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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A23L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23L
管理番号 1331980
審判番号 不服2016-698  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-15 
確定日 2017-08-30 
事件の表示 特願2014-530600「糖分解抑制性成分を含有する肥満予防及び改善用甘味素材組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月21日国際公開、WO2013/039364、平成26年10月 6日国内公表、特表2014-526258〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年9月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年9月15日(KR)韓国)を国際出願日とする出願であって、平成27年9月2日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年1月15日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。

第2 平成28年1月15日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容の概要
本件補正は、特許請求の範囲について補正をするものであって、請求項1について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。

(補正前の請求項1)
ブドウ糖及び果糖吸収阻害成分と、前記ブドウ糖及び果糖吸収阻害成分の重量を基準にして、0.01倍ないし200倍の重量のタガトースと、0.001倍ないし2倍の重量のレバウジオシドAとを有効成分として含有する肥満予防及び改善用甘味素材組成物。

(補正後の請求項1)
プシコースと、前記プシコースの重量を基準にして、0.01倍ないし200倍の重量のタガトースと、0.001倍ないし1倍の重量のレバウジオシドAとを有効成分として含有する肥満予防及び改善用甘味素材組成物。

2.補正の適否
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ブドウ糖及び果糖吸収阻害成分」を「プシコース」に限定し、レバウジオシドAの重量の範囲を「0.001倍ないし2倍」から「0.001倍ないし1倍」へと狭めるものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用文献
ア 原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2008/059625号(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審による。)。

(1a)「[0011]すなわち、本発明は、希少糖の中にD-プシコースおよび/またはD-タガトースというグルコキナーゼの核から細胞質への移行の促進物質を見つけ出すことができた。すなわち本発明は、希少糖D-プシコースおよび/またはD-タガトースを有効成分とするグルコキナーゼの核から細胞質への移行の促進剤、およびかかる化合物を用いるグルコキナーゼ活性に関連する(=グルコキナーゼの核から細胞質への移行の促進に関連する)病状発症の予防ないし治療用組成物を提供することができる。より具体的には本発明は、食品添加物、食品素材、飲食品、健康飲食品、医薬品、飼料の形態で飲食、あるいは経口投与するだけで、グルコキナーゼ活性に関連する病状の処置(予防ないし治療)することができる希少糖D-プシコースおよび/またはD-タガトースの使用技術を提供することができる。」(5ページ1?10行)

(1b)「[0036]本発明の製剤には、本発明の効果を阻害しない限り、生理学的に許容される担体などを配合することができる。生理学的に許容される担体などとしては、製剤材料として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、緩衝剤、増粘剤、乳化剤などがあげられる。また、必要に応じて、着色剤、甘味剤、抗酸化剤などの製剤添加剤も用いることができる。さらに本発明の製剤をコーティングしてもよい。」(16ページ4?10行)

(1c)「[0039]着色剤としては、例えば、水溶性食用タール色素(例、食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号などの食用色素、水不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩など)、天然色素(例、β-カロチン、クロロフィル、ベンガラなど)などがあげられる。甘味剤としては、例えば、ショ糖、乳糖、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどがあげられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸及びそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などがあげられる。」(17ページ下から8?2行)

(1d)「請求の範囲
[1]D-プシコースおよび/またはD-タガトースを有効成分とするグルコキナーゼの核から細胞質への移行の促進剤。
[2]D-プシコースおよび/またはD-タガトースを有効成分とするグルコキナーゼ活性に関連する病状発症の予防ないし治療用組成物。
[3]上記組成物が、D-プシコースおよび/またはD-タガトースを有効成分として配合した、グルコキナーゼ活性に関連する病状発症の予防ないし治療に用いることができる食品添加物、食品素材、飲食品、健康飲食品、医薬品および飼料からなる群から選ばれる形態のものである請求項2に記載のグルコキナーゼ活性に関連する病状発症の予防ないし治療用組成物。
[4]グルコキナーゼ活性に関連する病状が、耐糖能異常、2型糖尿病、高脂血症、メタボリックシンドロームおよび肥満症から選択される、請求項2または3に記載のグルコキナーゼ活性に関連する病状発症の予防ないし治療用組成物。」(31ページ1?13行)

これらの記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「D-プシコースおよびD-タガトースを有効成分とするグルコキナーゼ活性に関連する病状発症の予防ないし治療用組成物であって、
グルコキナーゼ活性に関連する病状が、耐糖能異常、2型糖尿病、高脂血症、メタボリックシンドロームおよび肥満症から選択され、
食品添加物、食品素材、飲食品、健康飲食品、医薬品および飼料からなる群から選ばれる形態のものである組成物。」

イ 原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2008/059623号(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。

(2a)「[0003]D-プシコースは、糖蜜や異性化糖中に微量含まれており、D-フラクトースからエピメラーゼによって酵素的に生産可能な希少糖の一種で、D-プシコースは、抗酸化性などの生理機能が期待され、なおかつ甘味が砂糖の60?70%有るにもかかわらずエネルギーがほぼ0キロカロリーであること、溶解性に優れていることからさまざまな食品への応用が期待される。しかし、食品の甘味料として使用する場合、必要量の甘味をつけようとすると使用量が多くなり、濃厚感が出すぎてしまうことや、甘味の立ち上がりが遅いことなどを考えると単独使用は現実的ではない。」(1ページ12?18行)

(2b)「[0005]また砂糖の数百倍以上の甘味を持つ高甘味度甘味料は少量の添加で目的とする甘味を発現させることが可能であることから、低カロリーの甘味料として使用されているが、甘味の立ち上がりが遅かったり、特有の苦味があったりという欠点をもつため、単独での使用は少なく、これらの甘味料を組み合わせて使用するのが一般的である。」(1ページ22?26行)

(2c)「[0021]D-プシコース100部に対し、高甘味度甘味料の使用量は、0.008?5部が望ましい。この範囲では、前半の甘味の立ちと後半の甘味のバランスがよい。0.008部以下では、前半の甘味が物足りなく、5部以上では、高甘味度甘味料の苦味が出たり後甘味が強すぎ好ましくない。また、0.05?1.5部がより好ましい。」(6ページ3?6行)

(2d)「請求の範囲
[1]D-プシコースと、糖アルコールおよび/または高甘味度甘味料からなる味質の改良されたD-プシコース含有甘味料。」(23ページ1?3行)

(2)対比
引用発明の「D-プシコース」、「D-タガトース」は、それぞれ、本願補正発明の「プシコース」、「タガトース」に相当する。
引用発明の「グルコキナーゼ活性に関連する病状発症の予防ないし治療用」組成物は、グルコキナーゼ活性に関連する病状にメタボリックシンドロームおよび肥満症が含まれていることを踏まえると、本願補正発明の「肥満予防及び改善用」組成物に相当する。
よって、本願補正発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「プシコースとタガトースとを有効成分として含有する肥満予防及び改善用組成物。」

[相違点1]
本願補正発明は「甘味素材」組成物であるのに対し、引用発明は甘味素材とは特定されていない点。

[相違点2]
本願補正発明は、タガトースの含有量が「プシコースの重量を基準にして、0.01倍ないし200倍の重量」と特定されているのに対し、引用発明は、このような特定がなされていない点。

[相違点3]
本願補正発明は、「プシコースの重量を基準にして」「0.001倍ないし1倍の重量のレバウジオシドA」を有効成分として含有するのに対し、引用発明は、このような特定がなされていない点。

(3)判断
ア 相違点1について
引用発明は、食品添加物、食品素材の形態のものが想定されているところ、その成分であるD-プシコースおよびD-タガトースはいずれも甘味を有する糖であることから、引用発明を「甘味素材」とすること、すなわち、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について
引用発明において、D-プシコースおよびD-タガトースはいずれも有効成分とされており、これらの含有量を極端に相違させる理由は認められない。そうすると、タガトースの含有量を「プシコースの重量を基準にして、0.01倍ないし200倍の重量」という範囲内に設定することに何ら困難性は認められず、相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用発明に基いて当業者が容易に設定し得た設計事項というべきである。

ウ 相違点3について
引用文献2には、D-プシコースの甘味が砂糖の60?70%であること(記載(2a))、高甘味度甘味料は少量の添加で目的とする甘味を発現させることが可能であることから、低カロリーの甘味料として使用されており、他の甘味料と組み合わせて使用するのが一般的であること(記載(2b))、D-プシコースに高甘味度甘味料を併用して味質の改良された甘味料となること(記載(2d))の各技術事項が記載されている。
一方、引用文献1には、引用発明に甘味剤を配合することが示唆されている(記載(1b)、(1c))。
上記引用文献2に示された技術事項及び上記引用文献1の示唆を踏まえると、引用発明の組成物を「甘味素材」として用いるにあたり、甘味の増強ないし味質の改良の観点から、その有効成分として高甘味度甘味料を配合することは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、レバウジオシドAは、苦味が少なく優良な甘味質を持ち、ショ糖の約300倍の甘味強度である周知の高甘味度甘味料であるから(原査定に引用された、光琳選書7「食品と甘味料」、平成20年10月1日、p. 248参照。)、引用発明の甘味の増強ないし味質の改良には好適といえる。
よって、引用発明に周知のレバウジオシドAを有効成分として配合することは当業者が容易に想到し得たことである。
また、その配合量を、「プシコースの重量を基準にして」「0.001倍ないし1倍の重量」とすることは、上記のとおりレバウジオシドAの甘味強度がショ糖の約300倍であることや、引用文献2に、D-プシコース100部に対し高甘味度甘味料0.05?1.5部が好ましいと記載されていること(記載(2c))等を勘案しつつ、当業者が所望の甘味が得られるように適宜に設定した程度の設計事項である。
したがって、相違点3に係る本願補正発明の構成は、引用発明、引用文献2の技術事項及び周知技術に基いて当業者が容易に想到し得たものである。

エ 効果について
本願補正発明の効果も、引用発明、引用文献2の技術事項及び周知技術から予測できる範囲内のものであって格別顕著なものとはいえない。
請求人は、審判請求書において、本願補正発明は、プシコースとタガトースとレバウジオシドAとを所定の割合で含むことにより相乗効果が得られるものである旨主張する。しかし、本願明細書の記載を参照しても、本願補正発明の実施例である実施例2と、レバウジオシドAを含まない実施例1とで効果が格別相違するとは認められないから、上記請求人の主張は根拠がなく、採用できない。

(4)小括
したがって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2の技術事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年4月15日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(第2[理由]1.補正の内容の概要 (補正前の請求項1)参照。)。

第4 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記「第2[理由]2.(1)」に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明から「プシコース」を「ブドウ糖及び果糖吸収阻害成分」へと拡張し、レバウジオシドAの重量の範囲を「0.001倍ないし1倍」から「0.001倍ないし2倍」へと拡張したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに限定されたものに相当する本願補正発明が、前記「第2 2.」に記載したとおり、引用発明、引用文献2の技術事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、引用文献2の技術事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2の技術事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-03-30 
結審通知日 2017-04-04 
審決日 2017-04-17 
出願番号 特願2014-530600(P2014-530600)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A23L)
P 1 8・ 121- Z (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 太田 雄三  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 窪田 治彦
紀本 孝
発明の名称 糖分解抑制性成分を含有する肥満予防及び改善用甘味素材組成物  
代理人 宮寺 利幸  
代理人 仲宗根 康晴  
代理人 坂井 志郎  
代理人 千葉 剛宏  
代理人 大内 秀治  
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