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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1332652
審判番号 不服2016-12633  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-22 
確定日 2017-10-10 
事件の表示 特願2012-109745「半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月28日出願公開、特開2013-239479、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年5月11日の出願であって、平成27年3月17日付けで拒絶理由が通知され、同年5月18日付けで手続補正がなされたが、同年10月14日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年12月17日付けで手続補正がなされたが、当該手続補正について平成28年5月16日付けで補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月22日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ、同年11月17日付けで上申書が提出され、平成29年5月19日付けで審尋がなされたのに対して、同年7月21日付けで回答書が提出されたものである。

第2 平成28年5月16日付けの補正の却下の決定及び原査定の概要
1.補正の却下の決定の概要
平成28年5月16日付けの補正の却下の決定の概要は以下のとおりである。
平成28年12月17日付けの補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるが、当該補正後の本願請求項1ないし5に係る発明は、引用文献1、3ないし6に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、独立特許要件を満たさないから、平成28年12月17日付けの補正は却下すべきものである。

引用文献等一覧
1,特開2009-267071号公報
2.国際公開第2011/087119号
3.特開2003-68794号公報
4.特開2009-16780号公報
5.特開平11-17105号公報
6.米国特許第5012322号明細書

2.原査定の概要
原査定(平成28年5月16日付けの拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1ないし5に係る発明は、上記引用文献1ないし5に基づいて、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第3 平成28年8月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであって、本件補正の前に、

「 【請求項1】
リードフレームと、
該リードフレームにおける共通の一面上に配置される複数の半導体素子と、を有し、
前記半導体素子は、
前記リードフレームの厚さ方向において、両面に電極を有する両面電極素子と、
前記両面電極素子の駆動を制御する制御ICと、を含み、
前記両面電極素子は、前記一面と対向する面に形成された電極が、無鉛はんだ、または、導電性接着材を介して、前記リードフレームと電気的に接続され、
前記制御ICは、
チップ部と、
該チップ部のうち、前記リードフレームと対向する対向面の全面に配置され、均一の厚さとされる絶縁層と、を有し、
前記無鉛はんだの融点、または、前記導電性接着材の耐熱温度よりも、硬化温度の低い絶縁性接着材を介して、前記絶縁層と前記一面とが接続され、
前記絶縁性接着材は、そのすべてが前記チップ部と前記絶縁層との接合面よりも前記リードフレーム側に形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記絶縁層は、ポリイミド系樹脂、または、ポリベンゾオキサゾール系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁層は、二酸化ケイ素を主成分とし、アルカリ元素を含有するガラスからなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記両面電極素子は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記両面電極素子は、パワーMOSFETであることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の半導体装置。


とあったところを、

「 【請求項1】
リードフレームと、
該リードフレームにおける共通の一面上に配置される複数の半導体素子と、を有し、
前記半導体素子は、
前記リードフレームの厚さ方向において、両面に電極を有する両面電極素子と、
前記両面電極素子の駆動を制御する制御ICと、を含み、
前記両面電極素子は、前記一面と対向する面に形成された電極が、無鉛はんだ、または、導電性接着材を介して、前記リードフレームと電気的に接続され、
前記制御ICは、
チップ部と、
該チップ部のうち、前記リードフレームと対向する対向面の全面に配置され、均一の厚さとされる絶縁層と、を有し、
前記無鉛はんだの融点よりも、または、前記導電性接着材の耐熱温度よりも、硬化温度の低い絶縁性接着材を介して、前記絶縁層と前記一面とが接続され、
前記絶縁性接着材は、そのすべてが前記チップ部と前記絶縁層との接合面よりも前記リードフレーム側において、前記無鉛はんだよりも、または、前記導電性接着材よりも、薄く形成され、前記絶縁層のうち、前記接合面とは反対の面のみに接触していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記絶縁層は、ポリイミド系樹脂、または、ポリベンゾオキサゾール系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁層は、二酸化ケイ素を主成分とし、アルカリ元素を含有するガラスからなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記両面電極素子は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記両面電極素子は、パワーMOSFETであることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の半導体装置。


とするものである。なお、下線は審判請求人が補正箇所を明示するために付したものである。

本件補正の補正事項は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「絶縁性接着材」について、「前記絶縁性接着材は、そのすべてが前記チップ部と前記絶縁層との接合面よりも前記リードフレーム側において、前記無鉛はんだよりも、または、前記導電性接着材よりも、薄く形成され、前記絶縁層のうち、前記接合面とは反対の面のみに接触している」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。

そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1ないし5に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。

第4 本願発明
本願請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものである。

第5 引用例及びその記載事項
1.引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-267071号公報(以下、「引用例1」という。)には、「半導体装置」について、図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。

(ア)「【0012】
本発明の半導体装置は、スイッチング素子と、前記スイッチング素子を制御する制御素子とを備え、前記スイッチング素子と前記制御素子とは同一のアイランドに実装され、前記スイッチング素子は導電性固着材を介して前記アイランドに実装され、前記制御素子は、裏面に貼着された絶縁シートおよび絶縁性固着材を介して、前記アイランドに実装されることを特徴とする。」

(イ)「【0014】
図1を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10の構成を説明する。図1(A)は半導体装置10を示す平面図であり、図1(B)は図(A)のB-B’線に於ける断面図であり、図1(C)は図1(A)に示す半導体装置をリード14側から見た平面図である。
【0015】
図1(A)を参照して、半導体装置10は、アイランド12と、アイランド12の上面に実装されたスイッチング素子18および制御素子20と、外部接続端子として機能するリード14と、これらを一体的に被覆して機械的に支持する封止樹脂16とを主要に備えた構成となっている。」

(ウ)「【0018】
スイッチング素子18としては、裏面に主電極を備えた半導体素子であり、具体的には、MOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、バイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が採用される。スイッチング素子18としてMOSFETが採用された場合は、裏面にドレイン電極が形成され、バイポーラトランジスタが採用された場合は裏面にコレクタ電極が形成される。更に、本実施の形態では、例えば電源回路が半導体装置10に内蔵されるので、スイッチング素子18としては、例えば1A以上の大電流のスイッチングを行うパワー系の半導体素子(パワー素子)が採用される。本実施の形態では、一例として、MOSFETがスイッチング素子18として採用され、下面のドレイン電極が導電性接着材を介してアイランド12の上面に接続され、上面のゲート電極は金属細線21を経由して制御素子20と接続され、上面のソース電極は複数の金属細線21を経由してリード14Aと接続される。そして、制御素子20から供給される制御信号に基づいて、スイッチング素子18はスイッチング動作を行う。
【0019】
制御素子20は、スイッチング素子18のスイッチングを制御する回路が表面に形成されたLSIである。制御素子20は、後述するように絶縁シートおよび絶縁性接着材を介してアイランド12に絶縁された状態で固着され、上面の電極は金属細線21を経由してリード14やスイッチング素子18と接続されている。具体的には、制御素子20は、スイッチング素子18、リード14A、14B、14D、14Eと、金属細線21を経由して接続されている。また、制御素子20は、リード14が整列する方向に対して、スイッチング素子18よりもアイランド12の中央部に配置されている。即ち、リード14が整列する紙面上の横方向に対して、スイッチング素子18はアイランド12の左端付近に配置され、制御素子20は中央部付近に配置されている。この様にすることで、金属細線21による制御素子20とリード14A等との接続が容易になる利点がある。即ち、金属細線21を互いに交差させずに形成することができる。」

(エ)「【0022】
図2を参照して、制御素子20がアイランド12に実装される構造を説明する。図2(A)はスイッチング素子18および制御素子20が実装される構造を示す断面図であり、図2(B)および図2(C)は制御素子20が実装される構造を拡大して示す断面図である。
【0023】
図2(A)を参照して、上記したように、アイランド12の上面には、スイッチング素子18と制御素子20とが実装されており、スイッチング素子18はロウ材24を介して実装され、制御素子20は絶縁シート26および絶縁性固着材28を介して実装されている。上記したように、裏面に主電極を備えたスイッチング素子18は、導電性固着材であるロウ材24や導電性ペーストを介して実装される必要がある。
【0024】
一方、図2(B)を参照して、裏面が電極として用いられない制御素子20は、裏面に貼着された絶縁シート26と、アイランド12の上面に塗布された絶縁性固着材28を介して実装されている。換言すると、制御素子20の固着に用いられる固着材は、絶縁シート26と絶縁性固着材28とから成る多層構造である。
【0025】
絶縁シート26は、半導体ウェハをダイシングして制御素子20として分離する際に、半導体ウェハと共にダイシングされる樹脂製のシートであり、ダイアッタチシートとも称されている。絶縁シート26は、厚さT1が20μm?50μm程度のエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなり、基本的にはフィラーが混入されていない。また、絶縁シート26の平面的な大きさは制御素子20と同等であり、制御素子20の側面と絶縁シート26の側面とは同一平面上に位置している。
【0026】
絶縁性固着材28は、絶縁性を備えた樹脂材料から成り、絶縁シート26の下面とアイランド12の上面との間に位置し、両者を接着させる機能を有する。絶縁性固着材28は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなり、放熱性を向上させるために粒状のフィラーが混入されている。また、絶縁性固着材28の厚みT2は、例えば20μm以上30μm未満である。また、絶縁性固着材28の側辺は、アイランド12側に向かって幅が広くなる裾広がりな形状となっている。このことにより、絶縁性固着材28の側面の沿面距離が長くなり、制御素子20とアイランド12とのショートを防止できる効果が大きくなる。更に、絶縁性固着材28は、絶縁シート26の側面だけではなく、制御素子20の側面も被覆しており、このことも制御素子20の絶縁に寄与している。
【0027】
上記のように、絶縁シート26と絶縁性固着材28とを組みあわせて制御素子20を実装することにより、制御素子20を絶縁した状態でアイランド12の上面に実装することができる。具体的には、絶縁シート26のみを使用して制御素子20を実装することも可能である。しかしながら、絶縁シート26の厚みは20μm程度であり極めて薄いので、絶縁シート26の側面を経由して電流が流れてしまい結果的に制御素子20がアイランド12とショートしてしまう恐れがある。また、絶縁シート26を使用せずに絶縁性固着材28のみを使用して制御素子20を固着する方法もある。しかしながら、この方法であると、固着時の絶縁性固着材28は液状であるので、絶縁性固着材28の上部に載置された制御素子20が傾いてしまい、結果的に制御素子20の端部がアイランド12に接触してショートが発生する恐れもある。
【0028】
そこで、本実施形態では、絶縁性固着材28をアイランド12の上面に塗布し、裏面に絶縁シート26が貼着された制御素子20を絶縁性固着材28の上部に載置している。この様にすることで、制御素子20とアイランドとを確実に絶縁させることができる。具体的には、制御素子20の裏面に絶縁シート26を貼着することで、図2(C)に示すように、制御素子20が傾斜して実装されても、絶縁シート26がアイランド12の上面に接触することにより、制御素子20の下端がアイランド12に接触することが防止される。更に、絶縁性固着材28の側面が裾広がりの形状で有ることにより、制御素子20とアイランド12との沿面距離が長く確保される。このことにより、制御素子20とアイランド12とのショートが防止される。」

(オ)「【0040】
図5を参照して、次に、アイランド12の上面にスイッチング素子18および制御素子20を固着する。ここでは、スイッチング素子18がアイランド12と導通した状態で実装され、制御素子20はアイランド12と絶縁された状態で実装される。
【0041】
図5(A)を参照して、先ず、スイッチング素子18を導電性固着材であるロウ材24を介してアイランド12の上面に実装する。具体的には、半田クリームをアイランド12の上面に塗布した後に、半田クリームの上部にスイッチング素子18を載置し、加熱温度が350℃程度のリフロー工程にて半田クリームを溶融させることで、ロウ材24による実装を行う。ロウ材24を介して、例えばドレイン電極であるスイッチング素子18の裏面電極がアイランド12に接続される。
【0042】
図5(B)を参照して、次に、制御素子20を絶縁された状態でアイランド12の上面に実装する。制御素子20は所定の回路が上面に組み込まれたLSIであり、裏面には絶縁シート26が貼着されている。この絶縁シート26は、半導体ウェハから制御素子20をダイシングする際に、半導体ウェハの裏面に貼着されて同時に切断されたものである。絶縁性固着材28は、例えば、フィラーが混入されたエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなり、液状または半固形状の状態でアイランド12の上面に塗布される。制御素子20は、絶縁性固着材28の上面に載置される。
【0043】
図5(C)を参照して、例えば150℃程度に加熱することにより、熱硬化性樹脂から成る絶縁シート26と絶縁性固着材28とを加熱硬化して、制御素子20をアイランド12の上面に固着する。制御素子20の裏面には、絶縁シート26および絶縁性固着材28により十分にアイランド12と離間されている。更に、絶縁性固着材28の側面は裾広がりの形状と成っているので、この側面の沿面距離が長くなり、絶縁性固着材28の界面の絶縁性も確保されている。」

・上記(ア)によれば、半導体装置は、スイッチング素子と、前記スイッチング素子を制御する制御素子とを備え、前記スイッチング素子と前記制御素子とは同一のアイランドに実装され、前記スイッチング素子は導電性固着材を介して前記アイランドに実装され、前記制御素子は、裏面に貼着された絶縁シートおよび絶縁性固着材を介して、前記アイランドに実装されるものである。

・上記(イ)によれば、半導体装置10は、アイランド12と、アイランド12の上面に実装されたスイッチング素子18および制御素子20と、外部接続端子として機能するリード14とを主要に備えた構成である。

・上記(ウ)及び図1ないし2によれば、スイッチング素子18は、上面及び裏面に電極を備えたものである。

・上記(エ)によれば、アイランド12の上面には、スイッチング素子18と制御素子20とが実装されており、スイッチング素子18はロウ材24を介して実装され、制御素子20は絶縁シート26および絶縁性固着材28を介して実装されているものである。また、絶縁性固着材28は、絶縁性を備えた樹脂材料から成り、絶縁シート26の下面とアイランド12の上面との間に位置し、両者を接着させる機能を有し、絶縁シート26の側面だけではなく、制御素子20の側面も被覆しており、制御素子20の絶縁に寄与しているものである。

・上記(オ)によれば、半導体装置10は、半田クリームをアイランド12の上面に塗布した後に、半田クリームの上部にスイッチング素子18を載置し、加熱温度が350℃程度のリフロー工程にて半田クリームを溶融させることで、ロウ材24による実装を行うものである。また、半導体装置10は、150℃程度に加熱することにより、熱硬化性樹脂から成る絶縁シート26と絶縁性固着材28とを加熱硬化して、制御素子20をアイランド12の上面に固着するものである。

以上の点を踏まえて、上記記載事項および図面を総合的に勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「アイランド12と、
上面及び裏面に電極を備えたスイッチング素子18と、前記スイッチング素子18を制御する制御素子20とを備え、
前記スイッチング素子18と前記制御素子20とは同一の前記アイランド12に実装され、
前記スイッチング素子18は導電性固着材を介して前記アイランド12に実装され、
前記制御素子20は、裏面に貼着された絶縁シート26および絶縁性固着材28を介して、前記アイランド12に実装されるものであって、
加熱温度が350℃程度のリフロー工程にて半田クリームを溶融させることで、前記スイッチング素子20をアイランド12の上面に実装し、
さらに、150℃程度に加熱することにより、熱硬化性樹脂から成る絶縁シート26と絶縁性固着材28とを加熱硬化して、制御素子20をアイランド12の上面に実装する
ことを特徴とする半導体装置10。」

2.引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2011/087119号(以下、「引用例2」という。)には、「半導体装置およびその製造方法」に関して図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。

(カ)「[0052] 半導体チップ106は、第1の絶縁材料110および第2の絶縁材料112によってアイランド102上に固着されている。第1の実施形態において、第1の絶縁材料110としては、ポリアミドイミド、ポリイミド、アルミナ、セラミックス等が用いられる。第1の絶縁材料110は、絶縁フィルムとしてダイシング前の半導体ウェハの他主面106b、すなわちボンディングパッド108a、108bが形成されていない面に接着されるか、液状の樹脂をスピンコートすることによって、半導体ウェハの他主面106bに塗布される。スピンコートによって第1の絶縁材料110を塗布する場合、CSPで一般的に用いられる裏面コート用の樹脂を第1の絶縁材料110として利用することができる。」

(キ)「[0055] 第1の実施形態において、第2の絶縁材料112としては、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂等が用いられる。第2の絶縁材料112は、絶縁ペーストとして、半導体チップ106とアイランド102の間を接着する。」

以上の点を踏まえて、上記記載事項及び図面を総合的に勘案すると、引用例2には、次の技術事項が記載されている。

「半導体チップ106は、第1の絶縁材料110および第2の絶縁材料112によってアイランド102上に固着される」こと。

3.引用例3
原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-68794号(以下、「引用例3」という。)には、「電気部材の接続構造及び接続方法」に関して図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。

(サ)「【0008】半導体素子としては、シリコン、ガリウムヒ素等を材料とするものがあり、これらICチップは、アルミニウム等の上に、銅、ニッケル、金、はんだ等を被覆した電極を設けたものである。これら電極の表面に、さらに、錫、金、はんだ等の表面層を形成することもできる。電極以外の面は、酸化シリコン、ホウケイ酸ガラス、チッ化ケイ素、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、ポリイミド、フッ素樹脂のような絶縁層が形成されていることが導電粒子とICチップの素子との接触を完全に防止できるので好ましい。」

以上の点を踏まえて、上記記載事項及び図面を総合的に勘案すると、引用例3には、次の技術事項が記載されている。

「半導体装置において、絶縁層をポリイミドで形成する」こと。

4.引用例4
原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-16780号公報(以下、「引用例4」という。)には、「半導体装置」に関して図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。

(タ)「【0038】
高耐圧絶縁層21は、空気よりも絶縁破壊電界が大きければどのような材料により形成されていてもよい。例えば、無機材料であるAlN、シランの誘導体からなるシリコン系ポリマー、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)又はポリイミド等を用いることができる。また、高耐圧絶縁層21は材料に応じてスパッタ法、化学気相堆積(CVD)法又はスピンコート法等を用いて形成すればよい。このようにすることにより、高耐圧絶縁層21として形成された場合の絶縁破壊電界を空気の絶縁破壊電界よりも高くすることができる。」

以上の点を踏まえて、上記記載事項及び図面を総合的に勘案すると、引用例4には、次の技術事項が記載されている。

「半導体装置において、絶縁層をポリイミドで形成する」こと。

5.引用例5
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である特開平11-17105号公報(以下、「引用例5」という。)には、「エポキシモールディングコンパウンドパッドを利用した半導体パッケージ構造及びエポキシモールディングコンパウンドパッドの製造方法」に関して図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。

(ナ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体パッケージ(Package)構造に係り、より詳細にはMOSFETと制御ICが一つで統合された半導体パッケージで制御ICをEMC(Epoxy MoldingCompound)パッド(Pad)を介在してリードフレーム(Lead Frame)に付着した半導体パッケージ構造とエポキシモールディングコンパウンドパッドを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子製品の軽量薄形化によって半導体の部品数を減少させた高密度の実装パッケージの開発が進行されている。SMPS(Switched Mode Power Supply)もその中で一つの方法として、動作時の電力量と発熱量が多い半導体素子、即ち、パワートランジスタ(Power Transistor)で使用されるMOSFETとこれを制御するためのICを一つのパッケージに統合させて密封する。
【0003】これのためには、スイッチング素子(MOSFET)と制御ICがパッケージ内のワイヤボンディング(Wire Bonding)でコミュニケーション(Communication)されて、周辺部品の機能を制御ICに挿入するように設計を補完して、スイッチング素子と制御ICが一つのパッケージ内に搭載されるようにパッケージを開発する必要がある。
【0004】特にパッケージ開発において、制御ICはスイッチング素子であるMOSFETのドレイン(Drain)との短絡を防止するため絶縁接着剤を使用しなければならない。従来このような絶縁性接着剤の絶縁耐圧を向上させるため多様な方法が提案されてきた。
【0005】図4,5,6は、各々、本願発明者により出願された従来の半導体パッケージの実施例を示す断面図である。図4を参照すると、まず、ウェハ(Wafer)状態でウェハの後面に、窒化膜(SixNy: 図示せず)、例えば、Si3N4を2?5ミクロン程度の厚さで塗布する。通常1回塗布時ごと1ミクロン程度の厚さを持つから、所望する厚さになるように塗布回数を加減する。
【0006】次に、前記ウェハを個別制御IC1で切断した後、ダイパッド(Die Pad)5上にMOSFET2をソルダ(Solder)接着剤4で付着して制御IC1を絶縁エポキシ接着剤3を利用して付着した状態で、MOSFET2と制御IC1との間と、MOSFET2とインナリード(Inner Lead)との間及び制御IC1とインナリードとの間に金属ワイヤでワイヤボンディングした後、モールディング及びトリミング(Trimming)工程を経てパッケージを完成する。」

(ニ)「【0016】
【発明の実施の形態】以下、 添附図面を参照して本発明による好ましい一実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明による半導体パッケージを示す断面図である。図示されるように、 リードフレームのダイパッド5上の一側にはMOSFETまたはバイポーラトランジスタ等のような電力素子が実装させて、他方側にはEMCパッド6’を介在して制御IC1が実装される。
【0017】これを具体的に説明すると、MOSFET2は、導電性ソルダ接着剤4によりダイパッド5上の一側に付着されて、EMC樹脂をモールディングして、薄い、例えば、0.3mm程度で製作されたEMCパッド6’かEMCパッド用接着剤7’を用いてダイパッド5上の他側に付着されている。この時、EMCパッド6’の大きさは制御IC1より多少大きく、EMCパッド用接着剤7’は通常エポキシまたはポリイミド系の絶縁性接着剤である。また、制御IC1は、エポキシ絶縁性接着剤3を介在してEMCパッド6上に付着される。以後、MOSFET2と制御IC1は、ワイヤ10でボンディングされてモールディング及びトリミング工程を経て半導体パッケージが完成される。」

以上の点を踏まえて、上記記載事項及び図面を総合的に勘案すると、引用例5には、次の技術事項が記載されている。

「リードフレームのダイパッド5上の一側にはMOSFETまたはバイポーラトランジスタ等のような電力素子を実装させ、他方側にはEMCパッド6’を介在して制御IC1が実装される」こと。

6.引用例6
平成28年5月16日付けの補正の却下の決定において引用された米国特許第5012322号明細書(以下、「引用例6」という。)には、「SEMICONDUCTOR DIE AND MOUNTING ASSEMBLY」に関して、図面とともに以下の記載がある。そして、当審で作成した仮訳文を並記した。なお、下線は当審で付与した。


(ハ)(第2欄第50行?同欄第58行)「Referring to the FIGURE, a silicon die 10 is shown bonded to a metal supporting substrate 12. Insulating resin layers 14, 15 and 16 are bonded to the lower (as shown) or back face 18 of the die 10. These layers 14, 15 and 16 constitute a dielectric die coating that is in turn bonded to the metal substrate 12 by means of an intermediate bonding resin 20. The resin 20 is also preferably, but not necessarily, a non-conducting dielectric material.」
「図を参照すると、シリコンダイ10は、金属支持基板12に接合されている。絶縁樹脂層14、15、16は、ダイ10の下側もしくは背面18に接合されている。これらの層14、15、16は、中間接合樹脂20を介して金属支持基板12に接合されている誘電体ダイ被膜を構成している。樹脂20は、必ずしも必要ではないが、非導電性の誘電体材料であることが好ましい。」

(ヒ)(第4欄第7行?同欄第19行)「There is also shown in the FIGURE another semiconductor chip 29. This chip may be a discrete power transistor, the bottom face 34 being a boundary of the collector 33 of that transistor. A layer of solder 35 bonds the die to the support 12. A thin film of sputtered metallization (not shown) is deposited on the die back face 34 prior to soldering. The copper support 12 serves both as a heat conductor and an electrical conductor of collector current from the power transistor 29. This particular embodiment illustrates only one of many situations wherein a low voltage semiconductor device and a high voltage semiconductor device are electrically isolated but mounted to a common support.」
「また、図には、他の半導体チップ29が示されている。このチップは、ディスクリートパワートランジスタであってもよく、底面34はトランジスタのコレクタ33の境界である。はんだ層35はダイを金属支持基板12の接合する。スパッタリングされた金属化薄膜は、はんだづけ前にダイの背面34に載置される。銅からなる金属支持基板12は、熱伝導体とパワートランジスタ29からのコレクタ電流の導電体として機能する。この実施例は、低電圧半導体デバイスと高電圧半導体デバイスは、電気的に絶縁されていたが、共通の支持基板に搭載されていることを特徴とする多くの例の一つである。」

以上の点を踏まえて、上記記載事項及び図面を総合的に勘案すると、引用例6には、次の技術事項が記載されている。

「金属支持基板12上にシリコンダイ10及び半導体チップ29を実装する」こと。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

a.引用発明の「アイランド12」は、本願発明1の「リードフレーム」に相当する。また、引用発明の「スイッチング素子18」及び「制御素子20」は、同一の「アイランド12」に実装されていることから、本願発明1の「該リードフレームにおける共通の一面上に配置される複数の半導体素子」といえる。
そして、引用発明の「上面及び裏面に電極を備えたスイッチング素子18」は、引用例1の図1ないし2に記載のように「アイランド12」に実装されることから、本願発明1と同様に、「リードフレームの厚さ方向において、両面に電極を有している」といえる。してみれば、引用発明の「上面及び裏面に電極を備えたスイッチング素子18」は、本願発明1の「リードフレームの厚さ方向において、両面に電極を有する両面電極素子」に相当する。
また、引用発明の「制御素子20」は、スイッチング素子18を制御することから、本願発明1の「両面電極素子の駆動を制御する制御IC」に相当する。
したがって、引用発明の「アイランド12と、上面及び裏面に電極を備えたスイッチング素子18と、前記スイッチング素子18を制御する制御素子20とを備え、前記スイッチング素子18と前記制御素子20とは同一の前記アイランド12に実装され」ることは、本願発明1の「リードフレームと、該リードフレームにおける共通の一面上に配置される複数の半導体素子と、を有し、前記半導体素子は、前記リードフレームの厚さ方向において、両面に電極を有する両面電極素子と、前記両面電極素子の駆動を制御する制御ICと、を含」んでいることに相当する。

b.引用発明の「導電性固着材」は、上記「第5 1.(エ)」の段落【0023】の「ロウ材24や導電性ペースト」、上記「第5 1.(オ)」のの段落【0041】の「半田クリーム」なる記載を鑑みれば、本願発明1の「はんだ、または、導電性接着材」に相当する。
したがって、引用発明の「前記スイッチング素子18は導電性固着材を介して前記アイランド12に実装され」ることは、本願発明1の「前記両面電極素子は、前記一面と対向する面に形成された電極が、はんだ、または、導電性接着材を介して、前記リードフレームと電気的に接続され」ていることに相当する。
ただし、「はんだ」について、本願発明1は「無鉛」はんだであると特定しているのに対して、引用発明には、そのような特定がされていない。

c.引用発明の「絶縁シート」は、本願発明1の「絶縁層」に相当する。また、引用発明の「絶縁シート」は、上記「第5 1.(エ)」の段落【0025】及び引用例1の図2の「絶縁シート」の厚さの記載を鑑みれば、本願発明1と同様に、「均一の厚さ」を有しているといえる。さらに、引用発明の「絶縁シート26」は、制御装置20の裏面に貼着されており、制御装置20は、絶縁シート26と絶縁性固着材28を介して、前記アイランド12に実装されていること、絶縁シート26の平面的な大きさは制御素子と同等であることから、本願発明1と同様の「該チップ部のうち、前記リードフレームと対向する対向面の全面に配置され、均一の厚さとされる絶縁層」といえる。
したがって、引用発明の「前記制御素子20は、裏面に貼着された絶縁シート26および絶縁性固着材28を介して、前記アイランド12に実装され」ることは、本願発明1の「前記制御ICは、チップ部と、該チップ部のうち、前記リードフレームと対向する対向面の全面に配置され、均一の厚さとされる絶縁層と、を有し」ていることに相当する。

d.引用発明の「絶縁性固着材」は、上記「第5 1.(エ)」の段落【0026】の「絶縁性固着材28は、絶縁性を備えた樹脂材料から成り、絶縁シート26の下面とアイランド12の上面との間に位置し、両者を接着させる機能を有する」なる記載を鑑みれば、本願発明1の「絶縁性接着材」といえる。また、引用発明の「半田クリーム」は、本願発明1の「はんだ」に相当する。
そして、引用発明の「絶縁固着材」は、150℃程度に加熱することにより加熱硬化させているのに対して、引用例発明の「半田クリーム」は350℃程度のリフロー工程にて半田クリームを溶融させていることを鑑みれば、引用発明の「半田クリーム」の融点よりも「絶縁固着材」の硬化温度は低いといえる。してみれば引用発明の「絶縁固着材」は、本願発明1と同様に、「前記はんだの融点よりも、または、前記導電性接着材の耐熱温度よりも、硬化温度の低い絶縁性接着材」であるといえる。
したがって、引用発明の「前記制御素子加熱温度が350℃程度のリフロー工程にて半田クリームを溶融させることで、前記スイッチング素子20をアイランド12の上面に実装し、さらに、150℃程度に加熱することにより、熱硬化性樹脂から成る絶縁シート26と絶縁性固着材28とを加熱硬化して、制御素子20をアイランド12の上面に実装する」ことは、本願発明1の「前記無鉛はんだの融点よりも、または、前記導電性接着材の耐熱温度よりも、硬化温度の低い絶縁性接着材を介して、前記絶縁層と前記一面とが接続されている」ことに相当する。
ただし、上記b.と同様に、「はんだ」について、本願発明1は「無鉛」はんだであると特定しているのに対して、引用発明には、そのような特定がされていない。さらに、「絶縁性接着材」について、本願発明1は「そのすべてが前記チップ部と前記絶縁層との接合面よりも前記リードフレーム側において、前記無鉛はんだよりも、または、前記導電性接着材よりも、薄く形成され、前記絶縁層のうち、前記接合面とは反対の面のみに接触している」と特定されているのに対して、引用発明には、そのような特定がされていない。

e.上記a.ないしd.を鑑みれば、引用発明の「半導体装置10」は、本願発明1の「半導体装置」に相当する。

そうすると、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。

<一致点>
「 リードフレームと、
該リードフレームにおける共通の一面上に配置される複数の半導体素子と、を有し、
前記半導体素子は、
前記リードフレームの厚さ方向において、両面に電極を有する両面電極素子と、
前記両面電極素子の駆動を制御する制御ICと、を含み、
前記両面電極素子は、前記一面と対向する面に形成された電極が、はんだ、または、導電性接着材を介して、前記リードフレームと電気的に接続され、
前記制御ICは、
チップ部と、
該チップ部のうち、前記リードフレームと対向する対向面の全面に配置され、均一の厚さとされる絶縁層と、を有し、
前記はんだの融点よりも、または、前記導電性接着材の耐熱温度よりも、硬化温度の低い絶縁性接着材を介して、前記絶縁層と前記一面とが接続されていることを特徴とする半導体装置。」

<相違点1>
「はんだ」について、本願発明1は「無鉛」はんだであると特定しているのに対して、引用発明には、そのような特定がされていない点。

<相違点2>
「絶縁性接着材」について、本願発明1は「そのすべてが前記チップ部と前記絶縁層との接合面よりも前記リードフレーム側において、前記無鉛はんだよりも、または、前記導電性接着材よりも、薄く形成され、」と特定されているのに対して、引用発明には、そのような特定がされていない点。

<相違点3>
「絶縁性接着材」について、本願発明1は「前記絶縁層のうち、前記接合面とは反対の面のみに接触している」と特定されているのに対して、引用発明には、そのような特定がされていない点。

(2)判断
上記相違点3について検討すると、引用発明には、絶縁性接着材について、「前記絶縁層のうち、前記接合面とは反対の面のみに接触している」構成とすることは記載されておらず、上記「第5 1.(エ)」の段落【0026】ないし【0028】に記載されているように、引用発明は、絶縁性固着材28を、絶縁シート26の側面だけでなく、制御素子20の側面も被覆することで、制御素子20の絶縁に寄与するものであることを鑑みれば、引用発明において、絶縁シート26の側面を絶縁性固着材28で被覆しないようにする動機付けがない。さらに、引用例2ないし6にも、相違点3の構成について記載も示唆もされていない。
したがって、当業者であっても、引用発明、及び引用例2ないし6に記載された技術事項に基づいて、「前記絶縁層のうち、前記接合面とは反対の面のみに接触している」という相違点3の構成とすることは当業者が容易に想到することができるとはいえない。

したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用例2ないし6に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2.本願発明2ないし本願発明5について
本願発明2ないし本願発明5も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、及び引用例2ないし6に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定について
1.理由(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、本願発明1ないし5は、「前記絶縁性接着材は、そのすべてが前記チップ部と前記絶縁層との接合面よりも前記リードフレーム側において、前記無鉛はんだよりも、または、前記導電性接着材よりも、薄く形成され、前記絶縁層のうち、前記接合面とは反対の面のみに接触している」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用例1ないし5に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-09-22 
出願番号 特願2012-109745(P2012-109745)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木下 直哉  
特許庁審判長 國分 直樹
特許庁審判官 安藤 一道
酒井 朋広
発明の名称 半導体装置  
代理人 矢作 和行  
代理人 久保 貴則  
代理人 野々部 泰平  

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