• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1334116
審判番号 不服2017-3128  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-02 
確定日 2017-11-02 
事件の表示 特願2015-255731「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月19日出願公開、特開2016- 85468〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成24年6月25日に出願された特願2012-141577号の一部を、平成27年12月28日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願としたもので、原審において平成28年10月21日付けで手続補正書が提出され、同年11月28日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。原査定の謄本の送達(発送)日 同年12月6日。)がされ、これに対して、平成29年3月2日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されて、特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。

第2.平成29年3月2日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正では、特許請求の範囲の請求項1に関して次のとおりの補正がされた。
本件補正前の、
「【請求項1】
原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部、及び画像データに基づいて用紙に画像形成処理を行う画像形成部を有する装置本体と、
前記装置本体へ供給する用紙を収容する給紙装置と、
前記装置本体において画像形成処理が施された用紙に後処理を施す後処理装置と、を備え、
前記給紙装置と前記後処理装置とは、前記装置本体の側面に上下方向に重ねて配置される、画像形成装置。」は、
本件補正により、
「【請求項1】
原稿を読み取る画像読取部と、前記画像読取部により読み取られた画像データに基づいて用紙に画像形成処理を行う画像形成部と、を有する装置本体と、
前記装置本体へ供給する用紙を収容する給紙装置と、
前記装置本体において画像形成処理が施された用紙に後処理を施す後処理装置と、
を備え、
前記後処理装置は、前記給紙装置の上に配置され、前記装置本体に対する離接方向にスライド移動するように構成される、画像形成装置。」と補正された。(下線は審決で付した。以下の下線も同じ。)

2.本件補正の目的について
特許法第17条の2第5項の規定するところによれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする場合の特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)、明りょうでない記載の釈明(第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。
これを本件補正についてみると、上記のとおり、本件補正は当該補正前の請求項1における「前記給紙装置と前記後処理装置とは、前記装置本体の側面に(配置される)」という発明特定事項を削除するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとはいえない。そして、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明にも当たらない。
してみれば、本件補正は特許法第17条の2第5項各号に掲げられた、いずれの目的とする補正にも該当しない。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定を満たすものではなく、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願の発明について
1.本願の発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成28年10月21日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める(以下「本願発明」という。)。
「【請求項1】
原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部、及び画像データに基づいて用紙に画像形成処理を行う画像形成部を有する装置本体と、
前記装置本体へ供給する用紙を収容する給紙装置と、
前記装置本体において画像形成処理が施された用紙に後処理を施す後処理装置と、を備え、
前記給紙装置と前記後処理装置とは、前記装置本体の側面に上下方向に重ねて配置される、画像形成装置。」

2.引用例
原査定に係る拒絶理由通知で引用された、本願の遡及出願日前である平成13年5月11日に頒布された刊行物である特開2001-125332号公報(以下「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置に関する。」
イ.「【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明するが、各形態において同一機能を有する構成要素には同一符号を付し、後に説明する実施の形態での重複説明は省略する。
(第1の形態)図1に示す画像形成装置は、画像を形成する作像部10を有する装置本体としての作像ユニット1と、作像部10で形成された画像を転写される記録材としての転写紙14を供給、搬送、仕分けする記録材処理ユニット100(以下、単に「ユニット100」と記す)とを備えている。作像ユニット1とユニット100とは個別に設けられ、作像ユニット1がユニット100に対して開閉かつ、着脱可能に設けられている。本形態にかかる画像形成装置は、例えばオフィスなどの装置設置場所のフロアに設置されている。」
ウ.「【0042】ユニット100は、転写紙14を収納する複数の記録材トレイとしての給紙トレイ3,4,5が積層配置された記録材供給部としての給紙カセット6、画像転写後の転写紙14が排出される複数の仕分けトレイ8が上下方向に積層配置された仕分け部としてのソータ2、給紙カセット6に収納された転写紙14を転写部18からソータ2へと搬送する搬送部としての搬送部7の3つの基本ユニットを備え、各ユニットが着脱、組み替え交換に構成されている。作像ユニット1は、搬送部7に対して着脱可能に設けられている。」
エ.「【0043】給紙カセット6およびソータ2は、給紙カセット6における給紙トレイ3,4,5に積載収納された転写紙14を給紙する記録材供給側3a,3b,3cと、ソータ2における各仕分けトレイ8(トレイ群ともいう)に転写紙14が導入される記録材導入側8aとが、同一側に位置するように、給紙カセット6の上方にソータ2を積層配置する位置関係となっている。給紙トレイ3,4,5は、転写紙14を積載する積載面が略水平となるように配置されている。ソータ2は、給紙カセット6の設置面積内に収まるように設けられている。
オ.「【0046】搬送部7は、記録材供給側3a,3b,3cおよび記録材導入側8aと対向する位置に、給紙カセット6とソータ2の一側面2aを略全域覆うように配置されている。搬送部7は、仕分けトレイ8の積層方向に配置された一対のローラ9a,9bと、これらローラに巻き架けられた搬送ベルト9cとを備え、図示しない駆動モータでローラ9aあるいは9bの一方を回転駆動することで、搬送ベルト9cが時計周りに回転するように構成されている。搬送部7は、搬送ベルト9cの、ローラ9bからローラ9aに向う移動側を、作像ユニット1と搬送部7の境界部50に沿うように配置して、給紙カセット6から給紙された転写紙14を転写部18へと搬送する第1の搬送経路9Aとしている。搬送部7は、搬送ベルト9cの、ローラ9aからローラ9bに向う移動側を、搬送部7とソータ2の境界部に沿うように配置して、転写部18で画像転写された転写紙14を各仕分けトレイ8へと搬送可能とする第2の搬送経路9Bとしている。第1の搬送経路9Aおよび第2の搬送経路9Bは、本形態では略垂直に構成されている。本形態において、搬送部7を中心に装置全体のレイアウトを見ると、搬送部7の右方には、給紙カセット6とソータ2が給紙カセット6をソータ2の下方に位置させて配置され、搬送部7の左方には作像ユニット1が配設されることになる。」

上記の記載事項を総合すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置であって、
画像形成装置は、画像を形成する作像部10を有する装置本体としての作像ユニット1と、作像部10で形成された画像を転写される記録材としての転写紙14を供給、搬送、仕分けする記録材処理ユニット100とを備え、作像ユニット1が記録材処理ユニット100に対して開閉かつ、着脱可能に設けられており、
記録材処理ユニット100は、転写紙14を収納する記録材供給部としての給紙カセット6、画像転写後の転写紙14の仕分け部としてのソータ2、給紙カセット6に収納された転写紙14を転写部18からソータ2へと搬送する搬送部としての搬送部7の3つの基本ユニットを備え、各基本ユニットが着脱、組み替え交換に構成され、作像ユニット1は、搬送部7に対して着脱可能に設けられ、給紙カセット6およびソータ2は、給紙カセット6の上方にソータ2を積層配置する位置関係となっていて、
搬送部7は、給紙カセット6とソータ2の一側面2aを略全域覆うように配置され、搬送部7を中心に装置全体のレイアウトを見ると、搬送部7の右方には、給紙カセット6とソータ2が給紙カセット6をソータ2の下方に位置させて配置され、搬送部7の左方には作像ユニット1が配設され、搬送ベルト9cの、ローラ9bからローラ9aに向う移動側を、作像ユニット1と搬送部7の境界部50に沿うように配置して、給紙カセット6から給紙された転写紙14を転写部18へと搬送する第1の搬送経路9Aとし、搬送ベルト9cの、ローラ9aからローラ9bに向う移動側を、搬送部7とソータ2の境界部に沿うように配置して、転写部18で画像転写された転写紙14を各仕分けトレイ8へと搬送可能とする第2の搬送経路9Bとしている、画像形成装置。」

3.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
両者共に、「画像形成装置」に係る発明である点で一致しており、後者における「画像を形成する作像部10を有する装置本体としての作像ユニット1」は、前者における「画像データに基づいて用紙に画像形成処理を行う画像形成部」に相当する。
また、前者では、「原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部、及び画像データに基づいて用紙に画像形成処理を行う画像形成部を有する装置本体」とするのみで、装置本体内における用紙の搬送については言及していないが、用紙搬送を行っていることは明らかである(受入用の用紙搬送路(段落【0024】参照)、排出用の用紙搬送路(段落【0026】参照))から、前者の「装置本体」も当該用紙搬送のための手段を含むものとみるべきである。したがって、後者において、画像形成部である「作像ユニット1」を用紙搬送のための手段である「搬送部7」に対して取付けたものが、前者における「画像データに基づいて用紙に画像形成処理を行う画像形成部を有する装置本体」に相当するものといえる。
更に、後者の記録材処理ユニット100が備える「転写紙14を収納する記録材供給部としての給紙カセット6」は、前者の「装置本体へ供給する用紙を収容する給紙装置」に相当し、同じく、「画像転写後の転写紙14の仕分け部としてのソータ2」は「装置本体において画像形成処理が施された用紙に後処理を施す後処理装置」に相当する。そして、後者において、「搬送部7は、給紙カセット6とソータ2の一側面2aを略全域覆うように配置され」、「給紙カセット6およびソータ2は、給紙カセット6の上方にソータ2を積層配置する位置関係となっていて」、「搬送部7の右方には、給紙カセット6とソータ2が給紙カセット6をソータ2の下方に位置させて配置され」としているところから、後者も前者と同様に、「給紙装置と後処理装置とは、装置本体の側面に上下方向に重ねて配置される」ものといえる。

したがって、両者は、
「画像データに基づいて用紙に画像形成処理を行う画像形成部を有する装置本体と、
前記装置本体へ供給する用紙を収容する給紙装置と、
前記装置本体において画像形成処理が施された用紙に後処理を施す後処理装置と、を備え、
前記給紙装置と前記後処理装置とは、前記装置本体の側面に上下方向に重ねて配置される、画像形成装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]
本願発明は、「原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部」を有するのに対し、引用発明は、この点につき、備えていない点。

4.判断
上記相違点について以下検討する。
引用発明は、「複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置」であるが、複写機やファクシミリでは、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部を有するものとされるのが普通である。
また、引用例においても「(第10の形態)図13、図14(a)に示す第10の形態にかかる画像形成装置は、作像機としての作像ユニット1D、搬送部としての搬送器60およびソ-タ2を矢印yで示す装置幅方向に並べに配列・・・したものである。・・・作像ユニット1Dには感光体10a、現像ユニット、クリーニングユニット、レ-ザスキャナ27が配置されている。」(段落【0082】、【0084】参照)と記載されているように、本願発明の「画像読取部」に相当する「レ-ザスキャナ27」が示されている。
また、引用発明において、画像読取部を有する画像形成装置とすることが技術的に格別困難であるものでもない。
そして、引用例には、「このような構成の画像形成装置によると、作像部10を有する作像ユニット1を・・・様々な作像方式の作像ユニット・・・と交換することができる。」(段落【0052】)と記載され、作像ユニットを様々な作像方式と交換することが示されているから、作像ユニットとして、例えば、上記に示したレ-ザスキャナ27(画像読取部)等の部位を備えることが示唆されているといえる。
以上を踏まえれば、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得る程度の事項といえる。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-08-30 
結審通知日 2017-09-05 
審決日 2017-09-19 
出願番号 特願2015-255731(P2015-255731)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03G)
P 1 8・ 571- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 卓司松本 泰典田代 憲司  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 藤本 義仁
黒瀬 雅一
発明の名称 画像形成装置  
代理人 特許業務法人 楓国際特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ