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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02C
管理番号 1331643
審判番号 不服2016-10574  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-13 
確定日 2017-08-17 
事件の表示 特願2011-260955「ガスタービン吸気用フィルタユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月30日出願公開、特開2013-104421〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件出願は、平成23年11月11日の出願であって、平成27年7月16日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成27年10月5日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年3月29日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成28年7月13日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成28年7月13日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成28年7月13日付けの手続補正を却下する。

[理由]

[1]補正の内容

平成28年7月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成27年10月5日に提出された手続補正書により補正された)下記の(a)に示す請求項1及び2を下記の(b)に示す請求項1に補正するものである。

(a)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1及び2

「【請求項1】
ガスタービン吸気装置の空気取入口のフィルタ取付枠に複数の種類のフィルタを組み合わせて構成したガスタービン吸気用フィルタユニットにおいて、すくなくとも1種類のフィルタは、繊維径が0.01?0.5μmの超極細繊維が積層されたフィルタろ材から構成され、且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタとし、他の種類のフィルタは捕集率の異なる粉じん捕集機能を有するフィルタとしたことを特徴とするガスタービン吸気用フィルタユニット。

【請求項2】
繊維径が0.01?0.5μmの超極細繊維が積層されたフィルタろ材から構成され、且つ汚染ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタは、不織布あるいは織布に当該超極細繊維が積層されたろ材であり、さらに、当該機能性フィルタは、グラフ卜重合や薬品添着法の手法によりイオン交換基や反応基を付与されていることを特徴とした請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。」

(b)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1

「【請求項1】
ガスタービン吸気装置の空気取入口のフィルタ取付枠に複数の種類のフィルタを組み合わせて構成したガスタービン吸気用フィルタユニットにおいて、すくなくとも1種類のフィルタは、繊維径が0.01?0.5μmの超極細繊維が積層されたフィルタろ材から構成され、且つグラフ卜重合や薬品添着法の手法によりイオン交換基や反応基を付与されたことによってアルカリ性ガス、酸性ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタとし、当該機能性フィルタを含めて、捕集率の異なる粉じん捕集機能を有する複数の種類のフィルタを配列したことを特徴とするガスタービン吸気用フィルタユニット。」
(なお、下線は補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

[2]本件補正の目的

特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、「機能性フィルタ」について、「グラフ卜重合や薬品添着法の手法によりイオン交換基や反応基を付与された」点を限定し、更に「グラフ卜重合や薬品添着法の手法によりイオン交換基や反応基を付与された」ことによって「吸着機能を発揮する」対象である「汚染ガス」について、「アルカリ性ガス、酸性ガス」に限定するとともに、「機能性フィルタ」及び「他の種類のフィルタ」からなる「複数の種類のフィルタ」の「組み合わせ」について、「配列」されたものに限定するものである。
よって、特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定することを含むものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

[3]独立特許要件の判断

1.刊行物

(1)刊行物の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された、本件出願前に頒布された刊行物である特開2010-255612号公報(以下、「刊行物」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

a)「【請求項1】
ガスタービン吸気装置の空気取入口のフィルタ取付枠に、ガスタービンの吸気環境の粉塵濃度に応じて、捕集率の異なるフィルタを3段以上組み合わせて設けたことを特徴とするガスタービン吸気用フィルタユニット。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】)

b)「【0051】
図13は、図14に示すガスタービンシステムの一部を構成するガスタービン用吸気装置の一実施例の概略断面を示すもので、ガスタービン用吸気装置aは、後述する図14におけるガスタービンの吸気用ダクトに連設されるケーシングb内に、その吸気側から順次、パネル型のプレフィルタcと、箱型の中性能フィルタdと、さらに箱型の高性能フィルタeとを配置した3段式のフィルタユニットfが設けられている。このフィルタユニットfは、外気からの吸気空気中に含まれるガスタービンシステムgの連続運転にとって有害である大気塵等、すなわち、微粉塵、雨水、ミスト、排気ガス中のカーボン微粒子、塩分粒子等の有害物質を除去するために設けられる。
【0052】
そして、このようなガスタービン吸気装置aは、図14にその概略を示されるガスタービンシステムgの吸気側に連設される。すなわち、この吸気装置aは、ガスタービン部hの空気圧縮機jの吸気口kに接続されて、フィルタユニットfを介して吸気装置aから吸入される外気から大気塵等を機械的に分離除去して清浄化することができる。この外気には前述したような有害物質が浮遊しているので、これらを極力除去することによって、ガスタービン部g内部の腐食、汚染の原因や、プレフィルタcに付着して空気圧縮機jの性能低下を生じさせ発電出力を低下させる損害を防止することができるものである。」(段落【0051】及び【0052】)

c)「【0070】
・・・・・中略・・・・・フランジ型ULPAフィルタである。そして、ろ材は、繊維径0.5μm以下程度のグラスファイバー同志をバインダで接着してなるグラスファイバー製ろ材である。」(段落【0070】)

d)「【0080】
[実施例5]
ガスタービン内に吸気を導く空気吸込口の上流側から順に1次フィルタ層、2次フィルタ層、3次フィルタ層の組み合せおよび結果は下記の如くであった。
【0081】
「フィルタ組み合せ」
(1)1次フィルタ層:吹流し型プレフィルタ
品名:ミラディープ1(商品名)
型式:MDH-X6-HFLM 個数52ケ
ろ材:グラスファイバー
性能:処理風量 28m^(3)/min
圧力損失 初期圧損 88Pa
最終圧損 245Pa
効率:60%以上(JISB9908型式2「比色法」)
(2)2次フィルタ層:準HEPAフィルタ
品名:ザナセルワイド(商品名)
型式:ZCS-W-662A 個数30ケ
ろ材:ウォータープルーフ難燃性グラスファイバー
性能:処理風量 50m^(3)/min
圧力損失 初期圧損 157Pa
最終圧損 392Pa
効率:95%以上(JISB9908型式1「計数法」)
(3)3次フィルタ層:ULPAフィルタ
品名:テラセル(商品名)
型式:TCS-A-661A 個数56ケ
ろ材:ウォータープルーフ難燃性グラスファイバー
性能:処理風量 17m^(3)/min 個数80ケ
圧力損失 初期圧損 249Pa
最終圧損 498Pa
効率:99.9995%以上(JISB9927「9908型式1準拠」)
「結果」
大気中粉塵0.08mg/m^(3)濃度において、1次フィルタ層のろ材寿命は2年以上、2次フィルタ層は3年以上、3次フィルタ層のろ材寿命は4年以上であった。」(段落【0080】及び【0081】)

(2)上記(1)及び図面の記載より分かること

ア)上記(1)b)における「ガスタービン用吸気装置aは、後述する図14におけるガスタービンの吸気用ダクトに連設されるケーシングb内に、その吸気側から順次、パネル型のプレフィルタcと、箱型の中性能フィルタdと、さらに箱型の高性能フィルタeとを配置した3段式のフィルタユニットfが設けられている。」及び(1)d)における「(1) 1次フィルタ層:吹流し型プレフィルタ・・・・・中略・・・・・効率:60%以上(JISB9908型式2「比色法」)
(2)2次フィルタ層:準HEPAフィルタ・・・・・中略・・・・・効率:95%以上(JISB9908型式1「計数法」)
(3)3次フィルタ層:ULPAフィルタ・・・・・中略・・・・・効率:99.9995%以上(JISB9927「9908型式1準拠」)」の記載を図13及び14とあわせてみると、刊行物に記載されたガスタービン用吸気装置aにおいては、捕集率の異なる粉じん捕集機能を有する3種類のフィルタを配列していることが分かる。

イ)上記(2)ア)に加え、上記(1)c)における「フランジ型ULPAフィルタである。そして、ろ材は、繊維径0.5μm以下程度のグラスファイバー同志をバインダで接着してなるグラスファイバー製ろ材である。」の記載をあわせてみると、刊行物に記載されたガスタービン用吸気装置aにおいては、3段目のフィルタは、繊維径が0.5μm以下の繊維からなるろ材から構成されていることが分かる。

(3)刊行物に記載された発明

したがって、上記(1)及び(2)を総合すると、刊行物には、次の発明(以下、「刊行物に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。

<刊行物に記載された発明>

「ガスタービン用吸気装置aの空気取入口のフィルタ取付枠に3種類のフィルタを組み合わせて構成したフィルタユニットfにおいて、3段目のフィルタは、繊維径が0.5μm以下の繊維からなるろ材から構成されたフィルタとし、また、すくなくとも1種類のフィルタは、外気に含まれる有害物質を除去する機能を発揮するフィルタとし、当該フィルタを含めて、捕集率の異なる粉じん捕集機能を有する3種類のフィルタを配列したフィルタユニットf。」

2.対比・判断

(1)対比

本件補正発明と刊行物に記載された発明とを対比すると、その機能及び構造又は技術的意義からみて、刊行物に記載された発明における「ガスタービン用吸気装置a」、「3種類のフィルタ」、「フィルタユニットf」、「(繊維径が0.5μm以下の)繊維」及び「ろ材」は、それぞれ、本件補正発明における「ガスタービン吸気装置」、「複数の種類のフィルタ」、「ガスタービン吸気用フィルタユニット」、「超極細繊維」及び「フィルタろ材」に相当する。
また、本件出願の出願当初の明細書には、「【0008】
次に、本発明の目的は、従来のろ材と同等以上の除じん捕集効率を維持しつつ、圧力損失を大幅に低減した機能性フィルタを使用して、省エネルギー化を可能にすると共にフィルタの寿命が長寿命となるようにしたものである。
【0009】
さらに、本発明の目的は、従来のろ材と同等以上の除じん捕集効率を維持しつつ、吸着機能を有した機能性フィルタを使用して、空気中に含まれるアルカリ性ガスあるいは酸性ガス、これらの固形粒子や放射性ヨウ素などの汚染ガスの除去を可能にしたものである。」(本件出願の出願当初の明細書段落【0008】及び【0009】)と記載されている。当該記載を参酌すると、本件補正発明における「機能性フィルタ」は、除じん捕集効率、圧力損失、汚染ガスの除去等の観点において高い機能を有するフィルタを示すと認められる。してみると、刊行物に記載された発明における「(繊維径が0.5μm以下の繊維からなるろ材から構成された)フィルタ」及び「(外気に含まれる有害物質を除去する機能を発揮する)フィルタ」は、いずれも、本件出願の「機能性フィルタ」に相当する。
さらに、前述の相当関係を踏まえると、刊行物に記載された発明における「外気に含まれる有害物質を除去する機能を発揮するフィルタ」は、本件補正発明における「グラフ卜重合や薬品添着法の手法によりイオン交換基や反応基を付与されたことによってアルカリ性ガス、酸性ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタ」と、「汚染ガスの除去機能を発揮する機能性フィルタ」という限りにおいて一致している。

してみると、本件補正発明と刊行物に記載された発明とは、
「ガスタービン吸気装置の空気取入口のフィルタ取付枠に複数の種類のフィルタを組み合わせて構成したガスタービン吸気用フィルタユニットにおいて、すくなくとも1種類のフィルタは、超極細繊維からなるフィルタろ材から構成された機能性フィルタとし、また、すくなくとも1種類のフィルタは、汚染ガスの除去機能を発揮する機能性フィルタとし、当該機能性フィルタを含めて、捕集率の異なる粉じん捕集機能を有する複数の種類のフィルタを配列したガスタービン吸気用フィルタユニット。」
の点で一致し、次の点で相違する。

<相違点>

本件補正発明においては、「すくなくとも1種類のフィルタは、繊維径が0.01?0.5μmの超極細繊維が積層されたフィルタろ材から構成され、且つグラフ卜重合や薬品添着法の手法によりイオン交換基や反応基を付与されたことによってアルカリ性ガス、酸性ガスの吸着機能を発揮する機能性フィルタ」であるのに対し、
刊行物に記載された発明においては、「3段目のフィルタは、繊維径が0.5μm以下の繊維からなるろ材から構成されたフィルタとし、また、すくなくとも1種類のフィルタは、外気に含まれる有害物質を除去する機能を発揮するフィルタ」である点(以下、「相違点」という。)

(2)判断

上記相違点について検討するに先立ち、上記相違点は、「繊維径」、「ろ材」の構成及び「機能性」の発現の3点の技術的観点を含有していることが明らかであるので、まず、これらの観点から、以下に検討する。
第1に、「繊維径」について検討すると、本件補正発明における繊維径(「0.01?0.5μm」)と刊行物に記載された発明における繊維径(「0.5μm以下」)とは、0.01?0.5μmの数値範囲において重複しているので、繊維径は実質的な相違点ではない。
第2に、「ろ材」の構成について検討すると、フィルタにおいて、フィルタろ材を超極細繊維が積層されたものとすることは、本件出願前周知の技術(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開2011-194389号公報[特に、段落【0035】並びに図1及び2]等参照。以下、「周知技術1」という。)である。
ここで、刊行物に記載された発明における「繊維径が0.5μm以下の繊維からなるろ材」の強度が低いことは当業者にとって自明な課題である。
そして、上記周知技術1を参酌すると、刊行物に記載された発明においては、上記自明な課題を解決するために超極細繊維が積層されていると考えるのが自然である。
してみると、フィルタろ材について超極細繊維が積層されていることは実質的な相違点ではないか、仮に相違点であるとしても、刊行物に記載された発明において、周知技術1を参酌して、繊維径が0.5μm以下の繊維、すなわち、超極細繊維からなるろ材を超極細繊維が積層されたものとする程度のことは、当業者であれば容易に想到できたことである。
第3に、「機能性」の発現について検討すると、ガスタービン吸気用フィルタユニットにおいて、プレフィルタ以外のフィルタにイオン交換機能を付与することは、本件出願前周知の技術(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-253028号公報[特に、段落【0002】及び図8]等参照。以下、「周知技術2」という。)である。
また、フィルタにおいて、グラフト重合の手法によりイオン交換基を付与することは、本件出願前周知の技術(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-207117号公報[特に、段落【0023】及び【0024】]等参照。以下、「周知技術3」という。)である。
そして、刊行物に記載された発明、周知技術2及び3は、いずれも、ガスタービン吸気用フィルタユニット又はフィルタの技術分野に属するものである。
してみると、刊行物に記載された発明において、周知技術2及び3を適用して、プレフィルタ以外のフィルタ、すなわち2段目及び/又は3段目のフィルタのフィルタろ材について、グラフト重合の手法によりイオン交換基を付与されたものとすることは、当業者であれば容易に想到できたことであり、その際に、2段目及び/又は3段目のフィルタのうち、いずれのフィルタのフィルタろ材にイオン交換基を付与するかは、当業者が適宜選択し得る事項であるから、すくなくとも3段目のフィルタ、すなわち繊維径が0.5μm以下の繊維からなるろ材から構成されたフィルタ(本件補正発明における「超極細繊維からなるフィルタろ材から構成された機能性フィルタ」に相当する。)にイオン交換基を付与することは、当業者であれば容易になし得たことである。そして、フィルタろ材にイオン交換基が付与された場合、アルカリ性ガス、酸性ガスの吸着機能を発現することは技術常識からみて明らかである。
以上の第1ないし第3の検討を総合すると、刊行物に記載された発明において、周知技術1ないし3を適用して、相違点に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到できたことである。

そして、本件補正発明は、全体としてみても、刊行物に記載された発明及び周知技術1ないし3から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

したがって、本件補正発明は、刊行物に記載された発明及び周知技術1ないし3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件発明について

1.本件発明

平成28年7月13日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明は、平成27年10月5日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに出願当初の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記第2[理由][1](a)に示した請求項1に記載されたとおりのものである。

2.刊行物

原査定の拒絶の理由に引用された、刊行物(特開2010-255612号公報)には、上記第2[理由][3]1.(1)ないし(3)のとおりのものが記載されている。

3.対比・判断

本件発明は、上記第2[理由][2]で検討した本件補正発明の発明特定事項のうち、「機能性フィルタ」について、「グラフ卜重合や薬品添着法の手法によりイオン交換基や反応基を付与された」という発明特定事項を削除し、「吸着機能を発揮する」対象である「汚染ガス」について、「アルカリ性ガス、酸性ガス」に限定しないようにするとともに、「機能性フィルタ」及び「他の種類のフィルタ」からなる「複数の種類のフィルタ」の「組み合わせ」について、「配列」されたものに限定しないようにしたものである。
そうすると、本件発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が、上記第2[理由][3]に記載したとおり、刊行物に記載された発明及び周知技術1ないし3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明も、同様の理由により、刊行物に記載された発明及び周知技術1ないし3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

そして、本件発明は、全体としてみても、刊行物に記載された発明及び周知技術1ないし3から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

4.まとめ

以上のとおり、本件発明は、刊行物に記載された発明及び周知技術1ないし3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび

上記第3のとおり、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-04-28 
結審通知日 2017-05-23 
審決日 2017-06-07 
出願番号 特願2011-260955(P2011-260955)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F02C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 橋本 敏行  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 金澤 俊郎
西山 智宏
発明の名称 ガスタービン吸気用フィルタユニット  

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