• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1331140
審判番号 不服2016-11628  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-03 
確定日 2017-08-29 
事件の表示 特願2012-536381「コンテンツ送信装置、コンテンツ送信方法、コンテンツ再生装置、コンテンツ再生方法、プログラム、およびコンテンツ配信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月 5日国際公開、WO2012/043357、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 経緯
本願は、2011年(平成23年)9月22日(パリ条約による優先権主張2010年10月1日、米国、2011年7月5日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

平成27年10月 1日:拒絶理由の通知
平成27年11月17日:手続補正
平成28年 4月25日:拒絶査定
平成28年 5月10日:拒絶査定の謄本の送達
平成28年 8月 3日:拒絶査定不服審判の請求
平成28年 8月 3日:手続補正

第2 原査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

[査定の理由]
この出願の請求項1?12に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:国際公開第2010/109860号
引用文献2:木全英明,3次元映像符号化の国際標準化 MPEG 3DAVの動向,情報処理学会研究報告,社団法人情報処理学会,2005年 3月11日,Vol.2005 No.23,p.49-54(周知技術)
引用文献3:松村欣司他,Hybridcastの概要と技術,NHK技研R&D,日本,日本放送協会,2010年11月15日,No.124,p.10-17,ISSN 0914-7535(周知技術)

第3 本願発明
1 本願請求項1?11に係る発明
本願請求項1?11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明11」という。)は、平成27年11月17日付け、平成28年8月3日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
異なる複数のビデオカメラにより同時に撮影された複数の視点映像から成る多視点映像コンテンツを保持する保持部と、
前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像の取得先情報、および前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像と隣接して撮影された隣接視点映像の関係性を示す視点列タイプを含むVRT(View Relation Table)を生成する生成部と、
生成された前記VRTをコンテンツ再生装置に供給する供給部と、
保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの所定の視点映像を放送網を介して放送する放送部と、
保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの前記所定の視点映像以外の視点映像をインターネットを介して配信する配信部と
を備え、
放送または配信されて前記コンテンツ再生装置に受信された、隣接して撮影された複数の前記視点映像は、前記視点列タイプに基づいて連結された後に所定の領域が切り出されるか、または、前記視点列タイプに基づいて補間処理が行われて、前記前記コンテンツ再生装置のユーザに提示される
コンテンツ送信装置。
【請求項2】
前記視点列タイプは、Panorama、Theater、Parallel、またはSeparatedとされる
請求項1に記載のコンテンツ送信装置。
【請求項3】
前記供給部は、前記放送部または前記配信部が兼ねる
請求項1または2に記載のコンテンツ送信装置。
【請求項4】
異なる複数のビデオカメラにより同時に撮影された複数の視点映像から成る多視点映像コンテンツをコンテンツ再生装置に供給するコンテンツ送信装置のコンテンツ送信方法において、
前記コンテンツ送信装置による、
前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像の取得先情報、および前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像と隣接して撮影された隣接視点映像の関係性を示す視点列タイプを含むVRT(View Relation Table)を生成する生成ステップと、
生成された前記VRTをコンテンツ再生装置に供給する供給ステップと、
保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの所定の視点映像を放送網を介して放送する放送ステップと、
保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの前記所定の視点映像以外の視点映像をインターネットを介して配信する配信ステップと
を含み、
放送または配信されて前記コンテンツ再生装置に受信された、隣接して撮影された複数の前記視点映像は、前記視点列タイプに基づいて連結された後に所定の領域が切り出されるか、または、前記視点列タイプに基づいて補間処理が行われて、前記前記コンテンツ再生装置のユーザに提示される
コンテンツ送信方法。
【請求項5】
コンピュータを、
異なる複数のビデオカメラにより同時に撮影された複数の視点映像から成る多視点映像コンテンツを保持する保持部と、
前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像の取得先情、および前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像と隣接して撮影された隣接視点映像の関係性を示す視点列タイプを含むVRT(View Relation Table)を生成する生成部と、
生成された前記VRTをコンテンツ再生装置に供給する供給部と、
保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの所定の視点映像を放送網を介して放送する放送部と、
保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの前記所定の視点映像以外の視点映像をインターネットを介して配信する配信部と
して機能させ、
放送または配信されて前記コンテンツ再生装置に受信された、隣接して撮影された複数の前記視点映像は、前記視点列タイプに基づいて連結された後に所定の領域が切り出されるか、または、前記視点列タイプに基づいて補間処理が行われて、前記前記コンテンツ再生装置のユーザに提示される
プログラム。
【請求項6】
異なる複数のビデオカメラにより同時に撮影された複数の視点映像から成る多視点映像コンテンツを再生するコンテンツ再生装置において、
前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像の取得先情報、および前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像と隣接して撮影された隣接視点映像の関係性を示す視点列タイプを含むVRT(View Relation Table)を取得する取得部と、
ユーザからの視点移動操作を入力する入力部と、
前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうち、入力された前記視点移動操作に対応する、隣接して撮影された複数の前記視点映像を前記VRTに基づいて受信する受信部と、
受信された複数の前記視点映像を前記視点列タイプに基づいて連結した後に所定の領域を切り出すか、または、前記視点列タイプに基づいて補間処理を行って前記視点移動操作に対応する映像を生成する生成部と
を備え、
前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの所定の視点映像は、放送網を介して放送され、前記所定の視点映像以外の視点映像は、インターネットを介して配信される
コンテンツ再生装置。
【請求項7】
前記視点列タイプは、Panorama、Theater、Parallel、またはSeparatedとされる
請求項6に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項8】
前記入力部は、取得された前記VRTに含まれる、前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像と隣接して撮影された隣接視点映像の視点列タイプに応じた視点移動ボタンから成る
請求項6から7のいずれかに記載のコンテンツ再生装置。
【請求項9】
異なる複数のビデオカメラにより同時に撮影された複数の視点映像から成る多視点映像コンテンツを再生するコンテンツ再生装置のコンテンツ再生方法において、
コンテンツ再生装置による、
前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像の取得先情報、および前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像と隣接して撮影された隣接視点映像の関係性を示す視点列タイプを含むVRT(View Relation Table)を取得する取得ステップと、
ユーザからの視点移動操作を入力する入力ステップと、
前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうち、入力された前記視点移動操作に対応する、隣接して撮影された複数の前記視点映像を前記VRTに基づいて受信する受信ステップと、
受信された複数の前記視点映像を前記視点列タイプに基づいて連結した後に所定の領域を切り出すか、または、前記視点列タイプに基づいて補間処理を行って前記視点移動操作に対応する映像を生成する生成ステップと
を含み、
前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの所定の視点映像は、放送網を介して放送され、前記所定の視点映像以外の視点映像は、インターネットを介して配信される
コンテンツ再生方法。
【請求項10】
異なる複数のビデオカメラにより同時に撮影された複数の視点映像から成る多視点映像コンテンツを再生するコンピュータを、
前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像の取得先情報、および前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像と隣接して撮影された隣接視点映像の関係性を示す視点列タイプを含むVRT(View Relation Table)を取得する取得部と、
ユーザからの視点移動操作を入力する入力部と、
前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうち、入力された前記視点移動操作に対応する、隣接して撮影された複数の前記視点映像を前記VRTに基づいて受信する受信部と、
受信された複数の前記視点映像を前記視点列タイプに基づいて連結した後に所定の領域を切り出すか、または、前記視点列タイプに基づいて補間処理を行って前記視点移動操作に対応する映像を生成する生成部と
して機能させ、
前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの所定の視点映像は、放送網を介して放送され、前記所定の視点映像以外の視点映像は、インターネットを介して配信される
プログラム。
【請求項11】
コンテンツ送信装置とコンテンツ再生装置からなるコンテンツ配信システムにおいて、
前記コンテンツ送信装置は、
異なる複数のビデオカメラにより同時に撮影された複数の視点映像から成る多視点映像コンテンツを保持する保持部と、
前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像の取得先情報、および前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像と隣接して撮影された隣接視点映像の関係性を示す視点列タイプを含むVRT(View Relation Table)を生成する生成部と、
生成された前記VRTをコンテンツ再生装置に供給する供給部と、
保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの所定の視点映像を放送網を介して放送する放送部と、
保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの前記所定の視点映像以外の視点映像をインターネットを介して配信する配信部と
を備え、
前記コンテンツ再生装置は、
前記VRTを取得する取得部と、
ユーザからの視点移動操作を入力する入力部と、
前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうち、入力された前記視点移動操作に対応する、隣接して撮影された複数の前記視点映像を前記VRTに基づいて受信する受信部と、
受信された複数の前記視点映像を前記視点列タイプに基づいて連結した後に所定の領域を切り出すか、または、前記視点列タイプに基づいて補間処理を行って前記視点移動操作に対応する映像を生成する生成部と
を備える
コンテンツ配信システム。」

2 本願発明1の分説
本願発明1を分説すると、次のとおりである。

(本願発明1)
「(A)異なる複数のビデオカメラにより同時に撮影された複数の視点映像から成る多視点映像コンテンツを保持する保持部と、
(B)前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像の取得先情報、および前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像と隣接して撮影された隣接視点映像の関係性を示す視点列タイプを含むVRT(View Relation Table)を生成する生成部と、
(C)生成された前記VRTをコンテンツ再生装置に供給する供給部と、
(D)保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの所定の視点映像を放送網を介して放送する放送部と、
(E)保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの前記所定の視点映像以外の視点映像をインターネットを介して配信する配信部と
を備え、
(F)放送または配信されて前記コンテンツ再生装置に受信された、隣接して撮影された複数の前記視点映像は、前記視点列タイプに基づいて連結された後に所定の領域が切り出されるか、または、前記視点列タイプに基づいて補間処理が行われて、前記前記コンテンツ再生装置のユーザに提示される
(G)コンテンツ送信装置。」

((A)?(G)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)

第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、「セッション切り換え方法及びセッション切り換え装置」(発明の名称)に関し、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審が付与した。)

「[0020] 図1には、複数のUE10がネットワーク側からのコンテンツを使用する状態が模式的に図示されている。なお、ネットワーク側には様々なコンテンツ配信機構が存在し得るが、図1には一例として、コンテンツサーバ30からインターネットなどの媒体を通じてコンテンツが配信される場合(図1の識別子α)、コンテンツサーバ30からテレビジョン放送やラジオ放送など放送ネットワーク40を通じてコンテンツが配信される場合(図1の識別子β)、コンテンツサーバ30から3Gネットワーク(携帯電話ネットワーク)50を通じてコンテンツが配信され、別のUE10との通信を行っている場合(図1の識別子γ)が図示されている。本発明では様々なコンテンツの種別や状態に対応しており、放送、ストリーミング、アップロード、ダウンロード、通信(音声/画像/映像)などの様々なコンテンツが混在していてもよい。」

「[0023] 本発明では、コンテンツを提供するセッション(若しくはコンテンツ自体)や通信セッション内のデータに、コンテンツ切り換えのためのトリガ情報が埋め込まれる。なお、以降の説明では、トリガ情報がコンテンツ(あるいは、セッション)に含まれると表現するが、この表現は、トリガ情報がネットワーク側から送信される任意のデータ(コンテンツ、セッション、通信データなどを含む)に含まれる場合を表しているとする。
[0024] なお、トリガ情報は、コンテンツの切り換えタイミングを示す情報であり、単なるID情報のみが含まれていてもよく、また、切り換えタイミング、コンテンツ切り換え対象者(選択基準)、切り換え先のコンテンツを特定する情報、コンテンツを切り換えた後の切り換え前のコンテンツの取り扱い方法(保持又は解消)などの情報が含まれていてもよい。」

「[0074] (トリガアクションの付加情報)
次に、本発明の実施の形態において、トリガアクションに付加情報として記載される情報について説明する。トリガアクションに記載することが可能な付加情報として、様々な情報を用いることが可能である。なお、トリガアクションに記載される付加情報は、シーケンス情報に含まれるトリガアクションに記載されてもよく(上述の第1の例に対応)、トリガ情報に含まれるトリガアクションに記載されてもよい(上述の第2の例に対応)。例えば、以下に挙げる情報を付加情報として記載することが可能である。
[0075] トリガアクションに記載される付加情報として、カメラアングルの選択に関する情報が用いられてもよい。ネットワーク側から複数のコンテンツをまとめ、並行して1つのコンテンツとして提供する場合(例えば、マルチアングル映像や、多国語対応の映像音声などが複数のセッションに振り分けられているような場合)、コンテンツサーバ30から配信されるコンテンツに、カメラアングルなどの選択や変更可能なタイミングでトリガ情報が挿入される。UE10は、このトリガ情報を検出すると、トリガ情報に対応するトリガアクションを見つけるとともに付加情報を参照し、セッションによってカメラアングルの選択が可能なことを把握する。この場合、UE10は、ユーザの入力やプレファレンスなどに従って、所望のカメラアングルに関連するセッションへの切り換えを行うことが可能となる。」





(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)の記載事項によると、引用文献1に記載された「コンテンツサーバ」は、次の各部を備えている。

ア 段落[0075]によると、複数のカメラアングルの映像であるマルチアングル映像を1つのコンテンツとして提供するから、「コンテンツサーバ」は、「複数のカメラアングルの映像であるマルチアングル映像を保持する保持部」を備えているといえる。

イ 段落[0023]、[0024]によると、コンテンツには、コンテンツを切り換えるためのトリガ情報が埋め込まれ、トリガ情報には、切り換え先のコンテンツを特定するための情報が含まれる。
また、段落[0074]、[0075]によると、トリガ情報には、カメラアングルの選択に関する情報がある。
そうすると、トリガ情報として、「カメラアングルの選択に関し、切り換え先のコンテンツを特定するための情報」が含まれるといえる。
トリガ情報は、コンテンツに埋め込まれるから、埋め込むために、コンテンツサーバは、「トリガ情報を生成する生成部」を備えているといえる。

ウ 段落[0023]によると、「トリガ情報がネットワーク側から送信される任意のデータ」「に含まれる」から、コンテンツサーバは、「トリガ情報を端末に供給する供給部」を備えているといえる。

エ 段落[0020]によると、「コンテンツサーバ」は、放送ネットワークを通じてコンテンツを配信するから、「コンテンツを放送ネットワークを介して配信する配信部」を備えている。
また、段落[0020]によると、「コンテンツサーバ」は、インターネットなどの媒体を通じてコンテンツを配信するから、「コンテンツをインターネットを介して配信する配信部」を備えている。

オ 以上より、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。この発明を以下「引用発明」という。

(引用発明)
「(a)複数のカメラアングルの映像であるマルチアングル映像を保持する保持部と、
(b)カメラアングルの選択に関し、切り換え先のコンテンツを特定するための情報が含まれるトリガ情報を生成する生成部と、
(c)前記トリガ情報を端末に供給する供給部と、
(d)コンテンツをインターネットを介して配信する配信部と、
(e)コンテンツを放送ネットワークを介して配信する配信部と
(f)を備えるコンテンツサーバ。」

なお、(a)?(f)は、構成を識別するために付与した。以下各構成を「構成a」等という。

2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、
「3DAVでは複数のカメラからの画像情報を組み合わせて利用することを想定し、想定しているカメラ配置は、カメラがある直線方向あるいは平面に並んだ配置、ある点を中心に内向きにカメラを並べた配置、ある点を中心に外向きにカメラを並べた配置であり、そのカメラの位置情報であるカメラパラメータを利用すること」、及び「視聴者が見る視点を自由に選択できる映像表現としての自由視点テレビ」
が記載されている。

3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、「放送とネットワークサービスと連携して使用するHybridcast」(Hybridcastは商標)が開示されてる。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 構成要件Aと構成aとを対比する。
引用発明の「複数のカメラアングルの映像であるマルチアングル映像」は、本願発明1の「異なる複数のビデオカメラにより同時に撮影された複数の視点映像から成る多視点映像コンテンツ」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「異なる複数のビデオカメラにより同時に撮影された複数の視点映像から成る多視点映像コンテンツを保持する保持部」を備える点で一致する。

イ 構成要件B、Fと構成bとを対比する。
構成要件bの「切り換え先のコンテンツを特定するための情報」は、構成要件Bの「前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像の取得先情報」に相当する。
そうすると、本願発明1と引用発明とは、「前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像の取得先情報を含む特定情報を生成する生成部」を備える点で共通する。
しかしながら、「特定情報」が、本願発明1においては、「前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像と隣接して撮影された隣接視点映像の関係性を示す視点列タイプ」をさらに含む「VRT(View Relation Table)」であるのに対し、引用発明においては、「前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像と隣接して撮影された隣接視点映像の関係性を示す視点列タイプ」をさらに含む「VRT(View Relation Table)」ではない点で相違し、
この相違に伴い、本願発明1は、さらに、「放送または配信されて前記コンテンツ再生装置に受信された、隣接して撮影された複数の前記視点映像は、前記視点列タイプに基づいて連結された後に所定の領域が切り出されるか、または、前記視点列タイプに基づいて補間処理が行われて、前記前記コンテンツ再生装置のユーザに提示される」のに対し、引用発明は、「放送または配信されて前記コンテンツ再生装置に受信された、隣接して撮影された複数の前記視点映像は、前記視点列タイプに基づいて連結された後に所定の領域が切り出されるか、または、前記視点列タイプに基づいて補間処理が行われて、前記前記コンテンツ再生装置のユーザに提示される」ものではない点で相違する。

ウ 構成要件Cと構成cとを対比する。
引用発明の「端末」は、本願発明1の「コンテンツ再生装置」に相当する。
「特定情報」が本願発明1と引用発明とで相違することは上記イのとおりである。
したがって、本願発明1と引用文献とは、「生成された前記特定情報をコンテンツ再生装置に供給する供給部」を備える点で共通する。
しかしながら、「前記特定情報」が、本願発明1においては「前記VRT」であるのに対し、引用発明においては、「前記VRT」でない点で相違する。

エ 構成要件D、Eと構成d、eとを対比する。
引用発明の「コンテンツを放送ネットワークを介して配信する配信部」、「コンテンツをインターネットを介して配信する配信部」は、それぞれ、「視点映像を放送網を介して放送する放送部」、「視点映像をインターネットを介して配信する配信部」といえる。
しかしながら、放送部が放送する「視点映像」、配信部が配信する「視点映像」が、それぞれ、本願発明1においては、「保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの所定の視点映像」、「保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの前記所定の視点映像以外の視点映像」であるのに対し、引用発明においては、「保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの所定の視点映像」、「保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの前記所定の視点映像以外の視点映像」ではない点で相違する。

オ 構成要件Gと構成fとを対比する。
引用発明の「コンテンツサーバ」は、コンテンツを送信するから「コンテンツ送信装置」といえる。

カ 以上より、本願発明1と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「異なる複数のビデオカメラにより同時に撮影された複数の視点映像から成る多視点映像コンテンツを保持する保持部と、
前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像の取得先情報を含む特定情報を生成する生成部と、
生成された前記特定情報をコンテンツ再生装置に供給する供給部と、
視点映像を放送網を介して放送する放送部と、
視点映像をインターネットを介して配信する配信部と
を備える
コンテンツ送信装置。」

(相違点1)
「特定情報」が、
本願発明1においては、「前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像と隣接して撮影された隣接視点映像の関係性を示す視点列タイプ」をさらにを含む「VRT(View Relation Table)」であるのに対し、引用発明においては、「前記多視点映像コンテンツを構成する各視点映像と隣接して撮影された隣接視点映像の関係性を示す視点列タイプ」をさらにを含む「VRT(View Relation Table)」ではない点で相違し、
この相違に伴い、
本願発明1は、「放送または配信されて前記コンテンツ再生装置に受信された、隣接して撮影された複数の前記視点映像は、前記視点列タイプに基づいて連結された後に所定の領域が切り出されるか、または、前記視点列タイプに基づいて補間処理が行われて、前記前記コンテンツ再生装置のユーザに提示される」のに対し、
引用発明は、「放送または配信されて前記コンテンツ再生装置に受信された、隣接して撮影された複数の前記視点映像は、前記視点列タイプに基づいて連結された後に所定の領域が切り出されるか、または、前記視点列タイプに基づいて補間処理が行われて、前記前記コンテンツ再生装置のユーザに提示される」ものではない点

(相違点2)
放送部が放送する「視点映像」、配信部が配信する「視点映像」が、それぞれ、
本願発明1においては、「保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの所定の視点映像」、「保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの前記所定の視点映像以外の視点映像」であるのに対し、
引用発明においては、「保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの所定の視点映像」、「保持されている前記多視点映像コンテンツを構成する複数の視点映像のうちの前記所定の視点映像以外の視点映像」ではない点

(2)相違点についての判断
相違点1について検討する。
引用文献2には、カメラ配置として、カメラがある直線方向あるいは平面に並んだ配置、ある点を中心に内向きにカメラを並べた配置、ある点を中心に外向きにカメラを並べた配置があり、そのカメラの位置情報であるカメラパラメータを利用することは開示されているが、カメラ配置のタイプを含ませた特定情報を生成すること、すなわち、「視点列タイプ」を含む「VRT」を生成することは、開示されていない。
さらに、前記「視点列タイプ」に関し、引用文献2には、「放送または配信されて前記コンテンツ再生装置に受信された、隣接して撮影された複数の前記視点映像は、前記視点列タイプに基づいて連結された後に所定の領域が切り出されるか、または、前記視点列タイプに基づいて補間処理が行われて、前記前記コンテンツ再生装置のユーザに提示される」ことも開示されていない。
また、引用文献3にも、相違点1に係る構成が開示されているとも認められない。
そして、相違点1に係る構成が自明の事項であるとも認められない。
したがって、引用発明に、引用文献2、引用文献3に記載された技術的事項を適用しても、相違点1に係る構成を備えるようにすることは、当業者であっても、容易に想到することはできない。
よって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2?11について
本願発明2?3は、請求項1の記載を引用する発明であるから、本願発明1と同じ理由で、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
本願発明4、5は、本願発明1のカテゴリの異なる発明であって、上記相違点1と同様の構成を有しているから、本願発明1と同様な理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
本願発明6は、コンテンツ送信装置である本願発明1に対応するコンテンツ再生装置であって、上記相違点1と同様の構成を有しているから、本願発明1と同様な理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
本願発明9、10は、本願発明6のカテゴリの異なる発明であって、上記相違点1と同様の構成を有しているから、本願発明6と同様な理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
本願発明7?8は、請求項6の記載を引用する発明であって、上記相違点1と同様の構成を有しているから、本願発明6と同じ理由で、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
本願発明11は、コンテンツ配信システムであって、本願発明1の「コンテンツ送信装置」と本願発明6の「コンテンツ再生装置」を備えているものであり、上記相違点1と同様の構成を有しているから、本願発明1と同様な理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定について
上記第3?第5のとおり、本願発明1?11は、原査定において引用された引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-15 
出願番号 特願2012-536381(P2012-536381)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 後藤 嘉宏  
特許庁審判長 篠原 功一
特許庁審判官 清水 正一
小池 正彦
発明の名称 コンテンツ送信装置、コンテンツ送信方法、コンテンツ再生装置、コンテンツ再生方法、プログラム、およびコンテンツ配信システム  
代理人 稲本 義雄  
代理人 西川 孝  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ