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審決分類 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61B
審判 一部申し立て 2項進歩性  A61B
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  A61B
管理番号 1333228
異議申立番号 異議2017-700063  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-01-26 
確定日 2017-09-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5956127号発明「脈波センサ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5956127号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第5956127号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5956127号の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成23年9月20日に特許出願され、平成28年6月24日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人 田野岡 洋介(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年3月22日付けで取消理由が通知され、その取消理由通知の指定期間内である同年5月22日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して申立人に相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、意見書の提出はなかったものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容(下線部は訂正箇所を示す。)
特許権者は、以下の訂正事項1により特定されるとおり訂正することを請求する。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「発光部から生体に光を照射して前記生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部」とあるのを、「発光部と、受光部と、枡形状のケースと、前記ケースを前記発光部が載置される第1領域と前記受光部が載置される第2領域に分割する遮光壁と、を備え、前記発光部から生体に光を照射して前記生体内を透過した光の強度を前記受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について
「光センサ部」を「発光部と、受光部と、枡形状のケースと、前記ケースを前記発光部が載置される第1領域と前記受光部が載置される第2領域に分割する遮光壁と、を備え」るものに限定し、それに伴い「生体に光を照射」する「発光部」を、「光センサ部」の「前記発光部」と限定し、さらに「生体内を透過した光の強度を」「検出する」「受光部」を「前記受光部」と限定するものであり、また、特許明細書に「【0007】・・・前記光センサ部は、枡形状のケースと、前記ケースを前記発光部が載置される第1領域と前記受光部が載置される第2領域に分割する遮光壁と、を有する構成(第1-1の構成)とされている。」、「【0048】<光センサ部(構造)>・・・第1構成例の光センサ部11は、ケース11aと、遮光壁11bと、透光板11zと、発光部Aと、受光部Bと、を有する。
【0049】ケース11aは、発光部Aと受光部Bを収納する枡形状の部材である。・・・
【0050】遮光壁11bは、ケース11aを発光部Aが載置される第1領域と受光部Bが載置される第2領域に分割する部材である。」と記載されているから、新規事項ではなく、特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)一群の請求項について
訂正事項1は、訂正前の請求項1を訂正するものであるが、訂正前の請求項1を訂正前の請求項2?4が直接的または間接的に引用しているから、訂正前の請求項1?4は一群の請求項である。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対する訂正である。

(3)独立特許要件
特許異議の申立てがされていない請求項2?4は、上記「1(1)訂正事項1」による請求項1の訂正によって、訂正されることになったものであるから、独立特許要件について検討する必要がある。
請求項1を引用する訂正後の請求項2?4に記載された各発明は、光センサ部の配置や個数、ないしは、発光部の出力波長の点に関して発明特定事項をさらに追加したものであって、訂正後の請求項1に係る発明と同じく、発明の詳細な説明に記載されたものであり、かつ、明確であるから、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしている。
また、訂正後の請求項1に記載された発明は、本件特許査定までに審査で引用された引用文献1(特開2005-270543号公報)及び引用文献2(特開平10-108845号公報)、並びに、特許異議の申立てにおいて提出された甲第1号証(特開2005-40261号公報)に記載された発明及び周知技術からは、容易に想到できたことの論理付けが不可能であって、さらに、他に容易に発明をすることができたものとする理由もなく、その従属項についても同様のことがいえるとの理由により、訂正後の請求項2?4に記載された各発明についても、当業者といえども本件特許出願前に容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものには該当しないことが明らかである。また、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものには該当しないことについても、上記の理由から明白である。
よって、訂正後の請求項2?4に記載された各発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。

(4)小括
したがって、上記訂正請求による訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項で準用する同法第126条第5項から第7項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正を認める。

第3 本件訂正発明について
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1?4に係る発明(以下、「本件訂正発明1」?「本件訂正発明4」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
発光部と、受光部と、枡形状のケースと、前記ケースを前記発光部が載置される第1領域と前記受光部が載置される第2領域に分割する遮光壁と、を備え、前記発光部から生体に光を照射して前記生体内を透過した光の強度を前記受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部と、
前記光センサ部を担持する本体部と、
を有する脈波センサであって、
前記本体部は、平面視円形状であり、その端部にベルトが接続されることで前記生体への装着時に前記生体側への押圧力が与えられる部材であり、
前記光センサ部は、前記本体部の表面上において、前記本体部の中心と押圧力が与えられる端部との間であり且つ前記中心よりも前記端部に近い位置に設けられていることを特徴とする脈波センサ。
【請求項2】
前記光センサ部は、前記本体部と前記ベルトとの接続点から10mm以内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の脈波センサ。
【請求項3】
前記光センサ部は、前記本体部の表面上において、前記生体側への押圧力が最大となる着力点の近傍領域内に複数設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脈波センサ。
【請求項4】
前記発光部の出力波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属することを特徴とする請求項1?請求項3のいずれか一項に記載の脈波センサ。」

第4 特許異議の申立てについて
1 取消理由通知の概要
取消理由1(特許法第36条第6項第1号違反について)
「請求項1は「発光部から生体に光を照射して前記生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部」と特定している。
一方、発明の詳細な説明には、「【0005】・・・従来の脈波センサは、基本的に被験者の安静時における脈波を測定するものであり、被験者の運動時における脈波を精度良く測定することは困難であった。」と運動時における脈波検出についての課題が記載されており、その解決手段として「【0007】上記の目的を達成するために、本明細書中に開示された脈波センサは、発光部から生体に光を照射して前記生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部を備えた脈波センサであって、前記光センサ部は、枡形状のケースと、前記ケースを前記発光部が載置される第1領域と前記受光部が載置される第2領域に分割する遮光壁と、を有する構成(第1-1の構成)とされている。」と記載されている(以下、「枡形状のケースと、前記ケースを前記発光部が載置される第1領域と前記受光部が載置される第2領域に分割する遮光壁と、を有し、「発光部」と「受光部」を備えた光センサ部」を構成Aと呼ぶ。)。
また、上記課題を解決する実施例として構成Aを備えた第1構成例?第6構成例については記載されているが、構成A以外の光センサ部について、上記課題を解決することは記載されていない。
明細書全体を見渡しても「発光部」と「受光部」を備えた「光センサ部」として上記課題を解決するものとして、構成A以外は記載されていない。
しかも、構成A以外の「光センサ部」に対して、如何にして上記課題を解決するのかは不明である。
してみると、発明の詳細な説明には、「発光部」と「受光部」を備えた「光センサ部」としては構成Aについてのみが技術的な裏付けを持って記載されているといえる。
そうすると、請求項1における「発光部」と「受光部」を備えた「光センサ部」について、構成A以外の「光センサ部」は、発明の詳細な説明に技術的な裏付けを持って記載されていないのでサポートがないものである。
したがって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
よって、請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。」

2 判断
上記訂正事項1により、本件訂正発明1は上記構成Aを備えたものとなったので、取消理由通知で指摘した記載不備は解消した。

3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許法第29条第1項第3号、同条第2項違反について
訂正前の請求項1に係る特許は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものである。
また、訂正前の請求項1に係る特許は、甲第1号証に記載された発明と相違するとしても、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(2)甲号証の記載事項
ア 甲第1号証(特開2005-40261号)の記載事項
甲第1号証には、次の事項が記載されている(下線は、当審により付加したもの。)。
(ア)
「0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被験者の手首の動脈に赤外線領域の波長を有する光を照射し、上記動脈内の赤血球で反射された反射光から、上記被験者の脈波を検出する脈波センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
脈拍数の計測には、通常、血管のある部位に赤外線あるいは近赤外領域の光を照射し、その反射光あるいは透過光から、上記被験者の脈波を検出する光学式の脈波センサが多く用いられている。
図2(a)、(b)は手首10に装着し、手首10の動脈中の赤血球の動きを検出して被験者の脈波を計測する従来の脈波センサ20Aを示す図で、この脈波センサ20Aは、発光素子21と受光素子22とをセンサケース23に収納したもので、上記発光素子21と受光素子22の裏面側は半透明の封入接着剤24により上記センサケース23に固着されており、上記発光素子21の発光面21s及び受光素子22の受光面22sの外側(手首10側)には透明なアクリル板25が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
上記発光素子21や受光素子22は、図示しない発光チップや受光チップを樹脂等の光学系外包器で被覆したもので、上記発光チップや受光チップはそれぞれの光学系外包器の基台部21a、22aに埋設されており、上記基台部21a、22aから突出する導光部21b、22bの先端部がそれぞれ発光素子21の発光面21s及び受光素子22の受光面22sとなる。
被験者は、上記脈波センサ20Aを、上記発光面21sと受光面22sがそれぞれ手首10の図示しない動脈の直上近傍に位置するように、手首10の内側にベルト30にて装着して脈波を検出する。なお、被験者の脈拍数は、上記検出された脈波の振動数を計数して算出することができる。」

(イ)
「【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
なお、従来例と部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
図1(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る脈波センサ20の概略構成を示す図で、21は発光素子、22は受光素子、23はセンサケース、28は上記発光素子21と受光素子22を上記センサケース23に封入するための封入接着剤で、本例では、上記封入接着剤28として、例えば、黒色の接着剤などの遮光性を有する接着剤を用いている。また、29は上記発光素子21と受光素子22の導光部21b、22bの外周部を被覆する外装支持部材で、この外装支持部材29は遮光性を有する樹脂あるいは接着剤から構成されている。
本例の脈波センサ20では、発光素子21の先端部である発光面21sと受光素子22の先端部である受光面22sとをセンサケース23の手首10に当接する面から突出させるとともに、上記発光面21sと受光面22sとをセンサ外部に露出させ、この若干突出された発光素子21と受光素子22の先端部の周囲、すなわち、上記発光面21sと上記受光面22sを除く部分を上記外装支持部材29で被覆するようにしている。したがって、上記脈波センサ20の手首10に当接する面は、上記発光面21sと上記受光面22s及びその周辺の外装支持部材29がやや盛り上がった面となり、上記脈波センサ20を手首10に装着した場合には、上記発光面21sと受光面22sとは皮膚に圧接され、かつ、その周りが遮光材(外装支持部材29)で囲まれた構成となる。
【0010】
このような構成の脈波センサ20を手首10に当接させると、発光素子21の発光面21sが直接手首10に当接し、かつ、皮膚に圧接されるため、従来のような透過損失がなく、発光素子21から手首10方向へ照射された近赤外線は全てが手首10に注入されるので、発光素子21からの近赤外光を効率的に利用することができる。」

(ウ)【図1】(b)より、楕円状のセンサケース23を備えた脈波センサが見て取れる。

(エ)図1


(オ)上記ア(ア)?(エ)の記載内容を総合すると、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「発光素子21と受光素子22を封入接着剤で楕円状のセンサケース23に封入し、手首10の内側に装着し脈波を検出するためのベルト30を備え、
発光素子21の先端部である発光面21sと受光素子22の先端部である受光面22sとをセンサケース23の手首10に当接する面から突出させるとともに、上記発光面21sと受光面22sとをセンサ外部に露出させ、この若干突出された発光素子21と受光素子22の先端部の周囲、すなわち、上記発光面21sと上記受光面22sを除く部分を遮光性を有する樹脂あるいは接着剤から構成される外装支持部材29で被覆する脈波センサ20。」

(3)対比・判断
ア 本件訂正発明1について
(ア)対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明は、本件訂正発明1の「「枡形状のケースと、前記ケースを前記発光部が載置される第1領域と前記受光部が載置される第2領域に分割する遮光壁と、を備え」た光センサ部と、
「前記光センサ部」は、前記本体部の表面上において、前記本体部の中心と押圧力が与えられる端部との間であり且つ前記中心よりも前記端部に近い位置に設けられている」構成を備えていない点(以下、「相違点1」という。)、
で相違し、その余の点で一致する。

(イ)判断
上記相違点1を検討する。
「枡形状のケースと、前記ケースを前記発光部が載置される第1領域と前記受光部が載置される第2領域に分割する遮光壁と、を備え」た光センサ部は、甲1発明が備えていないし、周知技術であるとはいえない。
さらに、発光部と受光部が一体となった光センサ部が「前記本体部の表面上において、前記本体部の中心と押圧力が与えられる端部との間であり且つ前記中心よりも前記端部に近い位置に設けられている」構成についても甲1発明が備えていないし、周知技術であるとはいえない。
したがって、甲1発明から、相違点1に係る本件訂正発明1の構成を容易に想到し得るということはできない。

以上のとおり、本件訂正発明1は、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(4)特許法第36条第6項第2号について
ア 請求項1について
アー1 「前記中心よりも前記端部に近い位置」が不明確である。
(特許異議申立書2頁の理由の要点)と主張する。
イ 判断
アー1については、光センサ部の配置を特定するためには、「前記中心よりも前記端部に近い位置」で十分特定できるといえるから、明確であるので特許法第36条第6項第2号の要件を満たさないとはいえない。
したがって、申立人のかかる主張に理由があるとはいえない。

(5)特許法第36条第6項第1号について
ア 請求項1について
アー1 「生体」についての限定記載がなく、押圧力の分布に一般性がないことから、任意の計測対象に拡張することには、発明の詳細な記載の構成を超える。
アー2 受信信号の信号強度を向上し得る範囲として「D≦10mm」としか示されておらず、「光センサ部」を本体部の中心と押圧力が与えられる端部との間でかつ中心より端部側の任意の位置に設けることは、発明の詳細な記載の範囲を超える。
(特許異議申立書3頁の理由の要点)と主張する。
イ 判断
アー1については、特許明細書に「【0034】 なお、図1では、図示の便宜上、脈波センサ(発光部と受光部)を手首の腹側に装着した様子が描写されているが、脈波センサの装着位置についてはこれに限定されるものではなく、手首の背側であってもよいし、他の部位(指先、指の第3関節、額、眉間、鼻先、頬、眼下、こめかみ、耳たぶなど)であってもよい。」との記載があることから、一般的な生体を測定対象とすることが記載されており、しかも、脈波センサが「生体」の一部に適度に接触している程度で脈波が測定可能であることは技術常識であるので、本件訂正発明1の「脈波センサ」の適用範囲を、「生体」とすることについては、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化することができないとまではいえないので、特許法第36条第6項第1号の要件を満たしている。
したがって、申立人のかかる主張に理由があるとはいえない。

アー2については、特許明細書に「【0075】このような腕時計構造の脈波センサ1について、本願の発明者らは、本体ユニット10に与えられる生体2側への押圧力が所定の分布を有しており、光センサ部11の配設位置に応じて、光センサ部11と生体2との密着性(延いては受光信号の信号強度)が異なるという知見を得た。」との記載があることから、本件訂正発明1において「光センサ部」を「本体部の中心と押圧力が与えられる端部との間であり且つ前記中心よりも前記端部に近い位置に設け」ることは、発明の詳細な記載の範囲を超えるとまではいえないので、特許法第36条第6項第1号の要件を満たしている。
したがって、申立人のかかる主張に理由があるとはいえない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、受光部と、枡形状のケースと、前記ケースを前記発光部が載置される第1領域と前記受光部が載置される第2領域に分割する遮光壁と、を備え、前記発光部から生体に光を照射して前記生体内を透過した光の強度を前記受光部で検出することにより脈波データを取得する光センサ部と、
前記光センサ部を担持する本体部と、
を有する脈波センサであって、
前記本体部は、平面視円形状であり、その端部にベルトが接続されることで前記生体への装着時に前記生体側への押圧力が与えられる部材であり、
前記光センサ部は、前記本体部の表面上において、前記本体部の中心と押圧力が与えられる端部との間であり且つ前記中心よりも前記端部に近い位置に設けられていることを特徴とする脈波センサ。
【請求項2】
前記光センサ部は、前記本体部と前記ベルトとの接続点から10mm以内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の脈波センサ。
【請求項3】
前記光センサ部は、前記本体部の表面上において、前記生体側への押圧力が最大となる着力点の近傍領域内に複数設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脈波センサ。
【請求項4】
前記発光部の出力波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属することを特徴とする請求項1?請求項3のいずれか一項に記載の脈波センサ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-08-30 
出願番号 特願2011-204408(P2011-204408)
審決分類 P 1 652・ 121- YAA (A61B)
P 1 652・ 113- YAA (A61B)
P 1 652・ 537- YAA (A61B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 湯本 照基  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
信田 昌男
登録日 2016-06-24 
登録番号 特許第5956127号(P5956127)
権利者 ローム株式会社
発明の名称 脈波センサ  
代理人 特許業務法人佐野特許事務所  
代理人 特許業務法人 佐野特許事務所  

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