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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61B
管理番号 1334207
審判番号 不服2015-20990  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-11-26 
確定日 2017-11-07 
事件の表示 特願2014- 32402「医療用注入手順用に患者ベースのパラメータを生成するシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 7月31日出願公開、特開2014-138870〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2007年(平成19年)12月21日(パリ条約による優先権主張 2006年12月29日 米国、2007年9月28日 米国)を国際出願日として出願した特願2009?544051号の一部を、平成26年2月24日に新たに外国語書面出願したものであって、平成27年1月30日付けで拒絶理由が通知され、同年4月30日付けで意見書が提出され、同年7月9日付けで拒絶査定されたところ、同年11月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後当審において平成28年6月22日付けで拒絶理由が通知され、同年9月21日付けで意見書が提出され、当審において同年10月14日付けで拒絶理由が通知され、平成29年1月13日付けで意見書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願請求項1?4に係る発明は、平成27年11月26日付け手続補正により補正された請求項1?4に記載された事項により特定される発明である。そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は以下のとおりのものである。
なお、(A)?(E)の見出し記号は、当審で付記したものである。

「【請求項1】
(A)注入手順の少なくとも1つのフェーズのパラメータを決定するパラメータ生成システムであって、
(B)前記少なくとも1つのフェーズでは、画像造影増強物質を含む薬剤が患者に送られ、
(C)前記パラメータ生成システムは、少なくとも部分的には、実行される前記注入手順のタイプ、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルに基づいて前記パラメータを決定するアルゴリズムと、
(D)前記患者への前記薬剤の伝搬モデルとを備えており、
(E)前記増強のピークに至る所定時間と前記増強のピークのレベルとは、少なくとも部分的には、前記患者への前記薬剤の伝搬モデルによって決定される
パラメータ生成システム。」

第3 引用例
1 引用例1
(1)引用例1に記載の事項
平成28年10月14日付け拒絶理由において引用され、本願の原出願の優先権主張日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能とされた引用例1(国際公開第2006/055813号)には、以下の記載がある。(以下、下線は当審にて付した。)

(1a)「[0033] In one embodiment of the present invention, at least two patient transfer functions are determined and the injection procedure input is determined on the basis of one of the patient transfer function. For example, a first patient transfer function can be determined using a system identification model comprising parameters related to physiological parameters of the patient, and a second patient transfer function can be determined using a mathematic model determined by collecting data corresponding to a time enhancement curve resulting from injection, the mathematical model describing the data. A determination can, for example, be made as to which patient transfer function provides the best correlation between a given input and a resulting output.」
(当審訳「[0033]本発明の一実施例では、少なくとも2つの患者伝達関数が決定され、注入手順入力は患者伝達関数のうちの1つに基づいて決定される。例えば、第1の患者伝達関数は、患者の生理学のパラメータと関係するパラメータを含むシステム識別モデルを使用して、決定することができ、第2の患者伝達関数は、注入に起因する時間増強カーブに対応するデータを集めることにより決定された数学的モデルを使用して決定することができ、数学的モデルはデータを記述する。例えば、決定はどの患者伝達関数が、与えられた入力と生じる出力の間の最良の相関性を提供するかに関して成される。」)

(1b)「[0035] In a further aspect, the present invention provides an injector system for the delivery of a fluid to a patient including: an injector and a controller in communicative connection with the injector. The controller includes (for example, has stored in a memory in operative connection therewith) at least one patient transfer function determined for the patient based upon data specific to the patient. The at least one patient transfer function provides a time enhancement output for a given input. The controller includes a processor (for example, a digital microprocessor) to determine an injection procedure input for a desired time enhancement output using the at least one patient transfer function.」
(当審訳「[0035]更なる態様では、本発明は、患者へ流体を配送するインジェクタシステムを提供し、インジェクタ及び該インジェクタに通信可能に接続したコントローラを具える。コントローラは、患者に特有のデータに基づいて患者について決定された少なくとも1つの患者伝達関数を含む(例えば、コントローラに作動可能に接続したメモリに格納された)。少なくとも1つの患者伝達関数は、所定の入力について、時間増強出力を提供する。コントローラは、少なくとも1つの患者伝達関数を使用して、所望の時間増強出力について注入手順入力を決定するプロセッサ(例えばデジタルマイクロプロセッサ)を含む。」)

(1c)「[0087] Figure 1A illustrates a typical time-enhancement curve obtained with a single phase contrast-enhanced CT scan of a blood vessel. The units, HU are Houndsfield Units, a measure of X- ray absorption density that is translated into signal intensity in an image. Figure 1A illustrates a peak enhancement at a time of about 45 seconds. In many imaging procedures, the time-enhancement curve is preferably uniform around a specified level (as illustrated by the thick black line in Figure 1A). When the curve is not uniform or flat, a less than optimum image may result in an erroneous diagnosis in such imaging procedure. As advances in scanning technology enable image acquisition in less time, uniformity of enhancement over longer time periods may decrease somewhat in importance, but proper timing of a scan relative to contrast injection and avoidance of too much contrast or too little contrast remain important.」
(当審訳「[0087]図1Aは、血管の造影が増強された単一相のCTスキャンで得られた一般的な時間増強カーブを示す。ユニットHUはハウスフィールドユニットであり、画像内で信号濃度に変換されたX線吸収濃度の測定である。図1Aは、約45秒のピーク増強を示す。多くの画像手順に於いて、時間増強カーブは特定レベル周りで一定であることが好ましい(図1Aに薄い黒線で示すように)。カーブが一定、即ち平坦でないときは、最適な画像に達しない画像は、そのような画像手順にて誤診となる。走査技術の進化により、短い時間で画像を得ることができ、長時間に亘って増強が一定であることは、幾分か重要ではなくなった、しかし、造影剤の注入に対する走査の適切なタイミング及び多すぎる又は少なすぎる造影剤を避けることは、尚、重要である。」)

(1d)「[0092] In one embodiment of Figure 3, the model of the present invention generates an estimate of a patient transfer function, H(z) via pole-zero modeling (ARMA techniques) and performs a constrained numerical optimization to determine an input signal (that is, an injection protocol) that will generate the desired output response (for example, a flat enhancement scan - see Figure 1). Alternatively, one can use a pole-placement algorithm, given an estimate of H(z), to better control the output response.」
(当審訳「[0092]図3の一実施例では、本発明のモデルは、極-ゼロモデリング(ARMA技法)によって患者の伝達関数H(z)の評価を生成し、制約された数値の最適化を行なって、所望の出力反応を生成する入力信号(即ち、注入プロトコル)を決定する(例えば水平走査の増強-図1を参照)。或いは、極-設置アルゴリズム、所定のH(z)の評価を用いて、出力反応をより良く制御する。」

(1e)「[00115] ・・・For example, one or more known external patient variables (for example height, weight, or blood pressure) can be entered into the model before the study is started to provide an initial estimate of the patient impulse response and thence the response to the imaging injection.・・・」
(当審訳「[00115]・・・例えば、研究を開始する前に、1又は2以上の既知の外部患者変数(例えば、背丈、体重又は血圧)がモデルに入力されて、患者のインパルス反応の最初の評価及びそこからイメージング注入に対する反応の最初の評価を提供する。・・・」)

(1f)「WHAT IS CLAIMED IS:
1. A method of delivering a contrast enhancing fluid to a patient using an injector system, comprising:
determining at least one patient transfer function for the patient based upon data specific to the patient, the at least one patient transfer function providing a time enhancement output for a given input; _,
determining a desired time enhancement output;
using the at least one patient transfer function to determine an injection procedure input; and
controlling the injector system at least in part on the basis of the determined injection procedure input.
2. The method of claim 1 wherein the injection procedure input is determined considering at least one operational limitation or constraint of the injector system.
・・・
15. The method of claim 2 wherein the at least one patient transfer function is determined by the steps:
collecting data corresponding to a time response curve resulting from injection of the fluid; and
determining at least one mathematical model describing the data.」
(当審訳「特許請求の範囲
1.インジェクタシステムを用いて、患者に造影を増強する流体を配送する方法であって、
患者に特有のデータに基づいて、患者についての少なくとも1つの患者伝達関数を決定し、該少なくとも1つの患者伝達関数は所定の入力について時間増強出力を付与する工程と、
所望の時間増強出力を決定する工程と、
少なくとも1つの患者伝達関数を用いて、注入手順入力を決定する工程と、
決定した注入手順入力に基づいて、インジェクタシステムの少なくとも一部を制御する工程を有する方法。
2.注入手順入力は、インジェクタシステムの少なくとも1つの動作上の制限又は制約を考慮して決定される、請求項1に記載の方法。
・・・
15.少なくとも1つの患者伝達関数は、
流体の注入から生じる時間増強カーブに対応したデータを収集する工程と、
データを記載する少なくとも1つの数学的モデルを決定する工程とから決定される、請求項2に記載の方法。」)

(1g)図1A


(2)引用例1に記載の発明
上記(1f)より、引用例1の請求項15に係る発明(以下、「引用発明1」という。)は、以下の通りである。

「インジェクタシステムを制御して、造影増強流体を患者に搬送する方法であって、
患者に特有のデータに基づいて、患者についての少なくとも1つの患者伝達関数を決定し、該少なくとも1つの患者伝達関数は所定の入力について時間増強出力を付与する工程と、
所望の時間増強出力を決定する工程と、
インジェクタシステムの少なくとも1つの動作上の制限又は制約を考慮し
流体の注入から生じる時間増強カーブに対応したデータを収集する工程と、
データを記載する少なくとも1つの数学的モデルを決定する工程とから決定される少なくとも1つの患者伝達関数を用いて、注入手順入力を決定する工程と、
決定した注入手順入力に基づいて、インジェクタシステムの少なくとも一部を制御する工程を有する方法。」

第4 対比 ・判断
本願発明1と、引用発明1とを対比する。

1 本願発明1の(A)の特定事項について
(1)引用発明1の「工程」及び「造影増強流体」は、本願発明1の「フェーズ」及び「画像造影増強物質を含む薬剤」に相当する。

(2)引用発明1の「決定した注入手順入力に基づいて、インジェクタシステムの少なくとも一部を制御する工程を有する方法」において、「インジェクタシステム」の一部を制御するためには、「決定した注入手順入力」には、「インジェクタシステム」の一部を制御するためのパラメータが含まれていなければならない。そして、このパラメータは、「注入手順」のうち「インジェクタシステム」の一部を制御するという一つの工程のパラメータであるといえるから、引用発明1と、本願発明1とは、「注入手順の少なくとも1つのフェーズのパラメータを決定するパラメータ生成システム」を有している点で共通する。

2 本願発明1の(B)の特定事項について
引用発明1は、「インジェクタシステムの少なくとも一部を制御する工程を有」し、「インジェクタシステムを制御して、造影増強流体を患者に搬送する」から、引用発明1の「インジェクタシステムの少なくとも一部を制御する工程」は、本願発明1の「画像造影増強物質を含む薬剤が患者に送られ」る、「少なくとも1つのフェーズ」に相当する、

3 本願発明1の(C)の特定事項について
(1)引用発明1の「注入手順入力」は、「インジェクタシステムの少なくとも1つの動作上の制限又は制約を考慮し」て決定される。「インジェクタシステムの少なくとも1つの動作上の制限又は制約を考慮」するということは、「インジェクタシステム」によって、「造影増強流体」をどのような手順で注入するかという点を考慮するということであるから、「注入手順入力」は注入手順のタイプを考慮して決定されるといえる。

(2)引用発明1の「少なくとも1つの患者伝達関数」は、「流体の注入から生じる時間増強カーブに対応したデータを収集する工程」から決定され、「注入手順入力」は、この「少なくとも1つの患者伝達関数」により決定される。そうすると、「注入手順入力」は、「流体の注入から生じる時間増強カーブに対応したデータを収集する工程」により決定されているといえる。また、「時間増強カーブ」は、「造影増強流体」の伝搬を表すもので、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルを含んでいるものである(上記(1c)、(1g)参照)。上記1(2)で検討したとおり「注入手順入力」は、パラメータを含んでいるから、パラメータは、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルに基づき決定されるといえる。そして、「少なくとも1つの患者伝達関数」は、「注入手順入力」を決定するためのアルゴリズムを有していることは明らかである。そうすると、引用発明1の「少なくとも1つの患者伝達関数」は、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルに基づきパラメータを決定するアルゴリズムを有しているといえるから、引用発明1と本願発明1とは、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルに基づいてパラメータを決定するアルゴリズムを備えている点で共通しているといえる。

(3)(1)と(2)を総合すると、「注入手順入力」は注入手順のタイプを考慮して決定されるから、(2)において検討したアルゴリズムは、注入手順のタイプに基づいてパラメータを決定しているといえる。

4 本願発明1の(D)の特定事項について
引用発明1の「少なくとも1つの患者伝達関数」の「数学的モデル」は、注入に起因する時間増強カーブに対応するデータを集めることにより決定されたものであり(上記(1b)参照)、上記3(2)で検討したとおり、「時間増強カーブ」は、「造影増強流体」の伝搬を表すものであるから、引用発明1の「少なくとも1つの患者伝達関数」の「数学的モデル」は、本願発明1の、「前記患者への前記薬剤の伝搬モデル」に相当する。

5 本願発明1の(E)の特定事項について
引用発明1の「少なくとも1つの患者伝達関数」は所定の入力について「時間増強出力」を付与する工程と、所望の「時間増強出力」を決定する工程とを含んでおり、所望の時間増強出力には、増強のピークに至る所定時間と増強のピークのレベルとが含まれていることは明らかである。また、上記4で検討したとおり、引用発明1の「少なくとも1つの患者伝達関数」の「数学的モデル」は、本願発明1の、患者への薬剤伝搬モデルに相当する。そして、「少なくとも1つの患者伝達関数」の「数学的モデル」は、注入に起因する時間増強カーブに対応するデータを集めることにより決定されたものであるから、「少なくとも1つの患者伝達関数」の「数学的モデル」が、所望の時間増強出力を決定していることは明らかである。そうすると、引用発明1の「少なくとも1つの患者伝達関数」の、所定の入力について「時間増強出力」を付与する工程と、所望の「時間増強出力」を決定する工程は、本願発明1の「前記増強のピークに至る所定時間と前記増強のピークのレベルとは、少なくとも部分的には、前記患者への前記薬剤の伝搬モデルによって決定」することに相当するといえる。

6 小括
前記1ないし5において検討したことより、引用例1には、本願発明1の全ての発明特定事項が記載されているといえ、本願発明1は、引用例1に記載の発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。また、例え相違点があったとしても、引用例1に記載された発明より、当業者が容易に想到できたに過ぎないものであるといえ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。

第5 請求人の主張について
請求人は、平成29年1月13日付けで意見書において、
『理由1(新規性)について

係属中の請求項に係るシステムにおいて、パラメータ生成システムは、少なくとも部分的には、実行される注入手順のタイプ、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルに基づいて行われる、注入手順の少なくとも1つのフェーズのパラメータを決定するアルゴリズムを備えます。すなわち、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルの別個の値は、注入手順の少なくとも1つのフェーズのパラメータを決定するためにアルゴリズムに入力されます。請求項に係るシステムにおいて、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルの別個の値は、少なくとも部分的には、患者への薬剤の伝搬モデルによって決定されます。増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルの値が別個の値としてアルゴリズムに入力されること、及びそのような別個の値が少なくとも部分的に伝搬モデルによって決定されることは、明細書の全体から明らかです。
審判官殿は、引用例1の患者伝達関数は、「流体の注入から生じる時間増強カーブに対応したデータを収集する工程」から決定され、「注入手順入力」は、この「少なくとも1つの患者伝達関数」により決定される、と指摘され、そこから患者伝達関数が決定される時間増強カーブは、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルを含んでいるので、患者伝達関数は注入手順入力を決定するためのアルゴリズムを有しており、従って、引用例1は、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルに基づいてパラメータを決定するためのアルゴリズムを開示している、と指摘されました(「2 請求項1について(理由1及び2)」、「(1) 対比」、「ウ 本願発明1の(C)の特定事項について」の(イ))。
引用例1のアルゴリズムは、本来、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルを含む時間増強カーブのデータに基づいていると言うことができます。しかし、引用例1は、本願請求項に記載された、注入手順のパラメータを決定するために、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルを含むデータの入力を受け取ることができるアルゴリズムを開示も示唆もしていません。それに関して、引用例1の患者伝達関数は、注入手順のパラメータを決定するために、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルを含むデータの入力を受け取ることができません。
さらに、引用例1は、(請求項に記載されたアルゴリズムへの入力のための)増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルが、少なくとも部分的に、患者への薬剤の伝搬モデルによって決定されることを開示も示唆もしていません。引用例1の少なくとも1つの患者伝達関数は時間増強出力を予測するために使用されますが、係属中の請求項に記載された、増強のピークに至る所定時間、及び/又は増強のピークのレベルを決定するために、その患者伝達関数を使用すること、その決定された増強のピークに至る所定時間、及び/又は増強のピークのレベルを、注入手順のパラメータを決定するためにアルゴリズムに入力することは、引用例1に開示も示唆もありません。
従って、審判請求人は、審判官殿のご指摘とは異なり、引用例1は、請求項1を特定するための全ての事項を開示してはおらず、相違点は、引用例1に開示された発明に基づいて当業者が容易に想到できた発明に過ぎないとは言えないと思料致します。』
旨主張している。
ここで、上記主張の内、本願発明1が、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルの値が別個の値としてアルゴリズムに入力されるものであり、引用発明1は、注入手順のパラメータを決定するために、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルを含むデータの入力を受け取ることができるアルゴリズムを有していない旨の主張に関し検討する。
本願発明1のアルゴリズムは、「(C)前記パラメータ生成システムは、少なくとも部分的には、実行される前記注入手順のタイプ、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルに基づいて前記パラメータを決定するアルゴリズム」である。そうすると、本願発明1のアルゴリズムは、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルを含むデータの入力を受け取ることができるか否かに関わらず、少なくとも増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルに基づいて前記パラメータを決定するものであれば良いといえる。そして、上記第4 3で検討したとおり、引用発明1のアルゴリズムは、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルを含むデータの入力を受け取ることができるか否かに関わらず、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルを含む時間増強カーブのデータに基づいて注入手順のパラメータを決定していることは明らかである。
そうすると請求人の主張は、本願発明1に基づくものでなく、採用することができない。
次に、引用例1は、増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルが、少なくとも部分的に、患者への薬剤の伝搬モデルによって決定されることを開示も示唆もしていない旨の主張について検討する。
本願発明1の(E)の発明特定事項である、「増強のピークに至る所定時間、及び増強のピークのレベルが、少なくとも部分的に、患者への薬剤の伝搬モデルによって決定されること」は、上記第4 5で検討したとおり、引用発明1の発明特定事項として含まれている。
したがって、請求人の主張は採用できない。

第6 結語
以上のとおり、本願発明1は、本願の原出願の優先権主張日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能とされた上記引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないか、又は、上記引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-06-07 
結審通知日 2017-06-12 
審決日 2017-06-26 
出願番号 特願2014-32402(P2014-32402)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (A61B)
P 1 8・ 121- WZ (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小田倉 直人  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 福島 浩司
三崎 仁
発明の名称 医療用注入手順用に患者ベースのパラメータを生成するシステム  
代理人 実広 信哉  
代理人 阿部 達彦  
代理人 村山 靖彦  
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