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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C10L
管理番号 1333949
審判番号 不服2014-14461  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-24 
確定日 2017-10-25 
事件の表示 特願2012-519955「燃料の殺菌及び耐食添加のための添加混合物」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 1月20日国際公開、WO2011/006734、平成24年12月20日国内公表、特表2012-532970〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成22年6月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 平成21年7月13日 ドイツ(DE))を国際出願日とする出願であって、出願後の手続の経緯は概略以下のとおりである。
平成25年 8月23日付け 拒絶理由通知
平成26年 2月27日 意見書・手続補正書
同年 3月17日付け 拒絶査定
同年 7月24日 本件審判請求・手続補正書
同年 8月14日付け 前置報告書
平成27年 6月30日付け 拒絶理由通知
同年12月24日 意見書・手続補正書
平成28年 4月25日付け 拒絶理由通知
同年10月24日 意見書・手続補正書
同年11月 1日付け 審尋
なお、平成28年11月1日付けの審尋に対する、審判請求人からの回答はなかった。

第2 本願発明

本願の請求項1?3に係る発明は、平成28年10月24日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
燃料に基づき、
a)濃度が、少なくとも5ppmであるN,N’-メチレンビス(5-メチルオキサゾリジン)であるN-ホルマール、
b)濃度が、少なくとも10ppmである2,6-ジ-tert-ブチルフェノール及びBHTである抗酸化剤、及び
c)濃度が、少なくとも10ppmであるN,N-ビス(2-エチルヘキシル)(1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)アミンである腐食防止剤を含み、
成分c)に対する成分b)の重量比が、20:1?1:20である、
燃料のための添加混合物の、脂肪酸メチルエステルを含む燃料の殺生及び腐食防止添加のための使用。」

第3 平成28年4月25日付け拒絶理由通知の概要

当審において通知した、平成28年4月25日付けの拒絶理由は、おおむね次のとおりである。
・本願発明は、本願の優先日前に頒布された、後記刊行物1、2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 当審の判断

当審は、上記拒絶理由通知に対して平成28年10月24日に提出された、手続補正書及び意見書の内容を勘案しても、本願発明につき、下記のとおり、上記拒絶理由が依然として解消していないと判断する。
その理由は以下のとおりである。
なお、上記平成28年10月24日提出の手続補正書による補正は、請求項1に記載されていた「N,N-ビス(2-エチルヘキシル)(1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)」との記載を、「N,N-ビス(2-エチルヘキシル)(1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)アミン」に訂正するものであって、誤記の訂正を目的とするものであり、当該拒絶理由の対象であった、平成27年12月24日付け補正後の請求項1を、実質的に変更するものではない。

1 引用刊行物

引用する刊行物は次のとおりである。
刊行物1 特開2005-82595号公報
刊行物2 国際公開第2008/065015号
なお、以下、刊行物2の摘示に際しては、便宜上、パテントファミリーである特表2010-511067号公報を訳文として用い、該当箇所についても当該公報の対応箇所を示すこととした。

2 各刊行物に記載された発明

(1) 刊行物1記載の発明
刊行物1の【請求項1】には、次の殺菌性組成物が記載されている。
「【請求項1】
殺菌性組成物であって、
a)少なくとも1種のホルムアルデヒドドナー化合物、及び
b)少なくとも1種の、没食子酸エステル、フェノール誘導体、L-アスコルビン酸、並びにそれらの塩及び誘導体、並びにトコフェロール及びそれらの誘導体から選択される抗酸化剤
を含有する殺菌性組成物。」
そして、当該「ホルムアルデヒドドナー化合物」及び「抗酸化剤(フェノール誘導体)」として、具体的に「N,N’-メチレンビス(5-メチルオキサゾリジン)」及び「2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレソール」が挙げられ(【請求項5】、【請求項10】)、場合に応じて「腐食阻害剤」を追加し得ることも記載されている(【請求項12】)。
さらに、刊行物1の【請求項19】には、上記殺菌性組成物の使用につき、次のように記載されている。
「【請求項19】
燃料、特にディーゼル燃料及び潤滑剤の、酸化に対する感受性、退色、沈殿を低減するための、又は低温安定性を改良するための、流動性を改良するための、又は保存期間を延長するための、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の殺菌性組成物の使用。」
これらの記載を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されているといえる。
「ディーゼル燃料の、酸化に対する感受性、退色、沈殿を低減するための、又は低温安定性を改良するための、流動性を改良するための、又は保存期間を延長するための、次の成分を含有する殺菌性組成物の使用。
・『N,N’-メチレンビス(5-メチルオキサゾリジン)』をはじめとするホルムアルデヒドドナー化合物、
・『「2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール』をはじめとする抗酸化剤としてのフェノール誘導体、及び
・『腐食阻害剤』」(以下、「刊行物1記載の発明」という。)

(2) 刊行物2記載の発明
刊行物2の【請求項10】には次の記載がある。
「【請求項10】
有効安定化量の、
i)立体障害性フェノール系酸化防止剤から成る群から選択された少なくとも1つの化合物と
ii)トリアゾール金属奪活剤から成る群から選択された少なくとも1つの化合物
との組み合わせをバイオディーゼル燃料へ配合することを含む、熱、光、酸素及び金属の悪影響に対するバイオディーゼル燃料の安定化方法。」
そして、当該「立体障害性フェノール系酸化防止剤」及び「トリアゾール金属奪活剤」として、具体的に「2,6-ジ第三ブチルフェノール、2,6-ジ第三ブチル-4-メチルフェノール(BHT)」及び「1-(ジ-(2-エチルヘキシル)アミノメチル)-1,2,4-トリアゾール」(【請求項2】、【請求項5】)が挙げられている。
そうすると、刊行物2には、次の発明が記載されているといえる。
「有効安定化量の、
i)『2,6-ジ第三ブチルフェノール、2,6-ジ第三ブチル-4-メチルフェノール(BHT)』をはじめとする立体障害性フェノール系酸化防止剤から成る群から選択された少なくとも1つの化合物と
ii)『1-(ジ-(2-エチルヘキシル)アミノメチル)-1,2,4-トリアゾール』をはじめとするトリアゾール金属奪活剤から成る群から選択された少なくとも1つの化合物
との組み合わせをバイオディーゼル燃料へ配合することを含む、熱、光、酸素及び金属の悪影響に対するバイオディーゼル燃料の安定化方法。」(以下、「刊行物2記載の発明」という。)

3 対比・検討

(1) 刊行物1記載の発明を主引用発明とした場合
ア 本願発明と刊行物1記載の発明の対比
本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、両者は次の点で相違し、その余の点で一致するといえる。
<相違点1>
前者は、「2,6-ジ-tert-ブチルフェノール及びBHTである抗酸化剤」並びに「N,N-ビス(2-エチルヘキシル)(1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)アミンである腐食防止剤」を含む添加混合物を用いるとともに、各成分の濃度及び重量比を特定しているのに対して、後者は、それらを特定していない点。
<相違点2>
前者は、脂肪酸メチルエステルを含む燃料を対象としているのに対して、後者は、ディーゼル燃料を対象としている点。
イ 相違点の検討
上記相違点1、2について併せて検討する。
ディーゼル燃料として、脂肪酸メチルエステル(FAME)からなるバイオディーゼル燃料は、軽油の代替燃料として周知のものであるから(要すれば、刊行物2の【0014】、【0015】)、刊行物1記載の発明におけるディーゼル燃料として、当該周知の燃料を使用することは既に想定内のことというべきであるか、当業者にとって容易なことである。
そして、当該バイオディーゼル燃料の保存に際しては、刊行物2記載の発明が課題としているとおり、「金属の悪影響」(刊行物2の【0059】には「金属汚染」とも説明されている。)が懸念され、これに配慮すべきことも既に当業者間で認識されている事項というべきであるから、刊行物1記載の発明においてバイオディーゼル燃料を対象とするにあたり、腐食阻害剤(腐食防止剤)として、刊行物2記載の発明が具備する「1-(ジ-(2-エチルヘキシル)アミノメチル)-1,2,4-トリアゾール」(本願発明のc成分に相当)をはじめとするトリアゾール金属奪活剤(本願発明の「腐食防止剤」に相当)を用いることに、格別の創意は認められない。
また、刊行物2記載の発明にみられるように、燃料の抗酸化剤としてのフェノール誘導体として、「2,6-ジ第三ブチルフェノール、2,6-ジ第三ブチル-4-メチルフェノール(BHT)」をはじめとする立体障害性フェノール系酸化防止剤を用いることは、既に慣用のものであって、当該酸化防止剤を適宜組み合わせて普通に使用されていることから、刊行物1記載の発明では、「抗酸化剤としてのフェノール誘導体」として、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(BHT)のみが用いられているとしても、本願発明のようにさらに「2,6-ジ-tert-ブチルフェノール」を用いることも、当業者が適宜設定すべき事項にすぎないというべきである。
さらに、各成分の濃度と重量比の規定については、各成分が所望の性能を発現するような濃度と重量比を選択することは当業者として当然のことである上、本願明細書を仔細にみても、本願発明が特定する各成分の濃度と重量比の規定が有する意義(有利な効果)を認めるに足りる記載は見当たらないから、当該各成分の濃度と重量比の規定も、単なる当業者による設計事項の範疇のことというほかないし、特定の3種の成分a?cを併用することで、予期せぬ効果を奏するとも認められない。
なお、審判請求人は、平成28年10月24日に提出された意見書において、当該各成分の濃度と重量比の規定に関する本願発明の有利な効果について主張するが、当該意見書には、これを認めるに足りる根拠は何ら示されておらず、また、平成28年11月1日付け審尋において、その釈明を求めたが、これに対する回答はなかったため、上記主張を採用することはできない。
したがって、本願発明は、刊行物1記載の発明及び刊行物2の記載事項(周知技術)に基いて当業者が容易に想到し得るものと認められる。

(2) 刊行物2記載の発明を主引用発明とした場合
刊行物2記載の発明を主引用発明とした場合、刊行物2記載の発明における「1-(ジ-(2-エチルヘキシル)アミノメチル)-1,2,4-トリアゾール」は、「N,N-ビス(2-エチルヘキシル)(1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)アミン」にほかならないから、本願発明と刊行物2記載の発明とは、「N,N’-メチレンビス(5-メチルオキサゾリジン)であるN-ホルマール」の有無と、各成分の濃度と重量比の規定の有無において相違することとなるが、燃料の保存に際して、生物腐食に配慮すべきことは当業者として当然のことというべきであり、かつ、当該生物腐食に対処すべく、上記N-ホルマールが慣用の殺生剤(殺菌剤)として使用されている状況に照らすと(要すれば、刊行物1の【0002】、【0003】、【0010】参照)、刊行物2記載の発明において、上記N-ホルマールを用いることは当業者にとって容易なことというべきである。
また、本願発明が特定する各成分の濃度と重量比の規定に格別の創意が認められないことは上記(1)のとおりである。
したがって、本願発明は、刊行物2記載の発明及び刊行物1の記載事項(周知技術)に基いて当業者が容易に想到し得るものと認められる。

第5 むすび

以上検討のとおりであるから、本願は、その請求項1に係る発明が、特許法第29条第2項の規定に違反するものであり、特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明につき検討するまでもなく、特許法第49条第2号に該当し拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-24 
結審通知日 2017-05-30 
審決日 2017-06-12 
出願番号 特願2012-519955(P2012-519955)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C10L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森 健一  
特許庁審判長 國島 明弘
特許庁審判官 天野 宏樹
日比野 隆治
発明の名称 燃料の殺菌及び耐食添加のための添加混合物  
代理人 野河 信久  
代理人 堀内 美保子  
代理人 峰 隆司  
代理人 岡田 貴志  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 砂川 克  
代理人 佐藤 立志  
代理人 福原 淑弘  
代理人 井関 守三  
代理人 河野 直樹  
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