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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F23R
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F23R
管理番号 1333983
審判番号 不服2016-14529  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-28 
確定日 2017-10-24 
事件の表示 特願2014- 92325「ガスタービンにおける缶型環状燃焼器配列用の缶型燃焼器」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月17日出願公開、特開2014-215036〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成26年4月28日(パリ条約による優先権主張2013年4月26日、(EP)欧州特許庁)の出願であって、平成27年9月11日付けで拒絶理由が通知され、平成27年12月21日に意見書が提出されるとともに、特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたが、平成28年5月24日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成28年9月28日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出され、その後、平成29年3月22日に上申書が提出されたものである。

第2 平成28年9月28日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成28年9月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]

[1]補正の内容

平成28年9月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成27年12月21日付けで提出された手続補正書により補正された)下記の(a)に示す請求項1ないし6を下記の(b)に示す請求項1ないし6と補正するものである。

(a)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし6

「【請求項1】
ガスタービンにおける缶型環状燃焼器配列用の缶型燃焼器であって、該缶型燃焼器(10)は、少なくとも、軸方向で上流のフロントパネル(13)及び軸方向で下流の出口端部を備えた円筒形のケーシング(11)と、前記フロントパネル(13)から上流方向へ延び、前記ケーシング(11)内の燃焼ゾーン(12)へ燃料/空気混合物を供給するための、この前記フロントパネル(13)によって支持されたバーナ出口(17)を有する、複数の予混合バーナ(14)と、を備えており、
4つまでの前記予混合バーナ(14)が、前記フロントパネル(13)に環状の配列で取り付けられており、前記予混合バーナ(14)のそれぞれは、前記燃料/空気混合物のスワール流を生ぜしめるために円錐形のスワール発生器(15)及び混合管(16)を有し、中央バーナは設けられていない、缶型燃焼器において、
前記フロントパネル(13)に取り付けられた少なくとも1つの予混合バーナ(14’)の中心長手方向軸線(19)の、前記缶型燃焼器(10)の中心長手方向軸線(20)に対する傾斜角は、半径方向において、少なくとも1つの他の予混合バーナ(14’’,14’’’,14’’’’)の中心長手方向軸線(19)の、前記缶型燃焼器(10)の前記中心長手方向軸線(20)に対する傾斜角とは異なる、ことを特徴とする、ガスタービンにおける缶型環状燃焼器配列用の缶型燃焼器。
【請求項2】
前記フロントパネル(13)に取り付けられた少なくとも1つの予混合バーナ(14’)の中心長手方向軸線(19)の、前記缶型燃焼器(10)の前記中心長手方向軸線(20)に対する傾斜角は、方位方向で、少なくとも1つの他の予混合バーナ(14’’,14’’’,14’’’’)の中心長手方向軸線(19)の、前記缶型燃焼器(10)の前記中心長手方向軸線(20)に対する傾斜角とは異なる、請求項1記載の缶型燃焼器。
【請求項3】
前記少なくとも1つの予混合バーナ(14’)の前記中心長手方向軸線(19)は、前記缶型燃焼器(10)の前記中心長手方向軸線(20)に対して±10°まで傾斜させられている、請求項2記載の缶型燃焼器。
【請求項4】
前記少なくとも1つの予混合バーナ(14’)の前記中心長手方向軸線(19)は、対角方向で向き合ったバーナ(14’’’)の前記中心長手方向軸線(19)に対して±20°まで傾斜させられている、請求項2記載の缶型燃焼器。
【請求項5】
前記少なくとも1つの予混合バーナ(14’)の前記混合管(16)の長さ(24)及び/又は直径(26)は、前記少なくとも1つの他の予混合バーナ(14’’,14’’’,14’’’’)の前記混合管(16)の長さ(24)及び/又は直径(26)とは異なる、請求項1記載の缶型燃焼器。
【請求項6】
全てのバーナ(14’,14’’,14’’’,14’’’’)は、前記混合管(16)の異なる長さ(24)及び/又は異なる直径(26)を有する、請求項5記載の缶型燃焼器。」

(b)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし6

「【請求項1】
ガスタービンにおける缶型環状燃焼器配列用の缶型燃焼器であって、該缶型燃焼器(10)は、少なくとも、軸方向で上流のフロントパネル(13)及び軸方向で下流の出口端部を備えた円筒形のケーシング(11)と、前記フロントパネル(13)から上流方向へ延び、前記ケーシング(11)内の燃焼ゾーン(12)へ燃料/空気混合物を供給するための、この前記フロントパネル(13)によって支持されたバーナ出口(17)を有する、複数の予混合バーナ(14)と、を備えており、
4つまでの前記予混合バーナ(14)が、前記フロントパネル(13)に環状の配列で取り付けられており、前記予混合バーナ(14)のそれぞれは、前記燃料/空気混合物のスワール流を生ぜしめるために円錐形のスワール発生器(15)及び混合管(16)を有し、中央バーナは設けられていない、缶型燃焼器において、
前記フロントパネル(13)に取り付けられた少なくとも1つの予混合バーナ(14’)の中心長手方向軸線(19)の、前記缶型燃焼器(10)の中心長手方向軸線(20)に対する傾斜角は、半径方向において、少なくとも1つの他の予混合バーナ(14’’,14’’’,14’’’’)の中心長手方向軸線(19)の、前記缶型燃焼器(10)の前記中心長手方向軸線(20)に対する傾斜角とは異なり、
前記缶型燃焼器の少なくとも1つの予混合バーナが、他の予混合バーナとは異なるスワール流を発生させるように構成されている、
ことを特徴とする、ガスタービンにおける缶型環状燃焼器配列用の缶型燃焼器。
【請求項2】
前記フロントパネル(13)に取り付けられた少なくとも1つの予混合バーナ(14’)の中心長手方向軸線(19)の、前記缶型燃焼器(10)の前記中心長手方向軸線(20)に対する傾斜角は、方位方向で、少なくとも1つの他の予混合バーナ(14’’,14’’’,14’’’’)の中心長手方向軸線(19)の、前記缶型燃焼器(10)の前記中心長手方向軸線(20)に対する傾斜角とは異なる、請求項1記載の缶型燃焼器。
【請求項3】
前記少なくとも1つの予混合バーナ(14’)の前記中心長手方向軸線(19)は、前記缶型燃焼器(10)の前記中心長手方向軸線(20)に対して±10°まで傾斜させられている、請求項2記載の缶型燃焼器。
【請求項4】
前記少なくとも1つの予混合バーナ(14’)の前記中心長手方向軸線(19)は、対角方向で向き合ったバーナ(14’’’)の前記中心長手方向軸線(19)に対して±20°まで傾斜させられている、請求項2記載の缶型燃焼器。
【請求項5】
前記少なくとも1つの予混合バーナ(14’)の前記混合管(16)の長さ(24)及び/又は直径(26)は、前記少なくとも1つの他の予混合バーナ(14’’,14’’’,14’’’’)の前記混合管(16)の長さ(24)及び/又は直径(26)とは異なる、請求項1記載の缶型燃焼器。
【請求項6】
全てのバーナ(14’,14’’,14’’’,14’’’’)は、前記混合管(16)の異なる長さ(24)及び/又は異なる直径(26)を有する、請求項5記載の缶型燃焼器。」
(なお、下線は補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

[2]本件補正の目的

本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に関して、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における発明特定事項である「4つまでの前記予混合バーナ(14)」について、「前記缶型燃焼器の少なくとも1つの予混合バーナが、他の予混合バーナとは異なるスワール流を発生させるように構成されている」ことを限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
よって、特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定したものを含むので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

[3]独立特許要件の判断

1.刊行物

(1)刊行物1

ア 刊行物1の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2005-98678号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

a)「【0001】
本発明は、総括的にはガスタービンエンジンに関し、より具体的にはガスタービンエンジン用の燃焼器に関する。」(段落【0001】)

b)「【0018】
次に図3を参照すると、ここに示すのは熱回収式マイクロタービン100の斜視図である。一般的にマイクロタービン100は、逆流式缶型燃焼器組立体102、タービンスクロール104、圧縮機ボリュート106、発電機108及び熱回収装置110を含む。」(段落【0018】)

c)「【0020】
図4は、図3に示した燃焼器組立体102の断面図を示す。燃焼器組立体102は、圧縮機手段(図示せず)と協働して、該燃焼器組立体102(図示せず)に流体的に結合された(例えば図3のタービンスクロール104内に収納された)ガスタービンを駆動する。燃焼器組立体102は、該燃焼器組立体102に流体を供給するための1つ又はそれ以上の入口を有する円筒形の外側燃焼器ケーシング112を含む。ケーシング112は、互いにボルト止めされるか又はその他の方法で固定されることができる複数のセクション114、116、118で構成されるのが好ましい。後述するように、複数のセクションを用いることは、燃焼器ケーシング112内に配置された構成部品の様々なフランジを当接させて固定するのに使用ことを可能にする。エンドキャップ120(本明細書では、ディフューザキャップとも呼ぶ)は、タービンスクロール104から遠い方に位置する端部において燃焼器ケーシング112の一端部にボルト止めされるのが好ましい。このようにして、以下において一層詳しく述べるように、タービン100の作動中に燃焼器組立体102の逆流(すなわち、カウンタフロー)を発生させることができる。
【0021】
外側燃焼器ケーシング112内には、円筒形状の燃焼ライナ122が配置され、この燃焼ライナ122は、その中に円筒形状の燃焼室124を画成し、すなわち缶型燃焼器を形成する。図5は、燃焼器ライナ122の側面図を示す。燃焼器ライナ122は、一般的に燃焼火炎が発生する主内部区域と、この主内部区域から下流の希釈区域とを含む。主内部区域を全体的に画成しているライナ122内には、複数の孔142が半径方向に配置され、また希釈孔144が、希釈区域を全体的に画成する燃焼器ライナ122の半径方向周辺に位置している。以下において一層詳しく述べるように、孔142は、作動中に熱シールド136に対する衝突空気を供給する利点がある。その下流においては、希釈孔144により複数の希釈ジェットを供給して平均温度を低下させかつライナ122の壁付近のホットスポットを最少にし、燃焼器ライナ122の出口平面上で許容可能な燃焼パターンファクタを得ることができるようにする。ライナ122を取り巻く複数のリブ146は、熱伝達のためのタービュレータを形成しかつライナに剛性を与える。燃焼器ライナ122はさらに、該ライナ122をケーシング112の環状凹部150(図4参照)内に当接固定するためのフランジ148を含む。燃焼器ライナ122はさらに、点火器、点火器クロスファイア管などのための、例えば符号152で示したような付加的な孔を含むことができる。(段落【0020】及び【0021】)

d)「【0022】
図4に示すように、燃焼室124は、上流端126と下流端128とを有する。燃焼室124の下流端128から出る燃焼生成物の流れは、燃焼器ライナ122の一端部に固定されたフラシールとも呼ばれるシール131を介して該燃焼器ライナ122の一端部に重ねられた遷移部品130又はスクロールに入る。遷移部品130は、燃焼器ライナ122の円形断面をノズル(図示せず)を通ってタービン入口(図示せず)の扇形部分へと移行させるために使用され、燃焼生成物の流れがタービンに入ることを可能にして、タービンが該タービンを駆動するために燃焼生成物のエネルギーを利用できるようにする。好ましい実施形態では、燃焼器ライナ122の長さは、低負荷又は低温作動時に燃焼生成物が遷移部品130内に流出する前にCOを十分に燃焼し尽くすことができるほど十分な長さであるべきである。矢印132で表した流体通路が、燃焼器ライナ122とケーシング112との間の空間によって形成される。流体通路132は、タービン100の作動中に空気のような流体の逆流を可能にする。
【0023】
燃焼器組立体102はさらに、燃焼器ライナ122の上流端126において該燃焼器ライナ122に隣接して配置されたドームプレート134を含む。図6は、ドームプレート134の一層詳細な斜視図を示す。図に示すように、ドームプレート134自体は、全体的に平坦であり、また形状が円形である。ドームプレート134は、燃焼器組立体102の組立て時に燃焼器ライナ122のフランジ148に固定するための貫通孔137を外側フランジ143内に含む。好ましい実施形態では、ドームプレート134は、図に示しかつ本明細書において述べるように、4つの環状に配置された孔135を含み、これら孔の各々は、燃焼器組立体102内で使用されるスワーラ-ミキサ組立体とその数が対応する。しかしながら、本発明は、燃焼器組立体102内で使用されるスワーラ-ミキサ組立体の数に対応した4つの環状に配置された孔に限定することを意図するものではない。2つ以上のスワーラ-ミキサ組立体を使用するのが好ましく、その最大数は空間的制約及びコストによって制限される。さらに、ドームプレート134は、以下において一層詳しく述べるように、燃料及び/又は空気がそれを通って流れることができるような複数の流体通路220を含む。流体通路220は、環状に配置された孔135と比べて比較的小さい。熱シールド136は、ドームプレート134の主要平坦面の1つと一体形であるか又は該主要平坦面の1つに固定取付けされる。熱シールド136は、ドームプレート134内の環状に配置された孔135の各々に固定取付けされたステム部分を有するカップ状であるのが好ましい。次ぎに図4を再び参照すると、熱シールド136は、燃焼室124に面した状態で下流方向に配向され、また全体を符号140で示したスワーラ-ミキサ組立体の環状配列が、その上流に配置される。熱シールド136は、内部主燃焼区域内で燃えている火炎から燃焼器ライナ122を隔離するための環状のエンドボデーを含む。」(段落【0022】及び【0023】)

e)「 【0025】
図7に一層明瞭に示すように、スワーラ-ミキサ組立体140は、プレート162の中心軸線の周りで半径方向に等距離で配置された、全体を符号154、156、158、160で表した4つの環状に配置されたスワーラ-ミキサ組立体を含む。図示したような4つの環状に配置されたスワーラ-ミキサ組立体が好ましいが、所望の燃焼パターンを得るために、その他の環状のスワーラ-ミキサ組立体構成も使用できる。各環状のスワーラ-ミキサ組立体は、それぞれ燃料ノズル164、166、168、170を含み、これらの燃料ノズルを燃料/空気混合気中の主燃料量を調節するように独立して作動させ、それによって例えば全速、全負荷、低負荷、低速、ターンダウンなどの異なる作動状態時における全NOxエミッションを低減させる手段を構成することができる。ノズル164、166、168、170を通しての燃料の供給により、主燃料供給システムが形成される。さらに、燃焼器組立体102は缶型燃焼器ライナを使用しているので、CO及びUHCのエミッションは、アニュラ型燃焼器と比べて燃焼室124内での滞留時間が長いことにより、最少にすることができる。プレート162はさらに、スワーラ-ミキサ組立体140をケーシング112に固定するための貫通孔172を含む。
【0026】
図8及び図9は、1つのスワーラ及びプレミキサ組立体(例えば、154、156、158、又は160)の平面図及び断面図を示す。各組立体は、その中で燃料と空気の均一な混合を可能にしかつ燃料/空気混合気を燃焼室124内に流すプレミキサカップ174を含む。各プレミキサカップ174は、中心体176と、内側スワーラ178と、外側スワーラ180と、上流側186から下流側188まで延びる対称軸線184とを含む。スワーラ-ミキサ組立体の下流には、シュラウド182、すなわち収束混合ダクトが配置される。例えば符号164で示したような燃料ノズルは、外側スワーラ180を収容した壁内の孔224と流体連通している。このようにして、以下において一層詳しく述べるように、半径方向にまた外側スワーラ180に対してほぼ垂直に、燃料を同時に噴射することができる。」(段落【0025】及び【0026】)

f)【0028】
内側及び外側スワーラ178、180は、それぞれ各スワーラ内の流れが互いに逆方向に回転するように構成されるのが好ましい。ハブ204が、各内側スワーラ178を各外側スワーラ180から分離する。図8に一層明瞭に示すように、スワーラ178、180は、典型的にはそれぞれ外側旋回ベーン200及び内側旋回ベーン202を有し、これら各旋回ベーンは、スワーラ-ミキサ組立体の中心を通る長手方向軸線184に対して約40°?約60°の範囲内の角度を成している。内側スワーラ178及び外側スワーラ180内を流れる空気質量の比は、典型的には約1:3である。この空気質量比は、スワーラ178、180の下流のシュラウド182内での燃料と空気の効果的な混合(上述した二重反転旋回により)をもたらし、さらに燃焼器内における適切な火炎安定性にとって十分な残留旋回(外側スワーラのより高い空気質量分に対応する)をも有するようにする。」(段落【0028】)

イ 上記ア及び図面(特に、図4及び図6ないし図10)の記載より分かること

a)上記アd)及び図4によると、燃焼器ライナ122は、軸方向で上流のドームプレート134及び軸方向で下流の下流端128を備えていることが分かる。

b)上記アc)及びe)並びに図4、図6及び図10等によると、4つのスワーラ及びプレミキサ組立体154、156、158、160は、ドームプレート134から上流方向へ延び、燃焼器ライナ122内の燃焼室124へ燃料/空気混合気を供給するための、このドームプレート134によって支持されたバーナ出口を有することが分かる。

c)上記アd)並びに図6及び図7によると、4つのスワーラ及びプレミキサ組立体154、156、158、160は、ドームプレート134に環状の配置で取り付けられていることが分かる。

d)上記アe)及びf)並びに図7ないし図9によると、スワーラ及びプレミキサ組立体154、156、158、160のそれぞれは、燃料/空気混合気のスワール流を生ぜしめるために内側スワーラ178、外側スワーラ180及びプレミキサカップ174の下流側188を有し、中央バーナは設けられていないことが分かる。

e)図4によると、ドームプレート134に取り付けられたスワーラ及びプレミキサ組立体154の中心長手方向軸線の、缶型燃焼器組立体102の中心長手方向軸線に対する傾斜角はすべて一致していることが看取できる。


ウ 刊行物1に記載された発明

したがって、上記ア及びイを総合すると、刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。

<刊行物1に記載された発明>

「ガスタービンにおける逆流式缶型燃焼器組立体102であって、該缶型燃焼器組立体102は、少なくとも、軸方向で上流のドームプレート134及び軸方向で下流の下流端128を備えた燃焼器ライナ122と、ドームプレート134から上流方向へ延び、燃焼器ライナ122内の燃焼室124へ燃料/空気混合気を供給するための、このドームプレート134によって支持されたバーナ出口を有する、4つのスワーラ及びプレミキサ組立体154、156、158、160と、を備えており、
4つのスワーラ及びプレミキサ組立体154、156、158、160が、ドームプレート134に環状の配置で取り付けられており、スワーラ及びプレミキサ組立体154、156、158、160のそれぞれは、燃料/空気混合気のスワール流を生ぜしめるために内側スワーラ178、外側スワーラ180及びプレミキサカップ174の下流側188を有し、中央バーナは設けられていない、缶型燃焼器組立体102において、
ドームプレート134に取り付けられたスワーラ及びプレミキサ組立体154の中心長手方向軸線の、缶型燃焼器組立体102の中心長手方向軸線に対する傾斜角はすべて一致している、
ガスタービンにおける逆流式缶型燃焼器組立体102。」

(2)刊行物2の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許第5983643号明細書(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(なお、[]内は、当審において作成した当審仮訳である。)

a)「1.Field of the Invention
The invention relates to the area of combustion technology. It relates to a main-burner arrangement of a combustion chamber, in particular a gas-turbine combustion chamber, which can be used both for premix burners and for partial-premix burners and for diffusion burners.」(第1欄第6ないし10行)

[当審仮訳:1.発明の分野
この発明は燃焼技術分野に関連するものである。 燃焼室、特に、予混合バーナー、部分予混合バーナー及び拡散バーナーに用いられる、ガスタービンの燃焼室におけるメインバーナーの取り付けに関連する。]

b)「SUMMARY OF THE INVENTION
Accordingly, one object of the invention is to develop a novel main-burner arrangement, inparticular for gas-turbine combustion chambers, by means of which the power of the combustion chamber can be varied in a specific manner and in which pressure pulsations, which can have various causes, are avoided.
According to the invention, this is achieved with a main-burner arrangement in which that the interference burner(s) are arranged so as to be inclined in the combustion chamber in relation to the normal main burner(s). According to the invention, this is also achieved by the interference burner(s) being arranged in such a way as to be axially displaced in the combustion chamber in relation to the normal main burner(s).」(第2欄第43ないし57行)

[当審仮訳:発明の要約
したがって、この発明の1つの目的は、特にガスタービン燃焼室のためのものであって、燃焼室の出力を異ならせる特別な手段によって、種々の原因により発生する圧力脈動を避けることができる新規なメインバーナーの配置をすることである。
この発明によれば、干渉バーナーが、燃焼室において、通常のメインバーナーに対して傾いて配置されることによって達成される。また、発明によれば、干渉バーナーが、燃焼室において、通常のメインバーナーに対して軸をずらすことで達成される。 ]

c)「FIG. 3 and FIG. 4 show further exemplary embodiments of the invention. They each show a development of an annular combustion chamber in the plane of a row of burners, the interference burner 13.2 being arranged so as to be inclined in the circumferential direction in comparison with the normal main burners 13.1. Premix burners of the double-cone type have again been used here as burners. The angle of the interference burners 13.2 gives rise to a transverse flow which considerably facilitates transverse ignition of the burners.
Deviations in the angle relative to the axis of the combustion chamber or to the central cross-sectional plane of the combustion chamber are also possible, so that the interference burners 13.2 are askew relative to the axis of the combustion chamber or machine.」(第5欄第13ないし27行)

[当審仮訳:本発明のさらなる実施形態を図3と図4に示す。それらはそれぞれ、干渉バーナー13.2が通常のメインバーナー13.1に対して周方向で傾けられるように配置される、バーナーの列の平面における輪状の燃焼室の開発を示す。 ここでも、ダブルコーンのタイプの予混合バーナーが使用される。干渉バーナー13.2の角度はかなりバーナーの横断的な点火を促すような横断的な流れを引き起こす。
干渉バーナー13.2が燃焼室あるいは装置の軸に対して曲がるように、燃焼室の軸にあるいは燃焼室の横断面をまたがる平面に対する角度をずらすことも同様に可能である。]

(3)刊行物3の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特表2004-507701号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

a)「【0048】
図17,18は、本発明によるバーナーの場合に使用可能であるようなスワール体の横断面形状の2つの例を概略的に示している。図17には、互いにずらされた4つのシェル1a,1b,1c,1dからなるスワール体が示してある。このシェルは図示した構造では接線方向の4つの空気流入スロット4を形成している。シェルは図示した横断面において異なる形に、例えば円セグメント状、楕円形または長円形に形成可能である。図示した構造の場合、部分体1a,1b,1c,1dは、それらの中心軸線3a,3b,3c,3dがバーナー軸線に対してずれるように配置されている。予混合管を備えているかまたは備えておらず、このような形状を有するバーナーの構造は、欧州特許第321809号明細書または欧州特許第0780629号明細書に詳細に示してあり、これらの明細書から推察可能である。」(段落【0048】)

b)「【0052】
バーナーの他の有利な実施の形態が図19?21に示してある。図示したバーナーは円錐状のスワール体1を備えている。このスワール体の外側シェルの空気流入スロットの流入エッジには、予混合ガス用の第1のグループの流出口6が配置されている。バーナーは更に、中央の燃料ランス12を備えている。この燃料ランスはその燃焼室側の端部、すなわちその尖端部に、ノズルを備えている。本実施の形態では、このノズルは液体燃料13のためまたはパイロット燃料のために使用可能である。このノズルの周りには公知のごとく、シールド空気14用の流出口を設けることができる。図示したバーナーは、第1のグループの流出口6への燃料供給部と、燃料ランス12の尖端部で液体燃料13を噴射するための燃料供給部のほかに、燃料ランス12内の第2のグループの流出口8への他の燃料供給部を備えている。第2のグループの流出口8は図19?21に示すように、ほぼバーナー軸線の方向に燃料ランス12の外周面に配置され、好ましくは燃料ランス12の軸線の周りに半径方向対称に分配されている。この流出口は燃料ランス12から外側に向けて燃料をスワール室に噴射することができる。この流出口8の数と大きさおよび軸方向と周方向における燃料ランス12上の分配は、消弧限界、脈動および逆火限界のようなバーナーのその都度の要求に依存して選択可能である。」(段落【0052】)

(4)刊行物4の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特表2008-519237号公報(以下、「刊行物4」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

a)「【0017】
発明を実施するための形態、産業上の利用可能性
図1にはバーナ装置の縦断面図が示されている。図示のバーナ装置は、実質的に3つの部分コンポーネント、つまり円錐形に形成された予混合バーナ1と、移行部分2と、管形の混合エレメント4の形で形成されている混合区間3とを有している。図1に示した縦断面図の上半分は、自体公知の、旋回発生器もしくは渦発生器1を備えた予混合バーナ装置を示している。旋回発生器の旋回室は、n=4個の部分円錐シェル5により包囲されている。n=4個の部分円錐シェル5は、合わせてn=4個の空気進入スリット7を画定する。この種の公知の旋回発生器1の横断面図は図2に示されている。図2からは明らかに、1つの内側の旋回室6を包囲する4つの部分円錐シェル5が見て取れる。4つの空気進入スリット7は、外側の予混合バーナ直径Daと、旋回室6のサイズを規定する内側の直径Diとを規定する。さらに、図2に示した横断面には、部分円錐シェルの、その部分円錐シェル中心に関するそれぞれの相互の空間的なずれが見て取れる。部分円錐シェル中心はそれぞれ十字により示されている。それぞれの空気進入スリット7を通して、空気Lは、それぞれ大きな矢印で示すように、部分円錐シェル5の流入側エッジに設けられている相応の供給管路8を通して供給される有利にはガス状の燃料Bと共に、旋回発生器1の内部に達する。旋回発生器1の内部には、軸方向でバーナ軸線A(図1参照)に対して縦に下流に向かって広がる旋回流動もしくは渦流が形成される。」(段落【0017】)

(5)刊行物5の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2011-99444号公報(以下、「刊行物5」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

a)「【0037】
前述したように、図6に例示した実施形態は、用いても良い燃料ノズルの唯一の構成ではない。たとえば、図7および8に例示するのは、燃料ノズルの他の2つの典型的な構成である。図7および8の両方に例示する実施形態においては、第1の燃料ノズル・グループ16および第2の燃料ノズル・グループ18は交互配置の環状形成116で配置され、各グループは2つの燃料ノズルを有している。この場合もやはり、第1の燃料ノズル・グループ16における各燃料ノズルの構成を、旋回を第1の回転旋回方向118に誘起するように設けても良く、一方で、第2の燃料ノズル・グループ18における各燃料ノズルの構成を、旋回を第2の回転旋回方向120に誘起するように設けても良い。ここで、第1の回転旋回方向118は第2の回転旋回方向120とは反対である。図7および8に例示した2つの実施形態の主な違いは、図7に例示した実施形態のみが、交互配置の環状形成116内の中央に位置する燃料ノズル20を備えているということである。」(段落【0037】)

2.対比・判断

刊行物1に記載された発明における「逆流式缶型燃焼器組立体102」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明1における「缶型環状燃焼器配列用の缶型燃焼器」に相当し、以下同様に、「缶型燃焼器組立体102」は「缶型燃焼器」に、「ドームプレート134」は「フロントパネル」に、「下流端128」は「出口端部」に、「円筒形のケーシング」は「燃焼器ライナ122」に、「燃焼室124」は「燃焼ゾーン」に、「燃料/空気混合気」は「燃料/空気混合物」に、「4つのスワーラ及びプレミキサ組立体154」は「複数の予混合バーナ」に、「内側スワーラ178、外側スワーラ180」は「スワール発生器」に、「プレミキサカップ174の下流側188」は「混合管」にそれぞれ相当する。


してみると、本件補正発明と刊行物1に記載された発明とは、
「ガスタービンにおける缶型環状燃焼器配列用の缶型燃焼器であって、該缶型燃焼器は、少なくとも、軸方向で上流のフロントパネル及び軸方向で下流の出口端部を備えた円筒形のケーシングと、前記フロントパネルから上流方向へ延び、前記ケーシング内の燃焼ゾーンへ燃料/空気混合物を供給するための、この前記フロントパネルによって支持されたバーナ出口を有する、複数の予混合バーナと、を備えており、
4つまでの前記予混合バーナが、前記フロントパネルに環状の配列で取り付けられており、前記予混合バーナのそれぞれは、前記燃料/空気混合物のスワール流を生ぜしめるためにスワール発生器及び混合管を有し、中央バーナは設けられていない、
ガスタービンにおける缶型環状燃焼器配列用の缶型燃焼器。」
の点で一致し、次の点で相違する。

<相違点1>

本願補正発明においては、「円錐形のスワール発生器」であるのに対し、
刊行物1に記載された発明においては、「内側スワーラ178、外側スワーラ180」である点(以下、「相違点1」という。)。

<相違点2>

本願補正発明においては、「前記フロントパネル(13)に取り付けられた少なくとも1つの予混合バーナ(14’)の中心長手方向軸線(19)の、前記缶型燃焼器(10)の中心長手方向軸線(20)に対する傾斜角は、半径方向において、少なくとも1つの他の予混合バーナ(14’’,14’’’,14’’’’)の中心長手方向軸線(19)の、前記缶型燃焼器(10)の前記中心長手方向軸線(20)に対する傾斜角とは異な」るのに対し、
刊行物1に記載された発明においては、ドームプレート134に取り付けられたスワーラ及びプレミキサ組立体154の中心長手方向軸線の、缶型燃焼器組立体102の中心長手方向軸線に対する傾斜角はすべて一致している点(以下、「相違点2」という。)。

<相違点3>

本願補正発明においては、「前記缶型燃焼器の少なくとも1つの予混合バーナが、他の予混合バーナとは異なるスワール流を発生させるように構成されている」のに対し、
刊行物1に記載された発明においては、缶型燃焼器組立体102の少なくともスワーラ及びプレミキサ組立体154、156、158、160が、他のスワーラ及びプレミキサ組立体154、156、158、160とは異なるスワール流を発生するように構成されるものとはされていない点(以下、「相違点3」という。)。


上記相違点について検討する。

<相違点1>について

予混合バーナーに使用される円錐形のスワーラは、例えば、刊行物3及び刊行物4並びに本願明細書中(段落【0010】に公知技術として記載されている欧州特許出願公開第321809明細書及び欧州特許出願公開第704657号明細書に記載されるように本願優先日前周知の技術(以下、「周知技術1」という。)であるところ、刊行物1に記載された発明のような内側スワーラと外側スワーラで構成される二重スワーラも当業者によく知られたものであり、予混合バーナーに使用されるスワーラとしていずれのものを採用するかは、当業者が適宜選択し得ることにすぎない。

<相違点2>について

刊行物2には、ガスタービン燃焼室のための予混合バーナーのうち、干渉バーナー13.2が通常のメインバーナー13.1に対して傾けて配置されることにより、種々の原因により発生する圧力脈動を回避することができる技術(以下、「刊行物2技術」という。)が開示されている。
ところで、複数の予混合バーナーを備えたガスタービンの燃焼器において、脈動の回避・抑制のために、複数の予混合バーナーの構造の非同一性や、それらの配置や制御の非周期性、非対称性を意図的に設けることは、様々に試みられているところ、刊行物1に記載された発明においても、脈動の回避・抑制は内在する課題であるといえる。
してみると、刊行物1に記載された発明において、かかる課題に鑑み、刊行物2技術のように、少なくとも1つのドームプレート134に取り付けられたスワーラ及びプレミキサ組立体154の中心長手方向軸線の缶型燃焼器組立体102の中心長手方向軸線に対する傾斜角を、他のスワーラ及びプレミキサ組立体154の中心長手方向軸線の、缶型燃焼器組立体102の中心長手方向軸線に対する傾斜角とは異なるものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

<相違点3>について

複数の予混合バーナーを備えたガスタービンの燃焼器において、複数のうちのいくつかの予混合バーナーが、他の予混合バーナーとは異なるスワール流を発生させるように構成することは、例えば、刊行物5や特開2010-175242号公報の段落【0018】等に記載されるように本願の優先日前周知の技術(以下、「周知技術2」という。)であり、刊行物1に記載された発明において、周知技術2のように、少なくとも1つのスワーラ及びプレミキサ組立体154が他のスワーラ及びプレミキサ組立体154とは異なるスワール流を発生させるように構成することは当業者が適宜なし得ることにすぎない。

以上からすると、刊行物1に記載された発明において、刊行物2技術、周知技術1及び周知技術2を適用して、相違点1ないし3に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば、容易に想到できたことである。

そして、本件補正発明は、全体としてみても、刊行物1に記載された発明、刊行物2技術、周知技術1及び2から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

したがって、本件補正発明は、刊行物1に記載された発明、刊行物2技術、周知技術1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件発明について

1.本件発明

平成28年9月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の特許請求の範囲の請求項1ないし6に係る発明は、平成27年12月21日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに出願当初の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記第2[理由][1](a)に示した請求項1に記載されたとおりのものである。

2.刊行物

原査定の拒絶の理由に引用された、刊行物1(特開2005-98678号公報)には、上記第2[理由][3]1.(1)ないし(3)のとおりのものが記載されている。

3.対比・判断

本件発明は、上記第2[理由][2]で検討した本件補正発明の発明特定事項のうち、「前記缶型燃焼器の少なくとも1つの予混合バーナが、他の予混合バーナとは異なるスワール流を発生させるように構成されている」という発明特定事項を削除したものに相当する。
そうすると、本件発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が、上記第2[理由][3]に記載したとおり、刊行物1に記載された発明、刊行物2技術、周知技術1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明と刊行物1に記載された発明とは、<相違点1>及び<相違点2>において相違するから、本件発明も、同様の理由により、刊行物1に記載された発明、刊行物2技術及び周知技術1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

そして、本件発明は、全体としてみても、刊行物1に記載された発明、刊行物2技術及び周知技術1から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

4.まとめ
以上のとおり、本件発明は、刊行物1に記載された発明、刊行物2技術及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
上記第3のとおり、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-25 
結審通知日 2017-05-29 
審決日 2017-06-12 
出願番号 特願2014-92325(P2014-92325)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F23R)
P 1 8・ 575- Z (F23R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西中村 健一  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 佐々木 芳枝
金澤 俊郎
発明の名称 ガスタービンにおける缶型環状燃焼器配列用の缶型燃焼器  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 前川 純一  
代理人 上島 類  
代理人 二宮 浩康  

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