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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A61M 審判 全部申し立て 2項進歩性 A61M |
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管理番号 | 1331169 |
異議申立番号 | 異議2016-701200 |
総通号数 | 213 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-09-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-12-27 |
確定日 | 2017-06-27 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5947225号発明「面状の蒸発器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5947225号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔8、9〕について訂正することを認める。 特許第5947225号の請求項1ないし7、9ないし11に係る特許を維持する。 特許第5947225号の請求項8に係る特許についての特許異議申立を却下する。 |
理由 |
1 手続の経緯 特許第5947225号の請求項1?11に係る特許についての出願は、2011年3月10日(パリ条約に基づく優先権主張2010年3月10日、オーストリア国)を国際出願日とする出願であって、平成28年6月10日にその特許権の設定登録がされ、その特許に対し、平成28年12月27日に特許異議申立人白井雅恵より特許異議の申立てがされ、平成29年2月24日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年5月24日に訂正の請求がされたものである。 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項9に係る「請求項1から8のいずれか一項」を「請求項1から7のいずれか一項」に訂正する。 (2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、請求項8の記載を削除しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項2は、請求項9が請求項8の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項8を引用しないものとしようとするものであるから、同条同項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 よって、訂正事項1、2に係る訂正は、同条同項ただし書第1号又は第4号に掲げる特許請求の範囲の減縮と他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることとを目的とするものである。そして、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、これらの訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔8、9〕について訂正を認める。 3 本件特許発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項1?11に係る発明(以下、「本件特許発明1?11」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(特許異議申立書8?10頁の記載に倣って構成要件毎に分説して記載する。)。 「【請求項1】 (構成要件A) 抵抗加熱要素内に加熱電流を導入するための少なくとも二つの電極(2、3)を備えており、吸入により摂取可能な物質を、前記抵抗加熱要素を通って面状に流れているまたは流れ得る加熱電流によりインパルス方式で加熱して蒸発させるための面状の電気抵抗加熱要素を含む面状の蒸発器であって、 (構成要件B) 前記抵抗加熱要素が、少なくとも一つのスリット状空隙(5)を有しており、且つ物質を収容しているまたは収容可能な開放気孔性の細孔構造と結合するかまたはその全体が前記細孔構造によって形成されており、 (構成要件C) 前記スリット状空隙(5)は、前記スリット状空隙(5)が存在しなければ前記電極間において形成されるまたは形成可能な電界の力線(4)を押し付けるように形成されており、 (構成要件D) 前記スリット状空隙(5)は、前記面状の蒸発器の端部から延伸する (構成要件E) ことを特徴とする面状の蒸発器。 【請求項2】 (構成要件F) 前記細孔構造自体が前記抵抗加熱要素と同じ電気抵抗材料から成り、前記スリット状空隙(5)が前記細孔構造をも貫くことを特徴とする請求項1に記載の面状の蒸発器。 【請求項3】 (構成要件G) 前記抵抗加熱要素の全体が前記細孔構造により形成されることを特徴とする請求項2に記載の面状の蒸発器。 【請求項4】 (構成要件H) 前記スリット状空隙(5)が、実質的に直線状に延びており、前記スリット状空隙によって押しつけられる電界の力線(4)に対して少なくともほぼ直交に位置合わせされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の面状の蒸発器。 【請求項5】 (構成要件I) 前記スリット状空隙(5)が切込みから成ることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の面状の蒸発器。 【請求項6】 (構成要件J) 前記抵抗加熱要素および前記細孔構造が、金属の抵抗材料から成ることを特徴とする請求項5に記載の面状の蒸発器。 【請求項7】 (構成要件K) 複数の前記スリット状空隙(5)を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の面状の蒸発器。 【請求項8】 (削除) 【請求項9】 (構成要件M) 請求項1から7のいずれか一項に記載の面状の蒸発器(1)を少なくとも一つ含んでいる吸入器コンポーネント。 【請求項10】 (構成要件N) 請求項7記載の面状の蒸発器(1)と、 (構成要件O) 液状物質(19)を前記細孔構造に供給するための、毛管現象により前記細孔構造と連通しているまたは連通可能な液体供給源(18)とを含む吸入器コンポーネントであって、 (構成要件P) 前記細孔構造が、電界の力線(4)の方向に液状物質(19)を供給し、前記スリット状空隙(5)が、力線(4)に対して実質的に平行に位置合わせされた少なくとも1つの列に、相前後して交互にずらして配置されていることを特徴とする吸入器コンポーネント。 【請求項11】 (構成要件N) 請求項7記載の面状の蒸発器(1)と、 (構成要件O) 液状物質(19)を前記細孔構造に供給するための、毛管現象により前記細孔構造と連通しているまたは連通可能な液体供給源(18)とを含む吸入器コンポーネントであって、 (構成要件Q) 前記細孔構造に電界の力線(4)を横切って液状物質(19)が送り込まれ、前記スリット状空隙(5)が実質的に送り込み方向に向いていることを特徴とする吸入器コンポーネント。」 4 取消理由の概要 当審において、請求項8及び9に係る特許に対して通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 (1)請求項8に対し 「前記スリット状空隙(5)が加熱要素面に不均一な密度で分布している」は不明確である。 (2)請求項9に対し 請求項9の記載は、請求項8の記載を引用するものを含むから、上記(1)に記載した理由と同様の理由により不明確である。 (3)以上のとおりであるから、請求項8及び9に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 5 申立理由の概要 特許異議申立人白井雅恵は、証拠として特開平3-277265号公報(甲1号証)、米国特許出願公開第2005/0063686号(甲2号証)、特表2009-537119号公報(甲3号証)及び本件特許に係る出願の審査における平成27年9月1日付け意見書(甲4号証)を提出し、次のとおり主張している。 (申立ての理由1) 本件特許発明8及びこれを引用する本件特許発明9は不明確であって、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、請求項8及び9に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取消されるべきである。 (申立ての理由2) 本件特許発明1?7及び9は甲1号証に記載の発明と同一であり特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1?7及び9に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取消されるべきである。 (申立ての理由3) 本件特許発明1?7、9?11は甲1号証及び甲2?3号証に基づいて当業者が容易になし得たものであり、特許法第29条第2項に該当するから、請求項1?7及び9?11に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取消されるべきである。 6 各甲号証の記載 (1)甲1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている(5頁右下欄6行?8行、5頁右下欄12行?16行、5頁右下欄20行?6頁左上欄2行、8頁右上欄1行?4行、8頁右上欄8行?13行、8頁右上欄14行?18行、8頁右上欄19行、9頁左上欄20行?右上欄5行、9頁右上欄11行?15行、14頁左上欄19行?20行、14頁右上欄2行?4行の記載及びFig.7Eの図示内容を参照。特許異議申立書15頁の記載に倣って、構成要件毎に分説して記載する。)。 「(構成要件a) 構造体74内に加熱電流を導入するための少なくとも二つの基板745を備えており、吸入により摂取可能なフレーバー発生媒体を、構造体74を通って面状に流れているまたは流れ得る加熱電流によりインパルス方式で加熱して蒸発させるための面状の電気抵抗加熱要素を含む面状の構造体74であって、 (構成要件b) 構造体74が、少なくとも一つのスロット740、742を有しており、且つ物質を収容しているまたは収容可能な開放気孔性の細孔構造であるセラミックスの網状物によって形成されており、 (構成要件d) スロット740、742は、構造体74の端部から延伸する (構成要件e) ことを特徴とする構造体。」 (2)甲2号証には、以下の技術的事項(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されている(段落[0002]、[0019]、[0070]?[0073]、[0079]の記載事項及びFig.6A、Fig.6B、Fig.8の図示内容を参照。)。 「吸引により摂取可能な物質を加熱して蒸発させるためのホイル素子9を複数の貫通スリット13を有するものとすることにより、ホイル素子9の中央部分11への電流が入り組んで流れるようにすること。」 (3)甲3号証には、以下の技術的事項(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されている(段落【0039】、【0047】の記載事項及び【図1】?【図10】の図示内容を参照。)。 「エアロゾル電子たばこにおいて、たばこ液を多孔質部材81に供給するための液体収容有孔部材9を有するものとすること。」 7 判断 (7-1)取消理由通知に記載した取消理由について 本件訂正により、請求項8は削除され、また、請求項9は請求項8の記載を引用しないものとされたことにより、請求項8及び9に係る特許についての取消理由は解消された。 (7-2)特許法第29条第1項第3号に関して (7-2-1)本件特許発明1について (ア)本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明は、本件特許発明1のうちの「(構成要件C)前記スリット状空隙(5)は、前記スリット状空隙(5)が存在しなければ前記電極間において形成されるまたは形成可能な電界の力線(4)を押し付けるように形成されており、」との発明特定事項を有していない。 (イ)この点について、特許異議申立人は、「甲1号証の構造体74は、全体的にはリング形状をしているが、これは面状の構造体が湾曲してリング形状を成したものである。・・・図7E及び技術常識に基づけば、構造体74の隣接する2つの基板745に電力を適用すると、参考図1の矢印で示すように、一方の基板745から他方の基板745に向かって構造体74の面に沿って電流が流れる、即ち参考図1の矢印のように電界の力線が形成されることは明らかである。 甲1号証の構造体74にスロット740、742が存在しない場合の電界について検討する。電極間に電圧を印加した場合、電極間を結ぶように電界が発生することは技術常識である。そこで、構造体74の隣接する基板745に電圧を印加すると、以下の参考図2に示すように、電界は主に、隣接する基板745間を結ぶように発生する。そうすると、スロット740、742が存在することにより、隣接する基板745間に形成される電界の力線は、参考図1に示すように、押しつけられるように発生することになる。」とした上で、甲1発明は、「(構成要件c)スロット740、742は、スロット740、742が存在しなければ隣接する基板745間において形成されるまたは形成可能な電界の力線を押し付けるように形成されており、」との構成を有していると主張している(特許異議申立書13?15頁)。 しかしながら、甲1号証には、「多数の種々の可能な別の加熱器の形状は図7A?7Kで示される。・・・図7Eで示される構造体74は2つの交互に差し込んだそれぞれ10個のスロットの組で分けられたグラファイトリングであり、1つの組のスロット740はリングの1方の側741から延びており、もう1つの組のスロット742はリングのもう1方の側743から延びており、741側に隣接するフレーバー発生媒体746で内部または外部を被覆されている10個のU字状の指状物744および743側に隣接する10個の非被覆基板745を形成し、その際各基板745は2つの隣接する指状物744の各々の1つの脚に連結しているので2つの隣接基板745は1つの指状物744に対置した末端に接触している。電力源211から電力を2つの隣接する基板745を横切って適用することによって、熱は主として、上記隣接基板が共通して接触している指状物744中で発生し、フレーバー発生媒体を加熱する。」(8頁右上欄8行?9頁右上欄15行)と記載されている。 したがって、甲1号証には、図7Eに記載された加熱器に関し、構造物74のフレーバー発生媒体746で内部または外部を被覆されている部分に対して、構造物74の1方の側741から延びる隣接する一組のスロット740と、構造物74のもう1方の側743から前記一組のスロット740の間に向かって延びる1つのスロット742とによってU字状の指状物744を形成すると共に、構造物74の非被覆部分に対して、前記1つのスロット742によって隣接する一組の非被覆基板745を形成し、さらに、この一組の非被覆基板745のそれぞれをU字状の指状物744の各々の脚に連結することが記載されている。 そうすると、甲1号証の図7Eに記載された加熱器において、構造物74の、1方の側741から延びる隣接する一組のスロット740と、もう1方の側743から前記一組のスロット740の間に向かって延びる1つのスロット742とは、1方の側741及びもう1方の側743とともに1つのU字状の指状物744とそのU字状の指状物744の各々の脚に連結される一組の非被覆基板745を形成するためのものであるから、これらスロット740とスロット742とが存在しない場合を想定することはそもそもできないものである。 しかも、仮に、スロット740、742が存在しない場合を想定すると、指状物744の各々の脚に連結される一組の非被覆基板745同士が短絡されてしまい、もはや加熱器を構成することができないものとなってしまうものである。 以上から、甲1号証の構造体74において、スロット740、742が存在しない場合の電界を述べ、それを前提として「スロット740、742が存在することにより、隣接する基板745間に形成される電界の力線は、参考図1に示すように、押しつけられるように発生することになる。」との主張と、その主張に基づき、甲1発明は、「(構成要件c)スロット740、742は、スロット740、742が存在しなければ隣接する基板745間において形成されるまたは形成可能な電界の力線を押し付けるように形成されており、」との構成を有しているとの主張とのいずれも理由がない。 (ウ)よって、甲1発明は本件特許発明1の「(構成要件C)前記スリット状空隙(5)は、前記スリット状空隙(5)が存在しなければ前記電極間において形成されるまたは形成可能な電界の力線(4)を押し付けるように形成されており、」との発明特定事項を有していない。 (エ)小括 以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1発明と同一でない。 (7-2-2)本件特許発明2?7及び9について 本件特許発明2?7及び9は本件特許発明1を更に減縮したものであるから、上記「(7-2-1)本件特許発明1について」の理由と同様の理由により、本件特許発明2?7及び9は、甲1発明と同一でない。 (7-2-3)まとめ 以上のとおり、本件特許発明1?7及び9は、甲1発明と同一でないから、特許法第29条第1項第3号の発明に該当しない。 (7-3)特許法第29条第2項に関して (7-3-1)本件特許発明1について 上記「(7-2-1)本件特許発明1について」の(ア)に記載したとおり、本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明は、本件特許発明1のうちの「(構成要件C)前記スリット状空隙(5)は、前記スリット状空隙(5)が存在しなければ前記電極間において形成されるまたは形成可能な電界の力線(4)を押し付けるように形成されており、」との発明特定事項を有していない。 また、上記6に記載したとおり、甲2号証及び甲3号証には、それぞれ、甲2記載事項及び甲3記載事項が記載されているにすぎないから、本件特許発明1に係る上記発明特定事項についての記載も示唆もない。 よって、甲2号証及び甲3号証のいずれにも、本件特許発明1に係る上記発明特定事項についての記載も示唆もあるといえない。 したがって、本件特許発明1は、甲1発明と、甲2記載事項及び甲3記載事項に基づいて当業者が容易になし得るものではない。 (7-3-2)本件特許発明2?7、9?11について 本件特許発明2?7、9?11は本件特許発明1を更に減縮したものであるから、上記「(7-3-1)本件特許発明1について」の理由と同様の理由により、本件特許発明2?7、9?11は、甲1発明と、甲2記載事項及び甲3記載事項に基づいて当業者が容易になし得るものではない。 (7-3-3)まとめ 以上のとおり、本件特許発明1?7、9?11は、甲1発明と、甲2記載事項及び甲3記載事項に基づいて当業者が容易になし得るものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当するものではない。 8 むすび 以上のとおり、本件特許発明1?7及び9は、特許法第29条第1項第3号の発明に該当しない。 また、本件特許発明1?7、9?11は、特許法第29条第2項の規定に該当するものでもない。 したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?7、9?11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1?7、9?11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、請求項8に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項8に対して、異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 抵抗加熱要素内に加熱電流を導入するための少なくとも二つの電極(2、3)を備えており、吸入により摂取可能な物質を、前記抵抗加熱要素を通って面状に流れているまたは流れ得る加熱電流によりインパルス方式で加熱して蒸発させるための面状の電気抵抗加熱要素を含む面状の蒸発器であって、 前記抵抗加熱要素が、少なくとも一つのスリット状空隙(5)を有しており、且つ物質を収容しているまたは収容可能な開放気孔性の細孔構造と結合するかまたはその全体が前記細孔構造によって形成されており、 前記スリット状空隙(5)は、前記スリット状空隙(5)が存在しなければ前記電極間において形成されるまたは形成可能な電界の力線(4)を押し付けるように形成されており、 前記スリット状空隙(5)は、前記面状の蒸発器の端部から延伸する ことを特徴とする面状の蒸発器。 【請求項2】 前記細孔構造自体が前記抵抗加熱要素と同じ電気抵抗材料から成り、前記スリット状空隙(5)が前記細孔構造をも貫くことを特徴とする請求項1に記載の面状の蒸発器。 【請求項3】 前記抵抗加熱要素の全体が前記細孔構造により形成されることを特徴とする請求項2に記載の面状の蒸発器。 【請求項4】 前記スリット状空隙(5)が、実質的に直線状に延びており、前記スリット状空隙によって押しつけられる電界の力線(4)に対して少なくともほぼ直交に位置合わせされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の面状の蒸発器。 【請求項5】 前記スリット状空隙(5)が切込みから成ることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の面状の蒸発器。 【請求項6】 前記抵抗加熱要素および前記細孔構造が、金属の抵抗材料から成ることを特徴とする請求項5に記載の面状の蒸発器。 【請求項7】 複数の前記スリット状空隙(5)を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の面状の蒸発器。 【請求項8】(削除) 【請求項9】 請求項1から7のいずれか一項に記載の面状の蒸発器(1)を少なくとも一つ含んでいる吸入器コンポーネント。 【請求項10】 請求項7記載の面状の蒸発器(1)と、液状物質(19)を前記細孔構造に供給するための、毛管現象により前記細孔構造と連通しているまたは連通可能な液体供給源(18)とを含む吸入器コンポーネントであって、 前記細孔構造が、電界の力線(4)の方向に液状物質(19)を供給し、前記スリット状空隙(5)が、力線(4)に対して実質的に平行に位置合わせされた少なくとも1つの列に、相前後して交互にずらして配置されていることを特徴とする吸入器コンポーネント。 【請求項11】 請求項7記載の面状の蒸発器(1)と、液状物質(19)を前記細孔構造に供給するための、毛管現象により前記細孔構造と連通しているまたは連通可能な液体供給源(18)とを含む吸入器コンポーネントであって、 前記細孔構造に電界の力線(4)を横切って液状物質(19)が送り込まれ、前記スリット状空隙(5)が実質的に送り込み方向に向いていることを特徴とする吸入器コンポーネント。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2017-06-15 |
出願番号 | 特願2012-556343(P2012-556343) |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YAA
(A61M)
P 1 651・ 121- YAA (A61M) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 和田 将彦、上田 真誠 |
特許庁審判長 |
山口 直 |
特許庁審判官 |
橘 均憲 高木 彰 |
登録日 | 2016-06-10 |
登録番号 | 特許第5947225号(P5947225) |
権利者 | バットマーク・リミテッド |
発明の名称 | 面状の蒸発器 |
代理人 | 平木 祐輔 |
代理人 | 松丸 秀和 |
代理人 | 平木 祐輔 |
代理人 | 関谷 三男 |
代理人 | 松丸 秀和 |
代理人 | 渡辺 敏章 |
代理人 | 渡辺 敏章 |
代理人 | 吉川 明 |
代理人 | 吉川 明 |
代理人 | 関谷 三男 |