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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A47K
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A47K
管理番号 1331148
審判番号 不服2016-7867  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-30 
確定日 2017-08-29 
事件の表示 特願2013-249243「便器上面設備」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月 3日出願公開、特開2014- 57884、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年2月24日に出願した特願2009-40992号(以下「原出願」という。)の一部を平成25年12月2日の新たな特許出願としたものであって、平成26年11月4日付けで拒絶理由通知がされ、平成27年1月9日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされ、さらに平成27年6月18日付けで拒絶理由通知がされ、平成27年8月19日に意見書が提出され、平成28年2月26日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成28年5月30日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(平成28年2月26日付け拒絶査定)の理由の概要は次のとおりである。

「 理由
1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。


本願の特許請求の範囲又は明細書には、本願の原出願である特願2009-40992号(特開2010-194039号公報)の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内でない事項も記載されていると認められる。
原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面には、その全体にわたって、補強体が、主板部に重なるプレート部と、該プレート部から垂下板部に沿って突出した突出部とを有し、該プレート部と該突出部とによってコーナー部およびその直近部を補強することが記載されており、プレート部のみによる補強体については全く記載されていないから、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲、又は図面に記載された事項の範囲内であると認めることができない。
よって、本願は分割出願の要件を満たしていないことから出願日の遡及を認めることはできず、本願発明の特許要件の判断の基準日は、その現実の出願日である平成25年12月2日である。

●理由1(特許法第29条第1項第3号)について
・請求項 1-6
・引用文献等 1
・備考
引用文献1に記載される発明と、本願の請求項1-6に係る発明との間に差異はない。

<引用文献等一覧>
1.特開2010-194039号公報 」


第3 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」」といい、全体を「本願発明」という。)は、平成27年1月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、その請求項1には次のとおり記載されている。

「【請求項1】
洋風便器の後部上面に設置されるケーシングと、該ケーシングに起倒回動可能に取り付けられた便蓋及び便座とを備え、
該ケーシングに、起立した該便蓋の後縁が当接する受止部が設けられた便器上面設備であって、
該便蓋は、前記便座の上面に被さる主板部と、
該主板部の両側縁及び前縁から垂下する垂下板部と、
後部に設けられた軸支部と
を有し、該軸支部が前記ケーシングに回動可能に取り付けられている便器上面設備において、
便器左右方向に間隔をおいて2個の前記受止部が設けられており、
該便蓋が起立したときに、該便蓋の後縁のうち少なくとも前記主板部と垂下板部とが交わるコーナー部又はその直近部が前記受止部に当接するストッパ部として構成されており、
該便蓋に、該便蓋の後縁のうち少なくとも前記コーナー部及びその直近部を補強する補強体が設けられており、
該補強体は、前記主板部に重なるプレート部を有しており、
該ストッパ部は、主板部の後縁の左右両端側を後方へ延長するようにして形成されており、各ストッパ部の下面側にそれぞれ該補強体が取り付けられ、
該補強体のプレート部は、ストッパ部の下面から、それよりも前方側の主板部の下面にまで延在する大きさの略長方形板状のものとなっていることを特徴とする便器上面設備。」

なお、本願発明2-6は、本願発明1を直接または間接的に引用して
、本願発明1を減縮した発明である。


第4 判断
1 本出願の分割要件について
原査定の理由は、本願が分割要件を満たしていないことを前提に、本願の出願日を現実の出願日である平成25年12月2日と認定した上で、本願発明1ないし本願発明6は引用文献1に記載された発明であると判断したものである。ここで、引用文献1は、本願の現実の出願日前であって、原出願日の出願日後に頒布された公報である。
そして、原査定において、本願の請求項1に記載される「該補強体は、前記主板部に重なるプレート部を有しており、」との事項、つまり「プレート部」による「補強体」が、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「原出願当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内でないと認定しているので、本願発明1の「プレート部」による「補強体」が原出願当初明細書等に記載された事項の範囲内のものか否かについて、以下検討する。

(1)原出願当初明細書等に記載された事項
原出願の出願当初明細書等には次の事項が記載されている。(なお、下線は審決において付与した。)

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、洋風便器の後部上面に設置される便座ボックスなどのケーシングと、該ケーシングに起倒回動可能に取り付けられた便蓋及び便座とを備えた便器上面設備に係り、特に、便蓋を起立させたときに、この便蓋の後縁がケーシングの受止部に当接するように構成された便器上面設備に関する。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般的に、便蓋の後縁は、主板部と垂下板部とがL字状に交わるコーナー部付近において最も剛性が高く、このコーナー部から離隔するほど剛性が低くなり、凸部に接触したときに撓み易くなる。
【0011】
上記特開2003-190041号公報では、便蓋の後縁のうち、このコーナー部から各軸受け部の分だけ便蓋の左右方向中央側に配置された突起片が凸部に当接するようになっているので、この突起片が凸部に当接したときに、便蓋の後縁が撓み易い。
【0012】
通常の場合、便蓋は、合成樹脂の射出成形品よりなり、合成樹脂としては、成形性の良いABSが用いられることが多い。このABSは、比較的強度及び剛性が低い。そのため、同号公報のように、便蓋の開閉に伴って突起片が繰り返し凸部に当接し、その度に便蓋の後縁が撓むと、便蓋の後縁が破損し易い。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、便蓋の起立時に便蓋の後縁をケーシングの受止部に当接させるようにした便器上面設備において、便蓋の後縁の耐久性を向上させることを目的とする。」

ウ 「【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の便器上面設備は、洋風便器の後部上面に設置されるケーシングと、該ケーシングに起倒回動可能に取り付けられた便蓋及び便座とを備え、該ケーシングに、起立した該便蓋の後縁が当接する受止部が設けられた便器上面設備であって、該便蓋は、前記便座の上面に被さる主板部と、該主板部の両側縁及び前縁から垂下する垂下板部と、後部に設けられた軸支部とを有し、該軸支部が前記ケーシングに回動可能に取り付けられている便器上面設備において、該便蓋が起立したときに、該便蓋の後縁のうち少なくとも前記主板部と垂下板部とが交わるコーナー部又はその直近部が前記受止部に当接するように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項2の便器上面設備は、請求項1において、前記ケーシングに、便器左右方向に間隔をおいて2個の前記受止部が設けられており、該受止部同士の間隔は、前記便蓋の後縁の左右方向の幅と略同等であることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3の便器上面設備は、請求項1又は2において、前記便蓋に、該便蓋の後縁のうち少なくとも前記コーナー部及びその直近部を補強する補強体が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
・・・(省略)・・・
【0020】
請求項7の便器上面設備は、請求項5又は6において、該補強体は、前記主板部に重なるプレート部と、該プレート部から前記垂下板部に沿って突出した突出部とを有しており、該主板部に、該プレート部を係止した係止手段が設けられており、該垂下板部に、該突出部が嵌合した前記嵌合部が設けられており、該嵌合部に前記インサートナットが配置されており、該突出部が該インサートナットに対し前記ネジ部材により留め付けられていることを特徴とするものである。」

エ 「【発明の効果】
【0023】
本発明の便器上面設備にあっては、便蓋が起立回動した場合、この便蓋の後縁のうち、少なくとも主板部と垂下板部とが交わるコーナー部又はその直近部が受止部に当接する。このコーナー部付近においては、該主板部と垂下板部とが略L字状に交わっているため、それよりも主板部の左右方向中央側の部分に比べて、剛性が高い。そのため、便蓋の開閉に伴って便蓋の後縁が繰り返し受止部に当っても、便蓋が破損しにくく、便蓋の耐久性が高いものとなる。
【0024】
なお、本発明においては、このコーナー部の直近部とは、便蓋の後縁のうち垂下板部の後端から主板部の左右方向の中央側に0?50mm、特に0?30mmの範囲をいう。
【0025】
請求項2の便器上面設備にあっては、便蓋の起立時には、左右の受止部に便蓋の後縁の左右のコーナー部がそれぞれ当接するため、受止部に便蓋の後縁が当ったときの衝撃が分散される。
【0026】
請求項3の便器上面設備にあっては、少なくともこのコーナー部及びその直近部が補強体によって補強されているので、便蓋の耐久性がより高いものとなる。
【0027】
・・・(省略)・・・
【0030】
請求項7の便器上面設備にあっては、補強体は、主板部と垂下板部との双方に跨って設けられているため、便蓋の後縁が受止部に当ったときに、この主板部と垂下板部とが交わるコーナー部付近が撓むことを確実に防止することができる。この補強体のうち主板部に重なるプレート部は、係止手段によって該主板部に係止されていると共に、このプレート部から垂下板部に沿って突出した突出部は、該垂下板部に設けられた嵌合部に嵌合し、且つ該嵌合部に設けられたインサートナットにネジ留めされている。これにより、補強体がガタつきなくしっかりと便蓋に取り付けられると共に、この補強体により前記コーナー部が高強度となる。」

オ 「【0050】
この実施の形態では、各ストッパ部Sは、主板部11の後縁11aの左右両端側を後方へ延長するようにして形成されており、該後縁11aから後方へフラップ状に所定長さ張り出している。各ストッパ部Sの後端は、主板部11の後縁11aと略平行となっている。各ストッパ部Sは、該後端側ほど下位となるように略円弧状に湾曲している。垂下板部12の左右の後端はそれぞれ各ストッパ部Sの後端まで延在しており、各ストッパ部Sは、主板部11から引き続き、直近の垂下板部12の上縁に連なっている。垂下板部12の左右の後端と各ストッパ部Sの後端とは略面一状となっている。
【0051】
各ストッパ部Sの左右幅は、10?75mm、特に20?50mmであることが好ましい。
【0052】
これらの主板部11、垂下板部12及びストッパ部Sは、ABS、PP(ポリプロピレン)等の、成形性が良好で且つ比較的安価な合成樹脂により一体に成形されている。なお、便蓋10の材質はこれに限定されない。
【0053】
この実施の形態では、各ストッパ部Sの下面側にそれぞれ補強体20が取り付けられている。各補強体20は、この実施の形態では、各ストッパ部Sの下面に重なるプレート部21と、該プレート部21の垂下板部12側(各ストッパ部Sの直近の垂下板部12側。以下、同様。)から該垂下板部12に沿って下方へ突出した略半円柱形状の突出部22とを有している。
【0054】
第5図等に示すように、各プレート部21は、ストッパ部Sの下面から、それよりも前方側の主板部11の下面にまで延在する大きさの略長方形板状のものとなっている。各プレート部21の後端側は、ストッパ部Sの下面に沿って該後端側ほど下位となるように円弧状に湾曲している。」

カ 「【0069】
各補強体20は、PBT、ナイロン等の、前記便蓋本体よりも高強度の合成樹脂により構成されている。なお、補強体20の材質はこれに限定されるものではなく、金属であってもよい。
【0070】
この補強体20を便蓋10に取り付けるに当っては、各係止部13,14よりも主板部11の中央側において、該主板部11の下面にプレート部21の上面を重ね、各係止部13,14にプレート部21の前後両端を係合させつつ、この補強体20を該主板部11の下面に沿って垂下板部12側へスライドさせる。補強体20を垂下板部12に突き当たるまでスライドさせると、この補強体20の突出部22が周壁部16内に嵌合する。その後、主板部11の中央側からボルト挿通孔25を介して各インサートナット18にボルト19を締め込む。これにより、補強体20が便蓋10に固定され、補強体20の取り付けが完了する。
【0071】
この補強体20により、各ストッパ部Sと垂下板部12とが交わる各コーナー部11b付近が補強され、各コーナー部11b付近の剛性が高いものとなっている。」

キ 「【0077】
この便器上面設備にあっては、左右の受止部5,5同士の間隔は、便蓋10の後縁11aの左右方向の幅(即ち垂下板部12の左右の後端同士の間隔)と同等か、それよりも若干小さなものとなっている。そのため、便蓋10が起立回動した場合、第5図の通り、これらの受止部5は、便蓋10の後縁のうち、各ストッパ部Sと垂下板部12の左右の後端とが交わる各コーナー部11b又はその直近部にそれぞれ当接する。
【0078】
このコーナー部11b付近は、各ストッパ部Sと垂下板部12の左右の後端とが略L字状に交わっているため、それよりも主板部11の中央側の部分に比べて、剛性が高い。そのため、便蓋10の開閉に伴って便蓋10の後縁に繰り返し受止部5が当っても、便蓋10が破損しにくく、便蓋10の耐久性が良好である。
【0079】
なお、本発明においては、このコーナー部11bの直近部とは、便蓋10の後縁のうち垂下板部12の後端から主板部11の中央側に0?50mm、特に0?30mmの範囲をいう。
【0080】
この実施の形態では、各補強体20は、各ストッパ部Sと垂下板部12との双方に跨って設けられているで、便蓋10の後縁が各受止部5に当ったときに、各コーナー部11b付近が撓むことを確実に防止することができる。
【0081】
この実施の形態では、補強体20のうち主板部11に重なるプレート部21は、各係止部13,14によって該主板部11に係止されている。また、このプレート部21から垂下板部12に沿って突出した突出部22は、該垂下板部12の後端近傍に設けられた周壁部16に嵌合し、且つ該周壁部16の内側に設けられた各インサートナット18に対しボルト19によって留め付けられている。これにより、補強体20がガタつきなくしっかりと便蓋10に取り付けられると共に、この補強体20により各コーナー部11bが高強度となる。
【0082】
この実施の形態では、各周壁部16の後面が各コーナー部11bに臨んでおり、この周壁部16の後面に、各受止部5が係合する係合部17が設けられている。各周壁部16の内側には、補強体20の分厚い突出部22が緊密に嵌合しているので、この係合部17は、他の部位に比べて著しく高強度となっている。便蓋10が起立したときには、この係合部17に各受止部5が係合するので、便蓋10の耐久性が著しく高いものとなる。」

(2)分割要件についての検討
ア 「補強体」について、原出願当初明細書等には、「該補強体は、前記主板部に重なるプレート部と、該プレート部から前記垂下板部に沿って突出した突出部とを有しており、」(上記ウの【0020】)、「この補強体のうち主板部に重なるプレート部は、・・・、このプレート部から垂下板部に沿って突出した突出部は、」(上記エの【0030】)、「各補強体20は、この実施の形態では、各ストッパ部Sの下面に重なるプレート部21と、該プレート部21の垂下板部12側(各ストッパ部Sの直近の垂下板部12側。以下、同様。)から該垂下板部12に沿って下方へ突出した略半円柱形状の突出部22とを有している。」(上記オの【0053】)等と記載されていることから、「プレート部」は「補強体」の一部であることは明らかであり、本願請求項1に記載された「該補強体は、前記主板部に重なるプレート部を有しており、」との構成は、原出願当初明細書等に記載された事項であるといえる。


イ 次に、原出願当初明細書等に記載された「補強体」が、「プレート部」と「突出部」とを有しているものであるところ、そのうちの「プレート部」を本願発明1の発明特定事項とし、「突出部」を発明特定事項としないことについて、検討する。
(ア)まず、本願請求項1には、「該補強体は、前記主板部に重なるプレート部を有しており、」と記載されており、「補強体」が「プレート部」のみである限定は付されていないことから、本願発明1の「プレート部」による「補強体」は、「突出部」の構成を排除するものではない。

(イ)次に、「補強部」の機能についてみると、本願請求項1には、「前記主板部に重なるプレート部を有」する「補強体」は、「該便蓋の後縁のうち少なくとも前記コーナー部及びその直近部を補強する」と記載されているのに対して、原出願当初明細書には、「プレート部」と「突出部」を有する「補強体」が、「該便蓋の後縁のうち少なくとも前記コーナー部及びその直近部を補強する」(上記ウの【0016】)と記載されており、そのうち「プレート部」が、「コーナー部」又は「その直近部」の両方を補強するのかどうか、明確に特定されていない。
しかしながら、原出願当初明細書等には、「プレート部」について、「各補強体は、この実施の形態では、各ストッパ部Sの下面に重なるプレート部21」(上記オの【0053】)であって、「第5図等に示すように、各プレート部21は、ストッパ部Sの下面から、それよりも前方側の主板部11の下面にまで延在する大きさの略長方形板状のものとなっている。各プレート部21の後端側は、ストッパ部Sの下面に沿って該後端側ほど下位となるように円弧状に湾曲している。」(上記オの【0054】)ものである。
さらに、「該プレート部21の垂下板部12側(各ストッパ部Sの直近の垂下板部12側。以下、同様。)から該垂下板部12に沿って下方へ突出した略半円柱形状の突出部22とを有している」(上記オの【0053】)と記載されているように、「突出部」は、「プレート部」の垂下板部付近から垂下板部に沿って下方へ突出したものであるから、つまり「プレート部」は垂下板部に近接した配置にあるといえる。
そうすると、「プレート部」は、「コーナー部」にも近接している訳であるから、「ストッパ部」を補強することは当然であって、さらに「コーナー部」も多少は補強する機能があることは、自明な事項と認められる。

(ウ)以上のとおりであるから、本願請求項1に記載された「該補強体は、前記主板部に重なるプレート部を有しており、」との構成、つまり、本願発明1の「補強体」の構成について、原出願当初明細書に記載された「プレート部」を発明特定事項とし、「突出部」を発明特定事項としないことは、原出願当初明細書等に記載された範囲内の事項でないとは認められない。
よって、本願は、分割要件を満たす出願である。

2 新規性について
上記1(2)で検討したとおり、本願は分割要件を満たす出願であるから、その出願日は、原出願の出願日である平成21年2月24日とみなされる。
そうすると、原査定の理由の根拠となった引用文献1は、本願の出願前に頒布された刊行物ということはできない。
よって、原査定の理由によって新規性を否定することはできない。


第5 むすび
以上のとおり、本願については、分割要件を満たすものであって、その出願日は原出願の出願日であるから、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-14 
出願番号 特願2013-249243(P2013-249243)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (A47K)
P 1 8・ 121- WY (A47K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 油原 博  
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 住田 秀弘
藤田 都志行
発明の名称 便器上面設備  
代理人 森下 賢樹  

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