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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C08J
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C08J
管理番号 1333911
審判番号 不服2016-15896  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-25 
確定日 2017-10-26 
事件の表示 特願2015- 35342「ゴム組成物の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月28日出願公開、特開2015- 98608〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011年10月3日(優先権主張2010年10月1日、日本国)を国際出願日とする特願2012-536605号の一部を平成27年2月25日に新たな特許出願としたものであって、同年3月20日に上申書が提出され、平成28年2月23日付けで拒絶理由が通知され、同年4月19日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年7月22日付けで拒絶査定がされ、同年10月25日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 本願の特許請求の範囲の請求項1ないし11に係る発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし11に係る発明は、平成28年4月19日に提出された手続補正書により補正された明細書及び特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】
天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、並びにグアニジン類から選ばれる少なくとも1種の加硫促進剤(D)を含むゴム組成物の製造方法であって、該ゴム組成物を3段階以上の混練段階で混練し、混練の第一段階(X)で該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、及び該シランカップリング剤(C)の全部又は一部を混練し、混練の第二段階以降でかつ最終段階より前の段階(Y)で該加硫促進剤(D)を加えて混練し、混練の最終段階(Z)で加硫剤を加えて混練することを特徴とするゴム組成物の製造方法。」

第3 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、請求項1ないし4及び6ないし11に対しての特表2010-529252号公報に基づく新規性進歩性違反並びに請求項1ないし11に対しての特表2002-521516号公報に基づく新規性進歩性違反である。

第4 特表2002-521516号公報(以下、「引用文献1」という。)に基づく新規性進歩性違反について
1 引用文献1の記載等
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物である特表2002-521516号公報には、「ポリ硫化アルコキシシラン、ジチオリン酸亜鉛及びグアニジン誘導体に基づくカップリング系(白色充填剤/ジエンエラストマー)」に関して、次の記載(以下、順に「記載1a」のようにいう。)がある。 なお、下線は大部分は当審で付したものである。

1a 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 タイヤの製造に用いうるゴム組成物であって、基本成分として、少なくとも(i)1種のジエンエラストマー、(ii)補強性充填剤として白色充填剤、(iii)カップリング剤(白色充填剤/ジエンエラストマー)としてポリ硫化アルコキシシランを、(iv)ジチオリン酸亜鉛及び(v)グアニジン誘導体と一緒に含む、前記ゴム組成物。
【請求項2】 該グアニジン誘導体がジフェニルグアニジンである、請求項1記載のゴム組成物。
・・・(略)・・・
【請求項18】 該補強性白色充填剤が大部分シリカである、請求項1?17のいずれか1項に記載のゴム組成物。
・・・(略)・・・
【請求項21】 該ジエンエラストマーが、ポリブタジエン、ポリイソプレン又は天然ゴム、ブタジエン-スチレンコポリマー、ブタジエン-イソプレンコポリマー、イソプレン-スチレンコポリマー、ブタジエン-スチレン-イソプレンコポリマー、又はこれらの化合物の2種以上の混合物からなる群より選ばれる、請求項1?20のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項24】 ゴム組成物の調製方法であって、少なくとも(i)1種のジエンエラストマーに、少なくとも(ii)補強性充填剤として白色充填剤、(iii)カップリング剤(白色充填剤/ジエンエラストマー)としてポリ硫化アルコキシシラン、(iv)ジチオリン酸亜鉛及び(v)グアニジン誘導体を混練りすることにより混合することを特徴とする、前記方法。
【請求項25】 1以上の工程で、(i)該ジエンエラストマーに、少なくとも(ii)該補強性白色充填剤、(iii)該ポリ硫化アルコキシシラン、(iv)該ジチオリン酸亜鉛及び(v)該グアニジン誘導体を混合すること及びその混合物全体が130℃?200℃の最高温度に達するまで熱力学的に混練りされる、請求項24記載の方法。」

1b 「【0001】
本発明は、タイヤ又はタイヤの半加工製品、特にタイヤのトレッドの製造に特に企図された、白色充填剤で補強されたジエンゴム組成物に関する。
燃料経済や環境を保護する要望が優先してきたので、タイヤの構成に関係する様々な半加工製品、例えば、アンダーレイヤ、カレンダーゴム又はサイドウォールゴム、又はトレッドの製造に用いうるゴム組成物として使用し得るように機械的性質が良好でかつヒステリシスのできるだけ小さいエラストマーを製造すること、及び特性の改善された、特にころがり抵抗の低下したタイヤを得ることが望ましい。」

1c 「【0012】
II-1. ジエンエラストマー(当審注:この下線は既に付されていたものであって、当審によるものではない。)
『ジエン』エラストマー又はゴムは、既知のように、ジエンモノマー(モノマーは共役でも非共役でも2つの炭素-炭素二重結合を有する)から少なくとも部分的に得られるエラストマー(即ち、ホモポリマー又はコポリマー)を意味すると理解される。
一般的には、『実質的に不飽和の』ジエンエラストマーは、ここではジエン起源部分又は単位(共役ジエン)の含量が15%(モル%)より多い共役ジエンモノマーから少なくとも部分的に得られるジエンエラストマーを意味すると理解される。
従って、例えば、ブチルゴム又はEPDM型のジエンとα-オレフィンのコポリマーのようなジエンエラストマーは、上記定義には包含せず、特に、『実質的に飽和の』ジエンエラストマー(常に15%未満である低含量又は非常に低含量のジエン起源単位)として記載される。
『実質的に不飽和の』ジエンエラストマーの類別の中で、『高度に不飽和の』ジエンエラストマーは、特に、ジエン起源単位(共役ジエン)の含量が50%より多いジエンエラストマーを意味すると理解される。
【0013】
これらの定義が示されたが、下記のものは、特に、本発明の組成物に用いることができるジエンエラストマーを意味すると理解される。
(a) 炭素原子4?12個を有する共役ジエンモノマーの重合によって得られたホモポリマー;
(b) 炭素原子8?20個を有する1種以上のビニル芳香族化合物と共に共役した1種以上のジエンの共重合によって得られたコポリマー;
(c) エチレン、炭素原子3?6個を有するα-オレフィンと炭素原子6?12個を有する非共役ジエンモノマーの共重合によって得られた三元共重合体、例えば、エチレン、プロピレンと上記タイプの非共役ジエンモノマー、特に1,4-ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン又はジシクロペンタジエンから得られたエラストマー;
(d) イソブテンとイソプレンのコポリマー(ブチルゴム)、及びこのタイプのコポリマーのハロゲン化、特に塩素化又は臭素化した形。
いずれのタイプのジエンエラストマーにもあてはまるが、特にゴム組成物がタイヤトレッドに企図される場合に本発明がまず一番に実質的に不飽和のジエンエラストマー、特に上記タイプ(a)又は(b)と用いることをタイヤ業界の当業者は理解するであろう。」

1d 「【0017】
II-2. 補強性充填剤(当審注:この下線は既に付されていたものであって、当審によるものではない。)
補強性充填剤として用いられる白色充填剤(しばしば『クリア』充填剤とも言われる)は、補強性充填剤全体の全部又は一部だけを構成することができ、後者の場合には、例えば、カーボンブラックと会合している。
本発明のゴム組成物においては、補強性白色充填剤は、大部分、即ち、補強性充填剤全体の好ましくは50質量%を超え、更に好ましくはその補強性充填剤全体の80質量%を超える。
本出願においては、『補強性』白色充填剤は、それ自体で中間カップリング剤以外の手段を含まずに、タイヤの製造に企図されたゴム組成物を補強することができ、言い換えると補強作用において慣用のカーボンブラック充填剤を置き換えることができる白色充填剤を意味すると理解される。
【0018】
好ましくは、補強性白色充填剤は、シリカ(SiO_(2))又はアルミナ(Al_(2)O_(3))のタイプの鉱物充填剤、又はその2つの充填剤の混合物である。」

1e 「【0020】
II-3. カップリング剤(当審注:この下線は既に付されていたものであって、当審によるものではない。)
本発明のゴム組成物に用いられるカップリング剤は、既知のように、ここでは『Y』及び『X』と呼ばれ、第1に『Y』官能基(アルコキシシリル官能基)によって白色充填剤に、第2に『X』官能基(イオウ官能基)によってエラストマーにグラフトし得る2種類の官能基をもつポリ硫化アルコキシシランである。」

1f 「【0025】
II-4. カップリングの活性化(当審注:この下線は既に付されていたものであって、当審によるものではない。)
本発明のカップリング系は、前に定義したポリ硫化アルコキシシランカップリング剤とそのアルコキシシランのカップリング促進剤からできている。カップリング『促進剤』は、ここではカップリング剤と混合した場合にカップリング剤の効力を高める物体(化合物又は化合物の会合)を意味すると理解される。
本発明に用いられるカップリング促進剤は、ジチオリン酸亜鉛とグアニジン誘導体の会合によって形成される。」

1g 「【0035】
II-6. ゴム組成物の調製(当審注:この下線は既に付されていたものであって、当審によるものではない。)
当業者に周知の手順: 130℃?200℃、好ましくは145℃?185℃の最高温度までの高温でのサーモメカニカルワーキング又は混練りの第1相(しばしば『非生産』相と呼ばれる)、続いて典型的には120℃未満、例えば、60℃?100℃の低い温度でのメカニカルワーキングの第2相(しばしば『生産』相と呼ばれる)、その間での架橋又は加硫系が混合される最終相に従い、2連続調製相を用いて適切なミキサで組成物を製造する。そのような相は、例えば、上記欧州特許出願第0 501 227号に記載されている。
本発明の好適実施態様によれば、本発明の組成物の基本成分のすべて、即ち、(ii)補強性白色充填剤と(iii)ポリ硫化アルコキシシラン、(iv)ジチオリン酸亜鉛及び(v)グアニジン誘導体の会合によって形成される本発明のカップリング系を、(i)ジエンエラストマーに第1相、いわゆる非生産相で混合する。即ち、少なくともこれらの異なる基本成分をミキサに導入し、1以上の段階で、130℃?200℃、好ましくは145℃?185℃の最高温度に達するまで熱力学的に混練りする。
一例として、第1(非生産)層が単一の熱力学工程で行われ、その間に加硫系を除く、本発明のカップリングを含む必要な成分すべて、追加の被覆剤又は処理剤及び種々の他の添加剤が、慣用のインターナルミキサのような適切なミキサに導入される。このインターナルミキサ内で、例えば、中間冷却段階(好ましくは100℃未満の温度まで)後に、組成物に補完的な熱処理を受けさせることによって、特に、エラストマーマトリックス中の補強性白色充填剤とそのカップリング系の分散を更に改善するために、第2段階のサーモメカニカルワーキングを加えることができる。
【0036】
このようにして得られた混合物の冷却後に、加硫系が低温で、たいていはオープンミルのような外部ミキサ内で混合される。次に、組成物全体を数分間、例えば、5?15分間混合する。
次に、このようにして得られた最終組成物は、例えば、シート、プレート又はトレッドのような半加工製品の製造に使用し得るゴムプロファイル要素の形にカレンダー圧延される。
加硫(又はキュア)は、既知のように一般的には130℃?200℃の温度で、特に、加硫温度、用いられる加硫系及び問題の組成物の加硫速度論によって、例えば、5?90分に変動してもよい十分な時間行われる。
本発明が未加硫状態(即ち、加硫前)及び加硫状態(即ち、架橋又は加硫後)双方の上記ゴム組成物に関することは言うまでもない。
本発明の組成物が単独で又はタイヤを製造するために使用し得る他のゴム組成物とのブレンドで用いることができることは当然のことである。」

1h 「【0046】
E) 試験5(当審注:この下線は既に付されていたものであって、当審によるものではない。)
本試験は、本発明の組成物を製造する場合に、サーモメカニカルワーキングの第1相(非生産相)中で加硫系(生産相)の後でなく、グアニジン誘導体をエラストマーに補強性白色充填剤と残りのカップリング系(ポリ硫化アルコキシシランとジチオリン酸亜鉛)と共に混合することが好ましいことを示すものである。
これのために、特に4.5phrのTESPT、1phrのDTPZn(又はアルコキシシランの質量に対して約22%)及び1.5phrのグアニジン誘導体を含む厳密に同じ処方の本発明のゴム組成物を調製する。
3種の組成物間の違いは、製造プロセスにのみある。組成物No.15とNo.16については、グアニジン誘導体を、エラストマーに補強性白色充填剤と残りのカップリング系と共に、即ち、インターナルミキサ(非生産相)に、熱力学的混練りの同じ段階で次のスキームに従って: 組成物No.15の場合にはアルコキシシランとジチオリン酸亜鉛を充填剤と同時に、組成物No.16の場合には時間が少し遅れて(アルコキシシランとジチオリン酸亜鉛を充填剤と同時に、グアニジン誘導体を1分間後に)混合した。組成物No.17の場合には、グアニジン誘導体は、加硫系(イオウとスルフェンアミド)を含む外部ミキサに、即ち、従来の加硫促進剤として混合した。」

1i 「【0053】



1j 「【0061】




(2)引用文献1に記載された発明
記載1aないし1j、特に記載1aの【請求項24】、記載1g、記載1h(組成物No.16に関する記載)及び記載1j(表9の組成物No.16の欄)を整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認める。

「少なくとも(i)1種のジエンエラストマーに、少なくとも(ii)補強性充填剤として白色充填剤、(iii)カップリング剤(白色充填剤/ジエンエラストマー)としてポリ硫化アルコキシシラン、(iv)ジチオリン酸亜鉛、並びに(v)グアニジン誘導体を含むゴム組成物の調整方法であって、ジエンエラストマーにポリ硫化アルコキシシランとジチオリン酸亜鉛を白色充填剤と同時に混合し、1分間後にグアニジン誘導体を混合し、得られた混合物の冷却後に、加硫系(イオウとスルフェンアミド)を低温で混合するゴム組成物の調製方法。」

2 対比・判断
本願発明と引用発明1を対比する。

引用発明1における「少なくとも(i)1種のジエンエラストマー」は、その機能、構成または技術的意義からみて、本願発明における「天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)」に相当し、以下、同様に、「少なくとも(ii)補強性充填剤として白色充填剤」は「無機充填材(B)を含む充填材」に、「(iii)カップリング剤(白色充填剤/ジエンエラストマー)としてポリ硫化アルコキシシラン」は「シランカップリング剤(C)」に、「(v)グアニジン誘導体」は「グアニジン類から選ばれる少なくとも1種の加硫促進剤(D)」に、「調整方法」は「製造方法」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1は、「(iv)ジチオリン酸亜鉛」を含むものであり、本願発明は、「(iv)ジチオリン酸亜鉛」に相当する物質を含むことが特定されていないが、本願発明は、請求項1の記載によると、「(iv)ジチオリン酸亜鉛」に相当する物質を含むことを排除していないので、この点は相違点にならない。
さらに、上記相当関係を踏まえると、引用発明1における「ジエンエラストマーにポリ硫化アルコキシシランとジチオリン酸亜鉛を白色充填剤と同時に混合」する段階は、その機能、構成または技術的意義からみて、本願発明における「混練の第一段階(X)で該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、及び該シランカップリング剤(C)の全部又は一部を混練」する段階に相当し、以下、同様に、「1分間後にグアニジン誘導体を混合」する段階は「混練の第二段階以降でかつ最終段階より前の段階(Y)で該加硫促進剤(D)を加えて混練」する段階に、「得られた混合物の冷却後に、加硫系(イオウとスルフェンアミド)を低温で混合する」段階は「混練の最終段階(Z)で加硫剤を加えて混練する」段階に、それぞれ相当する。
そして、引用発明1は、「ジエンエラストマーにポリ硫化アルコキシシランとジチオリン酸亜鉛を充填剤と同時に混合」する段階、「1分間後にグアニジン誘導体を混合」する段階及び「得られた混合物の冷却後に、加硫系(イオウとスルフェンアミド)を低温で混合する」段階という3つの段階によりゴム組成物を混合するものであるが、この3つの段階によりゴム組成物を混合することは、本願発明における「該ゴム組成物を3段階以上の混練段階で混練」することに相当する。

したがって、両者の間に相違点はなく、本願発明は、引用発明1、すなわち引用文献1に記載された発明である。
また、仮に、相違点があるとしても、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、請求人は、平成28年10月25日提出の審判請求書において、「引用文献等2には、・・・(略)・・・本願発明に係る(ロ)「該ゴム組成物を3段階以上の混練段階で混練し、」との技術思想の記載も示唆もありません。
従いまして、本願発明が新規であることは明らかであります。
・・・(略)・・・
従いまして、引用文献等2からは、(iv)ジチオリン酸亜鉛抜きに、「第2成分」である(v)グアニジン誘導体のみを活性剤として用いることは示唆されておらず、たとえ当業者であっても(v)グアニジン誘導体のみを活性剤として用いることを想到し得ないと考えます。」(当審注:「引用文献等2」は審決の引用文献1である。)と主張するが、引用発明1が、本願発明における「該ゴム組成物を3段階以上の混練段階で混練」することに相当する事項を有していることは、上記のとおりであり、また、本願発明が、「(iv)ジチオリン酸亜鉛」に相当する物質を含むことを排除していないことも、上記のとおりであるから、請求人の上記主張は採用できない。

3 むすび
したがって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、または、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第5 特表2010-529252号公報(以下、「引用文献2」という。)に基づく新規性進歩性違反について
1 引用文献2の記載等
(1)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物である特表2010-529252号公報(公表日:2010年8月26日)には、「ゴム組成物の調製プロセスならびにそれらから作製される製品」に関して、次の記載(以下、順に「記載2a」のようにいう。)がある。 なお、下線は大部分は当審で付したものである。

2a 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム組成物を調製するためのプロセスであって:
a)
(i)少なくとも一つのチオカルボキシ官能性加水分解性シラン、
(ii)炭素-炭素二重結合を含有するゴムの少なくとも一つ、
(iii)少なくとも一つのシラン反応性充填剤、
(iv)少なくとも一つの活性化剤、および
(v)水;
の混合物を提供するステップ、
b)ステップ(a)で提供される混合物の加硫剤の実質的な非存在下の反応性の機械加工条件への投入;
c)ステップ(b)の組成物への少なくとも一つの加硫剤(vi)の添加;
d)非反応性の機械加工条件におけるステップ(c)の組成物の混合;そして
e)任意選択で、ステップ(d)のゴム組成物の硬化、
を含む、プロセス。
・・・(略)・・・
【請求項8】
ゴム(ii)が、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエンのコポリマー、イソプレンのコポリマー、溶液法のスチレン-ブタジエンゴム、エマルション法のスチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンターポリマーおよびアクリロニトリル-ブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも一つのゴムであるか、または天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエンのコポリマー、イソプレンのコポリマー、溶液法のスチレン-ブタジエンゴム、エマルション法のスチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンターポリマーおよびアクリロニトリル-ブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも一つのゴムを含有する、請求項1に記載のプロセス。
・・・(略)・・・
【請求項15】
シラン反応性充填剤(iii)が、酸化金属、シリカ、シリカ状の物質からなる群より選択される少なくとも一要素である、請求項1に記載のプロセス。
・・・(略)・・・
【請求項20】
活性化剤(iv)が少なくとも一つのグアニジン含有強塩基である、請求項1に記載のプロセス。
・・・(略)・・・
【請求項25】
加硫剤(vi)が、元素硫黄、硫黄供与体化合物からなる群より選択される少なくとも一要素である、請求項1に記載のプロセス。
・・・(略)・・・
【請求項30】
ステップ(a)の混合物の成分(i)?(v)が任意の順番で連続的に、同時に、または、予め選択された成分が予め混合され、その後に残りの成分が連続的にもしくは同時に混合される、請求項1に記載のプロセス。」

2b 「【0002】
転がり抵抗の減少および乗用車のタイヤの湿潤摩擦の改善のためのシリカ/シラン充填剤システムの使用は当分野において周知である。転がり抵抗の減少、およびそれゆえのより少ない燃料の消費、同時に、操作性、磨耗ならびに湿潤および感想摩擦の改善は、多くの技術研究および開発の目的であり続ける。」

2c 「【0012】
ステップ(a)のチオカルボキシ官能性シラン(i)は、(1)チオカルボキシ基の炭素原子に結合する直鎖アルキル分散性基を有する末端チオカルボキシ基、(2)シリル基のケイ素原子と直接的に結合する少なくとも一つのアルコキシ基を有する末端加水分解性シリル基、および(3)チオカルボキシ基(1)をシリル基(2)へと架橋するかもしくは結合する二価のアルキレンを、好ましくは含有する。」

2d 「【0017】
炭素-炭素二重結合を含有するゴム成分(ii)は、少なくとも一つのジエン系エラストマーもしくはゴムであるように選択される有機ポリマーであり得る。」

2e 「【0024】
シラン反応性充填剤(iii)は、チオカルボキシ官能性加水分解性シラン(i)が充填剤の表面と反応する充填剤を含む。粒子状の沈降シリカは、特にシリカが反応性の表面シラノールを持つとき、シラン反応性充填剤(iii)として有用である。シラン反応性充填剤(iii)は、水和物の形にて提供されるか、少なくとも水(v)の部分との反応によって水和物の形へと転換される。
【0025】
好適なシラン反応性(iii)の非限定的ないくつかの代表例は、(焼成および/もしくは沈降)シリカ、二酸化チタン、アルミノケイ酸塩、およびアルミナのような金属酸化物、ならびに粘土および滑石を含むシリカ状の物質の少なくとも一つを含む。」

2f 「【0034】
活性化剤(iv)は、グアニジン官能基、(-)_(2)N-C(=N-)-N(-)_(2)を含有する強有機塩基から有利にも選択される。グアニジン含有強塩基は、水からのヒドロニウムイオンの除去を助けて加水分解反応を触媒し、そして、生じるシラノールからのヒドロニウムイオンの除去を助けてシラン反応性充填剤の表面との縮合反応を触媒する。
・・・(略)・・・
【0035】
活性化剤(iv)の非限定的な代表例は、1,3-ジメチルグアニジン;1,3-ジエチル-グアニジン;1-メチル-3-フェニルグアニジン;1,3-ジフェニルグアニジン;1,1,3,3-テトラメチルグアニジン;1,1,3,3-テトラフェニルグアニジン;1,1,3,3-テトラブチルグアニジンおよび1,3-ジ-o-トリルグアニジンを含む。特に有用な活性化剤(iv)は1,3-ジフェニルグアニジンおよび1,3-ジ-o-トリルグアニジンである。」

2g 「【0037】
硫化は、炭素-炭素二重結合(ii)を含有するゴムと反応する加硫剤(vi)の存在下で実施され、架橋したもしくは硬化したゴムを生成する。好適な硫黄加硫剤(vi)の非限定的ないくつかの例は、元素硫黄(遊離硫黄)または、たとえばアミノジスルフィド、ポリマーポリスルフィドもしくは硫化オレフィン付加物のような硫黄供与加硫剤を含む。これらおよび他の既知で汎用的な加硫剤は、ここでのプロセスのステップ(c)において通常の量で添加される。」

2h 「【0048】
ゴム組成物は、遅延剤および促進剤、オイルのような加工添加剤、粘着付与樹脂のような樹脂、可塑剤、顔料、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、抗酸化剤およびオゾン劣化防止剤、素練り促進剤などのような他の通常用いられる添加物質を配合され得る。
【0049】
加硫促進剤、すなわち追加的な硫黄供与体もまた所望なら用いる事が出来る。加硫促進剤の非限定的例は、ベンゾチアゾール、アルキルチウラムジスルフィド、グアニジン誘導体およびチオカルバマートを含む。・・・(略)・・・
【0050】
促進剤は、硫化に必要な時間および/もしくは温度を制御し、加硫物の性能を向上させるために用いられ得る。一実施態様において、単一の促進剤システム、すなわち一次促進剤が用いられ得る。他の実施態様において、通常の、そしてより具体的には一次促進剤は0.5から4、そして好ましくは0.8から1.5phrの範囲の総量で用いられる。より具体的な実施態様において、加硫物の性能を活性化し向上させるために一次および二次促進剤の組み合わせが用いられ得、ここで二次促進剤はより少ない量、すなわち0.05から3phrで用いられる。さらに他の実施態様において、遅延作用促進剤もまた用いられ得る。さらに他の実施態様において加硫遅延剤もまた用いられえる。促進剤の好適なタイプは、アミン、ジスルフィド、グアニジン、チオウレア、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、ジチオカルバマート、キサントゲン酸塩およびそれらの組み合わせの非限定的例のようなものである。特定の実施態様において、一次促進剤はスルフェンアミドである。他の実施態様において、もし二次促進剤が用いられるなら、二次促進剤はグアニジン、チオカルバマートもしくはチウラム化合物であり得る。」

2i 「【0053】
・・・(略)・・・
ここでの実施例のゴム組成物において、すべての成分の量は重量部表記である。
【0054】
実施例において用いられるチオカルボキシ官能性加水分解性シランはオクタンチオ酸S-[3-(トリエトキシシラニル)-プロピル]エステルであり、Momentive Performance MaterialsよりSilquest NXTシラン(以下、「NXTシラン」)の商標名で市販されている。
【0055】
実施例のゴム組成物において、反応物の量は他に示されない限りはゴムの100部あたりの部(phr)で与えられる。マスターバッチの組成:75 SSBR(12%スチレン、46%ビニル、Tg:42℃)、25 BR(98%cis、Tg:104℃)、80 ZEOSIL 1165MPシリカ、32.5 Sundex 8125芳香加工オイル、2.5 KADOX 720C 酸化亜鉛、1 INDUSTRENE ステアリン酸、2 SANTOFLEX 6-PPD、1.5 M-4067 Microcrystallineワックス、3 N330カーボンブラックおよび8.2 NXTシラン。実施例2、3および4ならびに比較例1および5は、表1に示される相違点を除いては同一のマスターバッチ組成物を用いる。比較例1は、従来の硬化パッケージ:1.4 硫黄、1.7 CBSおよび2.0 DPG(ジフェニルグアニジン活性化剤)を含むコントロールとして実施された。実施例2に対して、1phrのDPGが非生産性混合ステップにおいて添加され、1phrのDPGが硫化ステップにおいて用いられ、全部で2phrのDPGが用いられた。実施例3に対して、1phrのDPGが非生産性混合ステップにおいて添加され、通常の2phrのDPGが加硫ステージにおいて添加された。実施例4は、加硫ステージにおいて0.3phr多い硫黄が用いられたことを除いて実施例3と同一であった。比較例5は加硫ステップにおいて0.3phr多い硫黄が用いられたことを除いて比較例1と同一であった。
【0056】
B.実施例のゴム組成物の調製およびそれらを硫化する一般的な手順 (当審注:この下線は既に付されていたものであって、当審によるものではない。)
ゴムのマスターバッチの混合は1550ml(cc)のチャンバ容量を持つKruppミキサーで行われた。ミキサーが30rpmで冷却水をフルにしてミキサーを起動した。ゴムポリマーはミキサーへと加えられ、そして60秒間ラムダウン(ram down)混合された。シリカの半分とシランのすべてがエチルビニルアセタート(EVA)のバッグ中のおよそ35?40グラムのこの部分のシリカと共に加えられ、そして60秒間ラムダウン混合された。そののち、残りのシリカはEVAバッグ中の「促進剤」および加工オイルと共に添加され、そして90秒間ラムダウン混合された。ミキサースロート(throat)はダストダウン(dusted down)され、そして混合物は30秒間ラムダウン混合された。そののち、残りの成分が加えられ、そして60秒間ラムダウン混合された。ミキサースロートは再びダストダウンされ、そして30秒間ラムダウン混合された。ゴムのマスターバッチの温度を165℃と170℃の間へと上昇させる必要に応じて、ミキサーの混合速度を95rpmまで上昇した。ゴムのマスターバッチは8分間混合され、そして温度を165℃と170℃の間に維持するためにKruppミキサーの速度が調整された。マスターバッチはミキサーから出され、約50℃から60℃にセットされたロールミル上でマスターバッチからシートが作成され、そして周囲温度へと冷まされた。
【0057】
ゴムのマスターバッチおよび硬化剤は、50℃と60℃の間に加熱された15cm×33cm(6インチ×13インチ)の2ロールミル上で混合された。硫黄および促進剤はゴムのマスターバッチへと添加され、ロールミル上で完全に混合され、そしてシートが形成された。シートは硬化前に24時間周囲環境へと冷まされた。レオロジー特性がMonsanto R-100 Oscillating Disk RheometerとMonsanto M1400 Mooney Viscometerによって測定された。機械的特性を測定するための硬化ゴムサンプルはt90の間149℃で硬化した6mmプラークより切り出された。」

(2)引用文献2に記載された発明
記載2aないし2j、特に記載2aの【請求項1】及び記載2i(実施例に関する記載)を整理すると、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認める。

「SSBR(12%スチレン、46%ビニル、Tg:42℃)、BR(98%cis、Tg:104℃)の組成のゴムポリマー、ZEOSIL 1165MPシリカ、チオカルボキシ官能性加水分解性シランであるNXTシラン、並びにDPG(ジフェニルグアニジン活性化剤)を含むゴム組成物の調整プロセスであって、ミキサーへ加えられたゴムポリマーにシリカの半分とシランのすべてがエチルビニルアセタート(EVA)のバッグ中のおよそ35?40グラムのこの部分のシリカと共に加えられ、そして60秒間ラムダウン混合され、そののち、残りのシリカはEVAバッグ中の「促進剤」および加工オイルと共に添加され、そして90秒間ラムダウン混合され、ゴムのマスターバッチはミキサーから出され、硫黄および促進剤はゴムのマスターバッチへと添加され、ロールミル上で完全に混合されるゴム組成物の調整プロセス。」

2 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明2を対比する。

引用発明2における「SSBR(12%スチレン、46%ビニル、Tg:42℃)、BR(98%cis、Tg:104℃)の組成のゴムポリマー」は、その機能、構成または技術的意義からみて、本願発明における「天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)」に相当し、以下、同様に、「ZEOSIL 1165MPシリカ」は「無機充填材(B)を含む充填材」に、「チオカルボキシ官能性加水分解性シランであるNXTシラン」は「シランカップリング剤(C)」に、「DPG(ジフェニルグアニジン活性化剤)」は「グアニジン類から選ばれる少なくとも1種の加硫促進剤(D)」に、「調整プロセス」は「製造方法」に、それぞれ相当する。
また、上記相当関係を踏まえると、引用発明2における「ミキサーへ加えられたゴムポリマーにシリカの半分とシランのすべてがエチルビニルアセタート(EVA)のバッグ中のおよそ35?40グラムのこの部分のシリカと共に加えられ、そして60秒間ラムダウン混合され」る段階は、その機能、構成または技術的意義からみて、本願発明における「混練の第一段階(X)で該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、及び該シランカップリング剤(C)の全部又は一部を混練」する段階に相当する。
さらに、引用発明2における「EVAバッグ中の「促進剤」」が、記載2a(【請求項1】及び【請求項20】)や記載2fにおける「活性化剤」なのか、記載2hにおける「促進剤」や「加硫促進剤」なのか明らかではないが、何らかの反応の「促進剤」ではあるから、引用発明2における「そののち、残りのシリカはEVAバッグ中の「促進剤」および加工オイルと共に添加され、そして90秒間ラムダウン混合され」る段階は、その機能、構成または技術的意義からみて、本願発明における「混練の第二段階以降でかつ最終段階より前の段階(Y)で該加硫促進剤(D)を加えて混練」する段階と、「混練の第二段階以降でかつ最終段階より前の段階(Y)で促進剤を加えて混練」する段階という限りにおいて一致する。
さらにまた、引用発明2における「ゴムのマスターバッチはミキサーから出され、硫黄および促進剤はゴムのマスターバッチへと添加され、ロールミル上で完全に混合される」段階は、その機能、構成または技術的意義からみて、本願発明における「混練の最終段階(Z)で加硫剤を加えて混練する」段階に相当する。
そして、引用発明2は、「ミキサーへ加えられたゴムポリマーにシリカの半分とシランのすべてがエチルビニルアセタート(EVA)のバッグ中のおよそ35?40グラムのこの部分のシリカと共に加えられ、そして60秒間ラムダウン混合され」る段階、「そののち、残りのシリカはEVAバッグ中の「促進剤」および加工オイルと共に添加され、そして90秒間ラムダウン混合され」る段階及び「ゴムのマスターバッチはミキサーから出され、硫黄および促進剤はゴムのマスターバッチへと添加され、ロールミル上で完全に混合される」段階という3つの段階によりゴム組成物を混合するものであるが、この3つの段階によりゴム組成物を混合することは、本願発明における「該ゴム組成物を3段階以上の混練段階で混練」することに相当する。

したがって、両者は次の点で一致する。
「天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、並びにグアニジン類から選ばれる少なくとも1種の加硫促進剤(D)を含むゴム組成物の製造方法であって、該ゴム組成物を3段階以上の混練段階で混練し、混練の第一段階(X)で該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、及び該シランカップリング剤(C)の全部又は一部を混練し、混練の第二段階以降でかつ最終段階より前の段階(Y)で促進剤を加えて混練し、混練の最終段階(Z)で加硫剤を加えて混練するゴム組成物の製造方法。」

そして、次の点で相違する。
<相違点>
「混練の第二段階以降でかつ最終段階より前の段階(Y)で促進剤を加えて混練」する段階に関して、本願発明においては、「混練の第二段階以降でかつ最終段階より前の段階(Y)で該加硫促進剤(D)を加えて混練」する段階であるのに対し、引用発明2においては、「そののち、残りのシリカはEVAバッグ中の「促進剤」および加工オイルと共に添加され、そして90秒間ラムダウン混合され」る段階である点。

(2)判断
そこで、相違点について検討する。
記載2iによると、引用発明2の認定の根拠である実施例2ないし4においては、「DPG(ジフェニルグアニジン活性化剤)」は、非生産性混合ステップ及び硫化ステップにおいて添加されているから、引用発明2における「EVAバッグ中の「促進剤」」が「DPG(ジフェニルグアニジン活性化剤)」である蓋然性は極めて高い。
また、記載2hの「ゴム組成物は、遅延剤および促進剤、オイルのような加工添加剤、粘着付与樹脂のような樹脂、可塑剤、顔料、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、抗酸化剤およびオゾン劣化防止剤、素練り促進剤などのような他の通常用いられる添加物質を配合され得る。」(【0049】)、「加硫促進剤、すなわち追加的な硫黄供与体もまた所望なら用いる事が出来る。加硫促進剤の非限定的例は、ベンゾチアゾール、アルキルチウラムジスルフィド、グアニジン誘導体およびチオカルバマートを含む。」(【0050】)及び「促進剤の好適なタイプは、アミン、ジスルフィド、グアニジン、チオウレア、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、ジチオカルバマート、キサントゲン酸塩およびそれらの組み合わせの非限定的例のようなものである。」(【0050】)という記載によると、「促進剤」が「加硫促進剤」の場合には「グアニジン誘導体」を用いることができることが記載され、「促進剤」の好適なタイプは「グアニジン」であることが記載されている。そして、引用発明2における「DPG(ジフェニルグアニジン活性化剤)」は、「グアニジン誘導体」であり、「グアニジン」である。
したがって、引用発明2において、「そののち、残りのシリカはEVAバッグ中の「促進剤」および加工オイルと共に添加され、そして90秒間ラムダウン混合され」る段階における「EVAバッグ中の「促進剤」」として、「DPG(ジフェニルグアニジン活性化剤)」を用いるようにして、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

そして、本願明細書の「近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出の規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に関する要求が高まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の低減が求められている。従来、タイヤの転がり抵抗を減少する手法として、タイヤ構造を最適化する手法も検討されてきたが、タイヤに適用するゴム組成物としてより発熱性の低いゴム組成物を用いることが、現在、最も一般的な手法として行われている。」(【0002】)及び「本発明によれば、シランカップリング剤のカップリング機能の活性をさらに高めて、低発熱性に優れたゴム組成物を得ることが可能であるゴム組成物の製造方法を提供することができる。」(【0007】)という記載によると、本願発明の効果は、タイヤの転がり抵抗を減少するために、低発熱性に優れたゴム組成物を得ることが可能であるゴム組成物の製造方法を提供することで、自動車の低燃費化に関する要求に対応することであるといえるが、引用発明2の効果も、記載2bによると、タイヤの転がり抵抗の減少及びそれゆえのより少ない燃料の消費等であるから、両者の効果は同種の効果であり、本願発明の効果が引用発明の効果と比べて当業者の予想を超えたものであるともいえない。
したがって、本願発明を全体としてみても、本願発明は、引用発明2からみて、格別顕著な効果を奏するとはいえない。

よって、本願発明は、引用発明2、すなわち引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、請求人は、平成28年10月25日提出の審判請求書において、「以上のように、引用文献等1に記載されたステップ(b)は、本願発明に係る混練の段階(Y)とは異なりますので、引用文献等1に記載された発明は、本願請求項1に係る発明とは異なり、たとえ当業者であっても引用文献等1に記載された発明に基づいて容易に想到し得るものではないと思料いたします。」(当審注:「引用文献等1」は審決の引用文献2である。)と主張するが、上記のとおり、本願発明に係る混練の段階(Y)に相当するのは、引用文献2に記載されたステップ(b)ではなく、引用発明2における「そののち、残りのシリカはEVAバッグ中の「促進剤」および加工オイルと共に添加され、そして90秒間ラムダウン混合され」る段階であるから、請求人の上記主張は採用できない。

3 むすび
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第6 結語
上記第4及び第5のとおり、本願発明、すなわち本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであり、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-08-28 
結審通知日 2017-08-29 
審決日 2017-09-11 
出願番号 特願2015-35342(P2015-35342)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C08J)
P 1 8・ 113- Z (C08J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平井 裕彰飛彈 浩一松岡 美和  
特許庁審判長 大島 祥吾
特許庁審判官 加藤 友也
橋本 栄和
発明の名称 ゴム組成物の製造方法  
代理人 大谷 保  
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