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審決分類 審判 全部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  G01C
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  G01C
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01C
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  G01C
審判 全部無効 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正  G01C
審判 全部無効 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  G01C
審判 全部無効 2項進歩性  G01C
管理番号 1332433
審判番号 無効2015-800038  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-02-25 
確定日 2017-08-10 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3442138号発明「ナビゲーション装置及び方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3442138号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
特許第3442138号(以下、「本件特許」という。)は、平成6年4月28日を出願日とする出願についてのものであって、平成15年6月20日に請求項1?8に係る発明について設定登録され、その後、平成27年2月25日に請求人ガーミンリミテッドから特許無効審判が請求されたものである。以下、特許無効審判が請求された以後の経緯を整理して示す。

平成27年 2月25日 審判請求書(請求人)
平成27年 5月18日 審判事件答弁書(被請求人)
平成27年 7月10日 口頭審理陳述要領書(請求人)
平成27年 7月10日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成27年 7月24日 口頭審理
平成27年 7月24日 口頭審理陳述要領書(2)(請求人)
平成27年 7月24日 上申書(請求人)
平成27年 7月24日 上申書(被請求人)
平成27年 7月24日 上申書(2)(被請求人)
平成27年 7月28日 上申書(2)(請求人)
平成27年 8月 5日 上申書(3)(被請求人)
平成27年10月 1日 審決の予告
平成27年11月27日 訂正請求
平成28年 1月26日 審判事件弁駁書(請求人)
平成28年 2月 1日 上申書(3)(請求人)

第2 訂正請求
1.訂正請求の内容
被請求人が、平成27年11月27日付け訂正請求書で求める訂正請求の内容は、以下のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記制御手段は、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する。」とあるのを、
「前記制御手段は、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する」と訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5に
「前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なる場合に」とあるのを、
「前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に」と訂正する。

(3)訂正事項3
明細書の段落【0012】に
「前記制御手段は、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する」とあるのを、
「前記制御手段は、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する」と訂正する。

(4)訂正事項4
明細書の段落【0015】に
「前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なる場合に」とあるのを、
「前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に」と訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に
「前記誘導情報出力工程においては、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報を出力する」とあるのを、
「前記誘導情報出力工程においては、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報を出力する」と訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に
「前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力と、」とあるのを、
「前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力工程と、」と訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8に、
「前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なる場合に」とあるのを、
「前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に」と訂正する。

(8)訂正事項8
明細書の段落【0016】に
「前記誘導情報出力工程においては、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報を出力する」とあるのを、
「前記誘導情報出力工程においては、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報を出力する」と訂正する。

(9)訂正事項9
明細書の段落【0016】に
「前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力と、」とあるのを、
「前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力工程と、」と訂正する。

(10)訂正事項10
明細書の段落【0017】に
「前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なる場合に」
とあるのを、
「前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に」と訂正する。

2.訂正の適否についての当審の判断
(1)訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なる場合」について、「探索開始地点」と「誘導開始地点」とが「異なり」、「誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合」とする訂正は、「探索開始地点」と「誘導開始地点」とが、「設定された経路上」において「異なり」、また、「経由予定地点を超えた地点となる」ことを明確にし、請求項1の記載の、発明の構成に欠くことができない事項を明確にすることを目的としたものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、「探索開始地点」と「誘導開始地点」とが「異なる場合」について、「設定された経路上」という構成を付加することは、「誘導開始地点」が「設定された経路上」にあることを限定するものといえ、当該「設定された経路上」であれば、「経由予定地点」を超えるか否かは択一的な事項であるので、「経由予定地点を超えた地点となる場合」とすることも「探索開始地点」と、「誘導開始地点」とが「異なる場合」を限定するものといえ、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
本件特許の明細書には、以下の記載がある。
「【0018】
【作用】このような構成により、本願請求項1または6に記載のナビゲーション装置または方法の発明では、移動体が経路探索を開始した探索開始地点と、当該経路が設定された誘導開始地点とが異なる場合に、具体的には、探索開始地点から経路を設定するまでの間に移動体が移動することにより経路探索を行う際に用いた移動体の現在位置とは異なる位置から誘導を開始する場合に、的確に移動体の実際の現在位置に対応する経路誘導を正確に行うことができる。したがって、経路探索を開始してから、経路設定が為され、当該経路に基づいて移動体の誘導を開始するまでに、ある程度の時間を要する場合など、移動体が経路設定を開始した位置から移動したことにより、当該経路探索開始時に設定された交差点などの経由地を通過してしまうことがあっても、例えば、当該通過した経由地を経路誘導の対象から除外すれば、経路誘導を行う移動体の実際の現在位置に基づいて的確に経路誘導を行うことができる。また、本願請求項2に記載のナビゲーション装置の発明では、さらに、複数経路が探索結果として得られた場合であっても、1の経路データが選択されると、誘導情報の出力開始、例えば、音声出力の開始または誘導情報の画面表示の開始を制御することができる。」

「【0028】次に図3、図4及び図5を参照して実施例の動作を説明する。この場合において、経由地の設定、すなわち、経路データの設定はシステムコントローラ5がCD-ROMDKの記憶データに基づいて自動的に探索して設定するものとする。
【0029】入力装置11を介して、システムコントローラ5に対し、最終目的地点に対する経路データの自動設定指令が入力されると(ステップS1)、システムコントローラ5は、RAM9の走行軌跡バッファLOBから最新の軌跡データ(最新の通過地点データ)の格納位置を示す最新データポインタP_(S)(図3の例では、P_(S)=3)を記憶し、当該最新の通過地点をスタート(出発)地点P_(0)として確定する(ステップS2)。
【0030】次にシステムコントローラ5は、経由地を自動的に探索し、複数の経路データを算出する(ステップS3)。なお、経由地は手動設定も可能である。次にシステムコントローラ5は、算出した複数の経路データのうちからいずれかの経路データを操作者が入力装置11を介して選択するまで待機状態となる(ステップS4)。
【0031】操作者がいずれかの経由予定地点データ群を選択する旨の指示を入力装置11を介して与えると、選択された経路データは正式な経路データとして採用される。
【0032】この選択指示の入力タイミングにおいて、システムコントローラ5は、RAM9の走行軌跡バッファLOBから最新の軌跡データ(最新の通過地点データ)の格納位置を示す最新データポインタP_(E)(図3の例では、P_(E)=m-1)を記憶し、当該最新の通過地点Cを探索終了地点P_(X)とする(ステップS5)。
【0033】次に選択された経路データを構成する経由地番号データP_(1) ?P_(n)及び各経由地の経度・緯度データLL_(1)?LL_(n)のうちスタート地点P_(0)から探索終了地点P_(X)までの経路データ、すなわち、走行軌跡データLO_(3)?LO_(m-1)を用いて、疑似的に走行したものとみなして、目標経由地の自動更新を行い(ステップS6)、自動更新後に実際の経路誘導のためのメッセージを出力する。
【0034】より具体的には、経路データの自動設定指令を自車位置がP_(0)の地点で入力し、走行し続けて、P_(1)、P_(2)、P_(3)を経由して自車位置がP_(X)の地点に至ったときに経路データの設定が終了した場合を想定する。
【0035】この設定期間中に走行軌跡データバッファLOBに蓄えられた走行軌跡データは、ポインタP_(S)=3?ポインタP_(E)=m-1に対応する走行軌跡データLO_(3)?LO_(m-1)となる。
【0036】そこで、これらの走行軌跡データLO_(3)?LO_(m-1)を用いて、出発地点P_(0)から順次図5に実線で示すように走行したものとして目標経由地点の更新を行う。すなわち、経由地点である経由地番号P_(1)?P_(3)に対応する位置はすでに通過したとして、自車位置がCにある場合には、次の目標経由地はP_(4)に対応する地点である旨をディスプレイ17に表示し、あるいはスピーカ21から音声により操作者に伝えることとなる。」

「【0038】
【発明の効果】本願発明によれば、移動体が経路探索を開始した探索開始地点と、当該経路が設定された誘導開始地点とが異なる場合に、具体的には、探索開始地点から経路を設定するまでの間に移動体が移動して経路探索を行う際に用いた移動体の現在位置とは異なる位置から誘導を開始する場合に、的確に移動体の実際の現在位置に対応する経路誘導を正確に行うことができるしたがって、経路探索を開始してから、経路設定が為され、当該経路に基づいて移動体の誘導を開始するまでにある程度の時間を要する場合に、移動体が経路設定を開始した位置から移動し、当該経路探索開始時に設定された交差点などの経由地を通過してしまうことがあっても、例えば、当該通過した経由地を経路誘導の対象から除外すれば、経路誘導を行う移動体の誘導案内開始時の実際の現在位置に基づいて的確に経路誘導を行うことができる。」

訂正事項1の「前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合」は、上記段落【0018】、【0038】の、「具体的には、探索開始地点から経路を設定するまでの間に移動体が移動して経路探索を行う際に用いた移動体の現在位置とは異なる位置から誘導を開始する場合」の一態様といえる。
そして、段落【0028】?【0036】の記載を参照すると、
訂正事項1の「探索開始地点」は、段落【0029】の「スタート(出発)地点P_(0)」の一態様といえる。
訂正事項1の「設定された経路」は、段落【0030】、【0031】の、「経路データ」の「算出」、「選択」の一態様といえる。
訂正事項1の「誘導開始地点」は、段落【0032】の、「最新の通過地点C(探索終了地点P_(X))」の一態様といえる。
そして、訂正事項1の「前記制御手段は、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する」ことは、段落【0036】の「経由地点である経由地番号P_(1)?P_(3)に対応する位置はすでに通過したとして、自車位置がCにある場合には、次の目標経由地はP_(4)に対応する地点である旨を操作者に伝える」ことの一態様といえる。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項1は、誘導開始地点を特定したものであるから、技術的事項を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(エ)請求人の主張について
請求人は、弁駁書の「(3)訂正請求について」の「イ.構成要件G’は訂正要件を満たしていない」において、訂正事項1について概ね以下のように主張している(審決注:(i)?(iv)は、弁駁書の丸印の中の数字1?4の記号に対応する。)。
「(i)明細書の段落【0033】?【0034】には、軌跡データを利用して移動体が各経由地を通過したかを判定する処理が記載されているのみで、明細書の段落【0033】?【0034】の記載と訂正後の構成要件の用語とがどのように対応し、サポートされているのか依然として不明である(弁駁書9頁15?26行)。
(ii)「設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点」という特定事項であっても、「経路誘導を行う経由地が異なる」ことを示していることにはならない、また、少なくとも経路逸脱により1つ目の経由予定地点を経ないで経路上の点に到達する場合が除外されるように「経由予定地点を超えた地点」の判断基準が規定されていなければ、訂正後の請求項1の記載は、発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものということはできない(弁駁書10頁1?11頁6行)。
(iii)訂正は、「当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なる場合に、」の「場合に、」を削除して、「誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、」を挿入したと解釈するのが自然であり、補正前の記載から「場合に、」を削除する補正は、減縮には当たらない(弁駁書11頁7行?12頁13行)。
また、訂正後の記載では、探索開始地点と誘導開始地点とが異なることは、単に事象として存在するだけであり、「制御手段」が両地点を比較しているかどうかを曖昧にしている(弁駁書12頁14行?13頁8行)。
(iv)訂正請求に係る「通過予定地点を越えた点となる場合」の限定は、請求項1に記載された発明を却って不明確にするものである(弁駁書13頁9行?14頁6行)。」

そして、「平成27年11月27日付け提出の訂正請求書に係る各訂正は、特許法第134条の2各項に規定する訂正の要件を満たさないから、当該訂正請求は却下されるべきである(弁駁書2頁11?14行)。」と主張している。しかし、請求項1は、無効審判が申し立てられている請求項であり、(i)で主張するサポート要件は、無効理由(理由2)として判断されるべき事項であるから、訂正の要件ではなく、(ii)で主張する「設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点」という特定事項が、発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものであるか否かについては、無効理由(理由3)として判断されるべきであるから、訂正の要件ではなく、(i)、(ii)の主張は採用できない。
(iii)の主張に対し、訂正事項1が特許請求の範囲の減縮を目的としたものであることは上記「(ア)訂正の目的」で検討したとおりである。
また、(iii)では、「制御手段」についての記載が曖昧であると主張しているが、無効理由(理由3)として判断されるべき事項であるから、訂正の要件ではなく、(iii)の主張は採用できない。
(iv)の主張に対し、「通過予定地点を越えた点となる場合」の記載については、以下に述べる、「『第5 無効理由1ないし3に対する当審の判断』、『3 無効理由3:特許法第36条第5項第2号』、『(1)請求項1の記載』」で検討したとおり、その記載自体が不明確なものとはいえず、また、「通過予定地点を越えた点となる場合」の内容に関する事項は、無効理由(理由3)として判断を行う事項であるから、訂正の要件ではなく、(iv)の主張は採用できない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項1の訂正に伴い、訂正前の特許請求の範囲の請求項5における「前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なる場合」が、訂正後の請求項1の「場合」と同じ「場合」を意味することを明確にするために、「前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に」と訂正するものである。
よって、訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記(1)で検討したとおり、願書に添付した明細書、図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、請求項1の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の整合性を図るべく、明細書中で請求項1の内容につき説明する段落【0012】の記載を、同様に訂正するものである。
よって、訂正事項3は、明瞭でない記載の釈明を目的としたものである。
そして、上記(1)で検討したとおり、願書に添付した明細書、図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、請求項5の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の整合性を図るべく、明細書中で請求項5の内容につき説明する段落【0015】の記載を、同様に訂正するものである。
よって、訂正事項4は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記(1)、(2)で検討したとおり、願書に添付した明細書、図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)一群の請求項について
訂正後の請求項1?5は、訂正事項1を含む請求項1の記載を、請求項2?5がそれぞれ引用しているものであるから、当該訂正後の請求項1?5は一群の請求項である。
訂正事項1?4からなる訂正の請求は、一群の請求項ごとに訂正の請求をしたものであり、特許法第134条の2第3項の規定に適合する。

(6)訂正事項5について
(ア)訂正の目的
訂正事項5は、訂正事項1と同様に、請求項5に係る発明の記載について、発明の構成に欠くことができない事項を明確にすることを目的とし、また、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
訂正事項5は、訂正事項1と同様に、願書に添付した明細書、図面に記載した事項の範囲内のものであり、新規事項の追加に該当しない。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項5は、訂正事項1と同様に、誘導開始地点を特定したものであるから、技術的事項を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

(7)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項6に「前記誘導情報出力工程においては、」との記載があるにもかかわらず、その前に「誘導情報出力工程」の記載がなく、かつ、直前の記載が、「誘導情報を出力する誘導情報出力」となっているという、誤記に基づく記載の不備を訂正によって解消することを目的とするものである。
当該「誘導情報を出力する誘導情報出力」の記載は、「誘導情報を出力する誘導情報出力工程」の誤記であることは前後の関係から明らかといえ、「誘導情報を出力する誘導情報出力工程」と訂正することは、誤記の訂正に該当する。
そして、訂正事項6は、願書に最初に添付した明細書、図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(8)訂正事項7について
訂正事項7は、請求項6の訂正に伴い、訂正前の特許請求の範囲の請求項8における「前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なる場合」が、訂正後の請求項6の「場合」と同じ「場合」を意味することを明確にするために、「前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に」と訂正するものである。
したがって、訂正事項7は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記「(6)訂正事項5について」で検討したとおり、訂正事項7は、願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

(9)訂正事項8について
訂正事項8は、請求項6の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の整合性を図るべく、明細書中で請求項6の内容につき説明する段落【0016】の記載を、同様に訂正するものである。
よって、当該訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記「(6)訂正事項5について」で検討したとおり、訂正事項8は、願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(10)訂正事項9について
訂正事項9は、訂正事項6と同様の誤記を訂正するものである。
また、訂正事項9は、願書に最初に添付された明細書に記載された事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(11)訂正事項10について
訂正事項10は、請求項8の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の整合性を図るべく、明細書中で請求項8の内容につき説明する段落【0017】の記載を、同様に訂正するものである。
よって、当該訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記「(9)訂正事項8について」で検討したとおり、当該訂正は、願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(12)一群の請求項について
訂正後の請求項6?8は、訂正事項5、6を含む請求項6の記載を、請求項7、8がそれぞれ引用しているものであるから、当該訂正後の請求項6?8は一群の請求項である。
訂正事項5?10からなる訂正の請求は、一群の請求項ごとに訂正の請求をしたものであり、特許法第134条の2第3項の規定に適合する。

(13)よって、訂正事項1?10からなる本件訂正請求は、特許法第134条の2第1項ただし書き、及び同条第9項において準用する同法第126条第5、6項の規定に適合するので適法な訂正と認める。

第3 本件特許発明
上記「第2 訂正請求」において、本件訂正請求による訂正は適法な訂正と認められるので、本件特許の請求項1?8に係る発明は、特許請求の範囲に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである(以下、「請求項1に係る発明」を「本件特許発明1」といい、同様に「請求項2に係る発明」等を「本件特許発明2」等といい、本件特許発明1?8を総称して「本件特許発明」という。)。

【請求項1】移動体の現在位置を測定する現在位置測定手段と、
前記現在位置から経由地を含む前記移動体が到達すべき目的地までの経路設定を指示する設定指令が入力される入力手段と、
前記設定指令が入力され、経路の探索を開始する時点の前記移動体の現在位置を探索開始地点として記憶する記憶手段と、
前記記憶した探索開始地点を基に前記経路の探索を行い、当該経路を経路データとして設定する経路データ設定手段と、
前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力手段と、
前記移動体の移動に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記記憶した探索開始地点と、
当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、
誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記経路データ設定手段は、目的地に対して複数の経路を探索結果として得た場合に、前記得た複数の経路データの中から何れか1の経路データを選択する選択手段を有し、
前記選択手段によって1の前記経路データが選択されると、前記制御手段は前記誘導情報出力手段による誘導情報の出力開始を制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記探索開始地点から誘導開始地点までの前記移動体の軌跡を示す軌跡データを少なくとも取得する軌跡データ取得手段を備え、
前記制御手段は、前記取得された前記軌跡データに基づいて前記移動体の移動内容を判断するとともに、当該判断した移動内容に基づいて前記探索開始地点と前記誘導開始地点の異同を判断し、当該判断結果に基づいて前記誘導情報出力手段を制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記探索位置から誘導開始位置までの前記移動体の軌跡を示す軌跡データを少なくとも取得する軌跡データ取得手段を備え、
前記制御手段は、前記軌跡データ取得手段によって取得された前記移動体の軌跡データと、前記経路データ設定手段によって設定された前記経路データと、に基づいて前記探索開始地点と前記誘導開始地点の異同を判断し、当該判断結果に基づいて前記誘導情報出力手段を制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】請求項4に記載のナビゲーション装置において、
前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なり、
誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、
前記制御手段は、前記軌跡データ取得手段によって取得された前記軌跡データと、前記経路データ設定手段によって設定された前記経路データと、に基づいて、前記経路データに含まれる前記探索開始地点から前記誘導開始地点までに通過した経由地を検出し、当該検出した経由地を走行したものとみなして前記誘導開始地点からの前記情報出力手段を制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】移動体の現在位置を測定する現在位置測定工程と、
前記現在位置から経由地を含む前記移動体が到達すべき目的地までの経路設定を指示する設定指令を受信する受信工程と、
前記設定指令が入力され、経路の探索を開始する時点の前記移動体の現在位置を探索開始地点として記憶手段に記憶させる記憶工程と、
前記記憶した探索開始地点を基に前記経路の探索を行い、当該経路を経路データとして設定する経路データ設定工程と、
前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力工程と、
を含み、
前記誘導情報出力工程においては、
前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なり、
誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報を出力することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項7】請求項6に記載のナビゲーション方法において、
前記探索位置から誘導開始位置までの前記移動体の軌跡を示す軌跡データを少なくとも取得する軌跡データ取得工程を含み、
誘導情報出力工程においては、前記取得された前記移動体の軌跡データと、前記経路データ設定工程によって設定された前記経路データと、に基づいて前記探索開始地点と前記誘導開始地点の異同を判断し、当該判断結果に基づいて前記誘導情報を出力することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項8】請求項7に記載のナビゲーション方法において、
前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なり、
誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に
前記誘導情報出力工程においては、前記軌跡データ取得工程によって取得された前記軌跡データと、前記経路データ設定工程によって設定された前記経路データと、に基づいて、前記経路データに含まれる前記探索開始地点から前記誘導開始地点までに通過した経由地を検出し、当該検出した経由地を走行したものとみなして前記誘導開始地点から前記誘導情報を出力することを特徴とするナビゲーション方法。

第4 無効理由
1 請求人の主張する無効理由の概要
(1)無効理由1:特許法第36条第4項
本件の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件特許発明1?8の実施をすることができる程度に記載されたものとは言えないものであるから、特許法第36条第4項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第3号に該当し、無効とすべきである。(審判請求書21頁18?22行)
なお、本件出願に適用される特許法第36条の規定は、平成2年12月1日に施行された特許法に規定されるものであるが、無効理由1を以下「実施可能要件」違反ということがある。

(2)無効理由2:特許法第36条第5項第1号
本件特許請求の範囲の、請求項1?8の記載は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、特許法第36条第5項第1号の規定より特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第3号に該当し、無効とすべきである。(審判請求書21頁24行?22頁)
なお、本件出願に適用される特許法第36条の規定は、平成2年12月1日に施行された特許法に規定されるものであるが、無効理由2を以下「サポート要件」違反ということがある。

(3)無効理由3:特許法第36条第5項第2号
本件特許請求の範囲の、請求項1?8の記載は明確でないため、特許法第36条第5項第2号の規定より特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第3号に該当し、無効とすべきである。(審判請求書22頁4?6行)
なお、本件出願に適用される特許法第36条の規定は、平成2年12月1日に施行された特許法に規定されるものであるが、無効理由3を以下「明確性要件」違反ということがある。

(4)無効理由4:特許法第29条第1項第3号
本件特許発明1、3?8は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。(審判請求書22頁8?11行)

(5)無効理由5:特許法第29条第2項
本件特許発明1?8は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。(審判請求書22頁13?17行)

2 被請求人の主張の概要
(1)無効理由1ないし3について
本件特許発明の構成は明確であり、無効理由1ないし3が成り立つ余地はない。(審判事件答弁書2頁16?3頁1行)

(2)無効理由4、5について
新規性進歩性欠如の根拠とする甲第1号証、甲第2号証には、請求人が説明するような発明は記載されていない。よって、無効理由4、5には理由がない。(審判事件答弁書24頁4?7行)

3 請求人の提出した証拠方法
甲第1号証:特開昭61-216099号公報
甲第2号証:特開平5-313575号公報
甲第3号証:特開平5-164566号公報
甲第4号証:被請求人製品AVIC-510の走行実験のCD-R
甲第5号証:甲第4号証の走行実験をまとめた陳述書
甲第6号証:被請求人製品AVIC-G90の走行実験のCD-R
甲第7号証:甲第6号証の走行実験をまとめた陳述書
甲第8号証:特開平5-93631号公報
甲第9号証:特開平5-53504号公報

4 被請求人の提出した証拠方法
乙第1号証:知財高裁平成25年11月28日判決(平成25年(行ケ)10121号)
乙第2号証:知財高裁平成20年7月23日判決(平成19年(行ケ)10403号)
乙第3号証:東京地裁平成18年3月24日判決(平成16年(ワ)23600号/平成17年(ワ)24177号)
乙第4号証:知財高裁平成24年11月29日判決(平成24年(行ケ)10007号)
乙第5号証:東京地裁平成26年(ワ)25928号・原告第2準備書面
乙第6号証:東京地裁平成26年(ワ)25928号・原告第3準備書面
乙第7号証:カロッツェリア・CD-ROMナビゲーション「楽ナビ」 6機種新発売・報道資料http://pioneer.jp/corp/news/press/index/707
乙第8号証:Carrozzeria by Pioneer カーナビゲーション・カタログ'96 Vol.2 (1996年4月・抜粋)

第5 無効理由1ないし3に対する当審の判断
1 無効理由1:特許法第36条第4項
(1)本件特許発明1に係る発明の詳細な説明の記載
本件の請求項1の「前記制御手段は、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合」は、上記段落【0018】、【0038】に、「具体的には、探索開始地点から経路を設定するまでの間に移動体が移動して経路探索を行う際に用いた移動体の現在位置とは異なる位置から誘導を開始する場合」と記載される場合の一態様といえる。
そして、段落【0028】?【0036】の記載を参照すると、
請求項1の「探索開始地点」は、段落【0029】の「スタート(出発)地点P_(0)」の一態様といえる。
請求項1の「設定された経路」は、段落【0030】、【0031】の「経路データ」の「算出」、「選択」の一態様といえる。
請求項1の「誘導開始地点」は、段落【0032】の「最新の通過地点C(探索終了地点P_(X))」の一態様といえる。
そして、請求項1の「前記制御手段は、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する」ことは、段落【0036】の「経由地点である経由地番号P_(1)?P_(3)に対応する位置はすでに通過したとして、自車位置がCにある場合には、次の目標経由地はP_(4)に対応する地点である旨を操作者に伝える」ことの一態様といえる。
また、「前記制御手段は、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する」という事項を含む請求項1に係る発明は、その記載自体、当業者が容易に実施しうる程度に理解できるものであり、当然、請求項1に係る発明が記載された、本件の発明の詳細な説明の段落【0018】、【0028】?【0036】、【0038】の記載も、当業者が容易に実施しうる程度に記載されていないとする理由はない。
したがって、本件特許発明1が、本件の発明の詳細な説明に当業者が容易に実施しうる程度に記載されていないとすることはできない。

(2)本件特許発明2に係る発明の詳細な説明の記載
本件の発明の詳細な説明の記載は、本件の請求項2が引用する請求項1について、当業者がその実施をすることができる程度に記載されていないとすることはできないものであり、上記「(1)本件特許発明1に係る発明の詳細な説明の記載」で検討したと同様の理由により、本件の発明の詳細な説明の記載は、本件特許発明2を実施することができる程度に記載されていないとすることはできない。

(3)本件特許発明3、4に係る発明の詳細な説明の記載
本件の請求項3、4の記載における「前記探索開始地点と前記誘導開始地点の異同を判断」することは、引用する請求項1の「前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合」であるか否かを判断することと同義ということができる。
請求項3の記載における「軌跡データに基づいて前記移動体の移動内容」を判断すること、請求項4の記載における「前記移動体の軌跡データと、前記経路データ設定手段によって設定された前記経路データと、に基づいて」判断を行うことは、本件の発明の詳細な説明の段落【0033】?【0036】に記載された「軌跡データ」、「経路データ」に基づく判断の一態様ということができ、本件の発明の詳細な説明に記載されているものである。
そして、本件の発明の詳細な説明の段落【0033】?【0036】の記載について、当業者が容易に実施しうる程度に記載されていないとする理由はなく、本件特許発明3、4が、本件の発明の詳細な説明に当業者が容易に実施しうる程度に記載されていないとすることはできない。

(4)本件特許発明5に係る発明の詳細な説明の記載
請求項5の「前記軌跡データ取得手段によって取得された前記軌跡データと、前記経路データ設定手段によって設定された前記経路データと、に基づいて、前記経路データに含まれる前記探索開始地点から前記誘導開始地点までに通過した経由地を検出し、当該検出した経由地を走行したものとみなして前記誘導開始地点からの前記情報出力手段を制御する」ことは、本件の発明の詳細な説明の段落【0033】?【0036】の、「走行軌跡データLO_(3)?LO_(m-1)」を用いた「目標経由地点の自動更新」や「経由地点である経由地番号P_(1)?P_(3)に対応する位置はすでに通過したとして」、「次の目標経由地はP_(4)に対応する地点である旨を」「操作者に伝えること」の一態様ということができ、本件特許発明5は、本件の発明の詳細な説明の段落【0033】?【0036】に記載されているものといえる。
そして、本件の発明の詳細な説明の段落【0033】?【0036】の記載について、当業者が容易に実施しうる程度に記載されていないとする理由はなく、本件特許発明5が、本件の発明の詳細な説明に当業者が容易に実施しうる程度に記載されていないとすることはできない。

(5)本件特許発明6?8に係る発明の詳細な説明の記載
本件の請求項6?8は、それぞれ、請求項1、4及び5に対応し、方法として記載されたものであり、本件の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件特許発明1、4、5の実施をすることができる程度に記載されていないとすることはできないから、本件の発明の詳細な説明の記載が、当業者が本件特許発明6?8を容易に実施をすることができる程度に記載されていないとすることはできない。

(6)まとめ
本件の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件特許発明1?8を容易に実施をすることができる程度に記載されていないとすることはできないから、特許法第36条第4項の規定を満たしていないとすることはできない。

2 無効理由2:特許法第36条第5項第1号
(1)請求項1の記載
上記「1 無効理由1:特許法第36条第4項」、「(1)本件特許発明1に関する発明の詳細な説明の記載」で検討したように、本件の請求項1の記載は、発明の詳細な説明に記載されているといえる。
また、本件の請求項1の「前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合」との記載が、発明の詳細な説明に記載されている事項から導き出せる範囲を超えたものであるとすることもできない。
したがって、本件特許発明1が、発明の詳細な説明に記載されていないとすることはできない。

(2)請求項2?5の記載
上記「1 無効理由1:特許法第36条第4項」、「(2)本件特許発明2に関する発明の詳細な説明の記載」、「(3)本件特許発明3、4に関する発明の詳細な説明の記載」、「(4)本件特許発明5に関する発明の詳細な説明の記載」で検討したように、本件特許発明2?5は、発明の詳細な説明に記載されているといえる。
また、本件特許発明2?5が、発明の詳細な説明に記載されている事項から導き出せる範囲を超えたものであるとすることもできない。
したがって、本件特許発明2?5が、発明の詳細な説明に記載されていないとすることはできない。

(3)請求項6?8の記載
請求項6?8の記載は、それぞれ請求項1、4及び5の記載に対応する方法の発明としての記載であり、本件特許発明1、4及び5が、発明の詳細な説明に記載されていないとすることはできないものであるから、本件特許発明6?8についても、発明の詳細な説明に記載されていないとすることはできない。

(4)まとめ
本件特許発明1?8が、発明の詳細な説明に記載されていないとすることはできないから、特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されていないとすることはできない。

3 無効理由3:特許法第36条第5項第2号
(1)請求項1の記載
(1-1)請求項1の「前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合」について
請求項1の「前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合」は、「誘導開始地点が異なる」と共に、「設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる」ことが記載されており、発明の構成に欠くことができない事項のみが記載されていないとすることはできない。

(1-2)「誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御」する場合の「基づいて」について
本件の発明の詳細な説明の記載も参照すれば、「誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御」することは、「移動体の誘導開始地点を基準として誘導情報出力手段を制御」することを意味することは明らかであり、当該記載が特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。

請求項1の記載は、発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものでないということはできないから、特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。

なお、請求人は、訂正請求に対する弁駁書において、「設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点」という特定事項は、「経路誘導を行う経由地が異なる」ことを示していることにはならないと主張しているが、設定された経路上の、経路誘導の対象である経由地を超えているのであるから、次の経由地を経路誘導の対象とすることは明らかであり、「経路誘導を行う経由地が異なる」ことは明らかといえる。
また、少なくとも経路逸脱により1つ目の経由予定地点を経ないで経路上の点に到達する場合が除外されるように「経由予定地点を超えた地点」の判断基準が規定されていなければ、訂正後の請求項1の記載は、発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものということはできないとも主張するが、一旦「経路逸脱」を生じるような事が考えられるとしても、設定された経路上にいれば、経路誘導を行うことが可能であることは明らかといえ、一旦経路逸脱をした場合を除外しなければならないということはできない。

(2)請求項2の記載
「前記選択手段によって1の前記経路データが選択されると、前記制御手段は前記誘導情報出力手段による誘導情報の出力開始を制御する」の記載について
請求項2には、「経路データが選択される」ことにより、「誘導情報出力手段による誘導情報の出力開始を制御する」ことについて記載され、請求項2で引用する請求項1には「誘導開始に基づいて」「誘導情報出力手段を制御する」ことが記載されている。
請求項2の「誘導情報の出力開始を制御」するの記載が、引用する請求項1の「誘導情報出力手段を制御する」という記載と矛盾するものではなく、不明なものとすることはできない。
よって、請求項2の記載は特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。

(3)請求項3、4の記載
請求項3、4の「前記探索開始地点と前記誘導開始地点の異同」を判断することは、引用する請求項1の「前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合」であるか否かを判断することと実質的に同様の判断を行うものと認めることができる。
請求項3、4の記載で引用する、請求項1の「前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合」が、特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないとすることはできないことは、先に検討したとおりである。
同様の理由により、請求項3、4の記載は特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。

(4)請求項5の記載
「前記誘導開始地点からの前記情報出力手段を制御する」について
請求人は、請求項5の「前記誘導開始地点からの前記情報出力手段を制御する」との記載の、「前記誘導開始地点からの前記情報出力手段」とは何を指すのか文意が不明であり、それにより発明が明瞭でない旨主張しているが、請求項5の「前記誘導開始地点からの前記情報出力手段を制御する」は、引用する請求項1の「前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する」と同じ制御をするものであることは明らかであるから、請求項5の記載は特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。

(5)請求項6?8の記載
請求項6?8に係る発明は、それぞれ請求項1、4及び5に係る発明に対応する方法の発明である。
請求項1、4及び5の記載が特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないとすることはできず、請求項6?8の記載も特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。

(6)まとめ
請求項1?8の記載は、特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。

第6 無効理由4、5に対する当審の判断
1 甲号証記載事項および甲号証記載発明
(1)甲第1号証の記載事項(下線部は当審により付与した。)
ア.「<発明の目的>
この発明は、係る問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、始端交差点まで逆戻りしたり、おるいは走行経路を再設定することなく、最寄りの進路案内が可能な交差点から、目的地へと車両を誘導させることができる車両用経路誘導装置を提供することにある。
<発明の構成>
この発明は、上記の目的を達成するため、第1図に示すように、検索手段a、案内手段bを設けている。
すなわち、検索手段aは、設定経路上の各登録交差点の中で、現在地点から最短距離にある登録交差点を求める。
案内手段bは、経路誘導開始指令に応答して、前記求められた最短距離交差点を出発交差点として、設定経路情報に基づき進路案内を開始する。」(1頁右下欄16行?2頁左上欄12行)

イ.「第2図は、この発明の一実施例に係る車両用経路誘導装置の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、この経路誘導装置は演算装置12およびメモリ13を主体とするマイクロコンピュータ構成の演算部11を中心として構成され、この演算部11の入力側には、走行距離センサ14および方位センサ15の各出力に基づいて現在位置を検出する現在位置検出回路16、現在地および目的地入力用の設定装置17、地図データ記憶装置18、復帰スイッチ21が接続されている。
演算部11の出力側には、表示情報信号を一時記憶する表示記憶装置19を介して画像表示用の表示装置(CRT等)20が接続されている。」 (2頁左上欄18行?右上欄11行)

ウ.「走行経路の設定にあたっては、設定装置17を操作して自車両の現在地である出発地および最終行先地となる目的地を設定する処理を行ない(ステップ101)、次に出発地に近い交差点の中から出発交差点を、また目的地に近い交差点の中から目的交差点をそれぞれ選択し(ステップ102)、次にその交差点間を結ぶ最短経路を自動検索して経路設定処理を終了する(ステップ103)。
以後、本発明の要部に係る出発交差点方向表示処理(ステップ104)へ移行する。
以下にこの出発交差点方向表示処理の詳細を第5図のフローチャートおよび第6図の表示画面説明図を参照しつつ説明する。
演算部11のメモリ13内には、交差点カウンタ値Nの値で指定される一連の交差点番号エリアが設けられ、各エリアには出発交差点と目的交差点との間を結ぶ設定経路上に存在する途中交差点の番号が順に記憶されている。
今仮に、出発地(この例では、実際の出発地が含まれるであろう方形領域の中心座標を仮の出発地としている)の座標を(X_(S),Y_(S))、現在地(この例では後述のステップ400で求まる)の座標を(X,Y)、またカウンタNの値で定まる設定経路26上の交差点座標を(X_(N),Y_(N))とする。
この状態でプログラムがスタートすると、まず出発交差点22までの距離に対する距離比較対象交差点として、カウンタ値N=0に対応して出発交差点22の次の交差点24が選択される(ステップ1041)。
次いで、現在地(X,Y)と出発交差点(X_(S),Y_(S))との距離と、現在地(X,Y)と比較対象交差点(X_(N),Y_(N))との距離とが大小比較され(ステップ1042)、出発交差点までの距離の方が短いと判定されるときには(ステップ1042肯定)、カウンタ値Nを+1ずつ更新させつつ(ステップ1043)、出発交差点から数えて2番目、3番目、4番目・・・の各交差点について同様に出発交差点25との距離比較が行なわれる。
そして、カウンタ値N=9に対応して第10番目(必要に応じて増減可)の交差点までの中に出発交差点よりも近いものがなければ(ステップ1044肯定)、カウンタをクリアした後(ステップ1045)、当初設定された出発交差点25がそのまま出発交差点と認識され、その方向が第6図に示す如く表示画面の左上隅に自動車図形と矢印状セグメントを用いて表示され、運転者に対して出発交差点に対する進路方位情報として与えられる。
他方、第10番目の交差点まで距離比較を行なう間に、出発交差点よりも近い交差点が存在すると(ステップ1042否定)、その交差点の座標(X_(N),Y_(N))が出発交差点の座標(X_(S),Y_(S))と置き換えられ、これにより当該交差点が出発交差点として新たに設定される(ステップ1047)。そして、新たに設定された出発交差点の方向が同様にして表示される(ステップ1046)。
以後、このようにして設定された出発交差点に対して300m以内にまで接近する間、以上の表示処理(ステップ104)が繰り返され、この結果第10番目までの交差点の中で常に最短距離にある交差点が出発交差点として設定され、かつその方向が表示され続けることになる。
次いで、このようにして設定された出発交差点に対して300m以内にまで接近すると、表示画面上には当該出発交差点に対する現在進入路とこれから抜け出すための出発路との位置関係が、画面上方を車両進行方向とする交差点図形を用いて案内表示される(ステップ106)。
この状態において、スタートスイッチが押されれば(ステップ107肯定)、以後上述の処理で設定された出発交差点を用いて進路案内表示が行なわれる。
従って、画面上の方位案内に従って走行すれば、常に出発交差点に到達することができるはずであり、仮に道に迷ったりして当初設定された出発交差点に到達できずとも、実際に到達した交差点が登録交差点である限りは、そこでスタートスイッチを押しさえすれば誤りなくその交差点から進路案内を開始させることができ、当初の出発交差点まで逆戻りしたりあるいは経路を最初から設定しなおす等の煩わしさから解放される。」(2頁左下欄20行?3頁右下欄1行)

エ.「次に、経路誘導のための進路案内表示処理、走行軌路表示処理、現在位置修正処理等について概略的に説明する。
ステップ(201)では出発交差点の座標(X_(S)、Y_(S))が演算装置12の演算初期値(X_(0),Y_(0))としてセットされる。
セット後、現在位置検出回路6の検出出力による所定距離(ΔD)走行ごとの割込み発生のたびに、1つ前の走行地点に対するX方向座標およびY方向座標を逐次算出し、この算出した座標位置をバッファメモリ供給してプロットする(ステップ202,400)。
割込みによる中断時以外は、最新に通過した出発交差点を基準として誘導経路上の2つ先の交差点番号を読出し、さらに地図データ記憶装置18から次の交差点までの区間距離D、次の交差点の位置座標(Xn、Yn)、次の交差点への入方位および出方位を読込む(ステップ203,204)。
次に、次の交差点におけるリセット方位すなわち入方位と出方位の中間のリセット方位、検定円A、B、およびエラーゾーンを計算し(ステップ205)、地図およびバッファメモリにプロットされた走行軌跡を表示記憶装置19を介して表示装置20に表示する(ステップ206)。
ここで、検定円Aは交差点を直進する場合に使用し、検定円Bは交差点を左折または右折する場合に使用するものであって、第7図に一例を示す。
すなわち、第7図に示すように出発交差点71から道程距離D_(1)に第1の交差点72があり、ざらに第1の交差点72から道程距離D_(2)の位置に第2の交差点73があるとする。
この場合、第1の交差点72を直進するときには、第1の交差点72を中心として定める検定円A74を使用することになり、第1の交差点72を左折または右折するときには、同心とした検定円B75を使用することになる。また、第1の交差点72を直進した後、第2の交差点73を左折するときには交差点73を中心として定める検定円B76を使用することになる。
また、検定円A、Bから外れた場合を検知するため、図示の如く、エラーゾーン77を定める。
ただし、検定円Aの半径=交差点間の距離D×所定の係数α、検定円Bの半径=交差点間の距離D×所定の係数βであって、βは、方位センサと走行距離センサとによる最大誤差比により決定され、また、αはβの1/3程度のものである。
そして、次の交差点が目的交差点である場合には、表示装置に例えば「次は目的地」というコメントを表示する(ステップ207,208)。
目的交差点でない場合には、次の交差点を直進するかまたは直進せずに折曲するかをチェックする(ステップ209)。
自車両が次の交差点を直進する場合にあっては、検定円Aに自車両が進入したことを検出するフラグFLGを“0”にリセット後(ステップ210)、検定円Aに基づき直進時における交差点検索処理(ステップ211?214)と、交差点通過処理(ステップ215)とを行なって、現在位置(X、Y)の修正を行い、同時に積算距離を0にクリアする(ステップ216)。
以後、次の交差点を通過交差点として置き換えて誘導交差点を1つ先に進め(ステップ217)、ステップ(203)に戻る。
なお、自車両が検定円A内に存在していない場合(ステップ211否定)にあっては、検定円Aに進入したことがある場合(ステップ218“1”)には、直進時の補正処理を行ない(ステップ218?220)、ステップ(217)を経てステップ(203)へと戻る。
検定円に進入したことがない場合(ステップ218“0”)には、自車両がエラーゾーン内に存在しているかをチェックし、エラーゾーン内にあれば(ステップ221肯定)、表示装置20に「ルートエラー」というコメントを表示する(ステップ222)。
エラーゾーン外でおれば、設定装置17に設けたクリアキー(図示せず)がオンである場合には、なんらかの間違いであり車両誘導が実行不能である場合であるので、ステップ(101)に戻り最初からやり直す(ステップ223)。また、そのクリアキーがオフのままであれば、ステップ(210)に戻り、前記直進時の動作を繰り返す。
一方、自車両が次の交差点を折曲する場合にあっては(ステップ209否定)、自車両が検定円Bに進入したときに(ステップ301否定)、通過交差点を手前にして次の交差点の形状を表示する(ステップ302)。そして、検定円Bに進入したことに基づき、折曲中における交差点検索処理(ステップ303?309)と、交差点通過処理(ステップ310)とを行なって現在位置(X、Y)を修正し、同時に積算距離を0にクリアし(ステップ311)、ステップ(217)を経てステップ(203)へと戻る。」(3頁右下欄2行?4頁右下欄15行)

摘記事項ウ.には、出発交差点と目的交差点の間の最短経路を検索して経路設定処理を行うこと、設定経路上に存在する途中交差点に関する番号を記憶させていることが示されている。また、出発交差点、目的交差点、途中交差点等の各交差点の位置が、座標値等として記憶されることは明らかといえる。
したがって、甲第1号証に示される車両用経路誘導装置は、出発交差点と目的交差点の間の最短経路を検索して経路設定処理を行うとともに、これにより得られた設定経路上に存在する途中交差点の位置や番号を記憶させる処理手段を、経路設定のための手段として備えるものといえる。

摘記事項ウ.の「現在地(X,Y)と出発交差点(X_(S),Y_(S))との距離と、現在地(X,Y)と比較対象交差点(X_(N),Y_(N))との距離とが大小比較され(ステップ1042)」、「カウンタ値Nを+1ずつ更新させつつ(ステップ1043)、・・・・出発交差点から数えて2番目、3番目、4番目・・・の各交差点について同様に出発交差点25との距離比較が行なわれ」、「カウンタ値N=9に対応して第10番目(必要に応じて増減可)の交差点まで」とされる動作は、「現在地と出発交差点との距離と、現在地と途中交差点との距離とが、出発交差点から数えて所定番号の途中交差点まで比較され」るものといえる。

摘記事項エ.には「経路誘導のための進路案内表示処理 ・・・略・・・ 等について概略的に説明する。」、「検定円Bは交差点を左折または右折する場合に使用するものであって、第7図に一例を示す。 ・・・略・・・第2の交差点73を左折するときには交差点73を中心として定める検定円B76を使用することになる。」、「自車両が次の交差点を折曲する場合にあっては(ステップ209否定)、自車両が検定円Bに進入したときに(ステップ301否定)、通過交差点を手前にして次の交差点の形状を表示する(ステップ302)。」と記載されており、「経路誘導のための進路案内表示」として、「自車両の現在位置と途中交差点に基づいて、通過交差点を手前にして次の交差点の形状を表示する」ことを行うものといえる。

上記摘記事項ア.?エ.の記載事項、及び、甲第1号証の図面を参照すると、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明1」、「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。

甲1発明1
「走行距離センサおよび方位センサの各出力に基づいて自車両の現在位置を検出する現在位置検出回路と、
設定装置に自車両の現在位置である出発地および最終行先地となる目的地が入力されると、出発地に近い交差点の中から出発交差点を、また目的地に近い交差点の中から目的交差点がそれぞれ選択され、出発交差点と目的交差点の間の最短経路を検索して経路上に存在する途中交差点の位置や番号を記憶させる経路設定処理を行う手段と、
自車両の現在位置と上記記憶させた途中交差点に基づいて、通過交差点を手前にして次の交差点の形状を表示する、経路誘導のための進路案内表示を行う表示装置と、
自車両の現在位置と出発交差点との距離と、自車両の現在位置と途中交差点との距離とが、出発交差点から数えて所定番号の途中交差点まで比較され、出発交差点よりも近いものがなければ、当初設定された出発交差点がそのまま出発交差点と認識され、他方、出発交差点よりも近い途中交差点が存在すると、その途中交差点の座標が出発交差点の座標と置き換えられ、新たに出発交差点として設定され、スタートスイッチを押すことにより、設定された出発交差点から進路案内表示を開始させる手段を有する車両用経路誘導装置。」

甲1発明2
「走行距離センサおよび方位センサの各出力に基づいて自車両の現在位置を検出する現在位置検出工程と、
設定装置に自車両の現在位置である出発地および最終行先地となる目的地が入力されると、出発地に近い交差点の中から出発交差点を、また目的地に近い交差点の中から目的交差点がそれぞれ選択され、出発交差点と目的交差点の間の最短経路を検索して経路上に存在する途中交差点の位置や番号を記憶させる経路設定処理を行う工程と、
自車両の現在位置と上記記憶させた途中交差点に基づいて、通過交差点を手前にして次の交差点の形状を表示する、経路誘導のための進路案内表示を行う表示工程と、
自車両の現在位置と出発交差点との距離と、自車両の現在位置と途中交差点との距離とが、出発交差点から数えて所定番号の途中交差点まで比較され、出発交差点よりも近いものがなければ、当初設定された出発交差点がそのまま出発交差点と認識され、他方、出発交差点よりも近い途中交差点が存在すると、その途中交差点の座標が出発交差点の座標と置き換えられ、新たに出発交差点として設定され、スタートスイッチを押すことにより、設定された出発交差点から進路案内表示を開始させる工程を有する車両用経路誘導方法。」

(2)甲第2号証の記載事項
ア.「【0004】ところで、車載ナビゲータには、地図データを用いて出発地から所望地までを結ぶ最適な誘導経路を探索して、誘導経路データを誘導経路メモリに記憶しておき、経路誘導モードでの走行中、誘導経路メモリに記憶された誘導経路データを用いて画面に所定の経路誘導情報を表示し(誘導経路を特定色で太く表示したり、車両の進行方向前方に存在する交差点での進路案内を表示したりする)、出発地から所望地まで所定の経路誘導を行うようにした経路誘導機能を持ったものがある。かかる経路誘導機能によれば、画面に表示された経路誘導情報に従って走行するだけで、行楽やビジネスなどの際に、所望地に容易、かつ、確実に到達することができる。」

イ.「【0022】18は走行中に車両の存在しているリンクを検出する存在リンク検出部であり、バッファメモリ11に格納された地図データと、自車位置データ及び車両方位データを参照して、走行中の道路上で進行方向前方の一番車両寄りに存在するノード(前方ノード)と、走行中の道路上で進行方向後方の一番車両寄りに存在するノード(後方ノード)を求める。19は走行中に車両が誘導経路から外れたかチェックする誘導経路外れ検出部であり、存在リンク検出部で検出された前方ノードと後方ノードの両方またはいずれか一方が誘導経路メモリの現在経路誘導に用いられているノード列中に存在しなくなったかチェックすることで、誘導経路外れの検出を行う。
【0023】20は第1距離計算部であり、車両が誘導経路外れを起こしていないときに、誘導経路メモリ17の内、現在経路誘導に用いている誘導経路データと、自車位置データ及び車両方位データとから、車両が現在向かっている経由地を特定し、かつ、該経由地と自車位置間の距離を計算し、誘導経路探索部16へ出力する。21は通過判定部であり、車両が誘導経路外れを起こしていないときに、存在リンク検出部で検出された後方ノードが誘導経路メモリ17の内、現在経路誘導に用いている誘導経路データ中の経由地と一致したとき、経由地通過と判定する。」

ウ.「【0041】車両が誘導経路から外れることなく、第1経由地Aを通過し、存在リンク検出部18で検出した後方ノードが第1経由地と一致すると、通過判定部21は第1経由地を通過したと判定し(ステップ405でYES)、このとき、経由地メモリ15の第1経由地Aに対応する通過識別フラグを立てたあと(図8のステップ501)、まだ通過していない経由地が2以上あるか判定し(ステップ502)、ここではYESなのでフラグMFを反転して1とする(ステップ503)。そして、図7のステップ406に戻る。よって、その後は、誘導経路メモリ17の1側の誘導経路データに基づき、第1経由地Aから第3経由地Cまでを対象として強調誘導経路の表示と交差点案内画像の表示がなされることになり、運転者はこれらの経路案内により、第2経由地B、第3経由地Cに容易に到達することができるようになる。」

上記摘記事項ア.?ウ.の記載事項、及び、甲第2号証の図面を参照すると、甲第2号証には以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

甲2発明
「出発地から所望地までを結ぶ誘導経路を探索して、誘導経路データを誘導経路メモリに記憶しておき、経路誘導モードでの走行中、誘導経路メモリに記憶された誘導経路データを用いて画面に所定の経路誘導情報を表示し、経路誘導を行うようにした車載ナビゲータにおいて、
地図データと、自車位置データ及び車両方位データを参照して、走行中の道路上で進行方向前方の一番車両寄りに存在するノード(前方ノード)と、走行中の道路上で進行方向後方の一番車両寄りに存在するノード(後方ノード)を求める存在リンク検出部と、
車両が誘導経路外れを起こしていないときに、存在リンク検出部で検出された後方ノードが誘導経路メモリの内、現在経路誘導に用いている誘導経路データ中の経由地と一致したとき、経由地通過と判定する通過判定部とを有し、
車両が誘導経路から外れることなく、第1経由地Aを通過し、存在リンク検出部で検出した後方ノードが第1経由地と一致すると、通過判定部は第1経由地を通過したと判定し、その後は、誘導経路メモリに記憶された誘導経路データに基づき、第1経由地Aからの誘導経路の表示を行うようにした車載ナビゲータ。」

(3)甲第3号証の記載事項
ア.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画面に写し出された道路地図上に設定された出発点から目的地に到るまでの経路を探索して車両の走行案内を行わせる車両走行案内装置に関する。」

イ.「【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、デジタル地図データにもとづいて、道路地図上に設定された出発点から目的地に到るまでの線分のコストを最小にする経路を探索して車両の走行案内を行わせる際、交通事情などからして最適な経路を任意に選択することができるように、線分のコストを最小にする経路を順位をもって複数探索する手段と、そのうちの1つの経路を任意に選択する入力手段とをとるようにしている。
【0008】その際、単に、探索された複数候補の経路を画面に写し出された道路地図上に同時に表示させるのでは、各経路が入り組んだりして非常に見にくいものになってしまって、どの経路を選択してよいのかわからなくなってしまうので、特に本発明では、探索された複数候補の経路を順位をもって視認性良く道路地図上に表示して、最適経路の選択を容易かつ確実に行わせることができるようにしている。」

上記摘記事項ア.イ.の記載事項、及び、甲第3号証の図面を参照すると、甲第3号証には以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

甲3発明
経路を複数探索する手段と、探索された複数候補の経路を視認性良く道路地図上に表示して、選択を行わせることができるようにした、車両走行案内装置。

2 本件特許発明1について
(1)本件特許発明1と甲1発明1との対比
本件特許発明1(ここで、「前者」という。)と、甲1発明1(ここで、「後者」という。)とを対比する。

後者の「自車両の現在位置」は、前者の「移動体の現在位置」に相当する。

後者の「走行距離センサおよび方位センサの各出力に基づいて自車両の現在位置を検出する現在位置検出回路」は、前者の「移動体の現在位置を測定する現在位置測定手段」に相当する。

後者の「最終行先地となる目的地」は、前者の「移動体が到達すべき目的地」に相当する。

後者の「自車両の現在位置である出発地および最終行先地となる目的地が入力される」、「設定装置」と、前者の「前記現在位置から経由地を含む前記移動体が到達すべき目的地までの経路設定を指示する設定指令が入力される入力手段」とを比較すると、「現在位置と前記移動体が到達すべき目的地とが入力される入力手段」という概念において一致する。

後者の「最短経路を検索して経路上に存在する途中交差点の位置や番号を記憶させる経路設定処理を行う手段」と、前者の「前記経路の探索を行い、当該経路を経路データとして設定する経路データ設定手段」とを比較すると、「経由すべき道路を探し、データとして設定するデータ設定手段」という概念において一致する。

後者の「自車両の現在位置と上記記憶させた途中交差点に基づいて、通過交差点を手前にして次の交差点の形状を表示する、経路誘導のための進路案内表示を行う表示装置」と、前者の「前記移動体の現在位置と前記設定されたデータとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力手段」とを比較すると、「前記移動体の現在位置と前記設定されたデータとに基づいて前記移動体を誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力手段」という概念において一致する。

後者の「現在地と出発交差点との距離と、現在地と途中交差点との距離とが、出発交差点から数えて所定番号の途中交差点まで比較され、出発交差点よりも近いものがなければ、当初設定された出発交差点がそのまま出発交差点と認識され、他方、出発交差点よりも近い途中交差点が存在すると、その途中交差点の座標が出発交差点の座標と置き換えられ、新たに出発交差点として設定され、スタートスイッチを押すことにより、設定された出発交差点から進路案内表示を開始させる手段」という構成は、自車両の移動により、経路の探索を開始する時点の出発交差点よりも近い途中交差点が進路案内表示を開始させる時点(スタートスイッチを押す時点)で存在するか否かの判断を行った上で、進路案内表示を開始させるものであるから、「自車両の移動に基づいて進路案内表示を行う表示装置を制御する制御手段」であると共に、「進路案内開始地点からの自車両の進路案内開始に基づいて進路案内表示を行う表示装置を制御する制御手段」ということができる。
ここで後者の「現在地と出発交差点との距離と、現在地と途中交差点との距離とが、出発交差点から数えて所定番号の途中交差点まで比較され、出発交差点よりも近いものがなければ、当初設定された出発交差点がそのまま出発交差点と認識され、他方、出発交差点よりも近い途中交差点が存在すると、その途中交差点の座標が出発交差点の座標と置き換えられ、新たに出発交差点として設定され、スタートスイッチを押すことにより、設定された出発交差点から進路案内表示を開始させる手段」と、前者の「前記移動体の移動に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する」態様とを比較すると、「前記移動体の移動に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する制御手段、を備え、前記制御手段は、誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する」という概念において一致する。

後者の「車両用経路誘導装置」は、前者の「ナビゲーション装置」に相当する。

したがって、本件特許発明1と、甲1発明1とは、以下の点で一致及び相違する。
[一致点]
移動体の現在位置を測定する現在位置測定手段と、
前記現在位置と前記移動体が到達すべき目的地が入力される入力手段と、
経由すべき道路を探し、データとして設定するデータ設定手段と、
前記移動体の現在位置と前記設定されたデータとに基づいて前記移動体を誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力手段と、
前記移動体の移動に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御するナビゲーション装置。

[相違点1]
「入力手段」に関し、本件特許発明1の「入力手段」は、「現在位置から経由地を含む移動体が到達すべき目的地までの経路設定を指示する」のに対し、甲1発明1の「設定装置」は、「自車両の現在位置である出発地および最終行先地となる目的地が入力される」が、入力される出発地および目的地が、そのまま経路設定として指示されるものではなく、また経由地を含む指示を行うものではない点。
[相違点2]
「データ設定手段」に関し、本件特許発明1は、「前記設定指令が入力され、経路の探索を開始する時点の前記移動体の現在位置を探索開始地点として記憶する記憶手段と、前記記憶した探索開始地点を基に前記経路の探索を行い、当該経路を経路データとして設定する経路データ設定手段」であるのに対し、甲1発明1は、「出発地に近い交差点の中から出発交差点を、また目的地に近い交差点の中から目的交差点がそれぞれ選択され、出発交差点と目的交差点の間の最短経路を検索して経路上に存在する途中交差点の位置や番号を記憶させる経路設定処理を行う手段」である点。
[相違点3]
「誘導情報出力手段」に関し、本件特許発明1は、「前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する」手段であるのに対し、甲1発明1は、「自車両の現在位置と上記記憶させた途中交差点に基づいて、通過交差点を手前にして次の交差点の形状を表示する、経路誘導のための進路案内表示を行う表示装置」である点。
[相違点4]
「前記移動体の移動に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する」ことに関し、本件特許発明1は、「記憶した探索開始地点と、移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する」ものであるのに対し、甲1発明1は、「自車両の現在位置と出発交差点との距離と、自車両の現在位置と途中交差点との距離とが、出発交差点から数えて所定番号の途中交差点まで比較され、出発交差点よりも近いものがなければ、当初設定された出発交差点がそのまま出発交差点と認識され、他方、出発交差点よりも近い途中交差点が存在すると、その途中交差点の座標が出発交差点の座標と置き換えられ、新たに出発交差点として設定され、スタートスイッチを押すことにより、設定された出発交差点から進路案内表示を開始させる」点。

(2)本件特許発明1についての判断
[相違点1]、[相違点2]、[相違点3]について検討する。
甲1発明1は、現在地および目的地入力用の設定装置に、自車両の現在地である出発地および最終行先地となる目的地を設定すると、出発地に近い交差点の中から選択される出発交差点と、目的地に近い交差点の中から選択される目的交差点との間の最短経路が検索され、経路上に存在する途中交差点が誘導のためのデータとして設定され、通過した交差点を手前にして、次の交差点の形状を表示することを経路誘導のための進路案内表示とするものであって、進路案内の対象はあくまでも「交差点」であり、次の交差点をどのように通過したらよいかを示すことを「経路誘導」のための表示とするものであり、「交差点」以外に「経路」に関するデータを有していないものである。
これに対し、本件特許発明1は、現在位置から経由地を含む移動体が到達すべき目的地までの経路設定が行われ、当該経路を経路データとして設定し、移動体の現在位置と設定された前記経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力するものである。
そうすると、本件特許発明1は、「経路」に関するデータとして、交差点以外の情報を「経路データ」として有し、「経路誘導」についても、経路上に設定された交差点を一つずつ順次案内するような動作に限定されずに「経路データ」に基づく案内を行う点において、本件特許発明1の「経路」や「経路誘導」は、甲1発明1の「経路」や「経路誘導」と異なるものといえる。
甲1発明1は、交差点以外の案内対象を設定するものではないから、甲1発明1において、本件特許発明1のごとく「現在位置から経由地を含む移動体が到達すべき目的地まで」を「経路」として設定することは、当業者が容易になし得たものとすることはできない。
また、甲1発明1は、「移動体を目的地まで経路誘導する」ことはないから、本件特許発明1のごとく、「移動体を目的地まで経路誘導する」ことはできず、甲1発明1を「移動体を目的地まで経路誘導する」ようにすることは当業者が容易になし得たものとすることはできない。

[相違点4]について検討する。
甲1発明1は、誘導開始指令を与えないまま、次の途中交差点に接近した場合に出発交差点の設定を行うものであるのに対し、本件特許発明1は、記憶した探索開始地点と、移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御するものである。
甲1発明1が、移動体の現在位置を誘導開始地点とすることはなく、本件特許発明1のごとく、記憶した探索開始地点と、移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合を判断するものとすることは、甲1発明1から容易になし得たものとすることはできない。

したがって、本件特許発明1は、[相違点1]ないし[相違点4]の相違から見て、甲1発明1と実質的に同じ発明ということはできないし、甲1発明1から容易に想到することができた発明ということもできない。
なお、甲1発明1に、経由地の判定に関する甲2発明に示された技術的事項、また、複数経路からの選択に関する甲3発明に示された技術的事項を適用しても、本件特許発明1の構成を導くことはできない。

3 本件特許発明2ないし5について
本件特許発明2ないし5は、本件特許発明1を引用する発明であって、本件特許発明1に対して更に発明特定事項を付加したものであり、本件特許発明1が、甲1発明1から当業者が容易に発明し得たものではない以上、本件特許発明1に対して更に発明特定事項を付加した本件特許発明2ないし5も、甲1発明1から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。
なお、甲1発明1に、甲2発明、また、甲3発明の技術的事項を適用しても、本件特許発明2ないし5の構成を導くことはできない。

4 本件特許発明6について
(1)本件特許発明6と甲1発明2との対比
本件特許発明6(ここで、「前者」という。)と、甲1発明2(ここで、「後者」という。)とを対比する。

後者の「自車両の現在位置」は、前者の「移動体の現在位置」に相当する。

後者の「走行距離センサおよび方位センサの各出力に基づいて現在位置を検出する現在位置検出工程」は、前者の「移動体の現在位置を測定する現在位置測定工程」に相当する。

後者の「最終行先地となる目的地」は、前者の「移動体が到達すべき目的地」に相当する。

後者の「設定装置に自車両の現在位置である出発地および最終行先地となる目的地が入力される」ことと、前者の「前記現在位置から経由地を含む前記移動体が到達すべき目的地までの経路設定を指示する設定指令を受信する受信工程」とを比較すると、「現在位置と前記移動体が到達すべき目的地とが入力される工程」という概念において一致する。

後者の「最短経路を検索して経路上に存在する途中交差点の位置や番号を記憶させる経路設定処理を行う工程」と、前者の「前記経路の探索を行い、当該経路を経路データとして設定する経路データ設定工程」とを比較すると、「経由すべき道路を探し、データとして設定するデータ設定工程」という概念において一致する。

後者の「自車両の現在位置と上記記憶させた途中交差点に基づいて、通過交差点を手前にして次の交差点の形状を表示する、経路誘導のための進路案内表示を行う表示工程」と、前者の「前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力工程」とを比較すると、「前記移動体の現在位置と前記設定されたデータとに基づいて前記移動体を誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力工程」という概念において一致する。

後者の「現在地と出発交差点との距離と、現在地と途中交差点との距離とが、出発交差点から数えて所定番号の途中交差点まで比較され、出発交差点よりも近いものがなければ、当初設定された出発交差点がそのまま出発交差点と認識され、他方、出発交差点よりも近い途中交差点が存在すると、その途中交差点の座標が出発交差点の座標と置き換えられ、新たに出発交差点として設定され、スタートスイッチを押すことにより、設定された出発交差点から進路案内表示を開始させる工程」と、前者の「前記誘導情報出力工程においては、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報を出力する」態様とを比較すると、「誘導情報出力工程においては、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する」という概念において一致する。

後者の「車両用経路誘導方法」は、前者の「ナビゲーション方法」に相当する。

したがって本件特許発明6と、甲1発明2とは、以下の点で一致及び相違する。
[一致点]
移動体の現在位置を測定する現在位置測定工程と、
前記現在位置と前記移動体が到達すべき目的地とが入力される工程と、
探索を行いデータとして設定するデータ設定工程と、
前記移動体の現在位置と前記設定されたデータとに基づいて前記移動体を誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力工程と、
誘導情報出力工程においては、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報を出力するナビゲーション方法。

[相違点1’]
「入力される工程」に関し、本件特許発明6は、「前記現在位置から経由地を含む前記移動体が到達すべき目的地までの経路設定を指示する設定指令を受信する受信工程」であるのに対し、甲1発明2は「設定装置に自車両の現在位置である出発地および最終行先地となる目的地が入力される」工程である点。
[相違点2’]
「データ設定工程」に関し、本件特許発明6は、「前記設定指令が入力され、経路の探索を開始する時点の前記移動体の現在位置を探索開始地点として記憶する記憶手段と、前記記憶した探索開始地点を基に前記経路の探索を行い、当該経路を経路データとして設定する経路データ設定工程」であるのに対し、甲1発明2は、「出発地に近い交差点の中から出発交差点を、また目的地に近い交差点の中から目的交差点がそれぞれ選択され、出発交差点と目的交差点の間の最短経路を検索して経路上に存在する途中交差点の位置や番号を記憶させる経路設定処理を行う工程」である点。
[相違点3’]
「誘導情報出力」に関し、本件特許発明6は、「前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力」であるのに対し、甲1発明2は、「自車両の現在位置と上記記憶させた途中交差点に基づいて、通過交差点を手前にして次の交差点の形状を表示する、経路誘導のための進路案内表示を行う表示」である点。
[相違点4’]
「誘導情報出力工程」に関し、本件特許発明1は、「前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する」ものであるのに対し、甲1発明1は、「自車両の現在位置と出発交差点との距離と、自車両の現在位置と途中交差点との距離とが、出発交差点から数えて所定番号の途中交差点まで比較され、出発交差点よりも近いものがなければ、当初設定された出発交差点がそのまま出発交差点と認識され、他方、出発交差点よりも近い途中交差点が存在すると、その途中交差点の座標が出発交差点の座標と置き換えられ、新たに出発交差点として設定され、スタートスイッチを押すことにより、設定された出発交差点から進路案内表示を開始させる工程」である点。


(2)本件特許発明6についての判断
[相違点1’]、[相違点2’]、[相違点3’]について検討する。
甲1発明2は、現在地および目的地入力用の設定装置に、自車両の現在地である出発地および最終行先地となる目的地を設定すると、出発地に近い交差点の中から選択される出発交差点と、目的地に近い交差点の中から選択される目的交差点との間の最短経路が検索され、経路上に存在する途中交差点が誘導のためのデータとして設定され、通過した交差点を手前にして、次の交差点の形状を表示することを経路誘導のための進路案内表示とするものであって、進路案内の対象はあくまでも「交差点」であり、次の交差点をどのように通過したらよいかを示すことを「経路誘導」のための表示とするものであり、「交差点」以外に「経路」に関するデータを有していないものである。
これに対し、本件特許発明6は、現在位置から経由地を含む移動体が到達すべき目的地までの経路設定が行われ、当該経路を経路データとして設定し、移動体の現在位置と設定された前記経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力するものである。
そうすると、本件特許発明6は、「経路」に関するデータとして、交差点以外の情報を「経路データ」として有し、「経路誘導」についても、経路上に設定された交差点を一つずつ順次案内するような動作に限定されず、「経路データ」に基づく案内を行う点において、本件特許発明6の「経路」や「経路誘導」は、甲1発明2の「経路」や「経路誘導」と異なるものといえる。
甲1発明2は、交差点以外の案内対象を設定するものではないから、甲1発明2において、本件特許発明6のごとく、「現在位置から経由地を含む移動体が到達すべき目的地まで」を「経路」として設定することは、当業者が容易になし得たものとすることはできない。
また、甲1発明2は、「移動体を目的地まで経路誘導する」ことはないから、本件特許発明6のごとく、「移動体を目的地まで経路誘導する」ことはできず、甲1発明2を「移動体を目的地まで経路誘導する」ようにすることは当業者が容易になし得たものとすることはできない。

[相違点4’]について検討する。
甲1発明2は、誘導開始指令を与えないまま、次の途中交差点に接近した場合に出発交差点の設定を行うものであるのに対し、本件特許発明6は、記憶した探索開始地点と、移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御するものである。
甲1発明2が、移動体の現在位置を誘導開始地点とすることはなく、本件特許発明6のごとく、記憶した探索開始地点と、移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合を判断するものとすることは、甲1発明2から容易になし得たものとすることはできない。

したがって、本件特許発明6は、[相違点1’]ないし[相違点4’]の相違から見て、甲1発明2と実質的に同じ発明とすることはできない。
また、甲1発明2から容易に想到することができた発明とすることもできない。
なお、甲1発明2に、経由地の判定に関する甲2発明に示された技術的事項、また、複数経路からの選択に関する甲3発明に示された技術的事項を適用しても、本件特許発明6の構成を導くことはできない。

5 本件特許発明7、8について
本件特許発明7、8は、本件特許発明6を引用する発明であって、本件特許発明6に対して更に発明特定事項を付加したものであり、本件特許発明6が、甲1発明2から当業者が容易に発明し得たものではない以上、本件特許発明6に対して更に発明特定事項を付加した本件特許発明7、8も、甲1発明2から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。
なお、甲1発明2に、甲2発明、また、甲3発明の技術的事項を適用しても、本件特許発明7、8の構成を導くことはできない。

6 まとめ
本件特許発明1、3?8は、その出願前に日本国内において頒布された甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。
本件特許発明1?8は、その出願前に日本国内において頒布された甲第1号証に記載された発明から容易に発明することができたものとすることはできず、また、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証、甲第3号証に記載された技術的事項を適用することにより容易に発明することができたものとすることもできない。

第7 むすび
本件の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件特許発明1?8を容易に実施をすることができる程度に記載されていないとすることはできないから、請求項1?8に係る発明の特許は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない出願についてされたものではない。

本件特許発明1?8は、発明の詳細な説明に記載されていないとすることはできないから、請求項1?8に係る発明の特許は、特許法第36条第5項第1号の規定に違反した特許ではない。

本件の請求項1?8に係る発明の記載は、発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものでないとすることはできないから、請求項1?8に係る発明の特許は、特許法第36条第5項第2号の規定に違反した特許ではない。

本件特許発明1、3?8は、その出願前に日本国内において頒布された甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。

本件特許発明1?8は、その出願前に日本国内において頒布された甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証、甲第3号証に記載された技術的事項を適用することにより容易に発明をすることができたものとすることはできない。

したがって、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件特許発明1?8に係る特許を無効にすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条2項の規定で準用する民事訴訟法第64条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ナビゲーション装置及び方法
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はナビゲーション装置及び方法に係り、特に予め設定した経路データを用いて経路誘導を行うナビゲーション装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、例えば自動車、航空機、船舶等の各種の移動体のための測位装置として、いわゆる自立型のナビゲーション装置が知られている。この自立型ナビゲーション装置は、方位センサからの方位データと速度センサからの速度データから移動体の二次元的変位(ベクトル量)を求め、この二次元的変位を基準点に積算して現在位置を求めるものである。すなわち、例えば自動車の場合では、ドライブシャフトが1回転する間に発生するパルス数が予め設定されており、基準点から現在位置までに発生した総パルス数から算出した距離に距離補正係数を乗じて走行距離が求められていた。
【0003】また、人工衛星を利用した測位装置としてGPS(Global Positioning System)型ナビゲーション装置が開発されている。このGPS型ナビゲーション装置は、通常3個以上のGPS衛星から電波を受信し、各GPS衛星と受信点との間の受信機の時刻オフセットを含んだ疑似距離データ、および各GPS衛星の位置データより受信点の現在位置を算出し、算出された現在位置が含まれる地図データを情報処理装置が地図データ記憶装置から読出し、データを取込み、取込まれた地図データと現在位置の情報とから画面データを作成し、表示装置に送って画像表示を行うよう構成されている。この画像によりユーザである自動車ドライバ等は自己の現在位置を地図と関連して把握することができる。
【0004】上記ナビゲーション装置はいずれの場合も、現在位置および目標位置は表示装置の画面上に地図にオーバーラップさせて視覚により認識させるようにしたものである。
【0005】上記従来のナビゲーション装置では、例えば、次のような動作を行う。いま、図6を参照して、移動体である自車がスタート地点P_(0)’から最終目的地点P_(n)に向かうものとする。
【0006】自車位置がスタート地点P_(0)’にあるときに、操作者が経由地点を自動的に設定する旨の指示をナビゲーション装置に与えると、予め設定されたアルゴリズムに基づいてナビゲーション装置は、図6に示す経由予定地点P_(1)’、P_(2)’、P_(3)’、…、P_(n)’を算出する。
【0007】そして、経由予定地点の算出が終了すると、ナビゲーション装置は求めた経由予定地点P_(1)’から順番に経由予定地点P_(n)’までの経由予定地点に基づいて経路誘導を行うためのメッセージを出力する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のナビゲーション装置においては、経路探索中に走行していた場合等のように探索終了時に自車位置がいくつかの経由地をすでに通過しているような場合であっても最初に通過すべき経由予定地点P_(1)’を目標経由地点としてメッセージを出力することとなっていた。
【0009】このため、経由予定地点設定終了のタイミングにおいて、経由予定地点P_(1)’、P_(2)’、P_(3)’をすでに自車が通過し自車位置がC_(1)であったとすると、経由予定地点P_(1)’、P_(2)’、P_(3)’を通過してきたにもかかわらず、ナビゲーション装置は、次の目標経由地点はP_(1)’地点である旨のメッセージを出力してしまうこととなっていた。
【0010】従って、このような誤ったメッセージを出力した場合、過った方向へ経路誘導されたり、操作者が当該位置をすでに通過したことを認識して、当該メッセージをキャンセルする等の動作を行わなければならず、操作性が低下するという問題点があった。
【0011】そこで、本発明の目的は、通過すべき経由予定地点の設定中にすでにそれらの経由予定地点のいずれかを通過してしまった場合でも、正しい経路誘導を行えるように経路誘導メッセージを伝達するナビゲーション装置及び方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に記載のナビゲーション装置の発明は、移動体の現在位置を測定する現在位置測定手段と、前記現在位置から経由地を含む前記移動体が到達すべき目的地までの経路設定を指示する設定指令が入力される入力手段と、前記設定指令が入力され、経路の探索を開始する時点の前記移動体の現在位置を探索開始地点として記憶する記憶手段と、前記記憶した探索開始地点を基に前記経路の探索を行い、当該経路を経路データとして設定する経路データ設定手段と、前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力手段と、前記移動体の移動に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御することを特徴としている。
【0013】また、請求項2に記載のナビゲーション装置の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記経路データ設定手段は、目的地に対して複数の経路を探索結果として得た場合に、前記得た複数の経路データの中から何れか1の経路データを選択する選択手段を有し、前記選択手段によって1の前記経路データが選択されると、前記制御手段は前記誘導情報出力手段による誘導情報の出力開始を制御することを特徴としている。
【0014】更にまた、請求項3に記載のナビゲーション装置の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記探索開始地点から誘導開始地点までの前記移動体の軌跡を示す軌跡データを少なくとも取得する軌跡データ取得手段を備え、前記制御手段は、前記取得された前記軌跡データに基づいて前記移動体の移動内容を判断するとともに、当該判断した移動内容に基づいて前記探索開始地点と前記誘導開始地点の異同を判断し、当該判断結果に基づいて前記誘導情報出力手段を制御することを特徴としている。また、請求項4に記載のナビゲーション装置の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記探索位置から誘導開始位置までの前記移動体の軌跡を示す軌跡データを少なくとも取得する軌跡データ取得手段を備え、前記制御手段は、前記軌跡データ取得手段によって取得された前記移動体の軌跡データと、前記経路データ設定手段によって設定された前記経路データと、に基づいて前記探索開始地点と前記誘導開始地点の異同を判断し、当該判断結果に基づいて前記誘導情報出力手段を制御することを特徴としている。
【0015】またさらに、請求項5に記載のナビゲーション装置の発明は、請求項4に記載のナビゲーション装置において、前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記制御手段は、前記軌跡データ取得手段によって取得された前記軌跡データと、前記経路データ設定手段によって設定された前記経路データと、に基づいて、前記経路データに含まれる前記探索開始地点から前記誘導開始地点までに通過した経由地を検出し、当該検出した経由地を走行したものとみなして前記誘導開始地点からの前記情報出力手段を制御することを特徴としている。
【0016】上記課題を解決するために、請求項6に記載のナビゲーション方法の発明は、移動体の現在位置を測定する現在位置測定工程と、前記現在位置から経由地を含む前記移動体が到達すべき目的地までの経路設定を指示する設定指令を受信する受信工程と、前記設定指令が入力され、経路の探索を開始する時点の前記移動体の現在位置を探索開始地点として記憶手段に記憶させる記憶工程と、前記記憶した探索開始地点を基に前記経路の探索を行い、当該経路を経路データとして設定する経路データ設定工程と、前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力工程と、を含み、前記誘導情報出力工程においては、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報を出力することを特徴としている。
【0017】また、請求項7に記載のナビゲーション方法の発明は、請求項6に記載のナビゲーション方法において、前記探索位置から誘導開始位置までの前記移動体の軌跡を示す軌跡データを少なくとも取得する軌跡データ取得工程を含み、誘導情報出力工程においては、前記取得された前記移動体の軌跡データと、前記経路データ設定工程によって設定された前記経路データと、に基づいて前記探索開始地点と前記誘導開始地点の異同を判断し、当該判断結果に基づいて前記誘導情報を出力することを特徴としている。更にまた、請求項8に記載のナビゲーション方法の発明は、請求項7に記載のナビゲーション方法において、前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なり、誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導情報出力工程においては、前記軌跡データ取得工程によって取得された前記軌跡データと、前記経路データ設定工程によって設定された前記経路データと、に基づいて、前記経路データに含まれる前記探索開始地点から前記誘導開始地点までに通過した経由地を検出し、当該検出した経由地を走行したものとみなして前記誘導開始地点から前記誘導情報を出力することを特徴としている。
【0018】
【作用】このような構成により、本願請求項1または6に記載のナビゲーション装置または方法の発明では、移動体が経路探索を開始した探索開始地点と、当該経路が設定された誘導開始地点とが異なる場合に、具体的には、探索開始地点から経路を設定するまでの間に移動体が移動することにより経路探索を行う際に用いた移動体の現在位置とは異なる位置から誘導を開始する場合に、的確に移動体の実際の現在位置に対応する経路誘導を正確に行うことができる。したがって、経路探索を開始してから、経路設定が為され、当該経路に基づいて移動体の誘導を開始するまでに、ある程度の時間を要する場合など、移動体が経路設定を開始した位置から移動したことにより、当該経路探索開始時に設定された交差点などの経由地を通過してしまうことがあっても、例えば、当該通過した経由地を経路誘導の対象から除外すれば、経路誘導を行う移動体の実際の現在位置に基づいて的確に経路誘導を行うことができる。また、本願請求項2に記載のナビゲーション装置の発明では、さらに、複数経路が探索結果として得られた場合であっても、1の経路データが選択されると、誘導情報の出力開始、例えば、音声出力の開始または誘導情報の画面表示の開始を制御することができる。
【0019】また、本願請求項3、4または7に記載のナビゲーション装置または方法の発明では、探索開始地点から誘導開始地点までの前記移動体の軌跡を示す軌跡データを少なくとも取得することができるので、探索開始地点から経路を設定するまでの間に移動体が移動することにより、経路探索を行う際に用いた移動体の現在位置とは異なる位置から誘導を開始するまでにある程度の時間を要する場合など、移動体が経路探索を開始した位置から移動し、当該経路設定時に設定された交差点などの経由地を通過してしまうことがあっても、例えば、当該通過した経由地を経路誘導の対象から除外すれば、経路誘導を行う移動体の実際の現在位置に基づいて的確に経路誘導を行うことができる。また、本願請求項5または8に記載のナビゲーション装置または方法の発明では、さらに、移動体の軌跡データに基づいて移動体が既に通過した経由地を検出することができ、当該通過した経由地を除外することにより、移動体の誘導開始までに通過した経由地を走行したものとみなして前記情報出力手段を制御することができる。
【0020】
【実施例】次に図面を参照して本発明の好適な実施例を説明する。図1に本発明を車載用ナビゲーションシステムに適用した場合の基本構成を示すブロック図を示す。
【0021】この車載用ナビゲーションシステムは、自車の進行方向の方位データを出力する地磁気センサ1と、自車の回転時の角速度を検出し角速度データを出力する角速度センサ2と、シャフトの回転数を検出し積分することにより走行距離データを出力する走行距離センサ3と、GPS衛星からの電波を受信してGPS測位データを出力するGPSレシーバ4と、方位データ、角速度データ、走行距離データおよびGPS測位データに基づいて、ナビゲーションシステム全体の制御を行うシステムコントローラ5と、各種データを入力するための入力装置11と、システムコントローラ5の制御下でCD-ROMディスクDKから各種データを読出し、出力するCD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)ドライブ12と、システムコントローラ5の制御下で各種表示データを表示する表示ユニット13と、システムコントローラ5の制御下で各種音声データを再生し出力する音響再生ユニット18と、を備えて構成されている。
【0022】システムコントローラ5は、外部とのインターフェース動作を行うインターフェース部6と、システムコントローラ5全体を制御するCPU7と、システムコントローラを制御する制御プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)8と、図示しない不揮発性メモリ部を有し、各種データを書込み可能に格納するRAM(Random Access Memory)9と、を備えており、入力装置11、CD-ROMドライブ12、表示ユニット13および音響再生ユニット18とは、バスライン10を介して接続されている。
【0023】表示ユニット13は、バスライン10を介して送られるCPU7からの制御データに基づいて表示ユニット全体の制御を行うグラフィックコントローラ14と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ15と、グラフィックコントローラ14から出力される画像データに基づいて液晶表示装置、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ17を表示制御する表示制御部16と、を備えて構成されている。
【0024】音響再生ユニット18は、CD-ROMドライブ12もしくはRAM9からバスライン10を介して送られる音声デジタルデータのデジタル/アナログ変換を行うD/Aコンバータ19と、D/Aコンバータ19から出力される音響アナログ信号を増幅する増幅器20と、増幅された音響アナログ信号を音響振動に変換して出力するスピーカ21と、を備えて構成されている。
【0025】RAM9内には、図2に示すような当該移動体の経路データを格納することが可能である。この経路データB_(1)?B_(n)は、移動体の運転者かまたはナビゲーション装置の操作者がマニュアル設定してもよいし、自動設定してもよい。
【0026】経路データは、経由地設定数データnで示されるn個の経由地にブロック分けされており、各ブロックB_(1)?B_(n)には、その経由地を識別するための経由地番号データP_(1)?P_(n)及び各経由地の経度・緯度データLL_(1)?LL_(n)等が格納されている。
【0027】また、RAM9内には、所定時間間隔毎に方位データ、角速度データ、走行距離データおよびGPS測位データに基づいて、軌跡データ(実際の通過地点データ:当該タイミングにおける緯度、経度データ)LO_(1)?LO_(m)をポインタ(1?m)に対応づけて記憶するための走行軌跡バッファ領域LOBが設けられている。なお、この走行軌跡バッファ領域LOBは、リングバッファ構造となっており、順次新しい走行軌跡データにより更新される。次に更新される走行軌跡データの格納位置の指定については、ポインタを用いる。
【0028】次に図3、図4及び図5を参照して実施例の動作を説明する。この場合において、経由地の設定、すなわち、経路データの設定はシステムコントローラ5がCD-ROMDKの記憶データに基づいて自動的に探索して設定するものとする。
【0029】入力装置11を介して、システムコントローラ5に対し、最終目的地点に対する経路データの自動設定指令が入力されると(ステップS1)、システムコントローラ5は、RAM9の走行軌跡バッファLOBから最新の軌跡データ(最新の通過地点データ)の格納位置を示す最新データポインタP_(S)(図3の例では、P_(S)=3)を記憶し、当該最新の通過地点をスタート(出発)地点P_(0)として確定する(ステップS2)。
【0030】次にシステムコントローラ5は、経由地を自動的に探索し、複数の経路データを算出する(ステップS3)。なお、経由地は手動設定も可能である。次にシステムコントローラ5は、算出した複数の経路データのうちからいずれかの経路データを操作者が入力装置11を介して選択するまで待機状態となる(ステップS4)。
【0031】操作者がいずれかの経由予定地点データ群を選択する旨の指示を入力装置11を介して与えると、選択された経路データは正式な経路データとして採用される。
【0032】この選択指示の入力タイミングにおいて、システムコントローラ5は、RAM9の走行軌跡バッファLOBから最新の軌跡データ(最新の通過地点データ)の格納位置を示す最新データポインタP_(E)(図3の例では、P_(E)=m-1)を記憶し、当該最新の通過地点Cを探索終了地点P_(X)とする(ステップS5)。
【0033】次に選択された経路データを構成する経由地番号データP_(1)?P_(n)及び各経由地の経度・緯度データLL_(1)?LL_(n)のうちスタート地点P_(0)から探索終了地点P_(X)までの経路データ、すなわち、走行軌跡データLO_(3)?LO_(m-1)を用いて、疑似的に走行したものとみなして、目標経由地の自動更新を行い(ステップS6)、自動更新後に実際の経路誘導のためのメッセージを出力する。
【0034】より具体的には、経路データの自動設定指令を自車位置がP_(0)の地点で入力し、走行し続けて、P_(1)、P_(2)、P_(3)を経由して自車位置がP_(X)の地点に至ったときに経路データの設定が終了した場合を想定する。
【0035】この設定期間中に走行軌跡データバッファLOBに蓄えられた走行軌跡データは、ポインタP_(S)=3?ポインタP_(E)=m-1に対応する走行軌跡データLO_(3)?LO_(m-1)となる。
【0036】そこで、これらの走行軌跡データLO_(3)?LO_(m-1)を用いて、出発地点P_(0)から順次図5に実線で示すように走行したものとして目標経由地点の更新を行う。すなわち、経由地点である経由地番号P_(1)?P_(3)に対応する位置はすでに通過したとして、自車位置がCにある場合には、次の目標経由地はP_(4)に対応する地点である旨をディスプレイ17に表示し、あるいはスピーカ21から音声により操作者に伝えることとなる。
【0037】上述したように、本実施例によれば、走行軌跡を用いて、すでに経路データ設定中に通過してしまった可能性のある地点の走行を再現しているため、実際に自車が走行した場合と全く同一の条件で、実際の経路データ設定終了地点における経路誘導メッセージを表示しあるいは音声で告知できるため、過った経路誘導が行われることがなくなる。
【0038】
【発明の効果】本願発明によれば、移動体が経路探索を開始した探索開始地点と、当該経路が設定された誘導開始地点とが異なる場合に、具体的には、探索開始地点から経路を設定するまでの間に移動体が移動して経路探索を行う際に用いた移動体の現在位置とは異なる位置から誘導を開始する場合に、的確に移動体の実際の現在位置に対応する経路誘導を正確に行うことができるしたがって、経路探索を開始してから、経路設定が為され、当該経路に基づいて移動体の誘導を開始するまでにある程度の時間を要する場合に、移動体が経路設定を開始した位置から移動し、当該経路探索開始時に設定された交差点などの経由地を通過してしまうことがあっても、例えば、当該通過した経由地を経路誘導の対象から除外すれば、経路誘導を行う移動体の誘導案内開始時の実際の現在位置に基づいて的確に経路誘導を行うことができる。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】移動体の現在位置を測定する現在位置測定手段と、
前記現在位置から経由地を含む前記移動体が到達すべき目的地までの経路設定を指示する設定指令が入力される入力手段と、
前記設定指令が入力され、経路の探索を開始する時点の前記移動体の現在位置を探索開始地点として記憶する記憶手段と、
前記記憶した探索開始地点を基に前記経路の探索を行い、当該経路を経路データとして設定する経路データ設定手段と、
前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力手段と、
前記移動体の移動に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記記憶した探索開始地点と、
当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり、
誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記経路データ設定手段は、目的地に対して複数の経路を探索結果として得た場合に、前記得た複数の経路データの中から何れか1の経路データを選択する選択手段を有し、
前記選択手段によって1の前記経路データが選択されると、前記制御手段は前記誘導情報出力手段による誘導情報の出力開始を制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記探索開始地点から誘導開始地点までの前記移動体の軌跡を示す軌跡データを少なくとも取得する軌跡データ取得手段を備え、
前記制御手段は、前記取得された前記軌跡データに基づいて前記移動体の移動内容を判断するとともに、当該判断した移動内容に基づいて前記探索開始地点と前記誘導開始地点の異同を判断し、当該判断結果に基づいて前記誘導情報出力手段を制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記探索位置から誘導開始位置までの前記移動体の軌跡を示す軌跡データを少なくとも取得する軌跡データ取得手段を備え、
前記制御手段は、前記軌跡データ取得手段によって取得された前記移動体の軌跡データと、前記経路データ設定手段によって設定された前記経路データと、に基づいて前記探索開始地点と前記誘導開始地点の異同を判断し、当該判断結果に基づいて前記誘導情報出力手段を制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】請求項4に記載のナビゲーション装置において、
前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なり、
誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に
前記制御手段は、前記軌跡データ取得手段によって取得された前記軌跡データと、前記経路データ設定手段によって設定された前記経路データと、に基づいて、前記経路データに含まれる前記探索開始地点から前記誘導開始地点までに通過した経由地を検出し、当該検出した経由地を走行したものとみなして前記誘導開始地点からの前記情報出力手段を制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】移動体の現在位置を測定する現在位置測定工程と、
前記現在位置から経由地を含む前記移動体が到達すべき目的地までの経路設定を指示する設定指令を受信する受信工程と、
前記設定指令が入力され、経路の探索を開始する時点の前記移動体の現在位置を探索開始地点として記憶手段に記憶させる記憶工程と、
前記記憶した探索開始地点を基に前記経路の探索を行い、当該経路を経路データとして設定する経路データ設定工程と、
前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力工程と、
を含み、
前記誘導情報出力工程においては、
前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なり、
誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報を出力することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項7】請求項6に記載のナビゲーション方法において、
前記探索位置から誘導開始位置までの前記移動体の軌跡を示す軌跡データを少なくとも取得する軌跡データ取得工程を含み、
誘導情報出力工程においては、前記取得された前記移動体の軌跡データと、前記経路データ設定工程によって設定された前記経路データと、に基づいて前記探索開始地点と前記誘導開始地点の異同を判断し、当該判断結果に基づいて前記誘導情報を出力することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項8】請求項7に記載のナビゲーション方法において、
前記探索開始地点と、前記誘導開始地点とが異なり、
誘導開始地点が、設定された経路上の、経由予定地点を超えた地点となる場合に
前記誘導情報出力工程においては、前記軌跡データ取得工程によって取得された前記軌跡データと、前記経路データ設定工程によって設定された前記経路データと、に基づいて、前記経路データに含まれる前記探索開始地点から前記誘導開始地点までに通過した経由地を検出し、当該検出した経由地を走行したものとみなして前記誘導開始地点から前記誘導情報を出力することを特徴とするナビゲーション方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-03-03 
結審通知日 2016-03-08 
審決日 2016-03-24 
出願番号 特願平6-91282
審決分類 P 1 113・ 851- YAA (G01C)
P 1 113・ 121- YAA (G01C)
P 1 113・ 113- YAA (G01C)
P 1 113・ 537- YAA (G01C)
P 1 113・ 536- YAA (G01C)
P 1 113・ 852- YAA (G01C)
P 1 113・ 853- YAA (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐々木 芳枝仲村 靖  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 藤井 昇
矢島 伸一
登録日 2003-06-20 
登録番号 特許第3442138号(P3442138)
発明の名称 ナビゲーション装置及び方法  
代理人 小林 浩  
代理人 佐長 功  
代理人 佐長 功  
代理人 辛川 力太  
代理人 小林 浩  
代理人 加藤 志麻子  
代理人 ▲高▼橋 隼人  
代理人 加藤 志麻子  
代理人 矢口 太郎  
代理人 辛川 力太  
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