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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02C |
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管理番号 | 1334200 |
審判番号 | 不服2016-15380 |
総通号数 | 216 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-10-13 |
確定日 | 2017-11-08 |
事件の表示 | 特願2011-246681「ターボ機械構成要素及びこれを備えたターボ機械」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月30日出願公開、特開2013-104315〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成23年11月10日の出願であって、平成27年10月27日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月9日に意見書が提出されるとともに、同日に特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたが、平成28年6月3日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成28年10月13日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 2 本願発明 本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成28年2月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに出願当初の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「【請求項1】 ターボ圧縮又はガスタービン又は蒸気タービン又はエキスパンダ等のターボ機械に使用されるターボ機械構成要素(10,20)に取り付けられたセンサユニット(11,21)を有し、 このセンサユニット(11,21)が、SAW(表面弾性波)素子で形成され、前記ターボ機械構成要素(10,20)の監視すべきパラメータを検知するための受動トランスポンダを有するセンサ(11a,21a)と、処理のためにターボ機械(1)の評価ユニット(30)に前記パラメータに対応する測定信号を伝達するための、前記受動トランスポンダに組み込まれた、少なくとも1つのリフレクタを備える送信機とを有し、 前記センサユニット(11,21)の送信機が、センサユニット(11,21)を識別する識別コードが含まれるコード化された識別信号を前記測定信号と一緒に前記評価ユニット(30)に送るよう調整されており、 かつ、前記センサユニット(11,21)がターボ機械構成要素(10,20)からのセンサユニット(11,21)の分離がセンサユニット(11,21)の機能的な破壊によってのみ可能であるよう調整されていることを特徴とするターボ機械に使用するためのターボ機械構成要素。」 3 刊行物 ア 刊行物の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である国際公開第2010/118715号(以下、「刊行物」という。)には、次の事項が記載されている(なお、摘記した文章に続く[]内の記載は、当審において作成した当審仮訳である。)。 (ア) 「 Turbomaschinenkomponente und damit ausgerustete Turbomaschine Die Erfindung betrifft ・・・(略)・・・ Turbomaschine.」(第3ページ最初の行ないし同ページ第6行。ページ数は表紙を第1ページとし、行数は、各ページ左欄の数字による。ウムラウト記号は省略した。以下同様。) [当審仮訳:ターボ機械部品とそのターボ機械部品を備えるターボ機械 本発明は、ターボ機械部品とそのターボ機械部品を備えるターボ機械に関する。」 (イ) 「Gema* einer Ausfuhrungsform ・・・(略)・・・ Reflektor integriert ist.」(第8ページ第5行ないし同ページ第8行。*は原文ではエスツェットである。) [当審仮訳:本発明のターボ機械の実施形態により、センサユニットはAOWセンサユニットにより形成されており、該センサユニットは受動トランスポンダを有していて、該受動トランスポンダに、少なくとも一つのリフレクタを備える送信機が組み込まれている。] (ウ) 「Im Folgenden wird die Erfindung anhand ・・・(略)・・・ Einsatz von Nicht-Originalteilen moglich.」(第10ページ最初の行ないし第13ページ第28行) [当審仮訳:以下では、本発明が好ましい実施形態に基づき、添付の図に関連して詳細に記載される。 図1は、本発明の実施形態によるターボ機械の図解である。 図1は、図解でターボ式コンプレッサーとして形成されたターボ機械1を、本発明の実施形態により示している。 ターボ機械1は、複数のターボ機械部品10、20、ターボ機械部品10、20もしくはターボ機械1の監視のための1つの評価ユニット30、ターボ機械部品10、20もしくはターボ機械1の制御のための1つの制御装置40を有する。 図1の評価ユニット30はターボ機械1に組み込まれているが、該評価ユニットは、示されていない代替の実施形態によって、例えば、制御室もしくは制御卓(どちらも図示されていない)内のようにターボ機械1の外側にも配置されることができる。 図1から明白なように、評価ユニット30は、電線34を介して制御装置40と信号で接続されており、制御装置40は信号伝達区間(無線)41、42を介して、ターボ機械部品10、20と信号で接続されている。 評価ユニット30と制御装置40はハードウェアおよび/もしくはソフトウェアの形で、互いに独立したユニットとして、もしくは一つのユニットに組み合わせて仕上げられることができる。 二つの図示されたターボ機械部品10、20は、ターボ機械1のターボ機械部品の全体からの単に例示的な選択であり、本発明のこの例示的な実施形態では、一つ目のターボ機械部品10がターボ機械1の羽根車段を、二つ目のターボ機械部品20がターボ機械1の排出案内装置を形成することが可能である。 一つ目のターボ機械部品10は、AOWセンサユニット(AOW‐表面弾性波)の形態に形成されたセンサユニット11を有しており、該センサユニットは、一つ目のターボ機械部品10に取り付けられており、センサユニット11は、センサ11aを温度センサの形態で、一つ目のターボ機械部品10の温度の形態である、監視されるべき、パラメータの把握のために、また、受動トランスポンダ11bを送信機とともに、リフレクタ(単独では図示されていない)とアンテナ11bの配列の形態で、パラメータに対応する、ターボ機械1の評価ユニット30へ送る測定信号の処理伝達のために、備えている。 二つ目のターボ機械部品20は、AOWセンサユニットの形態に形成されたセンサユニット21を有しており、該センサユニットは、二つ目のターボ機械部品20に取り付けられており、センサユニット21は、センサ21aを温度センサの形態で、二つ目のターボ機械部品20の温度の形態である、監視されるべき、パラメータの把握のために、また、受動トランスポンダ21bを送信機とともに、リフレクタ(単独では図示されていない)とアンテナ21cの配列の形態で、パラメータに対応する、ターボ機械1の評価ユニット30へ送る測定信号の処理伝達のために、備えている。 センサユニット11、21の送信機11b、21bは、測定信号とともにコード化された標識信号を評価ユニット30に発信するために、それぞれ取り付けられており、該標識信号はそれぞれのセンサユニット11、21を明白に識別する識別コードを含み、評価ユニット30は標識信号を受信し、処理するために取り付けられている。 センサユニット11、21はそれぞれ付属のターボ機械部品10もしくは20に固定されているため、それぞれのセンサユニット11、21の該当のターボマシン部品10もしくは20からの分離は、機能上の破壊のみで可能である。 これは、例えばセンサユニット11、21の放射、温度、溶剤への抵抗力を調達することで、それぞれに付属するターボ機械部品10もしくは20において実現され得る。さらに、ターボ機械部品10、20は、溶解可能に取り付けられる例えば追加の部品を備えることができ、該部品はそれぞれのターボ機械部品10、20の望ましい選別によって、取り除かれることができる。もしくは、それどころか、それぞれのターボ機械部品10、20の分解の際に、必然的に取り除かれ、それぞれのセンサユニット11、21は、放射、温度、溶剤への抵抗力が調達され、部分的にそれぞれのターボ機械部品10、20と部分的にそれぞれの追加の部品が配置される。その他の実行ももちろん同様に可能である。 評価ユニット30は、処理論理回路31、決定論理32および記憶装置33を有しており、これらは処理技術で互いに連結されており、それどころか組み込まれたユニット、例えば組み込まれた回路の形態で形成されている 記憶装置33には、ターボ機械製造業者側で設定された唯一の識別コードの数が保存されており、処理論理回路31が取り付けられており、該処理論理回路31は、記憶装置33に保存されたそれぞれの識別コードを、異なったセンサ11aと21aに分類する。処理論理回路31がより遠くに取り付けられているため、それぞれのセンサ11a、21aもしくはそれぞれのセンサユニット11、21は、該ターボ機械部品10もしくは20に分類されており、該ターボ機械部品にはそれぞれのセンサユニット11、21が固定されている。 センサユニット11、21の受動トランスポンダ11b、21bの活性化のためと、それぞれの出力信号の受領のために、処理論理回路31は、アンテナ31bを有するトランスポンダ31aを備えている。 評価ユニット30の決定論理32は、記憶装置33に保存された識別コードが、ターボ機械1の運転のために許容し得ると定義されるように、取り付けられている。それを踏まえて、決定論理32は遠くに取り付けられており、センサユニット11、21によって受信された識別コードのうち一つが、記憶装置に保存された識別コードと一致しない場合、ターボ機械1の運転を妨害する。この目的のために、決定論理32が電線34を通して状態シグナル(運転を許可するか運転を許可しないか)を制御装置40に伝達し、これに基づいて制御装置40がターボ機械部品10、20もしくはターボ機械1の運転を許可する、もしくは妨害する。 言い換えれば、評価ユニット30において、ターボ機械1の望ましい運転開始に際し、ターボ機械部品10、20として純正部品のみが存在するかについて、欠落検査が実施される。ターボ機械部品10、20として非純正部品が使用された場合、一つもしくは複数の純正部品として仕上げられたターボ機械部品10、20の暗号化が欠け、上記の閉鎖によって、ターボ機械1のスタートが妨害される。これによって、測定タスクに加えて非純正部品の使用を効果的に防止することが可能である。] (エ) 「Patentanspruche ・・・(略)・・・ Dampfturbine oder einem Expander gebildet ist.」(第15ページ最初の行ないし第17ページ第21行) [当審仮訳:特許請求の範囲 1.ターボ機械使用するためのターボ機械部品(10、20)であって、 ターボ機械部品(10、20)に取り付けられているセンサユニット(11、21)を有しており、 センサユニット(11、21)がセンサ(11a、21a)をターボ機械部品(10、20)の監視されるべきパラメータの把握のために、また送信機をターボ機械(1)の評価ユニット(30)のパラメータに対応する測定信号の処理伝達のために有しているターボ機械部品であって、 測定信号とともにコード化された識別信号を評価ユニット(30)に発信するために、センサユニット(11、21)の送信機が備えられていて、該識別信号はセンサユニット(11、21)を識別する識別コードを含んでおり、 センサユニット(11、21)が、センサユニット(11、21)のターボ機械部品(10、20)からの分離が、センサユニット(11、21)の機能的な破壊の下でのみ可能となるように、取り付けられているターボ機械部品。 2.センサユニット(11、21)がAOWセンサユニットから形成されていて、センサユニット(11、21)が受動トランスポンダ(11b、21b)を有しており、該受動トランスポンダに送信機が、少なくとも一つのリフレクタとともに組み込まれている、請求項1記載のターボ機械部品(10、20)。 3.ターボ機械部品(10、20)が、ターボコンプレッサー部品もしくはガスタービン部品もしくは蒸気タービン部品もしくはエキスパンダー部品として形成されている、請求項1または2記載のターボ機械部品(10、20)。 4.ターボ機械(1)であって、複数のターボ機械部品(10、20)とターボ機械(1)の監視のための評価ユニット(30)を有しており、少なくとも一つのターボ機械部品(10、20)を有しているターボ機械において、 センサユニット(11、21)が、ターボ機械部品(10、20)に取り付けられており、 センサユニット(11、21)がセンサ(11a、21a)を、ターボ機械部品(10、20)の監視されるべきパラメータの把握のために、および送信機を、ターボ機械(1)の評価ユニット(30)へ送るパラメータに対応した測定信号の処理伝達のために有し、 センサユニット(11、21)の送信機が、測定信号とともにコード化された識別信号を評価ユニット(30)に発信するために、取り付けられており、該識別信号がセンサユニット(11、21)を識別する識別コードを含み、評価ユニットが、識別信号を受信し処理するために、取り付けられていて、 センサユニット(11、21)が、ターボ機械部品(10、20)からのセンサユニット(11、21)の分離が、センサユニット(11、21)の機能的な破壊の下でのみ可能であるように、取り付けられている、ターボ機械。 5.センサユニット(11、21)がAOWセンサユニットで形成されており、センサユニット(11、21)が受動トランスポンダ(11b、21b)を有しており、該トランスポンダに送信機が少なくとも一つのリフレクタとともに組み込まれている、請求項4記載のターボ機械(1)。 6.評価ユニット(30)が記憶装置(33)を有しており、該記憶装置内に、ターボ機械(1)用の唯一の識別コードの数が保存可能であり、送信機から伝達された識別コードを記憶装置(33)に保存された識別コードと比較するために、評価ユニット(30)が組み込まれている、請求項4または5記載のターボ機械(1)。 7.評価ユニット(30)が処理論理(31)を有しており、記憶装置(33)に保存されたそれぞれの識別コードを、それぞれ異なるセンサ(11a、21a)に分類するために該処理論理が取り付けられている、請求項6記載のターボ機械。 8.処理論理(31)が評価ユニット(30)に取り付けられているため、それぞれのセンサ(11a、21a)が一つのターボ機械部品(10、20)に組み込まれている、請求項7記載のターボ機械。 9.評価ユニット(30)が決定論理(32)を有しており、該決定論理が組み込まれているため、記憶装置(33)に保存された識別コードが、ターボ機械(1)の運転を許可し得るとして定義されており、送信機から受信した識別コードが記憶装置に保存された識別コードと一致しない場合、ターボ機械(1)の運転を遮断するように、決定論理(32)が組み込まれている、請求項6?8記載のターボ機械(1)。 10.ターボ機械(1)がターボコンプレッサーもしくはガスタービンもしくは蒸気タービンもしくはエキスパンダーで形成されている、請求項4?9記載のターボ機械。] イ 刊行物発明 上記アの記載及び図面の記載を総合すると、刊行物には次の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されていると認める。 <刊行物発明> 「ターボ機械(1)に使用されるターボ機械部品(10,20)に取り付けられたセンサユニット(11,21)を有し、 このセンサユニット(11,21)が、AOW(表面弾性波)素子で形成され、前記ターボ機械部品(10,20)の温度を検知するためのセンサ(11a,21a)と、処理のためにターボ機械の評価ユニット30に前記温度に対応する測定信号を伝達するための、受動トランスポンダ(11b、21b)に組み込まれた、少なくとも1つのリフレクタを備える送信機とを有し、 前記センサユニット(11,21)の送信機が、センサユニット(11,21)を識別する識別コードが含まれるコード化された標識信号を前記測定信号と一緒に前記評価ユニット(30)に送るよう調整されており、 かつ、前記センサユニット(11,21)がターボ機械部品(10,20)からのセンサユニット(11,21)の分離がセンサユニット(11,21)の機能的な破壊によってのみ可能であるよう取り付けられている、ターボ機械に使用するためのターボ機械部品。」 4 対比・判断 本願発明と刊行物発明とを対比すると、刊行物発明における「AOW(表面弾性波)素子」は、その構造、機能又は技術的意義からみて、本願発明における「SAW(表面弾性波)素子」に相当し、以下同様に、「ターボ機械部品(10,20)」は「ターボ機械構成要素」に、「温度」は「監視すべきパラメータ」に、「前記温度に対応する測定信号」は「前記パラメータに対応する測定信号」に、「標識信号」は「識別信号」に、それぞれ相当する。 また、刊行物発明において「機能的な破壊によってのみ可能であるよう取り付けられている」ことは、本願発明において「機能的な破壊によってのみ可能であるよう調整されている」ことに含まれるものである。 以上から、本願発明の用語に倣って整理すると、本願発明と刊行物発明とは、 「ターボ圧縮又はガスタービン又は蒸気タービン又はエキスパンダ等のターボ機械に使用されるターボ機械構成要素に取り付けられたセンサユニットを有し、 このセンサユニットが、SAW(表面弾性波)素子で形成され、前記ターボ機械構成要素の監視すべきパラメータを検知するためのセンサと、処理のためにターボ機械の評価ユニットに前記パラメータに対応する測定信号を伝達するための、受動トランスポンダに組み込まれた、少なくとも1つのリフレクタを備える送信機とを有し、 前記センサユニットの送信機が、センサユニットを識別する識別コードが含まれるコード化された識別信号を前記測定信号と一緒に前記評価ユニットに送るよう調整されており、 かつ、前記センサユニットがターボ機械構成要素からのセンサユニットの分離がセンサユニットの機能的な破壊によってのみ可能であるよう調整されていることを特徴とするターボ機械に使用するためのターボ機械構成要素。」である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点> 本願発明においては、「センサ」が、「受動トランスポンダを有する」ものであるのに対し、 刊行物発明においては、「センサ(11a,21a)」が、「受動トランスポンダ(11b、21b)」を有するものであるか否か不明である点(以下、「相違点」という。)。 上記相違点について検討する。 まず、本願発明における「受動トランスポンダを有するセンサ」という事項に関して、請求人は、平成29年2月9日付け意見書(「(4-2) 本願発明と引用文献との対比」の欄)及び審判請求書(「(3-3) 本願発明と引用文献との対比」の欄)において、「本願発明では、センサが受動トランスポンダを有するのに対し、引用発明1では、Sensor11a,21aと、Transponder11b,21bとが、別個に設けられている点で相違する」(ここでの引用発明1は「引用文献1に記載された発明」であり、引用文献1は本審決の刊行物である。)と主張している。 そこで、請求人の上記主張のとおり、本願発明における「受動トランスポンダを有するセンサ」という事項は、少なくとも、センサと受動トランスポンダが別個に設けられているものではないことを意味するとして、以下、検討する。 刊行物発明において、センサユニット(11,21)における回路構成素子・要素の配置等の設計は、例えば、各回路構成素子・要素の機能的関連や、センサユニット(11、21)内のスペースを有効に活用しコンパクト化を図る等の点を考慮して、適宜なし得る設計的事項にすぎない。そして、本願明細書等をみても、相違点に係る本願発明の発明特定事項による技術的意義(従来技術のどのような課題をどのようにして解決しているのか等)ないし作用効果等について、特に説明されておらず、かつ格別の技術的意義等があるとは認められないこと、受動トランスポンダ(11b、21b)は、処理のためにターボ機械の評価ユニット30に、センサ(11a、21a)が検知したターボ機械構成要素(10,20)の温度に対応する測定信号を伝達するためのものである点で、センサ(11a、21a)と機能的に関連していること等を勘案すると、刊行物発明において、例えば、受動トランスポンダ(11b、21b)をセンサ(11a、21a)と近接ないし密接に一体的に配置して、センサ(11a、21a)の一部をなすとみることができるような構造とすること、あるいは、そのように配置された受動トランスポンダ(11b、21b)とセンサ(11a、21a)から成る構造物を新たにセンサと呼称することにより、相違点に係る本願発明の発明特定事項に想到することは、上記のとおり、適宜なし得る設計的事項であって、格別の困難性はない。 したがって、刊行物発明において、上記相違点に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者であれば、容易に想到できたことである。 そして、本願発明は、全体としてみても、刊行物発明から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 6 結語 以上に述べたとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-06-07 |
結審通知日 | 2017-06-13 |
審決日 | 2017-06-27 |
出願番号 | 特願2011-246681(P2011-246681) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F02C)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齊藤 公志郎 |
特許庁審判長 |
佐々木 芳枝 |
特許庁審判官 |
伊藤 元人 三島木 英宏 |
発明の名称 | ターボ機械構成要素及びこれを備えたターボ機械 |
代理人 | 山口 巖 |