。データタイプ101、ユーザID106が図5(a)と同様に送出されるが、ここでは、詳細な情報を送る対象となるイメージを指定するためのイメージID109、例えば、ポインティングデバイス15によって指示された、イメージの中におけるカーソルの位置110の情報が示されている。これらの情報を受けることによって、センターシステム30のサーバ32は、送出すべき対象を特定して、詳細なインフォメーション情報(詳細情報)を提供することが可能となる。
【0037】図5(c)は、独自情報格納要求のデータ構造を示している。このデータ構造は、図5(a)に示したデータ構造と同様であるが、データタイプ101に格納される情報は、独自インフォメーションリクエストを示すものとなる。図5(d)は、独自情報付加要求のデータ構造を示している。図5(c)に示す情報に加えて、イメージを特定するためのイメージID109と、イメージの中におけるカーソルの位置111の情報が含まれる。また、このカーソルの位置111には、テキスト情報や音声情報、イメージ情報等からなる格納情報が含まれている。このような情報によって、センターシステム30のイメージDB35およびオブジェクトインフォメーションDB36に対して、利用者(ユーザ)が興味のある対象物に、利用者がメモしたい独自情報をイメージ情報と関連させて、音声、テキスト、画像を含めた個人情報として蓄積することが可能となる。
【0038】図5(a)、図5(c)のデータ構造によって情報を得たセンターシステム30では、所定のパターンマッチング手法を用いて、蓄積された映像情報の中から、送られてきたイメージとの比較が行われる。このパターンマッチング手法については、いくつかの手法があるが、例えば、統計的識別法や構造識別法によってパターンマッチングを行うことができる。また、あらかじめ用意した標準パターンであるテンプレートに対して、入力画像にテンプレートを重ねながら移動し、2つの画像が画素データレベル対応の相関を調べる、所謂テンプレートマッチングによることもできる。送られてくるイメージ情報である入力画像については、そのイメージ情報と共に、GPS受信機22によって得られた位置情報、方位センサ23および角度センサ24によって把握された方位や位置に対する情報が存在する。このような情報に基づいてイメージDB(一般用)33やイメージDB(個人用)35から比較の対象となるテンプレート(映像情報)を選定した後にパターンマッチングを実行することで、パターンマッチングに要する処理を大幅に削減することができる。また、これらのパターンマッチングには、二値化した白黒画像を対象として外形を抽出する場合の他、色情報を有効に活用すれば、より迅速かつ正確な映像情報の抽出が可能となる。例えば、「黄色」の建物の特徴をもとに、送られてきたイメージ情報と蓄積された映像情報との一致を判断する等である。
【0039】図6(a)?(c)は、センターシステム30からクライアント装置10に対して送出されるデータ構造を示した図であり、図5にて説明したものと同様に、例えば、パケット形式によってデータが送出される場合には、その1つ1つのフレームの構造を説明するものである。図6(a)は、マッチングイメージとオブジェクトインフォメーションを合成した構造を示している。ここでは、データタイプ121の情報の他、クライアント装置10から送られた情報をもとに、位置122、方位123、角度124、タイムスタンプ125、ユーザID126の各情報が送られる。また、イメージID127、圧縮形式等が示されるイメージフォーマット128の情報と共に、イメージ情報とオブジェクトインフォメーションとが合成された合成画像129がクライアント装置10に対して送出される。
【0040】図6(b)は、詳細オブジェクトインフォメーション応答であり、図5(b)に示した、クライアント装置10から送出される詳細オブジェクトインフォメーションリクエストに対する応答である。ここでは、データタイプ121、ユーザID126、イメージID127と共に、ユーザがポインティングデバイス15によって指定した対象に対する詳細情報(テキスト、音声、ウェブインフォメーション)が送出される。このウェブインフォメーションは、センターシステム30がウェブサーバ40にアクセスして得られた情報であり、かかるウェブインフォメーションが得られることで、膨大な量の、かつ最新な情報を確保することが可能となる。
【0041】図6(c)は、独自情報格納要求受理を示したデータ構造であり、図5(c)に示した、クライアント装置10から送出される独自情報格納要求に対する応答である。ここでは、図6(a)に示した合成画像129に変えて、格納されたイメージ131の情報が送出される。これによって、クライアント装置10を操作する利用者は、格納されたイメージ情報を確認することができると共に、更なる詳細情報を欲する際に特定の対象を指定することが可能となる。
【0042】図7(a),(b)は、イメージDB33,35、オブジェクトインフォメーションDB34,36に格納されるデータベース構造を示した図である。図7(a)に示すように、イメージDB33,35には、イメージに対する位置141、方位142、角度143、タイムスタンプ144、イメージID145の情報が格納される。また、フォーマットやサイズ、一般/個人、等のイメージ属性情報146と共に、イメージ147が格納されている。このようなデータ構造にて、イメージDB(一般用)33に格納される場合には、複数のクライアント装置10から得られたイメージ情報を格納することができ、例えば、位置141の情報を元にして層別がなされて格納される。また、クライアント装置10からの情報以外に、例えば、所定の業者によって作成されたイメージ情報を格納することも可能である。イメージDB(個人用)35に格納される場合には、ユーザにより撮影された独自なイメージ情報が中心となる。
【0043】図7(b)は、オブジェクトインフォメーションDB34,36に格納されるデータベース構造を示した図である。ここでは、イメージID151の情報の他、オブジェクト位置(1)152、オブジェクトID(1)153、オブジェクト位置(2)154、オブジェクトID(2)155、…オブジェクト位置(n)156、オブジェクトID(n)157の1?n個のオブジェクト情報が格納されている。更に、これらのオブジェクトID158と共に、テキスト、音声、イメージ、ウェブサイトへのリンク等の情報からなるオブジェクトインフォメーション159が格納されている。このようにして、イメージDB33,35に対応して、格納されたイメージ情報を構成するオブジェクトを識別可能とし、識別されたオブジェクト毎にオブジェクトインフォメーション159を格納することが可能である。
【0044】図8は、クライアント装置10のディスプレイデバイス13に実際に表示される合成画像の例を示している。この例で示される合成画像は、前述のように、クライアント装置10にて撮影されて送出されたイメージ情報を元に、センターシステム30のサーバ32にてパターンマッチングがなされ、関連するインフォメーションが抽出されてクライアント装置10に戻されたものである。この例では、イメージ情報の上に、4種類のオブジェクトインフォメーションが重ね合わされている。ここでは、4種類の記号によって、「この情報だけ」、「クリックによりテキスト情報を得る」、「クリックにより音声情報を得る」、「クリックによりウェブ情報を得る」を識別している。
【0045】例えばユーザが、イメージ情報の各オブジェクトの中からB会社(B Ltd.)の記号位置に、ポインティングデバイス15を用いてカーソルを移動し、クリックをしたものとする。マイクロプロセッサ21は、B会社(B Ltd.)が選択されたことを認識し、コミュニケーションデバイス26を介して、図5(b)に示すような詳細オブジェクトインフォメーションリクエストのデータ構造によって、認識された内容を含むパケットをセンターシステム30に送出する。センターシステム30は、このパケットに基づいて、図6(b)に示すような詳細オブジェクトインフォメーション応答の詳細情報130にB会社(B Ltd.)のウェブ情報(ウェブインフォメーション)を格納し、例えば、パケットによってクライアント装置10に返信する。このパケットを受信したユーザは、B会社(B Ltd.)のウェブ情報を例えばディスプレイデバイス13によって閲覧することができる。同様に、Xデパート(X Department)やY商店(Y Store)のテキスト情報、7階にあるE商店(7F E store)の音声情報を得ることが可能である。尚、Aビルディング(A bld)、3階にあるZ商店(3F Z store)、S通り(S street)、N通り(N street)には、付加情報が存在していない。
【0046】また、図8に示すような合成情報を取得したユーザは、音声入出力装置14、ポインティングデバイス15、テキスト入力デバイス16を用いて、特定の部位に対して音声、映像、テキスト入力を実施し、個人情報であることを示した状態にてその情報をセンターシステム30に送信することで、自分自身、即ち、移動体(人)独自の風景情報をセンターシステム30のイメージDB(個人用)35およびオブジェクトインフォメーションDB(個人用)36に格納することができる。ここでは、例えば、営業者が、自分の訪問先や得意先の情報をイメージと共にセンターシステム30に格納し、必要に応じてセンターシステム30にアクセスすることで情報を得るような利用形態が考えられる。」(段落【0033】ないし【0046】)

オ 「【0049】このように、本実施の形態では、小型の撮影機器であるカメラ12、小型の映像装置(モニタ)であるディスプレイデバイス13、およびGPS受信機22等を有するクライアント装置10を携帯した移動体(人や車)が、まず、カメラ12に移る風景情報とGPS受信機22による位置情報、および各種センサによる状態情報を、移動体通信によってリアルタイムにセンターシステム30のサーバ32に送信する。受信したサーバ32は、所定のパターンマッチング手法を用いて、イメージDB33,35に蓄積された映像情報の中から、移動体から送られてきた風景情報にベストマッチングした映像情報を抽出する。そして、その映像情報に存在する対象物に対して、予めリンクされた属性情報(例えば、店の種類、宣伝等)をオブジェクトインフォメーションDB34,36から呼び出し、風景情報に合成して合成風景情報に変換する。センターシステム30は、その合成風景情報を発信元のクライアント装置10に送信する。クライアント装置10では、受信した合成風景情報をディスプレイデバイス13に表示する。これによって、ユーザは、ディスプレイデバイス13に表示された合成風景情報と実際の風景情報とを比較し、眼前にある対象物に対する付加情報を引き出すことが可能となる。
【0050】更に、ユーザは、ディスプレイデバイス13に表示されている合成風景情報の特定部位に対してポインティングデバイス15を用いて指定することで、指定された対象物に関する更に詳細な付加情報を得ることが可能である。また更に、頻繁に利用する空間情報に関しては、ローカルな記憶装置に保持し、そのローカルな記憶装置に対してイメージのパターンマッチングを行うように構成することも可能である。このように構成すれば、パターンマッチングの対象となる映像情報の数が限定され、より迅速な情報取得が可能となる。
【0051】また、風景情報の特定部位を指定し、音声、映像、テキスト入力等を行うことで、移動体(人)独自の合成風景情報をセンターシステム30側に格納することができる。これによって、個人が頻繁に利用する空間情報に関して、そのアクションが容易になると共に、趣味等への適用を含めたパーソナルな個人用データベースの構築が可能となる。尚、本実施の形態にて送受信される映像情報(イメージ情報)は、静止画に限定されず、動画であっても構わない。但し、動画の場合には、単に動画を垂れ流すのではなく、例えば、ある時間隔でサンプリングされた、静止画に位置情報を付加して送信する方法が好ましい。」(段落【0049】ないし【0051】)

(2)上記(1)及び図面の記載から分かること
ア 上記(1)アないしオ及び図1ないし8の記載によれば、刊行物1には、クライアント装置10が記載されていることが分かる。

イ 上記(1)ウないしオ及び図1ないし3の記載(特に、段落【0026】、【0027】、【0033】及び【0049】並びに図1ないし3の記載)によれば、クライアント装置10は、クライアント装置10の位置情報を取得するGPS受信機を備えることが分かる。

ウ 上記(1)ウないしオ並びに図2及び3の記載(特に、段落【0027】ないし【0029】、【0033】及び【0049】並びに図2及び3の記載)によれば、クライアント装置10は、クライアント装置10の位置に関するイメージ情報が入力されるカメラ12を備えることが分かる。

エ 上記(1)イないしオ及び図1ないし8の記載(特に、段落【0008】、【0009】、【0013】、【0021】ないし【0023】、【0027】、【0032】、【0035】、【0038】、【0039】、【0042】ないし【0044】及び【0049】並びに図1ないし8の記載)によれば、クライアント装置10は、イメージ情報内の少なくとも1つのオブジェクトを特定し、前記特定された少なくとも1つのオブジェクトに関する、前記位置情報と前記イメージ情報とに基づいて抽出されたオブジェクトインフォメーションが、前記少なくとも1つのオブジェクトに対応付けて前記イメージ情報上に重ね合わされて表示されるように処理するマイクロプロセッサ21を備えることが分かる。

オ 上記(1)イないしオ及び図2、3及び8の記載(特に、段落【0018】、【0028】、【0029】、【0033】、【0044】及び【0049】並びに図2、3及び8の記載)によれば、クライアント装置10は、イメージ情報と前記オブジェクトインフォメーションとを表示するディスプレイデバイス13を備えることが分かる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)を総合して、本願発明の表現に倣って整理すると、刊行物1には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「クライアント装置10において、
前記クライアント装置10の位置情報を取得するGPS受信機と、
前記クライアント装置10の位置に関するイメージ情報が入力されるカメラ12と、
イメージ情報内の少なくとも1つのオブジェクトを特定し、前記特定された少なくとも1つのオブジェクトに関する、前記位置情報と前記イメージ情報とに基づいて抽出されたオブジェクトインフォメーションが、前記少なくとも1つのオブジェクトに対応付けて前記イメージ情報上に重ね合わされて表示されるように処理するマイクロプロセッサ21と、
前記イメージ情報と前記オブジェクトインフォメーションとを表示するディスプレイデバイス13と
を含む、クライアント装置10。」

2 刊行物2
(1)刊行物2の記載事項
当審拒絶理由に引用された刊行物であって、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特開2005-77381号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0034】
(実施の形態3)
上記各実施の形態では、自機と各オブジェクトとの間の位置関係に基づいて各オブジェクトの表示形態を決定した。本実施の形態では、位置情報に加えて、ユーザの嗜好、要求その他の情報に基づいてオブジェクトの表示形態を決定する場合について説明する。このようにユーザの嗜好、要求に基づいてオブジェクトの表示形態を決定することにより、例えば単に距離的に近いだけでユーザの興味のないオブジェクトが大きく飛び出して表示される、といった不具合の発生を防止することができる。
【0035】
図8は、本実施の形態のコンテンツ表示装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示されるように、本実施の形態では、図1に示した内容に加えて、属性取得部106、要求取得部107を備えている。第1の実施の形態で説明した部分については、ここでの詳細な説明を省略する。属性取得部106は、各オブジェクトの属性に関する情報(属性情報)を取得する。取得された属性情報は、位置情報と同様に各オブジェクトに対応付けられて、メモリ1011に保持される。図9は、本実施の形態における各オブジェクトの位置情報及び属性情報の一例を示す図である。同図では属性の例として、オブジェクトの種別(属性1)、駐車場の有無、対応する駐車場のオブジェクト番号、あるいは駐車場の空き状態(属性2)が示されているが、属性、属性情報の内容がこれらに限定されないのは勿論である。また、属性情報の取得はユーザにより入力された情報を取得するようにしてもよいし、インターネット等のネットワークを介して外部から取得するようにしてもよい。要求取得部107はユーザからの要求に関する情報(以下、「要求情報」という。)を取得する。要求情報は例えばユーザの好み、嗜好に関する情報を含んでいる。要求取得部107は、ユーザにより明示的に入力される情報を取得してもよいし、これまでに訪れた場所、選択されたアイテムなどに関する情報から要求情報を取得するようにしてもよい。取得した要求情報はメモリ1011に格納される。
【0036】
図10は、本実施の形態のコンテンツ表示装置の処理内容を示すフローチャートである。以下、図11に示す各オブジェクトの表示例も参照しながら、本実施の形態の処理内容について説明する。
本実施の形態でも、まず、コンテンツ格納部102に格納されているコンテンツを取り出す(S201)。次に、メモリ1011に格納されている要求情報を取り出す(S202)。本実施の形態では、要求情報として「駐車場」が取得されているものとする。一方で位置情報取得部103が自機の位置情報を取得する(S203)。第1の実施の形態と同様に、取り出されたコンテンツに含まれるオブジェクトの数を表す変数Nに、コンテンツの中で表示対象となるオブジェクト数を設定し(S204)、処理の対象となるオブジェクトを表す変数iに初期値として1を設定する(S205)。
【0037】
制御部101は、N個のオブジェクトの中でi番目のオブジェクトを取り出し(S206)、取り出されたi番目のオブジェクトの位置情報及び属性情報を取得する(S207)。次に、取得された位置情報及び属性情報とオブジェクトとを対応付ける(S208)。対応付けられた位置情報は上記したようにテーブルに格納される(図9参照)。
表示形態決定部1013は、i番目のオブジェクトについての表示形態を決定する(S209)。ここで、図11を参照しながら、表示形態の決定について説明する。なお、本実施の形態では、表示形態としてオブジェクトを立体表示するに際しての飛び出し量を決定するものとして説明する。図11(a)は表示しようとしているコンテンツの一例を示す図であり、当該コンテンツは七つのオブジェクトから構成されている。即ち、ある交差点周辺の地図を表すコンテンツにおいて、オブジェクト1(OB1)が証券会社、オブジェクト2(OB2)がデパート、オブジェクト3(OB3)がレストラン(和食)、オブジェクト4(OB4)がレストラン(中華)、オブジェクト5(OB5)、オブジェクト6(OB6)、オブジェクト7(OB7)が駐車場であるとする。
【0038】
表示形態決定部1013は、自機からの距離が閾値以下であるオブジェクトの中から、要求情報と合致するオブジェクトであるオブジェクト5からオブジェクト7について立体表示形態を決定する。図11(b)の例では、自機の位置がP1である場合、画面に表示されているオブジェクトは、全て前記自機からの距離の閾値以内にあるものとすると、表示形態決定部1013は、属性1(種別)が「駐車場」であるオブジェクト5からオブジェクト7について属性2を参照する。本実施の形態では図9に示すように、属性1が「駐車場」以外のオブジェクトについては、属性2として駐車場の有無、駐車場が有る場合には当該駐車場のオブジェクト番号を保持し、属性1が「駐車場」であるオブジェクトについては、当該駐車場の空き状態を保持している。
【0039】
表示形態決定部1013は、オブジェクト5からオブジェクト7までの状態(属性2)を参照し、状態が「満車」であるオブジェクト5については表示形態を変更せず(立体表示とせず)、「空き有り」であるオブジェクト7の飛び出し量を大きく、「ほぼ満車」であるオブジェクト6の飛び出し量を小さくするように表示形態を決定する(図11(b)参照)。このようにユーザの要求やオブジェクトの属性に基づいて表示形態を変更することにより、例えば単に近くにある、というだけでユーザが興味の無い「証券会社」などのオブジェクトが大きく飛び出して表示される、といった事態を防止できる。
【0040】
なお、上記のような例(駐車場の状態)では、オブジェクトの属性は時時刻刻変化するものである。従って、その変化に応じてオブジェクトの属性を変更することが好ましい。例えば、図9の属性情報を取得した後で、自機の位置等が同じで再度属性情報を取得すると図12のような内容に変更されたとすると、オブジェクト6の駐車場が「ほぼ満車」の状態から「空き有り」の状態となっているので、図13(a)に示すようにオブジェクト6の飛び出し量を大きくしている。図13(b)の例は、自機の位置から各オブジェクトの位置までの到達の容易性を示す評価値を算出して、到達の容易性がやや低いオブジェクト6の飛び出し量をやや減少させた例である。評価値としては、距離や所要時間を保持してもよいが、角を曲がる回数、曲がれる方向、また他の種類のコンテンツにおいては交通機関の種別、乗り換え回数など、種々の情報を考慮して算出することができる。なお、自機の位置と各オブジェクト間の距離を表す指数として、緯度、経度から求めた距離だけでなく、所要時間等を保持することもできる。属性情報の更新は、所定時間ごとに自動的に取得して行うこともできるし、ユーザの指示に従って行うようにしてもよい。
【0041】
図14は、要求情報として「レストラン」及び「中華」が取得されている場合の例である。同図の例では、属性1が「レストラン」を含むオブジェクトが立体表示されているが、オブジェクト4は、さらに「中華」にも該当することから、より飛び出し量を大きくして表示するようにしている。このように複数の要求に該当するオブジェクトを他のオブジェクトよりも強調表示する方法としては、飛び出し量を大きくする他に、大きさ、輝度、色合い、彩度、透明度、文字サイズ、フォント等を変えるようにしてもよい。
【0042】
(変形例)
以上、本発明をいくつかの実施の形態に基づいて説明したが、本発明の範囲が上記に説明した具体例に限定されないことは勿論であり、例えば以下のような変形例を考えることもできる。
(1)上記実施の形態では、位置情報、あるいは、属性情報、要求情報から表示形態を決定すべきとされた全オブジェクトの表示形態を決定(例えば飛び出し量の変更)したが、例えば「映画館」など、予め指定したオブジェクトのみ表示形態を決定するようにしてもよいし、「奈良県」などのカテゴリーを指定しておき、当該カテゴリーに該当するオブジェクトのみ表示形態を決定するようにしてもよい。また、同じ距離でも近づいている場合と遠ざかる場合とで立体表示される向き(例えば右方向に飛び出すか左方向に飛び出すか等)を変えるなど、立体感を変えていく方法を異ならせることもできる。
【0043】
(2)上記のようなコンテンツ表示装置は、液晶表示装置などの表示装置等を備えた汎用的情報処理装置において、オブジェクトの位置情報を取得する処理、自機の位置情報を取得する処理、オブジェクトの位置情報を参照し、自機の位置情報に基づいて、オブジェクトの表示形態を決定する処理、決定された表示形態に基づいてオブジェクトを表示させる処理などを含む処理をコンピュータに実行させるプログラムが、CPU等のプロセッサ上で動作することによっても実現され得る。そのような場合、コンテンツ表示装置には、例えば上記のようなプログラムを格納するプログラム格納部、当該プログラム格納部からプログラムを読み出して一時的に記憶するメモリ、及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサが設けられる。このようなプログラムを含むソフトウェアは、フレキシブルディスク、CD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で販売等されることもあるし、インターネット等のネットワークを含め、有線、無線の伝送媒体を介してユーザの保持するコンピュータに供給される場合もある。」(段落【0034】ないし【0043】)

(2)刊行物2記載の技術
上記(1)及び図8ないし14によれば、刊行物2には次の事項からなる技術(以下「刊行物2記載の技術」という。)が記載されていると認める。
「コンテンツ表示装置において、ユーザが入力した複数の属性情報のうち、少なくとも1つの属性情報を要求情報により選択可能とし、選択された少なくとも1つの属性情報に関するオブジェクトの表示情報を、他のオブジェクトの表示情報と異なる表示形態にして表示する技術。」

第4 対比
本願発明(以下、「前者」ともいう。)と引用発明(以下、「後者」ともいう。)とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・後者における「クライアント装置10」は、前者における「モバイル機器」に相当し、以下同様に、「位置情報」は「位置情報」に、「取得する」は「獲得する」に、「GPS受信機」は「位置情報獲得部」に、「イメージ情報」は「付加情報」又は「映像」に、「カメラ12」は「付加情報獲得部」に、「オブジェクト」は「オブジェクト」に、「特定」は「識別」に、「オブジェクトインフォメーション」は「関連情報」に、「重ね合わされて」は「重畳させて」に、「表示される」は「ディスプレイされる」に、「処理する」は「制御する」に、「マイクロプロセッサ21」は「制御部」に、「ディスプレイデバイス13」は「表示部」に、それぞれ相当する。

・後者における「前記クライアント装置10の位置に関するイメージ情報が入力されるカメラ12」は、前者における「前記モバイル機器の位置をより詳細に特定するための詳細位置情報である付加情報として、オーディオ又はテキストが入力される付加情報獲得部」に、「前記モバイル機器の位置に関する付加情報が入力される付加情報獲得部」という限りにおいて一致する。

・後者における「イメージ情報内の少なくとも1つのオブジェクトを特定し」は、前者における「映像内の少なくとも1つのオブジェクトの境界を認識し、前記認識された境界の形態を把握して前記少なくとも1つのオブジェクトを識別し」に、「映像内の少なくとも1つのオブジェクトを識別し」という限りにおいて一致する。

・後者における「前記イメージ情報と前記オブジェクトインフォメーションとを表示するディスプレイデバイス13」は、前者における「ユーザが設定した複数の関心カテゴリのうち、少なくとも1つの関心カテゴリを選択可能とするメニューを表示する表示部」に、「所定の情報を表示する表示部」という限りにおいて一致する。

したがって、両者は、
「モバイル機器において、
前記モバイル機器の位置情報を獲得する位置情報獲得部と、
前記モバイル機器の位置に関する付加情報が入力される付加情報獲得部と、
映像内の少なくとも1つのオブジェクトを識別し、前記識別された少なくとも1つのオブジェクトに関する、前記位置情報と前記付加情報とに基づいて抽出された関連情報が、前記少なくとも1つのオブジェクトに対応付けて前記映像上に重畳させてディスプレイされるように制御する制御部と、
所定の情報を表示する表示部と
を含む、
モバイル機器。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
「モバイル機器の位置に関する付加情報が入力される付加情報獲得部」に関し、本願発明においては、「モバイル機器の位置をより詳細に特定するための詳細位置情報である付加情報として、オーディオ又はテキストが入力される付加情報獲得部」であるのに対して、引用発明においては、「クライアント装置10の位置に関するイメージ情報が入力されるカメラ12」である点(以下、「相違点1」という。)。

[相違点2]
「制御部」が「映像内の少なくとも1つのオブジェクトを識別」することに関し、本願発明においては、「制御部」が「映像内の少なくとも1つのオブジェクトの境界を認識し、前記認識された境界の形態を把握して前記少なくとも1つのオブジェクトを識別」するのに対して、引用発明においては、「マイクロプロセッサ21」が「イメージ情報内の少なくとも1つのオブジェクトを特定」する点(以下、「相違点2」という。)。

[相違点3]
「所定の情報を表示する表示部」に関し、本願発明においては、「ユーザが設定した複数の関心カテゴリのうち、少なくとも1つの関心カテゴリを選択可能とするメニューを表示する表示部」であるのに対して、引用発明においては、「イメージ情報とオブジェクトインフォメーションとを表示するディスプレイデバイス13」である点(以下、「相違点3」という。)。

[相違点4]
本願発明においては、「制御部は、少なくとも1つのオブジェクトに対応付けてディスプレイされる関連情報のうち、選択された少なくとも1つの関心カテゴリに関する関連情報を、他の関連情報と区別してディスプレイするように制御する」のに対して、引用発明においては、「マイクロプロセッサ21」がそのような制御をするか否か不明である点(以下、「相違点4」という。)。

第5 判断
(1)上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明における「クライアント装置10の位置に関するイメージ情報」は、GPS受信機で取得したクライアント装置10の位置情報と共にセンターシステム30に送信され、オブジェクトインフォメーションを得るために利用されるものであるから、モバイル機器の位置をより詳細に特定するための詳細位置情報ということができる。
また、モバイル機器において、その位置をより詳細に特定するために、付加情報として、オーディオ又はテキストを入力することは、本件出願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術1」という。必要であれば、特開2004-54915号公報(特に、段落【0039】ないし【0056】及び【0061】ないし【0073】並びに図5ないし7)、特開2001-238177号公報(特に、段落【0113】)及び特開2009-134774号公報(2009年6月18日出願公開。特に、段落【0044】ないし【0059】及び【0064】ないし【0076】並びに図5ないし7)を参照。)である。
一方、引用発明のようなモバイル機器において、位置に応じた正確な情報をユーザに提供するために、正確な位置を特定する必要があることは、普遍的な課題である。
そうすると、引用発明において、周知技術1を適用することにより、位置をより詳細に特定するための詳細位置情報である付加情報として、イメージ情報に加えて、オーディオ又はテキストが入力されるようにし、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。

イ 相違点2について
情報処理装置において、制御部が、映像内の少なくとも1つのオブジェクトの境界を認識し、認識された境界の形態を把握して少なくとも1つのオブジェクトを識別することは、本件出願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術2」という。必要であれば、特開2007-323177号公報(特に、段落【0003】ないし【0005】)、特開2009-140402号公報(2009年6月25日出願公開。特に、段落【0024】ないし【0043】)及び特開2003-216977号公報(特に、段落【0048】ないし【0063】及び図1ないし8)を参照。)である。
そうすると、引用発明において、マイクロプロセッサ21(制御部)がイメージ情報(映像)内の少なくとも1つのオブジェクトを特定するところ、その具体的な手段として周知技術2を採用し、マイクロプロセッサ21(制御部)が、イメージ情報(映像)内の少なくとも1つのオブジェクトの境界を認識し、認識された境界の形態を把握して少なくとも1つのオブジェクトを特定(識別)するようにし、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。

ウ 相違点3及び4について
刊行物2記載の技術にみられるように、ユーザが設定した複数の関心カテゴリのうち、少なくとも1つの関心カテゴリを選択可能とし、選択された少なくとも1つの関心カテゴリに関する関連情報を、他の関連情報と区別してディスプレイすることは、本件出願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術3」という。)である。
ところで、周知技術3は、ユーザの要求に合致する情報を容易に識別可能に提供することができる(刊行物2の段落【0005】の記載を参照。)ところ、ユーザの要求に合致する情報を容易に識別可能に提供することは、モバイル機器に限らず、情報提供装置における普遍的な課題であり、引用発明においても内在する課題であるから、引用発明において、周知技術3を適用することは、当業者が容易に着想できたことである。
また、モバイル機器の表示部において、選択入力画面を表示することは、本件出願の優先日前にごく普通に行われていること(以下、「慣用技術」という。例えば、タッチパネル技術は、その例である。)である。
そうすると、引用発明において、周知技術3及び慣用技術を適用し、ディスプレイデバイス13(表示部)が、ユーザが設定した複数の関心カテゴリのうち、少なくとも1つの関心カテゴリを選択可能とするメニューを表示するようにするとともに、マイクロプロセッサ21(制御部)が、少なくとも1つのオブジェクト(オブジェクト)に対応付けて表示される(ディスプレイされる)オブジェクトインフォメーション(関連情報)のうち、選択された少なくとも1つの関心カテゴリに関するオブジェクトインフォメーションを、他のオブジェクトインフォメーションと区別して表示するように処理する(制御する)ようにし、上記相違点3及び4に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。

(2)そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明、周知技術1ないし3及び慣用技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

(3)したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1ないし3及び慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第6 むすび
上記第5のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件出願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-03-01 
結審通知日 2017-03-06 
審決日 2017-03-21 
出願番号 特願2012-526643(P2012-526643)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田口 傑小川 恭司  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 松下 聡
槙原 進
発明の名称 モバイル機器及びモバイル機器と情報を送受信するサーバ  
代理人 阿部 達彦  
代理人 実広 信哉  
代理人 木内 敬二  
代理人 崔 允辰  

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