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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1331245
異議申立番号 異議2017-700632  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-06-20 
確定日 2017-08-10 
異議申立件数
事件の表示 特許第6046768号発明「プログラム、通信システム、サーバの制御方法、及びサーバ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6046768号の請求項1、3、4、7、8、10乃至12に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6046768号の請求項1乃至13に係る特許についての出願は、平成26年7月10日に出願した特願2014-142581号の一部を平成27年6月1日に新たな特許出願としたものであって、平成28年11月25日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人上杉則亮により特許異議の申立てがされたものである。


第2 本件発明
特許第6046768号の請求項1乃至13に係る発明(以下「本件特許発明1」乃至「本件特許発明13」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1乃至13に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
複数のユーザによってプレイされるゲーム媒体を用いたゲームを、ネットワークを介して前記ユーザの通信端末に対して提供するサーバとして機能するコンピュータに、
ゲーム媒体を特定する情報と前記ゲーム媒体が属するグループを特定する情報とを対応づけて記憶部に格納するステップと、
前記ユーザの通信端末から、前記ユーザが指定したグループの情報を含むゲーム媒体取得要求を取得するステップと、
前記ゲーム媒体取得要求に応じて、複数種類の前記ゲーム媒体のうちの、前記ゲーム媒体取得要求に基づいて指定されたグループに属するゲーム媒体の中から抽出したゲーム媒体を前記ユーザの通信端末に提供するステップと、
前記グループに属するゲーム媒体の個数をグループ毎にカウントするステップと、
グループ毎にカウントされた前記グループに属するゲーム媒体の個数を前記ユーザの通信端末に表示させるための情報を前記ユーザの通信端末に送信するステップと
を実行させ、
前記ゲーム媒体が属するグループは2以上設けられ、
該2以上設けられるグループのうち第1のグループには、第1のゲーム媒体と、前記第1のゲーム媒体より希少度が低い第2のゲーム媒体と、前記第2のゲーム媒体より希少度が低い第3のゲーム媒体とが属し、
前記第1のグループとは異なる第2のグループには、前記第1のゲーム媒体が属さず、
前記第2のゲーム媒体と前記第3のゲーム媒体とが属し、
前記第1のグループに属する、前記第1のゲーム媒体、前記第2のゲーム媒体及び前記第3のゲーム媒体の数の合計に対する、前記第1のゲーム媒体及び第2のゲーム媒体の数の合計の比が、前記第2のグループに属する、前記第2のゲーム媒体及び前記第3のゲーム媒体の数の合計に対する、前記第2のゲーム媒体の数の比よりも小さいことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記2以上設けられるグループのうち少なくとも1つのグループを、該グループ以外のグループに属するゲーム媒体の全てが属する包含グループとして、
前記コンピュータに、前記包含グループを含む複数のグループを、1のユーザが指定可能なグループとして表示させるための情報を前記1のユーザの通信端末に送信するステップをさらに実行させることを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記指定されるグループは、前記ユーザによって指定されるグループであることを特徴とする請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータに、前記ゲーム媒体を特定する情報にゲーム媒体が未提供であるか提供済みであるかを示す情報を対応づけるステップをさらに実行させ、
前記提供するステップにおいて、前記ゲーム媒体取得要求に基づいて指定されるグループに属するゲーム媒体のうち、前記ゲーム媒体を特定する情報に前記ゲーム媒体が未提供であることを示す情報が対応づけられているゲーム媒体の中からゲーム媒体を抽出することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記複数種類のゲーム媒体のうち最も高い価値を有するゲーム媒体が、前記複数のグループのうち最も多くのゲーム媒体が属するグループに属することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記ユーザを識別する情報と前記グループを特定する情報とを対応づけて記憶部に格納するステップをさらに含み、
前記グループのうち少なくとも1つのグループを特定する情報に、第1のユーザを識別する情報及び第2のユーザを識別する情報が対応づけられることを特徴とする、請求項1乃至5いずれか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記ユーザの通信端末に提供されたゲーム媒体を特定する情報に提供済みであることを示す情報を対応づけて記憶部に格納するステップと、
前記ユーザの通信端末からリセット要求を受信した場合、前記提供済みであることを示す情報が対応づけられたゲーム媒体を特定する情報に、未提供であることを示す情報を対応づけて記憶部に格納してリセットするステップと
をさらに含む、請求項1乃至6いずれか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記ユーザが指定可能なグループを示す情報を前記ユーザの通信端末に送信するステップを更に含み、
前記ゲーム媒体取得要求を取得するステップにおいて、前記ユーザが、前記指定可能なグループから指定したグループを特定する情報を含むゲーム媒体取得要求を取得し、
前記ユーザが指定可能なグループは、所定の条件に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1乃至7いずれか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記グループに属するゲーム媒体のうち一部のゲーム媒体を特定する情報を、該グループとは異なる他のグループを特定する情報に新たに対応づけて記憶部に格納するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至8いずれか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
通信端末と、
複数のユーザによってプレイされるゲーム媒体を用いたゲームを、ネットワークを介して前記ユーザの通信端末に対して提供するサーバと
を備える通信システムであって、
前記通信端末は、前記ユーザが指定したグループの情報を含むゲーム媒体取得要求を前記サーバに送信し、
前記サーバは、
ゲーム媒体を特定する情報と前記ゲーム媒体が属するグループを特定する情報とを対応づけて記憶部に格納し、
前記ユーザの通信端末から、前記ゲーム媒体取得要求を取得し、
前記ゲーム媒体取得要求に応じて、複数種類の前記ゲーム媒体のうちの、前記ゲーム媒体取得要求に基づいて指定されたグループに属するゲーム媒体の中から抽出したゲーム媒体を前記ユーザの通信端末に提供し、
前記グループに属するゲーム媒体の個数をグループ毎にカウントし、
グループ毎にカウントされた前記グループに属するゲーム媒体の個数を前記ユーザの通信端末に表示させるための情報を前記ユーザの通信端末に送信し、
前記ゲーム媒体が属するグループは2以上設けられ、
該2以上設けられるグループのうち第1のグループには、第1のゲーム媒体と、前記第1のゲーム媒体より希少度が低い第2のゲーム媒体と、前記第2のゲーム媒体より希少度が低い第3のゲーム媒体とが属し、
前記第1のグループとは異なる第2のグループには、前記第1のゲーム媒体が属さず、前記第2のゲーム媒体と前記第3のゲーム媒体とが属し、
前記第1のグループに属する、前記第1のゲーム媒体、前記第2のゲーム媒体及び前記第3のゲーム媒体の数の合計に対する、前記第1のゲーム媒体及び第2のゲーム媒体の数の合計の比が、前記第2のグループに属する、前記第2のゲーム媒体及び前記第3のゲーム媒体の数の合計に対する、前記第2のゲーム媒体の数の比よりも小さいことを特徴とする通信システム。
【請求項11】
複数のユーザによってプレイされるゲーム媒体を用いたゲームを、ネットワークを介して前記ユーザの通信端末に対して提供するサーバの制御方法であって、
サーバが、ゲーム媒体を特定する情報と前記ゲーム媒体が属するグループを特定する情報とを対応づけて記憶部に格納するステップと、
サーバが、前記ユーザの通信端末から、前記ユーザが指定したグループの情報を含むゲーム媒体取得要求を取得するステップと、
サーバが、前記ゲーム媒体取得要求に応じて、複数種類の前記ゲーム媒体のうちの、前記ゲーム媒体取得要求に基づいて指定されたグループに属するゲーム媒体の中から抽出したゲーム媒体を前記ユーザの通信端末に提供するステップと、
サーバが、前記グループに属するゲーム媒体の個数をグループ毎にカウントするステップと、
サーバが、グループ毎にカウントされた前記グループに属するゲーム媒体の個数を前記ユーザの通信端末に表示させるための情報を前記ユーザの通信端末に送信するステップと
を含み、
前記ゲーム媒体が属するグループは2以上設けられ、
該2以上設けられるグループのうち第1のグループには、第1のゲーム媒体と、前記第1のゲーム媒体より希少度が低い第2のゲーム媒体と、前記第2のゲーム媒体より希少度が低い第3のゲーム媒体とが属し、
前記第1のグループとは異なる第2のグループには、前記第1のゲーム媒体が属さず、前記第2のゲーム媒体と前記第3のゲーム媒体とが属し、
前記第1のグループに属する、前記第1のゲーム媒体、前記第2のゲーム媒体及び前記
第3のゲーム媒体の数の合計に対する、前記第1のゲーム媒体及び第2のゲーム媒体の数の合計の比が、前記第2のグループに属する、前記第2のゲーム媒体及び前記第3のゲーム媒体の数の合計に対する、前記第2のゲーム媒体の数の比よりも小さいことを特徴とするサーバの制御方法。
【請求項12】
複数のユーザによってプレイされるゲーム媒体を用いたゲームを、ネットワークを介して前記ユーザの通信端末に対して提供し、
ゲーム媒体を特定する情報と前記ゲーム媒体が属するグループを特定する情報とを対応づけて記憶部に格納し、
前記ユーザの通信端末から、前記ユーザが指定したグループの情報を含むゲーム媒体取得要求を取得し、
前記ゲーム媒体取得要求に応じて、複数種類の前記ゲーム媒体のうちの、前記ゲーム媒体取得要求に基づいて指定されたグループに属するゲーム媒体の中から抽出したゲーム媒体を前記ユーザの通信端末に提供し、
前記グループに属するゲーム媒体の個数をグループ毎にカウントし、
グループ毎にカウントされた前記グループに属するゲーム媒体の個数を前記ユーザの通信端末に表示させるための情報を前記ユーザの通信端末に送信し、
前記ゲーム媒体が属するグループは2以上設けられ、
該2以上設けられるグループのうち第1のグループには、第1のゲーム媒体と、前記第1のゲーム媒体より希少度が低い第2のゲーム媒体と、前記第2のゲーム媒体より希少度が低い第3のゲーム媒体とが属し、
前記第1のグループとは異なる第2のグループには、前記第1のゲーム媒体が属さず、前記第2のゲーム媒体と前記第3のゲーム媒体とが属し、
前記第1のグループに属する、前記第1のゲーム媒体、前記第2のゲーム媒体及び前記第3のゲーム媒体の数の合計に対する、前記第1のゲーム媒体及び第2のゲーム媒体の数の合計の比が、前記第2のグループに属する、前記第2のゲーム媒体及び前記第3のゲーム媒体の数の合計に対する、前記第2のゲーム媒体の数の比よりも小さいことを特徴とするサーバ。
【請求項13】
ユーザによってプレイされるゲーム媒体を用いたゲームを実行する前記ユーザの端末として機能するコンピュータに、
ゲーム媒体を特定する情報と前記ゲーム媒体が属するグループを特定する情報とを対応づけて記憶部に格納するステップと、
前記ユーザから前記グループを指定する情報に係る入力を受け付け、前記ユーザが指定したグループの情報を含むゲーム媒体取得要求を取得するステップと、
前記ゲーム媒体取得要求に応じて、複数種類の前記ゲーム媒体のうちの、前記ゲーム媒体取得要求に基づいて指定されたグループに属するゲーム媒体の中から抽出したゲーム媒体を特定する情報に提供済みであることを示す情報を対応づけて前記記憶部に格納するステップと、
前記グループに属するゲーム媒体の個数をグループ毎にカウントするステップと、
グループ毎にカウントされた前記グループに属するゲーム媒体の個数を表示するステップと
を実行させ、
前記ゲーム媒体が属するグループは2以上設けられ、
該2以上設けられるグループのうち第1のグループには、第1のゲーム媒体と、前記第1のゲーム媒体より希少度が低い第2のゲーム媒体と、前記第2のゲーム媒体より希少度が低い第3のゲーム媒体とが属し、
前記第1のグループとは異なる第2のグループには、前記第1のゲーム媒体が属さず、前記第2のゲーム媒体と前記第3のゲーム媒体とが属し、
前記第1のグループに属する、前記第1のゲーム媒体、前記第2のゲーム媒体及び前記
第3のゲーム媒体の数の合計に対する、前記第1のゲーム媒体及び第2のゲーム媒体の数の合計の比が、前記第2のグループに属する、前記第2のゲーム媒体及び前記第3のゲーム媒体の数の合計に対する、前記第2のゲーム媒体の数の比よりも小さいことを特徴とするプログラム。」


第3 申立理由の概要
特許異議申立人上杉則亮は、証拠として特開2013-247977号公報(以下「甲第1号証」という。)及び「ガンダムカードコレクション ちょい課金日記」、[online]、平成25年11月13日[平成29年6月7日検索]、インターネット (以下「甲第2号証」という。)を提出し、請求項1、3、及び10?12に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1、3、及び10?12に係る特許を取り消すべきものである旨主張し、さらに証拠として、特許5420792号公報(以下「甲第3号証」という。)を提出し、請求項4、7、及び8に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項4、7、及び8に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。


第4 各甲号証の記載
1.甲第1号証
本件特許の出願日前の平成25年12月12日に頒布された特開2013-247977号公報(甲第1号証)には、以下の記載がある。
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数のプレイヤに対してネットワークを介してゲーム媒体を用いたゲームを提供するサーバ装置であって,
前記一又は複数のプレイヤのうちの第1プレイヤに割り当てられた第1デッキに収容されているゲーム媒体の中から,一又は複数のゲーム媒体を第1当選ゲーム媒体として選択する当選ゲーム媒体選択部と,
前記第1当選ゲーム媒体を,前記第1プレイヤを識別する第1プレイヤ識別情報と対応付けて記憶する保有ゲーム媒体情報記憶部と,
前記第1当選ゲーム媒体を前記第1デッキから削除することにより前記第1デッキを更新する更新部と,
を備えるサーバ装置。
【請求項2】
前記第1デッキを識別する第1デッキ識別情報と対応付けて,当該第1デッキに収容されているゲーム媒体の収容個数を記憶する収容ゲーム媒体情報管理部をさらに備え,
前記更新部は,前記当選ゲーム媒体選択部において前記第1当選ゲーム媒体として選択されたゲーム媒体の個数に基づいて,当該第1当選ゲーム媒体として選択されたゲーム媒体の収容個数を更新して前記収容ゲーム媒体情報管理部に記憶させる,
請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記第1デッキに収容されているゲーム媒体の収容個数を前記第1プレイヤの端末装置に表示させる情報提供部をさらに備える請求項1又は2に記載のサーバ装置。

【請求項6】
前記当選ゲーム媒体選択部は,前記第1プレイヤの端末装置から第1ゲーム媒体取得要求を取得したことに応じて前記第1当選ゲーム媒体を選択する請求項1から5のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記第1プレイヤに,前記第1デッキと異なる第2デッキが割り当てられており,
前記当選ゲーム媒体選択部は,前記第1ゲーム媒体取得要求に基づいて,前記第1デッキ又は前記第2デッキのいずれか一方を特定し,当該特定されたデッキに収容されているゲーム媒体の中から,一又は複数のゲーム媒体を前記第1当選ゲーム媒体として選択する,
請求項6に記載のサーバ装置。
【請求項8】
前記当選ゲーム媒体選択部は,前記第1ゲーム媒体取得要求に基づいて,第1抽選アルゴリズム又は第2抽選アルゴリズムのいずれか一方を特定し,当該特定された抽選アルゴリズムを用いて,一又は複数のゲーム媒体を前記第1当選ゲーム媒体として選択する,
請求項6又は7に記載のサーバ装置。」
(2)「【技術分野】
【0001】
本発明は,ゲーム媒体を利用したゲームを提供するサーバ装置に関する。」
(3)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゲーム媒体の取得要求を行うためにはゲーム内ポイント等の消費が条件とされることが多いため,レアカードを入手するまでに必要な取得要求の回数が増加すると,消費されるポイント数等のコストも増大する。しかしながら,プレイヤに提供するゲーム媒体を一定の母集団の中から当選確率に基づいて決定する方式では,レアカードを入手するまでに必要となる取得要求の回数は確率的に予測する他ない。実際に発生するコストは,確率的な予測(期待値)とは必ずしも一致せず,むしろ多少なりとも予測値から外れることが多い。したがって,プレイヤに提供するゲーム媒体を一定の母集団の中から当選確率に基づいて決定する方式では,プレイヤに対して,所望のゲーム媒体を入手するために必要なコストの正確な予測を提供することができない。
【0006】
そこで,本発明は,所望のゲーム媒体を取得するまでに必要なコストのより正確な予測を可能とするサーバ装置を提供することを目的の一つとする。本発明の他の目的は,本明細書全体を参照することによって明らかとなる。」
(4)「【0012】
図1は,本発明の一実施形態におけるゲームシステムを概略的に示すブロック図である。図1に示すように,本発明の一実施形態に係るオンラインゲーム用サーバ装置10(以下,単に「サーバ装置10」ということがある。)は,インターネット等の通信網20を介して,通信機能を備える複数の端末装置30-1,30-2,・・・,30-N(以下,「端末装置30」と総称することがある。)と通信可能に接続されている。サーバ装置10は,本発明の一実施形態に係るゲームシステムの一部又は全部を実装する装置の一例である。
【0013】
サーバ装置10は,図示のとおり,CPU11と,メインメモリ12と,ユーザI/F13と,通信I/F14と,外部メモリ15と,ディスクドライブ16とを含み,これらの各構成要素がバス17を介して互いに電気的に接続されている。CPU11は,外部メモリ15からオペレーティングシステムやオンラインゲームの進行を制御する様々なプログラムをメインメモリ12にロードし,ロードしたプログラムに含まれる命令を実行する。メインメモリ12は,CPU11が実行するプログラムを格納するために用いられ,例えば,DRAMによって構成される。」
(5)「【0019】
このように,サーバ装置10は,ゲームサービスを提供するウェブサイトを管理し,当該ウェブサイトを構成するウェブページを端末装置30からの要求に応じて配信することにより,ゲームを進行させることができる。また,サーバ装置10は,このようなブラウザゲームとは代替的に,又は,ブラウザゲームに加えて,端末装置30で実行されるゲームアプリケーションとゲームで用いられる各種データを通信することによりゲームを進行させることができる。サーバ装置10は,いずれの態様でゲームを提供するにしても,各プレイヤを識別する識別情報(後述する)ごとにゲームの進行に必要なデータを記憶することができる。サーバ装置10によって提供されるゲームには,アクションゲーム,ロールプレイングゲーム,野球対戦ゲーム,カードゲーム等の任意のゲームが含まれる。サーバ装置10のウェブサイト又はゲームアプリケーションによって実現されるゲームの種類は,本明細書において明示されたものに限られない。」
(6)「【0031】
端末装置30においては,様々なゲームが実行される。端末装置30において実行されるゲームにおいては,電子的なカード,アイテム,ゲーム内で利用可能な仮想通貨等の様々なゲーム媒体が用いられる。ゲーム媒体は,ゲームの進行のためにプレイヤによって用いられる電子データの総称であり,例えば,カード,アイテム,キャラクタ,及びアバタを含む。本発明の一態様において,ゲーム媒体は,ゲームの進行に応じ,プレイヤによって,ゲーム内で,取得,保有,使用,管理,交換,合成,強化,売却,廃棄,及び/又は贈与等され得るが,ゲーム媒体の利用態様は本明細書で明示されるものには限られない。ゲーム内でカードを売却する場合には,現実の通貨ではなく,ゲーム内で使用される仮想通貨がカードを売却する対価としてプレイヤに支払われてもよい。ゲーム媒体には,例えば,ゲームの進行において適宜参照される属性情報(例えば,「レアリティ(rarity)」「レベル」,「攻撃力」,「防御力」,「ゲーム媒体の名称」等)が設定される。これらの属性情報の少なくとも一部はゲームの進行に伴って更新され得る。プレイヤは,更新された属性情報を有するゲーム媒体を用いてゲームを進行させることができる。例えば,カードゲームにおいては,プレイヤは,ゲーム内で一又は複数のカードを保有し,その保有するカードを用いてミッションを攻略したり,当該カードを用いて他のプレイヤやノンプレイヤキャラクタと対戦することによりゲームを進行させることができる。本出願人は,Mobage(登録商標)プラットフォーム上において,様々な種類のカードゲームを提供している。
【0032】
本発明の実施形態におけるゲームで用いられるゲーム媒体は,ゲーム媒体収容デッキ(本明細書において,単に「デッキ」と呼ぶこともある。)と呼ばれる単位でサーバ装置10において管理されており,各プレイヤは,自らに割り当てられたデッキに収容されているゲーム媒体を端末装置30を介して取得し,取得したゲーム媒体を用いてゲームを進行させることができる。デッキには有限個のゲーム媒体が収容される。ゲームの各プレイヤに対して個別にデッキが割り当てられる。デッキに収容されるゲーム媒体は,プレイヤごとに異なっていてもよく,同じゲーム媒体を収容するデッキを各プレイヤに割り当ててもよい。
【0033】
デッキ識別情報記憶部52は,各プレイヤを識別するプレイヤ識別情報と対応付けて,当該プレイヤに割り当てられたデッキを識別するデッキ識別情報を記憶する。デッキ識別情報記憶部52は,例えば,外部メモリ15や外部のデータベースサーバ等に設けられるデッキ識別情報管理テーブルにより実現される。図4は,デッキ識別情報管理テーブルの一例を示す。図示のとおり,デッキ識別情報管理テーブルにおいては,各プレイヤを識別するプレイヤ識別情報と対応付けて,当該プレイヤに割り当てられたデッキを識別するデッキ識別情報が記憶される。図4に示した例では,プレイヤ識別情報「000001」と対応付けて,デッキ識別情報「D000001」が記憶されている。
【0034】
「プレイヤ識別情報」は,ゲームのプレイヤを識別する識別コードであり,例えば,10進数6桁の数字で構成される。プレイヤ識別情報のコード体系は,本明細書で明示されるものに限られず,任意のコード体系をプレイヤ識別情報として用いることができる。例えば,プレイヤ識別情報は,アルファベットを含むこともできる。プレイヤ識別情報は,例えば,プレイヤがゲームに初めてログイン又は利用登録する際にそのプレイヤに割り当てられ,当該プレイヤは,再ログイン時にも同じプレイヤ識別情報を使い続けることが通常である。このように,プレイヤ識別情報は,ゲームにおいて各プレイヤを識別するための,各プレイヤに固有の識別情報である。「デッキ識別情報」は,ゲームにおいて用いられるデッキを識別する識別コードであり,例えば,アルファベットと10進数6桁の数字で構成される。デッキ識別情報のコード体系は,本明細書で明示されるものに限られず,任意のコード体系をデッキ識別情報として用いることができる。
【0035】
各デッキに収容されているゲーム媒体に関する情報(以下,「収容ゲーム媒体情報」と呼ぶことがある。)は,収容ゲーム媒体情報記憶部53によって記憶される。収容ゲーム媒体情報記憶部53は,例えば,外部メモリ15や外部のデータベースサーバ等に設けられる収容ゲーム媒体情報管理テーブルにより実現される。図5は,収容ゲーム媒体情報管理テーブルの一例を示す。図示のとおり,収容ゲーム媒体情報管理テーブルには,デッキ識別情報に対応付けて,当該デッキ識別情報で識別されるデッキに収容される一又は複数のゲーム媒体に関する収容ゲーム媒体情報が記憶されている。収容ゲーム媒体情報には,当該デッキに収容されているゲーム媒体(又はその種別)を識別するゲーム媒体識別情報と,当該ゲーム媒体の「レアリティ値」,「総収容個数」,及び「収容個数」が含まれ得る。
【0036】
「ゲーム媒体識別情報」は,プレイヤが保有するゲーム媒体(又はその種別)を識別する識別コードであり,例えば,アルファベットと10進数6桁の数字との組み合わせで構成される。ゲーム媒体識別情報のコード体系は,本明細書で明示されるものに限られず,任意のコード体系をゲーム媒体識別情報として用いることができる。」
(7)「【0039】
ゲーム媒体の「総収容個数」は,デッキの初期状態において,各デッキに収容されている当該ゲーム媒体の個数を示す。上述したように,ゲーム媒体のレアリティ値が高いほど,デッキに収容されている当該ゲーム媒体の個数が少なくなるように各ゲーム媒体の「総収容個数」を決定することができる。図5の例においては,レアリティ値がいずれも最も低い「1」に設定されているゲーム媒体識別情報「M000001」で識別されるゲーム媒体(以下,「ゲーム媒体1」などと呼ぶことがある。)及びゲーム媒体識別情報「M000005」で識別されるゲーム媒体(ゲーム媒体5)の総収容個数がいずれも「50」に設定されている。一方,レアリティ値が最も高い「4」に設定されているゲーム媒体識別情報「M000004」で識別されるゲーム媒体(ゲーム媒体4)の総収容個数は「1」に設定されている。したがって,このデッキに収容されているゲーム媒体の中からランダムにゲーム媒体を選択すると,ゲーム媒体4が選択される確率は,ゲーム媒体1が選択される確率の50分の1となる(ゲーム媒体5との比較も同様)。
【0040】
ゲーム媒体の「収容個数」は,後述する当選ゲーム媒体がプレイヤに提供された後にデッキに残存しているゲーム媒体の個数を示す。後述するように,デッキ識別情報「D000001」で識別されるデッキ(以下,「デッキ1」と呼ぶことがある。)に収容されているゲーム媒体のうち当選ゲーム媒体として選択されたゲーム媒体は,プレイヤ識別情報「000001」で識別されるプレイヤ(以下,「プレイヤ1」と呼ぶことがある。)に対して提供される。ゲーム媒体の「収容個数」は,当該ゲーム媒体の「総収容個数」から,プレイヤに提供された当該ゲーム媒体の個数を減じることにより算出される。このようにして算出されたゲーム媒体のデッキ内における残存数が,収容ゲーム媒体情報管理テーブルの「収容個数」の領域に記憶される。」
(8)「【0056】
収容ゲーム媒体情報提供部58は,デッキ識別情報記憶部52が記憶する収容ゲーム媒体情報の少なくとも一部をプレイヤの端末装置30に提供することができる。例えば,収容ゲーム媒体情報提供部58は,収容ゲーム媒体情報管理テーブルに記憶されている各ゲーム媒体の「レアリティ値」,「名称」,「総収容個数」,「収容個数」の一部又は全部を含むウェブページを生成し,生成したウェブページを端末装置30に提供して,端末装置30に表示させることができる。この表示例が図10に示されている。図10の表示例については後述する。」
(9)「【0059】
プレイヤが端末装置30を操作して,ゲーム媒体取得要求画面内の「取得要求する」と表示されている操作ボタンを選択すると,端末装置30は,ゲーム媒体取得要求を生成し,生成したゲーム媒体取得要求をサーバ装置10に対して送信する。ゲーム媒体取得要求には,例えば,プレイヤ1のプレイヤ識別情報が含まれる。続いて,サーバ装置10は,工程704において,プレイヤ1の端末装置30から送信されたゲーム媒体取得要求を取得する。次に,工程706に進んで,取得されたゲーム媒体取得要求に応じて,当選ゲーム媒体選択部54によって,デッキ識別情報管理テーブルが参照されてプレイヤ1に割り当てられているデッキ1が特定され,このデッキ1に収容されているゲーム媒体の中から,上述した所定の抽選アルゴリズムに従って当選ゲーム媒体が選択される。例えば,1個のゲーム媒体1が当選ゲーム媒体として選択された場合には,プレイヤ1の端末装置30に対して,図9に示す当選ゲーム媒体の表示画面に対応するウェブページが生成され,生成されたウェブページがプレイヤ1の端末装置30に送信される。プレイヤ1の端末装置30は,受信したウェブページを解析して,図9に例示したような当選ゲーム媒体を含む表示画面を表示する。ユーザは,図9の表示画面を見ることにより,抽選によりいずれのゲーム媒体が当選ゲーム媒体として選択されたか確認できる。
【0060】
なお,サーバ装置10は,各プレイヤがゲーム内で獲得したゲームポイントや,ゲームの提供者から購入した複数のゲームで使用可能なポイントを,当該プレイヤのプレイヤ識別情報と対応付けて記憶することができる。サーバ装置10は,プレイヤ1から取得したゲーム媒体取得要求に基づいて,プレイヤ1のプレイヤ識別情報と対応付けて記憶されているゲームポイント等のポイントを更新することができる。例えば,図8に示した例では,1回のゲーム媒体取得要求によって100ポイントのゲームポイントを消費することが示されている。図8に示すウェブページから生成されたゲーム媒体取得要求を取得した場合には,プレイヤ1が保有するゲームポイントから100ポイントを減算することができる。
【0061】
次に,工程708に進んで,当選ゲーム媒体として選択されたゲーム媒体1は,プレイヤ1の保有ゲーム媒体に追加される。具体的には,保有ゲーム媒体情報記憶部56によって,図6の保有ゲーム媒体管理テーブルに記憶されているプレイヤ1の保有個数が「1」だけ増加するように更新される。図6に示すように,プレイヤ1がゲーム媒体取得要求の送信前に8個のゲーム媒体1を保有していた場合には,このゲーム媒体1の保有数が9個となるように,保有ゲーム媒体管理テーブルが更新される。」
(10)「【0070】
図11に示すように,本実施形態に係るデッキ識別情報管理テーブルは,各プレイヤを識別するプレイヤ識別情報と対応付けて,当該プレイヤに割り当てられた一又は複数のデッキを識別するデッキ識別情報を記憶する。例えば,図11のデッキ識別情報管理テーブルには,プレイヤ識別情報「000001」と対応付けて,デッキ識別情報「D000001-1」及び「D000001-2」で識別される2種類のデッキが対応付けられている。例えば,デッキ識別情報「D000001-2」で識別されるデッキ(デッキ1-2)は,デッキ識別情報「D000001-1」で識別されるデッキ(デッキ1-1)よりも,大きなレアリティ値を有するゲーム媒体の総収容個数が多くなるように構成されている。例えば,図12(b)に示すデッキ1-2においては,最も大きなレアリティ値を有するゲーム媒体4の総収容個数が10個となっている。したがって,デッキ1-2を用いて当選ゲーム媒体の選択を行うことにより,ゲーム媒体4の総収容個数が1個であるデッキ1-1(図12(a)参照)を用いる場合よりも,ゲーム媒体4は約10倍選択されやすくなる。デッキ1-2に収容されるゲーム媒体のレアリティ値の期待値は,デッキ1-1に収容されるゲーム媒体のレアリティ値の期待値と同じであっても異なっていてもよい。上述したように,図12に示したデッキ1-1とデッキ1-2とを比較すると,デッキ1-2を使用した場合の方がレアリティ値の期待値が大きい(デッキ1-2の方がレアリティ値の大きいゲーム媒体の比率が高い)が,両者の期待値が同じ値となるようにデッキ1-2に収容するゲーム媒体を決定することもできる。
【0071】
図13に示すフロー図に従って,工程702においてプレイヤ1によりゲームが開始されると,サーバ装置10は,例えば,図14に示すようなゲーム媒体取得要求生成用のウェブページを端末装置30に表示させる。図14は,ゲームのプレイヤに対してゲーム媒体取得要求の生成及びサーバ装置10への送信を促すためのウェブページの表示画面の一例であり,図8の図と異なり,「ノーマル抽選」と「プレミアム抽選」の2種類の抽選に関する表示がなされている。例えば,プレイヤ1が端末装置30を操作して,「ノーマル抽選」の表示と関連付けて表示されている「取得要求する」と表された操作ボタン1402を選択すると,端末装置30は,デッキ1-1を用いることを示すデッキ選択情報を含むゲーム媒体取得要求を生成し,生成したゲーム媒体取得要求をサーバ装置10に対して送信する。一方,プレイヤ1が端末装置30を操作して,「プレミアム抽選」の表示と関連付けて表示されている「取得要求する」と表された操作ボタン1404を選択すると,端末装置30は,デッキ1-2を用いることを示すデッキ選択情報を含むゲーム媒体取得要求を生成し,生成したゲーム媒体取得要求をサーバ装置10に対して送信する。このように,本実施形態においては,プレイヤ1の端末装置30から送信されるゲーム媒体取得要求に,デッキ1-1とデッキ1-2のいずれを用いるかを示すデッキ選択情報を含めることができる。
【0072】
また,ゲーム媒体取得要求には,当該ゲーム媒体取得要求に基づいてゲーム媒体を取得する際に消費されるゲームポイント等のポイント数を含めることもできる。例えば,操作ボタン1402が選択された場合には,100ポイントの使用ポイント数を含むゲーム媒体取得要求が生成され,操作ボタン1404が選択された場合には,300ポイントの使用ポイント数を含むゲーム媒体取得要求が生成される。なお,例えば,「ノーマル抽選」は,ゲーム進行に応じて付与されるゲーム内ポイントで取得要求可能とし,「プレミアム抽選」は,仮想通貨で取得要求可能としても良い。
【0073】
サーバ装置10において,プレイヤ1の端末装置30からデッキ選択情報を含むゲーム媒体取得要求が取得されると,処理は工程1302に進む。工程1302においては,当選ゲーム媒体選択部54によって,取得されたゲーム媒体取得要求に含まれているデッキ選択情報に基づいて,当選ゲーム媒体の選択処理のために用いるデッキが特定される。例えば,デッキ選択情報に,デッキ1-1を識別するデッキ識別情報が含まれている場合には,デッキ1-1を使用するデッキとして特定する。続いて,工程706に進んで,工程1302において特定されたデッキに収容されているゲーム媒体の中から,所定の抽選アルゴリズムに従って,当選ゲーム媒体が選択される。当選ゲーム媒体が選択された後は,図7のフローと同様の処理が行われる。」
(11)上記(10)及び図12より、デッキ識別情報「D000001-1」及び「D000001-2」で識別される2種類のデッキの各ゲーム媒体は共通のものであるから、ゲーム媒体が属するデッキは複数設けられているといえる。


以上の記載によれば、甲第1号証には以下の発明(以下「甲第1号証発明」という。)が記載されていると認められる。
「一又は複数のプレイヤに対してネットワークを介してゲーム媒体を用いたゲームを提供するサーバ装置であって,
前記一又は複数のプレイヤのうちの第1プレイヤに割り当てられた第1デッキに収容されているゲーム媒体の中から,一又は複数のゲーム媒体を第1当選ゲーム媒体として選択する当選ゲーム媒体選択部と,
前記第1当選ゲーム媒体を,前記第1プレイヤを識別する第1プレイヤ識別情報と対応付けて記憶する保有ゲーム媒体情報記憶部と,
前記第1当選ゲーム媒体を前記第1デッキから削除することにより前記第1デッキを更新する更新部と,を備え、
前記第1デッキを識別する第1デッキ識別情報と対応付けて,当該第1デッキに収容されているゲーム媒体の収容個数を記憶する収容ゲーム媒体情報管理部をさらに備え,
前記更新部は,前記当選ゲーム媒体選択部において前記第1当選ゲーム媒体として選択されたゲーム媒体の個数に基づいて,当該第1当選ゲーム媒体として選択されたゲーム媒体の収容個数を更新して前記収容ゲーム媒体情報管理部に記憶させ,
前記第1デッキに収容されているゲーム媒体の収容個数を前記第1プレイヤの端末装置に表示させる情報提供部をさらに備え、
前記当選ゲーム媒体選択部は,前記第1プレイヤの端末装置から第1ゲーム媒体取得要求を取得したことに応じて前記第1当選ゲーム媒体を選択し、
前記第1プレイヤに,前記第1デッキと異なる第2デッキが割り当てられており,
前記当選ゲーム媒体選択部は,前記第1ゲーム媒体取得要求に基づいて,前記第1デッキ又は前記第2デッキのいずれか一方を特定し,当該特定されたデッキに収容されているゲーム媒体の中から,一又は複数のゲーム媒体を前記第1当選ゲーム媒体として選択し、
前記当選ゲーム媒体選択部は,前記第1ゲーム媒体取得要求に基づいて,第1抽選アルゴリズム又は第2抽選アルゴリズムのいずれか一方を特定し,当該特定された抽選アルゴリズムを用いて,一又は複数のゲーム媒体を前記第1当選ゲーム媒体として選択し,
ゲーム媒体が属するデッキは複数設けられている、サーバ装置。」

2.甲第2号証
本件特許の出願日前の2013年11月13日16時32分に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証には、以下の記載がある。
(1)「[MS]/トールギスガシャ/開催期間/11/9(土)14:00?11/23(土)14:59」
「トールギス[UR]/限界突破でLv90まで強化可能/攻撃力10.0倍/HP4.0倍/※入手時の最大Lvは50です。/0/1枚」
「特効SRカード/限界突破でLv75まで強化可能/攻撃力7.0倍/HP4.0倍/4/4枚/4/4枚/3/4枚」
「[SR]482/600枚/[R]973/1200枚」
(6/11ページ上画像)
(2)「[キャラ]/LEミリアルドガシャ/開催期間/11/1(金)00:00?11/23(土)14:59」
「ミリアルド・ピースクラフト[LE]/攻撃力2.0倍/HP2.0倍/クワトロアタック/※「部隊戦」でも、「レイドボス」イベント同様の特効効果を発揮します。/1/1枚」
「[SR]16/30枚/[R]467/500枚」
(7/11ページ上画像)
(3)「記事にしてみたら悲しくなってきたのでもう一度だけミリアルドガチャをひいてみた」
(8/11ページ2?3行)
(4)「カード獲得/取得カード内容/SR/1/R/4/UC/0/C/0/ミリアルド・ピースクラフト[LE]1/1枚/SR15/30枚/R463/500枚/カード:44→49/122/モバコイン:2000→500」
(9/11ページ上画像)
(5)各カードの分数表記が、「残存枚数/初期枚数」であることは技術常識である。

以上の記載によれば、甲第2号証には以下の発明(以下「甲第2号証発明」という。)が記載されていると認められる。
「ガンダムカードコレクションにおけるカードガシャであって、
(1)[MS]トールギスガシャは、開催期間が11/9(土)14:00?11/23(土)14:59で、公衆利用開始時のカードの内訳が、
トールギス[UR](限界突破でLv90まで強化可能/攻撃力10.0倍/HP4.0倍/※入手時の最大Lvは50です。)0/1枚
特効SRカード(限界突破でLv75まで強化可能/攻撃力7.0倍/HP4.0倍)4/4枚、4/4枚、3/4枚
[SR]482/600枚
[R]973/1200枚
(2)[キャラ]LEミリアルドガシャは、開催期間が11/1(金)00:00?11/23(土)14:59で、公衆利用開始時のカードの内訳が、
ミリアルド・ピースクラフト[LE](攻撃力2.0倍/HP2.0倍/クワトロアタック/※「部隊戦」でも、「レイドボス」イベント同様の特効効果を発揮します。)1/1枚
[SR]16/30枚
[R]467/500枚
である、ガンダムカードコレクションにおけるカードガシャ。」

3.刊行物3
本件特許の出願日前の平成25年11月29日に頒布された特許第5420792号公報(甲第3号証)には、以下の記載がある。
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの端末と通信を行う通信部を備え、ゲームを実行するコンピュータにおける景品設定方法であって、
前記端末から、前記ゲームに使用されるゲーム媒体のうち前記ユーザが所持するゲーム媒体の少なくとも一つが指定された景品の設定要求を受信した場合、前記ユーザに景品として付与されるゲーム媒体のグループに前記設定要求において指定されたゲーム媒体を含ませ、
前記端末から景品の付与要求を受信した場合、前記グループに含まれるゲーム媒体の中から前記ユーザに景品として少なくとも一つのゲーム媒体を付与するとともに前記グループから削除する、
ことを含むことを特徴とする景品設定方法。
【請求項2】
前記端末から景品の初期化要求を受信すると、前記グループを最初に設定された状態に復元する、請求項1に記載の景品設定方法。
【請求項3】
前記端末から景品の再設定要求を受信すると、前記グループを再度設定しなおす、請求項1または2に記載の景品設定方法。
【請求項4】
前記ユーザごとに前記設定要求において指定されるゲーム媒体の数を変更する、請求項1?3の何れか一項に記載の景品設定方法。
【請求項5】
前記コンピュータは、前記ゲーム媒体ごとに希少さの度合いを記憶し、
前記設定要求において指定されるゲーム媒体の希少さの度合いを所定の希少さの度合いに制限する、請求項1?4の何れか一項に記載の景品設定方法。
【請求項6】
前記コンピュータは、前記ゲーム媒体ごとに希少さの度合いを記憶し、
前記設定要求において指定されるゲーム媒体の希少さの度合いの総和が所定値以下となるように制限する、請求項1?5の何れか一項に記載の景品設定方法。
【請求項7】
前記コンピュータは、ユーザ毎に、ユーザが所属する所属グループを記憶し、
前記設定要求において、前記ユーザと同一の所属グループに所属する他のユーザが所持するゲーム媒体の内の少なくとも一つが指定された場合、前記グループに前記設定要求において指定されたゲーム媒体を含ませる、請求項1?6の何れか一項に記載の景品設定方法。
【請求項8】
ゲームを実行するコンピュータであって、
ユーザの端末と通信を行う通信部と、
前記端末から、前記ゲームに使用されるゲーム媒体のうち前記ユーザが所持するゲーム媒体の少なくとも一つが指定された景品の設定要求を受信した場合、前記ユーザに景品として付与されるゲーム媒体のグループに前記設定要求において指定されたゲーム媒体を含ませる景品設定部と、
前記端末から景品の付与要求を受信した場合、前記グループに含まれるゲーム媒体の中から前記ユーザに景品として少なくとも一つのゲーム媒体を付与するとともに前記グループから削除する景品付与部と、
を備えることを特徴とするコンピュータ。
【請求項9】
ユーザの端末と通信を行う通信部を備え、ゲームを実行するコンピュータの制御プログラムであって、
前記端末から、前記ゲームに使用されるゲーム媒体のうち前記ユーザが所持するゲーム媒体の少なくとも一つが指定された景品の設定要求を受信した場合、前記ユーザに景品として付与されるゲーム媒体のグループに前記設定要求において指定されたゲーム媒体を含ませ、
前記端末から景品の付与要求を受信した場合、前記グループに含まれるゲーム媒体の中から前記ユーザに景品として少なくとも一つのゲーム媒体を付与するとともに前記グループから削除する、
ことを前記コンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。」
(2)「【技術分野】
【0001】
本発明は、景品設定方法、コンピュータ及び制御プログラムに関する。」
(3)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パッケージ方式の景品取得ゲームでは、ユーザは、パッケージに含まれる全ての景品を最終的に取得することができる。しかしながら、そもそもパッケージにユーザが所望する景品が含まれない場合もある。したがって、従来の景品取得ゲームでは、パッケージの提供によりユーザの意欲を喚起することができず、ユーザにすぐに飽きられてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決すべくなされたものであり、ユーザが景品取得ゲームを実施する意欲を維持・向上させることを可能とする景品設定方法、コンピュータ及び制御プログラムを提供することを目的とする。」
(4)「【0019】
(1)本実施形態の概略
本実施形態では、ユーザは、サーバが実行するパッケージ方式の景品取得ゲームを携帯端末を用いて実施する。この景品取得ゲームでは、景品として特定のゲーム媒体がユーザに付与される。ゲーム媒体とは、ゲームに使用されるデジタルコンテンツであり、例えばカード、フィギア、アバター、アイテム等である。本実施形態では、予めゲームシステムに登録されたカードをゲーム媒体の例として説明する。パッケージは、ユーザに景品として付与されるゲーム媒体のグループであり、景品取得ゲームの開始時に設定される。パッケージ内のカードは、ユーザからの指示に応じて景品としてユーザに順次付与され、ユーザに付与されたカードはそのパッケージから削除され、重複して付与されない。」
(5)「【0039】
サーバ記憶部32は、例えば、半導体メモリ、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、又は光ディスク装置のうちの少なくともいずれか一つを備える。サーバ記憶部32は、サーバ処理部33での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、サーバ記憶部32は、アプリケーションプログラムとして、パッケージに含まれるカードの確認、設定、付与、初期化及び再設定等を行い、その結果に係る表示データを作成するゲームプログラム等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて端末記憶部22にインストールされてもよい。また、サーバ記憶部32は、データとして、ユーザを管理するユーザ管理テーブル(図3(b))、カードを管理するカード管理テーブル(図3(c))等を記憶する。さらに、サーバ記憶部32は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。」
(6)「【0041】
図3(b)には、ユーザを管理するユーザ管理テーブルが示されている。ユーザ管理テーブルは、各ユーザについて、当該ユーザのユーザID、パスワード、名前、画像データのファイル名、当該ユーザが所属する所属グループのグループID、当該ユーザが所持するカードのカードID、並びにパッケージに含まれるカードのカードID、付与状況(「未付与」又は「付与」)、及び種別等を記憶する。ユーザが所属するグループとは、例えば、ゲームにおけるメッセージ送受信機能等を用いて情報を共有する、特定の協力関係が構築された複数ユーザの集まりである。カードの種別には、ユーザが所持するカードの中からユーザにより指定されたカードと同一の種類のカードである指定カードと、指定カード以外の非指定カードのうち目玉となる目玉カードと、それ以外の通常カードとがある。目玉カードは、例えばゲームシステム1において新たに設定されたカードである。」
(7)「【0056】
操作部23を介して「初期化」ボタン533が押下されると、携帯端末2は、パッケージに含まれるカードの初期化要求を要求種別として含むゲーム進行要求をサーバ3に送信し、サーバ3から受信したホーム画面の表示データに基づいてホーム画面を再表示する。なお、初期化とは、パッケージの中から一部のカードを付与していた状態から、カードの付与を開始する前の状態に戻すことを意味する。」
(8)「【0063】
(2.2.2)サーバ処理部33の構成
以上の機能を実現するために、サーバ処理部33は、図3(a)に示すように、制御部331と、ゲーム開始部332と、ゲーム進行部333と、設定画面表示データ作成部334と、景品設定部335と、景品付与部336と、景品初期化部337と、景品再設定部338とを備える。これらの各部は、サーバ処理部33が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、ファームウェアとしてサーバ3に実装されてもよい。」
(9)「【0067】
一方、制御部331は、サーバ通信部31を介して携帯端末2からゲーム進行要求を受信すると、受信したゲーム進行要求をゲーム進行部333に渡し、ゲーム進行処理の実行を指示する。また、制御部331は、ゲーム進行部333から受け取ったホーム画面表示データ、設定画面表示データ又は付与画面表示データをサーバ通信部31を介して携帯端末2に送信する。」
(10)「【0069】
ゲーム開始部332は、サーバ記憶部32に記憶されているユーザ管理テーブルを参照し、制御部331から受信したユーザIDに対応するユーザを特定する。また、ゲーム開始部332は、特定したユーザのパッケージに含まれるカードの付与状況及び種別を参照し、各カードが付与されているか否かと、指定カードであるか目玉カードであるか通常カードであるかとをそれぞれ特定する。さらに、ゲーム開始部332は、サーバ記憶部32に記憶されているカード管理テーブルを参照し、特定した指定カード及び目玉カードのカードIDに対応するカードの名前、画像データのファイル名及びレア度を抽出する。そして、ゲーム開始部332は、指定カードの取得状況、目玉カードの取得状況、パッケージ内の全てのカードの取得状況の一覧、各種指示(パッケージに含まれるカードの設定、付与、初期化及び再設定)を受け付けるボタン等を所定のレイアウトで表示させるためのホーム画面表示データを作成する。」
(11)「【0075】
一方、ゲーム進行部333は、特定した要求がパッケージに含まれるカードの初期化要求である場合、景品初期化部337に、ゲーム進行要求に含まれるユーザIDを渡すとともに、パッケージに含まれるカードの初期化を指示する。」
(12)「【0086】
景品付与部336は、ゲーム進行部333からパッケージに含まれるカードの付与が指示されると、サーバ記憶部32に記憶されているユーザ管理テーブルを参照し、ゲーム進行部333から受け取ったユーザIDに対応するユーザを特定する。さらに、景品付与部336は、特定したユーザのパッケージに含まれるカードの付与状況を参照し、「未付与」のカードを特定する。そして、景品付与部336は、現在時刻等を種として発生させた擬似乱数を用いて、特定したカードの中から抽選によりランダムにカードを選択する。景品付与部336は、サーバ記憶部32のユーザ管理テーブルにおいて、特定したユーザが所持するカードのカードIDに、選択したカードのカードIDを追加することにより、カードをユーザに付与する。さらに、景品付与部336は、そのユーザのパッケージについて、選択したカードの付与状況を「付与」に変更することにより、付与したカードをパッケージから削除する。」
(13)「【0089】
景品初期化部337は、ゲーム進行部333からカードの初期化が指示されると、サーバ記憶部32に記憶されているユーザ管理テーブルを参照し、ゲーム進行部333から受け取ったユーザIDに対応するユーザを特定する。景品初期化部337は、特定したユーザのパッケージに含まれるカードの付与状況を全て「未付与」に設定することにより、パッケージを最初に設定された状態に復元する。」

以上の記載によれば、甲第3号証には以下の発明(以下「甲第3号証発明」という。)が記載されていると認められる。
「ユーザの端末と通信を行う通信部を備え、ゲームを実行するコンピュータにおける景品設定方法であって、
前記端末から、前記ゲームに使用されるゲーム媒体のうち前記ユーザが所持するゲーム媒体の少なくとも一つが指定された景品の設定要求を受信した場合、前記ユーザに景品として付与されるゲーム媒体のグループに前記設定要求において指定されたゲーム媒体を含ませ、
前記端末から景品の付与要求を受信した場合、前記グループに含まれるゲーム媒体の中から前記ユーザに景品として少なくとも一つのゲーム媒体を付与するとともに前記グループから削除し、
前記端末から景品の初期化要求を受信すると、前記グループを最初に設定された状態に復元し、
前記端末から景品の再設定要求を受信すると、前記グループを再度設定しなおし、
前記ユーザごとに前記設定要求において指定されるゲーム媒体の数を変更し、
前記コンピュータは、前記ゲーム媒体ごとに希少さの度合いを記憶し、
前記設定要求において指定されるゲーム媒体の希少さの度合いを所定の希少さの度合いに制限し、
前記コンピュータは、前記ゲーム媒体ごとに希少さの度合いを記憶し、
前記設定要求において指定されるゲーム媒体の希少さの度合いの総和が所定値以下となるように制限し、
前記コンピュータは、ユーザ毎に、ユーザが所属する所属グループを記憶し、
前記設定要求において、前記ユーザと同一の所属グループに所属する他のユーザが所持するゲーム媒体の内の少なくとも一つが指定された場合、前記グループに前記設定要求において指定されたゲーム媒体を含ませる、景品設定方法。」


第5 判断
1.本件特許発明1について
(1)対比
本件特許発明1と甲第1号証発明とを対比すると、
後者の「複数のプレイヤ」、「ゲーム媒体」、「ゲーム」、「ネットワーク」、「第1プレイヤの端末装置」、及び「サーバ装置」は、それぞれ、前者の「複数のユーザ」、「ゲーム媒体」、「ゲーム」、「ネットワーク」、「ユーザの通信端末」、及び「サーバとして機能するコンピュータ」に相当する。
後者の「サーバ装置」は、「一又は複数のプレイヤに対してネットワークを介してゲーム媒体を用いたゲームを提供する」ものであるから、「複数のユーザによってプレイされるゲーム媒体を用いたゲームを、ネットワークを介して前記ユーザの通信端末に対して提供するサーバとして機能するコンピュータ」といえる。
後者の「デッキ」には、複数のゲーム媒体が収容されているものであるから、前者の「グループ」に相当し、後者の「第1デッキ識別情報」は、前者の「ゲーム媒体が属するグループを特定する情報」に相当する。そして、複数のゲーム媒体のそれぞれに「ゲーム媒体を特定する情報」が付されていることは自明の事項であって、後者の「収容ゲーム媒体情報管理部」は、第1デッキを識別する第1デッキ識別情報と対応付けて,当該第1デッキに収容されているゲーム媒体の収容個数を記憶するものであるから、「ゲーム媒体を特定する情報と前記ゲーム媒体が属するグループを特定する情報とを対応づけて記憶部に格納するステップ」を有するといえる。
後者の「当選ゲーム媒体選択部」は,第1ゲーム媒体取得要求に基づいて,第1デッキ又は第2デッキのいずれか一方を特定し,当該特定されたデッキに収容されているゲーム媒体の中から,一又は複数のゲーム媒体を第1当選ゲーム媒体として選択するものであるから、「ユーザの通信端末から、前記ユーザが指定したグループの情報を含むゲーム媒体取得要求を取得するステップ」を有するといえる。
後者の「更新部」は,当選ゲーム媒体選択部において第1当選ゲーム媒体として選択されたゲーム媒体の個数に基づいて,当該第1当選ゲーム媒体として選択されたゲーム媒体の収容個数を更新して収容ゲーム媒体情報管理部に記憶させ,「情報提供部」は、第1デッキに収容されているゲーム媒体の収容個数を第1プレイヤの端末装置に表示させるものであるから、「前記ゲーム媒体取得要求に応じて、複数種類の前記ゲーム媒体のうちの、前記ゲーム媒体取得要求に基づいて指定されたグループに属するゲーム媒体の中から抽出したゲーム媒体を前記ユーザの通信端末に提供するステップ」、「前記グループに属するゲーム媒体の個数をグループ毎にカウントするステップ」及び「グループ毎にカウントされた前記グループに属するゲーム媒体の個数を前記ユーザの通信端末に表示させるための情報を前記ユーザの通信端末に送信するステップ」を有するといえる。
後者の「サーバ装置」には、「ゲーム媒体が属するデッキは複数設けられている」から、ゲーム媒体が属するデッキ(グループ)は2以上設けられているといえる。


したがって、両者は、
「複数のユーザによってプレイされるゲーム媒体を用いたゲームを、ネットワークを介して前記ユーザの通信端末に対して提供するサーバとして機能するコンピュータに、
ゲーム媒体を特定する情報と前記ゲーム媒体が属するグループを特定する情報とを対応づけて記憶部に格納するステップと、
前記ユーザの通信端末から、前記ユーザが指定したグループの情報を含むゲーム媒体取得要求を取得するステップと、
前記ゲーム媒体取得要求に応じて、複数種類の前記ゲーム媒体のうちの、前記ゲーム媒体取得要求に基づいて指定されたグループに属するゲーム媒体の中から抽出したゲーム媒体を前記ユーザの通信端末に提供するステップと、
前記グループに属するゲーム媒体の個数をグループ毎にカウントするステップと、
グループ毎にカウントされた前記グループに属するゲーム媒体の個数を前記ユーザの通信端末に表示させるための情報を前記ユーザの通信端末に送信するステップと
を実行させ、
前記ゲーム媒体が属するグループは2以上設けられている、
プログラム。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本件特許発明1が、「該2以上設けられるグループのうち第1のグループには、第1のゲーム媒体と、前記第1のゲーム媒体より希少度が低い第2のゲーム媒体と、前記第2のゲーム媒体より希少度が低い第3のゲーム媒体とが属し、前記第1のグループとは異なる第2のグループには、前記第1のゲーム媒体が属さず、前記第2のゲーム媒体と前記第3のゲーム媒体とが属し、前記第1のグループに属する、前記第1のゲーム媒体、前記第2のゲーム媒体及び前記第3のゲーム媒体の数の合計に対する、前記第1のゲーム媒体及び第2のゲーム媒体の数の合計の比が、前記第2のグループに属する、前記第2のゲーム媒体及び前記第3のゲーム媒体の数の合計に対する、前記第2のゲーム媒体の数の比よりも小さいこと」という事項を有するのに対し、甲第1号証発明は、そのような事項を有していない点。

(2)相違点についての判断
甲第2号証発明の「[MS]トールギスガシャ」及び「[キャラ]LEミリアルドガシャ」は、いずれも、本件特許発明1の「ゲーム媒体が属するグループ」に相当する。
そして、甲第2号証発明の「[MS]トールギスガシャ」における、「トールギス[UR]」、「特効SRカード」、「[SR]」、及び「[R]」は、本件特許発明1の「第1のグループ」の「ゲーム媒体」に相当し、順に「希少度が低い」といえる。
同様に、甲第2号証発明の「[キャラ]LEミリアルドガシャ」における、「ミリアルド・ピースクラフト[LE]」、「[SR]」、及び「[R]」は、本件特許発明1の「第2のグループ」の「ゲーム媒体」に相当し、順に「希少度が低い」といえる。
ここで、甲第2号証発明の「[MS]トールギスガシャ」とは、MS:モビルスーツを当選の対象としたガシャであり、甲第2号証発明の「[キャラ]LEミリアルドガシャ」とは、キャラ:キャラクター、すなわち、モビルスーツを着用する登場人物を当選の対象としたガシャであることは、「ガンダムカードコレクションにおけるカードガシャ」における自明の事項である。
そして、甲第2号証発明の「[MS]トールギスガシャ」における、「トールギス[UR]」、「特効SRカード」、「[SR]」、及び「[R]」と、甲第2号証発明の「[キャラ]LEミリアルドガシャ」における、「ミリアルド・ピースクラフト[LE]」、「[SR]」、及び「[R]」とは、希少度が同じであっても、ゲーム媒体としては異なるものであるから、「ゲーム媒体が属するグループは2以上設けられている」とはいえない。
そうすると、甲第1号証発明に、甲第2号証発明を適用するに際し、甲第2号証発明の「[MS]トールギスガシャ」におけるゲーム媒体と、甲第2号証発明の「[キャラ]LEミリアルドガシャ」におけるゲーム媒体とは異なるものであるから、各デッキに属するゲーム媒体が共通のものである甲第1号証発明に甲第2号証発明を適用することは、当業者にとって容易に想到し得るものではない。
また、異議申立人が提出した甲第3号証にも、上記相違点に係る本件特許発明1の発明特定事項は記載も示唆もされていないし、設計的事項とする理由もない。
そして、本件特許発明1は、上記相違点に係る本件特許発明1の発明特定事項により、本件特許明細書に記載の「本発明におけるプログラム、通信システム、サーバの制御方法、及びサーバによれば、ゲーム媒体の取得方法のバリエーションを増やし、ゲームに対する興味を向上させることができる。」(【0022】参照。)という効果を奏するものである。

したがって、本件特許発明1は、甲第1号証発明及び甲第2号証発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

2.本件特許発明3、4、7、8、10乃至12について
(1)本件特許発明3、4、7、8について
本件特許発明3、4、7、8は、本件特許発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件特許発明3、4、7、8は、甲第1号証発明、甲第2号証発明及び甲第3号証発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(2)本件特許発明10乃至本件特許発明12について
本件特許発明10乃至本件特許発明12は、それぞれ、本件特許発明1の「プログラム」を、「通信システム」、「サーバの制御方法」及び「サーバ」としたものであって、実質的に、本件特許発明1と同様の発明特定事項を備えるものであるから、上記「1.(2)」と同様の理由により、甲第1号証発明及び甲第2号証発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。


第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、3、4、7、8、10乃至12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、3、4、7、8、10乃至12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-08-02 
出願番号 特願2015-111609(P2015-111609)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 柴田 和雄中村 和正  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 吉村 尚
藤本 義仁
登録日 2016-11-25 
登録番号 特許第6046768号(P6046768)
権利者 グリー株式会社
発明の名称 プログラム、通信システム、サーバの制御方法、及びサーバ  
代理人 田中 伸次  
代理人 杉村 憲司  
代理人 内海 一成  
代理人 岡野 大和  
代理人 河野 英仁  

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