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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01N
管理番号 1333677
審判番号 不服2016-17355  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-21 
確定日 2017-10-18 
事件の表示 特願2014-513237「臓器保存用組成物とその用途」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月 3日国際公開、WO2013/001196、平成26年 7月17日国内公表、特表2014-516981〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年5月30日(パリ条約による優先権主張2011年5月31日、仏国)を国際出願日とする出願であって、原審において平成28年6月24日付けで誤訳訂正がなされ、同年7月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月21日付けで拒絶査定に対する不服審判請求がなされたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、上記平成28年6月24日付けの誤訳訂正によって訂正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる。(以下「本願発明」という。)

「【請求項1】
脳死後臓器提供ドナーまたは心臓死後臓器提供ドナー中で臓器を保存するための、少なくとも、クロムシ科の1種類のグロビン、クロムシ科の1種類のグロビンプロトマー又はクロムシ科の1種類の細胞外ヘモグロビンと、安定化溶液及び臓器保存液と、を含む組成物の使用方法であり、
上記組成物は、0℃から37℃の間の温度を有し、
上記安定化溶液は、塩を含む水溶液であり、かつ、上記組成物に6.5と7.6との間のpHを付与するものである、使用方法。」


第3 引用刊行物
1 刊行物1
原査定の拒絶理由で引用された、本願の優先日前である平成22年11月25日に頒布された刊行物である特表2010-535485号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。(なお、下線は審決で付した。以下同じ。)
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
臓器、組織、または臓器細胞もしくは組織細胞を保存するための組成物、あるいは、臓器もしくは組織、または臓器細胞もしくは臓器組織の培養物を灌流するための組成物を作製するための、環形動物門から選ばれる無脊椎動物の、少なくとも1種のグロビン、および/または、少なくとも1種のグロビンプロトマー、および/または、少なくとも1種の天然に細胞外のネイティブヘモグロビンの使用方法であって、
前記少なくとも1種のグロビン、および/または、前記少なくとも1種のグロビンプロトマー、および/または、前記少なくとも1種の天然に細胞外のネイティブヘモグロビンを、終濃度0.625mg/ml?100mg/mlで、ウイスコンシン大学液(UW, Viaspan(登録商標))、IGL1(登録商標)、Celcior(登録商標)、SCOT Maco(登録商標)、BMPS Belzer(登録商標)、Custodiol(登録商標) (HTK)、Euro-Collins(登録商標)、Soltran(登録商標)、Perfadex(登録商標)、Ringer lactate(登録商標)、もしくはPlegisol(登録商標)から選択される臓器保存培地または同様の溶液、あるいは、D-MEM、D-MEM/F-12、MEM、RPMI 1640、もしくはmedium 199から選択される細胞培地または同様の培地と組み合わせる、使用方法。

【請求項5】
前記グロビン、および/または、前記グロビンプロトマー、および/または、前記ネイティブヘモグロビンが海洋虫由来であることを特徴とする請求項1?5のいずれか1項に記載の少なくとも1種のグロビン、および/または、少なくとも1種のグロビンプロトマー、および/または、少なくとも1種のネイティブヘモグロビンの使用方法。
【請求項6】
前記海洋虫がアレニコラ マリナ(Arenicola marina)であることを特徴とする請求項6に記載の少なくとも1種のグロビン、および/または、少なくとも1種のグロビンプロトマー、および/または、少なくとも1種のネイティブヘモグロビンの使用方法。

【請求項9】
臓器もしくは臓器細胞の保存のための、または細胞培養のための前記組成物の温度が、4℃?約15℃であることを特徴とする請求項1?6および8のいずれか1項に記載の少なくとも1種のグロビン、および/または、少なくとも1種のグロビンプロトマー、および/または、少なくとも1種のネイティブヘモグロビンの使用方法。」

(2)「【0001】
〔技術分野〕
本発明は、少なくとも1種のグロビン、および/または、少なくとも1種のグロビンプロトマー、および/または、少なくとも1種の天然に細胞外のネイティブヘモグロビンの、臓器、組織、または臓器細胞、組織細胞、もしくは細胞培養物の保存のための、使用方法に関する。」

(3)「【0007】
提供者からの摘出後、臓器には酸素が供給されないため、臓器移植の過程においては、提供者からの摘出後から患者への移植までの間、人体外で、できるだけ長く臓器を生きた状態に保つことが移植の成功に欠かせず、保存方法の開発が必要となる。」

(4)「【0025】
従って、本発明の目的の1つは、グロビン、および/または、グロビンプロトマー、および/または、細胞外ヘモグロビンを、臓器、組織、あるいは、臓器細胞または組織細胞の保存のための組成物を実現できる、臓器または細胞培養物保存のための培地と組み合わせて提供することである。」

(5)「【0033】
従って、本発明は、臓器、組織、臓器細胞、もしくは組織細胞の保存のための組成物、臓器もしくは組織の灌流のための、または、細胞培養のための組成物を作製するために、環形動物門から選択された無脊椎動物の少なくとも1種のグロビン、および/または、少なくとも1種のグロビンプロトマー、および/または、少なくとも1種の天然に細胞外のネイティブヘモグロビン、特に、アレニコラ マリナのような海洋虫の、少なくとも1種のグロビン、および/または、少なくとも1種のグロビンプロトマー、および/または、少なくとも1種の細胞外ヘモグロビンを、最終体積に対して、約0.625mg/ml?約100mg/ml、好ましくは、約0.625mg/ml?約20mg/ml、より好ましくは、約0.625mg/ml?約5mg/ml、特に好ましくは、1.25mg/mlで、臓器保存培地または細胞培地と組み合わせる方法に関する。」

(6)「【0037】
アレニコラ マリナの細胞外ヘモグロビンは、質量約300万?400万ダルトンの巨大な生体高分子で、2種類の約200のポリペプチド鎖から成り立っている。その4分の3は、酸素(O2)と可逆的に結合可能なグロビンタイプの鎖であり、残りは、四次構造を維持する構造鎖(「リンカー」)である。これらは、この分子の抗酸化活性に関与していると考えられている。この分子の機能ユニットは、質量200?250kDAの12量体である。」

(7)「【0051】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記のグロビン、および/または、前記のグロビンプロトマー、および/または、前記の天然ヘモグロビンは、ウイスコンシン大学液(UW, Viaspan(登録商標))、IGL1(登録商標)、Celcior(登録商標)、SCOT Maco(登録商標)、BMPS Belzer(登録商標)、Custodiol(登録商標) (HTK)、Euro-Collins(登録商標)、Soltran(登録商標)、Perfadex(登録商標)、Ringer lactate(登録商標)、またはPlegisol(登録商標)から好ましくは選択された臓器保存培地、または同様の溶液と組み合わせて使用される。」

(8)「【0062】
別の実施形態によれば、臓器灌流または細胞培養のための組成物の温度は、約4℃?約37℃であり、好ましくは約15℃?約37℃であり、より好ましくは約25℃?約37℃であり、特に好ましくは約37℃である。」

(9)「【0069】
好ましい実施形態では、前記臓器もしくは組織、または前記臓器細胞もしくは組織細胞の保存方法は、
・前記臓器もしくは前記組織、または前記臓器細胞もしくは組織細胞を摘出する段階、
・前記臓器もしくは前記組織、または前記臓器細胞もしくは前記組織細胞を、前記の組成物を使用して、約4℃?37℃にて、好ましくは、約4℃?25℃にて、より好ましくは、約4℃?約15℃にて、特に好ましくは約4℃にて、すすぐ段階、および
・前記組成物中にて、前記臓器もしくは前記組織、または前記臓器細胞もしくは前記組織細胞を、その種類に応じた所定の時間、約4℃?37℃にて、好ましくは約4℃?25℃にて、より好ましくは約4℃?約15℃にて、特に好ましくは約4℃にて、静的または動的灌流保存する段階を含む。」

(10)「【0087】
〔実施例〕
〔実施例1〕異なる臓器保存培地における、アレニコラ マリナのヘモグロビンの安定性
これらの研究を、異なる臓器保存培地(T. Hauet教授の研究室により提供された、現在臓器移植において使用されているコロイド溶液)におけるHbAmの安定性を評価するために、実験室において行った。この溶液は、UW(登録商標)、IGL1(登録商標)、Celsior(登録商標)、およびBMPS Belzer(登録商標)である。」

上記(1)乃至(10)の記載から、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「提供者からの摘出後、臓器、組織、または臓器細胞もしくは組織細胞を保存するための組成物、あるいは、臓器もしくは組織、または臓器細胞もしくは臓器組織の培養物を灌流するための組成物を作製するための、環形動物門から選ばれる無脊椎動物の、少なくとも1種のグロビン、および/または、少なくとも1種のグロビンプロトマー、および/または、少なくとも1種の天然に細胞外のネイティブヘモグロビン、特に、アレニコラ マリナのような海洋虫の、少なくとも1種のグロビン、および/または、少なくとも1種のグロビンプロトマー、および/または、少なくとも1種の細胞外ヘモグロビンの使用方法であって、前記少なくとも1種のグロビン、および/または、前記少なくとも1種のグロビンプロトマー、および/または、前記少なくとも1種の天然に細胞外のネイティブヘモグロビン、特に、アレニコラ マリナのような海洋虫の、少なくとも1種のグロビン、および/または、少なくとも1種のグロビンプロトマー、および/または、少なくとも1種の細胞外ヘモグロビンを、終濃度0.625mg/ml?100mg/mlで、ウイスコンシン大学液(UW, Viaspan(登録商標))、IGL1(登録商標)、Celcior(登録商標)、BMPS Belzer(登録商標)からなる溶液、あるいは、D-MEM、D-MEM/F-12、MEM、RPMI 1640、もしくはmedium 199から選択される細胞培地または同様の培地と組み合わせる、使用方法であって、
前記グロビン、および/または、前記グロビンプロトマー、および/または、前記ネイティブヘモグロビンが海洋虫由来であり、
前記海洋虫がアレニコラ マリナ(Arenicola marina)であり、
臓器もしくは臓器細胞の保存のための、または細胞培養のための前記組成物の温度が、4℃?約15℃である、少なくとも1種のグロビン、および/または、少なくとも1種のグロビンプロトマー、および/または、少なくとも1種のネイティブヘモグロビンの使用方法。」

2 刊行物2
原査定の拒絶理由で引用された、本願の優先日前である平成7年8月15日に頒布された刊行物である特開平7-215801号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有用な肺保存剤および肺保存方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、アスコルビン酸とトコフェロールとのリン酸ジエステル化合物またはその薬理学的に許容できる塩を含有してなる有用な肺保存剤並びにこれを用いることを特徴とする肺保存方法に関する。」

(2)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況下、本発明者らは、アスコルビン酸とトコフェロールとのリン酸ジエステル化合物の薬効を鋭意検討するうちに、これら化合物が肺移植の際の肺保存に有用であることを見出した。本発明者らは、この新知見に基づきさらに検討を重ね、本発明を完成したものである。」

(3)「【0017】本発明の肺保存剤は、肺移植の際肺保存剤が使用される公知の態様で、用いることができる。具体的には、たとえば次のように使用することができる。一定温度に冷却した本発明の肺保存剤を滅菌済容器に入れ、この中に移植用肺を入れ、一定温度に冷却する。次に、肺動脈にカテーテルを挿入、これより冷却した本発明の肺保存剤を灌流し、肺内部の血液を洗い流す。死体肺移植の場合においては、肺静脈を切断後、冷却した本発明の保存剤を肺動脈から灌流し、灌流後肺を摘出する。このように処理、摘出した肺を、本発明の保存剤を含有させて予め冷却した滅菌済容器中で、一定温度下において保存する。」

3 刊行物3
原査定の拒絶理由で引用された、本願の優先日前である平成6年7月12日に頒布された刊行物である特開平6-192001号公報(以下「刊行物3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、臓器移植の初期灌流に用いる溶液に関するものである。」

(2)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の課題は、臓器移植用の初期灌流溶液として移植用臓器の機能維持作用に優れ、安定かつ安価な溶液を提供することにある。」

(3)「【0019】試験例3
試験例1と同様の方法で本発明溶液および比較液としてUWを用いて死体内灌流を行った後膵臓を摘出し、自己膵臓摘出犬に同種部分膵臓移植を施行した。移植後、各移植犬の血流を再開させ10分経過したときの移植膵臓の静脈血を採血し、その血清中の過酸化脂質をマロンジアルデヒド法(Malondialdehide法)により測定した。」


第4 対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
1 後者の「提供者」は、移植用臓器を提供する者であるから、前者の「脳死後臓器提供ドナーまたは心臓死後臓器提供ドナー」に相当する。また、前者の「脳死後臓器提供ドナーまたは心臓死後臓器提供ドナー中」の「臓器」と後者の「提供者からの摘出後の臓器」とは、「脳死後臓器提供ドナーまたは心臓死後臓器提供ドナーから提供された臓器」との概念で共通する。そして、後者の「臓器を保存する」は、前者の「臓器を保存する」に相当する。
2 前者の「クロムシ科の1種類の細胞外ヘモグロビン」とは、発明の詳細な説明の記載(【0019】)によると、「タマシキゴカイ(Arenicola marina)の細胞外ヘモグロビン」を包含するものであることがわかる。そうすると、後者の「アレニコラ マリナのような海洋虫の、少なくとも1種の細胞外ヘモグロビン」は、「クロムシ科の1種類の細胞外ヘモグロビン」といえる。
3 後者は、「臓器もしくは臓器細胞の保存のための、または細胞培養のための前記組成物の温度が、4℃?約15℃である」から、「組成物は、0℃から37℃の間の温度を有する使用方法」といえる。
4 前者の「臓器保存液」とは、本願発明の詳細な説明の記載(【0027】?【0031】)によると、「ウィスコンシン大学液(UWまたはViaspan(登録商標))」、「IGL-1(登録商標)」、「Celsior(登録商標)」、「Macopharma の、SCOT 15 Multi Organes Abdominaux(登録商標)、及び、SCOT 30 Greffons Vasculaires(登録商標)」、「BMPS Belzer(登録商標)、又はBelzer機灌流液、又はKPS1」、「Custodiol(登録商標)HTK溶液」、「Euro-Collins(登録商標)」、「Soltran(登録商標)」、「Perfadex(登録商標)」、「Ringer lactate(登録商標)」、「Plegisol(登録商標)」、「Edouard Henriot病院の溶液」、「Steen(登録商標)溶液」が具体例として挙げられている。
そうすると、後者の「ウイスコンシン大学液(UW, Viaspan(登録商標))」、「IGL1(登録商標)」、「Celcior(登録商標)」、「BMPS Belzer(登録商標)」は、いずれも、「臓器保存液」といえる。
5 前者の「安定化溶液」とは、「塩を含む水溶液であり、かつ、上記組成物に6.5と7.6との間のpHを付与するもの」である。そして、本願発明の詳細な説明には、その具体例は示されていないものの、発明の詳細な説明の記載(【0028】?【0030】)によると、「ウィスコンシン大学液(UWまたはViaspan(登録商標))」、「IGL-1(登録商標)」、「Celsior(登録商標)」、「BMPS Belzer(登録商標)、又はBelzer機灌流液、又はKPS1」、「Custodiol(登録商標)HTK溶液」、「Euro-Collins(登録商標)」、「Soltran(登録商標)」、「Ringer lactate(登録商標)」、「Edouard Henriot病院の溶液」は、いずれも、6.5と7.6の間のpHを示し、塩を含む水溶液であるから、「安定化溶液」といえる。
そうすると、後者の「ウイスコンシン大学液(UW, Viaspan(登録商標))」、「IGL1(登録商標)」、「Celcior(登録商標)」、「BMPS Belzer(登録商標)」は、いずれも、「塩を含む水溶液であり、かつ、上記組成物に6.5と7.6との間のpHを付与するもの」である「安定化溶液」といえる。
6 後者の「使用方法」は、「ウイスコンシン大学液(UW, Viaspan(登録商標))」、「IGL1(登録商標)」、「Celcior(登録商標)」、「BMPS Belzer(登録商標)」から「選択される細胞培地または同様の培地と組み合わせる、使用方法」であるから、「選択される細胞培地」が2種以上含まれていることは明らかであり、上記4及び5を勘案すれば、「安定化溶液及び臓器保存液と、を含む組成物の使用方法」といえる。

したがって、両者は、
「脳死後臓器提供ドナーまたは心臓死後臓器提供ドナーから提供された臓器を保存するための、クロムシ科の1種類の細胞外ヘモグロビンと、安定化溶液及び臓器保存液と、を含む組成物の使用方法であり、
上記組成物は、0℃から37℃の間の温度を有し、
上記安定化溶液は、塩を含む水溶液であり、かつ、上記組成物に6.5と7.6との間のpHを付与するものである、使用方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本願発明が、脳死後臓器提供ドナーまたは心臓死後臓器提供ドナー「中で」臓器を保存するための組成物の使用方法であるのに対し、引用発明は、提供者からの摘出後の保存方法である点。


第5 判断
上記相違点について以下検討する。
臓器移植技術における臓器の潅流方法として、死体内で臓器の潅流を行うこと、すなわち、臓器提供ドナー中で臓器を保存するための組成物を使用することは、上記「第3 2及び3」に示されているように、周知の技術手段(以下「周知の技術手段」という。)である。
そして、引用発明も上記周知の技術手段も臓器の潅流方法である点で技術分野が共通し、できるだけ長く臓器を生きた状態に保つという自明の課題を解決する点でも共通するものであるから、引用発明において、上記周知の技術事項を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、引用発明において、上記周知の技術事項を適用することにより、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本願発明の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明、及び上記周知の技術事項から、当業者が予測しうる範囲内のものである。


第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明、及び上記周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-17 
結審通知日 2017-05-23 
審決日 2017-06-05 
出願番号 特願2014-513237(P2014-513237)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 徹  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 藤本 義仁
森次 顕
発明の名称 臓器保存用組成物とその用途  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  

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