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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1332058
審判番号 不服2017-667  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-17 
確定日 2017-09-07 
事件の表示 特願2015-106369「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月24日出願公開、特開2015-150456〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成26年2月12日に出願した特願2014-024821号の一部を平成27年5月26日に新たな特許出願(特願2015-106369号)としたものであって、平成28年5月2日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年7月8日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成28年11月29日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年1月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に特許請求の範囲に係る手続補正がなされたものである。

第2 平成29年1月17日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年1月17日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「【請求項1】
始動条件の成立により遊技情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、遊技者に有利な特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
前記取得手段により取得された遊技情報を記憶可能な記憶手段と、
前記取得手段により取得された遊技情報が前記特別遊技判定手段により判定される前に、前記特別遊技を行うか否かを事前に判定する事前判定手段と、
所定の演出を実行する演出制御手段と、
入力手段に対する入力操作を検出する入力検出手段とを備え、
前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、当該判定結果を報知する報知演出を実行し、
前記報知演出において遊技者に対して前記入力操作を促す入力示唆演出を実行可能にするとともに、当該入力示唆演出において前記入力検出手段によって前記入力操作が検出されることに応じて前記特別遊技が行われることを示唆する演出を実行可能であり、
前記事前判定手段による判定結果に基づいて、複数の前記報知演出に跨って、同様の演出を繰り返す事前判定演出を実行可能であり、
前記事前判定演出が実行される複数の報知演出のうち、最後の報知演出において前記入力示唆演出を実行可能にし、最後の報知演出よりも前の報知演出において前記入力示唆演出を実行しない、遊技機。」

から

「【請求項1】
A 始動条件の成立により遊技情報を取得する取得手段と、
B 前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、遊技者に有利な特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
C 前記取得手段により取得された遊技情報を記憶可能な記憶手段と、
D 前記取得手段により取得された遊技情報が前記特別遊技判定手段により判定される前に、前記特別遊技を行うか否かを事前に判定する事前判定手段と、
E 所定の演出を実行する演出制御手段と、
F 入力手段に対する入力操作を検出する入力検出手段とを備え、
G 前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、当該判定結果を報知する報知演出を実行し、
H 前記報知演出において前記判定結果を報知するための装飾図柄を変動させてから停止させ、
I 前記報知演出において遊技者に対して前記入力操作を促す入力示唆演出を実行可能にするとともに、当該入力示唆演出において前記入力検出手段によって前記入力操作が検出されることに応じて前記装飾図柄を前記特別遊技が行われることを示唆する当り図柄で停止させる演出を実行可能であり、
J 前記事前判定手段による判定結果に基づいて、複数の前記報知演出に跨って、同様の演出を繰り返す事前判定演出を実行可能であり、
K 前記事前判定演出が実行される複数の報知演出のうち、最後の報知演出において前記入力示唆演出を実行可能にし、最後の報知演出よりも前の報知演出において前記入力示唆演出を実行しない、遊技機。」

に補正された(下線部は補正箇所を示す。また、A?Kは、分説するために当審にて付した。)。

2 補正の適否
本件補正のうち、「前記報知演出において前記判定結果を報知するための装飾図柄を変動させてから停止させ、」との事項を追加する補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「報知演出」について、「前記判定結果を報知するための装飾図柄を変動させてから停止させ」るものである点を限定するものである。
本件補正のうち、「当該入力示唆演出において前記入力検出手段によって前記入力操作が検出されることに応じて前記特別遊技が行われることを示唆する演出を実行可能であり、」を「当該入力示唆演出において前記入力検出手段によって前記入力操作が検出されることに応じて前記装飾図柄を前記特別遊技が行われることを示唆する当り図柄で停止させる演出を実行可能であり、」とする補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記特別遊技が行われることを示唆する演出」について、「前記装飾図柄を」「当り図柄で停止させる」演出である点を限定するものである。
また、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要において示したとおりのものである。

(2)刊行物
(2-1)刊行物1に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2012-45220号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

(1-a) 「【0012】
以下、本発明をパチンコ遊技機に具体化した一実施形態を図1?図11にしたがって説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機の遊技盤10のほぼ中央には、液晶ディスプレイ型の演出実行手段としての画像表示部GHを有する演出表示装置11が配設されている。演出表示装置11には、複数列(本実施形態では3列)の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームを含み、該ゲームに関連して実行される各種の表示演出が画像表示される。本実施形態において演出表示装置11の図柄変動ゲームでは、複数列(本実施形態では3列)の図柄からなる図柄組み合わせを導出する。なお、演出表示装置11の図柄変動ゲームは、表示演出を多様化するための飾り図柄(演出図柄)を用いて行われる。」

(1-b) 「【0021】
そして、本実施形態のパチンコ遊技機では、複数回の図柄変動ゲームに亘って所定の演出を実行させる保留予告演出(連続演出)を実行可能に構成されている。保留予告演出は、大当り演出が行われる可能性がある図柄変動ゲームよりも前に行われる図柄変動ゲームから、所定の演出を行い、当該演出を数回の図柄変動ゲームを跨いで連続させるものである。なお、本実施形態では、保留予告演出の実行中であることを示す所定の演出として、図柄変動ゲーム毎に、図柄変動ゲームの変動内容(演出内容)を示す示唆画像を、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームの変動内容を示す示唆画像であるかのように、表示(出現)させるようになっている。」

(1-c) 「【0035】
主制御用CPU30aは、始動入賞口14に遊技球が入球したか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1において主制御用CPU30aは、始動口スイッチSW1が遊技球を検知した時に出力する検知信号を入力したか否かを判定する。ステップS1の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、特別図柄入力処理を終了する。ステップS1の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cに記憶されている保留記憶数が上限数の4未満であるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2の判定結果が否定(保留記憶数=4)の場合、主制御用CPU30aは、特別図柄入力処理を終了する。

・・・

【0037】
続いて、主制御用CPU30aは、大当り判定用乱数の値、リーチ判定用乱数の値、特図振分用乱数の値及び変動パターン振分用乱数の値を主制御用RAM30cから読み出して取得し、該値を保留記憶数に対応付けられた主制御用RAM30cの所定の記憶領域に設定する(ステップS4)。その後、主制御用CPU30aは、後に詳細に説明するコマンド設定処理を実行し(ステップS5)、特別図柄入力処理を終了する。コマンド設定処理とは、特別図柄入力処理において始動入賞口14で検知されたときに取得した大当り判定用乱数の値、リーチ判定用乱数及び変動パターン振分用乱数の値を事前判定し、その事前判定の結果を指示する事前判定コマンド(先読みコマンド)を決定及び出力するための処理となっている。

【0038】
次に、コマンド設定処理について図5に従って説明する。
まず、主制御用CPU30aは、ステップS4で取得した大当り判定用乱数の値と大当り判定値を比較し、両値が一致するか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、検知した始動保留球に基づく図柄変動ゲーム(保留予告演出の対象となる図柄変動ゲーム)が、大当りとなることを事前に認識することになる。」

(1-d) 「【0050】
次に、特別図柄開始処理について図6に従って説明する。
主制御用CPU30aは、まず、図柄変動ゲームの実行中(図柄が変動表示中)であるか否か、及び大当り遊技中であるか否かを判定する(ステップS31)。この判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。

【0051】
一方、ステップS31の判定結果が否定(図柄変動ゲーム中ではなく、かつ大当り遊技中ではない)の場合、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cに記憶されている保留記憶数を読み出す(ステップS32)。続いて、主制御用CPU30aは、ステップS32で読み出した保留記憶数が「0(零)」よりも大きいか否か(保留中の図柄変動ゲームが存在するか否か)を判定する(ステップS33)。ステップS33の判定結果が否定(保留記憶数=0)の場合、主制御用CPU30aは、保留中の図柄変動ゲームが存在しないので、特別図柄開始処理を終了する。一方、ステップS33の判定結果が肯定(保留記憶数>0)の場合、主制御用CPU30aは、保留中の図柄変動ゲームが存在するので、保留記憶数を-1(1減算)する(ステップS34)。そして、主制御用CPU30aは、最も早く記憶した保留記憶数に対応付けられて主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている大当り判定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン振分用乱数及び特図振分用乱数などの各値を取得する(ステップS35)。

・・・

【0053】
そして、主制御用CPU30aは、読み出した大当り判定用乱数の値と大当り判定値とを比較し、大当りか否かの大当り抽選(大当り判定)を行う(ステップS36)。この大当り抽選において大当り判定用乱数の値と大当り判定値が一致する場合、主制御用CPU30aは、取得した変動パターン振分用乱数に基づき、大当り演出用の変動パターン振分テーブルT1を参照して、大当り演出用の変動パターンを決定する(ステップS37)。なお、ステップS37において決定される保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームの変動パターンは、コマンド設定処理のステップS13において特定した変動パターンと同じとなる。従って、コマンド設定処理では、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームの変動内容を先読みして、事前判定コマンドにて変動内容を指示していることとなる。また、ステップS37において、主制御用CPU30aは、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特別図柄として、大当り抽選で用いた大当り判定用乱数の値とともに取得した大当り図柄用乱数の値に対応する大当り図柄を決定する。

・・・

【0056】
そして、特別図柄開始処理において特別図柄及び変動パターンを決定した主制御用CPU30aは、決定事項にしたがって生成した制御コマンドを所定のタイミングで演出制御用CPU31aに出力するように送信バッファにセットする。具体的に言えば、主制御用CPU30aは、変動パターンを指示するとともに図柄変動ゲームの開始を指示する変動パターン指定コマンドを図柄変動ゲームの開始に際して最初に出力する。また、主制御用CPU30aは、特別図柄を変動させる特図変動ゲームを実行させるように特別図柄表示装置12を制御する。また、主制御用CPU30aは、決定した特別図柄を指示する特別図柄用の停止図柄指定コマンドを変動パターン指定コマンドと共に出力する。そして、主制御用CPU30aは、指示した変動パターンに定められている演出時間の経過時に図柄変動ゲームの終了(図柄の確定停止)を指示する図柄停止コマンドを演出時間の経過に伴って出力する。また、主制御用CPU30aは、指示した変動パターンに定められている演出時間の経過時に指示した特別図柄を確定停止表示させるように特別図柄表示装置12を制御する。以上により、本実施形態の主制御用CPU30aが、変動パターンを決定する変動パターン決定手段となる。」

(1-e) 「【0059】
次に、演出制御基板31の演出制御用CPU31aが制御プログラムに基づき実行する各種処理について説明する。
演出制御用CPU31aは、制御コマンドを入力すると、入力した制御コマンドに応じた処理を実行する。例えば、演出制御用CPU31aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、当該コマンドに指示される変動パターンに対応する変動内容をもとに、画像表示用データを選択する。また、演出制御用CPU31aは、特別図柄用の停止図柄指定コマンドを入力すると、当該コマンドにしたがって演出表示装置11に確定停止表示させる飾り図柄を生成する。具体的に言えば、演出制御用CPU31aは、特別図柄として大当りに対応する大当り図柄が指示されている場合、飾り図柄として大当りの図柄組み合わせを生成する。

・・・

【0061】
そして、演出制御用CPU31aは、画像表示用データをもとに図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御するとともに、図柄変動ゲーム中に図柄停止コマンドを入力すると、生成した飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させて図柄変動ゲームを終了させる。」

(1-f) 「【0063】
次に、演出制御用CPU31aが、遊技球の入球検知時に出力された事前判定コマンドに基づき、保留予告演出を実行させるための保留予告演出設定処理について図7に従って説明する。この保留予告演出設定処理は、遊技球の入賞検知に基づく保留指定コマンド及び事前判定コマンドを入力する毎に(保留記憶数が増加する毎に)、実行されるようになっている。」

(1-g) 「【0081】
以上により、本実施形態の演出制御用CPU31aは、予告制御手段となる。また、演出制御用CPU31aが、演出制御手段となる。
次に、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームでは、選択演出が実行される。選択演出は、図11に示すように、保留予告演出中に表示された示唆画像が選択肢として順番に表示され、操作ボタン20が操作された後、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームの変動内容を示す示唆画像が選択肢となるように停止表示される演出である。このため、遊技者の操作に基づき、選択肢が選択されたように思わせることができ、あたかも遊技者が変動内容を決定しているかのように見せることができる。」

(1-h) 「【0085】
その状態で、演出制御用CPU31aは、操作ボタン20の操作有効期間を開始させるように設定する(ステップS203)。その後、演出制御用CPU31aは、操作有効期間中であるか否かを判定する(ステップS204)。この判定結果が肯定の場合、演出制御用CPU31aは、操作ボタン20が操作されたか(操作信号を入力したか)否かを判定する(ステップS205)。この判定結果が肯定の場合、演出制御用CPU31aは、変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンを示す示唆画像(最終停止示唆画像)を選択肢として示す位置に選択カーソルSKを移動させ、当該示唆画像を選択された選択肢とするように選択カーソルSKを停止表示させる(ステップS206)。つまり、操作有効期間中、どのタイミングで操作ボタン20が操作されたとしても、選択カーソルSKの移動速度が調節されて、最終停止示唆画像上に停止表示されるようになっている。その際、選択カーソルSKが最終停止示唆画像を唐突に示さないように、選択カーソルSKの移動速度を調整(移動速度を遅くする又は早くする)して、違和感なく移動させる。これにより、操作ボタン20の操作に応じて、選択カーソルSKが停止して、示唆画像が選択されたように遊技者に思わせることができる。その一方で、事前判定コマンドが指定した変動内容、すなわち、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームの変動内容を示す示唆画像が選択肢として表示されることとなる。」

(1-i) 「【0087】
以下、保留予告演出及び選択演出の実行態様について図11に従って説明する。
図11では、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームが、大当り演出用の変動パターンP8に基づいて行われるものとして説明する。また、図11(a)において、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームは、保留記憶数「3」に相当するゲームであるとして(保留予告演出回数が「3」であるとして)説明する。また、図11(a)において、大当り演出用の変動パターンP8であること、及び保留記憶数「3」であることを指定し、保留予告演出の実行可を特定する事前判定コマンドを入力しているものとして説明する。図11では、保留予告パターンYP45が選択されるものとして説明する。また、保留予告演出回数が「3」のときには、示唆画像K1が表示され、保留予告演出回数が「2」のときには、示唆画像K2が表示されるものとして説明する。

【0088】
図柄変動ゲームが終了し(図11(a)参照)、図柄変動ゲームが開始されると、保留記憶数が1減算されると共に、前提より保留予告パターンYP45に基づき、示唆画像K1が表示される(図11(b)参照)。すなわち、保留予告パターンYP45において、保留予告演出回数「3」に対応する示唆画像K1?K4の中から前提より示唆画像K1が決定され、表示される。

【0089】
そして、前提より図柄変動ゲームがはずれとなって終了する(図11(c)参照)。その後、次の図柄変動ゲームが開始されると、保留記憶数が1減算されると共に、前提より保留予告パターンYP45に基づき、示唆画像K2が表示される(図11(d)参照)。すなわち、保留予告パターンYP45において、保留予告演出回数「2」に対応する示唆画像K1?K4の中から前提より示唆画像K2が決定され、表示される。これにより、示唆画像K1,K2が画像表示部GHに表示される。

【0090】
そして、前提より図柄変動ゲームがはずれとなって終了する(図11(e)参照)。その後、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームが開始されると、保留記憶数が1減算されると共に、前提より保留予告パターンYP45に基づき、示唆画像K4が表示される(図11(f)参照)。すなわち、保留予告パターンYP45において、保留予告演出回数「1」に対応する最終停止示唆画像としての示唆画像K4が表示される。これにより、示唆画像K1,K2,K4が画像表示部GHに表示される。

【0091】
そして、当該図柄変動ゲームにおいて、選択演出が開始される。すなわち、それまでに表示された示唆画像K1,K2,K4を選択肢として示すように、所定時間ずつ、順番に選択カーソルSKが表示される(図11(g)?図11(i)参照)。そして、操作有効期間中に、遊技者が操作ボタン20を操作すると、選択カーソルSKが最終停止示唆画像となる示唆画像K4上に停止表示する(図11(i))。なお、操作有効期間中、どのタイミングで操作ボタン20が操作されたとしても、選択カーソルSKの移動速度が調節されて最終停止示唆画像となる示唆画像K4上に停止表示されるようになっている。その後、前提より、リーチの図柄組み合わせが表示され(図11(k)参照)、リーチR4が開始されて図柄変動ゲームが大当りとなる。

【0092】
以上詳述したように、本実施形態は、以下の効果を有する。
(1)演出制御用CPU31aは、保留予告演出中、図柄変動ゲームの変動内容を示す示唆画像を、保留されている図柄変動ゲーム数(保留予告演出回数)分、図柄変動ゲーム毎に表示させる。そして、演出制御用CPU31aは、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームにおいて、保留予告演出中に表示された示唆画像を選択肢とするように、選択カーソルSKを順番に移動させる。その後、操作有効期間中に、操作ボタン20が操作されたとき、事前判定コマンドにより指定された変動内容(変動パターン)を示す示唆画像を選択カーソルSKが選択した選択肢として表示させる。そして、選択肢として表示させた示唆画像が示す変動内容にて図柄変動ゲームを実行させる。」

上記(1-a)?(1-i)の記載事項から、以下(1-j)?(1-r)の事項が導かれる。

(1-j)上記摘記事項(1-c)より、「主制御用CPU30aは、始動口スイッチSW1が遊技球を検知した時に出力する検知信号を入力したか否かを判定」(段落【0035】)し、「大当り判定用乱数の値」を「取得し、該値を保留記憶数に対応付けられた主制御用RAM30cの所定の記憶領域に設定」(段落【0037】)するから、主制御用CPU30aは、始動口スイッチSW1が遊技球を検知すると大当り判定用乱数の値を取得し、保留記憶数に対応付けられた主制御用RAM30cの所定の記憶領域に設定する機能を有するといえる。

(1-k)上記摘記事項(1-d)より、「特別図柄開始処理」において、「主制御用CPU30aは、まず、図柄変動ゲームの実行中(図柄が変動表示中)であるか否か」を「判定」(段落【0050】)し、「判定結果が否定(図柄変動ゲーム中ではなく、かつ大当り遊技中ではない)の場合」、「主制御用CPU30aは、最も早く記憶した保留記憶数に対応付けられて主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている大当り判定用乱数」「などの各値を取得」(段落【0051】)し、「主制御用CPU30aは、読み出した大当り判定用乱数の値と大当り判定値とを比較し、大当りか否かの大当り抽選(大当り判定)を行」(段落【0053】)い、「主制御用CPU30aは」、「生成した制御コマンドを所定のタイミングで演出制御用CPU31aに出力するように送信バッファにセットする。」(段落【0056】)から、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理において、図柄変動ゲーム中ではない場合、主制御用RAM30cに記憶されている大当り判定用乱数の値を取得し、大当り判定用乱数と大当り判定値とを比較し、大当りか否かの大当り抽選を行い、制御コマンドを演出制御用CPU31aに出力する機能を有するといえる。

(1-l)上記摘記事項(1-c)の段落【0035】には、「ステップS1において主制御用CPU30aは、始動口スイッチSW1が遊技球を検知した時に出力する検知信号を入力したか否かを判定する。ステップS1の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、特別図柄入力処理を終了する。」と記載されており、段落【0037】には、「その後、主制御用CPU30aは、後に詳細に説明するコマンド設定処理を実行し(ステップS5)、特別図柄入力処理を終了する。」と記載されているから、特別図柄入力処理において、始動口スイッチSW1が遊技球を検知すると、コマンド設定処理が実行されるといえる。
さらに、上記摘記事項(1-c)より、「コマンド設定処理とは、特別図柄入力処理において始動入賞口14で検知されたときに取得した大当り判定用乱数の値」「を事前判定し、その事前判定の結果を指示する事前判定コマンド(先読みコマンド)を決定及び出力するための処理」(段落【0037】)であり、さらに、「コマンド設定処理」では、「主制御用CPU30aは、ステップS4で取得した大当り判定用乱数の値と大当り判定値を比較」し、「検知した始動保留球に基づく図柄変動ゲーム(保留予告演出の対象となる図柄変動ゲーム)が、大当りとなることを事前に認識」(段落【0038】)するから、主制御用CPU30aは、始動口スイッチSW1が遊技球を検知すると実行するコマンド設定処理において、取得した大当り判定用乱数の値と大当り判定値を比較し、図柄変動ゲームが大当りとなることを事前判定し、その事前判定の結果を指示する事前判定コマンドを出力する機能を有するといえる。

(1-m)上記摘記事項(1-e)より、「演出制御用CPU31a」は、「画像表示用データをもとに図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御する」(段落【0061】)ものである。さらに、上記摘記事項(1-a)には、「演出表示装置11には、複数列(本実施形態では3列)の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームを含み、該ゲームに関連して実行される各種の表示演出が画像表示され」(段落【0012】)と記載されており、「図柄変動ゲーム」と共に、「該ゲームに関連して実行される各種の表示演出」の「演出表示装置11」への表示についても「演出制御用CPU31a」によって制御されることは、明らかである。よって、演出制御用CPU31aは、図柄変動ゲームを含む各種の表示演出が画像表示される演出表示装置11の表示内容を制御する機能を有するといえる。

(1-n)上記摘記事項(1-h)より、「演出制御用CPU31aは、操作ボタン20が操作されたか(操作信号を入力したか)否かを判定」(段落【0085】)するから、演出制御用CPU31aは、操作ボタン20が操作されたか否かを判定する機能を有するといえる。

(1-o)上記摘記事項(1-e)より、「演出制御用CPU31aは、制御コマンドを入力すると、入力した制御コマンドに応じた処理を実行」(段落【0059】)し、「入力した制御コマンドに応じた処理」として、「図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御するとともに、」「生成した飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させて図柄変動ゲームを終了させる」(段落【0061】)処理を行うから、演出制御用CPU31aは、入力した制御コマンドに応じて図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御するとともに、生成した飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させて図柄変動ゲームを終了させるといえる。

(1-p)上記摘記事項(1-i)より、「図柄変動ゲームにおいて」、「それまでに表示された示唆画像K1,K2,K4を選択肢として示すように、所定時間ずつ、順番に選択カーソルSKが表示され」、「遊技者が操作ボタン20を操作すると、選択カーソルSKが最終停止示唆画像となる示唆画像K4上に停止表示」する「選択演出」が実行され、その後、「リーチR4が開始されて図柄変動ゲームが大当りとなる」演出が行われ(段落【0091】)、当該演出は、「演出制御用CPU31a」が「保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームにおいて」行う(段落【0092】)といえる。また、上記「リーチR4」が段落【0092】に記載の「選択肢として表示させた示唆画像が示す変動内容」であることは、明らかである。
そうすると、演出制御用CPU31aは、図柄変動ゲームにおいて、示唆画像K1,K2,K4を選択肢として示すように順番に選択カーソルSKを表示し、遊技者が操作ボタン20を操作すると、選択カーソルSKが最終停止示唆画像となる示唆画像K4上に停止表示させる選択演出を実行し、その後、示唆画像K4が示す変動内容であるリーチR4を開始し、図柄変動ゲームを大当りとするといえる。

(1-q)上記摘記事項(1-b)より、「パチンコ遊技機では、複数回の図柄変動ゲームに亘って所定の演出を実行させる保留予告演出(連続演出)を実行可能」(段落【0021】)であり、「保留予告演出」は、上記摘記事項(1-f)より、「演出制御用CPU31aが、遊技球の入球検知時に出力された事前判定コマンドに基づき」「実行させる」(段落【0063】)ものといえる。また、上記摘記事項(1-i)の段落【0087】?【0091】より、「保留予告演出」は、「図柄変動ゲームが開始されると」、「示唆画像K1が表示され」、「図柄変動ゲームがはずれとなって終了」し、「次の図柄変動ゲームが開始されると」、「示唆画像K2が表示され」、「図柄変動ゲームがはずれとなって終了」し、「その後、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームが開始されると」、「示唆画像K4が表示され」、「これにより、示唆画像K1,K2,K4が画像表示部GHに表示され」、「選択演出」が行われる演出であるといえる。
そうすると、演出制御用CPU31aは、事前判定コマンドに基づき、複数回の図柄変動ゲームに亘って所定の演出を実行させる保留予告演出を実行可能であり、保留予告演出は、図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K1が表示され、図柄変動ゲームがはずれとなって終了し、次の図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K2が表示され、図柄変動ゲームがはずれとなって終了し、その後、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K4が表示され、これにより、示唆画像K1,K2,K4が画像表示部GHに表示され、選択演出が行われる演出であるといえる。

(1-r)上記認定事項(1-q)より、保留予告演出において、選択演出が実行されるのは、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームのみであるから、保留予告演出では、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームにおいて選択演出が実行され、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームよりも前の、示唆画像K1が表示される図柄変動ゲーム、及び、示唆画像K2が表示される図柄変動ゲームにおいて選択演出は実行されないといえる。

上記(1-a)?(1-i)の記載事項及び(1-j)?(1-r)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。(a?kは、本願補正発明のA?Kに対応させて付した。)

「a 始動口スイッチSW1が遊技球を検知すると大当り判定用乱数の値を取得し、保留記憶数に対応付けられた主制御用RAM30cの所定の記憶領域に設定する機能と、(認定事項(1-j))
b 特別図柄開始処理において、図柄変動ゲーム中ではない場合、主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている大当り判定用乱数の値を取得し、大当り判定用乱数と大当り判定値とを比較し、大当りか否かの大当り抽選を行い、制御コマンドを演出制御用CPU31aに出力する機能と、(認定事項(1-k))
d 始動口スイッチSW1が遊技球を検知すると実行するコマンド設定処理において、取得した大当り判定用乱数の値と大当り判定値を比較し、図柄変動ゲームが大当りとなることを事前判定し、その事前判定の結果を指示する事前判定コマンドを出力する機能と、
を有する主制御用CPU30aと、(認定事項(1-l))
c 取得した大当り判定用乱数の値を設定する主制御用RAM30cと、(段落【0037】)
e 図柄変動ゲームを含む各種の表示演出が画像表示される演出表示装置11の表示内容を制御する機能と、(認定事項(1-m))
f 操作ボタン20が操作されたか否かを判定する機能と、
を有する演出制御用CPU31aとを備え、(認定事項(1-n))
g、h 演出制御用CPU31aは、
入力した制御コマンドに応じて図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御するとともに、生成した飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させて図柄変動ゲームを終了させ、(認定事項(1-o))
i 図柄変動ゲームにおいて、示唆画像K1,K2,K4を選択肢として示すように順番に選択カーソルSKを表示し、遊技者が操作ボタン20を操作すると、選択カーソルSKが最終停止示唆画像となる示唆画像K4上に停止表示させる選択演出を実行し、その後、示唆画像K4が示す変動内容であるリーチR4を開始し、図柄変動ゲームを大当りとし、(認定事項(1-p))
j 事前判定コマンドに基づき、複数回の図柄変動ゲームに亘って所定の演出を実行させる保留予告演出を実行可能であり、保留予告演出は、図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K1が表示され、図柄変動ゲームがはずれとなって終了し、次の図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K2が表示され、図柄変動ゲームがはずれとなって終了し、その後、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K4が表示され、これにより、示唆画像K1,K2,K4が画像表示部GHに表示され、選択演出が行われる演出であり、(認定事項(1-q))
k 保留予告演出では、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームにおいて選択演出が実行され、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームよりも前の、示唆画像K1が表示される図柄変動ゲーム、及び、示唆画像K2が表示される図柄変動ゲームにおいて選択演出は実行されない、パチンコ遊技機。(認定事項(1-r)、段落【0021】)」

(2-2)刊行物2に記載された事項
本願の遡及出願日前に頒布された刊行物である、「パチンコ必勝ガイドULTIMATE CRパチンコ必殺仕事人●」(「●」はローマ数字の4)、株式会社白夜書房、平成24年1月9日発行、第10、14、60、67、72頁(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

(2-a)第10頁の左上部には、図柄の表示部、ボタンを有する遊技機を前面から見た図が示されている。

(2-b)第14頁には、表が記載されており、表の「大当回数」の欄が「9」の行には、「主な予告」の項目が「HOLD〔順之介・左中〕+両図柄煽り」、「リーチ&演出」の項目が「主水必殺→2段階大当り」、「図柄」の欄が「七」であるものが記載されている。

(2-c)第60頁には、右上に「主水必殺リーチ」との記載があり、下部に「サプライズボタンをPUSH」及び「必殺フラッシュが発生すればSUPER必殺大当り」との記載がある。
さらに、第60頁には、左上及び右上に小さな「七」の図柄画像が表示され、中央に大きな「六」と「七」が重なった薄い図柄画像が表示され、中央下部にボタンの画像が表示された画面(上から2列目左の図面)、及び、「七」の図柄が3つ表示された画面(最下部左の図面)が図示されている。

(2-d)第67頁左上欄には、「先読みの中でも別格の興奮を生むのが、このHOLD予告。一度停止した図柄が次回転まで持ち越される本演出は、2千発&連チャンの期待が高まる七図柄のテンパイ時にとりわけ発生しやすい模様。七図柄が2つHOLDされれば至福の瞬間はスグそこだ。」との記載がある。

(2-e)第72頁の右上部には、「必殺モード中の確変図柄は仕事人をあしらったものだが、これはテンパイ時に発展するリーチと密接な関係があり、七でリーチになれば主水必殺、それ以外なら図柄キャラと同じストーリー系が発展先となる。いずれも発展時の信頼度は50%超で、豪剣フラッシュやサプライズボタンが絡めば、期待度がさらにアップする。」と記載されている。

(2-f)上記記載事項(2-c)において、左上及び右上に表示される小さな「七」の図柄画像が停止表示した左右の七図柄であり、中央に表示される「「六」と「七」が重なった薄い図柄画像」が、変動中の図柄を表し、「「七」の図柄が3つ表示された画像」が停止表示した3つの七図柄であることは、明らかである。

(2-g)上記記載事項(2-d)より、HOLD予告の演出は、先読み演出であり、一度停止した七図柄が次回転まで持ち越され、七図柄が2つHOLDされることがある演出であるといえる。

(2-h)上記認定事項(2-f)及び上記記載事項(2-c)より、主水必殺リーチの演出は、左右の図柄を七図柄で停止表示し、中央の図柄を変動表示し、中央下部にボタンの画像を表示し、ボタンが押されると、3つの七図柄を停止表示する演出であるといえる。

(2-i)上記記載事項(2-b)、及び、記載事項(2-e)の「七でリーチになれば主水必殺、それ以外なら図柄キャラと同じストーリー系が発展先となる。」との記載より、刊行物2の遊技機は、HOLD予告の演出を行い、主水必殺リーチの演出を行い、七図柄の大当りとなることがあるといえる。さらに、主水必殺リーチの演出がHOLD予告の演出における最後の報知演出において行われることは、明らかである。
そして、上記認定事項(2-g)、(2-h)より、刊行物2の遊技機は、先読み演出である、一度停止した七図柄が次回転まで持ち越されるHOLD予告の演出を行い、HOLD予告の演出における最後の報知演出において、左右の図柄を七図柄で停止表示し、中央下部にボタンの画像を表示し、ボタンが押された後、3つの七図柄を停止表示する主水必殺リーチの演出を行うことがあるといえる。

上記の(2-a)?(2-e)の記載事項及び(2-f)?(2-i)の認定事項を総合すると、刊行物2には、次の事項が記載されていると認められる(以下「刊行物2記載の事項」という。)。
「遊技機において、先読み演出である、一度停止した七図柄が次回転まで持ち越されるHOLD予告の演出を行い、HOLD予告の演出における最後の報知演出において、左右の図柄を七図柄で停止表示し、中央下部にボタンの画像を表示し、ボタンが押された後、3つの七図柄を停止表示する主水必殺リーチの演出を行うこと。」

(3)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)?(k)は、刊行物1発明の構成に対応している。)。

(a)刊行物1発明における「始動口スイッチSW1が遊技球を検知する」こと、及び「大当り判定用乱数の値」は、それぞれ、本願補正発明の「始動条件の成立」及び「遊技情報」に相当する。
そうすると、刊行物1発明における「始動口スイッチSW1が遊技球を検知すると大当り判定用乱数の値を取得し、保留記憶数に対応付けられた主制御用RAM30cの所定の記憶領域に設定する機能」を有する「主制御用CPU30a」は、本願補正発明における「始動条件の成立により遊技情報を取得する取得手段」としての機能を有しているといえる。

(b)刊行物1発明における「主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている大当り判定用乱数の値」は、「主制御用CPU30a」が「始動口スイッチSW1が遊技球を検知すると大当り判定用乱数の値を取得し、保留記憶数に対応付けられた主制御用RAM30cの所定の記憶領域に設定」(構成a)したものであるから、本願補正発明の「前記取得手段により取得された遊技情報」に相当する。また、刊行物1発明において、「大当りか否かの大当り抽選」の結果が「大当り」の際に、遊技者に有利な特別遊技を行うことは当業者にとって自明であるから、刊行物1発明において、「大当り判定用乱数と大当り判定値とを比較し、大当りか否かの大当り抽選を行」うことは、本願補正発明における「遊技者に有利な特別遊技を行うか否かを判定する」ことに相当する。
そうすると、刊行物1発明における「特別図柄開始処理において、図柄変動ゲーム中ではない場合、主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている大当り判定用乱数の値を取得し、大当り判定用乱数と大当り判定値とを比較し、大当りか否かの大当り抽選を行い、制御コマンドを演出制御用CPU31aに出力する機能」を有する「主制御用CPU30a」は、本願補正発明における「前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、遊技者に有利な特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段」としての機能を有しているといえる。

(c)刊行物1発明における「取得した大当り判定用乱数の値」及び「主制御用RAM30c」は、それぞれ、本願補正発明の「前記取得手段により取得された遊技情報」及び「記憶手段」に相当する。また、刊行物1発明において、「取得した大当り判定用乱数の値を設定する」ことは、取得した大当り判定用乱数の値を記憶することといえるから、刊行物1発明の「主制御用RAM30c」は、「取得した大当り判定用乱数の値」を記憶可能であるといえる。
そうすると、刊行物1発明における「取得した大当り判定用乱数の値を設定する主制御用RAM30c」は、本願補正発明における「前記取得手段により取得された遊技情報を記憶可能な記憶手段」に相当する。

(d)刊行物1発明における「取得した大当り判定用乱数の値」は、「始動口スイッチSW1が遊技球を検知すると」「取得」(構成a)されるものであるから、本願補正発明の「前記取得手段により取得された遊技情報」に相当する。また、刊行物1発明における「図柄変動ゲームが、大当りとなることを」「判定」することは、本願補正発明における「前記特別遊技を行うか否かを」「判定する」ことに相当する。
また、刊行物1発明において、「事前判定」は、「始動口スイッチSW1が遊技球を検知すると実行するコマンド設定処理において」行われるから、「始動口スイッチSW1が遊技球を検知」した時点で行われるものといえる。そうすると、「事前判定」が、「特別図柄開始処理において、図柄変動ゲーム中ではない場合」に行われる「主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている大当り判定用乱数の値を取得し、大当り判定用乱数と大当り判定値とを比較し、大当りか否かの大当り抽選を行い、制御コマンドを演出制御用CPU31aに出力する」こと(構成b)よりも前に行われることは、当業者にとって自明である。
そうすると、刊行物1発明における「始動口スイッチSW1が遊技球を検知すると実行するコマンド設定処理において、取得した大当り判定用乱数の値と大当り判定値を比較し、図柄変動ゲームが大当りとなることを事前判定し、その事前判定の結果を指示する事前判定コマンドを出力する機能」を有する「主制御用CPU30a」は、本願補正発明における「前記取得手段により取得された遊技情報が前記特別遊技判定手段により判定される前に、前記特別遊技を行うか否かを事前に判定する事前判定手段」としての機能を有しているといえる。

(e)刊行物1発明における「図柄変動ゲームを含む各種の表示演出」は、本願補正発明の「所定の演出」に相当する。また、「図柄変動ゲームを含む各種の表示演出」を「演出表示装置11」に「画像表示」することは、本願補正発明における「所定の演出を実行する」ことに相当する。さらに、「演出制御用CPU31a」が「図柄変動ゲームを含む各種の表示演出が画像表示される演出表示装置11の表示内容を制御する」から、「演出制御用CPU31a」が、「図柄変動ゲームを含む各種の表示演出」を実行するといえる。
そうすると、刊行物1発明における「図柄変動ゲームを含む各種の表示演出が画像表示される演出表示装置11の表示内容を制御する機能」を有する「演出制御用CPU31a」は、本願補正発明における「所定の演出を実行する演出制御手段」としての機能を有しているといえる。

(f)刊行物1発明における「操作ボタン20」は、本願補正発明の「入力手段」に相当し、刊行物1発明における「操作ボタン20が操作されたか否かを判定する」ことは、本願補正発明の「入力手段に対する入力操作を検出する」ことに相当する。
そうすると、刊行物1発明における「操作ボタン20が操作されたか否かを判定する機能」を有する「演出制御用CPU31a」は、本願補正発明における「入力手段に対する入力操作を検出する入力検出手段」としての機能を有しているといえる。

(g)刊行物1発明における「制御コマンド」は、「主制御用CPU30a」が「主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている大当り判定用乱数の値を取得し、大当り判定用乱数と大当り判定値とを比較し、大当りか否かの大当り抽選を行い」、「演出制御用CPU31aに出力する」(構成b)ものであるから、本願補正発明の「前記特別遊技判定手段による判定結果」に相当する。また、刊行物1発明における「飾り図柄」は「確定停止表示」して「図柄変動ゲームを終了」させるものであるから、「確定停止表示」した「飾り図柄」が判定結果を報知するためのものであることは、当業者にとって自明である。そうすると、刊行物1発明における「生成した飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させて図柄変動ゲームを終了させ」ることは、本願補正発明の「当該判定結果を報知する」ことに相当するから、刊行物1発明の「図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御するとともに、生成した飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させて図柄変動ゲームを終了させ」る演出は、本願補正発明の「報知演出」に相当する。
そうすると、刊行物1発明における「演出制御用CPU31aは、」「入力した制御コマンドに応じて図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御するとともに、生成した飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させて図柄変動ゲームを終了させ」ることは、本願補正発明における「前記演出制御手段は、」「前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、当該判定結果を報知する報知演出を実行」することに相当する。

(h)刊行物1発明における「飾り図柄」は、本願補正発明の「装飾図柄」に相当する。また、刊行物1発明の「図柄変動ゲームを画像表示」することは、「飾り図柄」を変動させることといえ、さらに、「飾り図柄」は「確定停止表示」して「図柄変動ゲームを終了」させるものであるから、「確定停止表示」した「飾り図柄」が判定結果を報知するため図柄であることは、当業者にとって自明である。
そうすると、刊行物1発明における「演出制御用CPU31aは」「入力した制御コマンドに応じて図柄変動ゲームを画像表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御するとともに、生成した飾り図柄を演出表示装置11に確定停止表示させて図柄変動ゲームを終了させ」ることは、本願補正発明における「前記演出制御手段は、」「前記報知演出において前記判定結果を報知するための装飾図柄を変動させてから停止させ」ることに相当する。

(i)上記(g)より、刊行物1発明における「図柄変動ゲーム」は、本願補正発明における「報知演出」に相当する演出の一部を構成するものといえる。また、刊行物1発明における「示唆画像K1,K2,K4を選択肢として示すように順番に選択カーソルSKを表示」する「選択演出」は、本願補正発明の「遊技者に対して前記入力操作を促す入力示唆演出」に相当する。さらに、刊行物1発明において、「遊技者が操作ボタン20を操作する」ことが、「演出制御用CPU31a」の「操作ボタン20が操作されたか否かを判定する機能」(構成f)により検出されることは、当業者にとって自明である。また刊行物1発明における「演出制御用CPU31aは」、「選択演出を実行」するから、「演出制御用CPU31aは」、「選択演出」を実行可能であるといえる。
そうすると、刊行物1発明における「演出制御用CPU31aは、」「図柄変動ゲームにおいて、示唆画像K1,K2,K4を選択肢として示すように順番に選択カーソルSKを表示し、遊技者が操作ボタン20を操作すると、選択カーソルSKが最終停止示唆画像となる示唆画像K4上に停止表示させる選択演出を実行し、その後、示唆画像K4が示す変動内容であるリーチR4を開始し、図柄変動ゲームを大当りと」することは、本願補正発明と、「前記演出制御手段は、」「前記報知演出において遊技者に対して前記入力操作を促す入力示唆演出を実行可能にするとともに、当該入力示唆演出において前記入力検出手段によって前記入力操作が検出されることに応じ」て演出を実行可能である点で共通する。

(j)刊行物1発明における「事前判定コマンド」は、本願補正発明の「前記事前判定手段による判定結果」に相当し、刊行物1発明における「複数回の図柄変動ゲームに亘って所定の演出を実行」することは、本願補正発明における「複数の前記報知演出に跨って」演出をおこなうことに相当する。また、刊行物1発明の「複数回の図柄変動ゲームに亘って所定の演出を実行させる保留予告演出」は、「図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K1が表示され、図柄変動ゲームがはずれとなって終了」する演出、「次の図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K2が表示され、図柄変動ゲームがはずれとなって終了」する演出、「その後、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K4が表示され、これにより、示唆画像K1,K2,K4が画像表示部GHに表示され、選択演出が行われる」演出が順次行われるものであり、当該3つの演出は、いずれも「図柄変動ゲームが開始される」と「示唆画像」が表示される演出である点で、同様の演出であるといえる。よって、刊行物1発明における「複数回の図柄変動ゲームに亘って所定の演出を実行させる保留予告演出」は、「図柄変動ゲームが開始される」と「示唆画像」が表示される同様の演出を繰り返すものといえる。
そうすると、刊行物1発明における「演出制御用CPU31aは、」「事前判定コマンドに基づき、複数回の図柄変動ゲームに亘って所定の演出を実行させる保留予告演出を実行可能であり、保留予告演出は、図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K1が表示され、図柄変動ゲームがはずれとなって終了し、次の図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K2が表示され、図柄変動ゲームがはずれとなって終了し、その後、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K4が表示され、これにより、示唆画像K1,K2,K4が画像表示部GHに表示され、選択演出が行われる演出であ」ることは、本願補正発明における「前記演出制御手段は、」「前記事前判定手段による判定結果に基づいて、複数の前記報知演出に跨って、同様の演出を繰り返す事前判定演出を実行可能」であることに相当する。

(k)上記(j)より、刊行物1発明の「複数回の図柄変動ゲームに亘って所定の演出を実行させる保留予告演出」は、「図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K1が表示され、図柄変動ゲームがはずれとなって終了」する演出、「次の図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K2が表示され、図柄変動ゲームがはずれとなって終了」する演出、「その後、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K4が表示され、これにより、示唆画像K1,K2,K4が画像表示部GHに表示され、選択演出が行われる」演出が順次行われるものであるから、当該3つの演出のうち、「その後、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームが開始されると、示唆画像K4が表示され、これにより、示唆画像K1,K2,K4が画像表示部GHに表示され、選択演出が行われる演出」が最後の報知演出であり、他の2つの演出が最後の報知演出よりも前の報知演出であるといえる。よって、刊行物1発明における「保留予告演出の対象となる図柄変動ゲーム」を含む演出、及び、「示唆画像K1が表示される図柄変動ゲーム、及び、示唆画像K2が表示される図柄変動ゲーム」を含む演出は、それぞれ、本願補正発明の「最後の報知演出」、及び、「最後の報知演出よりも前の報知演出」に相当する。また、刊行物1発明における「選択演出」は、上記(i)で示した通り、本願補正発明の「入力示唆演出」に相当する。
そうすると、刊行物1発明における「演出制御用CPU31aは、」「保留予告演出では、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームにおいて選択演出が実行され、保留予告演出の対象となる図柄変動ゲームよりも前の、示唆画像K1が表示される図柄変動ゲーム、及び、示唆画像K2が表示される図柄変動ゲームにおいて選択演出は実行されない」ことは、本願補正発明における「前記演出制御手段は、」「前記事前判定演出が実行される複数の報知演出のうち、最後の報知演出において前記入力示唆演出を実行可能にし、最後の報知演出よりも前の報知演出において前記入力示唆演出を実行しない」ことに相当する。
また、刊行物1発明における「パチンコ遊技機」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。

以上、(a)?(h)の対比より、本願補正発明と刊行物1発明とは、

「A 始動条件の成立により遊技情報を取得する取得手段と、
B 前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、遊技者に有利な特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
C 前記取得手段により取得された遊技情報を記憶可能な記憶手段と、
D 前記取得手段により取得された遊技情報が前記特別遊技判定手段により判定される前に、前記特別遊技を行うか否かを事前に判定する事前判定手段と、
E 所定の演出を実行する演出制御手段と、
F 入力手段に対する入力操作を検出する入力検出手段とを備え、
G 前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、当該判定結果を報知する報知演出を実行し、
H 前記報知演出において前記判定結果を報知するための装飾図柄を変動させてから停止させ、
I’ 前記報知演出において遊技者に対して前記入力操作を促す入力示唆演出を実行可能にするとともに、当該入力示唆演出において前記入力検出手段によって前記入力操作が検出されることに応じて演出を実行可能であり、
J 前記事前判定手段による判定結果に基づいて、複数の前記報知演出に跨って、同様の演出を繰り返す事前判定演出を実行可能であり、
K 前記事前判定演出が実行される複数の報知演出のうち、最後の報知演出において前記入力示唆演出を実行可能にし、最後の報知演出よりも前の報知演出において前記入力示唆演出を実行しない、遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)入力示唆演出において入力検出手段によって入力操作が検出されることに応じて実行可能な演出について、本願補正発明は「前記装飾図柄を前記特別遊技が行われることを示唆する当り図柄で停止させる演出」であると特定されているのに対し、刊行物1発明はそのように特定されていない点。(構成I)

(4)判断1
ア 上記相違点1について検討する。
上記(2)(2-2)で示した通り、刊行物2には、次の事項(刊行物2記載の事項)が記載されていると認められる。
「遊技機において、先読み演出である、一度停止した七図柄が次回転まで持ち越されるHOLD予告の演出を行い、HOLD予告の演出における最後の報知演出において、左右の図柄を七図柄で停止表示し、中央下部にボタンの画像を表示し、ボタンが押された後、3つの七図柄を停止表示する主水必殺リーチの演出を行うこと。」
刊行物2記載の事項における「先読み演出」が、事前判定の結果に基づく、複数の報知演出に跨がる事前判定演出を意味することは、当業者にとって自明である。また、刊行物2記載の事項において、「中央下部にボタンの画像を表示」する演出は、遊技者に対して入力操作を促す入力示唆演出であるといえる。また、刊行物2記載の事項において、停止表示した「3つの七図柄」は、特別遊技が行われることを示唆する当り図柄といえ、さらに、刊行物2記載の事項において、「ボタンが押された」ことを検出手段により検出していることは、当業者にとって自明であるから、刊行物2記載の事項において「ボタンが押された後、3つの七図柄を停止表示する」ことは、入力示唆演出において入力操作が検出されることに応じて装飾図柄を特別遊技が行われることを示唆する当り図柄で停止させることを意味するといえる。
したがって、刊行物2記載の事項における「HOLD予告の演出」は、本願補正発明の用語を用いて表現すると、事前判定演出の最後の報知演出において、遊技者に対して入力操作を促す入力示唆演出を実行可能にするとともに、入力示唆演出において入力操作が検出されることに応じて装飾図柄を特別遊技が行われることを示唆する当り図柄で停止させる演出を行うものであるといえる。
そして、刊行物1発明と刊行物2記載の事項とは、事前判定演出を実行する点で共通するから、刊行物1発明において、「保留予告演出」に代えて、刊行物2記載の事項における「HOLD予告の演出」のような、入力示唆演出において入力操作が検出されることに応じて装飾図柄を特別遊技が行われることを示唆する当り図柄で停止させる演出を行う事前判定演出を実行可能とし、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

イ 本願補正発明が奏する効果について
上記相違点によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明及び刊行物2記載の事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

(5)判断2
以下の通り、本願補正発明は、刊行物2に記載された発明及び周知技術に基づいても、当業者が容易に発明をすることができたものである。
刊行物2には、上記(2)(2-2)より、「先読み演出である、一度停止した七図柄が次回転まで持ち越されるHOLD予告の演出を行い、HOLD予告の演出における最後の報知演出において、左右の図柄を七図柄で停止表示し、中央下部にボタンの画像を表示し、ボタンが押された後、3つの七図柄を停止表示する主水必殺リーチの演出を行う遊技機。」の発明(以下「刊行物2発明」という。)が記載されていると認められる。
そして、先読み演出を行う遊技機において、遊技情報を取得する取得手段、特別遊技判定手段、記憶手段、事前判定手段、入力検出手段等を設けることは、周知技術に過ぎない(刊行物1等参照)から、本願補正発明は、刊行物2発明及び上記周知技術に基づいても当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6)まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が刊行物1発明及び刊行物2記載の事項、あるいは、刊行物2発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、平成28年7月8日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、特に、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】
A 始動条件の成立により遊技情報を取得する取得手段と、
B 前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、遊技者に有利な特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
C 前記取得手段により取得された遊技情報を記憶可能な記憶手段と、
D 前記取得手段により取得された遊技情報が前記特別遊技判定手段により判定される前に、前記特別遊技を行うか否かを事前に判定する事前判定手段と、
E 所定の演出を実行する演出制御手段と、
F 入力手段に対する入力操作を検出する入力検出手段とを備え、
G 前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、当該判定結果を報知する報知演出を実行し、
I” 前記報知演出において遊技者に対して前記入力操作を促す入力示唆演出を実行可能にするとともに、当該入力示唆演出において前記入力検出手段によって前記入力操作が検出されることに応じて前記特別遊技が行われることを示唆する演出を実行可能であり、
J 前記事前判定手段による判定結果に基づいて、複数の前記報知演出に跨って、同様の演出を繰り返す事前判定演出を実行可能であり、
K 前記事前判定演出が実行される複数の報知演出のうち、最後の報知演出において前記入力示唆演出を実行可能にし、最後の報知演出よりも前の報知演出において前記入力示唆演出を実行しない、遊技機。」

2 刊行物1に記載された発明
刊行物1及びその記載事項並びに刊行物1発明は、上記「第2 3(2)(2-1)」に記載した通りである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2 3(1)」で検討した本願補正発明から、「前記報知演出において前記判定結果を報知するための装飾図柄を変動させてから停止させ、」との事項を省き、さらに、上記「第2 3(1)」で検討した本願補正発明の「前記装飾図柄を前記特別遊技が行われることを示唆する当り図柄で停止させる演出」との事項について、当該「演出」が「前記装飾図柄」を「当り図柄で停止させる」ものであるとの事項を省いたものである。
そして、本願発明と刊行物1発明との対比については、上記「第2 3(3)」の(a)?(g)及び(i)?(k)に記載したとおりである。
そうすると、本願発明と刊行物1発明とは、

「A 始動条件の成立により遊技情報を取得する取得手段と、
B 前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、遊技者に有利な特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
C 前記取得手段により取得された遊技情報を記憶可能な記憶手段と、
D 前記取得手段により取得された遊技情報が前記特別遊技判定手段により判定される前に、前記特別遊技を行うか否かを事前に判定する事前判定手段と、
E 所定の演出を実行する演出制御手段と、
F 入力手段に対する入力操作を検出する入力検出手段とを備え、
G 前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による判定結果に基づいて、当該判定結果を報知する報知演出を実行し、
I’ 前記報知演出において遊技者に対して前記入力操作を促す入力示唆演出を実行可能にするとともに、当該入力示唆演出において前記入力検出手段によって前記入力操作が検出されることに応じて演出を実行可能であり、
J 前記事前判定手段による判定結果に基づいて、複数の前記報知演出に跨って、同様の演出を繰り返す事前判定演出を実行可能であり、
K 前記事前判定演出が実行される複数の報知演出のうち、最後の報知演出において前記入力示唆演出を実行可能にし、最後の報知演出よりも前の報知演出において前記入力示唆演出を実行しない、遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点2)入力示唆演出において、入力検出手段によって入力操作が検出されることに応じて、本願発明は、「前記特別遊技が行われることを示唆する演出」を実行可能であるのに対し、刊行物1発明は、「示唆画像K4が示す変動内容であるリーチR4を開始」する演出を実行可能である点。(構成I”)

(4)判断
ア 上記相違点2について検討する。
遊技機の技術分野において、リーチ演出における大当たり期待度を具体的にどの程度に設定するかは、遊技の興趣を向上させるべく当業者が適宜決定し得る設計事項といえる。そうすると、刊行物1発明において、「示唆画像K4が示す変動内容であるリーチR4」を、「前記特別遊技が行われることを示唆する」といえる程度に大当り期待度の高い演出とし、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
また、本願発明の効果は、刊行物1発明から予測される範囲内のものにすぎず、格別なものではない。

以上のように、本願発明は当業者が刊行物1発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-07-07 
結審通知日 2017-07-11 
審決日 2017-07-24 
出願番号 特願2015-106369(P2015-106369)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾崎 俊彦  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 樋口 宗彦
萩田 裕介
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 小笠原特許事務所  

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