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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1332668
審判番号 不服2016-899  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-20 
確定日 2017-09-13 
事件の表示 特願2014- 77656「多重センサを有する高ダイナミックレンジカメラ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月 4日出願公開、特開2014-161055〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯及び本願発明
1 手続の経緯
本件出願は、2007年(平成19年)12月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年12月12日、米国)を国際出願日とする出願である特願2009-541566号の一部を新たに平成26年4月4日に特許出願したものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

平成27年 1月26日:拒絶理由の通知
平成27年 7月24日:手続補正
平成27年 9月18日:拒絶査定
平成27年 9月29日:拒絶査定の謄本の送達
平成28年 1月20日:拒絶査定不服審判の請求
平成28年 9月16日:拒絶理由の通知(当審)
平成29年 1月20日:手続補正

2 当審拒絶理由の通知の概要
平成28年9月16日付け拒絶理由の通知は、概略、次のとおりである。

[拒絶の理由]
この出願の請求項1?16に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:特開2003-101886号公報
引用文献2:特開2002-290822号公報
引用文献3:国際公開第2005/104035号

・請求項 1,2,3,5,6,8,11,12,16
・引用文献等 1
・備考
引用文献1には、ダイナミックレンジが異なる2つの撮像素子からの出力から広ダイナミックレンジ画像(本願の「高ダイナミックレンジ画像」に相当)を生成することが記載されている(要約の【解決手段】、【請求項1】、【請求項2】、【0028】-【0046】、【0049】-【0050】、図1-図4)。

(請求項4,7,9,10,13-15については略。記載不備についても略。)

3 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成27年7月24日付け及び平成29年1月20日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載した事項により特定される、次のとおりのものである(この発明を以下「本願発明」という。)。

(本願発明)
「(A)互いに異なる2個の画像センサアレイを有するカメラであって、
(B)前記2個の画像センサアレイは、互いに異なる大きさである互いに異なるダイナミックレンジを有し、前記2個の画像センサアレイのうちの一方は、前記2個の画像センサアレイのうちの他方よりも広い範囲の光強度を把捉するように構成された高ダイナミックレンジセンサアレイであり、
(C)前記カメラはさらに画像機構を有し、前記画像機構は高ダイナミックレンジ画像を提供すべく、前記画像センサアレイのそれぞれによって集められた情報を組合わせるように構成される、
(D)カメラ。」

((A)?(D)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)

第2 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明
1 引用文献1の記載事項
当審拒絶理由に引用された特開2003-101886号公報(以下「引用文献1」という。)には、「撮像装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
(下線は当審が付与した。)

「【要約】
【課題】 ダイナミックレンジや空間周波数帯域が広く良好な画質の画像を得ることができる低コストな撮像装置を提供する。
【解決手段】 光学系2からの像を2つに分離するプリズム3と、分離された一方の像を撮像するCCD4aと、分離された他方の像を撮像するものでありこのCCD4aとは画素サイズや画素数、ダイナミックレンジが異なるCCD4bと、これらのCCD4a,4bの露光量が互いに異なるように制御する露光制御回路5と、上記CCD4a,4bの出力をデジタル画像に各変換するA/D変換回路6a,6bと、そのデジタル画像をカラー画像に各変換する色分離回路7a,7bと、該カラー画像の一方を画素数に応じて拡大する拡大回路12と、カラー画像の他方と拡大処理後のカラー画像とを合成して一枚の広ダイナミックレンジ画像を生成するSL合成回路11と、を備えたSLカメラ1等の撮像装置。」

「【請求項1】 同一の被写体に対して複数の光学像を生成する光学系と、
上記複数の光学像の各々を撮像してアナログ画像として出力する互いに特性の異なる複数の撮像素子と、
これら複数の撮像素子の露光量が互いに異なるように制御する露光制御手段と、
上記複数の撮像素子から出力されるアナログ画像をデジタル画像に変換するA/D変換手段と、
このA/D変換手段により変換された複数のデジタル画像を合成して、一枚の広ダイナミックレンジ画像を生成する合成手段と、
を具備したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】 上記複数の撮像素子は、ダイナミックレンジを互いに異ならせることにより、上記特性を互いに異ならせているものであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。」

「【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1から図8は本発明の第1の実施形態を示したものであり、図1はSLカメラに表示装置が接続されてなるカメラシステムの構成を示すブロック図、図2はSLカメラに搭載された2つのCCDの構成を示す図、図3はSLカメラに搭載された2つのCCDの露光量の違いを示す線図、図4はA/D変換後の2つのCCDの画素値および合成画像の階調特性とシーンの絶対輝度との関係を示す線図、図5は各CCDからの画素をそれぞれ合成するときの各階調変換特性を示す線図、図6は標準露光が暗く設定された場合の2つのCCDの画素値および合成画像の階調特性とシーンの絶対輝度との関係を示す線図、図7はSLカメラのSL合成回路における合成処理の様子を示す図、図8はノイズ特性に基づいて輝度区間毎に使用するCCDを切り替える変形例を示す線図である。
【0029】この第1の実施形態は、本発明の撮像装置をSLカメラ(スーパーラチチュードカメラ)に適用したものである。
【0030】このカメラシステムは、図1に示すように、被写体像を広ダイナミックレンジで撮像する撮像装置たるSLカメラ1と、このSLカメラ1から出力される撮像信号に基づき画像を表示する表示装置14と、を有してなり、上記SLカメラ1により広ダイナミックレンジで撮像された信号が、上記表示装置14の階調再現範囲に圧縮されて表示されるようになっている。
【0031】上記SLカメラ1は、光束を集光することにより被写体像を結像するための光学系2と、この光学系2を介した入射光の光路を2つに分割する光学系たるプリズム3と、このプリズム3による分割の結果生じる2つの光学像をそれぞれ撮像してアナログの電気信号として出力する原色あるいは補色の単板式でなる撮像素子たるCCD4a,4bと、これらのCCD4a,4bによる露光時間を制御するとともにその露光情報を後述するSL合成回路11に出力する露光制御手段たる露光制御回路5と、上記CCD4a,4bから出力されるアナログ信号をデジタル信号にそれぞれ変換するA/D変換手段たるA/D変換回路6a,6bと、これらのA/D変換回路6a,6bから出力されるデジタル信号をカラー画像にそれぞれ変換する色分離回路7a,7bと、この色分離回路7a,7bによりカラー化された画像をそれぞれ保持する画像バッファ8a,8bと、これらの画像バッファ8a,8bに保持されている画像に基づき動き検出を行いその結果を上記露光制御回路5に出力する判断手段たる動き検出回路9と、上記画像バッファ8a,8bに保持されている画像に基づきヒストグラムを計算する合成手段たるヒストグラム計算回路10と、上記画像バッファ8bに保持されている画像の拡大処理を行う合成手段でありサイズ統一手段たる拡大回路12と、上記露光制御回路5から出力される露光情報を参照して上記ヒストグラム計算回路10により計算されたヒストグラムに基づき上記画像バッファ8aの画像と上記拡大回路12により拡大された画像とを階調変換して合成することにより一枚の広ダイナミックレンジ画像を生成する合成手段たるSL合成回路11と、このSL合成回路11により合成された広ダイナミックレンジ画像を出力する出力ポート13と、を有して構成されている。
【0032】この出力ポート13から出力された画像は、上述したように、外部の表示装置14に表示されるようになっている。
【0033】上記CCD4a,4bは、より詳しくは、図2(A)、図2(B)に示すように、撮像面全体の面積は同じであるが、各画素の面積がCCD4bの画素p2はCCD4aの画素p1の4倍(縦方向の画素サイズと横方向の画素サイズが各2倍)、一方、画素数はCCD4aがCCD4bの4倍(縦方向の画素数と横方向の画素数が各2倍)となっている。
【0034】従って、CCD4aの撮像画角とCCD4bの撮像画角は共に等しく、これらのCCD4a,4bによりあるシーンを撮影した場合には、同一のシーンを異なる解像度で撮像した画像が上記画像バッファ8a,8bにそれぞれ記憶されることになる。
【0035】次に、このようなカメラシステムの作用について説明する。
【0036】上記SLカメラ1による撮像動作が開始されると、上記光学系2とプリズム3とにより同一のシーンに対する二つの光学像が形成され、CCD4a,4bの撮像面に各結像される。これら原色あるいは補色単板式のCCD4a,4bは、結像された光学像を光電変換して、上記露光制御回路5により調整された電荷蓄積時間だけ電荷の蓄積を行い、その後に撮像された画像信号を出力する。
【0037】このとき、上記露光制御回路5は、画素サイズの小さいCCD4aに対してはAEにより決定した標準的な露光量を設定し、画素サイズの大きいCCD4bに対しては、後述するように、撮影シーンに応じてその1/β倍またはγ倍の露光量を設定する(ここに、β>1,γ>1)。
【0038】以下では、これらの内の、1/β倍の露光を短時間露光、γ倍の露光を長時間露光とそれぞれ呼ぶことにする。
【0039】このように設定される露光量による、各CCD4a,4bの飽和電荷量Vmaxを同一グラフ上にプロットすると、図3に示すようになる。すなわち、撮影シーンの絶対的な明るさに対して出力される信号は、CCD4aについては符号21に示すようになり、一方、CCD4bについては、短時間露光が緩やかな傾きの符号22に示すように、また長時間露光が急な傾きの符号23に示すように、それぞれなる。標準露光において出力信号値Vが得られるシーンは、短時間露光では出力信号値V/β、長時間露光では出力信号値γVとなる。
【0040】このように、露光を異ならせて2枚のCCDでほぼ同時に同一の被写体を撮像することにより、広い輝度範囲で飽和することなく画像信号を得ることができる。また、CCD4a,4bは、画素サイズが異なるために、CCD4aのノイズレベルは符号24に示すように比較的高く、CCD4bのノイズレベルは符号25に示すようにCCD4aと比較してかなり低くなる。
【0041】次に、CCD4a,4bから出力されるアナログ画像は、上記A/D変換回路6a,6bによりそれぞれデジタル画像に変換される。
【0042】このとき、A/D変換回路6aにより得られるデジタル信号のビット幅は例えば10ビット、A/D変換回路6bにより得られるデジタル信号のビット幅は8ビット、とそれぞれ異なっている。
【0043】こうしてA/D変換回路6a,6bによりデジタル化された信号は、色分離回路7a,7bによりそれぞれカラー化されて、上記画像バッファ8a,8bにカラー画像として保持される。
【0044】これらの内の、画像バッファ8bに記憶された、CCD4bからの画素数の少ないカラー画像は、拡大回路12によって、公知のキュービック補間法等を用いることにより、画像バッファ8aに記憶されたCCD4aからの画像のサイズに一致するように拡大処理が行われる。
【0045】その後、SL合成回路11は、後述するように、上記画像バッファ8aに記憶されている画像データと、上記拡大回路12により拡大された画像データとを、上記露光制御回路5からの露光情報を参照しながら、ヒストグラム計算回路10により算出されたヒストグラムに基づき階調変換して合成し、一枚の広ダイナミックレンジ画像を生成する。
【0046】こうして生成された広ダイナミックレンジ画像が、上記表示装置14に表示される。」

「【0049】まず図4を参照して、各CCD4a,4bから得られた画像の画素値とシーンの輝度の関係について説明する。
【0050】CCD4aから得られた画像の階調変換前の画素値は符号26に示すように、また、CCD4bから得られた画像の階調変換前の画素値は符号27に示すようになっている。また、符号28は、合成画像の階調特性を示している。」

「【図3】



「【図4】



2 引用文献1に記載された発明
【要約】、【請求項1】、【請求項2】、段落【0028】?【0046】、【0049】?【0050】には、「撮像装置」が記載されており、当該撮像装置は、「CCD4a」、「CCD4b」、「SL合成回路」を備えている。
「CCD4b」は、「CCD4aとは画素サイズ、ダイナミックレンジが異なる」ものである(【要約】、【請求項2】、段落【0033】)。
「SL合成回路」は、CCD4a、CCD4bからの出力を、A/D変換し、カラー画像に変換し、画像バッファに保持し、画像バッファに保持した画像を階調変換して、一枚の広ダイナミックレンジ画像を生成するものであり(段落【0031】、【要約】、【請求項1】)、「CCD4a、CCD4bから出力される情報を合成して一枚の広ダイナミックレンジ画像を生成する」といえる。

以上より、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。この発明を以下「引用発明」という。

(引用発明)
「(a)CCD4aと、CCD4aとは画素サイズ、ダイナミックレンジが異なるCCD4bと、
(b)CCD4a、CCD4bから出力される情報を合成して一枚の広ダイナミックレンジ画像を生成するSL合成回路
(c)を備えた撮像装置。」

なお、(a)?(c)は、構成を識別するために付与した。以下各構成を「構成a」等という。

第3 対比
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1)構成要件Aと構成a、cとを対比する。
引用発明の「CCD4a」、「CCD4b」は、本願発明の「互いに異なる2個の画像センサアレイ」に相当し、引用発明の「撮像装置」は、本願発明の「カメラ」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、「互いに異なる2個の画像センサアレイを有するカメラ」として一致する。

(2)構成要件Bと構成aとを対比する。
引用発明は、「CCD4aと、CCD4aとは画素サイズ、ダイナミックレンジが異なるCCD4b」を備えており、「CCD4a」、「CCD4b」は、「前記2個の画像センサアレイは、互いに異なる大きさである互いに異なるダイナミックレンジを有」する点で、本願発明と共通する。
しかしながら、「前記2個の画像センサアレイのうちの一方」が、本願発明においては、「前記2個の画像センサアレイのうちの他方よりも広い範囲の光強度を把捉するように構成された高ダイナミックレンジセンサアレイ」であるのに対し、引用発明においては、「前記2個の画像センサアレイのうちの他方よりも広い範囲の光強度を把捉するように構成された高ダイナミックレンジセンサアレイ」であると特定されていない点で相違する。

(3)構成要件Cと構成dとを対比する。
構成要件Cの「高ダイナミックレンジ画像」について検討する。
構成要件Bは、「前記2個の画像センサアレイのうちの一方は、前記2個の画像センサアレイのうちの他方よりも広い範囲の光強度を把捉するように構成された高ダイナミックレンジセンサアレイ」を含み、この記載における「高ダイナミックレンジ」は、「広い範囲の光強度を把捉する」ことを意味していると認められる。そして、請求項1において記載されている「高ダイナミックレンジ画像」における「高ダイナミックレンジ」は、同様に「広い範囲の光強度を把捉する」ことを意味していると認められる。
そうすると、構成bの「広ダイナミックレンジ画像」は、構成要件Cの「高ダイナミックレンジ画像」に相当する。
構成bの「CCD4a、CCD4bから出力される情報を合成して一枚の広ダイナミックレンジ画像を生成する」ことは、構成要件Cの「高ダイナミックレンジ画像を提供すべく、前記画像センサアレイのそれぞれによって集められた情報を組合わせる」ことに相当し、構成bの「SL合成回路」は、構成要件Cの「画像機構」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記カメラはさらに画像機構を有し、前記画像機構は高ダイナミックレンジ画像を提供すべく、前記画像センサアレイのそれぞれによって集められた情報を組合わせるように構成される」点で一致する。

(4)構成要件Dと構成cとを対比する。
引用発明の「撮像装置」は、本願発明の「カメラ」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、「カメラ」として一致する。

2 一致点、相違点
以上より、本願発明と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。

(一致点)
互いに異なる2個の画像センサアレイを有するカメラであって、
前記2個の画像センサアレイは、互いに異なる大きさである互いに異なるダイナミックレンジを有し、
前記カメラはさらに画像機構を有し、前記画像機構は高ダイナミックレンジ画像を提供すべく、前記画像センサアレイのそれぞれによって集められた情報を組合わせるように構成される、
カメラ。

(相違点)
「前記2個の画像センサアレイのうちの一方」が、
本願発明においては、「前記2個の画像センサアレイのうちの他方よりも広い範囲の光強度を把捉するように構成された高ダイナミックレンジセンサアレイ」であるのに対し、
引用発明においては、「前記2個の画像センサアレイのうちの他方よりも広い範囲の光強度を把捉するように構成された高ダイナミックレンジセンサアレイ」であると特定されていない点

第4 判断
引用発明の2つの画像センサアレイであるCCD4a、CCD4bにおいて、CCD4a、CCD4bを同じ材料及び構造で作成した場合、各画素面積が大きいCCD4bが、各画素面積が小さいCCD4aに比べ、高い輝度において飽和することは明らかである。
また、引用文献1の段落【0040】に記載されているように、CCD4bのノイズレベルは、CCD4aのノイズレベルより低くなる。当該記載は、CCD4aとCCD4bのノイズレベルを比較しているのであるから、CCD4a、CCD4bが全く異なる種類のものであることは考えにくい。そうすると、CCD4aとCCD4bとを同じ材料及び構造で作成することが格別なこととは認められない。
ダイナミックレンジは、ノイズレベルから飽和する輝度までの範囲であるから、CCD4bがCCD4aに比べて、ダイナミックレンジが広くなること、すなわち、高ダイナミックレンジになることは、普通に想定される。
引用発明の2つの画像センサアレイは、異なるダイナミックレンジを有するものであり、画素アレイの各画素面積の大きさも異なるものであって、上記のとおり、各画素面積が大きい画素センサアレイは、高ダイナミックレンジになることが普通に想定されるから、引用発明において、「前記2個の画像センサアレイのうちの一方は、前記2個の画像センサアレイのうちの他方よりも広い範囲の光強度を把捉するように構成された高ダイナミックレンジセンサアレイ」とすることは、当業者が容易になし得ることである。

本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-04-13 
結審通知日 2017-04-18 
審決日 2017-05-01 
出願番号 特願2014-77656(P2014-77656)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 直樹  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 藤井 浩
小池 正彦
発明の名称 多重センサを有する高ダイナミックレンジカメラ  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  
代理人 本田 淳  

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