• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02J
管理番号 1332083
審判番号 不服2016-13483  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-08 
確定日 2017-09-06 
事件の表示 特願2012-168210「蓄電池システム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年2月6日出願公開、特開2014-27828〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年7月30日の出願であって、平成28年6月6日付けで拒絶査定がされ、この査定に対し、平成28年9月8日に本件審判が請求されるとともに、その審判の請求と同時に手続補正(請求項1?5を引用する請求項6の補正)がなされたものである。

第2 本願発明について
本願の請求項1?7に係る発明は、平成28年9月8日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「二次電池と、
前記二次電池の状態を認識して制御を行なう蓄電池制御ユニットと、
前記二次電池の充放電を制御する充放電制御部と、
前記二次電池の充放電に関するパラメータを設定する設定部とを備え、
前記充放電制御部は、前記設定部または前記蓄電池制御ユニットからの信号により駆動制御され、
前記設定部は、予め設定された充電開始時刻と放電開始時刻で前記二次電池の充放電を行なわせる機能を有効にする特定のスイッチを有すると共に、充電開始時刻と充電終了時刻、および/または放電開始時刻と放電終了時刻を任意に設定できるタイマー時刻設定機能を有し、
前記特定のスイッチを操作すると、前記タイマー時刻設定機能が常に無効化される構成としたことを特徴とする蓄電池システム。」

2.引用刊行物とその記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-72252号公報(以下「刊行物1」という。)には、蓄電式空気調和装置に関し、図面とともに、次の技術的事項が記載されている(なお、下線は当審で付与。)。
(ア)「【請求項1】負荷(M1)を駆動するための電力を供給する電源(21)と、
該電源(21)から供給される電力の充電が可能である一方、上記負荷(M1)に電力を供給するための放電が可能な蓄電手段(BM)と、
該蓄電手段(BM)に対する充電動作を行わせる充電制御手段(71)と、
蓄電手段(BM)への充電動作の時間帯を予め初期設定し、この時間帯だけ充電制御手段(71)による蓄電手段(BM)の充電を行わせるスケジュール運転手段(52)とを備え、
上記初期設定された充電動作の時間帯に充電制御手段(71)による蓄電手段(BM)への充電を行う一方、上記電源(21)または蓄電手段(BM)からの電力によって負荷(M1)を駆動して空調室内の空気調和を行う蓄電式空気調和装置において、
上記蓄電手段(BM)の充電動作の時間帯を変更するための手動操作が可能な手動入力部(60)と、
該手動入力部(60)からの時間帯変更信号が受信可能であって、該時間帯変更信号を受けたとき、上記スケジュール運転手段(52)により初期設定されている充電動作の時間帯をキャンセルすると共に、この時間帯変更信号に対応した時間帯で充電制御手段(71)による蓄電手段(BM)への充電を行わせるように充電動作の時間帯を変更する変更手段(70)とを備えていることを特徴とする蓄電式空気調和装置。」
(イ)「【0003】そして、上記蓄電式空気調和装置は、電力需要の低い夜間の電力を利用して蓄電池に充電する一方、昼間の電力需要のピーク時に蓄電池の電力をインバータ部に供給して圧縮機モータを駆動している。このように、従来では、時刻に応じて蓄電池の充電動作及び放電動作を行ういわゆるスケジュール運転を行っていた。・・・
【0007】本発明は、この点に鑑みてなされたものであって、蓄電式の空気調和装置に対して蓄電池の充放電時間帯を任意に変更可能とし、個々のユーザに適した充放電動作を行い得ることを目的とする。」
(ウ)「【0032】上記室外ユニット(1A)は、商用電力が供給されるように電源ライン(20)に接続され、該電源ライン(20)は、商用電源(21)からブレーカ(22)と電力検出器(23)が順に接続されている。・・・
【0033】上記室外ユニット(1A)は、電源ライン(20)に接続された主電源線(30)を備え、該主電源線(30)には、主接点である電磁継電器(31)と電力変換回路(32)と圧縮機モータ(M1)とが順に接続されている。・・・
【0036】上記蓄電池(11)は、本発明の特徴とするものであって、2次電力を圧縮機モータ(M1)に供給する2次電源を構成している。該蓄電池(11)は、充放電回路(40)を介して主電源線(30)に接続され、蓄電池(11)と充放電回路(40)が蓄電手段(BM)を構成する一方、上記充放電回路(40)は、昇降圧チョッパ(41)と直流スイッチ(42)とが順に接続されている。
【0037】上記昇降圧チョッパ(41)は、一端が整流回路(35)と平滑回路(36)との間に接続され、蓄電池(11)の充電時に電力変換回路(32)の直流電力を蓄電池(11)の充電に適した直流電力に降圧する一方、蓄電池(11)の放電時に圧縮機モータ(M1)の駆動に適した直流電力に昇圧するように構成されている。
【0038】上記直流スイッチ(42)は、例えば、サイリスタによって構成され、蓄電池(11)の充電時と放電時とにオンするように構成されている。
・・・
【0041】上記室外コントローラ(51)は、現在時刻に応じて蓄電池(11)に対する充電動作及び放電動作を行うためのスケジュール運転手段(52)及びこのスケジュール運転手段(52)からの充電指令信号を受けて蓄電池(11)に対する充電動作を行う充電制御手段(71)を備えている。・・該スケジュール運転手段(52)は、第1判定値L1と第2判定値L2とが予め設定されると共に、通常運転手段(5a)とピークカット運転手段(5b)とピークシフト運転手段(5c)とを備えている。
【0042】上記第1判定値L1及び第2判定値L2は、図4に示すように、契約電力LDよりも低い電力値であって、第1判定値L1が第2判定値L2より小さく設定され、つまり、最も高い契約電力LDに対して順に低い値の第2判定値L2と第1判定値L1とが設定されている。
【0043】上記通常運転手段(5a)は、電力検出器(23)が検出する商用電力の入力電力量が第1判定値L1より小さいと、電磁継電器(31)のみをオンして商用電力のみを圧縮機モータ(M1)に供給して通常運転を実行する。
【0044】上記ピークカット運転手段(5b)は、入力電力量が第2判定値L2より大きくなるか、又は入力電力量が第1判定値L1より大きく且つ第2判定値L2より小さい状態で、空調負荷の上昇状態にあると、直流スイッチ(42)のみをオンし、商用電力の入力を遮断して蓄電池(11)から2次電力を圧縮機モータ(M1)に供給するピークカット運転を実行する。
【0045】上記ピークシフト運転手段(5c)は、入力電力量が第1判定値L1より大きく且つ第2判定値L2より小さい状態で、空調負荷の下降状態にあるか、又は、空調負荷のほぼ定状態にあると、電磁継電器(31)と直流スイッチ(42)とをオンし、商用電力の入力電力量を所定値以下に抑制して該商用電力を圧縮機モータ(M1)に供給すると同時に、蓄電池(11)から2次電力を圧縮機モータ(M1)に供給するピークシフト運転を実行する。」
(エ)「【0048】本形態の特徴は、上記スケジュール運転手段(52)によって予め設定されている蓄電池(11)の充電開始時刻を任意に変更可能としていることにある。具体的には、上記室外コントローラには(51)には変更手段(70)が設けられている一方、上記リモコン(14)には図5に示す手動入力部としての時間帯変更スイッチ(60)が設けられている。この時間帯変更スイッチ(60)は、充電開始時刻入力の自動モードと手動モードとを切り換える切換スイッチ(61)、手動モードにおいて充電開始時刻の設定を行う時刻スイッチ(62)、設定された充電開始時刻を進める送りスイッチ(63)、充電開始時刻を遅らせる戻りスイッチ(64)を備えている。そして、上記切換スイッチ(61)が自動モードに切り換えられている場合には、上記スケジュール運転手段(52)によって予め設定されている蓄電池(11)の充電時間帯に基づき所定の充電開始時刻(例えば午前1時)から充電が開始されるようになっている。一方、切換スイッチ(61)が手動モードに切り換えられている場合には、上記時刻スイッチ(62)、送りスイッチ(63)、戻りスイッチ(64)を操作することにより、充電開始時刻を任意に設定することが可能な構成となっている。」
(オ)「【0049】このようにして時間帯変更スイッチ(60)によって充電開始時刻が設定された場合、その設定信号が上記変更手段(70)に送信され、該変更手段(70)は上記スケジュール運転手段(52)によって予め設定されている蓄電池(11)の充電開始時刻をキャンセルして、変更された充電開始時刻から充電制御手段(71)による蓄電池(11)の充電が開始される構成となっている。」
(カ)「【0053】また、夜間においては、一般にリモコン(14)より運転停止信号が入力され、空調運転を停止した状態で蓄電池(11)の充電動作が行われる。つまり、上記室外コントローラ(51)が電磁継電器(31)をオンすると共に、直流スイッチ(42)をオンし、商用電力がコンバータ部(33)の整流回路(35)で直流電力に変換されて昇降圧チョッパ(41)に供給される。該直流電力は、昇降圧チョッパ(41)によって蓄電池(11)の充電に適した電圧に降圧され、蓄電池(11)が充電される。
・・・
【0056】先ず、ステップST1で現在の時刻が手動設定された充電開始時刻になったか否かを判定する。ここで、現在の時刻が手動設定された充電開始時刻になった場合にはステップST2に移って現在の蓄電池(11)の蓄電量を検出する。この蓄電量の検出は例えば蓄電池(11)の電圧値を検出することにより行われる。
【0057】その後、ステップST3に移り、現在の蓄電量Qnと100%蓄電した場合の蓄電量Qfとの差Qを算出する。つまり、今回の充電動作ではこの差Qだけ充電すれば100%蓄電されることになる。つまり、この差Qが必要充電量として算出される。そして、ステップST4ではこの必要充電量Qを得るための必要充電時間tの算出が行われる。この必要充電時間tの算出では、必要充電量Qの関数fが使用される。この関数fは、充電初期時と充電末期時では単位時間当たりの充電量が異なっている(一般には充電開始初期時の方が単位時間当たりの充電量が小さい)ので、これらを考慮して設定されたものである。ステップST5では、上記ステップST4で算出された必要充電時間tを現在の時刻に加算することで充電終了予定時刻が算出される。」
(キ)「【0064】
【発明の実施の形態2】上述した実施形態1では、充電開始時刻を任意に設定可能としたものであったが、本実施形態は、充電終了時刻を任意に設定可能とするものである。
【0065】図7は、リモコン(14)に設けられた時間帯変更スイッチ(60)を示している。本形態の時間帯変更スイッチ(60)は、充電終了時刻入力の自動モードと手動モードとを切り換える切換スイッチ(61)、手動モードにおいて充電終了時刻の設定を行う時刻スイッチ(62)、設定された充電終了時刻を進める送りスイッチ(63)、充電終了時刻を遅らせる戻りスイッチ(64)を備えている。各スイッチの機能は、上述した第1実施形態の場合と同様であるのでここでは説明を省略する。つまり、これらスイッチの操作によって充電終了時刻を任意に設定することが可能な構成となっている。」
(ク)「【0094】
【発明の他の実施の形態】上述した各実施形態は、蓄電池(11)の充電に関するものであったが、放電に関しても同様に、ユーザが任意に設定可能な構成とすることもできる。つまり、リモコン(14)に設けられた時間帯変更スイッチ(60)を放電時間帯を変更可能とするスイッチとして構成し、このスイッチにより放電時間帯(放電開始時刻や放電終了時刻)が変更された際には、スケジュール運転手段(52)により初期設定された放電時間帯をキャンセルし、変更された時間帯で蓄電池(11)の放電を行うようにするものである。」
(ケ)(ア)の「手動入力部(60)」は、(エ)の「リモコン(14)には図5に示す手動入力部としての時間帯変更スイッチ(60)が設けられている。」ものであるので、手動入力部(60)は、リモコン(14)に時間帯変更スイッチ(60)として設けられているといえる。
(コ)(ウ)の「商用電力が供給されるように電源ライン(20)に接続され、該電源ライン(20)は、商用電源(21)からブレーカ(22)と電力検出器(23)が順に接続されている。」から、以下の事項が理解出来る。
「電源(21)は、商用電力を供する商用電源(21)である。」

すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているものと認める(なお、a:?e:は当審で付与。)。
「a:電源(21)から供給される電力の充電が可能である一方、上記負荷(M1)に電力を供給するための放電が可能な蓄電手段(BM)と、
該蓄電手段(BM)に対する充電動作を行わせる充電制御手段(71)と、
蓄電手段(BM)への充電動作の時間帯を予め初期設定し、この時間帯だけ充電制御手段(71)による蓄電手段(BM)の充電を行わせるスケジュール運転手段(52)と、
蓄電手段(BM)の充電動作の時間帯を変更するための手動操作が可能な手動入力部(60)と、
該手動入力部(60)からの時間帯変更信号が受信可能であって、該時間帯変更信号を受けたとき、上記スケジュール運転手段(52)により初期設定されている充電動作の時間帯をキャンセルすると共に、この時間帯変更信号に対応した時間帯で充電制御手段(71)による蓄電手段(BM)への充電を行わせるように充電動作の時間帯を変更する変更手段(70)とを備えている蓄電式空気調和装置であって、
電源(21)は、商用電力を供する商用電源(21)であり、
室外ユニット(1A)は、電源ライン(20)に接続された主電源線(30)を備え、該主電源線(30)には、主接点である電磁継電器(31)と電力変換回路(32)と圧縮機モータ(M1)とが順に接続され、
b:蓄電池(11)と充放電回路(40)が蓄電手段(BM)を構成し、
b1:充放電回路(40)は、昇降圧チョッパ(41)と直流スイッチ(42)とが順に接続され、
昇降圧チョッパ(41)は、一端が整流回路(35)と平滑回路(36)との間に接続され、蓄電池(11)の充電時に電力変換回路(32)の直流電力を蓄電池(11)の充電に適した直流電力に降圧する一方、蓄電池(11)の放電時に圧縮機モータ(M1)の駆動に適した直流電力に昇圧するように構成され、
直流スイッチ(42)は、例えば、サイリスタによって構成され、蓄電池(11)の充電時と放電時とにオンするように構成され、
c:手動入力部(60)は、リモコン(14)に時間帯変更スイッチ(60)として設けられているものであって、
c1:時間帯変更スイッチ(60)は、充電開始時刻入力の自動モードと手動モードとを切り換える切換スイッチ(61)、手動モードにおいて充電開始時刻の設定を行う時刻スイッチ(62)、設定された充電開始時刻を進める送りスイッチ(63)、充電開始時刻を遅らせる戻りスイッチ(64)を備え、
c2:切換スイッチ(61)が自動モードに切り換えられている場合には、上記スケジュール運転手段(52)によって予め設定されている蓄電池(11)の充電時間帯に基づき所定の充電開始時刻(例えば午前1時)から充電が開始され、手動モードに切り換えられている場合には、上記時刻スイッチ(62)、送りスイッチ(63)、戻りスイッチ(64)を操作することにより、充電開始時刻を任意に設定することが可能な構成となっており、
d:スケジュール運転手段(52)は、第1判定値L1と第2判定値L2とが予め設定されると共に、通常運転手段(5a)とピークカット運転手段(5b)とピークシフト運転手段(5c)とを備え
d1:商用電力の入力電力量が第1判定値L1より小さいと、電磁継電器(31)のみをオンして商用電力のみを圧縮機モータ(M1)に供給して通常運転を実行し、
d2:入力電力量が第2判定値L2より大きくなるか、又は入力電力量が第1判定値L1より大きく且つ第2判定値L2より小さい状態で、空調負荷の上昇状態にあると、直流スイッチ(42)のみをオンし、商用電力の入力を遮断して蓄電池(11)から2次電力を圧縮機モータ(M1)に供給するピークカット運転を実行し、
d3:入力電力量が第1判定値L1より大きく且つ第2判定値L2より小さい状態で、空調負荷の下降状態にあるか、又は、空調負荷のほぼ定状態にあると、電磁継電器(31)と直流スイッチ(42)とをオンし、商用電力の入力電力量を所定値以下に抑制して該商用電力を圧縮機モータ(M1)に供給すると同時に、蓄電池(11)から2次電力を圧縮機モータ(M1)に供給するピークシフト運転を実行する
d4:夜間においては、室外コントローラ(51)が電磁継電器(31)をオンすると共に、直流スイッチ(42)をオンし、商用電力がコンバータ部(33)の整流回路(35)で直流電力に変換されて昇降圧チョッパ(41)に供給され、該直流電力は、昇降圧チョッパ(41)によって蓄電池(11)の充電に適した電圧に降圧され、蓄電池(11)が充電される
e:蓄電式空気調和装置。」

3.本願発明と引用発明との対比
(1)両発明の対応関係
ア.引用発明の「蓄電手段(BM)」の「蓄電池(11)」は、本願発明の「二次電池」に相当する。
イ.引用発明の「蓄電手段(BM)」の「充放電回路(40)」は、「昇降圧チョッパ(41)と直流スイッチ(42)とが順に接続され」たものであり、引用発明の「昇降圧チョッパ(41)は・・充電時に・・充電に適した直流電力に降圧・・放電時に圧縮機モータ(M1)の駆動に適した直流電力に昇圧する」「直流スイッチ(42)は・・充電時と放電時とにオンする」動作、「・・直流スイッチ(42)のみをオンし・・蓄電池(11)から2次電力を圧縮機モータ(M1)に供給するピークカット運転を実行し、・・電磁継電器(31)と直流スイッチ(42)とをオンし・・蓄電池(11)から2次電力を圧縮機モータ(M1)に供給するピークシフト運転を実行する」動作、「直流スイッチ(42)をオンし、商用電力がコンバータ部(33)の整流回路(35)で直流電力に変換されて昇降圧チョッパ(41)に供給される。該直流電力は、昇降圧チョッパ(41)によって蓄電池(11)の充電に適した電圧に降圧され、蓄電池(11)が充電される。」動作は、二次電池の充放電を制御するものといえる。
そうすると、引用発明の「蓄電手段(BM)」の「充放電回路(40)」は、本願発明の「二次電池の充放電を制御する充放電制御部」に相当する。
ウ.引用発明の「充電動作の時間帯」は、充電に関するパラメータといえるものであり、また、「第1判定値L1」、「第2判定値L2」は、それらに基づいて「直流スイッチ(42)のみをオンし・・蓄電池(11)から2次電力を圧縮機モータ(M1)に供給するピークカット運転を実行」、「電磁継電器(31)と直流スイッチ(42)とをオンし・・蓄電池(11)から2次電力を圧縮機モータ(M1)に供給するピークシフト運転を実行」するものであるので放電に関するパラメータといえるものである。
そうすると、引用発明の「蓄電手段(BM)への充電動作の時間帯を予め初期設定し、この時間帯だけ充電制御手段(71)による蓄電手段(BM)の充電を行わせるスケジュール運転手段(52)」であって「第1判定値L1と第2判定値L2とが・・設定される」ものでもある「スケジュール運転手段(52)」、「充電動作の時間帯を変更するための手動操作が可能な手動入力部(60)」、「該手動入力部(60)からの時間帯変更信号が受信可能であって、該時間帯変更信号を受けたとき、・・この時間帯変更信号に対応した時間帯で充電制御手段(71)による蓄電手段(BM)への充電を行わせるように充電動作の時間帯を変更する変更手段(70)」、及び「充電制御手段(71)」は、充電及び放電に関するパラメータが設定される部分であるので、本願発明の「二次電池の充放電に関するパラメータを設定する設定部」に相当する。
エ.上記イ.記載のように引用発明の「蓄電手段(BM)」の「充放電回路(40)」は、本願発明の「二次電池の充放電を制御する充放電制御部」に相当するものである。
そして、引用発明の「蓄電手段(BM)への充電動作の時間帯を予め初期設定し、この時間帯だけ充電制御手段(71)による蓄電手段(BM)の充電を行わせるスケジュール運転手段(52)」や「手動入力部(60)からの時間帯変更信号・・を受けたとき、・・この時間帯変更信号に対応した時間帯で充電制御手段(71)による蓄電手段(BM)への充電を行わせるように充電動作の時間帯を変更する変更手段(70)」の「充電制御手段(71)による蓄電手段(BM)」の充電は、最終的に充電制御手段(71)からの信号で、充放電回路(40)が駆動制御されて行われることが自明である。
そうすると、引用発明の「蓄電池(11)と充放電回路(40)が蓄電手段(BM)を構成し」、「蓄電手段(BM)への充電動作の時間帯を予め初期設定し、この時間帯だけ充電制御手段(71)による蓄電手段(BM)の充電を行わせるスケジュール運転手段(52)」や「手動入力部(60)からの時間帯変更信号・・を受けたとき、・・この時間帯変更信号に対応した時間帯で充電制御手段(71)による蓄電手段(BM)への充電を行わせるように充電動作の時間帯を変更する変更手段(70)」により蓄電手段(BM)の充電を行わせる構成と、本願発明の「前記充放電制御部は、前記設定部または前記蓄電池制御ユニットからの信号により駆動制御され」る構成とは、充放電制御部は、設定部からの信号により駆動制御される構成で共通する。
オ.引用発明の「充電開始時刻入力の自動モードと手動モードとを切り換える切換スイッチ(61)」の自動モード時の充電開始時刻は、「切換スイッチ(61)が自動モードに切り換えられている場合には、上記スケジュール運転手段(52)によって予め設定されている蓄電池(11)の充電時間帯に基づき所定の充電開始時刻(例えば午前1時)から充電が開始され」るものであるので、予め設定された充電開始時刻といえるものである。
そうすると、引用発明の「充電開始時刻入力の自動モードと手動モードとを切り換える切換スイッチ(61)」と、本願発明の「予め設定された充電開始時刻と放電開始時刻で前記二次電池の充放電を行なわせる機能を有効にする特定のスイッチ」とは、予め設定された充電開始時刻で二次電池の充電を行なわせる機能を有効にするスイッチである点で共通する。
また、引用発明の「手動モードにおいて充電開始時刻の設定を行う時刻スイッチ(62)、設定された充電開始時刻を進める送りスイッチ(63)、充電開始時刻を遅らせる戻りスイッチ(64)」の機能と、本願発明の「充電開始時刻と充電終了時刻、および/または放電開始時刻と放電終了時刻を任意に設定できるタイマー時刻設定機能」とは、充電開始時刻を任意に設定できるタイマー時刻設定機能である点で共通する。
そうすると、引用発明の「c:手動入力部(60)は、リモコン(14)に時間帯変更スイッチ(60)として設けられているものであって、
c1:時間帯変更スイッチ(60)は、充電開始時刻入力の自動モードと手動モードとを切り換える切換スイッチ(61)、手動モードにおいて充電開始時刻の設定を行う時刻スイッチ(62)、設定された充電開始時刻を進める送りスイッチ(63)、充電開始時刻を遅らせる戻りスイッチ(64)を備え」ることと、本願発明の「設定部は、予め設定された充電開始時刻と放電開始時刻で前記二次電池の充放電を行なわせる機能を有効にする特定のスイッチを有すると共に、充電開始時刻と充電終了時刻、および/または放電開始時刻と放電終了時刻を任意に設定できるタイマー時刻設定機能を有」することとは、設定部は、予め設定された充電開始時刻で二次電池の充電を行なわせる機能を有効にするスイッチを有すると共に、充電開始時刻を任意に設定できるタイマー時刻設定機能を有する点で共通する。
カ.引用発明の「充電開始時刻入力の自動モードと手動モードとを切り換える切換スイッチ(61)」による自動モードと手動モードとの切り換えは、スイッチを操作することによりなされるものであることは自明であり、かつ、自動モードの「予め設定されている・・所定の充電開始時刻」と、手動モードの「任意に設定する」充電開始時刻とは、同じ充電開始時刻であって、何れかが選択されるべきものであるので、自動モードの「予め設定されている・・所定の充電開始時刻」に切り換えた場合においては、刊行物1記載事項(オ)の「【0049】・・充電開始時刻が設定された場合、・・予め設定されている蓄電池(11)の充電開始時刻をキャンセルして、変更された充電開始時刻から充電制御手段(71)による蓄電池(11)の充電が開始される」手動モードへの切り換えと逆に、切り換え前の「変更された充電開始時刻」をキャンセル、すなわち無効化して、「予め設定されている蓄電池(11)の充電開始時刻」から充電制御手段(71)による蓄電池(11)の充電が開始される、すなわち、手動モードの「充電開始時刻を任意に設定する」機能(本願発明の「タイマー時刻設定機能」に相当するもの。)が無効化されると解するのが相当である。
そうすると、引用発明の「充電開始時刻入力の自動モードと手動モードとを切り換える切換スイッチ(61)」の自動モードと手動モードとを切り換える構成と、本願発明の「前記特定のスイッチを操作すると、前記タイマー時刻設定機能が常に無効化される構成」とは、スイッチ操作で、タイマー時刻設定機能が無効化される構成である点で共通する。
キ.引用発明の「蓄電式空気調和装置」は、蓄電池(11)を備えた装置であるので、本願発明の「蓄電池システム」に相当する。

(2)両発明の一致点
「二次電池と、
前記二次電池の充放電を制御する充放電制御部と、
前記二次電池の充放電に関するパラメータを設定する設定部とを備え、
前記充放電制御部は、前記設定部からの信号により駆動制御され、
前記設定部は、予め設定された充電開始時刻で前記二次電池の充電を行なわせる機能を有効にするスイッチを有すると共に、充電開始時刻を任意に設定できるタイマー時刻設定機能を有し、
スイッチ操作で、タイマー時刻設定機能が無効化される構成とした蓄電池システム。」

(3)両発明の相違点
ア.相違点1
本願発明では、「前記二次電池の状態を認識して制御を行なう蓄電池制御ユニット」を備えており、充放電制御部は、「設定部または前記蓄電池制御ユニット」からの信号により駆動制御されるのに対して、引用発明は、蓄電池制御ユニットについて特定されておらず、充放電回路(40)(本願発明の「充放電制御部」に相当するもの)は、「蓄電池制御ユニット」からの信号により駆動制御されると特定されていない点。

イ.相違点2
設定部のスイッチが、本願発明では、予め設定された「充電開始時刻と放電開始時刻」で二次電池の「充放電」を行なわせる機能を有効にするものであり、タイマー時刻設定機能で任意に設定するものが「充電開始時刻と充電終了時刻、および/または放電開始時刻と放電終了時刻」であるのに対して、引用発明は、放電開始時刻に放電さすものでなく、「充電終了時刻」「放電開始時刻」「放電終了時刻」の設定を行うものでもない点。

ウ.相違点3
本願発明では、「特定のスイッチ」を操作すると、タイマー時刻設定機能が「常に」無効化される構成であるのに対して、引用発明の切換スイッチ(61)は、「自動モードと手動モードと」を「切り換える」ものである点。

4.本願発明の容易推考性の検討
(1)相違点1について
(a)二次電池の充放電を制御する装置において、電池が満状態になった時に充電を終了する等、二次電池の状態を認識して制御を行なうことは従来周知技術(例えば、実開昭56-63241号公報「実用新案登録請求の範囲1 バッテリーの充電電圧が所定の値に達したことを検出して充電の停止を行うようにした過充電防止回路において・・」等参照)であって、過充電の防止は周知の技術課題である。
そして、引用発明の「電源(21)から供給される電力の充電が可能である一方、上記負荷(M1)に電力を供給するための放電が可能な蓄電手段(BM)」に、該周知の二次電池の状態を認識して制御を行なう機能を実行する部分を蓄電池制御ユニットとして設けることは、当業者が適宜なし得ることである。
(b)また、引用発明は、昇降圧チョッパ(41)と直流スイッチ(42)とが順に接続された充放電回路(40)(本願発明の「充放電制御部」に相当)が蓄電池(11)の充放電を最終的に制御するので、引用発明に上記周知技術を適用し、上記二次電池の状態を認識して制御を行なうようにするにあたり、充放電回路(40)を、上記蓄電池制御ユニットからの信号によって駆動制御されるものとすることも当業者が当然になし得る事項である。
(c)そうすると、引用発明の「蓄電手段(BM)」の過充電を防止するものとするために、上記(a)の二次電池の状態を認識して制御を行なう蓄電池制御ユニットを設けるとともに、充放電回路(40)を蓄電池制御ユニットからの信号により駆動制御されるものとして、本願発明の相違点1に係る事項を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)相違点2について
(a)刊行物1記載事項(キ)には、「【発明の実施の形態2】・・本形態の時間帯変更スイッチ(60)は、充電終了時刻入力の自動モードと手動モードとを切り換える切換スイッチ(61)、手動モードにおいて充電終了時刻の設定を行う時刻スイッチ(62)、設定された充電終了時刻を進める送りスイッチ(63)、充電終了時刻を遅らせる戻りスイッチ(64)を備えている。各スイッチの機能は、上述した第1実施形態の場合と同様であるのでここでは説明を省略する。つまり、これらスイッチの操作によって充電終了時刻を任意に設定することが可能な構成となっている。」と、充電終了時刻を任意に設定可能とすることも記載されている。
(b)また、刊行物1記載事項(ク)には、「【発明の他の実施の形態】・・各実施形態は、蓄電池(11)の充電に関するものであったが、放電に関しても同様に、ユーザが任意に設定可能な構成とすることもできる。つまり、リモコン(14)に設けられた時間帯変更スイッチ(60)を放電時間帯を変更可能とするスイッチとして構成し、このスイッチにより放電時間帯(放電開始時刻や放電終了時刻)が変更された際には、スケジュール運転手段(52)により初期設定された放電時間帯をキャンセルし、変更された時間帯で蓄電池(11)の放電を行うようにするものである。」と、「放電時間帯(放電開始時刻や放電終了時刻)」を任意に設定可能とすることも記載されている。
(c)また、引用発明は、刊行物1記載事項(イ)の「本発明は、・・蓄電式の空気調和装置に対して蓄電池の充放電時間帯を任意に変更可能とし、個々のユーザに適した充放電動作を行い得ることを目的とする。」ものであって、充電、放電ともに、様々な設定が可能なことは、引用発明において望ましいことといえる。
(d)そうすると、引用発明を、刊行物1記載事項(キ)(ク)の充電終了時刻、放電開始時刻、放電終了時刻も任意に設定することが可能なものとするために、
(d1)引用発明のスケジュール運転手段(52)、手動入力部(60)、変更手段(70)、充電制御手段(71)(全体で本願発明の「二次電池の充放電に関するパラメータを設定する設定部」に相当)を、刊行物1記載事項(キ)の「充電終了時刻」、刊行物1記載事項(ク)の「放電開始時刻」「放電終了時刻」も任意にできるタイマー時刻設定機能を有したものとするとともに、
(d2)「自動モードと手動モードとを切り換える切換スイッチ(61)」(本願発明の「特定のスイッチ」と「スイッチ」である点で共通するもの)を、予め設定された「充電開始時刻と放電開始時刻」で二次電池の「充放電」を行なわせる機能を有効にするものとして、
本願発明の相違点2に係る事項を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(3)相違点3について
自動と手動とを切り換える切換スイッチの構成として、1つのボタンを押す毎に自動と手動とが切り換わる形式のもの(刊行物1【図5】に図示された引用発明の切換スイッチ(61)の様なもの)も、自動とするボタン(本願発明の「特定のスイッチ」に相当するもの)と手動とするボタンとを別々に設けて、自動/手動をダイレクトに選択する形式のもの(例えば、特開平6-225416号公報制御盤コントローラの手動スイッチSW1/自動スイッチSW3、特許第3960130号公報電気温水器のおまかせスイッチ28/残湯設定スイッチ29、特開2003-105832号公報トイレのリモコンスイッチのおまかせスイッチ63/タイマースイッチ64)も、何れも、さまざまな機器で用いられている周知のものであり、それらは適宜(例えば、スイッチの設置スペースがないときは前者が、直感的な操作を求めるときは後者)選択使用されている。
そして、引用発明の蓄電式空気調和装置の自動モード/手動モードの切換においても、直感的な操作は、望ましいことであるので、引用発明の自動モードと手動モードとを切り換える切換スイッチに、上記周知の自動とするボタンと手動とするボタンとを別々に設けて、自動/手動をダイレクトに選択する形式の切換スイッチを用いることは、当業者が適宜なし得る設計上の選択事項である。
また、自動とするボタンと手動とするボタンとを別々にすることにともない、自動とするボタンの操作が、常に手動モードを無効とされるものとなることも自明である。
そうすると、引用発明の自動モードと手動モードとを切り換える切換スイッチとして、上記周知の自動とするボタンと手動とするボタンとを別々に設けて、自動/手動をダイレクトに選択する形式の切換スイッチを採用して、本願発明の相違点3に係る事項を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(4)総合判断
本願発明の効果は、引用発明、刊行物1記載の事項、及び、本願出願前に周知の技術から当業者であれば予測できた範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明、刊行物1記載の事項、及び、本願出願前に周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、刊行物1記載の事項、及び、本願出願前に周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-07-05 
結審通知日 2017-07-11 
審決日 2017-07-25 
出願番号 特願2012-168210(P2012-168210)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H02J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小池 堂夫稲葉 崇  
特許庁審判長 久保 竜一
特許庁審判官 中川 真一
矢島 伸一
発明の名称 蓄電池システム  
代理人 牛木 護  
代理人 加藤 裕介  
代理人 高橋 知之  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ