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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 C07D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C07D
管理番号 1333959
審判番号 不服2016-9916  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-01 
確定日 2017-10-25 
事件の表示 特願2014-531758「相応の作用を伴う調節活性を有している(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミド化合物、医薬物質(変種)およびその適用、それらの組成物(変形)」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月28日国際公開、WO2013/043085、平成26年10月 6日国内公表、特表2014-526551〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は2012年9月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年9月22日 ロシア(RU))を国際出願日とする出願であって、出願後の手続の経緯の概要は次のとおりである。

平成26年 5月26日 特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
の提出
平成27年 2月 6日付け 拒絶理由通知
同年 8月17日 意見書の提出
平成28年 2月22日付け 拒絶査定
同年 7月 1日 拒絶査定不服審判の請求

第2 本願特許請求の範囲の記載
本願の特許請求の範囲の請求項1?55の記載は平成26年5月26日付けの特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書に記載された特許請求の範囲の請求項1?55に記載の以下のとおりである。

「 【請求項1】
相応の作用を伴う調節活性を有している、化合物(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミド。
【請求項2】
精神調節活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
サイオペランド調節活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
神経調節活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
オペランド(operand)調節活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
内分泌調節活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
免疫調節活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
細胞調節活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
プロモウト(promout)調節活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
ユニモジュラトリー(unimodulatory)活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
訓練ストレス因子(training stress factor)活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
強壮活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
神経抑制活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
痙攣抑止活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
抗パーキンソン病活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
精神刺激活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
抗不安活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
抗鬱活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
向知性活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
記憶向性活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
渇望抑制活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
神経保護、神経栄養性および神経代謝性の活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
代謝調節活性および抗アポトーシスの活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
鎮痛活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
抗虚血性および抗梗塞の活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
脳血管性および脳保護の活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
抗酸化性および酸化促進の活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
抗低酸素活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
正常緊張状態の活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
抗船酔い活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
抗炎症活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
抗毒性活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
抗潰瘍誘発活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
抗発がん活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
抗ウイルス活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
抗浮腫活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
利尿活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
再生性および修復性の活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項39】
若返り活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項40】
痩身活性を有している、請求項1に記載の化合物。
【請求項41】
ラセミ化合物(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミドの医薬物質であって、
乾燥ベースに基づいて99.0%以上および100.5%以下の2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミド、単独にか、または合計して0.2%以下の関連する個々の不純物;単独にか、または合計して3000ppm以下の残量の有機溶媒を含有している、医薬物質。
【請求項42】
乾燥による損失は0.1%以下である、請求項41に記載の医薬物質。
【請求項43】
乾燥による損失は0.5%以下である、請求項41に記載の医薬物質。
【請求項44】
毛細管法によって測定された融点は130?133℃の範囲にある、請求項41に記載の医薬物質。
【請求項45】
ラセミ化合物(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミドの医薬物質であって、
関連する個々の不純物の含有量が、単独にか、または合計して0.25%を超え得ない点において異なる、医薬物質。
【請求項46】
残量の有機溶媒の含有量が、単独にか、または合計して5000ppmを超え得ない点において異なる、請求項45に記載の医薬物質。
【請求項47】
(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミドの医薬物質であって、
その構成成分のアッセイ含有量は、乾燥ベースに基づいて98.0%以上および1000.5%以下の2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミド;合計して0.5%以下の関連する個々の不純物;単独にか、または合計して5000ppm以下の残量の有機溶媒であり得る、医薬物質。
【請求項48】
毛細管法によって測定された融点は128?133℃の範囲にある、請求項47に記載の医薬物質。
【請求項49】
(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミドの医薬物質を製造する方法であって、
合成から得られる工業的な所望の原材料が精製に供される点において異なる、4(RS)-フェニルピロリジン-2-オンのラセミ混合物からの、工業的な所望の原材料の合成、脱塩(蒸留)水を用いて化合物を処理することによる化合物の精製、結晶化および安定化、ならびにプロパノールからの等温結晶化に続く、恒量までの乾燥を包含している、方法。
【請求項50】
組成物の標準的な工業生産の前に、物質の粉末は、ふるいに通してふるい分けられ、恒量まで乾燥させられる点において異なる、請求項1?40のいずれか1項に記載の対象とされる目的にとって許容可能な活性を有している任意の有利な薬学的組成物または準薬学的組成物の製造における、
(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミドの医薬物質の使用であって、
以下の指標:乾燥ベースに基づいて99.0%以上および100.5%以下の2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミド;単独にか、または合計して0.2%以下の関連する個々の不純物(合成の前駆体および生成物);単独にか、または合計して0.3%以下(3000ppm以下)の残量の有機溶媒;0.1%以下の硫酸塩の灰分、0.001%以下の重金属、0.1%以下の乾燥による損失、130?133℃の融点によって特徴づけられている、使用。
【請求項51】
0.2g(正確に計量された)の粉末の物質の(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミドを、ケルダールフラスコに入れ;20mlの0.1Mの塩酸溶液を加え、ケルダールフラスコを窒素の測定用の装置に取り付け、蒸留を開始し;安定状態にした後、40mlの30%のナトリウム水素酸を蒸留フラスコに穏やかに加え(フラスコ内の溶液が、蒸気の流動によって撹拌されたことを確かめる)、200mlの蒸留物を20mlの4%のホウ素酸溶液および0.1mlの混合指示薬を用いて容器に回収し;蒸留された画分を0.1Mの塩化水素によって滴定して、赤紫色にし、対照実験を実施した(1mlの0.1MのHCl溶液は、0.021826g(すなわち21.826mg/21.83mg)C12H14N2O2に対応する)からなる、2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミドの滴定分析方法。
【請求項52】
100%の質量、質量-体積、体積につき、
(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミド 0.01?75
賦形剤および担体を包含している意図的な添加物 9.99?25
を含んでいる、請求項1?40に記載のような用途にとって許容し得る活性を有している、内服用の薬学的組成物。
【請求項53】
100%の質量、質量-体積、体積につき、
(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミド 0.001?90
賦形剤および担体を包含している意図的な添加物 9.999?10
を含んでいる、請求項1?40に記載のような用途にとって許容し得る活性を有している、局所用の薬学的組成物。
【請求項54】
100%の質量、質量-体積、体積につき、
(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミド 0.01?75
賦形剤および担体を包含している意図的な添加物 9.99?25
を含んでいる、請求項1?40に記載のような用途にとって許容し得る活性を有している、内服用の準医薬品組成物。
【請求項55】
100%の質量、質量-体積、体積につき、
(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミド 0.001?90
賦形剤および担体を包含している意図的な添加物 9.999?10
を含んでいる、請求項1?40に記載のような用途にとって許容し得る活性を有している、局所用の準医薬品組成物。」

第3 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶理由は理由1、3及び4であり、このうち、理由1、理由3はそれぞれ、次のとおりである。

理由1は「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、拒絶理由通知書には、請求項として1-50,52-55が、引用文献等として1-4が記載され、引用文献3として特表2009-531423号公報(拒絶査定では引用文献1)が記載されている。

理由3は「この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。」というものであり、拒絶理由通知書には具体的に、
「(1)請求項1-40の「・・活性を有している」という表現は、化学物質自体(化学構造)を特定したものではないから、化学物質発明の記載として適切でない。
・・・
(3)請求項54-55の「準医薬品組成物」という記載は、どのような組成物を示しているのか明らかでない。」と記載されている。

第4 当審の判断
当審は、原査定の拒絶理由の理由1及び3により、本願は拒絶すべきものであると判断する。理由は以下のとおりである。

1 理由3(1)について
請求項1?40には化合物について記載されているところ、これら請求項では、化合物に「・・・活性を有している」との語が付して記載されている。
ところで、化合物については、2種以上の元素の原子が互いに化学結合力によって結合することを化合といい、化合によって生じ、一定組成をもち各成分の性質がそのまま現われていないような物質を化合物という(化学大辞典編集委員会編、化学大辞典2縮刷版、共立出版株式会社、1989年8月15日縮刷版32刷発行、「化合物」の項参照)が、その種類によって化学的性質、生物学的活性等について固有の性質を有するから、化合物が特定されれば、その性質の特定の有無に拘わらず化合物が特定されるといえる。
この点から、本願請求項1?40に記載の化合物について検討するに、特許法第36条第5項の規定からみて、上記「・・・活性を有している」との語は化合物を特定するために必要と認める事項であるとして記載されたものと解されるが、上記した化合物の定義、特性からみると、かかる語の有無に拘わらず、化合物は一に定まるといえる。
してみると、「・・・活性を有している」との語により化合物は何ら限定されることにはならず、当該語によって限定される事項は存在しないと解されるにも拘わらず、かかる語が化合物を特定するために必要な事項として記載されているから、化合物が上記語により限定されるのか、限定されないのかが明らかではない。
一方で、仮に「・・・活性を有している」との語により化合物に何らかの限定がされているとした場合について検討するに、「・・・活性を有している」との語は化合物が有する活性で化合物を限定すると解されるが、活性の有無の判断基準が明らかでなく、また、当該活性の有無と化合物の構造との関係は明らかでないから、当該特定によって、当該特定のない化合物と化合物としてどのように異なるか区別することができるとはいえない。また、化合物は不純物の存在、異性体の存在等により一の化合物名で表される化合物であっても、当該化合物には異なる性質を有する化合物が存在することが考えられ(但し、不純物が存在する場合は「混合物」と表現するのが適切であると考える。)、また、請求項1に記載の化合物は、「(RS)」との記載からも明らかなように、ラセミ体に関するものであるところ、ラセミ体には、ラセミ化合物、ラセミ固溶体、ラセミ混合物が含まれることから、上記「・・・活性を有している」との語は、当該化合物について、不純物又はラセミ体の種類若しくはその両方について限定していると解することもできるが、「・・・活性を有している」との語により、そのいずれ(又は両方)、あるいはそれ以外の事項を限定しようとしているか、どのような物に限定しているかは明らかでなく、そのいずれ(又は両方)、あるいはそれ以外の事項を限定しようとしているか、どのような物に限定しているかを理解できる技術常識もない(なお、ラセミ混合物を含めてラセミ体を「化合物」と表記することは化合物の技術分野において通常のことであると認める。)。
以上のことを総合すると、請求項1?40に記載された「・・・活性を有している」との語は、a)これら請求項に記載の化合物をさらに限定するものではないと解されるにも拘わらず、発明を特定するために必要な事項として上記語が記載されているから、これら請求項に記載の化合物が上記語によって、限定されるのか、限定されないのかが明らかでなく、b)仮に、上記語により何らかの限定がされる場合には、上記語により限定された化合物、あるいは限定された物が明らかでないから、いずれの場合においても、上記当該語を用いて特定される請求項1?40の特許を受けようとする発明は明確であるとはいえない。
したがって、本願の特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第2号に適合せず、本願は同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。

2 理由3(3)について
請求項54及び55に記載の「準医薬品組成物」について、当該記載は、「準医薬」との用途が付された物品である組成物であると解されるところ、準医薬がどのような用途を表す用語であるかは明らかでなく、それが明らかとなる技術常識があるともいえないから、準医薬品組成物がどのような物質であるか明確とはいえない。
念のため本願明細書の記載をみるに、段落0021に、
「準医薬剤(parapharmaceutical agents)-SBAS^(*)(特殊な生物学的に活性な補助剤)、BAS(生物学的に活性な栄養補助食品)。強壮剤、適応助成剤、いくつかのホメオパシー剤、衛生学的、歯科用の、薬用化粧品、およびヒトに対する、多くの他の治療用、予防用、および矯正用の目的のならびに動物に対する医薬;
・・・
SBAS^(*)-薬剤の単回投与を超えないその組成物において、または定義された単回、一連のまたはサブコースの分子量または体積の薬学的剤にたいして、その治療投与量程度の希釈において含む、特殊な生物学的に活性な助剤;それらは食品補助剤ではなく、その生物学的な特性および性質において改良して栄養補助食品に包含され得るが、食品補助剤が食品補助剤に関連していても、SBASの区分に入る;」
として、「準医薬剤」についての記載があるが、請求項に記載の「準医薬品」とは、その用語が異なるため、同じ物を意味するとはいえず、仮に同じ物を意味する又は準医薬剤を含むものが準医薬品を意味するとしても、準医薬剤の定義にある「SBAS(特殊な生物学的に活性な補助剤)」、「適応助成剤」、「いくつかのホメオパシー剤」とはどのような物質であるか、SBASの定義をみてもその範囲は明確とはいえず、それが明確となる技術常識も存在しないから、結局、準医薬品がどのような範囲の物であるかは明確でなく、したがって、準医薬品組成物が明確であるとはいえない。
したがって、請求項54及び55の特許を受けようとする発明は明確ではない。
よって、本願の特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第2号に適合せず、本願は同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。
なお、審判請求人は審判請求書において、準医薬品の定義について英語、フランス語及びロシア語のウェブ頁の記載を引用するなどして、「準医薬品組成物」という用語は明確である旨主張しているが、上記した本願明細書の段落0021に準医薬剤として医薬が列記されているのに対し、英語のウェブ頁では非医薬品とされている点においてその概念が異なっているから、準医薬品の概念が一定のものとして認識されているとはいえず、我が国において準医薬品がどのような範囲の物を意味するか明確ともいえないから、かかる主張は採用できない。

3 本願請求項52に係る発明についての理由1について
ア 引用刊行物及びその記載
刊行物1:特表2009-531423号公報(原査定の拒絶理由で引用された引用文献3(拒絶査定では引用文献1))
刊行物1には、以下の記載がある。

1a)「【請求項1】
N-カルボモイルメチル-4-フェニル-2-ピロリドン (フェノトロピル)の、神経親和性-神経調節物質活性、脳血管活性および抗-発作活性を呈する薬剤としての使用。」

1b)「【0003】
・・・
上記の技術的効果は、N-カルボモイルメチル-4-フェニル-2-ピロリドン[フェノトロピル(Phenotropil)]を、抗-高血圧症薬および抗-虚血症薬(虚血性心疾患(IHD)における)として知られている、神経親和性-神経調節性、脳血管作用性および抗-発作活性を呈する薬剤(USSR発明者証No. 797219, A61K 21/40, 3C07D 207/26; RF特許No. 2183117, C1, A61K 31/40; 欧州特許No. 002380, B1, A61K 31/4015);向知性活性を持つ薬剤および薬理組成物(RF特許No. 2050851, C1, A61K 31/40; RF特許No. 2240783, C1, A61K 9/20, 31/40, A61P 25/28);および抗-鬱活性を呈する薬剤(RF特許No. 2232578, C1, A61K 31/41, 52, A61P 25/24)として使用することによって達成できる。」

1c)「【0007】
実施例1:出血性発作モデル(大脳内外傷後血腫)を用いた、フェノトロピルの抗-発作作用の研究
体重200?250gの白色異型交配種の雄ラットについて実験を行った。これらのラットは、自然な昼夜の変化の下に、餌および水を自由に摂取できる飼育器条件にて、飼育されている。抱水クローラル(400mg/Kg)で麻酔したラットにおいて、出血性発作(HS)を発生させる目的で、定位開頭術を行い、内包領域における脳組織を、マンダリン(mandarin)ナイフで破壊し、ラットの舌部下部において採取した血液(0.02?0.03mL)を、該破壊部分に注入した。かくして、上部に位置する脳構成および新皮質を損傷することなしに、局部的な自己出血性両側性発作を、該内包領域(径:2mm;深さ:3mm)に発生させた。疑似手術を施した動物、および塩水を供給した、HSに罹っている動物は、コントロール動物として使用された。100mg/Kgなる用量でのフェノトロピルの胃内投与は、該手術後5時間の時点において、特別なチューブを用いて行い、次いで各日の該当時点±3分において、7日間に渡り毎日投与した。
【0008】
該手術の間におよびその後即座に、ラットの40%が死亡した。HS後の初期数時間において生存していたラットを、14日間に渡り観察した。該フェノトロピルの影響は、該動物の生存率について、I.V. Gannushkina (1977)により改良されたMcGrow発作-指標スケールでの神経学的な欠損のレベル、およびロタロッドテスト(Rotarod test)におけるレベル、水平バー上での、顎支持(chinning up)テストにおける、筋肉緊張の維持、開放区テストにおける定位および探査挙動に関して評価した。認識機能の研究は、受動的回避の条件付けされた反射能力(CRPA)に関して、標準単位で行った。CRPAの反復(記憶痕跡の維持)に関するテストは、トレーニングの24時間後並びに該手術の第3日目、第7日目および第14日目に行った。暗いチャンバー内に最初に入った際の潜伏時間は、穴掘り反射運動を評価した際に、登録された。
【0009】
該手術後の第一日目に、塩水バックグラウンドを越える神経学的異常性(90%?100%)は、HSに罹患した全ての動物において実際に見いだされ、該異常性は、無気力さ、動作の緩慢さ、脚部の弱化、として現れ、一方このような障害は、疑似手術を施した動物の30%?40%において観測された(表1参照)。該フェノトロピルバックグラウンドを越えるHSの場合には、神経学的欠損は、動物の40%?50%において観測され、また実際上は、疑似手術を施した動物群と異なっていなかった。サークルにおける調教運動および四肢麻痺として現れる神経学的欠損は、フェノトロピルの投与を受けた、発作のある動物には見られず、HS+塩水処置した群においては、極めて大きな神経学的欠損が、該動物の夫々40%、30%および30%において観測された。
従って、HSの急性期において、フェノトロピルは、見掛け上神経親和性および脳血管活性を示し、また神経学的状態の障害を減じる。
【0010】
HSに罹ったラットの筋肉緊張の記録は、発作後3日目に、筋肉緊張の弱化が、平均して、動物の40%?50%において観測され、また7日目および14日目には、動物の38%?36%において観測される(表2を参照のこと)ことを示した。フェノトロピルの投与を受けたラットにおいては、動物の42%?33%において観測された。フェノトロピルの導入後7日目には、動物の25%において、筋肉緊張の弱化が観測され、またその14日目までには、この数値は16%まで低下され、また発作のある動物におけるこのような数値と比較して、統計的に信頼できるものであった(表2を参照のこと)。
HSに罹ったラットの運動協調性不全の動力学の研究は、第1日目乃至第3日目において、運動協調性不全が、動物の48%?50%において観測され、また第7日目?第14日目には、生存動物の38%?45%において観測されることを示した(表3を参照のこと)。用量100mg/Kgのフェノトロピルは、ラットにおける運動協調性不全を減じた。見かけのおよび統計的に信頼できる結果は、発作後の第7日目?第14日目において観測された(表3を参照のこと)。
【0011】
齧歯目動物の穴掘り反射運動は、制限された暗部空間に対する生来の傾向である。該手術後の第一日目に、全ての動物は、該穴掘り運動性を維持するが、HSに罹った動物群およびフェノトロピルの一回投与によるバックグラウンドでは、該反射運動を行う潜伏期間は増大した(表4を参照のこと)。
これらの研究中に、実験の全期間中に塩水が投与された、ラットのコントロール群(完全またはそのままの動物)では、トレーニング後(チャンバーの暗部部分における苦痛による刺激)該CRPAを、24時間繰り返した場合には、80%の動物が、目下の発作を覚えており、また観測の全期間に渡り、暗い「危険な」チャンバー入ることはなかった。トレーニングの1日後に、該コントロールのそのままのラットおよび不当に手術されたラットは、暗いチャンバー内での目下の発作を十分に記憶しており、動物の70%?80%が、該危険な部分に侵入することはなかった。その他のラットは、極めて長い潜伏期間で、該暗部部分に入った(表5aを参照のこと)。出血性発作(HS)に罹っているラットでは、該暗いチャンバーに入る潜伏期間が、トレーニングの1日後に事実上低下した。僅かに25%の動物が、暗いチャンバーには全く入らなかった。即ち、これらの動物は、目下の発作を記憶しており、またラットの75%において記憶が侵害されていた(表5aを参照のこと)。
【0012】
該手術の5時間後における、用量100mg/Kgでのフェノトロピルの一回の投与(トレーニングの1日後に該CRPAを繰り返した)は、記憶を維持する動物数を40%まで高め(HSに罹った動物:25%)、また暗い危険な部分に入るまでの潜伏期間を増大した。しかし、フェノトロピルの一回の投与による、この有益な効果は、そのままの動物における該効果と比較して、統計的な信頼性は低かったが、該HS-群と比較して、該投与は、暗いチャンバーに入るまでの潜伏期間を、48%まで高め、また1日後に記憶を維持している動物数を、60%まで高めた。
HSに罹った動物における記憶を損傷させる手術の3日後に、該数値は同一レベルにあった(表5aを参照のこと)。フェノトロピルの3回の注入後、該暗いチャンバーに入るまでの潜伏期間における増加が観測され、該暗いチャンバーに入らなかった動物数も増大したが、疑似手術を施した動物に比して、これらフェノトロピルの効果は、実際に統計的に信頼性の低いものであった。しかし、該効果は、有意に顕著であり、また塩水を投与したHS-群における効果よりも信頼できるものであった。
【0013】
トレーニングの7日後および14日後、該そのままの動物および疑似手術を施した動物は、該負の状況を十分に記憶しており、またCRPAを行った(表5bを参照のこと)。これらと比較して、HSおよびトレーニングの7日?14日後には、暗いチャンバー内での苦痛による刺激に関する動物の記憶は、確実に破壊されていた。また、この記憶の破損は、該手術の1日および3日後におけるこのような数値と比較して、一層顕著であった。従って、7日目には、僅かに16%の動物が、この負の刺激を記憶しており、またその他のラットは、28秒以内に該暗い危険な部分に、既に入っていた。更に、14日目には、僅かに9%の動物が、該CRPAを保存していた(表5bを参照のこと)。
7日間に渡り、100mg/Kgなる用量で注射された、フェノトロピルは、該HS手術後の第7日目および第14日目に、後-発作期間において、記憶不全を回復した。該負の状況を記憶していた、該ラットにおける統計的信頼度の増大(40%まで)は、該薬剤の影響の下で、観測された(該HSラットにおいては9%)。暗い危険なチャンバーに入る該潜伏期間は、HS-ラットにおける値に比して、約3倍に増大した(表5bを参照のこと)。
【0014】
従って、二回目の注射後のフェノトロピルは、受動的回避の条件付けされた反射能力モデルに関して、出血性発作にて破壊された記憶を再生することができる。開放区法の条件における定位および探査挙動に関する研究は、該手術後の第一日目に、運動活性の全体としての指標および探査挙動における有意な減少が、該HSラットにおいて観測された。該ラットの挙動に関する同様な指標は、該HS手術後の14日目においても観測されたが、動物は、僅かにより活動的であった(表6を参照のこと)。フェノトロピルは、その活性を、HS手術後の3日目に記録した場合には、該そのままのおよび疑似手術を施した動物に関する該挙動指標レベルに対して、挙動の全体としての指標を増大した(表6を参照のこと)。フェノトロピルの活性を、注射後の7日目に記録した場合、該HS群のラットにおけるものと比較して、該運動挙動の全体としての指標は、2.7倍に増大した(表6を参照のこと)。該手術後の第14日目においては、挙動に及ぼす、フェノトロピルの活性化効果は、維持された。
【0015】
表3において、該手術の14日目までの間、該疑似手術を施したラット群の1匹の動物が死亡した。該HS+塩水投与群においては、第1日目までの間に、該動物の23%が死亡し、また14日目までに、この係数は57%までに達した。100mg/Kgなる用量のフェノトロピルは、1日一回の割合で、7日間に渡り注射した際には、該動物の死亡は、完全に阻止された。
これら研究の結果において、疑似手術を施した動物と比較して、出血性発作を持つ(脳内外傷後血腫)ラットにおいて、以下の事象が観測されたことが理解できる;顕著な神経学的な欠損;運動協調性障害;トレーニングプロセスおよび記憶の弱化;および動物の死亡率における増加。また、病理的な総合的症状の重症化が、観測の14日目までに認められた。
【0016】
フェノトロピルは、該手術の5時間後に、次いで毎日7日間に渡り、100mg/Kgなる用量で、動物に注射された場合に、発作および発作後の疾患の有意な改善をもたらす。この薬剤は、既に発作後1日目において、該マグロウスケールでの神経学的欠損の指標を改善し、また順当に使用しているうちに、発作後第7日および第14日目には、筋肉の緊張を高めまた運動協調性を改善する。フェノトロピルは、二度目の使用の場合には、発作により破壊された記憶を回復し、発作後第7日および第14日目には、受動的回避の条件付けされた反射能力の反復性を改善する。フェノトロピルの最も顕著な効果は、出血性発作に罹った動物の死亡を、完全に防止するその能力である。
従って、フェノトロピル(100mg/Kg、内用)は、7日間に及ぶ1クールとして注射した場合、出血性発作(脳内外傷後血腫)モデルに関して、ラットに顕著な抗-発作作用を及ぼし、これはそれ自身、神経学的な状態、一般的な挙動、認知機能および最も重要なこととして、動物死亡の阻止における改善として現れる。」

1d)「【0028】
【表1】

^(*)(審決注:原文は放射線が5本。以下同じ。):発作ラットとの差の信頼度:p≦0.05(χ^(2))
【0029】
【表2】

a.u.:絶対単位;
^(*):疑似手術を施したラットとの差の信頼度:p≦0.05(χ^(2));
^(**):発作ラットとの差の信頼度:p≦0.05(χ^(2))
【0030】
【表3】

a.u.:絶対単位;
^(*):疑似手術を施したラットとの差の信頼度:p≦0.05(χ^(2));
^(**):HSラットとの差の信頼度:p≦0.05(χ^(2))
【0031】
【表4】

【0032】
【表5】

^(*):疑似手術を施したラットとの差の信頼度:p≦0.05(χ^(2));
^(**):HSラットとの差の信頼度:p≦0.05(χ^(2))
【0033】
【表6】

^(*):疑似手術したラットとの差の信頼度:p≦0.05(スチューデンツt-テスト;χ^(2));
^(**):HSラットとの差の信頼度:p≦0.05(スチューデンツt-テスト;χ^(2))
【0034】
【表7】

^(*):疑似手術したラットとの差の信頼度:p≦0.05(スチューデンツt-テスト;χ^(2));
^(**):HSラットとの差の信頼度:p≦0.05(スチューデンツt-テスト;χ^(2))」

イ 引用発明
刊行物1には、N-カルボモイルメチル-4-フェニル-2-ピロリドン (フェノトロピル)の、神経親和性-神経調節物質活性、脳血管活性および抗-発作活性を呈する薬剤としての使用についての記載がある(摘示1a)ところ、実施例において出血性発作モデル(大脳内外傷後血腫)のラットに対し、フェノトロピルをチューブを用いて胃内投与を行うことで、神経学的欠損が見られず、見かけ上神経親和性及び脳血管活性を示し、神経学的状態の障害を減じること、顕著な抗-発作作用を及ぼすことが記載されている(摘示1c、1d)から、刊行物1には、
「N-カルボモイルメチル-4-フェニル-2-ピロリドン (フェノトロピル)からなる、神経親和性-神経調節物質活性、脳血管活性および抗-発作活性を呈する薬剤」
の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。
なお、刊行物1には、N-カルボモイルメチル-4-フェニル-2-ピロリドン (フェノトロピル)の製造方法は具体的に記載されていないが、刊行物1(摘示1b)、原査定の拒絶理由で引用された引用文献1、2及び4にも記載のとおり、N-カルバモイルメチル-4-フェニル-2-ピロリドン (フェノトロピル)は周知の物質であって、その製造方法も周知であると認める(他に周知であることを示す文献として特表平2-503920号公報がある。)。

ウ 対比・判断
本願請求項52に係る発明(以下「本願発明」という。)と引用発明とを対比する。
化合物の分野において、光学活性体が存在する場合に、光学異性に関する表記がない場合にはラセミ体であるのが通常であること、上記原査定の拒絶理由で引用された引用文献1にも、フェノトロピルがR-とS-エナンチオマーに分離することができ、臨床上ラセミの形態で用いられること、ラセミのフェノトロピルが単にフェノトロピルと表示されていること(原査定の拒絶理由で引用された引用文献1、407頁右欄5?7行、図2?4参照)からみて、引用発明のN-カルボモイルメチル-4-フェニル-2-ピロリドン (フェノトロピル)はラセミ体、すなわち、(RS)-N-カルボモイルメチル-4-フェニル-2-ピロリドンであるといえ、これは本願発明の「(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミド」に相当する。(なお、本願明細書(平成26年5月26日に提出された特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書参照)にも、「【0034】・・・N-カルバモイルメチル-4-フェニル-2-ピロリドン(Olainfarm, Latvia, N06V)は、・・・さらにこのラセミ体に対してさえも、・・・」、「【0045】N-カルバモイルメチル-4-フェニル-2-ピロリドン、または記載された合成方法による製造において得られる、任意の他の正確な化学名を有するものの、結晶(固体)の状態におけるラセミ体の組成物は、ラセミ化合物である[34]ということが発見された・・・」と記載があり、N-カルバモイルメチル-4-フェニル-2-ピロリドンがラセミ体であると解される記載がある。)
また、本願発明は、「請求項1?40に記載のような用途にとって許容し得る活性を有している、」とされており、請求項4には、「神経調節活性を有している」とされているから、本願発明のうち請求項4を引用するものは、神経調節活性に関連する用途にとって許容し得る活性を有していることを特定していると解されるところ、引用発明は、神経親和性-神経調節物質活性を呈するものであるから、本願発明で特定される活性と異なるものとはいえない。
したがって、本願発明と引用発明とは、
「(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミドを含んでいる、神経調節活性に関連する用途にとって許容し得る活性を有している、物。」である点で一致し、以下の点において相違する。

<相違点1>該物について、本願発明が、
「100%の質量、質量-体積、体積につき、
(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミド 0.01?75
賦形剤および担体を包含している意図的な添加物 9.99?25
を含んでいる」
と特定しているのに対し、引用発明は、他の成分及び各成分の含有割合についての特定がされていない点

<相違点2>該物について、本願発明が、
「内服用の薬学的組成物」
と特定しているのに対し、引用発明は、薬剤とされている点

以下、上記相違点1及び2について併せて検討する。
刊行物1には、実施例1として、ラットに対してフェノトロピルをチューブを用いて胃内投与した実験が記載されており、胃内投与においては有効成分が消化管から吸収されるところ、消化管からの吸収を目的として薬剤を人間に投与する場合に内服はごく普通に採用される手段であるから、引用発明において、内服用のものとすることに格別の創意を要したとはいえない。
また、内服用の薬剤とする場合に、錠剤、散剤、カプセル剤、液剤等の剤型とすること、それらの剤型とする際に、賦形剤、担体等の他の成分を用いることは引例を示すまでもなく周知であり、各成分の含有割合は薬効等を考慮して当業者が適宜設定し得るものであって、有効成分(なお、本願発明において有効成分は(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミドであると解される。)を0.01?75%という広範囲の量で含むものとし、賦形剤、担体等の添加物を9.99?25%とし、さらに必要な場合にはそれ以外の成分を含んでいる薬学的組成物とすることにも格別の創意を要したものとはいえない(なお、本願発明において各成分の数値は%の値を示すものと認められる。また、本願発明において請求項52に記載の成分のみで合計が100%となるのは、(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミドが75%、賦形剤および担体を包含している意図的な添加物が25%である場合のみであるから、それ以外の場合には、請求項52に記載の成分以外の成分を含む必要があることからみて、請求項52には、必ずしも組成物に含まれる全ての成分が記載されているものではないと解される。)。
したがって、上記相違点1、2に係る技術的事項を採用することは当業者が容易に行うことであり、また、それによって、当業者が予測し得ない顕著な効果を奏するものともいえない。
よって、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び本願優先日当時の技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、その余の点について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-25 
結審通知日 2017-05-30 
審決日 2017-06-13 
出願番号 特願2014-531758(P2014-531758)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C07D)
P 1 8・ 537- Z (C07D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前田 憲彦  
特許庁審判長 中田 とし子
特許庁審判官 加藤 幹
冨永 保
発明の名称 相応の作用を伴う調節活性を有している(RS)-2-(2-オキソ-4-フェニルピロリジン-1-イル)アセトアミド化合物、医薬物質(変種)およびその適用、それらの組成物(変形)  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  

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