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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1333920 |
審判番号 | 不服2017-2606 |
総通号数 | 216 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-02-23 |
確定日 | 2017-10-26 |
事件の表示 | 特願2012-240405号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月15日出願公開、特開2014- 87555号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年10月31日の出願であって、平成27年10月13日付けで拒絶の理由が通知され、これに対し同年12月15日付けで手続補正がなされたが、平成28年3月29日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年6月6日付けで手続補正がなされたところ、同年11月30日付け(発送日:12月6日)で補正却下の決定とともに拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年2月23日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.本件補正の概要 本件補正は特許請求の範囲の請求項1を補正する内容を含んでおり、平成27年12月15日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は、補正箇所を示す。)。 (補正前:平成27年12月15日付け手続補正) 「【請求項1】 異常な磁気を検出する磁気検出器と、 異常な電波を検出する電波検出器と、 前記磁気検出器及び前記電波検出器での検出結果に基づき、異常状態の発生を検出する異常状態検出制御手段と、を備え、 前記異常状態検出制御手段は、 前記磁気検出器の場合、所定期間に亘り継続して異常な磁気を検出した場合に異常状態が発生したと判定する異常判定処理を行うが、 前記電波検出器の場合、一度異常な電波を検出しただけで異常状態が発生したと判定し、 さらに、前記磁気検出器の場合、 異常状態が発生したと判定された状態においても前記異常判定処理を繰り返し行い、 異常状態が発生したと判定されてから、異常な磁気が検出されなくなった後の所定期間に亘り、異常報知を行うことを特徴とする遊技機。」 (補正後:本件補正である平成29年2月23日付け手続補正) 「【請求項1】 異常な磁気を検出する磁気検出器と、 異常な電波を検出する電波検出器と、 前記磁気検出器及び前記電波検出器での検出結果に基づき、異常状態の発生を検出する異常状態検出制御手段と、を備え、 前記異常状態検出制御手段は、 前記磁気検出器の場合、所定期間に亘り継続して異常な磁気を検出した場合に磁気異常状態が発生したと判定する異常判定処理を行うが、 前記電波検出器の場合、一度異常な電波を検出しただけで電波異常状態が発生したと判定し、 さらに、前記磁気検出器の場合は、 前記磁気異常状態が発生したと判定された状態においても前記異常判定処理と同一の処理を繰り返し行い、 前記磁気異常状態が発生したと判定されてから、異常な磁気が検出されなくなった後の所定の磁気異常報知期間に亘り、外部装置に出力するためのセキュリティ信号と、試験用の装置に出力するためのエラー信号と、を出力することにより磁気異常報知を行い、 前記電波検出器の場合は、 前記電波異常状態が発生したと判定されてから、異常な電波が検出されなくなった後の所定の電波異常報知期間に亘り、前記セキュリティ信号と、前記エラー信号と、を出力することにより電波異常報知を行い、 前記セキュリティ信号及び前記エラー信号は、前記磁気異常報知と前記電波異常報知において共用されることを特徴とする遊技機。」 2.補正の適否 (1)補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「異常状態検出制御手段」について、補正前の、「磁気検出器の場合」も「電波検出器の場合」も「異常状態が発生したと判定」することから、補正後の、「磁気検出器の場合」、「磁気異常状態が発生したと判定」し、「電波検出器の場合」、「電波異常状態が発生したと判定」することと、それぞれの検出器において判定する異常状態の種類を特定することにより、補正前の請求項1に記載の「異常状態検出手段」を限定するものである。 (2)補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「異常状態検出制御手段」について、磁気検出器の場合は、異常判定処理を繰り返し行う際に、「同一の処理」を繰り返し行うという構成を付加し、処理の内容を特定することにより、補正前の請求項1に記載の「異常状態検出手段」を限定するものである。 (3)補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「異常状態検出制御手段」について、磁気検出器の場合の異常報知は、「外部装置に出力するためのセキュリティ信号と、試験用の装置に出力するためのエラー信号と、を出力することによ」る「磁気異常報知を行」うことと、異常報知の内容を特定することにより、補正前の請求項1に記載の「異常状態検出手段」を限定するものである。 (4)補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「異常状態検出制御手段」について、「電波検出器の場合は、前記電波異常状態が発生したと判定されてから、異常な電波が検出されなくなった後の所定の電波異常報知期間に亘り、前記セキュリティ信号と、前記エラー信号と、を出力することにより電波異常報知を行」うこと、及び、「前記セキュリティ信号及び前記エラー信号は、前記磁気異常報知と前記電波異常報知において共用される」ことという構成を付加することにより、補正前の請求項1に記載の「異常状態検出手段」を限定するものである。 補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の特許請求の範囲に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 そして、本件補正は、明細書の段落【0431】、【0433】?【0435】、【0440】?【0442】、【0446】、【0451】、図83、図85等の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。 3.独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下において検討する。 (1)本件補正後の請求項1に係る発明 補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の補正の概要において示した次に特定されるとおりのものである(A?Lについては、発明特定事項を分説するため当審で付した。)。 「A 異常な磁気を検出する磁気検出器と、 B 異常な電波を検出する電波検出器と、 C 前記磁気検出器及び前記電波検出器での検出結果に基づき、異常状態の発生を検出する異常状態検出制御手段と、を備え、 D 前記異常状態検出制御手段は、 E 前記磁気検出器の場合、所定期間に亘り継続して異常な磁気を検出した場合に磁気異常状態が発生したと判定する異常判定処理を行うが、 F 前記電波検出器の場合、一度異常な電波を検出しただけで電波異常状態が発生したと判定し、 G さらに、前記磁気検出器の場合は、 H 前記磁気異常状態が発生したと判定された状態においても前記異常判定処理と同一の処理を繰り返し行い、 I 前記磁気異常状態が発生したと判定されてから、異常な磁気が検出されなくなった後の所定の磁気異常報知期間に亘り、外部装置に出力するためのセキュリティ信号と、試験用の装置に出力するためのエラー信号と、を出力することにより磁気異常報知を行い、 J 前記電波検出器の場合は、 K 前記電波異常状態が発生したと判定されてから、異常な電波が検出されなくなった後の所定の電波異常報知期間に亘り、前記セキュリティ信号と、前記エラー信号と、を出力することにより電波異常報知を行い、 L 前記セキュリティ信号及び前記エラー信号は、前記磁気異常報知と前記電波異常報知において共用されることを特徴とする遊技機。」 (2)刊行物に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2012-85886号公報(以下、「刊行物」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 (ア)「【0019】 本実施形態の遊技機10は前面枠12を備え、該前面枠12は本体枠(外枠)11にヒンジ13を介して開閉回動可能に組み付けられている。遊技盤30(図2参照)は前面枠12の表側に形成された収納部(図示省略)に収納されている。また、前面枠(内枠)12には、遊技盤30の前面を覆うカバーガラス(透明部材)14を備えたガラス枠15が取り付けられている。」 (イ)「【0058】 図3は、本実施形態のパチンコ遊技機10の制御システムのブロック図である。 遊技機10は遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、遊技用マイクロコンピュータ(以下、遊技用マイコンと称する)111を有するCPU部110と、入力ポートを有する入力部120と、出力ポートやドライバなどを有する出力部130、CPU部110と入力部120と出力部130との間を接続するデータバス140などからなる。」 (ウ)「【0076】 また、入力部120には、遊技機10の前面枠12等に設けられた不正検出用の磁気センサスイッチ61及び振動センサスイッチ62からの信号及び上記近接I/F121により変換された始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、普通変動入賞装置37内の始動口2スイッチ37a、ゲートスイッチ34a、一般入賞口スイッチ35a?35n、カウントスイッチ38aからの信号を取り込んでデータバス140を介して遊技用マイコン111に供給する第2入力ポート122が設けられている。第2入力ポート122が保持しているデータは、遊技用マイコン111が第2入力ポート122に割り当てられているアドレスをデコードすることによってイネーブル信号CE1をアサート(有効レベルに変化)することよって、読み出すことができる。後述の他のポートも同様である。」 (エ)「【0080】 出力部130は、データバス140に接続され払出制御装置200へ出力する4ビットのデータ信号とデータの有効/無効を示す制御信号(データストローブ信号)及び演出制御装置300へ出力するデータストローブ信号SSTBを生成する第1出力ポート131と、演出制御装置300へ出力する8ビットのデータ信号を生成する第2出力ポート132とを備える。遊技制御装置100から払出制御装置200及び演出制御装置300へは、パラレル通信でデータが送信される。また、出力部130には、演出制御装置300の側から遊技制御装置100へ信号を入力できないようにするため、即ち、片方向通信を担保するために第1出力ポート131からの上記データストローブ信号SSTB及び第2出力ポート132からの8ビットのデータ信号を出力する単方向のバッファ133が設けられている。なお、第1出力ポート131から払出制御装置200へ出力する信号に対してもバッファを設けるようにしてもよい。 【0081】 さらに、出力部130には、データバス140に接続され図示しない認定機関の試射試験装置へ変動表示ゲームの特図図柄情報を知らせるデータや大当りの確率状態を示す信号などを中継基板70を介して出力するバッファ134が実装可能に構成されている。このバッファ134は遊技店に設置される実機(量産販売品)としてのパチンコ遊技機の遊技制御装置(主基板)には実装されない部品である。なお、前記近接I/F121から出力される始動口スイッチなど加工の必要のないスイッチの検出信号は、バッファ134を通さずに中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。 【0082】 一方、磁気センサスイッチ61や振動センサスイッチ62のようにそのままでは試射試験装置へ供給できない検出信号は、一旦遊技用マイコン111に取り込まれて他の信号若しくは情報に加工されて、例えば遊技機が遊技制御できない状態であることを示すエラー信号としてデータバス140からバッファ134、中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。なお、中継基板70には、上記バッファ134から出力された信号を取り込んで試射試験装置へ供給するポートや、バッファを介さないスイッチの検出信号の信号線を中継して伝達するコネクタなどが設けられている。中継基板70上のポートには、遊技用マイコン111から出力されるチップイネーブル信号CEも供給され、該信号CEにより選択制御されたポートの信号が試射試験装置へ供給されるようになっている。 【0083】 また、出力部130には、データバス140に接続され特別変動入賞装置38を開成させるソレノイド(大入賞口ソレノイド)38bや普通変動入賞装置37の可動部材37bを開成させるソレノイド(普電ソレノイド)37cの開閉データと、一括表示装置50のLEDのカソード端子が接続されているデジット線のオン/オフデータを出力するための第3出力ポート135、一括表示装置50に表示する内容に応じてLEDのアノード端子が接続されているセグメント線のオン/オフデータを出力するための第4出力ポート136、大当り情報など遊技機10に関する情報を外部情報端子71へ出力するための第5出力ポート137が設けられている。外部情報端子71から出力された遊技機10に関する情報は、例えば遊技店に設置された情報収集端末や遊技場内部管理装置(図示省略)に供給される。」 (オ)「【0107】 次に、上記遊技制御装置100の遊技用マイクロコンピュータ(遊技用マイコン)111によって実行される制御について説明する。 遊技用マイコン111による制御処理は、ループ処理として繰り返されるメインルーチンであるメイン処理(主に図6及び図7参照)と、メイン処理に対する割り込みルーチンとして、所定時間周期(例えば4ms)で行われるタイマ割込み処理(図9参照)とからなる。」 (カ)「【0122】 〔タイマ割込み処理〕 次に、タイマ割込み処理について説明する。 図9に示すように、タイマ割込み処理は、クロックジェネレータ内のCTC回路で生成される周期的なタイマ割込み信号がCPU111Aに入力されることで開始される。遊技用マイコン111Aにおいてタイマ割込みが発生すると、図9のタイマ割込み処理が開始される。 ・・・ 【0125】 次に、遊技機10に設けられ、特図変動ゲームの表示や遊技に関する各種情報を表示するセグメントLEDを所望の内容を表示するように駆動するセグメントLED編集処理(ステップS50)、磁気センサスイッチ61や振動センサスイッチ62からの検出信号をチェックして異常がないか判定する磁石不正監視処理(ステップS51)を行う。それから、外部の各種装置に出力する信号を出力バッファにセットする外部情報編集処理(ステップS52)を行う。続いて、割込み要求をクリアして割込みの終了を宣言する処理(ステップS53)を行い、ステップS41で退避したレジスタのデータを復帰する処理(ステップS54)を行った後、割込みを許可する処理(ステップS55)を行なって、タイマ割込み処理を終了する。」 (キ)「【0131】 〔出力処理〕 次に、上述のタイマ割込み処理における出力処理(ステップS43)の詳細について説明する。 図12に示すように、出力処理では、先ず一括表示装置(LED)50のセグメントのデータを出力するポート136(図3参照)をリセットする(ステップS431)。続いて、一括表示装置(LED)50のデジット線を順次スキャンするためのデジットカウンタの値を更新(ステップS432)し、デジットカウンタの値に対応するLEDのデジット線の出力データをロードする(ステップS433)。次に、大入賞口ソレノイド38bの出力データをロードして上記デジット出力データと合成した後、普電ソレノイド37cの出力データをロードしてさらに合成する(ステップS434,S435)。そして、合成したデータを、ソレノイド・試験端子・デジットのデータ出力用のポート135へ出力する(ステップS436)。 【0132】 その後、デジットカウンタの値に対応するRWM内のセグメントデータ領域からセグメント線の出力データを取得する(ステップS437)。そして、取得したデータをセグメント出力用のポート136に出力する(ステップS438)。続いて、外部情報出力端子71へ出力するデータをロードして合成し、外部情報出力用のポート137へ出力する(ステップS439,S440)。次に、試射試験装置へ出力する試験信号の出力データ1?3をロードして合成し、中継基板70上に設けられている試験端子出力ポート1へ合成したデータを出力する(ステップS441,S442)。 【0133】 さらにその後、試射試験装置へ出力する試験信号の出力データ4?6をロードして合成し、中継基板70上に設けられている試験端子出力ポート2へ合成したデータを出力する(ステップS443,S444)。次に、試射試験装置へ出力する試験信号の出力データ7?8をロードして合成し、中継基板70上に設けられている試験端子出力ポート3へ合成したデータを出力する(ステップS445,S446)。また、試射試験装置へ出力する試験信号の出力データ9?10をロードして合成し、中継基板70上に設けられている試験端子出力ポート4へ合成したデータを出力する(ステップS447,S448)。さらに、試射試験装置へ出力する試験信号の出力データ11をロードして合成し、中継基板70上に設けられている試験端子出力ポート5へ合成したデータを出力(ステップS449,S450)して、図12の出力処理を終了する。」 (ク)「【0339】 〔磁石不正監視処理〕 次に、上述のタイマ割込み処理における磁石不正監視処理(ステップS51)の詳細について説明する。 磁石不正監視処理では、磁気センサスイッチ61からの検出信号をチェックして異常がないか判定して不正報知の開始や終了の設定等を行う。 【0340】 図57に示すように、磁石不正監視処理では、先ず、磁気センサスイッチ61から出力されて第2入力ポート122(入力ポート2)に取り込まれる磁石センサ検出信号ビットをチェックして(ステップC121)、磁石センサ検出信号の入力がない(ステップC122;No)と判定すると、磁石不正監視タイマをクリアする(ステップC123)。 その後、磁石不正の報知時間を規定する報知タイマを更新(-1)した後、当該タイマがタイムアップしたか否かをチェックする(ステップC124)。この報知タイマがタイムアップしたか否かの判定(ステップC124)において、タイムアップした(ステップC124;Yes)と判定された場合には、磁石不正報知終了コマンド(ACTION)を準備して、不正解除フラグをセットする処理(ステップC133)を行った後、処理をステップC131に移行して、以降の処理を行う。この場合、不正が発生していない正常な状態であるため不正の報知は行われていない。すなわち、報知タイマが常にタイムアップした状態である。 ステップC131にて、磁石不正監視領域を準備した後(ステップC131)、入力信号に変化が生じていないことから、ステップC132では、一旦設定されたステータスの更新は行われない。 【0341】 一方、磁石を用いた不正が行われ、ステップC122にて、磁石センサ検出信号の入力がある(ステップC122;Yes)と判定すると、磁石不正監視タイマを更新(+1)した後、当該タイマがタイムアップしたか否かをチェックして(ステップC126)、タイムアップしていない(ステップC127;No)と判定すると、処理をステップC124に移行して、それ以降の処理を行う。 そして、磁石センサ検出信号の入力が一定期間、即ち、所定回数(例えば、8割込み)連続して行われることで、ステップC127にて、磁石不正監視タイマがタイムアップした(ステップC127;Yes)と判定すると、発生確定時監視タイマ初期値を磁石不正監視タイマ領域にセーブした後(ステップC128)、報知タイマ初期値を報知タイマ領域にセーブする(ステップC129)。 【0342】 続けて、磁石不正報知コマンド(ACTION)を準備するとともに、不正発生フラグをセットする処理(ステップC130)を行う。その後、磁石不正監視領域を準備した後(ステップC131)、入力信号の変化に応じて状態を判定してコマンドやフラグの更新を行うステータス更新処理(ステップC132)を行って、磁石不正監視処理を終了する。 即ち、このステータス更新処理では、磁石不正報知コマンドや不正発生フラグの設定を行うようになっているが、ステップC127にて、磁石不正監視タイマがタイムアップした(ステップC127;Yes)と判定し続けている限り、入力信号に変化が生じないため、一旦設定されたステータスの更新は行われない。 【0343】 そして、磁石を用いた不正が停止し、磁石センサ検出信号の入力が一定期間、即ち、所定回数(例えば、8割込み)連続して行われなかった場合には、ステップC127にて、磁石不正監視タイマがタイムアップしていない(ステップC127;No)と判定された後、処理をステップC124に移行して、それ以降の処理を行う。 即ち、ステップC124にて、磁石不正の報知時間を規定する報知タイマを更新(-1)した後、当該タイマがタイムアップしたか否かをチェックして(ステップC124)、タイムアップしていない(ステップC125;No)と判定すると、磁石不正監視処理を終了する。 【0344】 一方、磁石不正に関する報知が所定時間行われ、ステップC125にて、報知タイマがタイムアップした(ステップC125;Yes)と判定すると、磁石不正報知終了コマンド(ACTION)を準備するとともに、不正報知解除フラグをセットする処理(ステップC133)を行った後、処理をステップC131に移行して、それ以降の処理を行う。 具体的には、ステップC131にて、磁石不正監視領域を準備した後(ステップC131)、ステップC132にて、入力信号に変化が生じていることから、磁石不正報知終了コマンドや不正報知解除フラグを設定するステータス更新処理(ステップC132)を行う。」 (ケ)「【0345】 〔外部情報編集処理〕 次に、上述のタイマ割込み処理における外部情報編集処理(ステップS52)の詳細について説明する。 外部情報編集処理では、入賞口スイッチ/エラー監視処理(ステップS47)や磁石不正監視処理(ステップS51)の監視結果に基づいて、情報収集端末や遊技場内部管理装置等の外部装置や試射試験装置に出力する情報を作成して出力バッファにセットする処理等を行う。 ・・・ 【0350】 そして、ステップC153では、磁石不正監視領域のステータスがエラー発生中であるか否かをチェックして(ステップC153)、エラー発生中でない(ステップC154;No)と判定すると、大入賞口不正入賞監視領域のステータスがエラー発生中であるか否かをチェックする(ステップC155)。 ここで、エラー発生中でない(ステップC156;No)と判定すると、普電不正入賞監視領域のステータスがエラー発生中であるか否かをチェックする(ステップC157)。 そして、エラー発生中である(ステップC158;Yes)と判定すると、セキュリティ信号をONに設定した後(ステップC159)、遊技機エラー状態信号をONに設定する処理(ステップC160)を行う。 また、ステップC154にて、エラー発生中であると判定するか(ステップC154;Yes)、或いは、ステップC156にて、エラー発生中であると判定した場合にも(ステップC156;Yes)、処理をステップC159に移行して、それ以降の処理を行う。 【0351】 次に、ON若しくはOFFに設定されたセキュリティ信号をRWMの外部情報出力データ領域にセーブした後(ステップC161)、ON若しくはOFFに設定された扉・枠開放信号をRWMの外部情報出力データ領域にセーブし(ステップC162)、続けて、ON若しくはOFFに設定された遊技機エラー状態信号をRWMの試験信号出力データ領域にセーブする処理(ステップC163)を行う。」 上記(ア)?(ケ)の記載事項から、以下の事項が導かれる。 (a)上記(ウ)【0076】に、「遊技機10の前面枠12等に設けられた不正検出用の磁気センサスイッチ61」と記載されている。 したがって、刊行物には、不正検出用の磁気センサスイッチ61が記載されている。 (c)上記(イ)【0058】には、「遊技機10は遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、遊技用マイクロコンピュータ(以下、遊技用マイコンと称する)111を有するCPU部110・・・などからなる」と、上記(オ)【0107】には、「遊技制御装置100の・・・遊技用マイコン111による制御処理は、・・・メイン処理・・・と、メイン処理に対する割り込みルーチンとして、所定時間周期・・・で行われるタイマ割込み処理・・・とからなる」と、上記(カ)【0122】?【0125】には、「タイマ割込み処理は、・・・磁気センサスイッチ61・・・からの検出信号をチェックして異常がないか判定する磁石不正監視処理・・・を行う」と、上記(ク)【0339】には、「タイマ割込み処理における磁石不正監視処理・・・では、磁気センサスイッチ61からの検出信号をチェックして異常がないか判定して不正報知の開始や終了の設定等を行う」と、それぞれ、記載されている。 したがって、刊行物には、磁気センサスイッチ61からの検出信号をチェックして、異常がないか判定する磁石不正監視処理を行う遊技用マイコン111が記載されている。 (e)上記(ク)【0339】?【0342】には、「磁石不正監視処理では、磁気センサスイッチ61からの検出信号をチェックして異常がないか判定して不正報知の開始や終了の設定等を行う。・・・磁石不正監視処理では、先ず、磁気センサスイッチ61から出力されて第2入力ポート122・・・に取り込まれる磁石センサ検出信号ビットをチェックして・・・磁石を用いた不正が行われ、・・・磁石センサ検出信号の入力がある・・・と判定すると、磁石不正監視タイマを更新(+1)した後、・・・磁石センサ検出信号の入力が一定期間・・・連続して行われることで、・・・磁石不正監視タイマがタイムアップした・・・と判定すると、・・・報知タイマ初期値を報知タイマ領域にセーブする・・・。続けて、・・・不正発生フラグをセットする処理・・・その後、磁石不正監視領域を準備」をすることが記載されている。 そうすると、刊行物には、遊技用マイコン111は、磁気センサスイッチ61からの磁石センサ検出信号の入力が一定期間連続して行われることで磁石不正監視タイマがタイムアップしたと判定すると不正発生フラグをセットすることが記載されているといえる。 (i)上記(ク)【0339】には、「磁石不正監視処理では、磁気センサスイッチ61からの検出信号をチェックして異常がないか判定して不正報知の開始や終了の設定等を行う」と記載されている。 また、同(ク)【0341】、【0342】には、「磁石を用いた不正が行われ、・・・磁石センサ検出信号の入力が一定期間・・・連続して行われることで、・・・磁石不正監視タイマがタイムアップした・・・と判定すると、・・・報知タイマ初期値を報知タイマ領域にセーブする・・・。・・・続けて、磁石不正報知コマンド・・・を準備するとともに、不正発生フラグをセットする処理・・・を行う。その後、磁石不正監視領域を準備した後・・・、入力信号の変化に応じて状態を判定してコマンドやフラグの更新を行うステータス更新処理・・・を行って、・・・磁石不正報知コマンドや不正発生フラグの設定を行う」と、同(ク)【0343】、【0344】には、「磁石を用いた不正が停止し、磁石センサ検出信号の入力が一定期間・・・連続して行われなかった場合には、・・・磁石不正に関する報知が所定時間行われ、・・・報知タイマがタイムアップした・・・と判定すると、磁石不正報知終了コマンド・・・を準備するとともに、不正報知解除フラグをセットする処理(ステップC133)を行った後、・・・磁石不正監視領域を準備した後・・・、・・・磁石不正報知終了コマンドや不正報知解除フラグを設定するステータス更新処理・・・を行う」と、それぞれ、記載されている。 そして、上記(ケ)【0345】?【0351】には、「タイマ割込み処理における外部情報編集処理・・・では、・・・磁石不正監視処理・・・の監視結果に基づいて、・・・遊技場内部管理装置等の外部装置や試射試験装置に出力する情報を作成して出力バッファにセットする処理等を行う。・・・磁石不正監視領域のステータスがエラー発生中であるか否かをチェックして、エラー発生中でない(ステップC154;No)と判定すると、大入賞口不正入賞監視領域のステータスがエラー発生中であるか否かをチェックする(ステップC155)。ここで、エラー発生中でない(ステップC156;No)と判定すると、普電不正入賞監視領域のステータスがエラー発生中であるか否かをチェックする(ステップC157)。そして、エラー発生中である(ステップC158;Yes)と判定すると、セキュリティ信号をONに設定した後(ステップC159)、遊技機エラー状態信号をONに設定する処理(ステップC160)を行う。また、ステップC154にて、エラー発生中であると判定・・・した場合にも・・・、処理をステップC159に移行して、それ以降の処理を行う。・・・、次に、・・・セキュリティ信号をRWMの外部情報出力データ領域にセーブした後・・・、・・・遊技機エラー状態信号をRWMの試験信号出力データ領域にセーブする処理・・・を行う」と記載されている。 また、上記(イ)【0058】には、「遊技機10は遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、・・・出力部130・・・などからなる」と、上記(エ)【0081】?【0083】には、「さらに、出力部130には、・・・試射試験装置へ・・・データや・・・信号などを中継基板70を介して出力するバッファ134が実装可能に構成されている。・・・磁気センサスイッチ61・・・のようにそのままでは試射試験装置へ供給できない検出信号は、一旦遊技用マイコン111に取り込まれて他の信号若しくは情報に加工されて、例えば遊技機が遊技制御できない状態であることを示すエラー信号としてデータバス140からバッファ134、中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。・・・また、出力部130には、・・・遊技機10に関する情報を外部情報端子71へ出力するための第5出力ポート137が設けられている。外部情報端子71から出力された遊技機10に関する情報は、例えば遊技店に設置された情報収集端末や遊技場内部管理装置・・・に供給される」と、それぞれ、記載されている。 そして、上記(キ)【0131】?【0133】には、「タイマ割込み処理における出力処理・・・では、・・・RWM内のセグメントデータ領域から・・・外部情報出力端子71へ出力するデータをロードして合成し、外部情報出力用のポート137へ出力する・・・。次に、試射試験装置へ出力する試験信号の出力データ・・・をロードして合成し、中継基板70上に設けられている試験端子出力ポート・・・へ合成したデータを出力する」と記載されている。 そうすると、刊行物には、遊技用マイコン111は、磁気センサスイッチ61からの磁石センサ検出信号の入力が一定期間連続して行われることで磁石不正監視タイマがタイムアップしたと判定すると磁石不正報知コマンドを準備するとともに、不正発生フラグをセットする処理を行い磁石不正監視領域を準備し、磁石を用いた不正が停止し、磁石センサ検出信号の入力が一定期間連続して行われなかった場合には、磁石不正に関する報知が所定時間行われ、報知タイマがタイムアップしたと判定すると、磁石不正報知終了コマンドを準備するとともに、不正報知解除フラグをセットする処理を行った後、磁石不正監視領域を準備し、入力信号の変化に応じて状態を判定してコマンドやフラグが設定された磁石不正監視領域のステータスがエラー発生中であるときは、外部装置に出力するためのセキュリティ信号を外部情報出力データ領域に、試射試験装置へ出力するための遊技機エラー状態信号を試験信号出力データ領域に、それぞれ、セーブする処理を行うことが記載されているといえる。 (l)上記(ア)【0019】には、「遊技機10」と記載されている。 以上、上記(ア)?(ケ)の記載事項及び上記(a)?(l)の認定事項を総合すれば、刊行物には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(a?lは発明の構成を分説するため当審で付した。)。 「a 不正検出用の磁気センサスイッチ61と、 c 磁気センサスイッチ61からの検出信号をチェックして、異常がないか判定する磁石不正監視処理を行う遊技用マイコン111と、を備え、 d 遊技用マイコン111は、 e 磁気センサスイッチ61からの磁石センサ検出信号の入力が一定期間連続して行われることで磁石不正監視タイマがタイムアップしたと判定すると不正発生フラグをセットし、 i 遊技用マイコン111は、磁気センサスイッチ61からの磁石センサ検出信号の入力が一定期間連続して行われることで磁石不正監視タイマがタイムアップしたと判定すると磁石不正報知コマンドを準備するとともに、不正発生フラグをセットする処理を行い磁石不正監視領域を準備し、磁石を用いた不正が停止し、磁石センサ検出信号の入力が一定期間連続して行われなかった場合には、磁石不正に関する報知が所定時間行われ、報知タイマがタイムアップしたと判定すると、磁石不正報知終了コマンドを準備するとともに、不正報知解除フラグをセットする処理を行った後、磁石不正監視領域を準備し、入力信号の変化に応じて状態を判定してコマンドやフラグが設定された磁石不正監視領域のステータスがエラー発生中であるときは、外部装置に出力するためのセキュリティ信号を外部情報出力データ領域に、試射試験装置へ出力するための遊技機エラー状態信号を試験信号出力データ領域に、それぞれ、セーブする処理を行う、 l 遊技機10。」 (3)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出しは(a)?(l)とし、本願補正発明、引用発明の分説に対応させている。 (a)引用発明の「不正検出用の磁気センサスイッチ61」は、構成cによると、その検出信号が、異常がないか判定するために用いられるものであるから、本願補正発明の「異常な磁気を検出する磁気検出器」に相当するものといえる。 よって、引用発明の「不正検出用の磁気センサスイッチ61」は、本願補正発明の「異常な磁気を検出する磁気検出器」に相当する。 (c)引用発明の「磁気センサスイッチ61からの検出信号」は、本願補正発明の「前記磁気検出器」での「検出結果」に相当する。 また、引用発明の「異常がないか判定する」ことは、本願補正発明の「異常状態の発生を検出する」ことに相当する。 そうすると、引用発明の「磁石不正監視処理を行う遊技用マイコン111」は、本願補正発明の「異常状態検出制御手段」としての機能を有する。 したがって、引用発明の「磁気センサスイッチ61からの検出信号をチェックして、異常がないか判定する磁石不正監視処理を行う遊技用マイコン111」は、本願補正発明の構成Cと、「前記磁気検出器」「の検出結果に基づき、異常状態の発生を検出する異常状態検出制御手段」の点で共通する。 (d)上記(c)より、引用発明の「遊技用マイコン111」は、本願補正発明の「異常状態検出制御手段」としての機能を有する。 (e)上記(a)より、引用発明の「磁気センサスイッチ61からの磁石センサ検出信号の入力」は、本願補正発明の「異常な磁気」の「検出」に相当する。 そして、引用発明の「磁気センサスイッチ61からの磁石センサ検出信号の入力が一定期間連続して行われることで磁石不正監視タイマがタイムアップしたと判定する」ことは、本願補正発明の「所定期間に亘り継続して異常な磁気を検出した」ことに相当する。 また、引用発明の「不正発生フラグをセット」することは、本願補正発明の「磁気異常状態が発生したと判定する」ことに相当し、即ち、「異常判定処理を行う」ことに相当する。 そして、上記(a)より、本願補正発明において、「異常な磁気を検出」するものは、「磁気検出器」である。 したがって、引用発明の「磁気センサスイッチ61からの磁石センサ検出信号の入力が一定期間連続して行われることで磁石不正監視タイマがタイムアップしたと判定すると不正発生フラグをセット」することは、本願補正発明の「前記磁気検出器の場合、所定期間に亘り継続して異常な磁気を検出した場合に磁気異常状態が発生したと判定する異常判定処理を行う」ことに相当する。 (i)上記(e)での検討を踏まえると、引用発明の「磁気センサスイッチ61からの磁石センサ検出信号の入力が一定期間連続して行われることで磁石不正監視タイマがタイムアップしたと判定」されることは、本願補正発明の「磁気異常状態が発生したと判定され」ることに相当する。 また、引用発明の「磁石を用いた不正が停止し、磁石センサ検出信号の入力が一定期間連続して行われなかった場合」は、本願補正発明の「異常な磁気が検出されなくなった」ときに相当する。 そして、引用発明は、磁気異常状態が発生したと判定されると「磁石不正報知コマンドを準備」し、異常な磁気が検出されなくなって、「磁石不正に関する報知が所定時間行われ、報知タイマがタイムアップしたと判定すると、磁石不正報知終了コマンドを準備するとともに、不正報知解除フラグ」を「セットする」ものであるから、そうすると、引用発明は、磁気異常状態が発生したと判定されてから、異常な時期が検出されなくなった後の「所定時間」までの間、「磁石不正に関する報知」が「行われ」ているといえる。 したがって、引用発明の「磁気センサスイッチ61からの磁石センサ検出信号の入力が一定期間連続して行われることで磁石不正監視タイマがタイムアップしたと判定すると磁石不正報知コマンドを準備するとともに、不正発生フラグをセットする処理を行」ってから、「磁石を用いた不正が停止し、磁石センサ検出信号の入力が一定期間連続して行われなかった場合には、磁石不正に関する報知が所定時間行われ、報知タイマがタイムアップしたと判定すると、磁石不正報知終了コマンドを準備するとともに、不正報知解除フラグ」「をセットする処理を行」う期間は、本願補正発明の「前記磁気異常状態が発生したと判定されてから、異常な磁気が検出されなくなった後の所定の磁気異常報知期間」に相当するといえる。 また、引用発明の「磁石不正監視領域」は、磁石不正を監視していることは明らかであるから、「入力信号の変化に応じて状態を判定してコマンドやフラグが設定された磁石不正監視領域のステータスがエラー発生中であるとき」とは、「磁石不正監視領域のステータス」において磁石不正に関するコマンドやフラグが設定されているときといえる。 そうすると、引用発明の「入力信号の変化に応じて状態を判定してコマンドやフラグが設定された磁石不正監視領域のステータスがエラー発生中であるとき」は、引用発明が「磁石不正報知コマンドを準備するとともに、不正発生フラグをセットする処理を行い磁石不正監視領域を準備」し、「磁石不正報知終了コマンドを準備するとともに」、「不正報知解除フラグをセットする処理を行った後、磁石不正監視領域を準備」するものであることから、「磁石不正報知コマンドを準備」してから「磁石不正報知終了コマンドを準備」するまでの間、すなわち、本願補正発明の「所定の磁気異常報知期間に亘」る期間に相当するといえる。 そして、引用発明の「外部装置に出力するためのセキュリティ信号」、「試射試験装置へ出力するための遊技機エラー状態信号」は、それぞれ、本願補正発明の「外部装置に出力するためのセキュリティ信号」、「試験用の装置に出力するためのエラー信号」に相当する。 そうすると、引用発明の「外部装置に出力するためのセキュリティ信号を外部情報出力データ領域に、試射試験装置へ出力するための遊技機エラー状態信号を試験信号出力データ領域に、それぞれ、セーブする処理を行う」ことは、本願補正発明の「外部装置に出力するためのセキュリティ信号と、試験用の装置に出力するためのエラー信号と、を出力することにより磁気異常報知を行」うことに相当する。 よって、引用発明の「遊技用マイコン111は、磁気センサスイッチ61からの磁石センサ検出信号の入力が一定期間連続して行われることで磁石不正監視タイマがタイムアップしたと判定すると磁石不正報知コマンドを準備するとともに、不正発生フラグをセットする処理を行い磁石不正監視領域を準備し、磁石を用いた不正が停止し、磁石センサ検出信号の入力が一定期間連続して行われなかった場合には、磁石不正に関する報知が所定時間行われ、報知タイマがタイムアップしたと判定すると、磁石不正報知終了コマンドを準備するとともに、不正報知解除フラグをセットする処理を行った後、磁石不正監視領域を準備し、入力信号の変化に応じて状態を判定してコマンドやフラグが設定された磁石不正監視領域のステータスがエラー発生中であるときは、外部装置に出力するためのセキュリティ信号を外部情報出力データ領域に、試射試験装置へ出力するための遊技機エラー状態信号を試験信号出力データ領域に、それぞれ、セーブする処理を行う」ことは、本願補正発明の、異常状態検出制御手段は、「前記磁気異常状態が発生したと判定されてから、異常な磁気が検出されなくなった後の所定の磁気異常報知期間に亘り、外部装置に出力するためのセキュリティ信号と、試験用の装置に出力するためのエラー信号と、を出力することにより磁気異常報知を行」うことに相当する。 (l)引用発明の「遊技機10」は、本願補正発明の構成Lと「遊技機」の点で共通する。 上記(a)?(l)により、本願補正発明と引用発明とは、 [一致点] A 異常な磁気を検出する磁気検出器と、 C’ 前記磁気検出器の検出結果に基づき、異常状態の発生を検出する異常状態検出制御手段と、を備え、 D 前記異常状態検出制御手段は、 E 前記磁気検出器の場合、所定期間に亘り継続して異常な磁気を検出した場合に磁気異常状態が発生したと判定する異常判定処理を行うが、 G さらに、前記磁気検出器の場合は、 I 前記磁気異常状態が発生したと判定されてから、異常な磁気が検出されなくなった後の所定の磁気異常報知期間に亘り、外部装置に出力するためのセキュリティ信号と、試験用の装置に出力するためのエラー信号と、を出力することにより磁気異常報知を行う、 L’ 遊技機。 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本願補正発明は、磁気検出器に加えて、一度異常な電波を検出しただけで電波異常状態が発生したと判定する電波検出器を備えているのに対し、引用発明は、磁気検出器は備えているが、電波検出器は備えていない点。 [相違点2] 本願補正発明は、磁気異常状態が発生したと判定された状態においても異常判定処理と同一の処理を繰り返し行うのに対し、引用発明は、そのような特定がされていない点。 [相違点3] 本願補正発明は、電波検出器の場合は、電波異常状態が発生したと判定されてから、異常な電波が検出されなくなった後の所定の電波異常報知期間に亘り、セキュリティ信号と、エラー信号と、を出力することにより電波異常報知を行うのに対し、引用発明は、そのような特定がされていない点。 [相違点4] 本願補正発明は、セキュリティ信号及びエラー信号は、磁気異常報知と電波異常報知において共用されるとしているのに対し、引用発明は、そのような特定がされていない点。 (4)判断 上記相違点について検討する。 ア 相違点1について 遊技機の技術分野において、異常状態を検出する手段を設け、異常判定処理を行う際に、磁気異常及び電波異常のどちらも検出可能とすること、及び、一度異常な電波を検出しただけで電波異常状態が発生したと判定することは、いずれも、本願出願前において周知技術である(必要があれば、特開2009-39386号公報(【0042】?【0046】、【0067】、【0074】?【0079】、図12、図15等。)、特開2003-236188号公報(【0030】、【0037】等。)等を参照されたい。)。 異常状態を検出する際に、どのような種類の異常を検出するかは、当業者が必要に応じて適宜決定し得る事項であるから、引用発明に当該周知技術を適用し、電波検出器を備え、磁気異常に加え電波異常についても監視し、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点2について 本願補正発明は、磁気異常状態が発生したと判定された状態において、磁石不正監視タイマをクリアし、所定期間に亘り継続して異常な磁気を検出した場合に磁気異常状態が発生したと判定する異常判定処理と同一の処理を繰り返すことにより、継続して不正が行われている状態を判定しているのに対し、引用発明は、磁気異常状態が発生したと判定された状態において、磁石不正監視タイマをクリアせずに、磁気異常状態が発生したと判定された状態における磁石不正監視処理においても、磁石不正監視タイマーがタイムアップしたと判定し続けている限り、継続して異常な磁気が検出される磁気異常状態が続いていると判定するものである。 そして、磁気異常状態が発生したと判定された状態において、本願補正発明のように、所定期間に亘り継続して異常な磁気を検出した場合に磁気異常状態が発生したと判定する処理を繰り返すことも、引用発明のように、継続して異常な磁気が検出されている限り、磁気異常状態が継続していると判定することも、いずれも、制御内容を複雑にすることなく、継続して不正が行われている状態を適正に判定することができるものであり、作用効果において、差異はない。 よって、引用発明において、当該相違点2に係る本願補正発明の構成を採用して、磁気異常状態が発生したと判定された状態においても異常判定処理と同一の処理を繰り返し行うようにすることは、当業者が適宜なし得る設計変更にすぎない。 ウ 相違点3について 上記(i)で検討したように、引用発明の異常状態検出制御手段は、磁気検出器の場合、磁気異常状態が発生したと判定されてから、異常な磁気が検出されなくなった後の所定の磁気異常報知期間に亘り、外部装置に出力するためのセキュリティ信号と、試験用の装置に出力するためのエラー信号と、を出力することにより磁気異常報知を行うものである。 また、上記アで検討したように、遊技機の技術分野において、異常状態を検出する手段を設け、異常判定処理を行う際に、磁気異常及び電波異常のどちらも検出可能とすることは、本願出願前において周知技術であり、さらに、異常が検出されたことを報知することも本願出願前において周知技術である。 そうすると、引用発明に周知技術である磁気検出器と電波検出器を両方備えたものを適用した際に、電波異常状態を報知するにあたり、磁気異常状態を報知する場合に倣って、電波異常状態が発生したと判定されてから、異常な電波が検出されなくなった後の所定の電波異常報知期間に亘り、セキュリティ信号と、エラー信号と、を出力することにより電波異常報知を行い、相違点3に係る本願補正発明の構成の如くすることは、当業者が容易になし得たことである。 エ 相違点4について 刊行物には、上記(2)(ケ)【0350】に「そして、ステップC153では、磁石不正監視領域のステータスがエラー発生中であるか否かをチェックして(ステップC153)、エラー発生中でない(ステップC154;No)と判定すると、大入賞口不正入賞監視領域のステータスがエラー発生中であるか否かをチェックする(ステップC155)。ここで、エラー発生中でない(ステップC156;No)と判定すると、普電不正入賞監視領域のステータスがエラー発生中であるか否かをチェックする(ステップC157)。そして、エラー発生中である(ステップC158;Yes)と判定すると、セキュリティ信号をONに設定した後(ステップC159)、遊技機エラー状態信号をONに設定する処理(ステップC160)を行う。また、ステップC154にて、エラー発生中であると判定するか(ステップC154;Yes)、或いは、ステップC156にて、エラー発生中であると判定した場合にも(ステップC156;Yes)、処理をステップC159に移行して、それ以降の処理を行う」と、同(2)(ケ)【0351】には、「次に、ON若しくはOFFに設定されたセキュリティ信号をRWMの外部情報出力データ領域にセーブした後(ステップC161)、ON若しくはOFFに設定された扉・枠開放信号をRWMの外部情報出力データ領域にセーブし(ステップC162)、続けて、ON若しくはOFFに設定された遊技機エラー状態信号をRWMの試験信号出力データ領域にセーブする処理(ステップC163)を行う」と記載されている。 したがって、刊行物には、セキュリティ信号及び遊技機エラー状態信号は、磁石不正監視、大入賞口不正入賞監視及び普電不正入賞監視のいずれかにおいてエラーが発生した場合、共用されることが記載されており、異常を報知するために出力する異常信号を、異常の種類毎に区分けするのではなく共用することが示唆されている。 そうすると、上記ウで検討したように、引用発明に周知技術である磁気検出器と電波検出器を両方備えたものを適用した際に電波異常報知において出力されるセキュリティ信号及びエラー信号を、磁気異常報知において出力されるセキュリティ信号及びエラー信号と共用して、当該相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは、CPUの処理負担の軽減、限られた数の端子の有効利用等のメリット、異常信号を異常の種類毎に区別ができない等のデメリットを考慮して、当業者が適宜選択し得るものであり、その結果、信号送信側と信号受信側の双方の負担を軽減できるという効果は、当業者が予測し得る範囲のものである。 よって、当該相違点4に係る構成は、引用発明の異常報知において周知技術である磁気検出器と電波検出器を両方備えたものを適用するに際し、刊行物の示唆に基づいて当業者が容易になし得たものである。 (5)審判請求人の主張について 審判請求書において、請求人は、本願補正発明の作用効果として、「信号送信側と信号受信側の双方の負担を軽減できる」と主張している(4頁24?25行)。 この主張について検討すると、上記(4)エで検討したとおり、上記請求人が主張する効果は、引用発明及び周知技術から予測し得る範囲のものであり格別なものとはいえない。 よって、請求人の主張は採用できない。 (6)小括 よって、本願補正発明は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4.むすび 以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 本願補正発明は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成27年12月15日付けの手続補正書により補正された、上記第2の1.で補正前として記載されたとおりのものである。 1.刊行物に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物の記載事項、引用発明は、上記第2の3.(2)に記載したとおりである。 2.対比・判断 本願発明は、本願補正発明の発明特定事項から、上記第2の1.で示した下線部に係る事項を省いたものであるから、上記第2の3.(3)で示した[相違点3]、[相違点4]に係る構成が省かれることとなる。 そうすると、本願発明と引用発明とは、上記第2の3.(3)で示した[相違点1]、[相違点2]と同様の相違点のみで相違し、当該相違点に係る本願発明の構成については、上記第2の3.(4)ア、イと同様の理由により、引用発明と周知技術に基づいて当業者が容易になし得たものである。 3.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明と周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-08-23 |
結審通知日 | 2017-08-29 |
審決日 | 2017-09-11 |
出願番号 | 特願2012-240405(P2012-240405) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 眞壁 隆一 |
特許庁審判長 |
服部 和男 |
特許庁審判官 |
蔵野 いづみ 長崎 洋一 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 特許業務法人光陽国際特許事務所 |
代理人 | 荒船 良男 |