• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1333980
審判番号 不服2015-23032  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-18 
確定日 2017-10-23 
事件の表示 特願2013-273814「乱数乗算合同法の高次スペクトル検定方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月25日出願公開、特開2015-118680〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年12月16日を出願日とする出願であり、同年12月18日付け提出の手続補正書(受付日:平成25年12月19日)により手続補正され、平成26年1月31日付け提出の手続補正書(受付日:平成26年2月3日)により手続補正され、同年11月25日付けで拒絶理由が通知され、平成27年1月11日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月13日)により手続補正され、平成27年1月16日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月19日)により手続補正され、平成27年1月25日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月26日)により手続補正され、同年10月1日付けで拒絶査定され、それに対して同年12月18日付け(受付日:平成27年12月21日)で拒絶査定不服審判の請求がされ、同時に手続補正書が提出され、平成28年12月13日付けで平成27年12月18日付け(受付日:平成27年12月21日)手続補正の却下の決定がされ、同日付けで拒絶理由(以下、当審拒絶理由という。)が通知され、平成29年3月1日付け(受付日:平成29年3月2日)で手続補正書及び意見書が提出され、さらに同年3月30日に意見書が提出(受付日:平成29年3月31日)されたものである。

第2 当審拒絶理由
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
1.平成27年1月11日付け手続補正、平成27年1月16日付け手続補正及平成27年1月25日付け手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項(以下、「当初明細書等」という。)の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(1)平成27年1月11日付け(受付日:平成27年1月13日)の手続補正について
平成27年1月11日付けの手続補正は、特許請求の範囲の請求項1及び明細書の全文及び図面の全図を補正するものである。
補正後の明細書【0001】、【0003】?【0011】、【0013】、【0015】?【0018】の記載は、当初明細書等に記載されておらず、当業者にとって自明なものとも認められない。
したがって、上記明細書の補正は当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえず、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反する。

(2)平成27年1月16日付け(受付日:平成27年1月19日)の手続補正について
平成27年1月16日付けの手続補正は、明細書の【0002】及び【0014】を補正するものである。
補正後の明細書【0014】の記載は、当初明細書等に記載されておらず、当業者にとって自明なものとも認められない。
したがって、上記明細書の補正は当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえず、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反する。

(3)平成27年1月25日付け(受付日:平成27年1月26日)の手続補正について
平成27年1月25日付けの手続補正は、明細書の【0012】を補正するものである。
補正後の明細書【0012】の記載は、当初明細書等に記載されておらず、当業者にとって自明なものとも認められない。
したがって、上記明細書の補正は当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえず、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反する。

2.本件出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(1)請求項1には、「コンピュータ上の一様独立乱数生成装置の設計方法として」と記載されているが、末尾は「スペクトル検定方法」と記載されており、コンピュータを利用したスペクトル検定方法であるか明確ではない。

(2)請求項1には、「相続くL個の出力乱数の連の一様独立性の評価のため、新しく発見された基準値」と記載されているが、「新しく発見された」は、いつの時点で発見されたのか不明である。

(3)請求項1には、「即ち、L≧3では現在まで使用のものとは異なる」と記載されているが、「現在まで使用のもの」は、どのようなものであるか不明であり、「現在」がいつの時点であるかも明確ではない。


第3 請求人の主張
請求人は、平成29年3月1日付け(受付日:平成29年3月2日)で意見書及び手続補正書を提出し、さらに平成29年3月30日に意見書を提出(受付日:平成29年3月31日)し、その手続補正書により特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落【0003】、【0006】、【0007】、【0010】、【0011】、【0016】及び図面の全図を補正した。

そして、請求人の平成29年3月1日付け(受付日:平成29年3月2日)意見書における主張の概略は次のとおりである。
「頂きました拒絶理由書の理解に努め、また特願2013-273814の最初からの再読、記憶想起に努めました。理解の遅い事を深くお詫び申し上げます。頂きました結論は、原初出願書類からそれに加えられました数段の補正に関わるいくつかの不備、明記すれば
(I)請求項が自然法則の占有を求めるものと疑われる事、
(II)出願以後の補正が新規事項の導入であろうという疑義、
という2点であろうと理解致しました。さらに発明者として、
(III)平成25年12月17日付原初の出願明細書中の論理的不完全、
がすべての要因である、と漸く認識に至りました。
事項(I)に関し、我々は数学的事実の占有ではなく、コンピュータ上のソフトウェア、計算言語、計算ライブラリーやROMへの実装としての技術方法の認可の請求である事を求める形に請求項の限定を強め、補正致しました。
事項(II)はすべての補正をとりやめ、原初明細書に立ち戻る事で問題を簡明に致しました。
事項(III)につきましては原初請求項、原初明細書を再検討し、適切な形ではない、と考えられる部分に補正を施す事に致しました。これらは手続補正書にすべて記されていますが、非常に微細な論点が関係するため確実を期して、先立ってこの意見書の中で原初段落がどの様に補正されたかが明瞭になるように、幾分の説明と共に以下に用意しました。補正されものは
1)【請求項】
2)明細書段落【0003】
3)明細書段落【0006】
4)明細書段落【0007】
5)明細書段落【0010】
6)明細書段落【0011】
7)明細書段落【0016】
8)そして図1の2ページ分割による図1Aと図1Bへの番号付け替えです。」

また、請求人の平成29年3月30日に提出(受付日:平成29年3月31日)した意見書における主張は次のとおりである。
「去る3月1日付で提出いたしました意見書と手続補正書に誤り、overstatementを漸く認識致しました。申請者の義務として開示を致さねばなりません。まことに申し訳なく存じますが、以下の理解を申し上げる事をお許し下さい。
〔項目0010〕に関する補正について
この部分ではL≧3次元の正L単体での最大高さが「最大高さの局所的な極小である」事を証明できたと述べておりますが、ここでの証明はoverstatementであり、証明としては成立しておりません。幾何学的考察、座標を用いた微小変形論、双対格子の最小ベクトルの最大値としての定式化など、様々に努力致しておりますが、未だ確たる証明は得られておりません。
現段階では、発明として「一様独立乱数のL連が載る格子のL単体としては正L単体が理想形である」という事は変る事のない真実と考えます。その事柄に基づいて「正L単体の最大高さの可能な最小値」、或は「双対格子での正L単体の最小ベクトルの可能な最大値」であるとして証明が出来れば理想ですが、申しました通りまだ私達には証明が得られておりません。
実際計算はcombined generatorsでは得られなかった成功を既に潤沢に得られていますので、明細書としては「証明されてはいないがうまくいく技術」としてはじめから主張できていれば問題はなかった事でしょうが、現実には最初に「これでなければならない」があり、特許申請があり、そして実際に成功が見出された、という順になりました。現在考えられる唯一の補正は
平成25年12月17日付けの原初明細書の同段落に戻す事
しか可能ではないと考えますが、意見書、補正の期限が切れておりますので私共にできる事がないのではないか、とも恐れます、
理解の遅さは申し開きできることではございませんが、懸命に証明の努力を続けております。御配慮、御指示を頂ければこの上ない幸いに存じます。よろしくお願い申し上げます。」

第4 当審の判断
1 拒絶理由の1.(特許法第17条の2第3項)について
(1)拒絶理由の1.(1)について
平成29年3月1日付け提出の手続補正書(受付日:平成29年3月2日)による手続補正により、明細書の段落【0003】、【0006】、【0007】、【0010】、【0011】、【0016】が補正されたが、平成27年1月11日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月13日)により補正された明細書の段落【0001】、【0004】、【0005】、【0008】、【0009】、【0013】、【0015】、【0017】、【0018】の記載は、補正されておらず、当該記載は、当初明細書等に記載されておらず、当業者にとって自明なものとも認められないから、依然として、平成27年1月11日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月13日)による手続補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反する。

(2)拒絶理由の1.(2)について
平成29年3月1日付け提出の手続補正書(受付日:平成29年3月2日)による手続補正により、明細書の段落【0003】、【0006】、【0007】、【0010】、【0011】、【0016】が補正されたが、平成27年1月16日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月19日)により補正された明細書の【0002】及び【0014】の記載は、補正されておらず、当該記載は、当初明細書等に記載されておらず、当業者にとって自明なものとも認められないから、依然として、平成27年1月16日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月19日)による手続補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反する。

(3)拒絶理由の1.(3)について
平成29年3月1日付け提出の手続補正書(受付日:平成29年3月2日)による手続補正により、明細書の段落【0003】、【0006】、【0007】、【0010】、【0011】、【0016】が補正されたが、平成27年1月25日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月26日)により補正された明細書の【0012】の記載は、補正されておらず、当該記載は、当初明細書等に記載されておらず、当業者にとって自明なものとも認められないから、依然として、平成27年1月25日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月26日)による手続補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反する。

請求人は、意見書で「(II)出願以後の補正が新規事項の導入であろうという疑義」に対し、「事項(II)はすべての補正をとりやめ、原初明細書に立ち戻る事で問題を簡明に致しました。」と主張しているが、そのような手続補正はされていないから、依然として、平成27年1月11日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月13日)による手続補正、平成27年1月16日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月19日)による手続補正、平成27年1月25日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月26日)による手続補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反するといわざるを得ない。

したがって、平成27年1月11日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月13日)による手続補正、平成27年1月16日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月19日)による手続補正、平成27年1月25日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月26日)による手続補正は依然として特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

第5 むすび
以上のとおり、平成27年1月11日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月13日)により補正された明細書の段落【0001】、【0004】、【0005】、【0008】、【0009】、【0013】、【0015】、【0017】、【0018】の記載、平成27年1月16日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月19日)により補正された明細書の【0002】及び【0014】の記載、平成27年1月25日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月26日)により補正された明細書の【0012】の記載は、依然として、当初明細書等に記載されておらず、当業者にとって自明なものともいえないので、平成27年1月11日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月13日)による手続補正、平成27年1月16日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月19日)による手続補正、平成27年1月25日付け提出の手続補正書(受付日:平成27年1月26日)による手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、本願は、その他の拒絶理由について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-07-10 
結審通知日 2017-08-01 
審決日 2017-08-16 
出願番号 特願2013-273814(P2013-273814)
審決分類 P 1 8・ 55- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮下 誠  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 和田 志郎
千葉 輝久
発明の名称 乱数乗算合同法の高次スペクトル検定方法  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ