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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1331842
審判番号 不服2016-17343  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-21 
確定日 2017-09-12 
事件の表示 特願2012-200557「端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月27日出願公開、特開2014- 56402、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年9月12日の出願であって、平成27年8月25日付けで手続補正がされ、平成28年3月9日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年5月12日付けで手続補正がされ、平成28年9月2日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成28年11月21日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年9月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-3、5-13に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願請求項4に係る発明は、以下の引用文献1、2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2011-138449号公報
2.特開2011-41067号公報(周知技術を示す文献)

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって、補正前の請求項1、12の「前記変化検出部による検出結果」を補正後の請求項1、12の「前記変化検出部による検出結果における前記重力の検出方向」とする補正は、「前記変化検出部による検出結果」の内容を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、当該補正は、新規事項を追加するものではない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-13に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1-13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明13」という。)は、平成28年11月21日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
表示部と、
端末装置の所定の座標系における重力の方向を検出する重力方向検出部と、
前記表示部に平行な面をxy平面とした場合、当該xy平面に平行な重力の検出方向の変化を検出する変化検出部と、
ユーザの顔の映像を撮影する撮像部と、
前記撮像部で撮影したユーザの顔の映像に基づいて、前記端末装置を基準としたユーザの顔の向きを判定する向き判定部と、
前記変化検出部による検出結果における前記重力の検出方向と前記向き判定部による判定結果に基づいて、前記表示部に表示された画像の表示の向きを制御する表示制御部と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記向き判定部による判定結果が、前記端末装置を基準として前記ユーザの顔の向きが変化していると判定されたとき、前記画像の表示の向きを変更することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記向き判定部による判定結果が、前記端末装置を基準として前記ユーザの顔の向きが変化していないと判定されたとき、前記画像の表示の向きを変更しないことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
前記向き判定部が前記ユーザの顔の認識に成功しなかった場合、前記撮像部の動作を停止することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記向き判定部が前記ユーザの顔の認識に成功しなかった場合、前記表示制御部は、前記変化検出部による検出結果と前記向き判定部による判定結果に基づいた、前記画像の表示の向きを制御しないことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項6】
前記重力の検出方向が変化していない場合、前記撮像部は前記ユーザの顔の映像を撮影しないことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項7】
前記重力の検出方向が変化していない場合、前記画像の表示の向きを変更しないことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項8】
前記向き判定部は、前記ユーザの両目の位置に基づいて前記顔の向きを判定することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項9】
前記向き判定部は、前記ユーザの白目および黒目の位置に基づいて前記顔の向きを判定することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項10】
前記向き判定部は、前記ユーザがかけているメガネの形状に基づいて前記顔の向きを判定することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項11】
前記向き判定部は、前記ユーザの顔認識を行い、該顔認識の結果に基づいて前記顔の向きを判定することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項12】
端末装置の所定の座標系における重力の方向を検出する重力方向検出ステップと、
上記端末装置の表示部に平行な面をxy平面とした場合、当該xy平面に平行な重力の検出方向の変化を検出する変化検出部と、
表示部に平行な重力の検出方向の変化を検出する変化検出ステップと、
ユーザの顔の映像を撮影する撮像ステップと、
前記撮像ステップで撮影したユーザの顔の映像に基づいて、前記端末装置を基準としたユーザの顔の向きを判定する向き判定ステップと、
前記変化検出ステップによる検出結果における前記重力の検出方向と前記向き判定ステップによる判定結果に基づいて、前記表示部に表示された画像の表示の向きを制御する表示制御ステップと、
を備えることを特徴とする表示制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の表示制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。」

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審により付与した。

「【0022】
第2実施形態の電子装置は、例えば携帯電話機や携帯情報端末装置等の携帯端末装置である。図2に示されるように、この第2実施形態の携帯端末装置20は、表示装置21と、カメラ22と、傾き検知手段23とを備えている。
【0023】
表示装置21は、画面表示部25と、表示制御装置26とを備えている。その表示制御装置26は、画像処理部28と、カメラ作動指示部29と、画面制御部30とを備えている。
【0024】
すなわち、画面表示部25は、画像を表示する機能を持つ例えば液晶ディスプレイ等により構成されるものであり、例えば、図3に示されるように携帯端末装置20の一つの主面に設けられる。この画面表示部25に表示される画像の例を挙げると、例えば、電話発着信等の電話機能に関わる情報の画像や、電子メール機能のメール内容の画像や、インターネット閲覧情報の画像や、テレビ映像の画像等がある。さらに、画面表示部25に表示される画像の例として、カメラ22のプレビュー画像や、写真の画像等もある。
【0025】
カメラ22は、図3に示されるように、情報端末装置20において、画面表示部25が設けられている側と同じ側に設けられている。このカメラ22は、画面表示部25に面する所定の領域を撮影する機能を持つ。具体的に述べれば、このカメラ22は、画面表示部25の画面を見ている人(ユーザー)の顔を撮影することができる機能を持っている。さらに、カメラ22は、カメラ作動指示部29から作動指示信号が加えられた場合には、上記所定の領域を例えばオートフォーカス技術を利用して自動撮影する機能を備えている。
【0026】
傾き検知手段23は、携帯端末装置20の姿勢の変化(換言すれば、画面表示部25の傾き)を検知する機能を備えたものであり、例えば傾き検知センサとしてのジャイロ等のセンサを含んでいる。この傾き検知手段23は、その傾き検知センサの出力値が所定値以上変動した場合に、携帯端末装置20の姿勢が変化した(画面表示部25が傾いた)として、傾き検知信号を表示制御装置26に向けて出力する機能を備えている。なお、その傾き検知信号の出力は、携帯端末装置20が通常動作を行っている場合に行われ、休止状態(スリープ状態)のときには行わないものとする。
【0027】
表示制御装置26のカメラ作動指示部29は、傾き検知信号が出力されたことを検知すると、カメラ22を駆動させるためにカメラ22に向けて作動指示信号を出力する機能を備えている。さらに、カメラ作動指示部29は、情報端末装置20の電源が投入されたときに電源投入信号が加えられたとし、この場合にも、カメラ22に向けて作動指示信号を出力する機能を備えている。さらに、カメラ作動指示部29は、情報端末装置20が休止状態(スリープ状態)から通常状態に移行する休止状態解除信号が例えば情報端末装置20の制御部(図示せず)から加えられた場合にも、カメラ22に作動指示信号を出力する機能を備えている。さらに、カメラ作動指示部29は、上記のように作動指示信号を出力したことを知らせるためのカメラ作動通知信号を画像処理部28および画面制御部30に出力する機能を備えている。
【0028】
画像処理部28は、カメラ作動通知信号が出力されたことを検知すると、カメラ22により撮影された画像を取り込んで、当該撮影画像を次のように画像処理する機能を備えている。その画像処理とは、例えばエッジ検出処理手法等により、取り込んだ撮影画像の輪郭を抽出する処理である。さらに、画像処理部28は、その抽出された輪郭情報と、予め与えられている顔の輪郭パターン情報とに基づいて、撮影画像中に顔画像が有るか否かを判断する機能を備えている。さらに、画像処理部28は、撮影画像中に顔画像が無いと判断した場合には、顔画像無し信号を画面制御部30に出力する機能を備えている。
【0029】
さらに、画像処理部28は、撮影画像中に顔画像が有ると判断した場合には、続いて、その顔画像の所定の検知方向を解析する機能を備えている。この第2実施形態では、画像処理部28は、例えば、前記したように抽出した輪郭情報と、予め与えられている目や鼻や口等の顔のパーツの配置情報とに基づいて、顎から鼻を通って額に向かう顔の上向き方向を検知方向として算出する。
【0030】
例えば、図4(a)に示すように、情報端末装置20を縦向き(カメラ22が上側)にして、ユーザー33が画面表示部25の表示画面を見ているときに、カメラ22により撮影されたユーザー33の顔画像を含む画像が、例えば、図4(b)に示すようなものであったとする。この場合、画像処理部28により、その撮影画像34における顔画像33’の上向き方向(検知方向)は、図4(b)に示される点線Lに沿う矢印方向であると解析される。
【0031】
また、図5(a)に示すように、情報端末装置20を横向き(カメラ22が右側)にし
て、ユーザー33が画面表示部25の表示画面を見ているときに、カメラ22により撮影されたユーザー33の顔画像を含む画像が、例えば、図5(b)に示すようなものであるとする。この場合、画像処理部28により、その撮影画像35における顔画像33’の上向き方向(検知方向)は、図5(b)に示される点線Lに沿う矢印方向であると解析される。さらに、ユーザー33に対して情報端末装置20が、図6(a)のように縦向き(カメラ22が下側)の場合にも、図7(a)のように横向き(カメラ22が左側)の場合にも、上記同様に、顔画像33’の上向き方向Lが解析される。
【0032】
画像処理部28は、さらに、上記のような解析により得た検知方向の情報を画面制御部30に出力する機能を備えている。例えば、撮影画像34,35,36,37の所定の上向き方向Uに対する検知方向Lの傾き角度情報が、顔画像の検知方向の情報として画面制御部30に出力される。つまり、顔画像の検知方向の情報として、図4(b)の場合には0°が、図5(b)の場合には-90°が、図6(b)の場合には180°が、図7(b)の場合には90°が、それぞれ、画像処理部28から画面制御部30に出力される。
【0033】
画面制御部30は、カメラ22の動作中に、そのカメラ22で撮影されるプレビュー画像を画面表示部25に表示させるプレビュー表示機能を備えている。これに対し、画面制御部30は、カメラ作動指示部29からカメラ作動通知信号を受け取った場合には、前記作動指示信号に基づいたカメラ22の動作中には、プレビュー表示機能を阻止する(キャンセルする)機能を備えている。この機能により、作動指示信号に基づいてカメラ22が作動しても、画面表示部25の表示画面がカメラ22のプレビュー画像に切り換わらないので、ユーザー33にカメラ22の作動を気付かせずに済む。
【0034】
さらに、画面制御部30は、画像処理部28から顔画像の検知方向の情報を受け取ると、顔画像の検知方向(上向き方向)に応じて、画面表示部25に表示する画像の向きを制御する機能を備えている。つまり、画面制御部30は、画面表示部25に表示されている画像の上向き方向が顔画像の上向き方向に一致する方向に、画面表示部25の表示画像の向きを回転変化させる。具体的には、例えば、画面表示部25に、図8(a)に示されるような画像が表示されている場合に、画像処理部28から画面制御部30に、顔画像の検知方向の情報が加えられたとする。この場合には、顔画像の上向き方向Lが図4(b)の場合(0°方向の場合)であるとすると、画面表示部25の表示画像の上向き方向Tも0°方向なので、画面制御部30は、表示画像の向きを変化させず、そのままの向きでの表示を継続させる。顔画像の上向き方向Lが図5(b)の場合(-90°方向の場合)であるとすると、画面表示部25の表示画像の上向き方向Tを-90°方向に向くように、画面制御部30は、図8(b)の如く表示画像を回転変化させる。顔画像の上向き方向Lが図6(b)の場合(180°方向の場合)であるとすると、画面表示部25の表示画像の上向き方向Tを180°方向に向くように、画面制御部30は、図8(c)の如く表示画像を回転変化(上下反転)させる。顔画像の上向き方向Lが図7(b)の場合(90°方向の場合)であるとすると、画面表示部25の表示画像の上向き方向Tを90°方向に向くように、画面制御部30は、図8(d)の如く表示画像を回転変化させる。」

上記下線の記載及びその関連する部分の記載によれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「表示装置21と、カメラ22と、傾き検知手段23とを備える、携帯端末装置20であって、
表示装置21は、画面表示部25と表示制御装置26とを備え、表示制御装置26は、画像処理部28と、カメラ作動指示部29と、画面制御部30とを備えており、
カメラ22は、情報端末装置20において、画面表示部25が設けられている側と同じ側に設けられ、画面表示部25の画面を見ている人(ユーザー)の顔を撮影することができる機能、カメラ作動指示部29から作動指示信号が加えられた場合には、自動撮影する機能を持っており、
傾き検知手段23は、携帯端末装置20の姿勢の変化(換言すれば、画面表示部25の傾き)を検知する機能を備えたものであり、ジャイロ等の傾き検知センサの出力値が所定値以上変動した場合に、携帯端末装置20の姿勢が変化した(画面表示部25が傾いた)として、傾き検知信号を出力する機能を備えており、
カメラ作動指示部29は、傾き検知信号が出力されたことを検知すると、カメラ22を駆動させるためにカメラ22に向けて作動指示信号を出力する機能を備え、
画像処理部28は、カメラ作動通知信号が出力されたことを検知すると、カメラ22により撮影された画像を取り込んで、当該撮影画像を画像処理し、撮影画像中に顔画像が有ると判断した場合には、撮影画像34における顔画像33’の上向き方向(検知方向)Lを解析し、撮影画像34,35,36,37の所定の上向き方向Uに対する検知方向Lの傾き角度情報を、顔画像の検知方向の情報として画面制御部30に出力し、
画面制御部30は、画像処理部28から顔画像の検知方向の情報を受け取ると、顔画像の検知方向(上向き方向)に応じて、画面表示部25に表示する画像の向きを制御する、
携帯端末装置20。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、
「顔の方向が検出できなかった場合に、カメラを停止させる」という技術的事項が記載されている。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「画面表示部25」は、本願発明1の「表示部」に相当する。
イ 引用発明の「傾き検知手段23」は、「携帯端末装置20の姿勢の変化(換言すれば、画面表示部25の傾き)を検知する機能を備えたものであり、例えば傾き検知センサとしてのジャイロ等のセンサを含み、その傾き検知センサの出力値が所定値以上変動した場合に、携帯端末装置20の姿勢が変化した(画面表示部25が傾いた)として、傾き検知信号を出力する」から、本願発明1の「前記表示部に平行な面をxy平面とした場合、当該xy平面に平行な重力の検出方向の変化を検出する変化検出部」と、「前記表示部に平行な面をxy平面とした場合、当該xy平面の方向の変化を検出する変化検出部」である点は共通するといえる。
ウ 引用発明の「カメラ22」は、「画面表示部25の画面を見ている人(ユーザー)の顔を撮影する」から、本願発明1の「ユーザの顔の映像を撮影する撮像部」に相当する。
エ 引用発明の「画像処理部28」は、「カメラ22により撮影された画像を取り込んで、当該撮影画像を画像処理し、撮影画像中に顔画像が有ると判断した場合には、撮影画像34における顔画像33’の上向き方向(検知方向)Lを解析」するから、本願発明1の「前記撮像部で撮影したユーザの顔の映像に基づいて、前記端末装置を基準としたユーザの顔の向きを判定する向き判定部」に相当するといえる。
オ 引用発明の「画面表示部25に表示する画像の向きを制御する画面制御部30」は、「画像処理部28から顔画像の検知方向の情報を受け取ると、顔画像の検知方向(上向き方向)に応じて、画面表示部25に表示する画像の向きを制御する」から、本願発明1の「前記変化検出部による検出結果における前記重力の方向と前記向き判定部による判定結果に基づいて、前記表示部に表示された画像の表示の向きを制御する表示制御部」と、「前記向き判定部による判定結果に基づいて、前記表示部に表示された画像の表示の向きを制御する表示制御部」である点では共通するといえる。
オ 引用発明の「携帯端末装置20」は、後述する相違点を除き、本願発明1の「端末装置」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「表示部と、
前記表示部に平行な面をxy平面とした場合、当該xy平面の方向の変化を検出する変化検出部と、
ユーザの顔の映像を撮影する撮像部と、
前記撮像部で撮影したユーザの顔の映像に基づいて、前記端末装置を基準としたユーザの顔の向きを判定する向き判定部と、
前記向き判定部による判定結果に基づいて、前記表示部に表示された画像の表示の向きを制御する表示制御部と、
を備えることを特徴とする端末装置」

(相違点1)
本願発明1は「端末装置の所定の座標系における重力の方向を検出する重力方向検出部」を備え、「変化検出部」が「前記表示部に平行な面をxy平面とした場合、当該xy平面に平行な重力の検出方向の変化を検出する」ものであるのに対し、引用発明は、「ジャイロ等の傾き検知センサ」を備え、「変化検出部」は、「傾き検知センサの出力値が所定値以上変動した場合に、携帯端末装置20の姿勢が変化した(画面表示部25が傾いた)」ことを検出するものである点。

(相違点2)
「表示制御部」で行う「表示部に表示された画像の表示の向き」の制御が、本願発明1では、「前記変化検出部による検出結果における前記重力の検出方向と前記向き判定部による判定結果に基づいて」いるのに対し、引用発明では、「顔画像の検知方向(上向き方向)」に基づいているといえるが、変化を検出した重力の検出方向に基づいているとはいえない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討すると、相違点2に係る本願発明1の「前記変化検出部による検出結果における前記重力の検出方向と前記向き判定部による判定結果に基づいて、前記表示部に表示された画像の表示の向きを制御する」構成は、上記引用文献1には記載されておらず、本願出願日前において周知技術であるともいえない。
また、引用文献2に記載された技術的事項から容易に想到できたものでもない。
したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえず、また、引用発明及び引用文献2の記載に基づいて容易に発明できたものであるともいえない。

2.本願発明2-11について
本願発明2-11も、本願発明1の「前記変化検出部による検出結果における前記重力の検出方向と前記向き判定部による判定結果に基づいて、前記表示部に表示された画像の表示の向きを制御する」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明12、13について
本願発明12は本願発明1に対応する方法の発明、本願発明13は本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の「前記変化検出部による検出結果における前記重力の検出方向と前記向き判定部による判定結果に基づいて、前記表示部に表示された画像の表示の向きを制御する」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定について
平成28年11月21日付けの補正により、本願発明1-11は「前記変化検出部による検出結果における前記重力の検出方向と前記向き判定部による判定結果に基づいて、前記表示部に表示された画像の表示の向きを制御する」という構成を有し、また、請求項12、13も当該構成に対応する構成を有するものとなった。当該「前記変化検出部による検出結果における前記重力の検出方向と前記向き判定部による判定結果に基づいて、前記表示部に表示された画像の表示の向きを制御する」という構成は、原査定における引用文献1、2には記載されておらず、本願出願日前における周知技術でもないので、本願発明1-13は、当業者であっても、原査定における引用文献1、2に基づいて容易に発明できたものといえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-28 
出願番号 特願2012-200557(P2012-200557)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 575- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 菊池 智紀  
特許庁審判長 新川 圭二
特許庁審判官 稲葉 和生
和田 志郎
発明の名称 端末装置  
代理人 特許業務法人 東和なぎさ国際特許事務所  

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