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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01R
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01R
管理番号 1331840
審判番号 不服2016-13865  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-15 
確定日 2017-09-12 
事件の表示 特願2012-173805「充電インレット装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月20日出願公開、特開2014- 32901、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年8月6日の出願であって、平成28年4月11日付けで拒絶理由が通知され、同年5月24日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年8月8日付け(発送日:同年8月16日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、同年9月15日に拒絶査定不服審判が請求され、平成29年3月21日付けで拒絶理由通知(以下、「第1回当審拒絶理由」という。)がされ、同年4月18日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年6月2日付けで拒絶理由通知(以下、「第2回当審拒絶理由」という。)がされ、同年7月7日に手続補正がされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、平成29年7月7日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項に記載された次のとおりのものである(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」という。)。
「【請求項1】
前面壁に端子挿入孔が設けられ、前記端子挿入孔より相手端子が挿入されるコネクタハウジングと、
前記前面壁に密着して前記端子挿入孔を塞ぐ閉位置と、前記前面壁より離間して前記端子挿入孔を開放する開位置との間で移動自在に設けられたキャップと、
前記キャップの内面に配置されたパッキンとを備えた充電インレット装置であって、
前記前面壁と前記パッキンの少なくともいずれか一方には、前記端子挿入孔以外の領域で互いに密着しない非密着領域が設けられており、
前記非密着領域は、前記前面壁に凹部を設けることによって構成されており、
前記凹部の内側面は、前記コネクタハウジングの前面壁が垂直方向に対して上向きになる取付角度で車両設置され、前記凹部の内側面の傾斜角度が前記取付角度より大きく設定されている車両設置状態で、前記凹部の内側面の最下方位置の形態が、前記凹部の奥から入口に行くに従って下方に傾斜している傾斜面となることを特徴とする充電インレット装置。
【請求項2】
請求項1に記載の充電インレット装置であって、
前記非密着領域は、前記パッキンにも切欠部を設けることによって構成されたことを特徴とする充電インレット装置。」

第3 引用文献、引用発明等

1 原査定において引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平7-192826号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「電気自動車用充電コネクタ」に関して、図面(特に、図1及び図4を参照。)とともに次の事項が記載されている。

「【0009】
【実施例】次に、図1?図4を参照して本発明に係る電気自動車用充電コネクタの実施例を詳細に説明する。図1は本発明に係る電気自動車用充電コネクタの部分断面側面図、図2は図1に示す充電コネクタの嵌合状態での斜視図、図3は図1に示す受電コネクタの正面図、図4は図3の受電コネクタの第1のキャップを開蓋状態に設けた正面図である。充電コネクタ1は、車体側に固設される受電コネクタ10と、該受電コネクタ10と嵌合し、車両に搭載された図示略の内蔵バッテリを充電する給電コネクタ30とからなる。
【0010】受電コネクタ10は、従来構造と略同様、有底円筒状に設けられ、その外表面に車体取付用のフランジ部12が連設されたアルミニウム製の外ケース11と、該外ケース11内に形成した凹部13に嵌着される略円柱状のハウジング部14(図4参照)とからなる。フランジ部12には車体取付用のボルト孔15が複数箇所に穿設されている。なお、上記において、外ケース11とハウジング部14は別体構造として述べたが、これらを樹脂製の一体成型品として構成することもできる。
【0011】ハウジング部14は、絶縁性樹脂により成形され、図4に示すように平面形状が大径の直流受電部16と、該直流受電部16に一部が内接するように形成された小径の交流受電部17とを設けている。また、これら受電部16、17は後で述べる保護壁35に外嵌する略円形状の外壁18により区画されている。なお、外壁18の基部には図示略の防水パッキンが嵌着されており、給電コネクタ30嵌合時の水の内部浸入を阻止している。また、防水パッキンは給電コネクタ30が接続されていない際の防水性にも対処するため、ハウジング部14を覆うキャップにも設けられている。
【0012】外壁18により包囲された内部空間には、種々の雄端子20?22が突出されるとともに、これら雄端子を除く領域が、前記保護壁35の嵌入を許容する嵌合凹部19として設けられている。
【0013】前記外ケース11には、凹部13内のハウジング部14の開口端面全域を開閉自在に閉塞する第1のキャップ23が枢着されている。また、該外ケース11には、揺動自在になされて第1のキャップ23面に当接し、該第1のキャップ23を閉塞状態に係止する第1の係止レバー24が凹部13の開口端面近傍に設けられている。」

2 原査定において引用文献2として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2012-18838号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「車両側コネクタ」に関して、図面(特に、図1?図6を参照。)とともに次の事項が記載されている。

(1) 「【0013】
<実施形態>
本発明の一実施形態について図1乃至図7を参照して説明する。
本実施形態の車両側コネクタ10は、合成樹脂製のコネクタハウジング11と、コネクタハウジング11に装着された合成樹脂製の蓋部12とを備えて構成されている。尚、この車両側コネクタ10は、図示しない車両のパネルに設けられた図示しないコネクタ収容部に装着されており、外部の図示しない充電用コネクタが前方から嵌合可能とされている。
【0014】
コネクタハウジング11は、図1及び図3に示すように、四隅が丸みを帯びた矩形状をなす板状の取付板13と、取付板13の中央を前後方向に貫通したハウジング本体14とを備えて構成されている。
取付板13の四隅には、図1に示すように、カラー15がインサート成形されている。そして、カラー15に図示しない締結ボルトを挿通して図示しない車両のパネルに締め付けることでコネクタハウジング11が図示しないコネクタ収容部に固定される。
【0015】
ハウジング本体14は、図4に示すように、円柱形状をなし、ハウジング本体14の内部には複数の端子収容部16が前後方向に貫通して形成されている。また、各端子収容部16は、ハウジング本体14の円筒状の周壁に沿って形成されている。端子収容部16の内部には、図示しないバッテリから延びる図示しない電線に接続された図示しない端子金具が収容可能とされている。
ハウジング本体14における取付板13の前方側の外周にはハウジング本体14と間隔をあけて円筒状のフード部17が設けられている。このフード部17の内部には図示しない充電用コネクタが嵌合可能とされ、この嵌合に伴ってフード部17とハウジング本体14との間に、充電用コネクタに設けられた図示しない充電側フード部が収容される。
・・・(中略)・・・
【0018】
ヒンジピン22は細長いピン形状をなし、上下方向に延びる形態で配置されている。このヒンジピン22には蓋部12が回動可能に支持されている。これにより、蓋部12はヒンジピン22を回動軸として、図1に示すようにハウジング本体14の嵌合面を覆う閉止位置と、図4に示すようにハウジング本体14の嵌合面を露出させる開放位置との間を往復移動可能とされている。
【0019】
蓋部12は、図1に示すように、円形板状の蓋本体23と、蓋本体23の上下左右に一体に設けられた突出片24とを備えて構成されている。
蓋本体23は、図3に示すように、前記閉止位置においてハウジング本体14とフード部17とを前方から覆うことで、埃や水などがコネクタハウジング11内に入り込むことを防ぐ役割を果たしている。また、蓋本体23の内側にはハウジング本体14の嵌合端面(本発明の「嵌合面」の一例)14Aと蓋本体23の内面との間をシールする円形板状の面シール25が装着され、ハウジング本体14内に水などが浸入することを防止している。
上下に設けられた突出片24はフード部17における係合部18及び位置決め凹部19に前方から他の部材などが当接して破損することを防いでいる。
・・・(中略)・・・
【0032】
また、保持ピン30は、トーションばね27の軸心を通るように配置されていることから、容易に可動部27Aの回動軸を蓋部12の回動軸であるヒンジピン22と平行に配置することができる。これにより、ヒンジピン22と保持ピン30が異なる方向(平行でない方向)に配置されている場合と比べ、ヒンジピン22と保持ピン30を近づけて配置することができ、蓋部12の開閉機構を小型化できる。」

(2) 図3及び図4を参照すると、嵌合端面14Aには、端子収容部16以外の領域に凹部が設けられ、該凹部では、嵌合端面14Aと面シール25とは密着していない領域となっていることが看取される。

上記の記載事項及び図面の記載を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、引用文献2には、図1?7に記載の実施形態1として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「嵌合端面14Aに端子収容部16が設けられ、前記端子収容部16より充電用コネクタが挿入されるハウジング本体14と、
前記嵌合端面14Aに密着して前記端子収容部16を塞ぐ閉位置と、前記嵌合端面14Aより離間して前記端子収容部16を開放する開位置との間で移動自在に設けられた蓋部12と、
前記蓋部12の内面に配置された面シール25とを備えた充電用コネクタに嵌合される車両側コネクタであって、
前記嵌合端面14Aには、前記端子収容部16以外の領域に凹部が設けられ、該凹部では、嵌合端面14Aと面シール25とは密着していない領域となっており、
前記密着していない領域は、前記嵌合端面14Aに凹部を設けることによって構成されている、
充電用コネクタに嵌合される車両側コネクタ。」

3 原査定において引用文献3として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-125450号公報(以下、「引用文献3」という。)には、「電気接続箱の防水構造」に関して、図面(特に、図2を参照。)とともに次の事項が記載されている。

(1) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に自動車等車両の電装部品を収容する電気接続箱の防水構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は、特開平8-322124号公報に記載された電気接続箱の防水構造を示す組立断面図である。この場合、自動車のエンジンルームに搭載される電気接続箱1の防水構造に関するものであり、各種電装部品を収容する箱状のボックス本体2を有し、このボックス本体2を上部で蓋体6により閉塞している。ボックス本体2の底部3は、この中心部に向かって傾斜した水切り勾配が設けられ、その傾斜下部の中心部に水抜き孔4を貫通して設けてある。この水抜き孔4は排水管(図示せず)等によって車体外部の外環境に連通している。こうした形状の電気接続箱1を、取付ブラケット5を介して車体側の取付壁面7に取り付けて固定する構造である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この図3に示す電気接続箱の防水構造においては、ボックス本体2の底部3に設けた水抜き孔4が車体外部の外環境に直通しているために、その外環境から雨水等が逆流して水抜き孔4からボックス本体2内に浸入することがある。その結果、ボックス本体2内に収容の電装部品に悪影響を及ぼす不都合がある。
【0004】したがって、本発明の目的は、特に車両搭載の電気接続箱に好適に採用でき、雨水等の逆流を防止することで内部収容された電装部品を浸入水から保護できる防水構造を提供することにある。」

(2) 「【0012】電気接続箱10のボックス本体11は、底板12から垂直に立ち上がる四辺の側壁13を有し、この四辺の側壁13の上端開口部において蓋体14を落とし込んで閉塞可能となっている。底板12は上記取付壁面20に向かって適度な下り傾斜角θによる水抜き勾配をつけて形成されている。下り傾斜した底板11の最下部と四辺の側壁13の1つ(以下、これを便宜的に取付側壁13Aという)の最下端との境目の隅部には、その取付側壁13Aを内側から外側へ貫通した水抜き孔15が設けられている。」

(3) 「【0015】反対に、ボックス本体11内部に水や水滴が滞留しないように、水や水滴は底板12の水抜き勾配として設けた傾斜面を伝って水抜き孔15から排水空間部16に排出され、ここから排水チューブなどにより車体外部の外環境に排水される。したがって、ボックス本体11内では、水や水滴の滞留によって収容電装部品が悪影響を受けることなく保護される。」

4 原査定において引用文献4として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-216133号公報(以下、「引用文献4」という。)には、「開閉パネルの防水構造」に関して、図面(特に、図3(a)及び(b)を参照。)とともに次の事項が記載されている。

(1) 「【0004】
こうした防水構造において、水密性を高めるには、リブ突出高さをあまり高くせず、パッキンにリブを食い込ませるとともにリブ付け根のパネル表面をパッキンに密着させると浸水経路が長くなるので効果的であるが、こうした構造により、反面において、閉鎖解除ボタンを押して操作パネルを開こうとしたときに、パッキンとパネル表面との貼り付き現象を起こしやすく、閉鎖解除ボタンを何度も押したりする煩雑な操作を要する問題があるため、採用が困難であった。 ・・・(後略)」

(2) 「【0006】
上記目的を達成するため本発明は、ディスクの挿脱口を有する本体の前面に操作パネルを枢着し、前記ディスク挿脱口の周囲面に環状のパッキンまたはリブを配し、操作パネルの内面には前記パッキンまたはリブに対応する環状のリブまたはパッキンを配したものにおいて、前記リブのふもと側周囲表面にパッキン表面に接触される微細な凹凸部を形成していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
操作パネルを閉じた状態では、リブがパッキンに食い込み、かつ、リブのふもと表面の微細な凹凸がパッキン表面に密接するので、それらの相乗効果ですぐれた防水性能を発揮することができる。
しかも微細な凹凸部によりパッキン表面と面接触でなく点群的な接触関係となるので貼り付き現象が起こりにくく、開放ボタンを押して操作パネルを開こうとしたときに貼り付きが起こらず、応答性よく開披することができる。 ・・・(後略)」

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「嵌合端面14A」は、本願発明1の「前面壁」に相当する。
以下同様に、「端子収容部16」は、「端子挿入孔」に、
「充電用コネクタ」は、「相手端子」に、
「ハウジング本体14」は、「コネクタハウジング」に、
「蓋部12」は、「キャップ」に、
「面シール25」は、「パッキン」に、
「充電用コネクタに嵌合される車両側コネクタ」は、「充電インレット装置」に、それぞれ相当する。

引用発明では、「前記嵌合端面14Aには、前記端子収容部16以外の領域に凹部が設けられ、該凹部では、嵌合端面14Aと面シール25とは密着していない領域となって」いる。
ここで、引用発明の「密着していない領域」は、本願発明1の「非密着領域」に相当するので、引用発明では、「前記前面壁と前記パッキンの少なくともいずれか一方には、前記端子挿入孔以外の領域で互いに密着しない非密着領域が設けられ」ているといえる。

以上のことから、本願発明1と引用発明とは次の点で一致する。
「前面壁に端子挿入孔が設けられ、前記端子挿入孔より相手端子が挿入されるコネクタハウジングと、
前記前面壁に密着して前記端子挿入孔を塞ぐ閉位置と、前記前面壁より離間して前記端子挿入孔を開放する開位置との間で移動自在に設けられたキャップと、
前記キャップの内面に配置されたパッキンとを備えた充電インレット装置であって、
前記前面壁と前記パッキンの少なくともいずれか一方には、前記端子挿入孔以外の領域で互いに密着しない非密着領域が設けられており、
前記非密着領域は、前記前面壁に凹部を設けることによって構成されている、
充電インレット装置。」

一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点]
本願発明1では、「前記凹部の内側面は、前記コネクタハウジングの前面壁が垂直方向に対して上向きになる取付角度で車両設置され、前記凹部の内側面の傾斜角度が前記取付角度より大きく設定されている車両設置状態で、前記凹部の内側面の最下方位置の形態が、前記凹部の奥から入口に行くに従って下方に傾斜している傾斜面となる」との構成を備えているのに対して、
引用発明では、かかる構成を備えていない点。

(2) 判断
上記相違点について検討する。
引用文献3(前記「第3 3」を参照。)には、自動車等車両の電装部品を収容する電気接続箱において、ボックス本体11の底板12に、取付壁面20に向かって下り傾斜角θによる水抜き勾配を付け、底板12の最下部に水抜き孔15を設けることにより、ボックス本体11に侵入した水は、傾斜面を伝わって水抜き孔15から排水されることが記載されている。
しかし、水を排出するための構成が、上記相違点に係る本願発明1の構成では、「車両設置状態で、前記凹部の内側面の最下方位置の形態が、前記凹部の奥から入口に行くに従って下方に傾斜している傾斜面となる」ことにより、凹部の入口から排出するものであるのに対して、引用文献3に記載された事項では、ボックス本体11の底板12の傾斜面を伝わって、底板12の最下部に設けられた水抜き孔15から排出するものである点で、両者は相違している。
そうすると、たとえ引用発明に引用文献3に記載された事項を適用したとしても、上記相違点に係る本願発明1の構成に至るものではない。

また、引用文献1に記載された事項(前記「第3 1」を参照。)または引用文献4に記載された事項(前記「第3 4」を参照。)に、上記相違点に係る本願発明1の構成について、記載または示唆されているものでもない。

以上のことから、上記相違点に係る本願発明1の構成は、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本願発明1は、引用発明、並びに引用文献1、3及び4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1をさらに限定したものであるので、同様に、引用発明、並びに引用文献1、3及び4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

3 小括
以上のことから、本願発明1及び2は、引用文献1?4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定について
原査定は、平成28年5月24日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明ついて、上記引用文献1?4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかし、平成29年7月7日の手続補正により補正された本願発明1及び2は、それぞれ上記相違点に係る本願発明1の構成を有するものとなっており、前記「第4」のとおり、本願発明1及び2は、引用文献1?4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
当審では、第1回当審拒絶理由において、請求項1の「前記凹部の内側面は、車両設置状態にあって、その最下方位置が水平方向より下方に傾斜する傾斜面に設けられた」との記載は明確ではなく、本件出願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶理由を通知し、更に、第2回当審拒絶理由において、請求項1の「前記凹部の内側面は、前記コネクタハウジングの前面壁が垂直方向に対して上向きになる取付角度で車両設置される場合に前記凹部の内側面の傾斜角度が前記取付角度より大きく設定されている車両設置状態にあって、その最下方位置が水平方向より下方に傾斜する傾斜面となるように設けられた」との記載は明確ではなく、本件出願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶理由を通知している。
しかし、平成29年7月7日の手続補正において、請求項1の該当箇所は、「前記凹部の内側面は、前記コネクタハウジングの前面壁が垂直方向に対して上向きになる取付角度で車両設置され、前記凹部の内側面の傾斜角度が前記取付角度より大きく設定されている車両設置状態で、前記凹部の内側面の最下方位置の形態が、前記凹部の奥から入口に行くに従って下方に傾斜している傾斜面となる」と補正された結果、明確となったので、上記第1回当審拒絶理由及び第2回当審拒絶理由は、いずれも解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1及び2は、引用文献1?4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
また、原査定の理由、並びに当審拒絶理由通知1及び2の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-29 
出願番号 特願2012-173805(P2012-173805)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H01R)
P 1 8・ 121- WY (H01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 板澤 敏明高橋 学  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 内田 博之
小関 峰夫
発明の名称 充電インレット装置  
代理人 三好 秀和  

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