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審決分類 審判 査定不服 原文新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G01C
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G01C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01C
管理番号 1331010
審判番号 不服2016-6430  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-28 
確定日 2017-08-09 
事件の表示 特願2011-259681「オーグメンテッドナビゲーションの方法およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 7月 5日出願公開、特開2012-127947〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成23年11月29日(パリ条約による優先権主張2010年12月15日 アメリカ合衆国)の出願であって、平成24年2月8日に特許法第36条の2第2項に規定する翻訳文が提出され、平成27年6月19日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成27年8月10日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年1月19日付けで拒絶査定がされ、平成28年4月28日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、さらに平成28年9月13日に上申書が提出されたものである。

第2 平成28年4月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」ともいう。)についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成28年4月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、本件補正により補正される前の(すなわち、平成27年8月10日に提出された手続補正書により補正された)下記(1)に示す請求項1ないし14の記載を、下記(2)に示す請求項1ないし14の記載へと補正するものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし14
「【請求項1】
ナビゲーションデバイスであって、
処理デバイスと、
前記処理デバイスに通信的に結合された、地図作成ナビゲーション地図データのデータベースを備えるメモリと、
前記処理デバイスに場所データを提供するように動作可能な第1センサと、
前記処理デバイスに動作可能に結合されたディスプレイと、
前記処理デバイスに動作可能に結合された少なくとも1つのイメージ獲得デバイスであって、前記処理デバイスは、第1動作モードである時に、前記地図作成ナビゲーション地図データの一部分を前記ディスプレイに表示させるようにプログラムされ、前記表示される一部分は、前記処理デバイスによって受け取られた前記場所データに基づいており、前記処理デバイスは、第2動作モードである時に、前記少なくとも1つのイメージ獲得デバイスによって獲得されたイメージを前記ディスプレイに表示させるように構成され、前記イメージは、地図作成ナビゲーション地図データの前記データベース内の1つまたは複数の関心を持たれている点を示す1つまたは複数のシンボルによってオーバーレイされ、前記1つまたは複数のシンボルは、前記処理デバイスによって受け取られた前記場所データに基づいて前記獲得されたイメージと相関させられる、少なくとも1つのイメージ獲得デバイスと、
第2センサと、
を備え、
前記第2センサによって感知される前記ナビゲーションデバイスの方位は、前記第1動作モードと前記第2動作モードとの間で前記ナビゲーションデバイスを切り替えるように動作可能であり、
前記ナビゲーションデバイスが水平位置であることを前記第2センサが感知することによって前記第1動作モードがイネーブルされ、前記ナビゲーションデバイスが垂直位置であることを前記第2センサが感知することによって前記第2動作モードがイネーブルされる、
ナビゲーションデバイス。
【請求項2】
前記ナビゲーションデバイスは、海洋又は空中ナビゲーションデバイスである、請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項3】
前記第2センサは、ジャイロスコープを備える、請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項4】
前記ディスプレイおよび前記少なくとも1つのイメージ獲得デバイスのうちの少なくとも1つは、前記ナビゲーションデバイスから遠隔に配置される、請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項5】
スイッチをさらに備え、前記スイッチは、前記処理デバイスを第1動作モードから第2動作モードに切り替えるように動作可能である、請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項6】
ユーザ入力インターフェースをさらに備え、前記インターフェースは、前記ディスプレイ上に表示されるオーバーレイされた関心を持たれている点を選択するように動作可能であり、前記処理デバイスは、前記ディスプレイ上の前記選択された関心を持たれている点に関係する追加データをオーバーレイするようにプログラムされる、請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのイメージ獲得デバイスは、ディジタルカメラ、ビデオカメラ、赤外線カメラ、低光量暗視カメラのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのイメージ獲得デバイスは、前記少なくとも1つのイメージ獲得デバイスに関連するレンズの視野角および焦点距離を前記処理デバイスに提供するように動作可能であり、
前記センサは、前記少なくとも1つのイメージ獲得デバイスの前記レンズが向けられている方向を判定し、方向情報を前記処理デバイスに提供するように動作可能であり、
前記処理デバイスは、前記獲得されたイメージの縁に対する前記ディスプレイ上の各シンボルの相対位置を計算することによって前記ディスプレイ上の前記シンボルに座標を割り当てるために、前記視野角、前記焦点距離、および前記方向情報を前記データベース内の前記地図データと相関させるようにプログラムされる
請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項9】
前記処理デバイスに通信的に結合された通信インターフェースをさらに備え、前記通信インターフェースは、前記ナビゲーションデバイスから遠隔に展開された別の前記ナビゲーションデバイスに関連するセンサ情報を受信するように動作可能である、請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項10】
ナビゲーションデバイスが、地図表示モードまたは獲得イメージ表示モードのどちらであるのかを判定することと、
前記ナビゲーションデバイスが地図表示モードであると判定される場合に、
前記ナビゲーションデバイスの場所を判定することと、
前記判定された場所に関連する地図作成の地図の部分を表示することと
前記ナビゲーションデバイスが獲得イメージ表示モードであると判定される場合に、
前記ナビゲーションデバイスの場所を判定することと、
獲得イメージを表示することと、
前記獲得イメージを前記判定された場所に関連する地図作成の地図の部分に相関させることと、
前記獲得イメージ上に関心を持たれている点のオーバーレイを表示することであって、前記関心を持たれている点は、地図作成の地図データ内に格納され、前記オーバーレイは、前記獲得イメージに関する正しい位置と相関させられる、表示することと
を含み、
前記ナビゲーションデバイスが地図表示モードまたは獲得イメージ表示モードのどちらであるのかを判定することは、
前記ナビゲーションデバイス内の方位センサからデータを受け取ることと、
前記受け取られたデータが前記ナビゲーションデバイスが水平位置であることを示す場合、前記ナビゲーションデバイスを前記地図表示モードにし、前記受け取られたデータが前記ナビゲーションデバイスが垂直位置であることを示す場合、前記ナビゲーションデバイスを前記獲得イメージ表示モードにすることと
を含む、
ナビゲーションデバイスのオーグメンテッドナビゲーション方法。
【請求項11】
前記ナビゲーションデバイスは、海洋又は空中ナビゲーションデバイスである、請求項10に記載のオーグメンテッドナビゲーション方法。
【請求項12】
前記ナビゲーションデバイスが地図表示モードまたは獲得イメージ表示モードのどちらであるのかを判定することは、
前記ナビゲーションデバイス内で外部入力を受け取ることと、
前記受け取られた入力に基づいて前記ナビゲーションデバイスを前記地図表示モードまたは前記獲得イメージ表示モードにすることと
を含む、請求項10に記載のオーグメンテッドナビゲーション方法。
【請求項13】
前記ナビゲーションデバイスの場所を判定することは、前記ナビゲーションデバイス内のGPSから場所データを受け取ることを含む、請求項10に記載のオーグメンテッドナビゲーション方法。
【請求項14】
前記オーバーレイのうちの1つを選択するためにユーザインターフェースを使用することと、
選択された関心を持たれている点に関係する追加データをオーバーレイすることと
をさらに含む、請求項10に記載のオーグメンテッドナビゲーション方法。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし14
「【請求項1】
ナビゲーションデバイスであって、
処理デバイスと、
前記処理デバイスに通信的に結合された、地図作成ナビゲーション地図データのデータベースを備えるメモリと、
前記処理デバイスに場所データを提供するように動作可能な第1センサと、
前記処理デバイスに動作可能に結合されたディスプレイと、
前記処理デバイスに動作可能に結合された少なくとも1つのイメージ獲得デバイスであって、前記処理デバイスは、第1動作モードである時に、前記地図作成ナビゲーション地図データの一部分を前記ディスプレイに表示させるようにプログラムされ、前記表示される一部分は、前記処理デバイスによって受け取られた前記場所データに基づいており、前記処理デバイスは、第2動作モードである時に、前記少なくとも1つのイメージ獲得デバイスによって獲得されたイメージを前記ディスプレイに表示させるように構成され、前記イメージは、地図作成ナビゲーション地図データの前記データベース内の1つまたは複数の関心を持たれている点を示す1つまたは複数のシンボルによってオーバーレイされ、前記1つまたは複数のシンボルは、前記処理デバイスによって受け取られた前記場所データに基づいて前記獲得されたイメージと相関させられる、少なくとも1つのイメージ獲得デバイスと、
第2センサと、
を備え、
前記第2センサによって感知される前記ナビゲーションデバイスの方位は、前記第1動作モードと前記第2動作モードとの間で前記ナビゲーションデバイスを切り替えるように動作可能であり、
前記ナビゲーションデバイスが水平位置であることを前記第2センサが感知することによって前記第1動作モードがイネーブルされ、前記ナビゲーションデバイスが垂直位置であることを前記第2センサが感知することによって前記第2動作モードがイネーブルされ、
前記イメージ獲得デバイスが、前記ナビゲーションデバイスから離れている、
ナビゲーションデバイス。
【請求項2】
前記ナビゲーションデバイスは、海洋又は空中ナビゲーションデバイスである、請求項
1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項3】
前記第2センサは、ジャイロスコープを備える、請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項4】
前記ディスプレイおよび前記少なくとも1つのイメージ獲得デバイスのうちの少なくとも1つは、前記ナビゲーションデバイスから遠隔に配置される、請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項5】
スイッチをさらに備え、前記スイッチは、前記処理デバイスを第1動作モードから第2動作モードに切り替えるように動作可能である、請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項6】
ユーザ入力インターフェースをさらに備え、前記インターフェースは、前記ディスプレイ上に表示されるオーバーレイされた関心を持たれている点を選択するように動作可能であり、前記処理デバイスは、前記ディスプレイ上の前記選択された関心を持たれている点に関係する追加データをオーバーレイするようにプログラムされる、請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのイメージ獲得デバイスは、ディジタルカメラ、ビデオカメラ、赤外線カメラ、低光量暗視カメラのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのイメージ獲得デバイスは、前記少なくとも1つのイメージ獲得デバイスに関連するレンズの視野角および焦点距離を前記処理デバイスに提供するように動作可能であり、
前記センサは、前記少なくとも1つのイメージ獲得デバイスの前記レンズが向けられている方向を判定し、方向情報を前記処理デバイスに提供するように動作可能であり、
前記処理デバイスは、前記獲得されたイメージの縁に対する前記ディスプレイ上の各シンボルの相対位置を計算することによって前記ディスプレイ上の前記シンボルに座標を割り当てるために、前記視野角、前記焦点距離、および前記方向情報を前記データベース内の前記地図データと相関させるようにプログラムされる
請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項9】
前記処理デバイスに通信的に結合された通信インターフェースをさらに備え、前記通信インターフェースは、前記ナビゲーションデバイスから遠隔に展開された別の前記ナビゲーションデバイスに関連するセンサ情報を受信するように動作可能である、請求項1に記載のナビゲーションデバイス。
【請求項10】
ナビゲーションデバイスが、地図表示モードまたは獲得イメージ表示モードのどちらであるのかを判定することと、
前記ナビゲーションデバイスが地図表示モードであると判定される場合に、
前記ナビゲーションデバイスの場所を判定することと、
前記判定された場所に関連する地図作成の地図の部分を表示することと
前記ナビゲーションデバイスが獲得イメージ表示モードであると判定される場合に、
前記ナビゲーションデバイスの場所を判定することと、
獲得イメージを表示することと、
前記獲得イメージを前記判定された場所に関連する地図作成の地図の部分に相関させることと、
前記獲得イメージ上に関心を持たれている点のオーバーレイを表示することであって、前記関心を持たれている点は、地図作成の地図データ内に格納され、前記オーバーレイは、前記獲得イメージに関する正しい位置と相関させられる、表示することと
を含み、
前記ナビゲーションデバイスが地図表示モードまたは獲得イメージ表示モードのどちらであるのかを判定することは、
前記ナビゲーションデバイス内の方位センサからデータを受け取ることと、
前記受け取られたデータが前記ナビゲーションデバイスが水平位置であることを示す場合、前記ナビゲーションデバイスを前記地図表示モードにし、前記受け取られたデータが前記ナビゲーションデバイスが垂直位置であることを示す場合、前記ナビゲーションデバイスを前記獲得イメージ表示モードにすることと
を含み、
前記獲得イメージが、前記ナビゲーションデバイスから離れているイメージ獲得デバイスにより獲得されたものである、
ナビゲーションデバイスのオーグメンテッドナビゲーション方法。
【請求項11】
前記ナビゲーションデバイスは、海洋又は空中ナビゲーションデバイスである、請求項10に記載のオーグメンテッドナビゲーション方法。
【請求項12】
前記ナビゲーションデバイスが地図表示モードまたは獲得イメージ表示モードのどちらであるのかを判定することは、
前記ナビゲーションデバイス内で外部入力を受け取ることと、
前記受け取られた入力に基づいて前記ナビゲーションデバイスを前記地図表示モードまたは前記獲得イメージ表示モードにすることと
を含む、請求項10に記載のオーグメンテッドナビゲーション方法。
【請求項13】
前記ナビゲーションデバイスの場所を判定することは、前記ナビゲーションデバイス内のGPSから場所データを受け取ることを含む、請求項10に記載のオーグメンテッドナビゲーション方法。
【請求項14】
前記オーバーレイのうちの1つを選択するためにユーザインターフェースを使用することと、
選択された関心を持たれている点に関係する追加データをオーバーレイすることと
をさらに含む、請求項10に記載のオーグメンテッドナビゲーション方法。」(なお、下線は補正箇所を示すために請求人が付したものである。)。

2 本件補正の適否
2-1 特許法第17条の2について
本件補正により、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における発明特定事項である「イメージ獲得デバイス」及び「ナビゲーションデバイス」について、本件補正後に「前記イメージ獲得デバイスが、前記ナビゲーションデバイスから離れている、」ものとされた(以下、「本件補正事項1」という。)。
また、本件補正により、本件補正前の特許請求の範囲の請求項10における発明特定事項である「獲得イメージ」、「イメージ獲得デバイス」及び「ナビゲーションデバイス」について、本件補正後に「前記獲得イメージが、前記ナビゲーションデバイスから離れているイメージ獲得デバイスにより獲得されたものである」ものとされた(以下、「本件補正事項2」という。)。
そこで、本件補正が、平成24年2月8日に提出された明細書、特許請求の範囲及び図面の翻訳文(以下「当初明細書等」ともいう。)に記載した事項の範囲内でしたものであるかどうか検討する。なお、請求人は審判請求書において、特許請求の範囲の請求項1及び10に係る本件補正は、当初明細書等の段落【0013】を根拠とするものである旨述べている。

(1)当初明細書等の記載
当初明細書等の段落【0013】の記載は次のとおりである。
「図3は、イメージ獲得デバイス30によって獲得されたイメージ150の図である。一実施形態では、ナビゲーションデバイス10は、方位センサ20がナビゲーションデバイス10の方位の変化を感知する時に、地図100の表示からイメージ150の表示に切り替える。1つの動作可能な例では、ナビゲーションデバイス10が、机またはテーブル上など、水平に向けられる時に、地図100が表示され、表示される地図100は、GPSセンサ22によって判定されたナビゲーションデバイス10の場所に対応する。ナビゲーションデバイス10が、たとえばイメージを獲得するために内部のイメージ獲得デバイス30のレンズを向けるために、垂直に向けられる時に、そのレンズを介して獲得されるイメージが、表示される。他の実施形態では、ユーザ入力、スイッチ、またはリモートコントロールが、地図の表示から獲得イメージの表示に切り替えるのに利用される。そのような実施形態は、イメージ獲得デバイス30がナビゲーションデバイス10から離れている時に特に有用である。」

(2)判断
当初明細書等の段落【0013】の記載からは、ナビゲーションデバイスが、机又はテーブル上など水平に向けられる時に、地図が表示されること、ナビゲーションデバイスが、たとえばイメージを獲得するために内部のイメージ獲得デバイス30のレンズを向けるために、垂直に向けられる時に、そのレンズを介して獲得されるイメージが、表示されること、地図の表示から獲得イメージの表示に切り替えるのにユーザ入力、スイッチまたはリモートコントロールが利用され得ること、ユーザ入力、スイッチ、またはリモートコントロールを用いた地図の表示から獲得イメージの表示への切り替えは、イメージ獲得デバイスがナビゲーションデバイスから離れている時に特に有用であることが分かる。
しかし、当初明細書等の段落【0013】における一実施形態の記載は、イメージを獲得するために「内部のイメージ獲得デバイスのレンズ」を向けるために、垂直に向けられる時に、「そのレンズを介して」獲得されるイメージが表示されることを開示しており、当該一実施形態は、ナビゲーションデバイスがイメージ獲得デバイスを内部に有することを前提としていると解されるから、本件補正発明1のように「前記イメージ獲得デバイスが、前記ナビゲーションデバイスから離れている」ことを前提とするものとは解することができない。
また、当初明細書等の段落【0013】の他の実施形態の記載は、地図の表示から獲得イメージへの表示の切り替えに、「ユーザ入力」「スイッチ」または「リモートコントロール」を利用し得ることを開示し、
「ユーザ入力」「スイッチ」または「リモートコントロール」による切り替えは、イメージ獲得デバイスがナビゲーションデバイスから離れている時に特に有用であることを開示するが、当該他の実施形態の記載は、イメージ獲得デバイスがナビゲーションデバイスから離れているものであるから、「机またはテーブル上など、水平に向けられる時に、地図100が表示され、表示される地図100は、GPSセンサ22によって判定されたナビゲーションデバイス10の場所に対応する。ナビゲーションデバイス10が、たとえばイメージを獲得するために内部のイメージ獲得デバイス30のレンズを向けるために、垂直に向けられる時に、そのレンズを介して獲得されるイメージが、表示される」ものではない。
また、当初明細書等には、他に本件補正の根拠となる記載が見当たらない。

そうすると、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

(3) まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

2-2 予備的検討
前述のとおり、本件補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるが、仮に本件補正が特許法第17条の2第3項の規定を満たすものとして、以下、予備的に検討する。

(1)本件補正の目的
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1又は10に関しては、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1又は10に係る発明の発明特定事項である「イメージ獲得デバイス」及び「ナビゲーションデバイス」について、「前記イメージ獲得デバイスが、前記ナビゲーションデバイスから離れている」又は「前記獲得イメージが、前記ナビゲーションデバイスから離れているイメージ獲得デバイスにより獲得されたものである」と限定するものであり、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1又は10に係る発明における「イメージ獲得デバイス及び「ナビゲーションデバイス」の構成を限定するものといえる。
よって、特許請求の範囲の請求項1又は10についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1又は10に係る発明の発明特定事項を限定したものであって、本件補正前の請求項1又は10に記載された発明と本件補正後の請求項1又は10に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当する。なお、請求人は審判請求書において、本件補正が特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮、いわゆる限定的減縮に該当するものである旨を述べている。

そこで、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1又は10に係る発明(以下、「本件補正発明1」及び「本件補正発明10」という。また、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項2ないし9及び11ないし14を、それぞれ「本件補正発明2」ないし「本件補正発明9」及び「本件補正発明11」ないし「本件補正発明14」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)本件補正発明
本件補正発明1ないし14は、平成28年4月28日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに平成24年2月8日に提出された明細書及び図面の翻訳文の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載される事項により特定されるものであるところ、上記1の(2)に示したとおりのものである。

(3)特許要件
ア 特許法第36条第6項第1号
当初明細書等には、段落【0013】に「ナビゲーションデバイス10は、方位センサ20がナビゲーションデバイス10の方位の変化を感知する時に、地図100の表示からイメージ150の表示に切り替える。1つの動作可能な例では、ナビゲーションデバイス10が、机またはテーブル上など、水平に向けられる時に、地図100が表示され、表示される地図100は、GPSセンサ22によって判定されたナビゲーションデバイス10の場所に対応する。ナビゲーションデバイス10が、たとえばイメージを獲得するために内部のイメージ獲得デバイス30のレンズを向けるために、垂直に向けられる時に、そのレンズを介して獲得されるイメージが、表示される。」及び「他の実施形態では、ユーザ入力、スイッチ、またはリモートコントロールが、地図の表示から獲得イメージの表示に切り替えるのに利用される。そのような実施形態は、イメージ獲得デバイス30がナビゲーションデバイス10から離れている時に特に有用である。」と記載されている。
しかし、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1における発明特定事項である、「前記処理デバイスに動作可能に結合された少なくとも1つのイメージ獲得デバイスであって、前記処理デバイスは、第1動作モードである時に、前記地図作成ナビゲーション地図データの一部分を前記ディスプレイに表示させるようにプログラムされ、前記表示される一部分は、前記処理デバイスによって受け取られた前記場所データに基づいており、前記処理デバイスは、第2動作モードである時に、前記少なくとも1つのイメージ獲得デバイスによって獲得されたイメージを前記ディスプレイに表示させるように構成され、」との発明特定事項及び「第2センサと、
を備え、
前記第2センサによって感知される前記ナビゲーションデバイスの方位は、前記第1動作モードと前記第2動作モードとの間で前記ナビゲーションデバイスを切り替えるように動作可能であり、
前記ナビゲーションデバイスが水平位置であることを前記第2センサが感知することによって前記第1動作モードがイネーブルされ、前記ナビゲーションデバイスが垂直位置であることを前記第2センサが感知することによって前記第2動作モードがイネーブルされ」との発明特定事項に加え、さらに「前記イメージ獲得デバイスが、前記ナビゲーションデバイスから離れている、」との発明特定事項により特定されるナビゲーションデバイスは、発明の詳細な説明には記載も示唆もされていない。
このため、本件補正発明1は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえず、本願は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである。
本件補正発明10も同様に、発明の詳細な説明に記載したものとはいえず、本願は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである。
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1または10を直接的又は間接的に置き換えることなく引用する請求項2ないし9及び11ないし14に係る発明も同様に、発明の詳細な説明に記載したものとはいえず、本願は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである。

さらに、本件補正後の特許請求の範囲の請求項5は本件補正後の特許請求の範囲の請求項1を置き換えることなく引用するものであるから、上記本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の各発明特定事項に加え、さらに「スイッチをさらに備え、前記スイッチは、前記処理デバイスを第1動作モードから第2動作モードに切り替えるように動作可能である」との発明特定事項により特定されるものである。
しかし、各発明特定事項の全てにより特定されるナビゲーションデバイスは、発明の詳細な説明には記載も示唆もされていない。
このため、本件補正発明5は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえず、本願は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである。

よって、本件補正発明1ないし14は、特許法第36条第6項第1号の規定に適合しないから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

イ 特許法第36条第6項第2号
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載中「ナビゲーションデバイスであって、
処理デバイスと、
・・・(中略)・・・メモリと、
・・・(中略)・・・第1センサと、
・・・(中略)・・・ディスプレイと、
前記処理デバイスに動作可能に結合された少なくとも1つのイメージ獲得デバイスであって、・・・(中略)・・・、少なくとも1つのイメージ獲得デバイスと、
第2センサと、
を備え、」との記載は、「処理デバイス」、「メモリ」、「第1センサ」、「ディスプレイ」、「イメージ獲得デバイス」及び「第2センサ」が、いずれも「ナビゲーションデバイス」に備えられるものであることを特定するものであり、「イメージ獲得デバイス」が「ナビゲーションデバイス」を構成する一部分であることを特定する記載であるのに対し、請求項1の記載中「前記イメージ獲得デバイスが、前記ナビゲーションデバイスから離れている、」との記載は、「前記イメージ獲得デバイス」が「前記ナビゲーションデバイス」とは別の部材であることを前提とする記載であるため、両記載は矛盾している。
このため、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、明確でない。
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1を直接的又は間接的に置き換えることなく引用する本件補正後の特許請求の範囲の請求項2ないし9の記載も、同様に、明確でない。
よって、本件補正発明1ないし9は、特許法第36条第6項第2号の規定に適合しないから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

ウ 特許法第29条第2項
(ア)引用文献
a 引用文献1
a-1引用文献1の記載
本件出願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2009/084135号(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。

(a)「[0001] この発明は、ユーザを目的地まで案内するナビゲーション装置に関し、特にカメラで撮影することにより得られた実写映像上に案内情報を表示する技術に関する。」(段落[0001])

(b)「 [0012]
・・・(中略)・・・
図1は、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置、特に車に適用したカーナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。このカーナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System)レシーバ1、車速センサ2、方位センサ3、位置方位計測部4、地図データベース5、入力操作部6、カメラ7、映像取得部8、ナビゲーション制御部9および表示部10を備えている。

(c)「[0013] GPSレシーバ1は、複数の衛星からの電波を受信することにより自車位置を計測する。このGPSレシーバ1で計測された自車位置は、自車位置信号として位置方位計測部4に送られる。車速センサ2は、自車の速度を逐次計測する。この車速センサ2は、一般には、タイヤの回転数を計測するセンサから構成されている。車速センサ2で計測された自車の速度は、車速信号として位置方位計測部4に送られる。方位センサ3は、自車の進行方向を逐次計測する。この方位センサ3で計測された自車の進行方位(以下、単に「方位」という)は、方位信号として位置方位計測部4に送られる。
[0014] 位置方位計測部4は、GPSレシーバ1から送られてくる自車位置信号から自車の現在位置および方位を計測する。なお、トンネルの中または周囲の建物などによって自車の上空が遮られている場合は、電波を受信できる衛星の数がゼロまたは少なくなって受信状態が悪くなり、GPSレシーバ1からの自車位置信号だけでは自車の現在位置および方位が計測できなくなったり、計測できても精度が悪化するため、車速センサ2からの車速信号および方位センサ3からの方位信号を用いた自律航法を利用して自車位置を計測し、GPSレシーバ1による計測を補う処理を実行する。
[0015] 位置方位計測部4で計測された自車の現在位置および方位は、上述したように、GPSレシーバ1の受信状態の悪化による計測精度の悪化、タイヤの摩耗による直径の変化、温度変化に起因する車速の誤差またはセンサ自体の精度に起因する誤差などといった様々な誤差を含んでいる。そこで、位置方位計測部4は、計測により得られた誤差を含んだ自車の現在位置および方位を、地図データベース5から読み出した地図データから取得した道路データを用いてマップマッチングを行うことにより修正する。この修正された自車の現在位置および方位は、自車位置方位データとしてナビゲーション制御部9に送られる。」(段落[0013]ないし[0015])

(d)「[0016] 地図データベース5は、道路の位置、道路の種別(高速道路、有料道路、一般道路または細街路など)、道路に関する規制(速度制限または一方通行など)または交差点近傍の車線数といった道路データの他、道路周辺の施設のデータなどを含む地図データを保持している。道路の位置は、道路を複数のノードとノード間を直線で結ぶリンクとで表現し、このノードの緯度および経度を記録することにより表現されている。例えば、あるノードに3つ以上のリンクが接続されている場合は、そのノードの位置で複数の道路が交わっていることを表している。この地図データベース5に保持されている地図データは、上述したように位置方位計測部4によって読み出される他、ナビゲーション制御部9によって読み出される。
[0017] 入力操作部6は、リモートコントローラ、タッチパネルまたは音声認識装置などの少なくとも1つから構成されており、ユーザである運転者または同乗者が、操作によって、目的地を入力したり、カーナビゲーション装置が提供する情報を選択したりするために使用される。この入力操作部6の操作によって発生されたデータは、操作データとしてナビゲーション制御部9に送られる。」(段落[0016]及び[0017])

(e)「[0018] カメラ7は、自車の前方を撮影するカメラまたは周囲全体を含む幅広い方向を一度に撮影できるカメラなどの少なくとも1つから構成されており、自車の進行方向を含む自車近傍を撮影する。このカメラ7で撮影することにより得られた映像信号は、映像取得部8に送られる。
[0019] 映像取得部8は、カメラ7から送られてくる映像信号を、計算機で処理可能なデジタル信号に変換する。この映像取得部8における変換により得られたデジタル信号は、映像データとしてナビゲーション制御部9に送られる。」(段落[0018]及び[0019])

(f)「[0021] 表示部10は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)から構成されており、ナビゲーション制御部9から送られてくる表示データにしたがって、地図および/または実写映像などを画面に表示する。」(段落[0021])

(g)「[0022] 次に、ナビゲーション制御部9の詳細を説明する。ナビゲーション制御部9は、目的地設定部11、経路計算部12、案内表示生成部13、映像合成処理部14、表示決定部15および脇道取得部16を備えている。なお、図1においては、図面の煩雑さを避けるために、上記複数の構成要素間の接続の一部を省略しているが、省略した部分については、以下において出現する都度説明する。
[0023] 目的地設定部11は、入力操作部6から送られてくる操作データにしたがって目的地を設定する。この目的地設定部11で設定された目的地は、目的地データとして経路計算部12に送られる。経路計算部12は、目的地設定部11から送られてくる目的地データ、位置方位計測部4から送られてくる自車位置方位データ、および、地図データベース5から読み出した地図データを用いて、目的地までの誘導経路を計算する。この経路計算部12で計算された誘導経路は、誘導経路データとして表示決定部15に送られる。
[0024] 案内表示生成部13は、表示決定部15からの指示に応じて、従来のカーナビゲーション装置で用いられている地図による案内図(以下、「地図案内図」という)を生成する。この案内表示生成部13で生成される地図案内図には、平面地図、交差点拡大図、高速略図などといった実写映像を用いない様々な案内図が含まれる。また、地図案内図は、平面地図に限定されず、3次元CGを用いた案内図または平面地図を俯瞰する案内図であってもよい。なお、地図案内図を作成する技術は周知であるので、ここでは詳細な説明は省略する。この案内表示生成部13で生成された地図案内図は、地図案内図データとして表示決定部15に送られる。
[0025] 映像合成処理部14は、表示決定部15からの指示に応じて、実写映像を用いた案内図(以下、「実写案内図」という)を生成する。例えば、映像合成処理部14は、地図データベース5から読み出した地図データから、自車周辺の道路ネットワーク、ランドマークまたは交差点などといった周辺物の情報を取得し、映像取得部8から送られてくる映像データによって示される実写映像上に存在する周辺物の周辺に、この周辺物の形状または内容などを説明するための図形、文字列またはイメージなど(以下、「コンテンツ」という)を重ね合わせたコンテンツ合成映像を生成する。
[0026] また、映像合成処理部14は、脇道取得部16に対して、脇道の道路データ(道路リンク)の取得を指示し、この指示に応答して脇道取得部16から送られてくる脇道の道路データによって示される脇道形状のコンテンツを生成し、実写映像上に重ね合わせてコンテンツ合成映像を生成する(詳細は後述する)。この映像合成処理部14によって生成されたコンテンツ合成映像は、実写案内図データとして表示決定部15に送られる。
[0027] 表示決定部15は、上述したように、案内表示生成部13に対して地図案内図の生成を指示するとともに、映像合成処理部14に対して実写案内図の生成を指示する。また、表示決定部15は、位置方位計測部4から送られてくる自車位置方位データ、地図データベース5から読み出した自車周辺の地図データ、入力操作部6から送られてくる操作データ、案内表示生成部13から送られてくる地図案内図データおよび映像合成処理部14から送られてくる実写案内図データに基づき表示部10の画面に表示する内容を決定する。この表示決定部15において決定された表示内容に対応するデータは、表示データとして表示部10に送られる。
[0028] これにより、表示部10には、例えば、車両が交差点に近づいた場合には交差点拡大図が表示され、入力操作部6のメニューボタンが押されている場合はメニューが表示され、入力操作部6によって実写表示モードに設定された場合は実写映像を用いた実写案内図が表示される。なお、実写映像を用いた実写案内図への切り替えは、実写表示モードの設定が行われる場合以外にも、自車と曲がるべき交差点の距離が一定値以下になった場合に実写案内図に切り替わるように構成することもできる。」(段落[0022]ないし[0028])

(h)「[0033] ・・・(中略)・・・ナビゲーション制御部9の案内表示生成部13は、ステップST12で取得した自車位置方位データに基づき、その時点で設定されている縮尺での自車周辺の地図データを地図データベース5から検索し、この検索によって得られた地図データによって示される地図上に、自車位置と方位を表す自車マークを重ね合わせた自車周辺地図を作成する。」(段落[0033])

(i)「[0038] コンテンツ合成映像作成処理では、まず、自車位置方位および映像が取得される(ステップST21)。すなわち、映像合成処理部14は、自車周辺情報表示処理(図2参照)のステップST12で取得された自車位置方位データと、その時点で映像取得部8において生成された映像データを取得する。
[0039] 次いで、コンテンツ生成が行われる(ステップST22)。すなわち、映像合成処理部14は、地図データベース5から読み出した地図データから自車の周辺物を検索し、その中からユーザに提示したいコンテンツ情報を生成し、映像合成処理部14の内部のコンテンツメモリ(図示は省略する)に蓄積する。コンテンツ情報には、例えば、ユーザに右左折を指示して目的地へ誘導したい場合には、交差点の名称文字列、交差点の座標、経路誘導矢印の座標などが含まれる。また、自車周辺の有名なランドマークを案内したい場合には、そのランドマークの名称文字列、ランドマークの座標、ランドマークに関する歴史または見所、営業時間などといったランドマークに関する情報の文字列または写真などが含まれる。なお、コンテンツ情報は、上述した以外に、自車周辺の道路ネットワークの個々の座標と各道路の一方通行または進入禁止などといった交通規制情報、車線数などの情報といった地図情報そのものであってもよい。・・・(後略)・・・」(段落[0038]及び[0039])

(j)「[0045] 次いで、映像合成処理が行われる(ステップST27)。すなわち、映像合成処理部14は、ステップST21で取得した映像上の、ステップST26で計算された位置に、ステップST25で取得したコンテンツ情報によって示される図形、文字列またはイメージなどといったコンテンツを合成する。」(段落[0045])

(k)「[0061] ・・・(中略)・・・カメラ7で撮影することにより得られた自車周辺映像に案内情報を重畳表示する際に、・・・(後略)・・・」(段落[0061])

(l)「[0120] なお、図示の実施の形態では、車に適用したカーナビゲーション装置として説明したが、この発明に係るナビゲーション装置は、カメラを有する携帯電話機、飛行機等の移動体に対しても同様に適用することができる。」(段落[0120])

a-2 引用文献1の記載事項
上記a-1(a)ないしa-1(l)の記載から、次のことが分かる。
(m) 上記a-1(a)の記載から、引用文献1にはナビゲーション装置が記載されていることが分かる。

(n) 上記a-1(b)及び(g)の記載から、引用文献1記載のナビゲーション装置は、ナビゲーション制御部9を備えることが分かる。

(p) 上記a-1(b)及び(d)の記載から、引用文献1記載のナビゲーション装置は、地図データベース5を備え、地図データベース5は、道路の位置、道路の種別(高速道路、有料道路、一般道路または細街路など)、道路に関する規制(速度制限または一方通行など)または交差点近傍の車線数といった道路データの他、道路周辺の施設のデータなどを含む地図データを保持し、ナビゲーション制御部9によって地図データベース5から地図データが読み出されることが分かる。また、引用文献1記載のナビゲーション装置は、リモートコントローラから構成される入力操作部6を備えることが分かる。

(q) 上記a-1(b)及び(c)の記載から、引用文献1記載のナビゲーション装置は、GPSレシーバ1、車速センサ2、方位センサ3及び位置方位計測部4を備え、GPSレシーバ1、車速センサ2、方位センサ3及び位置方位計測部4を用いて自車の現在位置を計測して自車位置方位データを生成し、生成した自車位置方位データをナビゲーション制御部9へ送ることが分かる。

(r) 上記a-1(b)及び(f)の記載から、引用文献1記載のナビゲーション装置は、ナビゲーション制御部9から送られてくる表示データにしたがって、地図および/または実写映像などを画面に表示する表示部10を備えることが分かる。

(s) 上記a-1(b)及び(e)の記載から、引用文献1記載のナビゲーション装置は、カメラ7及び映像取得部8を備え、カメラ7で撮影することにより得られた映像信号を映像取得部8に送り、映像取得部8はカメラ7から送られてきた映像信号をデジタル信号に変換してナビゲーション制御部9へ送ることが分かる。

(t) 上記a-1(b)、(g)及び(h)の記載から、ナビゲーション装置の備えるナビゲーション制御部9が備える案内表示生成部13は、自車位置方位データに基づいて自車周辺の地図データを地図データベース5から読み出して自車周辺地図を作成することが分かる。

(u) 上記a-1(b)、(g)、(i)、(k)及び(l)の記載から、ナビゲーション装置の備えるナビゲーション制御部が備える映像合成処理部14は、自車位置方位データ及び映像取得部8において生成された映像データを取得し、地図データベース5から読み出した地図データから自車の周辺部を検索し、その中からユーザに提示したい交差点の名称文字列、交差点の座標、経路誘導矢印の座標、ランドマークの名称文字列、ランドマークの座標、ランドマークに関する歴史または見所、営業時間などといったランドマークに関する情報の文字列または写真、自車周辺の道路ネットワークの個々の座標と各道路の一方通行または進入禁止などといった交通規制情報、車線数などの情報といった地図情報そのものが含まれるコンテンツ情報を生成し、実写映像上の計算された位置に文字列またはイメージなどからなるコンテンツ情報を合成して実車案内図データを生成して。このとき、a-1(l)から、実写映像上への合成とは、実写映像へのコンテンツ情報の重畳であることが分かる。

(v) 上記a-1(b)、(f)及び(g)の記載から、ナビゲーション装置の備えるナビゲーション制御部9が備える表示決定部15は、位置方位計測部4から送られてくる自車位置方位データ、地図データベース5から読み出した自車周辺の地図データ、入力操作部6から送られてくる操作データ、案内表示生成部13から送られてくる地図案内図データおよび映像合成処理部14から送られてくる実写案内図データに基づき表示部10の画面に表示する内容を決定し、決定された表示内容に対応するデータは、表示データとして表示部10に送られ、表示部10はナビゲーション制御部9から送られてくる表示データに従って地図又は実写映像などを画面に表示することが分かる。このとき、入力操作部6によって実写表示モードに設定された場合は実写映像を用いた実写案内図が表示されることが分かる。

a-3 引用発明
上記a-1(a)ないし(l)並びにa-2(m)、(n)及び(p)ないし(v)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

<引用発明>
「ナビゲーション装置であって、
ナビゲーション制御部9と、
前記ナビゲーション制御部9に通信的に結合された地図作成ナビゲーション地図データの地図データベース5と、
前記ナビゲーション制御部9に自車位置方位データを提供するように動作するGPSレシーバ1、車速センサ2、方位センサ3及び位置方位計測部4と、
前記ナビゲーション制御部9に動作可能に結合された表示部10と、
前記ナビゲーション制御部9に動作可能に結合された少なくとも1つのカメラ7及び画像取得部8であって、前記ナビゲーション制御部9は、実写表示モード以外であるときに、前記地図データベース5の地図作成ナビゲーション地図データの一部分を前記表示部10に表示させるように制御され、前記表示される一部分は、前記ナビゲーション制御部9によって取得された前記自車位置方位データに基づいており、前記ナビゲーション制御部9は、リモートコントローラから構成される入力操作部6によって設定された実写表示モードであるときに、前記少なくとも1つのカメラ7及び画像取得部8によって取得及び生成された実写映像を前記表示部10に表示させるように構成され、前記実写映像は、前記地図作成ナビゲーション地図データの前記地図データベース5内の1つまたは複数のユーザに提示したい文字列又はイメージが重畳され、前記1つまたは複数の文字列又はイメージは、前記ナビゲーション制御部9によって受け取られた前記自車位置方位データに基づいて前記取得及び生成された実車映像と相関させられる、少なくとも1つのカメラ7及び画像取得部8と、
を備え、
たナビゲーション装置。」

b 引用文献2
b-1 引用文献2記載技術
本件出願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開2010-210257号公報(2010年9月24日出願公開。以下、「引用文献2」という。)の、特に段落【0001】、【0019】、【0027】ないし【0072】の記載からみて、引用文献2には次の技術(以下、「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認める。

<引用文献2記載技術>
「ナビゲーション装置において、筐体2内に収容され、加速度センサ15を備え、加速度センサ15によって検出される筐体2の状態は、ディスプレイ3のLCD3Aの表示を切換えるように動作可能であり、
ユーザが筐体2を寝かせていることを加速度センサで検出することによって、現在地周辺の地図やPOIが表示された地図画面をディスプレイ3のLCD3Aに表示し、ユーザの筐体2を立てていることを加速度センサ15で検出することによって、カメラ部4が撮像するスルー画像CP上ににPOI及び方位を表示する技術。」

c 引用文献3
c-1 引用文献3記載技術
本件出願の優先日前に頒布された特開2003-23564号公報(以下、「引用文献3」という。)の段落【0001】、【0029】、【0032】、【0035】の記載からみて、引用文献3には次の技術(以下、「引用文献3記載技術」という。)が記載されていると認める。

<引用文献3記載技術>
「車両用撮像装置において、携帯電話等からなる携帯機2の操作に応じて、撮像モード開始を車載カメラ12に通知し、車載カメラ12からの撮像信号を携帯機2のディスプレイ24に表示させる技術。」

d 引用文献4
d-1引用文献4記載技術
本件出願の優先日前に頒布された国際公開第2010/113466号(2010年10月7日出願公開。以下、「引用文献4」という。)の段落【0033】ないし【0035】、【0054】、【0055】、【0064】及び【0065】の記載からみて、引用文献4には次の技術(以下、「引用文献4記載技術」という。)が記載されていると認める。

<引用文献4記載技術>
「携帯電話機等のARが搭載された携帯端末40から遠隔操作可能なカメラ又はリモートカメラからなる撮像部30により撮像した映像を、映像上に表示する情報とともに、携帯端末40の表示部46に表示するAR技術。」

(イ) 対比
本件補正発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「ナビゲーション装置」は、その構成、機能又は技術的な意義からみて、本件補正発明1における「ナビゲーションデバイス」に相当し、以下同様に、「ナビゲーション制御部」は「処理デバイス」に、「自車位置方位データ」は「場所データ」に、「GPSレシーバ1、車速センサ2、方位センサ3及び位置方位計測部4」は「第1センサ」に、「表示部10」は「ディスプレイ」に、「カメラ7及び画像取得部8」は「イメージ獲得デバイス」に、「実写表示モード以外」は「第1動作モード」に、「制御され」は「プログラムされ」に、「実写表示モード」は「第2動作モード」に、「カメラ7及び画像取得部8によって取得及び生成された」は「イメージ獲得デバイスによって獲得された」に、「実写映像」は「イメージ」に、「ユーザに提示したい」は「関心を持たれている点を示す」に、「文字列又はイメージ」は「シンボル」に、「重畳され」は「オーバーレイされ」に、相当する。
また、引用発明における「地図作成ナビゲーション地図データのデータベース5」は「地図作成ナビゲーション地図データのデータベース」という限りにおいて、本件補正発明1の「地図作成ナビゲーション地図データのデータベースを備えるメモリ」に相当する。

よって、本件補正発明1と引用発明は、
「ナビゲーションデバイスであって、
処理デバイスと、
前記処理デバイスに通信的に結合された、地図作成ナビゲーション地図データのデータベースと、
前記処理デバイスに場所データを提供するように動作可能な第1センサと、
前記処理デバイスに動作可能に結合されたディスプレイと、
前記処理デバイスに動作可能に結合された少なくとも1つのイメージ獲得デバイスであって、前記処理デバイスは、第1動作モードである時に、前記地図作成ナビゲーション地図データの一部分を前記ディスプレイに表示させるようにプログラムされ、前記表示される一部分は、前記処理デバイスによって受け取られた前記場所データに基づいており、前記処理デバイスは、第2動作モードである時に、前記少なくとも1つのイメージ獲得デバイスによって獲得されたイメージを前記ディスプレイに表示させるように構成され、前記イメージは、地図作成ナビゲーション地図データの前記データベース内の1つまたは複数の関心を持たれている点を示す1つまたは複数のシンボルによってオーバーレイされ、前記1つまたは複数のシンボルは、前記処理デバイスによって受け取られた前記場所データに基づいて前記獲得されたイメージと相関させられる、少なくとも1つのイメージ獲得デバイスと、
を備えた
ナビゲーションデバイス。」
という点で一致し、次の点で相違又は一応相違する。

<相違点1>
「地図作成ナビゲーション地図データのデータベース」に関し、本件補正発明1においては「地図作成ナビゲーション地図データのデータベースを備えるメモリ」を備えるのに対し、引用発明においては「図作成ナビゲーション地図データの地図データベース5」を備える点(以下、「相違点1」という。)。

<相違点2>
本件補正発明1が「第2センサ」を備え、「前記第2センサによって感知される前記ナビゲーションデバイスの方位は、前記第1動作モードと前記第2動作モードとの間で前記ナビゲーションデバイスを切り替えるように動作可能であり、
前記ナビゲーションデバイスが水平位置であることを前記第2センサが感知することによって前記第1動作モードがイネーブルされ、前記ナビゲーションデバイスが垂直位置であることを前記第2センサが感知することによって前記第2動作モードがイネーブルされ」るのに対し、引用発明はリモートコントローラで構成される入力操作部6により実写表示モードと実写表示モード以外が設定される点。

<相違点3>
本件補正発明1が「前記イメージ獲得デバイスが、前記ナビゲーションデバイスから離れている」のに対し、引用発明は「カメラ7及び映像取得部8」が「ナビゲーション装置」から離れているかどうか明示していない点。

(ウ) 判断
上記各相違点について検討する。

a 相違点1についての検討
引用発明におけるデータベース5はデータを保持するものであるから、データベース5は、何らかのデータ保持機能を有する記憶部に保持されることは自明である。そうすると、引用発明においても、データベース5を保持するメモリを備えるといえるから、相違点1は実質的な相違点ではない。

b 相違点2についての検討
本件出願の当初明細書等の段落【0011】、【0013】、本件補正前の特許請求の範囲の請求項4及び本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び4を参照すると、本件出願において、「ナビゲーションデバイス」とは「イメージ獲得デバイス」又は「ディスプレイ」を備えるものであり、かつ「イメージ獲得デバイス」又は「ディスプレイ」は「ナビゲーションデバイス」から遠隔に配置されるものでもある。
そうすると、本件出願においては、備えるとされる構成要素の一部を遠隔に配置し、残りの一部のことを「ナビゲーションデバイス」と呼んでいることがわかる。
してみれば、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1においては「ナビゲーションデバイス」という用語は、備えている旨特定される構成要素の一部を指す用語としても用い得る用語であると解される。
そうすると、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1における「前記第2センサによって感知される前記ナビゲーションデバイスの方位は、前記第1動作モードと前記第2動作モードとの間で前記ナビゲーションデバイスを切り替えるように動作可能であり、
前記ナビゲーションデバイスが水平位置であることを前記第2センサが感知することによって前記第1動作モードがイネーブルされ、前記ナビゲーションデバイスが垂直位置であることを前記第2センサが感知することによって前記第2動作モードがイネーブルされ」との発明特定事項のうち、「ナビゲーションデバイスが水平位置であること」及び「ナビゲーションデバイスが垂直位置であること」との発明特定事項における「ナビゲーションデバイス」は、少なくとも「第2センサ」が含まれることは明らかであるが、他に備えているとされる構成要素については「ナビゲーションデバイス」から遠隔に配置されることを許容するものと解される。
そこで相違点2について検討するに、ナビゲーション装置という本件補正発明1と共通の技術分野に属し、実写映像に情報を重畳してディスプレイに表示するという共通の機能を有する引用文献2記載技術と、相違点2に係る本件補正発明1の発明特定事項とを対応させると、引用文献2記載技術において「加速度センサ15」は、その構成、機能又は技術的な意義からみて「第2センサ」に相当し、引用文献2記載技術において「筐体2を寝かせていること」は、その動作、機能又は技術的な意義からみて本件補正発明1における「ナビゲーションデバイスが水平位置であること」に相当し、以下同様に、「地図画面をディスプレイ3のLCD3Aに表示」することは「第1動作モード」に、「筐体を立てていること」は「ナビゲーションデバイスが垂直位置であること」に、「画像CP上にPOI及び方位を表示」することは「第2動作モード」に相当する。
また、引用文献3記載技術又は引用文献4記載技術等に例示されるように、携帯端末を用いて遠隔に配置されたカメラに撮像を指示する技術は本件出願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術」という。)である。
そして、引用発明においては、リモートコントローラから構成される入力操作部6によりユーザが実写表示モードと実写表示モード以外との切換え指示を行うことは自明であるから、前述の周知技術を考慮したうえで引用発明に引用文献2記載技術を適用し、リモートコントローラから構成される入力操作部6として加速度センサを備えた携帯端末を採用し、ユーザが携帯端末を寝かせた状態と携帯端末を立てた状態とを切換えることで、実写表示モード以外と実写表示モードとの切換えを指示するようにして相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到できたことである。

c 相違点3についての検討
引用発明において、カメラ7は車両周辺を撮像するものであるから、車両周辺を撮像できる位置に配置されるものである一方、車速センサ2はタイヤの回転数を検出できる位置に、GPSレシーバは衛星からの電波を受信できる位置に、表示部10はユーザの視認しやすい位置に、入力操作部6はユーザの操作できる位置に、それぞれ配置されるものであるから、引用発明において、ナビゲーション装置を形成する各構成要素はそれぞれ異なる位置に配置されることは自明である。
そして、引用発明において周知技術を採用し、カメラ7及び画像取得部8をナビゲーション装置から遠隔に配置して相違点3に係る本件補正発明1の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到できたことである。

そして、本件補正発明1は、全体としてみても、引用発明、引用文献2記載技術及び周知技術から当業者が予測できたことである。

よって、本件補正発明1は、引用発明、引用文献2記載技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

エ まとめ
上記のとおり、本件補正発明1ないし14は、当初翻訳文等の発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号の規定に適合せず、したがって特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、また本件補正発明1ないし9は、明確ではないから、特許法第36条第6項第2号の規定に適合せず、したがって特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、さらに本件補正発明1は、引用発明、引用文献2記載技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

以上のとおり、本件補正は、仮に17条の2第3項の規定に違反しないとしても、特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本件発明について
1 本件発明

本件補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1にかかる発明(以下、「本件発明」という。)は、平成27年8月10日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本件発明は、上記第2の[理由]の1(1)に記載されたとおりである。

2 引用文献
原審拒絶査定の理由に引用された引用文献1及び2については、上記第2の[理由]の2-2(3)ウ(ア)a及びbのとおりである。

3 対比・検討
上記第2の[理由]の2-2(1)で検討したように、本件補正発明は、本件発明の発明特定事項を限定したものである。そして、本件発明の発明特定事項を限定した本件補正発明が上記第2の[理由]の2-2(3)ウのとおり、引用発明、引用文献2記載技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明は、実質的に同様の理由により、引用発明、引用文献2記載技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 まとめ
以上のとおり、本件発明は、引用発明、引用文献2記載技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
上記第3のとおり、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本件出願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-03-03 
結審通知日 2017-03-14 
審決日 2017-03-28 
出願番号 特願2011-259681(P2011-259681)
審決分類 P 1 8・ 562- Z (G01C)
P 1 8・ 537- Z (G01C)
P 1 8・ 121- Z (G01C)
P 1 8・ 575- Z (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 純一  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 三島木 英宏
金澤 俊郎
発明の名称 オーグメンテッドナビゲーションの方法およびシステム  
代理人 園田・小林特許業務法人  

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