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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1332048
審判番号 不服2016-10555  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-12 
確定日 2017-09-07 
事件の表示 特願2012-157862「管理装置、表示装置、表示処理方法、および画像作成プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月 3日出願公開、特開2014- 21616〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件特許出願は、平成24年7月13日の出願であって、その手続の経緯は以下の通りである。

平成27年 9月 4日付け:拒絶理由の通知
平成27年11月 9日 :意見書及び手続補正書の提出
平成28年 4月 7日付け:拒絶査定
平成28年 7月12日 :審判請求書の提出
平成29年 4月 7日付け:当審にて拒絶理由の通知
平成29年 6月 8日 :意見書の提出


第2 本件発明

本件特許出願の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、平成27年11月9日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下の通りのものと認める。

「 【請求項1】
需要家におけるエネルギー変量を表すグラフ画像を作成する管理装置であって、
売電量、買電量、発電量および消費電力量の4要素のうちの少なくとも1つの遷移状況を前記グラフ画像として作成するとともに、当該グラフ画像に対して時間軸を共通として蓄電池の蓄電量の遷移状況を重畳する制御部を備え、
前記グラフ画像は2つの異なる単位表示の縦軸を含み、前記4要素についての縦軸は絶対値表示であり、前記蓄電量についての縦軸は前記蓄電池の容量に対する相対値表示であることを特徴とする管理装置。 」


第3 引用文献

1.引用文献1について

これに対して、当審において平成29年4月7日付けで通知した拒絶理由にて引用した、特開2011-180807号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(なお、下線部は当審にて付与した。)

(ア)「本発明は、建物内のエネルギー消費量を監視対象として表示可能なエネルギー消費量の表示装置、及びこの表示装置を備えたエネルギー消費量の管理システムに関するものである。」(【0001】)

(イ)「この実施例の建物としての住宅Hは、エネルギー消費量計測手段としての計測センサ11、分電盤計測装置12、及びガス・水道計測装置14と、エネルギー消費量の表示装置としての表示モニタ2を備えている。」(【0060】)

(ウ)「また、この住宅Hは、発電装置としての太陽光発電装置5を備えている。
この太陽光発電装置5は、太陽エネルギーとしての太陽光を、太陽電池を利用することによって、直接、電力に変換して発電をおこなう装置である。この太陽光発電装置5は、太陽光を受けることができる時間帯にのみ電力を供給することが可能な装置である。
また、太陽光発電装置5によって発電された直流電力は、パワーコンディショナ51によって交流電力に変換されて分電盤120に入力される。
また、住宅Hには、様々なエネルギー負荷設備7A?7Eが設置されている。例えば、エアコンなどの空調装置7A、照明スタンドやシーリングライトなどの照明装置7B、並びに冷蔵庫やテレビなどの家電装置7Cなどの電力によって稼働する電力負荷装置がある。
・・・途中省略・・・
そして、これらの電力負荷装置7A?7Cなどの電力消費量を計測するためにエネルギー消費量計測手段としての計測センサ11を取り付ける。
・・・途中省略・・・
そして、計測センサ11,・・・及び分電盤計測装置12によって計測された計測値は、無線又は有線の住宅H内の通信手段を介して集計管理装置13に送信される。
この集計管理装置13は、データの送受信をおこなう通信部と、受信した計測値などのデータを記録させるデータ蓄積部などを備えている。このデータ蓄積部には、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置が好適に使用される。
また、データ蓄積部に記録させる計測値のデータは、計測日時が後から特定できるように、予め設定された一定間隔で保存させるか、又は計測センサ11で計測した時刻、計測センサ11が送信をおこなった時刻若しくは集計管理装置13が受信した時刻などを時刻歴として付加して一緒に保存させる。」(【0066】?【0082】)

(エ)「そして、この表示モニタ2に、集計管理装置13のデータ蓄積部に記録された計測値、管理サーバ3に蓄積された計測値、それらの計測値に基づく演算値、エネルギー消費量の評価をおこなうために統計処理された統計値などが表示される。
・・・途中省略・・・
次に、実施例のエネルギー消費量の表示装置としての表示モニタ2について具体的に説明する。
この実施例では、表示モニタ2として、パーソナルコンピュータのディスプレイを用いている。なお、表示モニタ2を機能させるための記憶部や画像処理部などは、パーソナルコンピュータの本体に設けられている。」(【0094】?【0097】)

(オ)「この場合、表示位置としての9月8日の日付ボタン211aをクリックすると、図3に示したように、日別表示部211の下側に、9月8日の0時から23時の電力消費量の短期表示部としての時間別表示部212Aが表示される。
ここで、この電力消費量の時間別表示部212Aも、日別表示部211Aと同様、各時間の上に、色により区分された棒グラフで表示され、これらの棒グラフは、発電量は黄色、23時から6時までの深夜電力は紺色、7時から10時までと17時から22時までの朝晩電力は青色、11時から16時までの昼間電力は薄水色のように、目視可能とされる。
さらに、この電力消費量の時間別表示部212Aにおける各時間の電力消費量の棒グラフの右側には、白抜きの棒グラフで、過去の例えば2週間や30日間などの所定期間の対応する時間別の電力消費量に基づいて算出された電気消費量の平均値が表示され、使い過ぎであるか否かを判断する際の指標となる。」(【0122】?【0124】)

(カ)「例えば、住宅Hが蓄電池、貯湯設備、電気自動車、又はプラグインハイブリッド車などのエネルギー蓄積手段を有するときには、表示モニタ2において、長期表示部としての日別表示部211A、211B及び短期表示部としての時間別表示部212A、212Bと同一画面に、エネルギー蓄積量が表示されるようにして実施してもよい。このようにすれば、蓄積したエネルギー量が一目で確認でき、これをバランスよく利用しているかも分かる。
この場合のエネルギー蓄積量の表示方法としては、例えば、上記した実施例における発電量の表示と同様にすればよい。」(【0210】?【0211】)

(キ)「【図3】



上記(ア)?(キ)の記載から、引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。

「建物内のエネルギー消費量を監視対象として表示可能なエネルギー消費量の表示装置を備えたエネルギー消費量の管理システムに関するものであって、
建物としての住宅Hは、エネルギー消費量計測手段としての計測センサ11、分電盤計測装置12、及びガス・水道計測装置14と、エネルギー消費量の表示装置としての表示モニタ2を備え、
この住宅Hは、発電装置としての太陽光発電装置5を備え、
住宅Hには、様々なエネルギー負荷設備7A?7Eが設置されており、これらの電力負荷装置7A?7Cなどの電力消費量を計測するためにエネルギー消費量計測手段としての計測センサ11を取り付け、そして、計測センサ11,・・・及び分電盤計測装置12によって計測された計測値は、無線又は有線の住宅H内の通信手段を介して集計管理装置13に送信され、
集計管理装置13は、データの送受信をおこなう通信部と、受信した計測値などのデータを記録させるデータ蓄積部などを備えており、
表示モニタ2に、集計管理装置13のデータ蓄積部に記録された計測値、管理サーバ3に蓄積された計測値、それらの計測値に基づく演算値、エネルギー消費量の評価をおこなうために統計処理された統計値などが表示され、表示モニタ2として、パーソナルコンピュータのディスプレイを用い、表示モニタ2を機能させるための記憶部や画像処理部などは、パーソナルコンピュータの本体に設けられており、
電力消費量の時間別表示部212Aも、各時間の上に、色により区分された棒グラフで表示され、これらの棒グラフは、発電量は黄色、23時から6時までの深夜電力は紺色、7時から10時までと17時から22時までの朝晩電力は青色、11時から16時までの昼間電力は薄水色のように、目視可能とされ、
住宅Hが蓄電池、貯湯設備、電気自動車、又はプラグインハイブリッド車などのエネルギー蓄積手段を有するときには、表示モニタ2において、短期表示部としての時間別表示部212A、212Bと同一画面に、エネルギー蓄積量が表示されるようにして実施してもよい、
エネルギー消費量の管理システム」(以下、「引用発明」という。)

2.引用文献2について

当審において平成29年4月7日付けで通知した拒絶理由にて引用した、特開2012-75224号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。

(ク)「本発明は、戸建て住宅等で発電された太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーの蓄電システムにおいて、送電電力や配電線電圧を制御し、また、相対取引を行うことを可能とする技術に関する。」(【0001】)

(ケ)「本実施例に係る送電量の制御方法のシミュレーション例を説明する。
図14は、太陽光発電、風力発電の予想の具体例である。太陽光発電は太陽高度や気温の影響を受けるため、その月の最大発電量カーブを基準とし、それとの比率を予想する。図15に、南向きの太陽光発電の代表的な例を示す。
送電量の具体例として、太陽光発電は4kW、風力発電は1kW、蓄電装置は10kWh(SOC運用範囲30?75%)、系統連系インバータ出力4kW、送電効率90%に設定した。SOC目標値は図16?図20を、系統連系インバータ等の制御方法は図4,5に示す方法を使って送電量のシミュレーションを行った。
シミュレーション結果として、図21に晴れで無風時の例を、図22に曇りで無風時の例を、図23に晴れ後曇りで無風(若干の発電有り)の例を、図26に晴れ後曇りでかなり風がある(中風)の例を、図27に晴れ無風で送電抑制がある場合の例を示す。
図23?27のシミュレーション結果から、上記の充電残量目標値の考え方に沿った送電制御が行われており、変動の大きい太陽光発電や風力発電を安定化して高品質で送電できること、送電抑制時に発電抑制量をある程度減少させることができることが確認できた。」(【0053】?【0054】)

(コ)「【図21】



上記(ク)から(コ)の記載から、引用文献2には、以下の技術事項が開示されていると認められる。

「戸建て住宅等で発電された太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーの蓄電システムにおいてなされるシミュレーション結果をグラフで表す場合、時間軸を共通とし、太陽光発電の発電量の遷移状況と蓄電量の遷移状況とを重畳し、2つの異なる単位表示(「発電/送電量(kW)、「SOC(%)」)の縦軸を含み、太陽光発電の発電量についての縦軸はkW表示であり、蓄電量についての縦軸はSOC(%)表示とする、グラフの表現態様に関する技術事項。」


第4 対比

本件発明と引用発明とを対比する。

1.引用発明において、時間別表示部に表示される「電力消費量」や「エネルギー蓄電量」は、本件発明でいうところの『エネルギー変量』に対応するものであることは明らかであり、引用発明における「建物としての住宅H」が、本件発明でいうところの『需要家』に対応することも明らかである。

そして、引用発明においては、「集計管理装置13は、データの送受信をおこなう通信部と、受信した計測値などのデータを記録させるデータ蓄積部などを備えており、表示モニタ2に、集計管理装置13のデータ蓄積部に記録された計測値、管理サーバ3に蓄積された計測値、それらの計測値に基づく演算値、エネルギー消費量の評価をおこなうために統計処理された統計値などが表示され、」るのであるから、表示モニタ2に表示される各種データは、集計管理装置13が作成していると解するのが自然である。
してみると、引用発明に係る「集計管理装置13」は、本件発明でいうところの『エネルギー変量を表すグラフ画像を作成する管理装置』に対応するものといえる。

なお、「集計管理装置13」が各種情報処理を実行する制御部を備えていることは明らかである。

2.引用発明においては、「電力消費量の時間別表示部212Aも、各時間の上に、色により区分された棒グラフで表示され、これらの棒グラフは、発電量は黄色、23時から6時までの深夜電力は紺色、7時から10時までと17時から22時までの朝晩電力は青色、11時から16時までの昼間電力は薄水色のように、目視可能とされ、住宅Hが、貯湯設備、電気自動車、又はプラグインハイブリッド車などのエネルギー蓄積手段を有するときには、表示モニタ2において、長期表示部としての日別表示部211A,211B及び短期表示部としての時間別表示部212A,212Bと同一画面に、エネルギー蓄積量が表示されるようにして実施してもよい」のであるから、引用発明の時間別表示部212Aに表示されている「電力消費量、及び、発電量」の遷移状況を表す棒グラフと「エネルギー蓄積量」の遷移状況とは、時間軸を共通としているといえる。

3.引用発明に係る表示モニタ2に表示される時間別表示部212Aには、「電力消費量」や「発電量」が棒グラフで表示されるのであり、当該棒グラフの縦軸は、【図3】でKwhと表示されている様に絶対値表示である。

上記1.から3.の対比の結果、本件発明と引用発明とは、

「需要家におけるエネルギー変量を表すグラフ画像を作成する管理装置であって、
発電量および消費電力量の要素のうちの少なくとも1つの遷移状況を前記グラフ画像として作成するとともに、当該グラフ画像に対して時間軸を共通として蓄電池の蓄電量の遷移状況を表示する制御部を備え、
前記グラフ画像は、前記要素についての縦軸は絶対値表示であることを特徴とする管理装置。」

で一致しており、以下の点で相違している。

[相違点1]
本件発明は、『蓄電池の蓄電量の遷移状況』を『売電量、買電量、発電量および消費電力量の4要素のうちの少なくとも1つの遷移状況』を表す『グラフ画像』に『重畳』しているのに対し、引用発明は、「電力消費量、及び、発電量の遷移状況」を表す「棒グラフ」と「蓄電池」の「エネルギー蓄積量の遷移状況」とを「時間別表示部212A」と「同一画面」に表示している点。

[相違点2]
本件発明は、『蓄電量についての縦軸は前記蓄電池の容量に対する相対値表示である』のに対し、引用発明にはその旨特定されていない点。


第5 判断

上記[相違点1]及び[相違点2]について検討する。

蓄電池等の蓄電手段の蓄電量の遷移状況をグラフで表す場合の単位として、「kWh(キロワットアワー)」や「Wh(ワットアワー)」という絶対値を用いたり、「SOC(%)」という相対値を用いることは、特に文献を示すまでもなく当該技術分野においては周知の事項である。

そして、上記「第3 引用文献」の「2.引用文献2について」において言及した様に、「時間軸を共通とし、太陽光発電の発電量の遷移状況と蓄電量の遷移状況とを重畳し、2つの異なる単位表示(「発電/送電量(kW)、「SOC(%)」)の縦軸を含み、太陽光発電の発電量についての縦軸はkW表示であり、蓄電量についての縦軸はSOC(%)表示とする、グラフの表現態様」は、本件特許出願の出願日前において公知であり、更に、蓄電量の遷移状況をグラフで表す場合の単位として「SOC(%)」という相対値を用いることも格別な事項ではないことを併せ考えると、引用発明において、「電力消費量、及び、発電量の遷移状況」と「エネルギー蓄積量の遷移状況」とを需要家が容易に確認できる様、上記公知の「グラフの表現態様」を引用発明に適用して本件発明とすることは、当業者であれば容易になし得るものと認められる。

なお、引用発明には、買電及び売電についても表示部に表示することが記載されており(段落【0150】)、電力消費量及び発電量と同様の表現態様で買電量及び売電量を表示することも、当業者であれば必要に応じて適宜なし得るものと認められる。

したがって、本件発明は、引用発明及び引用文献2に開示された技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

そして、本件発明のように構成したことによる効果も引用発明1及び引用文献2に開示された技術事項から予測できる範囲のものである。


第6 平成29年6月8日提出の意見書の主張について

審判請求人は、平成29年6月8日に提出した意見書において、概ね以下の様な事項を主張している。

(1)遷移状況の重畳について(以下、「主張1」という。)
ここで、このエネルギー消費量が表示されている時間別表示部212Aに、さらに「エネルギー蓄積量」を「重畳」すると、電力消費量、水消費量及びガス消費量といったエネルギー消費量を比較して、エネルギー消費量が多かったり少なかったりする原因を突き止めることが困難となります。従って、引用文献1において「電力消費量」と「エネルギー蓄積量」とを重畳することは、たとえ当業者であっても容易ではないと思料致します。
・・・途中省略・・・
ここで、引用文献1において「発電量の遷移状況」に「エネルギー蓄積量の遷移状況」を「重畳」すると、エネルギー創出量から天気の推移を把握することが困難になります。
従って、引用文献1において「発電量の遷移状況」と「エネルギー蓄積量の遷移状況」とを「重畳」することも、たとえ当業者であっても容易ではないと思料します。

(1-1)
上記「主張1」について検討する。

審判請求人は、「エネルギー蓄積量」や「エネルギー蓄積量の遷移状況」を「エネルギー消費量が表示されている時間別表示部212A」に「重畳」すると「エネルギー消費量が多かったり少なかったりする原因を突き止めること」や「エネルギー創出量から天気の推移を把握すること」が困難になる旨主張しているが、引用文献1の【図3】から明らかな様に、「エネルギー消費量」や「エネルギー創出量(発電量)」がグラフ表示されている以上、「エネルギー蓄積量」や「エネルギー蓄積量の遷移状況」をグラフ上へ「重畳」することとは関係なく、「エネルギー消費量が多かったり少なかったりする原因を突き止めること」や「エネルギー創出量から天気の推移を把握すること」は可能であると考えられる。
仮に、「エネルギー蓄積量」や「エネルギー蓄積量の遷移状況」のグラフ上への「重畳」の表現態様(グラフ種別)によって、「エネルギー消費量が多かったり少なかったりする原因を突き止めること」や「エネルギー創出量から天気の推移を把握すること」が視覚的に困難になるのであれば、グラフの表現態様(グラフ種別)を「エネルギー消費量」や「エネルギー創出量」のそれと異ならせれば良いのであり、グラフの表現態様(グラフ種別)を必要に応じて適宜異ならせることは、当業者が当然に行う設計的事項である。
したがって、審判請求人による上記「主張1」は採用できない。

(2)相対値表示について(以下、「主張2」という。)
引用文献1では、エネルギー蓄積量を同一画面に表示させるのは、「建物が蓄電池、貯湯設備、電気自動車、又はプラグインハイブリッド車などのエネルギー蓄積手段を有するときに、蓄積したエネルギーをバランスよく利用しているかが分かる」ようになるためです(段落[0047])。
この事を考慮しますと、引用文献1では、エネルギー蓄積量を絶対値表示せざるを得ないと思料致します。なぜなら、エネルギー蓄積量を絶対値表示しないと、蓄電池、貯湯設備、電気自動車又はプラグインハイブリッド車等のエネルギー蓄積量を互いに比較して、これらの蓄積したエネルギーをバランスよく利用しているかが分かりにくくなるためです。
また、一般的に、蓄電池の相対値表示は、スマートフォンやパソコン等の充電残量と同様に、充電残量を感覚的に(視覚的に一瞥して)把握する目的で使用されるものです。それゆえ、引用文献1のように多様なエネルギー蓄積手段のエネルギー蓄積量をバランスよく利用できているかを判別する場合、これらのエネルギー蓄積量を絶対値表示しないと比較が困難になるものと思料致します。

(2-1)
上記「主張2」について検討する。

審判請求人は、「引用文献1では、エネルギー蓄積量を絶対値表示せざるを得ない」旨主張しているが、エネルギー蓄積手段が蓄積したエネルギーをバランスよく利用しているかを把握するという点においては、「絶対値表示」であろうが「相対値表示」であろうが、いずれの表示態様でも把握することができると考えられる。
したがって、審判請求人による上記「主張2」は採用できない。

(3)引用文献の組み合わせについて(以下、「主張3」という。)
引用文献1は、上述のように多様なエネルギー蓄積手段を扱うものであり、エネルギー蓄積量を絶対値表示するものと思料致します。上述のように、引用文献1では、エネルギー蓄積量を絶対値表示しないと、エネルギー蓄積量を比較して多様なエネルギー蓄積手段がバランスよく利用できているかが分かりにくくなるためです。
これに対し、引用文献2は、引用文献1のような多様なエネルギー蓄積手段を扱うものではなく、1つの蓄電装置(例えば、図3に示す蓄電装置3)に関するものです。そのため、引用文献2では、充電残量を把握するために相対値表示しております。
従って、エネルギー蓄積量を絶対値表示する引用文献1に、エネルギー蓄積量を相対値表示する引用文献2を組み合わせることには、阻害要因があるものと思料します。

(3-1)
上記「主張3」について検討する。

審判請求人は、「エネルギー蓄積量を絶対値表示する引用文献1に、エネルギー蓄積量を相対値表示する引用文献2を組み合わせることには、阻害要因がある」旨主張しているが、引用文献1は、「電力消費量、発電量」と「エネルギー蓄積量」とを「同一画面に表示する」ことが開示されており、一方、引用文献2には、「発電量」と「蓄電量」とを「同一のグラフ上に表示する」ことが開示されていることを鑑みると、いずれの文献も「蓄電量とその他の量的事項(例えば、「電力消費量、発電量」)とを同一のグラフ上に表示するという共通の技術事項について開示しているのであるから、両引用文献を組み合わせることに阻害要因があるとはいえない。
したがって、審判請求人による上記「主張3」は採用できない。


第7 むすび

以上の通りであるから、本件発明は、引用発明及び引用文献2に開示された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論の通り審決する。
 
審理終結日 2017-07-07 
結審通知日 2017-07-11 
審決日 2017-07-27 
出願番号 特願2012-157862(P2012-157862)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 成瀬 博之  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 宇多川 勉
佐藤 智康
発明の名称 管理装置、表示装置、表示処理方法、および画像作成プログラム  
代理人 塩川 未久  
代理人 太田 昌宏  
代理人 杉村 憲司  
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