ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G06F |
---|---|
管理番号 | 1332059 |
審判番号 | 不服2017-2225 |
総通号数 | 214 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-10-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-02-16 |
確定日 | 2017-09-07 |
事件の表示 | 特願2013- 93338「パラメータ設定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月17日出願公開、特開2014-215850〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年4月26日の出願であって、平成28年6月28日付けで拒絶理由通知がされ、同年8月24日付けで意見書が提出されたが、同年12月26日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成29年2月16日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1-4に係る発明は、出願時の特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「【請求項1】 ユーザにより操作され、その操作に応じてパラメータ値を設定する操作子と、 ユーザにより前記操作子が操作されて、特定値だったパラメータ値が該特定値でなくなったことを検出した時に、所定の時間だけ、ユーザに触感的フィードバックを与えるフィードバック手段と、 を備えることを特徴とするパラメータ設定装置。」 第3 引用文献 (1)引用文献・引用発明 本願の出願日前に日本国内において頒布され、原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2006-155447号公報(以下、「引用文献」という。)には、次の技術事項が記載されている。(下線部は、当審により付加した。) ア.「【技術分野】 【0001】 本発明は、操作入力装置に関し、特に、操作者の操作に応答して振動を発生する機能を備えた操作入力装置に関する。」(3頁36-39行) イ.「【0028】 (第1の実施の形態) 図2は、本発明の第1の実施の形態の振動機能付き操作入力装置200の構成を機能ブロックの形態で示したものである。 【0029】 図2に示すように、振動機能付き操作入力装置200は、タッチパネル22の押下された位置に応じて検出信号を出力する押圧位置検出部25と、液晶パネル21に対し操作画面を表示させたり、その操作画面上に表示される操作キーの位置を取得する表示制御部26と、振動ユニット23に供給する振動を発生する駆動信号発生部27とを有している。 【0030】 また、システムコントローラ10はタッチパネル22の押下された位置と液晶パネル21に表示される操作キーの位置を比較する位置比較判別部10aと、操作対象となる楽曲等の変化を検出する動作状態変化検出部10bとを有して構成されている。 【0031】 また、表示装置20は、液晶パネル21の前面にタッチパネル22が配置され、液晶パネル21の背面側には振動ユニット23が配置されている。この表示装置20は押圧位置検出部25、表示制御部26及び駆動信号発生部27を介してシステムコントローラ10と接続される。 【0032】 以上のように構成された振動機能付き操作入力装置200において、システムコントローラ10、位置比較判別部10a及び動作状態変化検出部10bは「制御手段」に、液晶パネル21は「表示パネル」に、振動ユニット23及び駆動信号発生部27は「振動印加手段」に、押圧位置検出部25は「押圧位置検出手段」にそれぞれ対応している。」(6頁48行-7頁21行) ウ.「【0067】 (第2の実施の形態) 以下、本発明の第2の実施の形態の振動機能付き操作入力装置200aについて説明する。 【0068】 なお、本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、操作対象が漸次変化する有限の値であり、上限値、下限値又は中心値の基準点を有することである。そして、この基準点を通過した時にタッチパネルに振動を発生することである。 【0069】 図7は、本発明の第2の実施の形態の振動機能付き操作入力装置200aの構成を機能ブロックの形態で示したものである。なお、本実施の形態においても、本発明を車載用ナビゲーション・AVシステム100に適用した例を示している。また、本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、システムコントローラ10Aに、基準点通過検出部(制御手段)10cが設けられている点であり、その他の構成及び動作(機能)については基本的に第1の実施の形態と同様である。よって、図7において、図2と同じ部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。 【0070】 以下、このように構成された装置において、CDプレーヤー12の音量を調整する場合を例にとって説明する。 【0071】 図8は、CDプレーヤーの音量調整キー82を長押しして、音量を調整する場合の画面表示の一例を示す図である。図8に示すように、音量を示すインジケータ81は、基準の音量を0とし、それより小さい場合は-(マイナス)の値、基準の音量より大きい場合は+(プラス)の値で示されているものとする。図8は、音量レベルが-(マイナス)のときに、音量調整キー82を押して、音量を連続的に上げる様子を示している。 【0072】 図9は、基準点通過とタッチパネル22に発生する振動との関係を示すタイミングチャートである。図9において、BUS通信は、CDプレーヤーから共通バスライン16に出力される信号であり、システムコントローラ10は共通バスライン16を介して設定値(ここでは音量のレベル)の状態を取得する。 【0073】 図9のタイミングチャートは、図8の操作画面の音量調整キー82を選択して押し続けているときに、操作者にどのタイミングでどのような振動を与えるかを示している。 【0074】 音量調整キー82のキー入力がONになったとき、振動パターンv1の振動が一定期間t4発生する。キー入力がONになってから、所定の時間音量調整キーを押し続けていると長押しが確定し、CDプレーヤー12は音量を連続的に上げながら設定する動作を開始する。この連続設定の動作の開始と同時に振動パターンv2の振動が一定期間t5発生する。 【0075】 音量の連続設定が開始された後、音量のレベルが基準点を通過したときには、音量が基準点を通過したことを知らせるために振動パターンv3の振動が一定期間t6発生する。 【0076】 以下、上記のようにタッチパネルから振動を発生させる処理について、図10に例示するフローチャートを参照しながら説明する。 【0077】 なお、ステップS21からステップS25は、第1の実施の形態(図5)に係るステップS11からステップS15までと同様であるので、その説明は省略する。 【0078】 ここでは、ステップS25で長押しが確定した後のステップS26から説明する。 【0079】 ステップS26では、音量調整キーの長押し状態において、基準点(本実施の形態では「0」)を通過したか否かを判定する。 【0080】 基準点を通過したか否かは次のようにして判定する。システムコントローラ10AはCDプレーヤー12から設定された音量レベルの情報を共通バスライン16を介して取得し、基準点通過検出部10cがその情報を基にして基準点を通過したか否かを判定する。 【0081】 基準点を通過した場合は、ステップS27に移行し、基準点を通過していない場合は、ステップS30に移行する。 【0082】 次のステップS27では、マイナスの値から基準点を通過してプラスの値へ移ったのか、その逆にプラスの値から基準点を通過してマイナスの値に移ったのかを判定する。 【0083】 どちらの方向で基準点を通過したかは、基準点通過検出部10cが基準点を通過した前後の音量レベルを比較することにより判定する。 【0084】 判定の結果マイナスの音量からプラスの音量に変化するときに基準点を通過した場合はステップS28に移行し、プラスの音量からマイナスの音量に変化するときに基準点を通過した場合はステップS29に移行する。 【0085】 ステップS28では、マイナスの音量からプラスの音量に変化するときに基準点を通過したことの確認のための振動を発生する。 【0086】 音量調整キー82の長押し状態でマイナスの音量からプラスの音量に移るときに基準点を通過した場合、システムコントローラ10Aは駆動信号発生部27に振動パターンv3を発生させるように指示する。この振動パターンはキーが押下されたことの確認のための振動パターンv1及び長押しが確定したことの確認のための振動パターンv2とは異なる振動パターンの振動である。 【0087】 ステップS29では、プラスの音量からマイナスの音量に移るときに基準点を通過したことの確認のための振動を発生する。この場合は、ステップS28で発生させる振動パターンv3とは異なるパターンの振動を発生させる。 【0088】 次のステップS30では、長押し状態が終了したか否かを判定する。長押し状態が終了していなければステップS26に戻り、さらに基準点を通過したか否かを判定する。一方、キーから指が離れ長押し状態が終了していれば本処理は終了する。 【0089】 以上説明したように、本実施の形態の振動機能付き操作入力装置200aでは、音量調整キー82の長押し確定後継続してキーを押しているときに、基準点を通過したときにタッチパネル22が振動するようにしている。これにより、操作者は、音量レベルの表示画面を見ることなく音量レベルがどの程度かを知ることが可能となる。 【0090】 なお、本実施の形態では、音量の設定を例にとって説明したが、操作対象はこれに限るものではなく、漸次連続的に変化する値であれば適用可能である。例えば、画面の明るさやコントラスト等を設定する場合にも適用可能である。」(10頁47行-12頁42行) 上記引用文献の記載及び図面並びにこの分野の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。 a.上記ウ.の段落【0069】の記載によれば、第2の実施の形態は、第1の実施の形態において、システムコントローラに基準点通過検出部(制御手段)10cが設けられている点で異なり、その他の構成については第1の実施の形態と同様のものである。 b.してみれば、図7には、上記(イ)の段落【0029】-【0031】、図2、及び上記(ウ)の段落【0069】の記載により、液晶パネル21の前面にタッチパネル22が配置され、液晶パネル21の背面側には振動ユニット23が配置される表示装置20と、前記タッチパネル22の押下された位置に応じて検出信号を出力する押圧位置検出部25と、前記液晶パネル21に対し操作画面を表示させたり、その操作画面上に表示される操作キーの位置を取得する表示制御部26と、前記振動ユニット23に供給する振動を発生する駆動信号発生部27と、 前記タッチパネル22の押下された位置と液晶パネル21に表示される操作キーの位置を比較する位置比較判別部10a、及び、基準点通過検出部10cで構成されるシステムコントローラ10Aと、を有し、前記該表示装置20は前記押圧位置検出部25、前記表示制御部26及び前記駆動信号発生部27を介して前記システムコントローラ10Aと接続される、振動機能付き操作入力装置200a、が記載されているといえる。 c.上記ウ.の段落【0070】-【0088】、図8-図10には、上記操作入力装置200aで、CDプレーヤー12の音量を調整する例として、基準の音量を0とし、音量レベルが-(マイナス)のときに、音量調整キー82を長押して、音量を連続的に上げる、ことが記載されている。 してみると、引用文献には、上記操作入力装置200aで、CDプレーヤー12の音量を、基準点を0とし、音量レベルが-(マイナス)のときに、音量調整キー82を長押して調整する、ことが記載されているといえる。 d.上記ウ.の段落【0073】、【0074】には、音量調整キー82を選択して、キー入力がONになってから、所定の時間、音量調整キー82を押し続けていると長押しが確定し、音量を連続的に上げながら設定する動作を開始する、ことが記載されている。 e.上記ウ.の段落【0080】には、システムコントローラ10Aは設定された音量レベルの情報を取得し、基準点通過検出部10cがその情報を基にして基準点(「0」)を通過したか否かを判定する、ことが記載されている。 f.上記ウ.の段落【0081】、【0083】の記載によれば、通過した場合は、基準点通過検出部10cが基準点を通過した前後の音量レベルを比較することにより、どちらの方向で基準点を通過したかを判定する。 g.上記ウ.の段落【0084】、【0085】、【0086】の記載によれば、判定の結果マイナスの音量からプラスの音量に変化するときに基準点を通過した場合は、システムコントローラ10Aは駆動信号発生部27に、マイナスの音量からプラスの音量に変化するときに基準点を通過したことの確認のための振動パターンv3を発生させている。また、図9の記載によれば、該振動パターンv3は一定時間だけ発生しているものと認められる。 したがって、上記引用文献には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「液晶パネル21の前面にタッチパネル22が配置され、液晶パネル21の背面側には振動ユニット23が配置される表示装置20と、 前記タッチパネル22の押下された位置に応じて検出信号を出力する押圧位置検出部25と、 前記液晶パネル21に対し操作画面を表示させたり、その操作画面上に表示される操作キーの位置を取得する表示制御部26と、 前記振動ユニット23に供給する振動を発生する駆動信号発生部27と、 前記タッチパネル22の押下された位置と液晶パネル21に表示される操作キーの位置を比較する位置比較判別部10a、及び、基準点通過検出部10cで構成されるシステムコントローラ10Aと、を有し、 前記該表示装置20は前記押圧位置検出部25、前記表示制御部26及び前記駆動信号発生部27を介して前記システムコントローラ10Aと接続される、振動機能付き操作入力装置200aにおいて、 該操作入力装置200aで、CDプレーヤー12の音量を、基準点を0とし、音量レベルが-(マイナス)のときに、音量調整キー82を長押して調整する際に、 操作画面の音量調整キー82を選択して、キー入力がONになってから、所定の時間、音量調整キー82を押し続けていると長押しが確定し、音量を連続的に上げながら設定する動作を開始し、 前記システムコントローラ10Aは設定された音量レベルの情報を取得し、前記基準点通過検出部10cがその情報を基にして基準点(「0」)を通過したか否かを判定し、 通過した場合は、前記基準点通過検出部10cが基準点を通過した前後の音量レベルを比較することにより、どちらの方向で基準点を通過したかを判定し、 その結果マイナスの音量からプラスの音量に変化するときに基準点を通過した場合は、システムコントローラ10Aは駆動信号発生部27に、マイナスの音量からプラスの音量に変化するときに基準点を通過したことの確認のための振動パターンv3を一定時間発生させる、 操作入力装置200a。」 第4 対比・判断 本願発明と引用発明とを対比する。 ア.引用発明の「音量調整キー82」は、「押し続けていると長押しが確定し、音量を連続的に上げながら設定する」ものであるから、引用発明の「音量」が、本願発明の「パラメータ値」に相当し、さらに、引用発明の「音量調整キー82」が、本願発明1の「ユーザにより操作され、その操作に応じてパラメータ値を設定する操作子」に相当する。 さらに、引用発明の「操作入力装置200a」で、「音量」を調節するのであるから、引用発明の「操作入力装置200a」は、本願発明の「パラメータ設定装置」に相当する。 イ.本願の明細書の段落【0026】には「・・・。この処理では、ノブ21に振動が与えられる特定値DVに、ある程度の幅(α)を持たせている。そして、この幅(α)は、ユーザが1値と認識する程度の、あまり広くない、適切な幅(ノブ21の回転角度で数度?二十度程度)に調整される。ノブ21の直径に応じて、直径が大きければ幅(α)を小さくするのがよく、直径が小さければ、幅(α)を大きくするのがよい。このように、特定値DVは、必ずしも単一の値である必要はなく、幅(α)を持つ範囲内の連続値であってもよい。・・・」と記載されおり、本願発明における「特定値」には、「幅(α)を持つ範囲内の連続値」も含まれるものと認められる。 してみると、本願発明の「特定値だったパラ-メータ値が該特定値ではなくなったこと」は、「ある範囲内にあったパラ-メータ値がその範囲内ではなくなったこと」も含むものである。 一方、引用発明は「音量レベルが-(マイナス)のとき」から「基準点(0)」を「通過した」ことを「基準点通過検出部10c」が検出し、「駆動信号発生部27」が「確認のための振動パターンv3を一定時間を発生する」ものであるから、「音量レベルが-(マイナス)」から「基準点(0)」までの範囲でなくなったことを検出した時に、確認のための振動を一定時間「駆動信号発生部27」が発生させているものと認められ、また、「振動」は「確認のため」であるからフィードバックをユーザに与えているものといえる。 してみると、引用発明の「音量レベルが-(マイナス)」から「基準点(0)」までの範囲が、本願発明の「特定値」に相当し、さらに、引用発明の「駆動信号発生部27」が、本願発明の「ユーザにより前記操作子が操作されて、特定値だったパラメータ値が該特定値でなくなったことを検出した時に、所定の時間だけ、ユーザに触感的フィードバックを与えるフィードバック手段」に相当する。 してみると、本願発明の構成は、すべて引用発明が備えているものであって、本願発明は引用発明と同一ということになる。 したがって、本願発明は、引用文献に記載された発明である。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-06-30 |
結審通知日 | 2017-07-04 |
審決日 | 2017-07-21 |
出願番号 | 特願2013-93338(P2013-93338) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(G06F)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松田 岳士 |
特許庁審判長 |
新川 圭二 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 山澤 宏 |
発明の名称 | パラメータ設定装置 |
代理人 | 浅見 保男 |