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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01N
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01N
管理番号 1332697
審判番号 不服2016-5511  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-14 
確定日 2017-10-10 
事件の表示 特願2013-503106「サーモグラフ試験方法及びこの試験方法を実行するための試験装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年10月13日国際公開、WO2011/124628、平成25年 6月17日国内公表、特表2013-524229、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011年(平成23年)4月7日(パリ条約による優先権主張 2010年4月8日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成26年8月11日付けで拒絶理由が通知され、同年11月17日付けで意見書が提出され、平成27年4月9日付けで拒絶理由が通知され、同年7月13日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年12月10日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)されたところ、平成28年4月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後当審において平成29年3月31日付けで拒絶理由が通知され、同年7月20日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、平成29年7月20日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
試験対象の表面付近の欠陥の局所的解像検知及び識別のためのサーモグラフ試験方法であって、
欠陥により影響を受ける欠陥領域と欠陥がない前記試験対象の材料との間に熱的不均衡を生じさせ、欠陥領域の欠陥がない周辺領域は加熱されないか又は前記欠陥領域より強く加熱されないように、前記試験対象の部分を加熱するステップと、
各々がサーモグラフ画像により記録された前記試験対象の表面領域における局所温度分布を表す、横方向の熱流が前記局所的に加熱された欠陥領域から、横方向に前記欠陥領域の前記周辺領域に流れたことが明らかになったときに始まる熱伝播段階内にある時間間隔で連続する一連のサーモグラフ画像を記録するステップと、
前記サーモグラフ画像から、局所解像プロファイルである位置的に適正に割り当てられた温度プロファイルを特定するステップと、
を含み、前記温度プロファイルにおける異なる位置は、前記それぞれの位置において前記温度を表す測定された変数の値をそれぞれ割り当てられ、各々の位置的に適正に割り当てられた温度プロファイルは、前記試験対象の前記表面の前記同じ測定領域に割り当てられ、さらに、
前記温度プロファイルによって記録される前記測定領域の多数の測定地点について前記温度プロファイルから温度値の経時的変化を求めるステップと、
前記測定領域における前記横方向の熱流を特徴付ける少なくとも1つの評価基準に基づいて前記経時的変化を評価するステップと、
を含み、
前記評価において、前記温度プロファイル内の前記温度値の少なくとも1つの局所最大を探索し、
前記評価において、前記温度プロファイル内の前記温度値の局所最大の前記領域における熱容積濃度値を求め、熱容積濃度値の経時的変化を評価し、
前記熱容積濃度値は、隣接する周辺領域と比較した、直接局所温度最大における熱量の比率の尺度であることを特徴とするサーモグラフ試験方法。」

なお、本願発明2-8の概要は以下のとおりである。

本願発明2-7は、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明8は、本願発明1-7に対応する試験装置の発明であり、本願発明1-7とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(実公平07-004559号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引1a)「この考案は、表面欠陥検査装置に関するものであり、被検査材表面の健全部と欠陥部の赤外線放射量の特徴の相違から被検査材の健全部と欠陥部を確実に弁別する装置を提供するものである。」(第3欄第16-19行)

(引1b)「〔実施例〕
第1図はこの考案の一実施例を示す図であり、(1)?(8)、(11)?(12)は前記従来装置とまったく同一のものである。(9)は第一の遅延回路、(13)は第二の遅延回路、(10)は第一の減算回路、(14)は第二の減算回路である。
動作について説明する。被検査材搬送装置(2)により所定方向に搬送された被検査材(1)の表面は、所定位置にて加熱装置(3)によって加熱され、加熱前の未加熱領域の放射する赤外線及び加熱後の加熱領域の放射する赤外線は共に走査装置(5)によって前記未加熱領域と加熱領域を所定の順序で走査される赤外線検出器(4)によって検出される。
この際加熱領域については被検査材搬送方向に沿って異なる二つの領域を走査される。本実施例では、第一の加熱領域は加熱直後の領域、第二の加熱領域は加熱後所定時間、例えば5秒前後経過した領域となるように設定している。検出された赤外線信号は増幅器(6)によって増幅されたあと走査装置(5)の走査に同期して同期回路(8)が発生する同期信号をもとに信号分離回路(7)によって未加熱領域の第一の赤外線信号と第一の加熱領域の第二の赤外線信号と第二の加熱領域の第三の赤外線信号とに分離される。
未加熱領域の第一の赤外線信号は、第一の遅延回路(9)により、又第一の加熱領域の第二の赤外線信号は第二の遅延回路(13)によって各々異なる所定量遅延され第二の加熱領域の第三の赤外線信号と第一の遅延回路(9)によって遅延された未加熱領域の第一の赤外線信号は、第一の減算回路(10)によって減算される。一方同じく第二の加熱領域の第三の赤外線信号と第二の遅延回路(13)によって遅延された第一の加熱領域の第二の赤外線信号は、第二の減算回路(14)によって減算される。遅延回路の遅延量としては通常被検査材が未加熱領域から第一の加熱領域及び第二の加熱領域まで搬送される時間が使用される。本実施例では被検査材が第一の加熱領域から第二の加熱領域まで搬送されるまでに例えば5秒前後かかるため、第一の遅延回路の遅延量は第二の遅延回路の遅延量にたいして5秒多く設定されている。例えばヘゲ等の表面欠陥は熱容量が小さく、加熱される時間も早いが、冷却する時間も早いため例えば5秒程度の時間の経過によりほとんど加熱前の温度に復帰するため、第一の減算回路(10)の減算値出力が大きく、第二の減算回路(14)の減算値出力が小さくなるのに対し、角柱状の被検査材の各コーナ部ではその熱容量が大きく例えば5秒程度の時間経過ではほとんど温度差が発生しないため、第一の減算回路(10)の減算値出力と第二の減算回路(14)の減算値出力に大きな差がないため、判定回路(11)の判定基準として、第一の減算回路の減算値出力が所定量以上、かつ、第二の減算回路の減算値出力が所定量以下のときのみ欠陥有りとすればヘゲ等の被検査材の一部が母材から浮き上がったような表面欠陥と角柱状被検査材のコーナ健全部との弁別が可能となる。」(第4欄第41行-第5欄末行)

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「被検査材表面の健全部と欠陥部の赤外線放射量の特徴の相違から被検査材の健全部と欠陥部を確実に弁別する方法において、
被検査材搬送装置(2)により所定方向に搬送された被検査材(1)の表面は、所定位置にて加熱装置(3)によって加熱され、
加熱前の未加熱領域の放射する赤外線及び加熱後の加熱領域の放射する赤外線は共に走査装置(5)によって前記未加熱領域と加熱領域を所定の順序で走査される赤外線検出器(4)によって検出され、
第一の加熱領域は加熱直後の領域、第二の加熱領域は加熱後所定時間、例えば5秒前後経過した領域となるように設定し、
検出された赤外線信号は、未加熱領域の第一の赤外線信号と第一の加熱領域の第二の赤外線信号と第二の加熱領域の第三の赤外線信号とに分離され、
未加熱領域の第一の赤外線信号は、第一の遅延回路(9)により、又第一の加熱領域の第二の赤外線信号は第二の遅延回路(13)によって各々異なる所定量遅延され、
第二の加熱領域の第三の赤外線信号と第一の遅延回路(9)によって遅延された未加熱領域の第一の赤外線信号は、第一の減算回路(10)によって減算され、
第二の加熱領域の第三の赤外線信号と第二の遅延回路(13)によって遅延された第一の加熱領域の第二の赤外線信号は、第二の減算回路(14)によって減算され、
判定基準として、第一の減算回路の減算値出力が所定量以上、かつ、第二の減算回路の減算値出力が所定量以下のときのみ欠陥有りとする
被検査材表面の健全部と欠陥部の赤外線放射量の特徴の相違から被検査材の健全部と欠陥部を確実に弁別する方法」

2 引用文献2及び3について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開平05-066209号公報)には、図面とともに「構造物の表面又は内部欠陥の検知方法」が記載されている。そして、引用文献3(特開2006-337232号公報)には、図面とともに「コンクリート構造物の非破壊検査装置及びコンクリート構造物の非破壊検査方法」が記載されている。

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明における「被検査材表面の健全部と欠陥部の赤外線放射量の特徴の相違から被検査材の健全部と欠陥部を確実に弁別する方法」、「判定基準」は、本願発明1における「試験対象の表面付近の欠陥の局所的解像検知及び識別のためのサーモグラフ試験方法」、「評価基準」に相当する。

引用発明の「走査装置(5)によって前記未加熱領域と加熱領域を所定の順序で走査される赤外線検出器(4)によって検出され」た、「赤外線信号」は、本願発明の「サーモグラフ画像」に相当する。

引用発明の「検出された赤外線信号」を「分離」した、「未加熱領域の第一の赤外線信号と第一の加熱領域の第二の赤外線信号と第二の加熱領域の第三の赤外線信号」は、本願発明1の「位置的に適正に割り当てられた温度プロファイル」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「試験対象の表面付近の欠陥の局所的解像検知及び識別のためのサーモグラフ試験方法であって、
欠陥により影響を受ける欠陥領域と欠陥がない前記試験対象の材料との間に熱的不均衡を生じさせ、欠陥領域の欠陥がない周辺領域は加熱されないか又は前記欠陥領域より強く加熱されないように、前記試験対象の部分を加熱するステップと、
各々がサーモグラフ画像により記録された前記試験対象の表面領域における局所温度分布を表す、時間間隔で連続する一連のサーモグラフ画像を記録するステップと、
前記サーモグラフ画像から、局所解像プロファイルである位置的に適正に割り当てられた温度プロファイルを特定するステップと、
を含み、前記温度プロファイルにおける異なる位置は、前記それぞれの位置において前記温度を表す測定された変数の値をそれぞれ割り当てられ、各々の位置的に適正に割り当てられた温度プロファイルは、前記試験対象の前記表面の前記同じ測定領域に割り当てられ、さらに、
前記温度プロファイルによって記録される前記測定領域の多数の測定地点について前記温度プロファイルから温度値の経時的変化を求めるステップと、
前記測定領域における1つの評価基準に基づいて前記経時的変化を評価するステップと、
を含む、
サーモグラフ試験方法。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1では、「評価基準」が、「前記測定領域における前記横方向の熱流を特徴付ける少なくとも1つの評価基準」であり、「評価」が、「前記温度プロファイル内の前記温度値の少なくとも1つの局所最大を探索し」、「前記温度プロファイル内の前記温度値の局所最大の前記領域における熱容積濃度値を求め、熱容積濃度値の経時的変化を評価し」、「前記熱容積濃度値は、隣接する周辺領域と比較した、直接局所温度最大における熱量の比率の尺度である」のに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

(相違点2)データを記録する時間間隔が、本願発明1では、「各々がサーモグラフ画像により記録された前記試験対象の表面領域における局所温度分布を表す、横方向の熱流が前記局所的に加熱された欠陥領域から、横方向に前記欠陥領域の前記周辺領域に流れたことが明らかになったときに始まる熱伝播段階内にある時間間隔」であるのに対し、引用発明では、そのような特定がなされていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討すると、相違点1に係る本願発明1の、「評価基準」が、「前記測定領域における前記横方向の熱流を特徴付ける少なくとも1つの評価基準」であり、「評価」が、「前記温度プロファイル内の前記温度値の少なくとも1つの局所最大を探索し」、「前記温度プロファイル内の前記温度値の局所最大の前記領域における熱容積濃度値を求め、熱容積濃度値の経時的変化を評価し」、「前記熱容積濃度値は、隣接する周辺領域と比較した、直接局所温度最大における熱量の比率の尺度である」という構成は、上記引用文献2及び3には記載されていない。
したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-7について
本願発明2-7も、本願発明1の「評価基準」が、「前記測定領域における前記横方向の熱流を特徴付ける少なくとも1つの評価基準」であり、「評価」が、「前記温度プロファイル内の前記温度値の少なくとも1つの局所最大を探索し」、「前記温度プロファイル内の前記温度値の局所最大の前記領域における熱容積濃度値を求め、熱容積濃度値の経時的変化を評価し」、「前記熱容積濃度値は、隣接する周辺領域と比較した、直接局所温度最大における熱量の比率の尺度である」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明8について
本願発明8は、本願発明1-7に対応する試験装置の発明であり、本願発明1の「評価基準」が、「前記測定領域における前記横方向の熱流を特徴付ける少なくとも1つの評価基準」であり、「評価」が、「前記温度プロファイル内の前記温度値の少なくとも1つの局所最大を探索し」、「前記温度プロファイル内の前記温度値の局所最大の前記領域における熱容積濃度値を求め、熱容積濃度値の経時的変化を評価し」、「前記熱容積濃度値は、隣接する周辺領域と比較した、直接局所温度最大における熱量の比率の尺度である」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1-8について上記引用文献1ないし3に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、平成29年7月20日付け手続補正により補正された請求項1、8は、それぞれ「評価基準」が、「前記測定領域における前記横方向の熱流を特徴付ける少なくとも1つの評価基準」であり、「評価」が、「前記温度プロファイル内の前記温度値の少なくとも1つの局所最大を探索し」、「前記温度プロファイル内の前記温度値の局所最大の前記領域における熱容積濃度値を求め、熱容積濃度値の経時的変化を評価し」、「前記熱容積濃度値は、隣接する周辺領域と比較した、直接局所温度最大における熱量の比率の尺度である」という事項、「評価基準」が、「前記測定領域における前記横方向の熱流を特徴付ける少なくとも1つの評価基準」であり、「評価」が、「前記温度プロファイル内の前記温度値の少なくとも1つの局所最大を探索し」、「前記温度プロファイル内の前記温度値の局所最大の前記領域における熱容積濃度値を求め、熱容積濃度値の経時的変化を評価し」、「前記熱容積濃度値は、隣接する周辺領域と比較した、直接局所温度最大における熱量の比率の尺度である」に対応する構成を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1-8は、上記引用文献1に記載された発明及び上記引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
1 特許法第36条第6項第1号について
当審では、請求項1の「熱濃度値」と「熱容積濃度値」とは、同じものか否か不明であるが、両者が同じものを指しているのであれば、請求項1及び発明の詳細な説明に記載された上記用語が不統一であり、その結果、両者の対応関係が不明瞭となるとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年7月20日付けの補正において、「熱濃度値」は「熱容積濃度値」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

2 特許法第36条第6項第2号について
(1)当審では、請求項1には、「前記評価において、前記温度プロファイル内の前記温度値の局所最大の前記領域における熱濃度値を求め、熱容積濃度値の経時的変化を評価することを特徴とするサーモグラフ試験方法。」と記載されているが、この中で「熱濃度値」及び「熱容積濃度値」とはどの様なものか、また、「熱濃度値」と「熱容積濃度値」とは、同じものなのか否か、明細書及び図面の記載並びに優先権主張日時点の技術常識を考慮しても理解できないし、具体的にどの様に求められるものなのも理解できないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年7月20日付けの補正において、「熱濃度値」は「熱容積濃度値」と補正され、「前記熱容積濃度値は、隣接する周辺領域と比較した、直接局所温度最大における熱量の比率の尺度である」と補正された。そして、同日付けの意見書の主張を踏まえれば、その具体的求め方も、当時の技術常識より理解することができるといえるから、この拒絶の理由は解消した。

(2)当審では、請求項2は、請求項1の評価において、「前記局所最大の前記領域における温度値の前記振幅の経時的変化を評価する」ものであるが、この「前記局所最大の前記領域における温度値の前記振幅の経時的変化を評価する」のは、「熱容積濃度値の経時的変化を評価すること」に加えて行うものなのか、「熱容積濃度値の経時的変化を評価すること」に代えて行うものなのか、不明であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年7月20日付けの補正において「前記熱容積濃度値の経時的変化を評価することに加えて、前記局所最大の前記領域における温度値の前記振幅の経時的変化を評価すること」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

(3)当審では、請求項6には、
「・・・
前記第1の画像詳細及び前記第2の画像詳細のサーモグラフ・データを一緒に評価するステップとを実行し、
欠陥らしい異常が識別された場合と、好ましくは、前記温度プロファイル内の前記温度値の局所最大が探索されることを特徴とする、請求項4から請求項5のいずれかに記載のサーモグラフ試験方法。」
と記載されているが、この記載の中で、「欠陥らしい異常が識別された場合と、好ましくは、前記温度プロファイル内の前記温度値の局所最大が探索されること」は、日本語として理解できない。
また、本願の明細書や図面を参酌すると「前記第1の画像詳細及び前記第2の画像詳細」は、「前記温度プロファイル内の前記温度値の局所最大」を探索することにより見つけ出されるものであると認められるところ、「前記第1の画像詳細及び前記第2の画像詳細のサーモグラフ・データを一緒に評価するステップとを実行し、」「前記温度プロファイル内の前記温度値の局所最大が探索されること」とは、どの様なことを行っているのか理解できないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年7月20日付けの補正において「前記第1の画像詳細及び前記第2の画像詳細は、欠陥らしい異常を特定するために、前記温度プロファイル内の前記温度値の局所最大を探索することで見つけ出されること」と補正された結果、の拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1-8は、当業者が引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-09-22 
出願番号 特願2013-503106(P2013-503106)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G01N)
P 1 8・ 121- WY (G01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 福田 裕司  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 福島 浩司
渡戸 正義
発明の名称 サーモグラフ試験方法及びこの試験方法を実行するための試験装置  
代理人 須田 洋之  
代理人 大塚 文昭  
代理人 近藤 直樹  
代理人 西島 孝喜  
代理人 弟子丸 健  
代理人 工藤 嘉晃  
代理人 上杉 浩  
代理人 田中 伸一郎  

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