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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01N
管理番号 1331982
審判番号 不服2016-16213  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-31 
確定日 2017-09-21 
事件の表示 特願2012-116828「ガスセンサ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月 5日出願公開、特開2013-242269、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成24年5月22日の出願であって、平成27年10月1日付けで拒絶理由が通知され、同年11月27日付けで意見書が提出され、平成28年2月8日付けで拒絶理由が通知され、同年4月7日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年9月9日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)されたところ、同年10月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 原査定の概要

原査定の概要は以下のとおりである。

本願請求項1ないし3に係る発明は、以下の引用例1ないし6に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用例一覧
1.特開2009-103541号公報
2.特開平8-254515号公報
3.特開昭58-124939号公報
4.特開2008-241501号公報
5.特開2002-90325号公報
6.特開平8-159997号公報

第3 本願発明

本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、平成28年4月7日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものと認められる。
そのうち、「本願発明1」は、分説してA)ないしC)の符号を付与すると、以下の事項により特定される発明である。

「【請求項1】
A) センサ本体を収容するハウジングに、シリカ・アルミナ系吸着剤から成るバルクフィルタを設けたガスセンサにおいて、
B) 前記バルクフィルタとセンサ本体との間に、メソポーラスシリカ、ハイシリカYゼオライト、もしくはハイシリカモルデナイトゼオライトを付着させた紙、不織布又は通気性の合成樹脂フィルムから成る層状フィルタを設けて、バルクフィルタで処理した雰囲気をさらに層状フィルタで処理して、センサ本体へ供給するように構成されていること
C) を特徴とする、ガスセンサ。」

第4 引用例、引用発明等

1 引用例1

原査定の拒絶の理由に引用された引用例1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与したものである。以下同様。

(引1-1)
「【請求項1】
検出対象ガスが導入される流入口、および、この流入口下流側にあって流入口と連通する検出空間を有するケース体と、
検出空間内に配置され、上流側にある流入口を通過した検出対象ガスのうち、酸性ガスを吸着する無機化合物、ならびに、雑ガスおよび酸性ガスを吸着する活性炭、をともに含むフィルタと、
検出空間内であってフィルタの下流側に配置され、所定の時間間隔でパルス通電を行ってオンとオフを繰り返す間欠駆動がなされて、フィルタにより酸性ガスおよび雑ガスが吸着された残りの検出対象ガスのうち可燃性ガスに感応して検出信号を出力する薄膜ガスセンサと、
を備えることを特徴とする可燃性ガス検出装置。」

(引1-2)
「【請求項3】
請求項1に記載の可燃性ガス検出装置において、
前記フィルタは、
検出空間内であって流入口の下流に配置され、流入口を通過した検出対象ガスのうち雑ガスおよび酸性ガスを吸着する活性炭を主体とする活性炭フィルタと、
検出空間内であって活性炭フィルタの下流に配置され、活性炭フィルタを通過した検出対象ガスのうち酸性ガスを吸着する無機化合物を主体とする無機化合物フィルタと、
を備えることを特徴とする可燃性ガス検出装置。」

(引1-3)
「【0089】
無機化合物フィルタ60は、流入する検出対象ガスとの接触面積が大きいほどよく、それぞれの粉末をシリカゾルのような無機バインダーに担持させて球状、破砕状、ペレット状の形態にし、円板状で通過孔を有するケース体などに収納したフィルタとしても良い。
また円板状であってハニカム状担体などの圧損の少ない担体に、固体塩基性無機化合物粉末にシリカゾルのような無機バインダーを混合したペーストをコーティングして形成したフィルタとしても良い。」

(引1-4)
「【0107】
続いて、活性炭を図1のキャップ21内の100メッシュのSUSネットたる通過口213上に所定厚さとなるように充填して活性炭フィルタ30を形成する。
さらに、上記の80メッシュ?30メッシュ間に整粒されたK2CO3粉末+シリカゾル混合物を活性炭フィルタ30の上部に敷き詰めて無機化合物フィルタ60を形成する。そして、無機化合物フィルタ60の上側に100メッシュのSUSネットたる流入口211を配置して開口部に固定する。」

(引1-5)
「図2



(引1-6)
上記(引1-5)に示した図2を参照すると、薄膜ガスセンサが検出空間212の内部に設けられている点が見て取れる。

したがって、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 検出対象ガスが導入される流入口、および、この流入口下流側にあって流入口と連通する検出空間を有するケース体と、
検出空間内に配置され、上流側にある流入口を通過した検出対象ガスのうち、酸性ガスを吸着する無機化合物、ならびに、雑ガスおよび酸性ガスを吸着する活性炭、をともに含むフィルタと、
検出空間内に配置され、フィルタにより酸性ガスおよび雑ガスが吸着された残りの検出対象ガスのうち可燃性ガスに感応して検出信号を出力する薄膜ガスセンサと、
を備え、
前記フィルタは、
検出空間内であって流入口の下流に配置され、流入口を通過した検出対象ガスのうち雑ガスおよび酸性ガスを吸着する活性炭を主体とする活性炭フィルタと、
検出空間内であって活性炭フィルタの下流に配置され、活性炭フィルタを通過した検出対象ガスのうち酸性ガスを吸着する無機化合物を主体とする無機化合物フィルタと、
を備え、
活性炭フィルタは、活性炭を所定厚さとなるように充填して形成され、
無機化合物フィルタは、円板状であってハニカム状担体などの圧損の少ない担体に、固体塩基性無機化合物粉末にシリカゾルのような無機バインダーを混合したペーストをコーティングして形成したフィルタである、
可燃性ガス検出装置。」

2 引用例2

原査定の拒絶の理由に引用された引用例2には、以下の事項が記載されている。

「【0002】
【従来技術】金属酸化物半導体ガスセンサや、Naイオン導電体,プロトン導電体,ZrO2等の固体電解質ガスセンサ,あるいはPt等のコイルを接触燃焼触媒に埋設した接触燃焼式ガスセンサの分野では、ガスセンサのキャップにフィルタを設けて、不要なガスを除くことが知られている。フィルタとしては、例えば活性炭(特開平6-160323号)やゼオライト(特開平6-186198号)、シリカゲル、活性白土等が用いられる。フィルタの作用は、例えばエタノールやNOx,アンモニア等の不要なガスを吸着あるいは吸収して除くことで、検出対象のガスに応じてフィルタの種類を選ぶ。」

したがって、引用例2には、従来技術として、フィルタに、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、活性白土等の物質を用いる点、及び、検出対象のガスに応じてフィルタの種類を選ぶ点が記載されている。

3 引用例3

原査定の拒絶の理由に引用された引用例3には、以下の事項が記載されている。

第1頁左下欄第3行-第8行
「特許請求の範囲
1. ガス感応体と、該ガス感応体よりもガス流の上流側に設けた防害ガス除去フイルタとを具備したガスセンサにおいて、前記妨害ガス除去フイルタがアルコールの吸脱着可能な多孔質層であることを特徴とするガスセンサ。」

第1頁左下欄第17行-第20行
「4. 前記多孔質層はシリカゲル、ゼオライトおよび/または塩化カルシユムから成ることを特徴とする特許請求の範囲第1項乃至第3項記載のガスセンサ。」

したがって、引用例3には、ガス感応体よりもガス流の上流側に設けた防害ガス除去フイルタとして、多孔質層であるものを用い、前記多孔質層がシリカゲル、ゼオライトから成る点が記載されている。

4 引用例4

原査定の拒絶の理由に引用された引用例4には、以下の事項が記載されている。

「【0013】
本発明のガス吸着フィルタを構成するフィルタ本体は、アクリル等の樹脂の繊維からなる不織布が例示されるが、これに限定されるものではない。また、TiO_(2)粉末は、不織布の内部に含まれている場合に限らず、その表面(又は表裏両面)に含まれているものでもよい。なお、TiO_(2)粉末の平均粒径は、5?200nmの範囲のものが適切であり、これらは不織布などのフィルタ本体を構成する繊維相互間に混在して、容易に分離することなく安定して含まれるように、例えば、水に混合撹拌した後で、その混合水中にフィルタ本体を浸漬して引き上げ、その後乾燥することで形成できる。」

したがって、引用例4には、ガス吸着フィルタを構成するフィルタ本体として、アクリル等の樹脂の繊維からなる不織布を用いた点が記載されている。

5 引用例5

原査定の拒絶の理由に引用された引用例5には、以下の事項が記載されている。

「【0054】一方、膜成分を不織布、ガラスフィルタ等に含浸等により担持させ、これをケースの窓にフィルタ膜として配置することが好ましい。」
「【0076】まず、PAH、PAA各3質量%水溶液を作成し、NaOHにてpHを5.0に調整した。フィルタ基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET;厚さ20μm 、気孔率50%、気孔径10μm )不織布を用いた。あらかじめ10質量%NaOH水溶液に3時間浸積させ、表面に初期電荷を与えた。このフィルタに、質量制御型交互吸着膜作成装置(日本レーザー電子製)により、PAHとPAAを交互積層し、積層膜を担持した。積層回数は、80回で、膜厚は5μmであった。」
「【0078】そして、図1のように、ポリブチレンテレフタレート(PBT)製ケースに、湿度センサを収納し、上記の処理を施したPET不織布で窓部分を覆って湿度センサを得た。窓の総面積は1.5cm^(2 )とした。」

したがって、引用例5には、フィルタ基材として、不織布を用いた点が記載されている。

6 引用例6

原査定の拒絶の理由に引用された引用例6には、以下の事項が記載されている。

「【0005】尚、従来のフィルタ付ガス検知素子には次のような問題点もあった。まず、フィルタの被毒防止能力が低いという問題である。つまり、従来のガス検知素子に取り付けられているフィルタは一般的に、活性アルミナ、ゼオライト、酸化亜鉛等のセラミック材料の粉体を単独で、または複数種混合したものに適当なバインダーを加えてペースト状にしたものを600?1000℃程度の高温で焼成することによって得られたものであるが、このようにして得られたフィルタは、その粉体粒子同士が結合した状態(焼結固体)となっており、表面積が減少しているため被毒物質を吸着除去する能力が低いと考えられる。」

したがって、引用例6には、ガス検知素子に取り付けられているフィルタは一般的に、活性アルミナ、ゼオライト、酸化亜鉛等のセラミック材料の粉体を焼成することによって得られたものである点が記載されている。

第5 対比・判断

1 本願発明1について

本願発明1と引用発明とを対比する。

(1)本願発明のA)及びC)の特定事項について
ア 引用発明の「薄膜ガスセンサ」、「ケース体」、「ガス検出装置」は、本願発明1の「センサ本体」、「ハウジング」、「ガスセンサ」に相当する。
イ 引用発明において、「ケース体」は「検出空間を有する」ものであり、また、「薄膜ガスセンサ」は「検出空間内に配置され」るものである。
よって、引用発明の「薄膜ガスセンサ」が「配置され」る「検出空間を有する」「ケース体」は、本願発明1の「センサ本体を収容するハウジング」に相当する。
ウ 引用発明の「検出空間内に配置され」た「活性炭フィルタ」は、「活性炭を所定厚さとなるように充填して形成され」るものであるから、バルクフィルタであるといえる。
エ よって、本願発明1と引用発明は、「センサ本体を収容するハウジングに、」「バルクフィルタを設けたガスセンサ」である点で共通する。

(2)本願発明のB)の特定事項について
ア 引用発明の「無機化合物フィルタ」は、「活性炭フィルタの下流に配置される」ものである。そして、「薄膜ガスセンサ」よりも上流に設けられることは明らかである。
イ 引用発明の「無機化合物フィルタ」は、「活性炭フィルタを通過した検出対象ガス」から「酸性ガスを吸着する」ものであるから、「無機化合物フィルタ」は、バルクフィルタで処理した雰囲気をさらに処理するフィルタである。
ウ 引用発明の「無機化合物」と、本願発明1の「メソポーラスシリカ、ハイシリカYゼオライト、もしくはハイシリカモルデナイトゼオライト」は、無機化合物である点で共通する。
エ 引用発明の「無機化合物フィルタ」は、「円板状であってハニカム状担体などの圧損の少ない担体に、固体塩基性無機化合物粉末にシリカゾルのような無機バインダーを混合したペーストをコーティングして形成した」ものであるから、「層状フィルタ」といえる。
オ 上記アないしエより、引用発明の「無機化合物フィルタ」は、本願発明1の「層状フィルタ」に相当し、引用発明の「検出空間内であって活性炭フィルタの下流に」「無機化合物フィルタ」を「配置」し、「活性炭フィルタを通過した検出対象ガスのうち酸性ガスを吸着する」ことは、本願発明1の「バルクフィルタとセンサ本体との間に、」「層状フィルタを設けて、バルクフィルタで処理した雰囲気をさらに層状フィルタで処理」することに相当する。
カ 引用発明は、「薄膜ガスセンサ」が「フィルタにより酸性ガスおよび雑ガスが吸着された残りの検出対象ガスのうち可燃性ガスに感応して検出信号を出力」していることから、「無機化合物フィルタ」を通過した「検出対象ガス」が「薄膜ガスセンサ」に供給されていることは明らかである。
キ よって、本願発明1と引用発明は、「層状フィルタで処理して、センサ本体へ供給するように構成されている」点で一致する。
ク 引用発明の「圧損の少ない単体」と、本願発明1の「紙、不織布又は通気性の合成樹脂フィルム」は、「圧損の少ない単体」である点で共通する。
ケ 以上のことから、本願発明1と引用発明は、「バルクフィルタとセンサ本体との間に、」無機化合物を付着させた圧損の少ない単体「から成る層状フィルタを設けて、バルクフィルタで処理した雰囲気をさらに層状フィルタで処理して、センサ本体へ供給するように構成されている」点で一致する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
センサ本体を収容するハウジングに、バルクフィルタを設けたガスセンサにおいて、前記バルクフィルタとセンサ本体との間に、無機化合物を付着させた圧損の少ない単体から成る層状フィルタを設けて、バルクフィルタで処理した雰囲気をさらに層状フィルタで処理して、センサ本体へ供給するように構成されているガスセンサ。

<相違点1>
バルクフィルタに関して、本願発明1は、バルクフィルタがシリカ・アルミナ系吸着剤から成るものであるのに対して、引用発明は、活性炭である点。
<相違点2>
層状フィルタに関して、本願発明は、層状フィルタの無機化合物が、メソポーラスシリカ、ハイシリカYゼオライト、もしくはハイシリカモルデナイトゼオライトであり、層状フィルタの無機化合物を付着させた圧損の少ない単体が、紙、不織布又は通気性の合成樹脂フィルムであるのに対して、引用発明は、そのように構成されていない点。

上記各相違点について以下に検討する。

<相違点1について>
引用例2には、従来技術として、フィルタに、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、活性白土等の物質を用いる点、及び、検出対象のガスに応じてフィルタの種類を選ぶ点が記載されていることから、シリカ・アルミナ系吸着剤をフィルタに採用すること自体は従来周知の事項といえる。
しかしながら、引用例2には、引用発明におけるバルクフィルタの材料を、活性炭からシリカ・アルミナ系吸着剤に変更する動機付けとなり得る記載は何ら見出せない。
また、引用例6には、ガス検知素子に取り付けられているフィルタが、一般的に、活性アルミナ、ゼオライト、酸化亜鉛等のセラミック材料の粉体を焼成することによって得られたものである点が記載されていることから、シリカ・アルミナ系吸着剤をフィルタに採用したことが記載されている。
しかしながら、引用例6にも、引用発明におけるバルクフィルタの材料である活性炭をシリカ・アルミナ系吸着剤に変更する動機付けとなり得る記載は何ら見出せない。
さらに、引用例3、4及び5においても、引用発明におけるバルクフィルタの材料である活性炭をシリカ・アルミナ系吸着剤に変更する動機付けとなり得る記載は何ら見出せない。
したがって、引用例2に記載されているように、シリカ・アルミナ系吸着剤をフィルタに用いることが周知であり、検出対象のガスに応じてフィルタの種類を選ぶ点も周知である点、また、引用例6に記載されているように、ガス検知素子に取り付けられているフィルタが、一般的に、活性アルミナ、ゼオライト、酸化亜鉛等のセラミック材料の粉体を焼成することによって得られたものであった点を勘案しても、バルクフィルタとセンサ本体との間に層状フィルタを設けた形式のフィルタにおけるバルクフィルタの材料を、シリカ・アルミナ系吸着剤に置換することが当業者が容易に想到し得るものとは認められない。
しかも、本願発明1は、本願明細書の段落[0005]に、「発明が解決使用とする課題」として「この発明の課題は、少量のメソポーラスシリカで、シロキサンガスへの耐久性を増すことにある。」と記載されているように、「シロキサンガスへの耐久性を増すこと」を課題としているものであるが、引用例1ないし6には、その課題について、何ら言及がされていない。
以上のことから、引用例1ないし6に接した当業者といえども、本願発明1の上記相違点1に係る発明特定事項を想起することができない。

<相違点2について>
引用例1ないし6のいずれにも、メソポーラスシリカ、ハイシリカYゼオライト、もしくはハイシリカモルデナイトゼオライトが記載されていない。
したがって、バルクフィルタと組み合わせて用いられる層状フィルタの吸着剤として、それらの物質を用いる点は、何ら、記載も示唆もされていない。
また、メソポーラスシリカ、ハイシリカYゼオライト、及び、ハイシリカモルデナイトゼオライト自体が従来周知の物質であったとしても、シリカ・アルミナ系吸着剤から成るバルクフィルタとセンサ本体との間に、層状フィルタを設けた形式のフィルタにおいて、該層状フィルタの吸着剤として採用することが従来周知の事項であるとはいえない。
したがって、引用例1ないし6に接した当業者といえども、本願発明1の上記相違点2に係る発明特定事項を想起することができない。

2 本願発明2及び3について

本願発明2及び3は、いずれも、本願発明1の発明特定事項をすべて含み、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同様に、引用例1ないし引用例6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 むすび

以上のとおり、原査定の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-09-08 
出願番号 特願2012-116828(P2012-116828)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田中 洋介塚本 丈二小澤 瞬  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 松岡 智也
▲高▼橋 祐介
発明の名称 ガスセンサ  
代理人 塩入 みか  
代理人 塩入 明  
代理人 塩入 みか  
代理人 塩入 明  

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