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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01R
管理番号 1334226
審判番号 不服2017-1988  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-10 
確定日 2017-11-28 
事件の表示 特願2012- 21890「情報処理装置及び情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月19日出願公開、特開2013-160597、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
特許出願: 平成24年2月3日
拒絶理由通知: 平成27年12月25日(発送日:平成28年1月5日)
手続補正: 平成28年2月29日
手続補正: 平成28年3月4日
拒絶査定: 平成28年8月30日(送達日:同年10月11日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成29年2月10日


第2 原査定の概要
原査定(平成28年8月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.本願請求項1,2,4-7に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2006-353005号公報
2.特開2011-14156号公報
3.特開平9-15279号公報(周知技術を示す文献)
4.実願昭53-113380号(実開昭55-31310号)のマイクロフィルム(新たに引用された文献,周知技術を示す文献)
5.特開平8-202972号公報(新たに引用された文献,周知技術を示す文献)


第3 本願発明
本願請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、平成28年3月4日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
機器の動作に関連して発生する電磁波を検出する検出装置と、
前記電磁波のパワースペクトルに基づいて前記機器の種類を判定する機器判定部と、前記電磁波のパワースペクトルに基づいて前記機器の動作を判定する動作判定部と、前記機器の種類及び動作に基づいて前記機器の消費電力を推定する電力推定部と、を有する受信装置と、
備え、
前記受信装置は、前記電磁波の情報を無線又は有線の通信により前記検出装置から取得する、
電力管理システム。
【請求項2】
前記受信装置は、推定した前記消費電力を表示する表示部を備える、請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記機器の動作に関連して発生する電磁波は、前記機器を操作するリモートコントローラーが発生する電磁波である、請求項1又は2に記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記機器の動作に関連して発生する電磁波は、前記機器の電子回路が発生する電磁波である、請求項1?3のいずれかに記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記受信装置は、前記電磁波をスペクトル解析する検出部を有する、請求項1?4のいずれかに記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記機器判定部は、前記電磁波をスペクトル解析する、請求項1?5のいずれかに記載の電力管理システム。
【請求項7】
機器の動作に関連して発生する電磁波を検出することと、
前記電磁波のパワースペクトルに基づいて前記機器の種類を判定することと、
前記電磁波に基づいて前記機器の動作を判定することと、
前記機器の種類及び動作に基づいて前記機器の消費電力を推定することと、
備え、
前記消費電力を推定する受信装置は、前記電磁波を検出する検出装置から、前記電磁波の情報を無線又は有線の通信により取得する、電力管理方法。」


第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審による。以下同様。)

「【0001】
本発明は、ネットワークに接続された機器の消費電力を算出することのできるホームネットワークシステムに関するものである。」

「【0010】
ホームネットワーク(10)には、図1に示すように、ホームサーバ(20)、コントローラ(30)、ホームネットワーク(10)上で操作、制御等を行なう機器(40)が接続されている。ホームサーバ(20)、コントローラ(30)及び機器(40)間は、ある通信プロトコルによって通信を行ない、機器(40)の運転状態の取得や、操作命令が伝達可能となっている。」

「【0014】
機器(40)には、機器を判別するコード情報が登録されている。コード情報として、メーカ名や機種情報、品番、型番等の1つ又はこれらの組み合わせを例示できる。
コード情報は、ホームサーバ(20)からのアクセスによって、ホームサーバ(20)に提供可能となっている。
コード情報は、同じ機能を有する機器(40)ごとに固有のコードであり、異なる機能、性能を有する機器同士の重複はないように設定され、機器(40)に組み込まれている。
ネットワークアダプタ(50)を中継してホームネットワーク(10)に接続する場合には、ネットワークアダプタ(50)が機器(40)に設定されているコード情報を取得することが可能なようにしておく。」

「【0018】
図5に示すように、ホームネットワーク(10)に機器(40)が接続されると、ホームサーバ(20)に機器(40)が認識され、コントローラ(30)によって機器(40)の制御や、状態表示が可能となる。コントローラ(30)には、ホームサーバ(20)又は機器(40)のWebサーバから表示画面や操作メニュー画面が送信される。機器(40)の運転状態は、ホームサーバ(20)を経由して、コントローラ(30)に表示され、機器(40)の制御命令は、ユーザがコントローラ(30)の操作メニュー画面を操作することによって、ホームサーバ(20)を経由して機器(40)に送信される。
【0019】
機器(40)の消費電力を算出するには、まず、通信プロトコルを利用して、機器(40)からホームサーバ(20)へコード情報(KLT-T9999)を通知することにより開始される(ステップ1)。
ホームサーバ(20)は、機器(40)から得たコード情報を基に、外部ネットワーク(70)を経由して、共通ルールサーバ(72)へコード情報(KLT-T9999)の照会を行なう(ステップ2)。
共通ルールサーバ(72)に当該機器(40)のコード情報の登録があった場合には(ステップ3)、共通ルールサーバ(72)からホームサーバ(20)へ、個別ルール(図4参照)が送信され、ホームサーバ(20)に登録される(ステップ4)。
なお、ホームサーバ(20)に機器(40)のコード情報及び個別ルールを既に登録している場合には、共通ルールサーバ(72)への照会は不要である。
【0020】
ホームネットワーク(10)に接続された機器(40)は、運転状態(例えば、スイッチのオン、オフや出力レベル)をホームサーバ(20)に送信する(ステップ5)。運転状態は、経時的に送信してもよいし、運転状態が変わる毎に送信したり、又は、所定時間毎に送信するようにしてもよい。また、ユーザがコントローラ(30)を操作して、消費電力を知りたいときに送信するようにしてもよい。
なお、積算又は時間毎の消費電力をコントローラ(30)にて表示したい場合等には、運転状態を経時的に又は運転状態が変わる毎に送信し、個別ルールに基づいて、図6に示すように、ホームサーバ(20)で記憶しておくことが必要である。
【0021】
ユーザが、図7に示すコントローラ(30)の表示部(31)を操作して、消費電力の取得を要求すると(ステップ6及び図8)、ホームサーバ(20)に記憶されている個別ルールと、機器(40)の運転状態に基づいて、ホームサーバ(20)の算出部にて消費電力を算出する(ステップ7及び図9)。消費電力の算出は、例えば、照明器具の平均消費電力の場合、1日3時間オン、21時間オフとした場合には、79(ワット)×3(時間)÷24(時間)=9.875(ワット)となる(図9の1日前の平均消費電力参照)。
算出された消費電力は、ホームサーバ(20)からコントローラ(30)に送信され、表示部(31)に表示する(ステップ8及び図10)。」

上記記載から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「ホームネットワーク(10)に、ホームサーバ(20)、コントローラ(30)、ホームネットワーク(10)上で操作、制御等を行なう機器(40)が接続され(【0010】参照。)、ネットワークに接続された機器の消費電力を算出することのできるホームネットワークシステム(【0001】参照。)であって、
機器(40)には、機器を判別するコード情報が登録され、コード情報は、ホームサーバ(20)からのアクセスによって、ホームサーバ(20)に提供可能となっており(【0014】参照。)、ホームネットワーク(10)に接続された機器(40)は、運転状態(例えば、スイッチのオン、オフや出力レベル)をホームサーバ(20)に送信し(【0020】参照。)、ホームサーバ(20)に記憶されている個別ルールと、機器(40)の運転状態に基づいて、ホームサーバ(20)の算出部にて消費電力を算出する(【0021】参照。)、
ホームネットワークシステム。」

2.引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0239】
実施の形態15.
実施の形態15は、機器3030から発生するEMCノイズ(電磁波ノイズ)を検知し
たときに機器3030が稼動していると判定するようにしたものである。
図41は本発明の実施の形態15に係る生活者異常検知装置の外観を示す斜視図である。なお、生活者異常検知装置3001の構成は、稼動機器検知手段3006を除き、実施の形態12と同様である。
【0240】
実施の形態15に係る生活者異常検知装置3001は、機器3030から放射されるEMCノイズを計測するためのアンテナ3015を備えている。この生活者異常検知装置3001における稼動機器検知手段3006は、予め検知対象の機器3030から放射されるEMCノイズを受信し、RAMにデータとして保存する。このEMCノイズの保存は、本装置3001の使用前に検知対象の機器3030を学習させるためである。その後は、受信したEMCノイズとRAMに保存したEMCノイズを比較して検知対象の機器3030かどうかを判定し、検知対象の機器3030と判定したときは稼動していると判定し、ほぼ同じノイズを検知できなかったときは検知対象の機器3030が稼動していないと判定し、何れかの判定結果を機器情報としてRAMに保存する。
【0241】
次に、稼動機器検知手段3006の動作を説明する。
図42は実施の形態15に係る生活者異常検知装置の稼動機器検出手段の動作を示すフローチャートである。
稼動機器検知手段3006は、機器3030から発生するEMCノイズをアンテナ3015を介して受信すると(S3141)、EMCノイズを計測し(S3142)、計測したEMCノイズが予めRAMに保存したEMCノイズとほぼ同じかどうかをパターンマッチングアルゴリズム等を用いて判定する(S3143)。双方のノイズがほぼ同じと検知したときは、検知対象の機器3030が稼動していると判定して、その結果を機器情報としてRAMに保存する。そして、LED表示部3008を点灯して(S3144)、ユーザーに対し検知対象の機器3030が稼動した旨を明示し、前述した一連の処理を終了する(S3146)。
【0242】
また、双方のノイズが異なっていると検知したときは、検知対象の機器3030が稼動していないと判定して、その結果を機器情報としてRAMに保存する。そして、前記のLED表示部3008を消灯して(S3145)、ユーザーに対し検知対象の機器3030が稼動していない旨を明示し、前述した一連の処理を終了する(S3146)。
【0243】
以上のように実施の形態15によれば、機器3030から発生するEMCノイズを受信して計測し、計測したEMCノイズと予め学習してRAMに保存した機器3030のEMCノイズと比較して検知対象の機器3030かどうかを判定するようにしたので、無線通信機能が付いていない機器3030の稼動状態を検知することができる。また、検知対象の機器3030と判定した際に、生活者の活動か検知されなかった場合、警報ブザー3011を動作させてユーザーに報知するようにしているので、電源の切り忘れた機器3030を速やかにOFFすることができ、電力の無駄使いを低減でき、省エネアプリケーションを提供できる。」

上記記載から、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「機器3030から放射されるEMCノイズを計測するためのアンテナ3015を備え、受信したEMCノイズとRAMに保存したEMCノイズを比較して検知対象の機器3030かどうかを判定し、検知対象の機器3030と判定したときは稼動していると判定する、生活者異常検知装置3001。(【0240】参照。)」

3.引用文献3について
また、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、次の事項が記載されている。

「【請求項1】 無線機器からの電波を受信する受信手段と、
該受信手段の出力信号から所定時間インターバル毎のデジタル・データを生成するアナログ・デジタル変換器と、
上記所定時間インターバル毎の上記デジタル・データをスペクトラム・データに変換する変換手段と、
上記所定時間インターバル毎の上記スペクトラム・データのレベルが最大となるときの周波数を示すレベル最大周波数データを生成するレベル最大周波数データ生成手段と、
異なる複数の無線機器の夫々が発生する電波を異なる受信条件で受信したときに得る上記レベル最大周波数データの特徴を学習し、新たに上記受信手段が受信した電波から得た上記レベル最大周波数データと比較するニューラルネットワーク手段と、
該ニューラルネットワーク手段の比較結果に応じて上記受信手段が受信した電波に対応する上記無線機器を特定する特定手段とを具えた無線機器特定装置。」

4.引用文献4について
また、原査定において周知技術を示す文献として新たに引用された上記引用文献4には、次の事項が記載されている。

「局部発振コイルと該コイルに接続され制御電圧を印加される第1の可変容量ダイオードとを有する受信機本体と、バーアンテナコイルと該コイルに接続された第2の可変容量ダイオードとを有し該受信機本体と別体に設けられたバーアンテナ本体と、上記受信機本体と該バーアンテナ本体とを接続し上記制御電圧を該バーアンテナ本体の第2の可変容量ダイオードに供給し該バーアンテナ本体の受信信号を上記受信機本体に供給するリード線とよりなる可変容量ダイオード付アンテナを有する受信機。」(実用新案登録請求の範囲)

5.引用文献5について
また、原査定において周知技術を示す文献として新たに引用された上記引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0019】なお図8、図9(B)に示すように、警報モ-ドで使用する警報/報知手段16は、親器Aの警報手段9と同様に、子器Bにおいても本体20部分と分離して付属、構成してもよい。前記図示例に示す警報または報知手段の本体よりの分離別体化は、前記した親器、子器間の双方向送受信システムの機器に適用しても、特殊例として構成した簡易形の、一方を受信器、他方に送信器を設けてそれぞれ親器子器とした単方向送受信方式に適用して、当該本体とその要部形成体の別体化、特に警報手段、アンテナの別体化に適用する。例えばペットの首輪に発熱装置を警報手段16の別体21として分離、付属させる例である。あるいは図9(A)に示すように、別体化を更に進めた例として、警報手段16を、出力発生器16aと端末手段16bに連係可能に区分して付設し、構成しても良い。端末手段16bは、ブザ-警報器、発光器、臭気発生器、発熱装置、高電圧発生ショック装置等を形成して、単独または複数で適宜他のものと組み合わせ、用途に応じた手持ち品等の要所に設ける。一方、報知モ-ドで使用する場合では、子器B(=B1 、B2 )を特定物品に付帯させて、無関係な多数の物品中に紛らわせて収納しても、的確に検索してその用を成させる使用ケ-スもある。
【0020】図6(C)に示すように、親器Aと子器Bとを連結して特定信号を選定するときに、親器Aの送信信号選定部3aは子器信号同期部7と、子器Bの送信信号選定部13aは親器信号同期部17と、それぞれ連係して、信号選定操作が同時に連係する相手側と同期可能になっている。この同時設定連結形式の本発明装置において、手動操作用の送信信号選定部3aに条件設定対象を選ぶ親器/子器選定つまみと、一次信号の信号周波数選定つまみと、特定機能対信号モ-ド選定つまみと、子器管理数特定つまみと、条件設定固定つまみを設ける他、使用中に適時選定する、警報モ-ド/報知モ-ド用つまみを親器Aに設けている。また信号システム登録のための自動処理は、子器信号cを特定するときに一次信号に配分して二次信号を決める際の付加周波数の自動設定と、報知または警報モ-ドを選ぶ際に特定機能内容を番号指示で起動可能とする、信号モ-ド番号の自動付加、複数子器用選定単一信号の自動登録などが可能になっている。
【0021】さらに図7(A)に示すように、親器Aの距離対応出力強度設定部2は、各条件での機器を的確に動作できるように設定するものである。例えば特定条件設定1では空中線環境設定を行うもので、予め行う試験測定によって野原など信号受信に障害無い環境では送信出力を弱くし、街区のある環境が悪い場所では送信出力を強く調整できるようにする。この調整は、車の運転席と荷台、RC構造物の内外、などに親器と子器が離れるような各場合にも対応可能な、環境モ-ドを親器A側操作のみで選定できるようにしても良い。引き続いて特定条件設定2によって、受信側の受信強度がH/Lレベルにある場合を基準に、その警報作動範囲を定める。例えば警報モ-ドで区間近距離で異常が発生した場合、区間最遠距離に異常が進行した場合、その中間などに分けて警報手段の内容が変化するように構成する。また特定条件設定3は、親器Aが、対をなす子器B1台、または複数ある内の特定子器Bに対する報知または警報指令を設定するもので、強制的に子器Bの警報を起動させたり、強制的にブザ-鳴奏中の警報を停止、中断させたりを決めるもので、前記した設定によって、特定の警報、警報/報知手段16の複数の端末手段16bを起動させ、子器B動作状態を親器Aに送信させたりする。なお、前記した一次/二次信号選定、信号同期や距離対応出力強度設定器2などの設定プロセスは、μ-CPUやメモリによって行う。
【0022】ところで図8に示すように、親器A及び子器Bは、全ての要部形成体を一つの集合体に纏めて構成してもよいが、一対をなす相手側との信号/同期に係わる共通部分と、時計/メモリ/μ-CPUなどの共有可能部分を共通機能部分19として分離し、同図に図示の左側ブロックに送受信器を含む基本構成部分20と、アンテナ、電源部、警報/報知手段を含む別体21とを合わせて、実線または点線で示すように二つに、あるいは三つに分離、構成することが出来る。このとき基本構成部分20は、同図(A)に示すように共通部分19と常に連結して使用するか、同図(B)に示すようにメモリを、また同図(C)に示すように限時回路を機器操作可能にそれぞれ付帯させ、共通部分とは分離して使用しても良い。」


第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
まず、引用発明1における「ホームサーバ」は、「機器を判別するコード情報が」「提供可能となっており」、また「運転状態(例えば、スイッチのオン、オフや出力レベル)」が送信され、機器の「消費電力を算出する」ものであるから、本願発明1の「前記電磁波のパワースペクトルに基づいて前記機器の種類を判定する機器判定部と、前記電磁波のパワースペクトルに基づいて前記機器の動作を判定する動作判定部と、前記機器の種類及び動作に基づいて前記機器の消費電力を推定する電力推定部と、を有する受信装置」とは、共に「機器の種類を判定する機器判定部と、前記機器の動作を判定する動作判定部と、前記機器の種類及び動作に基づいて前記機器の消費電力を推定する電力推定部と、を有する受信装置」である点で共通するといえる。
また、引用発明1の「ホームネットワークシステム」は、「ネットワークに接続された機器の消費電力を算出することのできる」ものであるから、本願発明1の「電力管理システム」に相当する。
してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)
「機器の種類を判定する機器判定部と、前記機器の動作を判定する動作判定部と、前記機器の種類及び動作に基づいて前記機器の消費電力を推定する電力推定部と、を有する受信装置を備える、電力管理システム。」

(相違点)
相違点1:本願発明1は、機器の消費電力を推定する際に用いる電磁波のパワースペクトルを取得するための「機器の動作に関連して発生する電磁波を検出する検出装置」を備えているのに対し、引用発明1は「ホームネットワーク(10)に、ホームサーバ(20)、コントローラ(30)、ホームネットワーク(10)上で操作、制御等を行なう機器(40)が接続され」るものであって、「機器の動作に関連して発生する電磁波を検出する検出装置」を有さない点。

相違点2:本願発明1の「機器判定部」及び「動作判定部」は、いずれも「電磁波のパワースペクトルに基づいて」判定を行うのに対し、引用発明1においては「機器を判別するコード情報」及び「運転状態(例えば、スイッチのオン、オフや出力レベル)」が機器からホームサーバへ提供されており、「電磁波のパワースペクトルに基づいて」判定を行うものではない点。

相違点3:本願発明1においては「前記受信装置は、前記電磁波の情報を無線又は有線の通信により前記検出装置から取得する」とされているのに対し、引用発明1は「機器の動作に関連して発生する電磁波を検出する検出装置」を有さず、ホームサーバが「前記電磁波の情報を無線又は有線の通信により」「取得する」ものではない点。

(2)相違点についての判断
本願発明1の内容に鑑みて、上記相違点1について検討する。
相違点1に係る本願発明1の、「機器の動作に関連して発生する電磁波を検出する検出装置」という構成について見ると、上記「第4」2.に示した引用発明2の「生活者異常検知装置」は、「機器3030から放射されるEMCノイズを計測するためのアンテナ3015」を備えており、これは「機器の動作に関連して発生する電磁波を検出する検出装置」に相当するといえる。
しかしながら、引用発明2の「機器3030から放射されるEMCノイズを計測するためのアンテナ3015」は「検知対象の機器3030かどうかを判定し、検知対象の機器3030と判定したときは稼動していると判定する」ことに利用されるものであって、機器の消費電力を推定する際に用いる電磁波のパワースペクトルを取得するためのものではない。また、引用文献2ないし5のいずれにも、電磁波を検出して機器の消費電力を推定する旨の記載も示唆も認められない。そうすると、引用発明1における機器の消費電力を推定するための手段として、引用発明2の「機器3030から放射されるEMCノイズを計測するためのアンテナ3015」を適用する動機付けを見いだすことはできない。
したがって、上記相違点2-3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1ないし5に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2-6について
本願発明2-6も、上記相違点1に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1ないし5に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明7について
本願発明7は、本願発明1に対応する方法の発明であり、上記相違点1に係る本願発明1の構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1ないし5に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第6 原査定について
本願発明1-7は、機器の消費電力を推定する際に用いる電磁波のパワースペクトルを取得するための「機器の動作に関連して発生する電磁波を検出する検出装置」もしくはそれに対応する事項を有するものであり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-5に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-11-13 
出願番号 特願2012-21890(P2012-21890)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 菅藤 政明  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 ▲うし▼田 真悟
中塚 直樹
発明の名称 情報処理装置及び情報処理方法  
代理人 亀谷 美明  

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